文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、お客さまの心からの満足、感動と信頼を第一に考え、お客さまと共に成長する企業であり続けるために「お客様の信頼第一」を基本理念の一番に掲げております。お客様と共に成長するためには、私たち一人ひとりが新分野・新技術へのチャレンジをするとともに、成長への自律的な努力に対し惜しみない協力と援助を行うことにより、人を活かし、人を大切にできる心豊かな企業であり続けるために「価値ある人財へ」を二番目に掲げております。さらには、私たちが決めた仕事の手順などのルールや、国内外の法とコンプライアンスを順守し、環境調和を常に考え、堅実・誠実・公正な活動の実践で全てのステークホルダーに貢献できる企業であり続けるために「きっちり 『ルール』、しっかり 『マナー』」を三番目に掲げ、常にお客様からの心からの「ありがとう」を目指しております。
当社グループは、時代に即したコミュニケーションでお客さまとマーケットをつなぎ、満足され、感動される品質で信頼を築く良きパートナーであり続けるために、「Good Communication, Good Partner」を企業スローガンとしております。(図3)
図3:基本理念、明日への宣言、ものづくり標語、企業スローガン
■中期経営方針
当社グループは、上記の基本理念および企業スローガンのもと、将来のあるべき姿として、2024年6月期から『2026中期ビジョン 「コミュニケーション」と「包む」技術で、お客様と新しい感動を創り、未来へつなげる。』を掲げ、お客さまに寄り添って「新しい感動」を創ることで、お客様の利益や幸せ、豊かさにつなげ、そして、私たちの未来にもつなげる事業を目指しております。(図4)
その実現に向けて、市場環境の変化を見据えた事業戦略及び生産体制の合理化を推進する経営基盤を構築し、持続的な成長と企業価値向上を確かなものとするため、中期経営計画(2024年6月期から2026年6月期までの3ヵ年計画)の実現に向けて、全社視点での重点施策及び、各事業における施策を着実に実行することで計画達成に邁進しております。(図5)
図4:2026中期ビジョン
図5:2026中期ビジョン 成長ストーリー
あらゆる産業を顧客に持つ印刷産業は、印刷技術をベースに事業分野を拡大して社会のニーズに対応をしており、その事業分野の裾野は広く2023年度の市場規模は約7.6兆円(出典:経済産業省 経済構造実態調査)と大きな市場であります。当社グループは、創業134年に渡り印刷事業で培ったノウハウを活かし、印刷技術と情報技術を融合して、拡大する多様なソリューションに対応しております。
また、当社グループの顧客は上場企業(グループ会社を含む)が半数以上(グループ会社を含む)を占めており、7割以上の企業と長年にわたって取引が持続しております。「お客様の信頼第一」の元、創業より長年築いた大手優良企業との信頼関係により、安定的な収益基盤を確立しております。(図6)
図6:強固な顧客基盤について(2024年6月期当社グループの売上高)
さらには、4つの成長領域における幅広い業界の優良企業と豊富な取引実績を有しており、特定の業界や顧客に依存するリスクを分散し、外部環境の影響を受けにくい全天候型の事業構造を実現していることも当社の強みとなっております。(図7)
図7:当社グループの顧客は、4つの成長領域に分散
特に当社グループの祖業であるパッケージング分野では、紙器、軟包装、輸送包装に加え、フルフィルメントサービスまで手掛けており、顧客企業の小ロット生産を可能にする戦略的イノベーションパートナーへの展開を図っております。一方のコミュニケーション分野においては、プリントメディアからデジタルメディアへのシフトが加速する中、印刷事業で培った企画力と情報技術力を融合したコンテンツ制作技術により、プリントメディアに関連する新たな事業領域(コンテンツマネジメントサービス、クロスメディア、ソフト制作、画像処理、映像制作など)を拡大する取り組みを展開しております。
さらに当社は、FSC®森林認証(Forest Stewardship Council)を取得し、適正に管理された森林から切り出された木材から作られたFSC®森林認証紙の利用を促進してカーボンニュートラルを推進しております。
また、ユニバーサルデザインの概念を基本に、パッケージの易開封性、文字の視認性に配慮するなど、生活者の文化・言語・国籍・年齢・性別・能力などの違いに係わらず、全ての人が使いやすい、人にやさしいパッケージを提供することで、ダイバーシティインクルージョンを推進しております。
このように、環境と多様性に配慮した製品開発と高次元の品質で、印刷に係わる前後の領域を拡大していくことが成長戦略のひとつであると考えております。
当社グループは、お客様とマーケットを『グッドコミュニケーション』でつなぎ、『発想から発送までのワンストップソリューション』を提案し、前術のカーボンニュートラルやダイバーシティインクルージョンに配慮した製品を提供し、お客様と一緒になって、当社グループのソフトとハードの総合力で新しい高付加価値を創出することにより、社会の持続的な発展に貢献する取り組みを展開しております。(図8)
図8:発想から発送までのワンストップソリューション
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、お客様の良きパートナーとして共に発展していくことにより、収益性を確保し、当社グループ全体の売上高営業利益率を高めることを目標とし、企業価値の増大に努めてまいります。
わが国の今後の経済状況は、社会経済活動の正常化に伴う個人消費の持ち直しや、インバウンド需要の回復などから、景気は緩やかな回復基調で推移する一方、不安定な世界情勢や円安の長期化による原材料価格やエネルギー価格の高騰などの影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
印刷業界におきましては、デジタルシフトによる紙媒体の需要縮小や、競争の激化、価格の低迷という構図が長期化し、厳しい経営環境が続いておりますが、パッケージング分野においては、人流の拡大も寄与し堅調な需要が続いております。さらには、広報活動や販売促進活動が回復傾向にあることから、イベント関連の需要も徐々に回復基調となっております。
このような環境下において当社グループでは、2026年中期経営計画として『「コミュニケーション」と「包む」技術で、お客さまと新しい感動を創り、未来へつなげる』を掲げ、最適な環境未来パッケージの開発やデジタルを活用した新たなコンテンツにより事業構造改革を進めるとともに、引き続き「発想から発送までのワンストップソリューション」を推進して、企業価値を高める取り組みを進めております。
当社グループが属する印刷産業は、デジタル化とインターネットの普及により商業印刷は縮小傾向ですが、印刷技術と情報技術を融合した多様なソリューションが拡大し、特にパッケージ、軟包装、BPO、販売促進、顧客データベース管理、情報加工、クロスメディア、ソフト制作、画像処理、エレクトロニクス産業資材の分野において成長しており、2023年度の市場規模は約7.6兆円(出典:経済産業省 経済構造実態調査)となっております。(図9)
※(注)1.出典 経済産業省「工業統計調査」、「経済構造実態調査売上金額」
2.経済産業省「工業統計調査」は、2020年の調査をもって終了いたしました。
3.製造品出荷額等の数値は、2019年~2020年は「工業統計調査」を記載し、
2021年以降は「経済構造実態調査売上金額」を記載しております。
4.2023年の製造品出荷額等の数値は、2024年6月30日時点で公表されておりません。
5.工業統計調査および経済構造実態調査売上金額の「印刷・同関連業」は、
紙および紙以外の印刷業、製版業、製本業、印刷物加工業、校正刷業、
刷版研磨業、印刷物結束業、印刷校正業となっております。
図9:印刷産業の市場規模
当社グループの祖業であるパッケージにおける包装印刷の市場規模は、2023年度922億円(出典:経済産業省 経済産業省生産動態統計)となり2019年度比で約10%伸長しております。包装印刷は印刷市場の中で好調な分野であり、足元では食品・菓子、日用品、化粧品市場において需要が拡大しております。今後も通販市場やEC市場の拡大、インバウンド需要の回復、さらにはプラスチックごみによる海洋汚染問題から、脱プラ化による紙器需要のニーズが高まっているため、包装印刷市場は堅調に推移することが予測されております。(図10)
※(注)1.出典 経済産業省「経済産業省生産動態統計」
2.経済産業省 生産動態統計の包装印刷は、包装印刷に関わる印刷前工程(企画・編集・製
版など)、印刷後工程(加工など)、用紙代などを除く、「印刷工程の販売金額」となって
おります。
図10:包装印刷市場
フルフィルメントサービスを含むBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング 注)の市場規模は、㈱矢野経済研究所の調べによると2022年度の非IT系BPO市場規模は前年比2.3%増の1兆9,191億円、2025年以降は約2兆円の市場規模が予測されております。昨今の労働力不足・人財不足を背景として、働き方改革やDX(業務自動化を中心としたデジタル技術による業務変革)に取り組む企業が増え、自社内リソースの再構築が課題となっております。
さらに、それらの企業では、抜本的な事業体制の見直しに伴い、委託業務内容は拡大基調で推移するとみられており、今後もコア業務からコンサルティング業務までを一気通貫でアウトソースする機運が高まっております。
従いまして、フルフィルメントサービスは、製造企業の戦略的イノベーションパートナーへと移行することが予測されております。(図11)
※(注)BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業の業務プロセスを一括して外部に委託するアウトソーシングの一種の形態で、企業はBPOサービスを利用することにより、企業の売上の源泉である「コア事業」に人的リソースや資金を集中させることが可能となり、競合優位性の向上につながるサービスのことをいう。
※(注)1.出典 2023年 ㈱矢野経済研究所調べ
2.事業者売上高ベースとなっております。
3.IT系BPOとは、発注企業からシステム運用管理業務を委託され代行するサービスとし、
非IT系BPOとはその他の業務を委託され代行するサービスとなっております。
4.2023年度以降は、㈱矢野経済研究所の予測値となっております。
図11:国内BPO市場規模推移・予測
広告市場は、プリントメディアからインターネットメディアへの転換が進んでおり、2023年度のインターネット広告市場は、全広告費に占める割合が45.6%の約3.3兆円規模(資料:電通 2023年 日本の広告費)まで拡大しております。プリントメディアからデジタルメディアへと変化する中、デジタルコンテンツ制作のニーズは年々高まっていると考えております。(図12)
※(注)1.資料:電通「2023年 日本の広告費」
2.インターネット広告費(インターネット広告媒体費、インターネット広告制作費、
物販系ECプラットフォーム広告費の合算)は、前年比107.2%の3兆3,330億円と、
引続き市場拡大をけん引しております。
図12:日本の広告費
このような状況の中、当社グループでは「守りの成長」と「攻めの成長」に焦点をあて、当社の祖業であるパッケージング分野を強化するとともに、印刷事業で培った印刷に係わる前後の領域を成長へと導いていくことを目標とした取組みを実施し、これからもお客様を大切にしながら収益をあげる企業構造への転換に努めてまいります。
また、多様性のある人財を最大限に活用し、当社製品やサービスの品質保証責任と供給責任を果たすことが、社会的課題の解決に貢献し、企業価値の向上と持続的成長に繋がるものと考え、以下の課題に取り組んでまいります。
当社グループがお客様と共に成長する企業であり続けるには、祖業であるパッケージング分野を安定的に拡大させることが重要と考えております。パッケージング分野は、長年の実績により培ったノウハウを、独自の紙器構造設計技術に活かし、サステナビリティを意識した環境配慮型製品の開発に注力し、今後も営業部門・企画開発部門・製造部門の連携による高機能パッケージの開発と提案を推進してまいります。
また、フルフィルメントサービスは、多くの業界そしてお客様の期待を具体化する形で需要が拡大をしております。主力製品である印刷製品をはじめ、付帯する商品企画、物流、在庫管理、発送代行、購買管理等の業務を一貫して請け負うサービスは、多くのお客様から厚い信頼をいただき、数多くの成果となっており、今後は、関東地区への拡大に注力してまいります。
さらに、市場開発本部・企画制作本部・デジタル制作本部が、三位一体となって活動することにより、当社グループの強みであるマーケティング解析、デジタルコンテンツ企画やクロスメディアソリューションの一環した提案力の強化につながっております。お客様からの信頼を第一に考え、販売促進企画や商品企画等の高付加価値を提案することで、お客様の販売拡大に寄与することを通じて、お客様との信頼関係を築いてまいります。(図13)
図13:印刷事業で培った印刷に係わる前後の領域を成長へと導く
「発想から発送までのワンストップソリューション」を実践するためには、企画・マーケティングの強化は、重要な施策となります。当社グループの組織力を最大限に活用してオリジナル商品の開発とサービスの拡充を図ってまいります。
そのために、優秀な人財の確保と育成への惜しみない投資を持続的に行ってまいります。(図14)
図14:企画・マーケティングの強化による成長ストーリー
当社グループが属する印刷業界は、顧客ごと案件ごとに仕様やコンテンツが変わるオーダーメイド商品であるという特徴を持っており、いわば、当社グループの事業はコンテンツ制作と密接に結びついております。広告産業においては、印刷メディア広告からインターネット広告へ変化しておりますが、デジタルコンテンツ制作の需要は安定的に推移しております。当社グループは印刷事業で培ったコンテンツ制作のノウハウをフルデジタルでのコンテンツ制作にも活かし、情報産業としての領域を拡大してまいります。(図15)
図15:マーケティング力によるコトづくりとモノづくりの融合
また、当社グループは、フルフィルメントサービス(図16)の拡大に注力しており、多くの業界そしてお客様それぞれの期待を具体化する形で実施展開をしております。主力製品である印刷製品をはじめ、付帯する商品企画、物流、在庫管理、発送代行、購買管理等の業務を一貫して請け負うサービスは、多くのお客様から、厚い信頼をいただき、数多くの成果となっております。さらに当社の強みであるマーケティング解析、デジタルコンテンツ企画やクロスメディアソリューションにより、お客様の販売促進企画や商品企画等の高付加価値提案をすることで、お客様の販売拡大に寄与し、その延長として当社グループの発展につながっております。(図17)
フルフィルメントサービス
ワンストップでサービス提供できるメリット
図16:フルフィルメントサービス
図17:フルフィルメントサービス(FFS)による成長ストーリー
当社グループが属する印刷産業は、社会のニーズの変化に対応して、印刷技術を応用・発展させることで、さまざまな分野にビジネス領域を拡大してきております。
当社グループは、印刷事業に隣接するデジタル領域を拡大させ、独自のデジタルコンテンツ制作やデジタルサービスの開発などに注力し、情報産業としての領域の発展を目指しております。(図18)
図18:デジタルメディアの更なる強化による成長ストーリー
当社グループが持続的な発展を行うためにも、価格競争力は重要な課題であると認識しております。原材料やエネルギー価格さらには人件費が高騰している中で、適正利益を確保するためには、基礎的な生産能力をしっかりと整備し、成長分野への人員増強と積極的な投資、適正な人員配置と省人化、合理化施策などにより、生産効率向上に取り組む必要があります。そのためには、外部とのネットワークを最大限に活用して、更なるデジタル化を進め、価格競争力の向上に取り組みます。
生産体制におきましては、これまで培ってきた製造技術(図19)と品質保証体制(図20)に加え、さまざまな分野から高次元の技術や知識を習得するなどのレベルアップに取り組んでおり、新製品開発から生産技術の開発まで、事業創造型の研究開発を行ってまいります。
また「材料費の削減」「品質の向上」「作業時間の短縮」「エネルギーの削減」「廃棄物の削減」「環境配慮型製品の開発」などに取り組み、製造利益最大化を追求してまいります。
図19:当社がこれまで培ってきた製造技術の事例
図20:当社の品質保証体制
さらには、顧客の生産計画に合わせて当社製品の生産をコントロールする「かんばん方式」への対応、環境対応付加提案や、当社独自技術を使った環境配慮型製品の開発を展開し、当社製品の付加価値を最大化する取り組みを行っております。(図21)
図21:当社独自技術を使った環境対応付加提案について
海外事業につきましては、現在、中国とインドネシアに拠点を設けて事業を展開しており、主に現地に進出している日系企業を中心とした顧客にパッケージを供給しております。
今後は、東南アジア全域に活動範囲を広げるとともに、製品構成もパッケージだけではなく、フルフィルメントサービス等も展開し、当社グループの認知度とブランド力向上に取り組んでまいります。(図22)
(注)世徳印刷科技(無錫)有限公司は、当社の連結子会社であった世徳印刷(無錫)有限公司を、2023年12月14日付で吸収合併いたしました。
図22:海外生産体制の強化による成長ストーリー
基本理念に「価値ある人財へ」を定め、新分野・新技術へのチャレンジと、成長への自律的な努力に惜しみない協力と援助を行い、人を活かし、人を大切にできる心豊かな企業であり続けることが、持続的な発展につながると考えております。そのためには、社員の健康と安全を第一に考え、多様な価値観・個性を尊重し、働きがいのある職場環境の整備を進め、将来を見据えた全社員のレベルアップのため、人的資本への投資をさらに強化してまいります。
また、これまで134年に渡り培ってきたノウハウを活かし、環境に配慮したサステナブルな紙素材などと人にやさしい製品設計・開発により、「未来にやさしく環境を循環させるパッケージ」として、「ササエコ・パック」シリーズの開発と提供を進め、カーボンニュートラル社会の実現に向けた、カーボンフットプリントシステムの導入やGHG排出量の削減目標の設定に取り組んでまいります。
当社グループは、4つの重点施策「企画・マーケティングの強化」「デジタルメディアの強化」「フルフィルメントサービスの強化」「海外生産体制の強化」を実現するため、業務のデジタル(DX)化、自働化による労働生産性の向上は、最重要課題と認識しております。
そのためには、ICTリテラシーを向上させるための社員教育を強化し、業務プロセス、製造プロセスのデジタライゼーションによるDXを推進するとともに、未来を見据えたAI活用に向けての研究開発をスタートさせ、お客様に新たな価値を提案してまいります。
(1) サステナビリティ全般に関する考え方及び取り組み
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、将来のあるべき姿として、2024年6月期から『2026中期ビジョン 「コミュニケーション」と「包む」技術で、お客様と新しい感動を創り、未来へつなげる。』を掲げ、お客様に寄り添って「新しい感動」を創ることで、お客様の利益や幸せ、豊かさにつなげ、そして、私たちの未来にもつなげる事業を目指しております。
当社グループは、未来につなげるための重要な施策として『環境配慮型経営の推進』を掲げ、環境への負荷を継続的に改善する環境保全活動を推進し、環境との調和を図る取組をしております。
当社グループの中心である笹徳印刷株式会社では、ISO14001の要求事項に適合した『環境マネジメントシステム』により、毎期掲げております「環境方針」の実現とステークホルダーの信頼を向上させるために、当社を取り巻く環境に関するリスクおよび機会を『環境管理委員会』が監視し協議しております。
また、法務・労務・倫理・人事などのリスクおよび機会については、『リスク・コンプライアンス委員会』が監視し協議しております。
『環境管理委員会』および『リスク・コンプライアンス委員会』には代表取締役社長が出席しており、常勤役員会または取締役会にてサステナビリティに関連する事項の報告を適宜行うことで、当社グループのサステナビリティ関連のリスクを監視する体制を構築しております。近年、サステナビリティへの取組は、顧客が当社グループを評価する指標の一つとして重要度を増しており、当社グループでは引き続き、事業活動を通じて、顧客を含めた様々なステークホルダーからの信頼を第一に、社会からいつまでも必要とされる企業となる取組を推進してまいります。
『環境管理委員会』が中心となり、環境に関するサステナビリティ関連のリスクおよび機会を抽出して評価を行い、重要なリスクを検討しております。
また、法務・労務・倫理・人事などのリスクを監視、協議を行うために『リスク・コンプライアンス委員会』を設置しており、環境以外に関するサステナビリティ関連リスクについても検討を行っております。
当社グループは、環境配慮型経営の推進のため、以下の事項を主軸にSDGsの達成に積極的に取組んでおります。
1)環境コスト削減で経営に貢献する。
2)分かりやすい環境情報の発信に努める。
3)環境貢献(グリーン化)の推進。
4)低炭素への取組を強化すること。
また、お客様からの課題やニーズを把握し、サステナビリティに適合した環境配慮型製品の開発および『発想から発送までのワンストップソリューション』を推進し、お客様の事業を含めたサステナビリティに関連するリスク改善に取組んでおります。
当社グループのうち、当社各部門における労働生産性を向上させ、時間当たり生産性を高めることで省エネルギーを実現するとともに、各製造工程の歩留まりを向上させて省資源化を推進することにより、2025年6月期は環境エネルギーコストを2024年6月期比2%削減することを目指しております。
(2) 人的資本
当社グループは、2024年度から2026年度までの目指すべき姿を示す中期経営計画を策定し、そのビジョンとして『「コミュニケーション」と「包む」技術で、お客様と新しい感動を創り、未来へつなげる。』を掲げております。戦略の一つとして人的資本経営の推進し、全従業員が最高のパフォーマンスを発揮できる体制の構築を目指しております。そのためには、社員の健康と安全を第一に考え、多様な価値観・個性を尊重し、働きがいのある職場環境の整備を進め、将来を見据えた全社員のレベルアップのため、人的資本への投資をさらに強化してまいります。
新卒採用について、学校訪問を積極的に行い、学内セミナー参加者からの応募者を確保いたします。また、2日間のインターンシップを開催し、当社への理解を深めてから採用することで、入社後のアンマッチ防止を図っております。
さらには、当社グループのクリーン化工場などの設備を幅広く理解し、働くイメージを高めていただくために、当社が開発したバーチャル工場見学「さいデラ」を当社ホームページのオンライン採用サイト上に公開し活用しております。「さいデラ」は、採用活動において就活生に知らせたい当社の情報と風景を組み合わせ、実際に当社を訪問したようなリアリティのある空間を、バーチャルで作り上げるシステムとなっております。
当社グループ基本理念の「価値ある人財へ」に基づき、以下のとおり人財育成に取り組んでおります。
・人事評価制度で個人の育成課題を明確にし、面接制度により人財育成をいたします。
・教育訓練計画により部門の育成課題を明確にし、人財育成をいたします。
・通信教育を活用し、社員のリスキリングと自己啓発を推進いたします。
当社では、安全で働きがいのある企業風土を目指し、各種制度を整備することで働きやすい職場環境の整備・改善に努めております。出産育児および介護における休暇・休業・職場復帰制度を推進、フレックスタイム制度、自宅でのリモートワーク、時短勤務制度を設けております。このため、女性の産休・育休取得率は100%、復帰率100%となっております。さらに、男性の育児休業等取得率及び育児目的休暇の取得を積極的に推進し、男女関わらず、キャリアとライフイベントを両立できる環境を整えていくことに努めております。
当社グループでは、従来から男性従業員の多い状況を打開し、男女関係なく働ける職場づくりを推進しております。女性従業員比率の向上を目指し、女性管理者への育成に向けた社内教育を進めてまいります。
また、多様性を推進し、性別・国籍および障害の有無等の区別をすることなく、グローバル人財や障害者の雇用を拡大するとともに、多様な経験を持ったキャリア人財の採用を進めてまいります。
さらには、定年到達社員の再雇用や、知識・経験を有するシニア人財を雇用することにより、業務・技術伝承や後進育成を推進する環境を充実し、知識・技能の維持向上による競争力強化に取り組んでまいります。
当社及び㈱サンライトの人的資本について、目標値を定めているのは下記項目となります。
(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
印刷産業は、プリントメディアの需要減少が進む中で、印刷事業を軸としながらも、新たな事業分野の開拓(エレクトロニクス、情報セキュリティ、通販、BPOなど)で収益源を確保する動きが活性化しております。当社グループが展開している印刷事業は、市場開発・生産・流通・調達などの事業活動をベースとして展開しており、その活動範囲は、国内にとどまらず、中国、インドネシアへ拡大しております。
当社グループの業績及び財政状態は、事業活動を行う上で各国の経済環境や需要動向の変化、デジタルメディアへの一層の進行など、市場環境が変化する中で、新たに取り組む事業領域において売上を拡大することができなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を行う上で、環境保護、個人情報保護など、関連する法律や規制の適用を受けております。当社グループの事業活動に影響を及ぼすものとして、化学物質に対する規制などが制定・導入されております。したがって、将来においても、新たな法律や規制により、事業活動の制約や管理コストの上昇などが生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大(中国)・小(インドネシア))
当社グループは、中国、インドネシアで事業活動をしており、その国において大規模な地震や風水害などの自然災害や、戦争・テロ・暴動、ボイコット、感染症、エネルギー供給障害、交通障害を含む社会的・政治的混乱などの地政学リスクが存在します。さらに政治的・経済的条件の急激かつ大幅な変動などの要因により、当社グループの事業活動の継続に支障をきたす可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、気候変動に伴い、台風の大型化、洪水や渇水の発生頻度の増加による事業活動中断のリスク、降雨パターンの変化に伴う原材料調達に関するリスクがあります。自然災害が発生した場合の迅速な初期対応の推進及び業務を早期に復旧継続させることを目的とした事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定など、具体的に進めております。
また、当社グループの生産拠点におけるGHG排出量の削減、当社グループが販売する製品における環境負荷低減などの製品開発などに努めております。
しかしながら、国内外において気候変動対策のための制度・規制の導入が進んだ場合、事業活動の制約やコストの上昇など、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、市場性のある有価証券を保有しております。株式市場や金利相場等の変動によっては、有価証券の時価に影響を与え、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、将来の成長性を確保するという観点から、デジタルメディアやカーボンニュートラルへの対応等、マーケットニーズに的確に対応した技術確立と開発を進めるべく研究開発投資を行っております。しかしながら、計画どおりの十分な成果を上げることができない場合や想定し得ないような急激な技術革新が起きた場合には、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
当社は、ISO9001及びISO14001を取得しており、安心安全で信頼できる製品を顧客に提供できるような品質管理体制の構築を図っております。
しかしながら、予想し得ない品質上の欠陥に基づく製造物責任の追及がなされた場合には、補償費用の負担や、再生産に係る費用の追加負担により、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、事業に使用する印刷用紙、インキなどの原材料を外部メーカーから調達しております。事業活動の維持のためには、十分な量の原材料を適正な価格で調達することが重要ですが、外部メーカーからの供給量の大幅な不足や納期の遅延などが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
印刷用紙、インク、印刷用の版など、当社グループが使用する原材料等は、世界情勢の変化、市況等により変動いたします。特に主要材料である印刷用紙は原材料に占める割合は大きく、価格変動による影響が最も大きくなります。
従って、当社グループは、複数企業からの購買や、計画的な購買によって原材料等の安定的な調達に努める等の施策を実施しリスクを低減しております。また、企業努力だけでは吸収しきれない原材料価格や製造コストの上昇等については、販売価格への転嫁を行い収益性の改善に努めております。
しかしながら、これらのコストダウンや販売価格に転嫁するまでにタイムラグが生じたり、完全に販売価格に転嫁できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業を展開する市場において多数の企業と競合しているため、価格競争が激化し受注価格の低下が発生しております。このような事業環境に対し、当社グループは、原価の低減や効率性の追求、顧客や市場への新しい付加価値の高い製品の開発と提案などによる内部努力を継続しておりますが、それらの努力で価格低下を吸収できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 人財の採用・育成に関するリスク(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、高度な技術力や企画力等を有する優秀な人財の採用・育成が、将来の成長性、収益性等を確保するために必要不可欠な要素であると認識しており、新卒採用のほかにも多様な専門性を有する人財を確保すべく中途採用の実施等、幅広く優秀な人財を求めております。
しかしながら、そのような人財の採用や育成ができなかった場合には、競争力が低下し、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
新たな感染症が発生し世界的に拡大した場合には、内外経済を下振れさせ、景気が減速するリスクがあります。多くの業界と取引があり当社グループに与える影響を正確に見通すことは困難ですが、当社グループが所属する印刷メディア市場におきまして、市場の縮小により経営成績等に影響を与える可能性があります。
(13) 情報システム障害及び情報セキュリティ管理に関するリスク
(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、情報セキュリティの高度化などシステムやデータ保護に努めておりますが、万一、災害やサイバー攻撃など外的要因や人為的要因などによる情報システム障害や、情報の流失による問題が発生した場合には、当社グループのイメージや社会的信用の低下、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 繰延税金資産の回収可能性の評価によるリスク
(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、将来減算一時差異および税務上の繰越欠損金に対して、将来の収益力に基づく課税所得等を見積り、回収可能性があると判断した範囲内で繰延税金資産を計上しております。
しかし、実際の課税所得が見積りと異なることで繰延税金資産の全部または一部の回収可能性が無いと判断される場合には、繰延税金資産を減額することになります。その結果、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 匿名投資組合投資に関するリスク(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は匿名投資組合(航空機リース事業投資)へ投資をしております。
この投資商品にはリース期間中の収益と終了後の資産売却によってキャピタルゲインを得られる可能性がありますが、一方で「航空会社の倒産リスク」「リース会社の倒産リスク」等のリスクを併せ持っており、これらのリスクが顕在化する場合、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) 大株主等の関係についてのリスク(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
王子マテリア株式会社(王子ホールディングス株式会社の100%子会社)は、当連結会計年度末現在、当社議決権の17.36%を所有する大株主であり、その他の関係会社に該当しております。同社の状況については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりとなります。
当社は、同社および同社の親会社グループ(以下、「同社グループ」という。)との間で特段の人的関係を有しておりません。また、当社と同社グループは原材料の仕入および製品の販売に関する取引を行っており、当社において、その取引規模は高い水準となっておりますが、同社グループとの取引につきましては、いずれも他社との取引条件および市場価格を参考に決定しています。
なお、同社グループとは今後も取引先としての関係を維持していく方針でありますが、同社グループによる当社経営への関与は特になされておらず、当社は、同社グループにおいて今後も当社経営に積極的に関与する等の意向はないものと認識しております。
仮に、同社が当社株式を売却する場合には、売却する株式数や売却時の市場環境等により、当社株式の流動性や市場価格等に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化に伴う個人消費の持ち直しや、インバウンド需要の回復などから、景気は緩やかな回復基調で推移する一方、不安定な世界情勢や円安の長期化による原材料価格やエネルギー価格の高騰などの影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
印刷業界におきましては、デジタルシフトによる紙媒体の需要縮小や、競争の激化、価格の低迷という構図が長期化し、厳しい経営環境が続いておりますが、パッケージング分野においては、人流の拡大等が寄与し堅調な需要が続いております。また、広報活動や販売促進活動が回復傾向にあることから、イベント関連の需要も徐々に回復基調となっております。
このような環境下において当社グループでは、2026年中期経営計画として『「コミュニケーション」と「包む」技術で、お客さまと新しい感動を創り、未来へつなげる』を掲げ、最適な環境未来パッケージの開発やデジタルを活用した新たなコンテンツにより事業構造改革を進めるとともに、「発想から発送までのワンストップソリューション」を推進して、企業価値を高める取り組みを進めてまいりました。
商品分野別の業績を示すと、以下の通りであります。
(パッケージング分野)
パッケージング分野は、インバウンド需要の回復による食品関係の堅調な需要をとらえたことや、テーマパーク向けのフルフィルメントサービスの好調などにより、売上高は85億33百万円(前期比4.8%増)となりました。
(コミュニケーション分野)
コミュニケーション分野は、カタログや出版・生活用品関係の需要が伸び悩み、売上高は44億19百万円(前期比9.8%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は129億53百万円(前期比0.7%減)、営業利益は3億78百万円(前期比4.2%増)、経常利益は5億35百万円(前期比8.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は3億96百万円(前期比65.2%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産額は、154億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億2百万円増加しました。その内訳と増減要因については、次のとおりであります。
(資産)
流動資産は61億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億39百万円減少しました。これは主に、現金及び預金の減少1億67百万円、売掛金の減少2億80百万円、電子記録債権の増加3億79百万円によるものであります。
固定資産は92億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億42百万円増加しました。これは主に、保有株式の時価評価等による投資有価証券の増加8億68百万円、保険積立金の減少98百万円によるものであります。
(負債)
流動負債は44億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億82百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金の減少1億43百万円、短期借入金の減少80百万円、電子記録債務の減少69百万円、未払法人税等の減少1億42百万円によるものであります。
固定負債は15億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億76百万円減少しました。これは主に、長期借入金の減少2億97百万円、繰延税金負債の増加1億25百万円によるものであります。
(純資産)
純資産は94億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億61百万円増加しました。これは主に、自己株式の処分による資本剰余金の増加1億90百万円及び、自己株式の減少(純資産は増加)2億30百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加3億96百万円、その他有価証券評価差金の増加3億89百万円によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億67百万円減少し、17億42百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は2億29百万円(前連結会計年度は10億50百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5億32百万円、減価償却費2億91百万円、仕入債務の減少2億12百万円、法人税等の支払額3億30百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は3億71百万円(前連結会計年度は1億71百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2億66百万円、投資有価証券の取得による支出3億6百万円、保険積立金の払戻による収入2億6百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は86百万円(前連結会計年度は5億6百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3億円、自己株式の売却による収入4億17百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績を商品分野ごとに示すと、次のとおりであります。
(注)生産金額は販売価格により表示しております。
当連結会計年度における受注実績を商品分野ごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価格により表示しております。
当連結会計年度における販売実績を商品分野ごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格により表示しております。
2.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、エネルギーコストおよび物流コストの高騰の影響、ペーパーレス化への移行による印刷物の需要の減少等で、引続き厳しい経営環境となりました。
しかしながら、当社グループが属する印刷産業は、受注産業から需要を創造する産業に変化しており、お客様が抱える課題やニーズを発掘し、環境に配慮したサステナブルな紙素材などと人にやさしい製品設計・開発により、「未来にやさしく環境を循環させるパッケージ」として「ササエコ・パック」シリーズの開発と提供を進めました。
さらには、Webマガジンの制作、SNSを活用した販促企画提案、CGなどのデジタルコンテンツ制作など、印刷関連分野で長年培ってきた経験を生かした「デジタル加工技術」、「ネットワーク構築技術」を更に進化させながら、デジタルメディアの強化に取り組みました。
フルフィルメントサービスにつきましては、お客様の「労働力不足」、物流の「2024年問題」を背景に、その需要は着実に伸びております。
また、海外への展開につきましては、現在、現地日本法人を中心とした取引量の拡大、国内取引先の海外展開に対する情報収集に取り組んでおり、東南アジアに新たな活動拠点の展開を目指した活動をいたしました。
その結果、売上高は国内の需要が回復し、129億53百万円(前期比0.7%減)となりました。パッケージング分野は、インバウンド需要の回復による食品関係の堅調な需要をとらえたことや、テーマパーク向けのフルフィルメントサービスの好調などにより85億33百万円(前期比4.8%増)となりました。コミュニケーション分野は、カタログや出版・生活用品関係の需要が伸び悩み、44億19百万円(前期比9.8%減)となりました。営業利益は、エネルギーコストおよび物流コストは高騰したものの、製品価格への転嫁が順調に進んだことにより3億78百万円(前期比4.2%増)となりました。
営業外収益は、239百万円(前期は244百万円)となりました。これは投資有価証券売却益21百万円や、受取配当金88百万円等の計上によります。また、営業外費用は、82百万円(前期は22百万円)となりました。これは主に上場関連費用26百万円、中国子会社の為替差損32百万円等の計上によります。
この結果、経常利益は、前期に比べ50百万円減少し5億35百万円(前期比8.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ7億42百万円減少し3億96百万円(前期比65.2%減)となりました。
なお、当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、景気や消費動向、原材料や燃料価格の変動、価格競争による製品価格の動向などがあります。
これらに対して、当社の強みである「発想から発送までのワンストップソリューション」により、販売においては顧客の売り上げを最大化するための企画提案を継続し、新規分野・新規顧客先の開拓に積極的に取り組みます。モノづくりにおいては、生産効率の向上をテーマに、一層の自動化・機械化・省人化・省エネルギー化を推進してまいります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要③ 当期のキャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、原材料の購入費用のほか、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用などの運転資金及び生産設備の更新を中心とした設備投資であります。
運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入による調達、設備投資資金については、金融機関からの長期借入による調達を基本方針としております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、当社グループの株式会社サンライト及びデジタル制作本部、営業本部、各製造部門、生産技術Gにおいて、顧客のマーケットニーズに対応した製品開発、新素材の探求、製品加工技術の開発、生産性と品質向上に向けた製造設備の改良、原価低減につながる工程改善、構造設計力及び企画設計力を活かした環境配慮型商品の開発等に取り組みました。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は