文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社の経営の基本方針といたしましては、「世界中のモノやコトとの連携で人々の手間を無くし、それによって創出されるたくさんの出会いや時間などが、社会を豊かにしていくことを目指す」を経営理念に、広く有用な存在であり続け、社会と共存する企業であることとしております。
(2)目標とする経営指標
当社は、経営規模に関する指標として売上高、収益性に関する指標として売上高営業利益率を特に重視しております。売上高増大のためには営業力、製品力の強化が欠かせません。そのためにかかる人件費及び開発費用の投下バランスを考慮し、売上高営業利益率の急激な変化がないように見定めながら投資を行ってまいります。
売上高の成長と共にお客様に高付加価値の製品を提供し高い売上高営業利益率を確保することが、株主価値を向上できるものと考えております。
(3)経営戦略の現状と見通し
現在の世界経済は、新型コロナウイルス感染症が収束し、経済活動が活発化してきております。一方で、中東地域をめぐる情勢や長期化するウクライナ情勢、円安基調の経済情勢等を背景としたエネルギー価格の高騰、物価の上昇、各国の金利政策等により、景気の先行きは不透明な状況が継続しております。
当社の主力事業であるアプリケーションサービス事業と関連性が高い宿泊旅行業界においては、インバウンド需要の回復が見られ、国内の宿泊需要や旅行消費額が堅調に推移しております。インバウンド需要による訪日旅行者の増加により、足許の宿泊需要は堅調に推移しておりますが、宿泊施設における人手不足や新設コスト増加等の影響もあり、宿泊施設の新設計画は一定水準に留まっております。これらの様々な要因に関し今後の市場動向に注視していく必要があると考えております。
宿泊旅行業界において宿泊需要が堅調に推移している中、宿泊施設では人手不足の解消や業務効率化が喫緊の課題となっております。このような状況下において、予約サイトの一元管理ができ、様々な販売チャネルや管理システムと連携をしているサイトコントローラーは必要不可欠な存在となっております。今後も、宿泊施設における人手不足や業務効率化の課題を解決し、宿泊施設の売上高及び利益拡大を図るため、業務効率化・利便性向上に繋がるシステムや販売チャネルとの連携及び新機能の開発などの施策を行い選ばれる製品にすること、そして全社一体となってお客様をサポートしていくことで、TEMAIRAZUの更なる普及に努めていきます。
インターネットメディア事業では、比較サイト『比較.com』において、検索エンジンの最適化、ユーザーインターフェイスの改善、モバイルユーザビリティの向上等の対策を継続して行うと共に、コンテンツの充実やカテゴリの追加等により幅広く有意義な情報提供を行い、更に多くの人に利用されるサービスにしていくことで売上高の増加を図っていきます。
間接部門においても、経営管理、営業管理、教育体制の整備、リスク管理を行うための費用の増加を見込んでおります。
なお、翌事業年度においても引き続き、宿泊業界の堅調な需要に対応するための組織体制強化を目的とした人的資源への投資及びシステム投資を行なっていくことを見込んでおります。一層の営業体制の強化及び開発力・製品力の強化等を行い売上高の成長・利益確保に努めます。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社が対処すべき課題として認識している点は以下のとおりであります。
① サービスレベルの向上
当社の競争力を強化し、より多くの宿泊施設やインターネットユーザーを獲得するためには、サービスの品質を総合的に高め、充実させることが必要不可欠であると考えております。今後は新規サービスの開発や機能追加も進め、より多くの宿泊施設及びインターネットユーザーのニーズに応えられるサービス作りを目指してまいります。
② 営業力の強化
当社は小規模組織であることから営業部門も少数精鋭の体制で運営しております。営業部門は、蓄積されたノウハウを活かした提案により営業活動を推進しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により落ち込んでいた宿泊需要に回復の兆しが見えてきたことを背景に、受注の獲得機会が増加することが予想され、営業力の強化、営業人員の早期育成が必要であると考えております。
具体的には、教育研修制度の充実、営業ツールやマニュアル等の整備、営業活動に集中できるようにサポート部門の充実、また、既存営業人員の育成と同時に、即戦力となる営業人員の採用を行い、営業力の強化を図ってまいります。
③ 優秀な人材の確保及び育成
当社が展開しているビジネスは、従業員一人一人がユーザーの視点でニーズを感じ取り、企画し、ビジネスへと昇華することのできる知識と経験、ビジネスセンスが求められております。すなわち、個人の感性や経験等が事業展開の確実性、スピード、サービス内容の質に影響を及ぼすため、優秀な人材を確保することが経営の重要な課題と認識しております。そこで、優秀な人材にとって魅力ある企業となるため、労働基準法等の関連法令に従った労務管理の実施はもとより、公正な評価基準及び成果に連動した給与体系の構築や教育研修の充実に力を入れてまいります。採用においては、ビジネス経験を重視した中途採用に重点を置きつつも、将来的に会社を担う人物を発掘するために新卒採用も積極的に実施し、人員体制の拡充を図ってまいります。
④ 組織体制の整備
当社は、高成長を維持し、継続的に企業価値を拡大していくために、事業の規模に見合った経営管理体制の充実が不可欠であると認識しております。そのため適時必要な組織改編を行い、優秀な人材の確保とバランスの取れた組織体制の整備に配慮してまいります。
⑤ 内部統制の強化及びコーポレート・ガバナンスの充実
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、企業価値を継続的に高めていくために不可欠な経営統治機能と位置づけており、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び充実に努めております。その一環として、当社は2021年9月17日、監査等委員会設置会社へ移行し、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員である取締役を取締役会の構成員とすることで、取締役に対する監視・チェック機能を強化し、コンプライアンス及びリスク管理の徹底を図ることで、コーポレート・ガバナンスの更なる充実に取り組んでおります。
また、当社はいかなる場合においても反社会的勢力及びその関係者とは取引や交際をせず、金銭その他の経済的利益を提供しないこと、また、反社会的勢力に対しては組織的に対応することとしております。
社内体制としましては、反社会的勢力による不当要求が発生した場合の対応を統括する部署が、反社会的勢力に関する情報を一元管理し、反社会的勢力との関係を遮断するための組織的取り組みを行うと共に、警察庁・都道府県警察本部等との連携等を行うこととしております。反社会的勢力からの不当な要求に対しては、対応を統括する部署が上記機関に相談し対応することとしております。
⑥ ITシステムのリスクと対策
当社のビジネスはITシステムを基盤として収益を生み出しており、当社のビジネスの根幹をなしているとも言えます。それゆえに外部からのサイバー攻撃、個人情報等の情報漏洩や人的・物的要因によるシステム障害のリスクが高いと認識しております。そのため、アプリケーションサービスの顧客である宿泊施設やインターネットユーザーに安心安全に利用してもらうためには従業員一人一人への高い情報リテラシーの植え付けやシステムの開発・保守・運用を担っている開発部員の技術力の向上、セキュリティ対策などによるリスク対策の強化が重要であると考えています。引き続き人的要因によるセキュリティリスクを防ぐ対策を取っていくと共に、完璧なシステムはないということを念頭に置いて災害によるシステム障害や外部からのサイバー攻撃等の突発的な事象にも対応できる更なる対策を行ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び方針は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティ基本方針
当社の経営理念である「世界中のモノやコトとの連携で人々の手間を無くし、それによって創出されるたくさんの出会いや時間などが社会を豊かにしていくことを目指す」に基づき、ITを通じて持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を追求していきます。
1.企業倫理とコーポレートガバナンスの遵守
(ア)全ての企業活動において法令・社会規範を遵守すると共に、高い企業倫理を堅持し事業活動を推進します。
(イ)正確で明瞭な情報開示に努め実効性・透明性・信頼性の高い企業統治を実現すると共に、ステークホルダーとの誠実な対話と協働を通じて、全てのステークホルダーとの信頼関係を築きます。
2.人権の尊重
(ア)人権尊重を事業継続の基盤の一つと捉え、事業活動のあらゆる場面において基本的人権の尊重を徹底します。
(イ)多様な価値観を尊重し、従業員が創造性を発揮できる組織づくりと、健康的で働きがいのある職場環境づくりに努めます。
3.社会への貢献
(ア)お客様に満足していただける高品質な製品・サービスを安定的に提供し、新しい社会価値を創造し続けることで持続可能な社会の実現に貢献します。
(イ)自社が持つIT技術を駆使して、積極的に社会貢献に取り組みます。
4.環境に関する取り組み
(ア)企業活動が自然環境に与える影響の重要性を認識し、自らの企業活動における省資源・省エネルギー化を推進すると共に、事業や製品、サービス提供を通して、お客様の業務の効率化や省エネルギー化を支援し、より良い地球環境の実現に貢献します。
(2)ガバナンス
当社は、中長期的な企業価値向上のため、取締役会において定めたサステナビリティ基本方針に基づき事業を推進しております。サステナビリティに関する基本方針や具体的な取り組み、実効性が確保されているかを取締役会で検証し、改善を図っていく経営体制を整えております。
なお、当社のコーポレート・ガバナンスに関する詳細は、「
(3)戦略
インターネット市場に属する当社のビジネスにおいて、サステナビリティに関する取り組みのうち、優秀な人材の確保・定着が経営・事業基盤を安定化させるために重要であると認識しております。この認識のもと、当社では、年齢・性別・国籍等に関係なく、事業展開の確実性・スピード・サービス内容の質に影響を及ぼす固定概念に捉われない新しい捉え方や考え方、知識や経験等を持つ人材の確保及びこのような人材が長期的に活躍し、新たな人材を育成する循環を実現できる環境構築を目指しております。
上記方針のもと、人材の育成においては、新卒・中途採用共にOJT制度をとっており、一般的な事項に加え当社特有の事項に関する基礎力の構築を図っております。また、年齢・性別・国籍等に関係なく、自発的に挑戦する人材に対し、多くの機会を提供できる環境を整備しております。また、社内環境の整備においては、リモートワークを併用したハイブリッドな働き方、近隣居住の従業員及び外国籍従業員に対する住宅手当、長期勤続手当、年齢・性別・国籍等に関係なく管理職へ登用する柔軟な人事制度を運用しております。
なお、人材の育成及び社内環境の整備について、当社の組織規模に合わせて検討し見直しを図っていく方針です。
(4)リスク管理
当社は、リスク管理規程等に基づき、経営企画室を主幹とし、取締役会を通じてリスクの識別・評価・管理を行う体制を整えており、リスクの未然防止に努めております。また、状況に応じて外部専門家(弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士など)からアドバイスを受けられる体制を整えると共に、内部監査及び監査等委員による監査を通じて、潜在的なリスクを早期発見することに努めております。
当社を取り巻くステークホルダーの皆様と信頼関係を構築できるよう、適切な経営判断を迅速に行い、高い経営の透明性・経営監視機能を発揮するコーポレート・ガバナンス体制を整えております。当社のコーポレート・ガバナンスに関する詳細は、「
(5)指標及び目標
当社では、上記「(3)戦略」において記載した方針に関する指標として、次の指標を用いております。年齢・性別・国籍等に関係なく、若い人材や知識・経験のある人材でバランスの取れた組織を目指しております。
当該指標に関する当事業年度の実績及び目標は、次のとおりであります。
項目 |
実績 |
目標 |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要であると考えられる事項については積極的に開示しております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)事業に関するリスク
① インターネット市場について
当社は、アプリケーションサービス事業とインターネットメディア事業を展開しており、インターネットの安定的利用が成長のための基本的な前提条件と考えております。インターネット普及率は世代格差や年収格差はあるものの安定的成長を続けており、このような傾向は今後も続くものと考えられます。
しかしながら、自然災害などの天変地異によるインターネット環境が使えない状態、革新的なサービスが登場しインターネットの上位互換のようなものが誕生した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 宿泊予約サイトコントローラーの市場について
年々、宿泊予約サイトを利用した宿泊が増加しており、オンライン旅行市場規模も順調に拡大しております。また、近年はインバウンド需要の拡大により旅行業界全体が盛況な状態にあります。このような状況により、宿泊予約サイトコントローラー市場も成長しております。
しかしながら、予約システムに関する技術革新が行われた場合には、宿泊予約サイトコントローラー市場が影響を受ける可能性もあります。
また、自然災害などの天変地異、ウイルス性の疾患の流行、国際紛争等の不測の事態による国内旅行者、訪日外国人の減少により、宿泊施設と宿泊予約サイトの収益を悪化させ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ インターネット広告市場について
日本の広告市場において、インターネット広告はテレビに次ぐ広告媒体へと成長しており、インターネット市場の拡大に比例して、今後も成長すると考えられます。
しかしながら、インターネット広告市場に限らず広告市場は景気変動の影響を受けやすく、景気の悪化に伴い広告出稿が減少した場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 競合について
当社は宿泊予約サイトコントローラー『TEMAIRAZU』シリーズを運営しておりますが、当該市場にも競合他社が複数存在しております。競合他社の利用施設数が何らかの要因で急激に増加した場合や、海外のサイトコントローラーの日本への進出や異業種からの参入がある場合には、当社の利用施設数に影響を及ぼすことが予想されます。
また、当社は比較サイト『比較.com』を運営しておりますが、「比較サイト」という範疇においては同様のウェブサイトが多数存在しております。当社としましては、今後もサービスの向上、ブランド力の強化に努めてまいりますが、当該事業は参入障壁が低い比較サービスもあり、今後も新規参入者が増加していくことが予想されます。
このような状況下において、競合他社との競争激化による収益力の低下や、広告宣伝費の増加等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 新規事業立上げに伴うリスクについて
当社は宿泊予約サイトコントローラー『TEMAIRAZU』シリーズ並びに比較サイト『比較.com』を中心としてサービスを展開しておりますが、更なる事業の拡大を目指し、新規サービスを視野に入れ事業展開を行っております。
しかしながら、新規事業においては、安定して収益を生み出すまである程度の時間がかかることも予想され、その結果当社の利益率の低下を招く可能性があります。また、新規事業の採算性には不透明な点が多く、予想した収益が得られない可能性があります。このような場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 広告宣伝活動について
インターネットメディア事業では、当社が運営する比較サイト『比較.com』の利用者獲得のため、広告宣伝活動を行っております。そのため、広告宣伝活動の費用対効果が悪化し、十分な広告宣伝活動が行えなくなることで利用者数が減少した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑦ 法的規制について
当社はインターネットを通じて、インターネットユーザーに各種サービスを提供しておりますが、インターネットに関しては法的整備の不備が各方面から指摘されており、当社事業を規制する法令等が今後新たに制定される可能性があります。このような場合、当社の事業展開に制約を受け、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
宿泊業界においては、「旅館業法」等関連事業法令の規制があります。これらの法令等の改正や新たな法令等の制定により規制強化が行われた場合、当社の事業展開に制約を受け、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、「住宅宿泊事業」もあり、同法については規制が強く事業展開については慎重に見極めながら行ってまいります。
⑧ 設備及びネットワークシステムの安定性について
当社の事業は通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故により通信ネットワークが切断された場合には、サービスを提供することが不可能な場合があります。また、アクセスの急激な増加等、一時的な負荷増大によって当社のサーバーが作動不能に陥りサービス提供に支障が出る場合がある他、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入等の犯罪や当社担当者の過誤等によって、当社のシステムに重大な影響が出る場合があります。当社では、当該リスクの対応策として、サーバー/ネットワークの冗長化を進めると共に、定期的な脆弱性診断の実施、不正アクセスに対する常時監視体制やデータの常時バックアップ、設備面での電源の二重化などシステム障害を未然に防ぐための取り組みを行っておりますが、前述のような状況が発生した場合には、サービス提供が困難になる可能性があり、その結果、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、当社では、サービスの安定稼働及び事業成長のために、システムインフラ等への継続的な設備投資や維持・管理費用が必要となります。当社の想定を上回る急激なユーザー又はトラフィックの拡大や、セキュリティその他の要因によるシステム対応強化が必要となった場合、想定外の追加投資や費用の増加等が必要となる可能性があり、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 収益計上の前提となる基礎データの信頼性について
当社の主力事業であるアプリケーション事業における売上高は、自社システムである手間いらずシステムによって管理しています。手間いらずシステムでは、情報の登録を一部手作業によって行っており、そのデータを用いて売上データの生成をしています。そのため、手間いらずシステムに人為的なミスなどによって誤った情報が登録された場合、データの正確性と手間いらずシステム自体の信頼性が担保されず、収益計上が適切に行われないリスクが存在します。そのようなリスクを回避するために重要情報についてはダブルチェックの徹底を行っております。
⑩ 個人情報保護について
当社は、当社ウェブサイト上の各サービスの中で、ユーザーの個人情報を取得し、また保有しております。その個人情報の管理は、当社にとって極めて重要な責務と認識しており、SSL(注)等の暗号化された通信を利用するなど、ネットワークセキュリティの向上に努めております。
一方、「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)は、個人情報を利用して事業活動を行う法人及び団体等に対して、個人情報の適正な取得、利用及び管理等を義務付け、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権益保護をはかることを目的とした法律であり、当社においても個人情報取扱事業者としての義務が課されているため、当該法律の規定を踏まえた個人情報の取り扱いに関して、個人情報保護の方針(以下「プライバシーポリシー」という。)を定め、運用しております。
また、プライバシーポリシーの運用を徹底すると共に社内の情報アクセス権を管理し、かつ個人情報の取り扱いに関する社内教育を行うなど、管理運用面についても、慎重を期しております。しかしながら、個人情報が外部に流出したり悪用されたりする可能性が皆無とは言えず、かかる事態が発生した場合には、当社の風評の低下によるサービス利用者の減少、当該個人からの損害賠償請求等が発生し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(注) SSL…インターネット上で情報を暗号化して送受信するプロトコル(通信規約)
⑪ 知的財産権について
当社は、『比較.com』、『TEMAIRAZU』、『手間いらず.NET』等の商標権を取得又は出願し事業を運営しておりますが、一方、ビジネスモデルや技術に関する特許権は、現時点において取得しておりません。
現時点において、当社は第三者の知的財産権は侵害していないものと認識しておりますが、万一、知的財産権の侵害を理由として、第三者より損害賠償請求及び使用差止請求等を受けた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑫ 提供情報の誤謬及び著作権侵害による影響について
当社は、インターネットユーザーに各種商品・サービスの情報を提供しておりますが、その提供情報については広告主より掲載情報の提供を受け、コンテンツの制作及び情報提供を行っております。
しかしながら、一部当社自身で掲載情報を収集し、コンテンツの制作及び情報提供を行っているサービスが存在いたします。その提供情報の収集、コンテンツの制作及び情報提供を行うに際しては、誤謬及び第三者に対する著作権の侵害をしないよう努めておりますが、技術的な問題や人為的なミス、内容や制作過程から一部の欠落や誤謬が発生する場合、並びにその内容において第三者に対する著作権の侵害が認められた場合は、損害賠償請求や信用低下、ブランド力の低下等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑬ 投資について
当社は、今後の事業拡大のために、「世界中のモノやコトとの連携で人々の手間を無くし、それによって創出されるたくさんの出会いや時間などが社会を豊かにしていくことを目指す」という経営理念の範疇で、また、既存事業とのシナジーが見込める領域において、更なる投資を行う可能性があります。
そのような投資が当初見込んだ成果どおりに進まない場合には、投資を回収できず、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2)組織体制について
小規模組織について
当社は2024年6月30日現在、取締役6名(内、監査等委員である取締役3名)、従業員41名と小規模組織であり、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社では、今後の事業拡大に対応すべく人員増強等により更なる組織力の充実を図ってまいりますが、人材の確保及び内部管理体制の充実が円滑に進展しない場合、既存の人材が社外に流出した場合は、当社の事業運営に重要な影響を与える可能性があります。
また、当社では小規模組織であるものの、従業員に欠員や就業が困難な事態が生じた場合においても代替が機能するよう、社内教育や業務のマニュアル化を行っておりますが、一時的に大量の従業員の欠員や就業が困難な事態が生じた場合、当社の事業運営に重要な影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が収束し、経済活動が回復基調にあります。その一方で、中東地域をめぐる情勢や長期化するウクライナ情勢、円安基調の経済情勢等を背景としたエネルギー価格の高騰、物価の上昇、各国の金利政策等により、景気の先行きは不透明な状況が継続しております。
アプリケーションサービス事業と関連性が高い宿泊旅行業界においては、インバウンド需要の回復が見られ、国内の宿泊需要や旅行消費額が堅調に推移しております。
観光庁の調査によると、2023年7月から2024年5月までの日本国内の延べ宿泊者数は前年同期比約15%増、うち外国人延べ宿泊者数は約140%増となり、宿泊需要が堅調に推移しております。なお、2023年7月から2024年5月における延べ宿泊者数に占める外国人延べ宿泊者数の割合は約22%となり、前年同期間の約11%から約11%増加しております。また、日本政府観光局の発表によると、2023年7月から2024年5月の訪日外客の総数は約2,900万人で、前年同期比約142%増と前年を大きく上回る数字となりました。なお、2024年5月以前の12ヶ月間における訪日外客の総数は、2019年と比較し約97%まで回復しております。
このような事業環境の中、『TEMAIRAZU』シリーズでは、宿泊施設の業務効率化や利便性向上を目的としたシステム連携や、宿泊施設の販路拡大を目的とした国内外の宿泊予約サイト等との連携、そして『TEMAIRAZU』シリーズの機能拡充など、サービス価値向上に努めてまいりました。
その結果、当事業年度の売上高は2,023,990千円(前期比11.9%増)となりました。また、営業利益は1,476,791千円(前期比10.9%増)、経常利益は1,479,139千円(前期比10.9%増)、当期純利益は976,459千円(前期比11.7%増)となりました。
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前事業年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) (千円) |
当事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) (千円) |
前期比 |
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金額 (千円) |
増減率 (%) |
|||
売上高 |
1,809,499 |
2,023,990 |
214,490 |
11.9 |
営業利益 |
1,331,929 |
1,476,791 |
144,861 |
10.9 |
経常利益 |
1,333,546 |
1,479,139 |
145,592 |
10.9 |
当期純利益 |
873,814 |
976,459 |
102,644 |
11.7 |
各セグメントの状況は以下のとおりです。
(アプリケーションサービス事業)
当事業年度においては、宿泊業界における人手不足の課題に対し業務効率化・利便性向上を図ることを目的に、チェックイン業務を中心に宿泊施設の人手不足をサポートし、現場の効率的なオペレーションを可能にするサービスとして株式会社パレスリンクが提供する『TOMARO+』、ホスピタリティ業界向けクラウド・ホテル基幹システムとしてShiji Japan株式会社が提供する『Shiji Enterprise Platform』、予約管理、在庫管理、宿泊運営管理、顧客管理、マーケティング、会計帳票、経営分析など、宿泊業運営に必要な機能を一元化したAll in One型ツールとして株式会社AZOOが提供する『WASIMIL』とのシステム連携を行いました。
宿泊施設の販路拡大を図ることを目的に、15万軒以上の世界中のホテルを最安価格でリアルタイムに予約可能なオンラインサービスとしてホテルスキップ株式会社が提供する『ホテリア』、旅行者好みのプランを自由に作り上げることができる旅行予約サイトとして小田急電鉄株式会社が提供する『小田急旅の予約サイト』、全国140軒以上の宿泊施設からその日の都合や、その時々の気分に合わせて好きな場所を選び、定額で宿泊可能なサブスクリプションサービスとして東急株式会社が提供する『TsugiTsugi』、別府市と共同で行っている別府温泉の旅館・ホテルを集約した別府市公式宿泊予約サイトとして一般社団法人別府市産業連携・協働プラットフォームB-biz LINKが提供する『ゆのくにゆのたび別府温泉』、グランピング施設、貸別荘や古民家一棟貸しなどのバケーションレンタル、農業体験を楽しめる農泊施設、お寺の宿坊に滞在できる寺泊施設等ユニークな宿泊施設に特化したサイトとして株式会社エイチ・アイ・エスが提供する『WOW+』、観光施設入場券などの特典や、旅行プランに合わせた丁寧な予約サポート、沖縄ツーリスト直営のレンタカー付きツアーなどのツアーサイトとして沖縄ツーリスト株式会社が提供する沖縄専門ツアーサイト『らんらんツアー』、ブロックチェーンを活用し、ホテルや別荘など人生を豊かにするサードプレイスを共同所有することができるデジタル会員権を探し、買うことができるプラットフォームとして株式会社Pictors & Companyが提供する『Neut』、訪日台湾客向けに日本旅行の情報収集や計画づくり、日本の宿泊施設やレストランの予約をサイト内で行える特徴を持つサービスとしてBEENOS Travel株式会社が提供する『旅行酒吧(トラベルバー)』、デザイン性の高いサイト構成や宿泊施設を多角的に紹介する豊富なコンテンツを強みとして、現在韓国国内では会員数約30万人、インスタグラムのフォロワー数約26万人と成長を続けている予約サイトとして合同会社STAYFOLIOが提供する『STAYFOLIO』、中国の旅行者に自由で快適な旅を提供することに注力し航空券や鉄道チケット、宿泊施設、レストラン、レンタカー、パッケージツアー、地域のアトラクションなど旅行に関する包括的な旅行サービスプラットフォームとしてアリババグループ傘下のフリギー・トラベル・ジャパン株式会社が提供する『Fliggy』、中国だけでなく東アジア、東南アジアからの取り扱いも増え500社を超える旅行会社へ訪日旅行商品を提供するB2B業務プラットフォームとして株式会社ジャパンホリデートラベルが提供する『EASY STAY』とのシステム連携を行いました。また、旅行会社等とのシステム連携拡大を図ることを目的に、旅行・観光業界向けSaaS型商品販売プラットフォームとしてフォルシア株式会社が提供する『webコネクト』とのシステム連携を開始しました。
宿泊施設の自社予約比率向上の一助になることを目的に、旅行会社12社及び宿泊施設公式サイト掲載の宿泊プランを集約・一括検索可能なサービスとして株式会社カカクコムが提供する『価格.com 旅行・トラベル』、宿泊施設が自社の公式サイトで予約を受け付けるために使用する予約エンジンとして株式会社ピアトゥーが提供する『STAYNAVI BOOKING』とのシステム連携を行いました。
『TEMAIRAZU』シリーズにおいては、宿泊業界における人手不足の課題解決として、レベニューマネジメント等に関わる業務の自動化を実現し、業務効率化とコスト削減によって宿泊施設の利益を最大化する『手間いらず 自動』をリリースしました。具体的には、①料金調整の自動化②連泊制限の自動化③最安値確認の自動化④報告業務の自動化を実現しています。また、TEMAIRAZUのオプション機能としてキャンセル待ちを自動処理する『キャンセル待ち』機能をリリースしました。キャンセル待ち機能は宿泊施設の業務効率化を図ると共に、機会損失を軽減し利益を創出することが期待できます。なお、機能改善及びシステム強化については、継続的に実施しております。
これらのシステム連携、機能拡充やインフラ強化等を行うことでサービス価値の向上に努め、宿泊施設の売上高及び利益の拡大に必要不可欠なサービスとなるべく取り組みました。営業活動においては、2024年2月13日から16日にかけて東京ビッグサイトにて開催された大規模イベント『国際ホテルレストランショーHCJ2024』へ出展しました。その他、『TEMAIRAZU』シリーズのパートナー企業との共同ウェビナーの開催など、引き続きオンラインも活用しながら、シェア拡大に向け営業・プロモーション活動を積極的に行いました。
当事業年度においては、訪日旅行者の増加等により宿泊予約数が増加し、月額変動収入が増加いたしました。また、月額固定収入も増加し、これらが当社の売上高・利益に反映されました。
その結果、アプリケーションサービス事業の売上高は2,003,466千円(前期比13.1%増)、セグメント利益は1,611,640千円(前期比10.9%増)となりました。
(インターネットメディア事業)
比較サイト『比較.com』においては、検索エンジンの最適化、ユーザーインターフェイスの改善、モバイルユーザビリティの向上等の対策を継続的に行いましたが、検索エンジンのアルゴリズムの影響を受け、サイトのトラフィックが減少しました。この結果、インターネットメディア事業の売上高は20,523千円(前期比46.5%減)となり、セグメント利益は10,278千円(前期比63.0%減)となりました。
② 資産、負債及び純資産の状況
当事業年度における資産合計は、前事業年度末に比べ795,995千円増加し、6,977,504千円となりました。
流動資産は782,532千円増加し、6,899,420千円となりました。主な要因は現金及び預金の増加739,190千円であります。固定資産は13,463千円増加し、78,084千円となりました。主な要因は繰延税金資産の増加6,213千円等であります。
当事業年度における負債合計は、前事業年度末に比べ22,724千円増加し、419,833千円となりました。
流動負債は22,724千円増加し、419,833千円となりました。主な要因は利益増加による未払法人税等の増加13,218千円等であります。なお、当社に固定負債はありません。
当事業年度における純資産合計は、前事業年度末に比べ773,270千円増加し、6,557,671千円となりました。主な要因は当期純利益976,459千円の計上による増加と配当金の支払い204,108千円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ739,190千円増加し、6,565,274千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は949,471千円(前事業年度は964,778千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益1,479,139千円による増加と法人税等の支払い497,086千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は6,235千円(前事業年度は4,473千円の使用)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出6,235千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は204,046千円(前事業年度は181,557千円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払い203,764千円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
該当事項はありません。
ロ.受注実績
該当事項はありません。
ハ.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
アプリケーションサービス事業 |
2,003,466 |
13.1 |
インターネットメディア事業 |
20,523 |
△46.5 |
合計 |
2,023,990 |
11.9 |
(注) セグメント間の取引はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たって、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目はありません。
② 経営成績の分析
当社の当事業年度の売上高は前年同期比214,490千円増(同11.9%増)の2,023,990千円、営業利益は144,861千円増(同10.9%増)の1,476,791千円となりました。それらの要因について市場背景を含めてご説明いたします。
(売上高)
当社の主力事業であるアプリケーションサービス事業での売上高は2,003,466千円(前期比13.1%増)となり、当社の売上高の増加に寄与しております。
当事業年度において、アプリケーションサービス事業は、インバウンド需要の回復により訪日旅行者が増加し、宿泊需要が堅調に推移した影響により、宿泊予約数が増え月額変動収入が増加いたしました。また、低い水準の解約率を維持し、新規契約を増やしたことにより月額固定収入も増加し、これらが当社の売上高・利益に反映されました。
(営業損益)
当社では、営業力、商品開発力及び経営管理などに対応する体制強化を行う一方で、業務改善等による生産性の向上に努めております。当事業年度においてはシステム投資及び人材への投資により開発費用、販売管理費などが増加したことにより、売上高の成長率対比で費用が若干増加し、営業利益率は73.0%(前年同期比0.6ポイント減)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、システムの開発・運用に関わる原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としております。現在金融機関からの借入はなく無借金経営であります。
なお、当事業年度における現金及び現金同等物の残高は6,565,274千円となっております。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営規模に関する指標として売上高、収益性に関する指標として売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。
売上高については、当事業年度における売上高は2,023,990千円(前期比11.9%増)でした。当社ではまず売上高のトップラインを伸ばしていくことに注力し、契約数の増加や1施設当たりの売上高の向上に取り組んでまいります。
営業利益率については、当社がお客様に高付加価値に製品を提供できているかの指標となると考えております。急激な変化がないように投資のバランスを考慮しつつも、製品力強化のために必要なコストをかけていくことは怠りません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。