第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

継続企業の前提に関する重要事象等

当社は2020年2月期以降、営業損失、経常損失及び当期純損失を計上しています。また、営業キャッシュ・フローは2021年2月期以降マイナスが続いています。これらを受け、当社は2021年2月期末以降、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在していると認識しています。しかしながら、以下の要因や当該事象を解消又は改善する施策の実施によって、引き続き、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。

① 増収と支出見直しによる業績改善

当第3四半期累計期間において、コンサルティング事業及びDX・地方共創事業が前年同四半期に比べて増収となり売上総利益が改善しています。また、研究開発活動の最適化及び販管費全般の支出見直し等の費用削減に取り組んでいます。これらの結果、当第3四半期累計期間は売上高2,156百万円、営業利益15百万円、経常利益13百万円、四半期純損失百万円となり前年同四半期に比べて収益状況が大きく改善しています。当事業年度の通期業績においても売上高2,920百万円、営業利益66百万円、経常利益64百万円、当期純利益30百万円と黒字転換する見通しです。

 

② 高い手元流動性

当第3四半期会計期間末現在の貸借対照表上の現金及び預金は1,218百万円となっており、今後1年間に通常に想定し得る経常支出、投資及び借入金の返済に要する資金は十分に確保しています。また、経営環境が急変した場合に、事業継続に必要となる緊急的な支出にも十分に対応できる手元流動性を確保していると考えています。これらに加えて、営業活動によるキャッシュ・フローも前年同四半期に比べて大幅に改善しています。

 

③ 持続的に高需要が見込まれるコンサルティングサービス

当社は金融分野に特化して基幹システムの構築・更改・統合のプロジェクトマネジメント支援やIT部門の支援業務で実績を積み重ね、金融の業務と情報システムを結びつける高度なノウハウを蓄積しています。デジタルバンクや投資運用会社等の新設が活況の中、これらの金融機関から当社の経験やノウハウへの引き合いが増えています。また、地域銀行においては、中長期的なコスト削減の方策として基幹システムのオープン化やクラウド化を目指す動きが特に活発になっており、この領域においても当社のコンサルティングサービスに強いニーズがあると考えています。当社はこれらのニーズにいち早く、一つでも多くお応えするために、従業員の育成に加えて経験者の採用を最優先に取り組んでいます。

 

④ イノベーション事業の損益の改善

当社は無人古着屋「SELFURUGI」を展開する合同会社AVENDと業務提携し、SELFURUGI全店にコンパクトPOSセルフレジ「EZレジ」(イージーレジ)を導入することで合意しました。これを受けて、2023年3月以降、SELFURUGI各店への販売が進んでおり、今後、店舗数の増加に合わせて販売台数も増加すると考えています。また、これまでの研究開発活動を通じて身に着けた様々な技術を応用して、業務改善や省人化をテーマにしたソリューションの受託開発を強化していく方針です。研究開発活動については、主要な技術開発は完了しており、当面は製品の改良や追加機能の開発が中心になる見込みです。従って、今後、売上高の増加とともにイノベーション事業の損失は改善していくと考えています。

 

⑤ 従業員のエンゲージメント向上

当社の競争力は従業員の能力や経験に依る部分が大きく、一人ひとりがそれぞれの能力を最大限発揮しながら働き続けることが、当社の利益を最大化するとともに中長期的な成長の基盤になると考えています。この考えの下、2024年2月期は、全ての従業員が長期的に当社の下で理念や使命に沿った行動をより高いレベルで実践できることを目的にした取り組みを経営上の最重要施策と位置づけています。金銭的な待遇改善のほか、従業員のライフイベントや生活の実情に寄り添った福利厚生制度への見直し及びキャリア形成支援等エンゲージメント向上に資する諸施策を強力に推進しています。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の分析

当第3四半期累計期間における当社を取り巻く経営環境は、当社がコンサルティングサービスを提供する金融業界では、金利政策の変化を受けて収益改善の期待が高まっています。また、脱炭素に関連した事業への融資拡大、人的資本への投資強化や生成AIを活用した生産性向上の試み等、中長期的な視野に立った取り組みが活発に行われています。イノベーション事業が製品・サービスを提供する小売業界では、人手不足の深刻化と賃金・物価の上昇に対応するために生産性向上が重要な経営課題になっています。DX・地方共創事業の顧客層である中小企業や個人事業者の多くでは、デジタル技術の活用による業務効率向上の重要性は認識されているものの、情報や経営リソースの不足等から十分な取り組みに至っていない状況にあります。

このような環境の中、コンサルティング事業では、既存得意先を中心に受注が堅調に増加しました。イノベーション事業では、当社と合同会社AVENDが、同社が展開する無人古着屋「SELFURUGI」全店でコンパクトPOSセルフレジ「EZレジ」(イージーレジ)を活用することに合意したことを受けて、EZレジの販売数が増加しました。また、書店向けセルフレジ「ワンダーレジ-BOOK」が株式会社明文堂プランナーの旗艦店「TSUTAYAレイクタウン」(埼玉県越谷市)及び「金沢ビーンズ」(石川県金沢市)に正式採用されました。加えて、昨年から続く店舗ソリューションの開発を完了し納品しました。DX・地方共創事業では、社会課題の把握と顧客ニーズの収集を行うとともに、地域金融機関と協働して企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進をサポートするビジネススキームの構築を進め、当第3四半期会計期間から収益化に向けた活動を開始しました。

関連会社の株式会社TOUCH TO GO(以下「TTG」という。)では、無人決済システム「TTG-SENSE」と「TTG-SENSE MICRO」の拡販に取り組んでおり、ファミリーマートブランドの小型店舗での採用が増えた他、化粧品販売の無人店舗やスーパーマーケットの新業態店舗等にも活用されました。

以上の結果、当第3四半期累計期間における経営成績は、売上高は2,156百万円(前年同四半期比12.2%増)となりました。利益面では、コンサルティング事業の増収効果、イノベーション事業の受託開発業務の進行及び販管費の抑制等により営業利益15百万円(前年同四半期は営業損失79百万円)、経常利益13百万円(前年同四半期は経常損失87百万円)、コスト削減を目的にした事務所移転に伴う一時的な費用や減損損失の計上により四半期純損失百万円(前年同四半期は四半期純損失99百万円)となりました。

 

セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。

(コンサルティング事業)

前期下半期以降、IT部門のプロジェクト推進支援に対する需要が高く、従業員の増加に合わせて受注も堅調に推移したこと等によって売上高が増加しました。また、従業員の待遇改善に伴う人件費の上昇や主要顧客の一部のプロジェクトにおいて外注が増加する等のコスト増加要因があった一方で、販売費及び一般管理費が減少しました。これらの結果、売上高は2,065百万円(前年同四半期比13.2%増)、セグメント利益は331百万円(前年同四半期比20.9%増)となりました。

 

(イノベーション事業)

株式会社明文堂プランナーへのワンダーレジ-BOOKの販売やSELFURUGIへのEZレジの販売がありました。この他、店舗ソリューションの開発を完了したことに伴う報酬とTTGから無人決済システムに係るロイヤリティの受取りがありました。これらの結果、売上高は70百万円(前年同四半期比19.8%減)、セグメント損失は119百万円(前年同四半期はセグメント損失121百万円)となりました。

 

(DX・地方共創事業)

地域金融機関と協働で、当社のITスキルやプロジェクト推進のノウハウを活用して顧客のDX実現と持続的な成長をサポートする伴走型の支援スキームを構築し、当第3四半期会計期間から営業活動を開始しました。また、コンサルティング事業の得意先に対してIT部門の業務支援を行いました。これらの結果、売上高は20百万円(前年同四半期比128.1%増)、セグメント損失は百万円(前年同四半期はセグメント損失49百万円)となりました。

 

 

② 財政状態の分析
(資産)

資産合計は2,388百万円となり、前事業年度末と比べて百万円減少しました。

流動資産は1,782百万円となり、前事業年度末と比べて11百万円減少しました。これは主に売掛金及び契約資産が97百万円増加した一方で、運転資金の支出や借入金の返済等により現金及び預金が107百万円減少したこと等によるものであります。

固定資産は605百万円となり、前事業年度末と比べて百万円増加しました。これは主に事務所を移転したことに伴い、移転先の事務所に係る保証金を計上したことによるものであります。

(負債)

負債合計は978百万円となり、前事業年度末と比べて百万円減少しました。

流動負債は645百万円となり、前事業年度末と比べて68百万円増加しました。これは主に1年内返済予定の社債が10百万円及び1年内返済予定の長期借入金が11百万円減少した一方で、買掛金が18百万円及び賞与引当金が73百万円増加したこと等によるものであります。

固定負債は333百万円となり、前事業年度末と比べて68百万円減少しました。これは主に退職給付引当金が20百万円増加した一方で、社債が40百万円及び長期借入金が44百万円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

純資産合計は1,410百万円となり、前事業年度末と比べて百万円減少しました。これは主に四半期純損失百万円の計上により利益剰余金が減少したこと等によるものであります。

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(3) 研究開発活動

当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は78百万円であります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。