独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

2024年9月26日

穴 吹 興 産 株 式 会 社

 

 

  取 締 役 会    御 中

 

 

 

 

有限責任監査法人ト ー マ ツ

 

 

  高  松  事  務  所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

 公認会計士

 久  保   誉  一

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

 公認会計士

 越  智   慶  太

 

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている穴吹興産株式会社の2023年7月1日から2024年6月30日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、穴吹興産株式会社及び連結子会社の2024年6月30日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

1.不動産ファンド等を譲受人とした不動産売却取引に係る収益認識

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社及び連結子会社は、不動産ファンド等を譲受人とした収益物件(賃貸住宅等)の不動産売却取引を行っている。

 当連結会計年度において、不動産ファンド等に対する不動産売却に係る収益は、【注記事項】(収益認識関係)の「1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報」における「不動産関連事業」の「外部顧客への売上高」(98,884,735千円)に含まれている。

 一般的に、不動産売却取引は、取引価額が多額であり、また、取引条件の個別性が高く、かつ、相対取引であることから契約条件が取引毎に異なる。特に譲受人が不動産ファンド等である場合には、管理業務の受託、買戻条件の付与、セール・アンド・リースバック取引、譲受人に対する出資等を通じた当該不動産への継続的な関与によるリスクの留保等により、リスクと経済価値がほとんど全て移転しているかの判断が複雑になることがある。この判断を誤った場合には、リスクと経済価値のほとんど全てが譲受人に移転していると認められない不動産売却取引について、収益の認識が行われるリスクがある。また、不動産ファンド等には、通常の事業体とは異なる属性を有する事業体も含まれ、かつ、上記のような継続的関与がなされる場合があるため、取引価額が時価に比して調整されることで、不適切な収益の認識が行われるリスクがある。

 よって、当監査法人は、不動産ファンド等を譲受人とした不動産売却取引に係る収益認識を監査上の主要な検討事項と判断した。

 当監査法人は、不動産ファンド等との不動産売却取引において、スキーム全体を理解しリスクと経済価値のほとんど全てが譲受人に移転していることを検討するため、以下の監査手続を実施した。

 

・譲受人を含めた売却取引スキーム全体の理解、今後の継続的関与の有無とその内容を検討するため、取締役会の議事録及び決裁書並びに関連資料を閲覧し、必要に応じて所管部署への質問を行った。

・譲渡資産に対する継続的関与の程度(リスク負担割合)を検討するため、不動産譲渡契約書、出資契約書、リース契約書等を閲覧し、必要に応じて所管部署への質問を行った。

・取引価額の合理性を検討するため、不動産譲渡契約書の閲覧及び不動産鑑定評価書等との比較を行った。また、不動産鑑定評価の基礎となる将来キャッシュ・フローや割引率について、当監査法人が属する国内ネットワーク・ファームの評価の専門家を関与させ、周辺取引事例や外部機関が公表した賃料、利回りに関するマーケットレポート等の情報との比較を行った。

・引渡しの事実を検証するため、対価に係る入金証憑や権利移転に係る登記簿謄本等を閲覧した。

 

2.繰延税金資産の回収可能性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社の当連結会計年度の連結貸借対照表上、繰延税金資産1,503,209千円が計上されている。

 当該繰延税金資産には、前連結会計年度まで連結子会社であったあなぶきホームライフ株式会社の将来減算一時差異について、当連結会計年度に親会社である穴吹興産株式会社が吸収合併したことにより、回収可能性を見直した結果、増加した金額が含まれている。

 【注記事項】(重要な会計上の見積り)「繰延税金資産の回収可能性」に記載の通り、会社は「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号)に従って判定した企業の分類に基づき、将来減算一時差異等の解消見込年度のスケジューリングを行ったうえで、回収が見込まれる金額を繰延税金資産として計上している。

 繰延税金資産の回収可能性は、判定した企業の分類の妥当性、将来減算一時差異等の解消見込年度のスケジューリング等に依存する。

 企業の分類の判定にあたり近い将来における経営環境の著しい変化の有無の評価及び将来減算一時差異等の解消見込年度のスケジューリングは、経営者の判断を伴う重要な仮定に影響を受けるものであるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。

 

(1)内部統制の評価

・繰延税金資産の回収可能性の検討に係る内部統制の整備及び運用状況の評価を行った。

・企業の分類の判定プロセスを理解するとともに、経営者による経営環境の著しい変化が見込まれるかどうかの検討過程を評価した。

・将来減算一時差異の解消見込年度のスケジューリング策定プロセスを理解するとともに、経営者によるスケジューリングの検討過程を評価した。

 

(2)繰延税金資産の回収可能性の検討

・企業の分類の判定が、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づいて適切に行われているか、会社の判定資料をもとに、会社の過去及び当期の課税所得の推移や経営環境等を勘案し、その妥当性を検討した。

・特に、近い将来に経営環境の著しい変化が見込まれるかどうかについて、経営者への質問、取締役会の資料及び議事録を閲覧するとともに、利用可能な外部データとの比較により検討した。

・繰延税金資産の回収可能額を算定するために会社が行った将来減算一時差異等のスケジューリングの合理性について検討した。特に、穴吹興産株式会社が吸収合併によりあなぶきホームライフ株式会社から引き継いだ重要な将来減算一時差異については、当監査法人が属する国内ネットワーク・ファームの税務の専門家を関与させ、決算書数値、基礎資料との整合性の確認を実施した。

・会社が作成したスケジューリング資料を閲覧し、一時差異等の解消が項目ごとに適切な年度に見込まれているか、経営者への質問、取締役会の議事録や関連証憑の閲覧により検討した。

 

その他の事項

 会社の2023年6月30日をもって終了した前連結会計年度の連結財務諸表は、前任監査人によって監査されている。前任監査人は、当該連結財務諸表に対して2023年9月26日付で無限定適正意見を表明している。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

 ・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

 

 ・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

 ・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

 ・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、穴吹興産株式会社の2024年6月30日現在の内部統制報告書について監査を行った。

 当監査法人は、穴吹興産株式会社が2024年6月30日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

 ・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

 

 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E04025-000 2024-09-27 E04025-000 2024-09-27 jpcrp_cor:Row1Member E04025-000 2024-09-27 jpcrp_cor:Row2Member