文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
当社グループは、企業理念を「Best Values」とし、先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けることを掲げています。また、企業のビジョンを「Excellent Creative Company」に定めております。
(2)経営環境
当連結会計年度における世界経済は、米国を中心に緩やかな景気回復がみられたものの、中国経済の減速や世界的なエネルギー・資源価格の高止まり、更にはロシアによるウクライナ侵攻に加え、中東情勢を含む地政学的リスクなど、引き続き不透明な状況が続いています。
再生可能エネルギー市場においては、国内では、日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言の下、2030年度に温室効果ガス排出を2013年度比46%削減する目標が設定されています。国際的には、2023年に開催された国連気候変動枠組条約(COP28)及び米国のインフレ抑制法(IRA)による気候変動対応など、脱炭素化社会の実現への取り組みは一層進展し、再生可能エネルギー市場は、中長期的な成長が見込まれています。
しかしながら、当社グループの主力事業である海外の太陽光パネル製造事業において、現在全世界的な太陽光パネルの生産過剰により市況が低迷しています。また、米国市場において、東南アジア4カ国の太陽光パネル関連製品に対する免税措置が終了(2024年6月)となりました。更にアンチダンピング関税及び相殺関税についても米国政府の検討が続いていることから、同国への製品輸出が厳しい状況になっています。加えて、米国政府による産業の保護・育成を目的としたインフレ抑制法の制定により、米国製太陽光パネルメーカーへの補助金などの支援政策もあり、今後米国への輸出販売の低迷が見込まれる状況です。
当社グループは2023年9月22日に2026年6月期を最終年度とする中期経営計画(2024-26)を公表いたしましたが、公表した中期経営計画策定時において想定した市場環境の前提条件が大きく変化していることから、2025年6月期の業績は想定した計画の差異が生じています。このため、公表している中期経営計画の達成が困難であると判断したことから、本年8月14日に中期経営計画の数値目標取り下げを発表しました。当社グループは、持続的な成長が見込まれる太陽光パネルのグローバル市場において、市況及び政策などの市場環境変化に機動的に対応することにより、太陽光パネル製造事業の競争力あるサプライチェーン構築及び販売エリアの多角化などを推進し、事業成長を図ってまいります。なお、新たな中期経営計画は、合理的に算定可能となった段階で、速やかに開示いたします。
(3)経営戦略
当社グループは「Abalance グループビジョン for 2030」の中で、長期で当社グループが目指す姿として「再生可能エネルギー分野の中核的グローバル企業」を掲げています。2030年までに国内と海外を合わせて保有発電容量1GWを目指すほか、太陽光パネル製造事業では、製造目標をインゴット・ウエハ8GW、セル16GW、パネル12GWとして、長期での事業成長を目指しています。
上記の目標を達成するために、当社グループは下記の経営戦略に取り組みます。
① 太陽光パネル製造事業において、太陽光パネル市場の需要動向及び各国の政策(補助金政策、税制等)、地政学的リスクなどを鑑み、最適なグローバル・サプライチェーン体制を構築します。戦略的に、ベトナム国での太陽光パネル、同原材料となるセルの生産体制の最適化を図り、ウエハ・インゴットの内製化で収益性を高めます。また、地政学的リスクの対応として、今後はVSUN及びCell Companyの製品の輸出販売先として、欧州及びインド国を始めとするアジア市場など販売先の多角化に取り組みます。加えて、新たに米国での生産拠点の構築を検討し、米国内での太陽光パネル関連製品の地産地消体制の確立により、当社グループの持続的成長を目指します。
② グリーンエネルギー事業において、太陽光発電所の自社保有化推進によるストック型ビジネスの拡充、積
極的な海外展開を進めています。また、将来的に懸念される太陽光パネルの廃棄問題に対応するため、当社グループのPV Repower株式会社を中心に、太陽光パネルのリユース、リサイクル事業などへの展開を行い、事業成長と社会問題の解決に取り組みます。
③ バーディフュエルフェルズ合同会社では、脱酸素社会に向け、次世代のクリーンエネルギー貯蔵システムを担う水素エネルギーを活用した貯蔵システムの研究開発を計画的に推進しております。
④ 財務体質強化のため、自己資本比率の改善に取り組んでいます。今後も太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業の成長による利益剰余金の積み上げなどにより自己資本の増強に努めます。
(4)重視する財務目標(KPI)
当社グループは、持続的にグループ企業価値を向上させるため、財務目標として、営業利益、自己資本利益率(ROE)及び自己資本比率を重視しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、長期的に「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指しています。本目標を達成するため、下記事項をアクション・プランと捉え、グループ全体の持続的成長に基づく企業価値の向上に努めてまいります。
① VSUN及びCell Companyの収益力向上と販売先の多角化
ベトナム国に生産拠点を置くVSUNでは、太陽光パネルの生産能力4GW/年に加え、上流工程のウエハ・インゴット4GW/年の生産体制構築ならびに同国内のCell Companyでのセル4GW/年の生産体制構築により、収益力の向上に取り組んでいます。一方、2024年に入り、太陽光パネル及び同原材料の需給バランスが軟化し、これに伴い価格が軟調な状態になっています。また。米国政府による東南アジア製太陽光パネル及びセルに対する免税措置の終了(2024年6月)は、当社グループの太陽光パネル製造の事業運営に影響を与えております。当社グループは、VSUN及びCell Companyの製品販売先として、これまで米国市場を中心としておりましたが、今後は欧州及びインド国を始めとするアジア市場など販売先の多角化に取り組みます。
② 米国ナスダックに上場したTOYOの米国内における太陽光パネル製造事業の展開
Cell Companyの親会社であるTOYOは2024年7月に米国ナスダックに上場しました。米国ではインフレ抑制法などにより、国内での投資が活発化し、“Made in USA”の動きが進展しています。今後、TOYOは米国市場動向及び税制などの政策動向を注視しながら、同国内での太陽光パネル及びセルのサプライチェーン体制確立へ向けた検討を行ってまいります。
③ 太陽光発電所の自社保有化による安定収益の確保
当社グループは太陽光発電所を自社保有化し、電力会社に電力販売を行うストック型ビジネスを強化しています。売電収入に基づく安定収益、キャッシュ・フローの創出を目的として、財務戦略の多様化を図り、必要に応じ、再生可能エネルギー関連企業に対するM&Aの検討を継続的に行ってまいります。
④ 財務体質強化へ向けた自己資本比率の改善
当社グループは国内外で開発プロジェクトなどに積極的に取り組んでいます。その結果として、自己資本利益率(ROE)は高水準を維持する一方で、借入金の増加を主因として自己資本比率が低下傾向にありました。2024年6月期は太陽光パネル製造事業の成長により、借入金の返済が進みました。また、利益剰余金が積み上がったにより、自己資本比率が15.8%までに回復しております。財務健全性の確保のため、今後も太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業の成長による利益剰余金の積み上げなどにより自己資本の増強に努めます。
(6)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
① VSUN及びCell Companyの収益力向上と販売先の多角化
ベトナム国に生産拠点を置くVSUNでは、太陽光パネルの生産能力4GW/年に加え、上流工程のウエハ・インゴット4GW/年の生産体制構築ならびに同国内のCell Companyでのセル4GW/年の生産体制構築により、収益力の向上に取り組んでいます。一方、2024年に入り、太陽光パネル及び同原材料の需給バランスが軟化し、これに伴い価格が軟調な状態になっています。また。米国政府による東南アジア製太陽光パネル及びセルに対する免税措置の終了(2024年6月)は、当社グループの太陽光パネル製造の事業運営に影響を与えております。当社グループは、VSUNおよびCell Companyの製品販売先として、これまで米国市場を中心としておりましたが、今後は欧州及びインドを始めとするアジア市場など販売先の多角化に取り組みます。
② 米国ナスダックに上場したTOYOの米国内における太陽光パネル製造事業の展開
Cell Companyの親会社であるTOYOは2024年7月に米国ナスダックに上場しました。米国ではインフレ抑制法などにより、国内での投資が活発化し、“Made in USA”の動きが進展しています。今後、TOYOは米国市場動向および税制などの政策動向を注視しながら、同国内での太陽光パネル及びセルのサプライチェーン体制確立へ向けた検討を行ってまいります。
③ 太陽光発電所の自社保有化による安定収益の確保
当社グループは太陽光発電所を自社保有化し、電力会社に電力販売を行うストック型ビジネスを強化しています。売電収入に基づく安定収益、キャッシュ・フローの創出を目的として、財務戦略の多様化を図り、再生可能エネルギー関連企業に対するM&Aの検討を継続的に行ってまいります。
④ 財務体質強化へ向けた自己資本比率の改善
当社グループは国内外で開発プロジェクトなどに積極的に取り組んできています。その結果として、自己資本利益率(ROE)は高水準を維持する一方で、借入金の増加を主因として自己資本比率が低下傾向にありました。2024年6月期は太陽光パネル製造事業の成長により借入金の返済が進みました。また、利益剰余金が増加したことにより、自己資本比率が15.8%に回復しております。財務健全性の確保のため、今後も太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業の成長による利益剰余金の積み上げなどにより自己資本の増強に努めます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)基本的な考え方
当社グループは、社会価値と経済価値を両立させるという観点から、再生可能エネルギーの供給に貢献するグループ企業の事業を推進することにより、地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスの排出削減に取り組み、その活動を通じて、中長期的なグループ企業価値の向上に努めております。そして、当社グループとして、持続可能な社会を実現するべく、企業理念とビジョンを以下の通り定めております。
<企業理念>Best Values
<ビジョン>Excellent Creative Company
当社は、お客様、株主、従業員、その他取引先などの全ての利害関係者の方々に対して当社グループとして果たすべき社会的責任を強く認識し、それを全うすることが経営上の最大の目標である企業価値の向上に繋がると考えております。この目標を達成する手段としてコーポレート・ガバナンスを捉え、経営の効率性とコンプライアンスの両面を総合的に判断し、透明性のある健全な企業統治の体制を構築してまいります。
当社グループでは監査等委員会設置会社として、監査等委員会が、取締役会の職務執行の組織的監査を担っており、取締役会の実効性について確保し得る状況にあります。また当社グループでは、併せて内部統制機能を強化し、利害関係者の方々からの信頼の向上と企業価値の向上に取り組んでまいります。
なお、当社グループのESG・SDGsへの取り組みについては、ホームページにおいて公開しております(URL:https://www.abalance.jp/csr/)。
当社グループは、Abalanceビジョンのもと、サステナビリティの推進に向けて、グループとして一体となった取り組みを推進しております。持続的にグループとしての企業価値を高めていくためには、社会情勢や経営環境の動向を見据えたうえで、今後のグループ成長の障壁となり得るリスクやサステナブルに関する重要課題(マテリアリティ)に焦点を当てた取り組みを一層強化することが重要と考えております。
当社グループは、2030年グループビジョンである「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指すため、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を“成長エンジン”として、グループの持続的成長、企業価値の最大化を図ってまいります。
当社グループは、政治・経済情勢の変化など様々な全社的リスクや個別事業運営に関するリスクの下、国内外で幅広く事業を展開しています。そして、当社グループの経営理念や経営戦略の達成を阻害する可能性のあるリスクの把握と適切な対処を行うことによりリスクの低減に取り組んでいます。
リスク管理については、全社的リスクマネジメント体制を構築し、リスク把握、評価・分析、優先順位付け、対応計画の立案、実施、実施状況の評価・改善プロセスの実施により、リスクを適切にコントロールした経営戦略の構築に取り組んでいます。その取り組み状況については、内部監査室から取締役会へリスクや進捗管理を含めた報告が行われており、組織全体として十分に監督が行われております。
気候変動リスクについては、国際的に確立された開示の枠組みである気候関連財務情報開示タスクフォース(TCDF)に則り、リスクと機会の評価、シナリオ分析、気候変動リスクシナリオ分析などを計画的に進め、投資判断に有用と考えられる連結ベースの段階的な開示を進めていく予定です。
当社グループは、前記のガバナンス、戦略、リスク管理の各構成要素や今後の世界情勢・再生可能エネルギー市場の動向などを注視しながら、マテリアリティについて、優先度の高い短期的な取り組みと中長期的な取り組みとを峻別した上で、目標設定を行い、今後段階的な開示を進めてまいります。
当社グループの太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業は、世界的な潮流である脱炭素社会の実現へ向けた再生可能エネルギーの拡大に直結した事業です。
ベトナム国の子会社VSUNは太陽光パネルの製造販売を行っていますが、サプライチェーンを主体とするサステナビリティ評価の世界的な評価機関であるEcoVadis(エコバディス、本社:フランス国)の評価において、前年度に続き、2023年度もBronze Medalを受賞しました。EcoVadisは、グローバル・サプライチェーンのサステナビリティ評価を環境、労働と人権、倫理、及び持続可能な資材調達の4分野で包括的な評価を行う世界的な第三者機関です。
また、当社グループは日本国内において、SDGsに関する目標設定のサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)により、その達成状況に応じて、金利が変動するサステナビリティ・リンク型のローンを実行しております。当社グループは、グリーンエネルギー事業において太陽光発電所の保有を推進しておりますが、本融資にあたり、再生可能エネルギー発電設備の当社グループ保有の国内発電容量を評価指標(KPI)として、目標設定を行っております。
加えて、当社グループの子会社であるPV Repower株式会社は、社会的課題にもなっている太陽光パネルの廃棄問題に対して、資源の有効活用のため、リサイクル・リユース事業に着手しております。
(6)人的資本および多様性について
① 基本方針
当社グループの人的資本及び多様性に関する基本的な考え方は、年齢・性別・国籍など、あらゆる属性にとらわれず、人格、見識、経営能力ともに優れた人材を経営幹部に積極的に登用することです。当社グループは、女性の管理職への登用を推進しているほか、国際性を含む多様性を重視しております。今後も性別、人種、国籍など多様性から生じる多角的な視点が、グローバルな事業の拡大にも資するとの認識に立ち、多様な人材の経営幹部への登用を積極的に推進してまいります。
② 取締役の登用
当社は女性の社外取締役を1名選任しているほか、子会社のEVN株式会社でも1名女性の外国人取締役を選任しており、国際性を含めた多様性を確保しております。
③ 人材育成と安心して働ける職場づくり
当社グループは、中長期的に企業の成長・発展を担っていく社員を継続的に育成するために、幹部社員を対象としたマネジメント研修の実施及び若手社員を対象とした職場ローテーションなどの施策を実施しています。また、人事評価制度の刷新やハラスメント研修・メンタルヘルス研修、更に資格取得支援や余暇支援なども実施しており、優秀な人材がより安心して快適に活躍できる職場環境を整備してまいります。
有価証券報告書に記載した事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクは、以下のとおりです。
また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、リスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行う必要があります。
以下の記載のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が独自に判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。また、下記の記載は、当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではない点につきましてもご留意ください。
(1) 経済状況について
当社グループの事業展開において、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「3 事業等のリスク」に記載の内容をご参照ください。
当社グループでは、以下の企業理念を掲げ、先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けることを掲げています。
<企業理念>Best Values
2030年にグループが目指す姿として、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」となることを目標に据え、保有発電容量1GW、年間製造目標8GWを成長戦略の柱としております。当社は、グループの持続的成長と社会価値を両立しながら、企業価値の最大化を図ってまいります。
<企業価値向上への強化施策について>
・VSUNの太陽光パネル及びCell Companyの太陽光セル収益力向上と販売先の多角化
・セル製造のほか、インゴット、ウエハ製造の上流工程を視野に入れたサプライチェーンの強化
・米国ナスダックに上場したTOYOの米国内における太陽光パネル製造事業の展開
・グリーンエネルギー事業における太陽光発電所の自社保有化と安定収益基監の構築
・自己資本比率の計画的な向上(財務健全化)
・戦略的なパートナーシップ、有力企業・総合商社などとの提携推進
当社グループの主要セグメントである太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業を中心に予算編成を行った結果、2025年6月期の連結業績予想(2024年7月1日~2025年6月30日)については、売上高80,000百万円、営業利益10,000百万円、経常利益10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,000百万円としております。
連結業績予想に係る前提条件は、外部環境の動向を踏まえ、以下のように、現状において合理的に予測可能な条件等に基づいて設定しております。
(a) 太陽光パネル製造事業
太陽光発電市場は、世界的な地球温暖化による気候変動対策として、今後も世界各国の再生可能エネルギーの導入は加速し、中長期的な成長が見込まれる市場です。しかしながら、2024年に入り、太陽光パネル及び原材料の需給バランスが軟化し、これに伴い価格下落トレンドが形成されています。この傾向は2025年6月期も継続する見通しのほか、米国政府による東南アジア製太陽光パネル及びセルに対する免税措置の終了(2024年6月)は、当社グループの太陽光パネル製造事業のVSUNのパネル及びCell Companyのセルの事業運営に影響を与えております。なお、米国市場において、東南アジア4カ国の太陽光パネル関連製品に対する免税措置が終了(2024 年 6 月)となり、更にアンチダンピング関税及び相殺関税についても米国政府の検討が続いていることから、同国への製品輸出が厳しい状況になっています。当社グループは、VSUN及びCell Companyからの製品販売先として、これまでは米国市場を中心としていましたが、欧州及びインドを始めとするアジア市場など販売先の多角化に取り組みます。また、Cell Companyの親会社であるTOYOは2024年7月に米国ナスダックに上場いたしました。米国ではインフレ抑制法などにより、国内での投資が活発化し、“Made in USA”の動きが進んでいます。今後、TOYOは米国市場動向及び税制などの政策動向を注視しながら、同国内での太陽光パネル及びセルのサプライチェーン構築へ向けた検討を行ってまいります。
(b) グリーンエネルギー事業
当社グループでは、太陽光発電所を自社保有化し、電力会社に電力販売を行うストック型ビジネスを強化しています。発電所開発・建設のほか、M&Aも積極的に活用し、事業基盤の拡充に取り組みます。また、太陽光発電関連サービスを提供するフロー型ビジネスに関し、小売量販店と組んで、量販店の顧客宛に太陽光発電設備ならびに蓄電設備を販売するビジネスをスタートしております。そして、積極的な海外展開に取り組むほか、将来的に太陽光パネルの廃棄問題が懸念される状況に対し、社会問題解決への取組みという観点からも、PV Repower株式会社を中心に太陽光パネルのリユース、リサイクル事業への取り組みも積極的に展開してまいります。
なお、当社グループは2023年9月22日に2026年6月期を最終年度とする、中期経営計画(2024-26)を公表させていただきましたが、当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを受け、2024年8月14日に数値目標を取り下げることを発表しました。当社グループは、引き続き成長が見込まれる太陽光パネルのグローバル市場において、市況及び政策などの市場環境変化に機動的に対応することにより、太陽光パネル製造事業の競争力あるサプライチェーン構築及び販売エリアの多角化などを推進し、事業成長を図ってまいります。新たな数値目標につきましては、合理的に算定可能となった段階で、速やかに開示させて頂きます。
(1) 経営成績等の概況
当連結会計年度における世界経済は、米国を中心に緩やかな景気回復がみられたものの、中国経済の減速や世界的なエネルギー・資源価格の高止まり、更にはロシアによるウクライナ侵攻に加え、中東情勢を含む地政学的リスクなど、引き続き不透明な状況が続いています。
再生可能エネルギー市場においては、国内では、日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言の下、2030年度に温室効果ガス排出を2013年度比46%削減する目標が設定されています。国際的には、2023年に開催された国連気候変動枠組条約(COP28)及び米国のインフレ抑制法(IRA)による気候変動対応など、脱炭素化社会の実現への取り組みは一層進展し、再生可能エネルギー市場は、中長期的な成長が見込まれています。
しかしながら、当社グループの主力事業である海外の太陽光パネル製造事業において、現在全世界的な太陽光パネルの生産過剰により市況が低迷しています。また、米国市場において、東南アジア4カ国の太陽光パネル関連製品に対する免税措置が終了(2024年6月)となりました。更にアンチダンピング関税及び相殺関税についても米国政府の検討が続いていることから、同国への製品輸出が厳しい状況になっています。加えて、米国政府による産業の保護・育成を目的としたインフレ抑制法の制定により、米国製太陽光パネルメーカーへの補助金などの支援政策もあり、今後米国への輸出販売の低迷が見込まれる状況です。
このような経営環境の下、当社グループは、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」(2030年グループが目指す姿)の実現に向けて、太陽光パネル製造事業とグリーンエネルギー事業を成長ドライバーとして、中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は208,972百万円(前期比2.9%減)、営業利益は23,349百万円(前期比82.4%増)、経常利益は24,894百万円(前期比77.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,530百万円(前期比91.9%増)となりました。
太陽光パネル製造事業は、ベトナム国のVSUN及びCell Companyが連携し、太陽光パネルの上流工程となるセル及びウエハ・インゴットの内製化などグローバル・サプライチェーンの強化に取り組んでいます。
グリーンエネルギー事業は、太陽光発電所及び関連設備にかかる物品販売(フロー型ビジネス)を継続するとともに、太陽光発電所の自社保有化(ストック型ビジネス)を展開することにより、事業基盤の強化に取り組んでいます。
セグメント毎の経営成績については、次の通りです。
1.太陽光パネル製造事業
売上高199,874百万円(前期比3.4%減)、セグメント利益23,876百万円(前期比88.0%増)となりました。売上高は、太陽光パネルのグローバルな需給軟化を受け、販売価格の下落が顕著になったほか、主要な販売先である米国での太陽光パネル関連製品に対する輸入関税免除措置の終了(2024年6月)もあり、受注減少から減収となりました。一方、セグメント利益は、VSUNがベトナム国のバクニン省にて、2022年10月から稼働を開始したパネル第4工場の通年での稼働、材料価格の下落及びCell Companyが手掛けるセル内製化の効果で原価改善が進み、増益となりました。
VSUNは、日本の生産・品質管理体制を採用し、米国・欧州向けの産業用及び家庭用太陽光パネル製造販売により事業基盤を拡大してまいりました。また、セル製造の上流工程であるインゴット・ウエハ製造を開始(2024年4月、4GW/年)し、主要材料の内製化による原価改善に取り組んでいます。Cell Companyは、2023年10月より高性能なN型TOPConセルの自社製造(第1フェーズ、4GW/年)を開始しています。加えて、当社グループはOCI社(韓国)との契約に基づき、ポリシリコンの安定調達も含め、競争力のあるサプライチェーンの構築に取り組んでいます。
再生可能エネルギー市場は、中長期で大きく成長が見込まれる一方、各国の政策等により、市場環境が大きく変化する傾向にあります。このため、当社グループは、今後業界や各国の政策動向を注視し、太陽光パネル製造事業における最適な販売戦略及び機動的な生産体制を構築し、更なる事業の成長に取り組んでまいります。
2.グリーンエネルギー事業
太陽光発電所および関連設備にかかる物品販売3,904百万円、売電及びO&M収入等4,423百万円を計上し、売上高8,341百万円(前期比4.2%増)、セグメント利益532百万円(前期比50.5%減)となりました。
当社グループでは、WWB株式会社、株式会社バローズを主体に、太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS(パワーコンディショナ)、産業用及び住宅用蓄電池等の太陽光発電設備に係る物品販売をフロー型ビジネスとして行いつつ、売電収入を原資とする安定収入体制の構築のため、完工後も発電所を継続して保有するストック型ビジネスを推進しています。
フロー型ビジネスにおいては、小売量販店をチャネルとする販売体制を構築し、販売数量の増加を目指します。ストック型ビジネスにおいては、自社の開発能力を活用した優良発電プロジェクトの拡充を図ります。また、北海道地区において、電力需要の高い時間帯や停電時などに備えて、安定的な電力供給を可能とする系統蓄電池事業に参入しました。
また、海外では、ベトナムの子会社WWB Thang Long Corporation(以下、「WWBTLC」という。)にて締結したPPA契約の許認可取得及び太陽光発電所の施工を開始しております。WWBTLCでは日系企業を中心に新規商談も進めており、事業基盤の拡充を進めております。
3.IT事業
売上高590百万円(前期比12.9%減)、セグメント利益40百万円(前期比14.5%減)となりました。当社グループでは、株式会社デジサインを主体に、様々な業界のビジネス課題へのコンサルティング・DX支援から、電子認証・セキュリティ技術などを活かした業務系システム開発から保守まで、幅広いニーズに対応する技術ソリューション提供を推進しております。また、ナレッジ共有から業務プロセス再構築を通じて生産性向上・組織力強化を実現するAbit株式会社製品「KnowledgeMarket」、インボイス制度・電子帳簿保存法等に対応して取引文書配信からライフサイクル管理を行う株式会社FORTHINK製品「e-Digi DataSharing」、契約書作成・締結・管理まで契約業務のワンストップ電子契約サービス「e-Digi Sign」、Microsoft 365など、パッケージ製品を活用したQCDバランスの高いソリューション提供もしております。
4.光触媒事業
売上高41百万円(前期比0.6%増)、セグメント利益2百万円(前年同期はセグメント損失40百万円)となりました。大手食品スーパーや病院への除カビ・防カビ施工の提案に継続して取り組んだほか、海外需要が増加したことから、増収となり、損失が縮小しました。なお、当事業における業容拡大のため、下期は「空間改善ソリューション企業」としての進展を図り、防曇(曇り止め)、防滑(滑り止め)、ガラス遮熱(省エネ化)、高級ガラス修繕などの取組みも開始いたしました。当事業は、今後も様々なニーズに幅広く応える営業戦略を核とし、収益基盤の改善、安定化に取り組んでまいります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、17,546百万円増加し、37,053百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの分析は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は44,757百万円(前連結会計年度は18,526百万円の獲得)となりました。主な増減要因は、税金等調整前当期純利益24,278百万円、売上債権の増加による1,441百万円の減少、棚卸資産の減少による33,161百万円の増加、前受金の減少による19,113百万円の減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は21,191百万円(前連結会計年度は20,670百万円の支出)となりました。主な増減要因は、有形固定資産の取得による9,656百万円の支出、及び預け金の預入による10,914百万円の支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は5,446百万円(前連結会計年度は17,235百万円の収入)となりました。主な増減要因は、短期借入れによる65,378百万円の収入、及び短期借入金の返済による72,327百万円の支出であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
IT事業は開発を終了し製品化したソフトウェアの販売を行っており、受注から売上までの期間が短いため、生産実績は販売実績とほぼ一致しております。したがいまして、生産実績に関しては販売実績の欄をご参照ください。
太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業及び光触媒事業につきましては、商品仕入実績の欄をご参照ください。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資本の財源は、第三者割当増資、金融機関からの借入やリース会社からの割賦バック契約等により資金調達を行った一方で、資金の返済を行った結果、財務活動によるキャッシュ・フローは5,446百万円の支出)となっております。また、国内外既存事業及び新規有望事業に対し積極的に支出(投資活動によるキャッシュ・フロー21,191百万円)しております。
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産
性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなっ
た場合は、のれんの帳簿価格を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、経営環境の変化に伴う収益性の悪化等により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境の悪化等によりその見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得の見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
太陽光パネル製造事業は、VSUN及びCell Companyが連携し、太陽光パネルの上流工程となるセルおよびウエハ・インゴットの内製化などグローバル・サプライチェーンの強化に取り組んでいます。主要な販売先である米国での太陽光パネル関連製品に対する輸入関税免除措置の終了(2024年6月)もあり、受注減少から減収となりましたが、2022年10月から稼働開始したVSUNのパネル第4工場(ベトナム国パクニン省)の通年での稼働及びCell Companyが手掛けるセル内製化の効果で原価改善が進み、増益となりました。
グリーンエネルギー事業は、太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS (パワーコンディショナ)、産業用及び住宅用蓄電池などの太陽光発電設備に係る物品販売をフロー型ビジネスとして行うとともに、売電収入を原資とする安定収入体制の構築のため、完工後も発電所を継続して保有するストック型ビジネスを推進しています。
IT事業は、様々な業界のビジネス課題へのコンサルティング・DX支援から、電子認証・セキュリティ技術などを活かした業務系システム開発から保守まで、幅広いニーズに対応する技術ソリューションの提供を推進しております。
光触媒事業は、大手食品スーパーや病院への除カビ・防カビ施工の提案に継続して取り組んだほか、「空間改善ソリューション企業」としての進展を図り、防曇(曇り止め)、防滑(滑り止め)、ガラス遮熱(省エネ化)、高級ガラス修繕などの取組みも開始いたしました。
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当連結会計期間末における流動資産は89,197百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,851百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が17,120百万円増加、商品及び製品が35,594百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は60,975百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,375百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が16,361百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、150,173百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,482百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計期間末における流動負債は83,261百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,094百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金が6,277百万円減少、契約負債が19,207百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は24,479百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,915百万円増加いたしました。これは主に長期割賦未払金が3,877百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、107,741百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,179百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計期間末における純資産合計は42,432百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,661百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を9,530百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益を10,673百万円計上したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は15.8%(前連結会計年度末は8.8%)となりました。
当社グループの事業展開において、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「3 事業等のリスク」に記載の内容をご参照ください。
当社グループは、「再生可能エネルギーの中核的なグローバル企業」を目指し、2030年までに国内と海外を合わせた保有発電容量1GW及び(年間)製造目標をインゴット・ウエハ8GW、セル16GW、太陽光パネル12GWと定め、長期の事業目標としております。本目標を達成するため、下記事項をアクション・プランと捉えており、グループ全体の持続的成長に基づく企業価値の向上を図ってまいります。
1.VSUN及びCell Companyの収益力向上と販売先の多角化
ベトナム国に生産拠点を置くVSUNでは、太陽光パネルの生産能力4GW/年に加え、上流工程のウエハ・インゴット4GW/年の生産体制構築ならびに同国内のCell Companyでのセル4GW/年の生産体制構築を受け、収益力の向上に取り組んでいます。一方、2024年に入り、太陽光パネル及び原材料の需給バランスが軟化し、これに伴い製品価格下落のトレンドが形成されています。また。米国政府による東南アジア製太陽光パネル及びセルに対する免税措置の終了(2024年6月)は、当社グループの太陽光パネル製造の事業運営に影響を与えるものと想定しています。当社グループは、VSUN及びCell Companyの製品販売先として、これまでの米国市場中心から、欧州及びインドを始めとするアジア市場など販売先の多角化に取り組みます。なお、米国市場において、東南アジア4カ国の太陽光パネル関連製品に対する免税措置が終了となり、更にアンチダンピング関税及び相殺関税についても米国政府の検討が続いております。
2.米国ナスダックに上場したTOYOの米国内における太陽光パネル製造事業の展開
Cell Companyの親会社であるTOYOは2024年7月に米国ナスダックに上場しました。米国ではインフレ抑制法などにより、国内での投資が活発化し、“Made in USA”の動きが進展しています。今後、TOYOは米国市場動向及び税制などの政策動向を注視しながら、同国内での太陽光パネル及びセルのサプライチェーン体制確立へ向けた検討を行ってまいります。
3.太陽光発電所の自社保有化による安定収益の確保
当社グループは太陽光発電所を自社保有化し、電力会社に電力販売を行うストック型ビジネスを強化しています。売電収入に基づく安定収益、キャッシュ・フローの創出を目的として、財務戦略の多様化を図り、再生可能エネルギー関連企業に対するM&Aの検討を継続的に行ってまいります。
4.財務体質強化へ向けた自己資本比率の改善
当社グループは国内外で太陽光発電所等の開発プロジェクトに積極的に取り組んできています。その結果として、自己資本利益率(ROE)は高水準を維持する一方で、借入金の増加を主因として自己資本比率が低下傾向にありました。2024年6月期は太陽光パネル製造事業の成長により、借入金の返済も進みました、また、利益剰余金が積み上がったにより、自己資本比率が15.8%に回復しております。財務健全性の確保のため、今後も太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業の成長による利益剰余金の積み上げなどにより自己資本の増強に努めます。
5.ガバナンス体制、及び内部統制の充実・強化
当社グループでは、監査等委員会設置会社として、過半となる社外取締役である監査等委員会が、取締役の職務執行の組織的監査を担っています。コーポレートガバナンスを強化することで、環境変化の激しい再生エネルギー市場に対し、機動的に対応したした事業活動を展開し、当社グループの事業成長と収益力の向上を図ってまいります。また当社グループは、引き続き内部統制機能を強化し、企業としての信頼回復と企業価値の向上に取り組んでまいります。
当社グループは、2023年9月22日に2026年6月期を最終年度とする中期経営計画(2024-26)を公表させていただきました。しかしながら、当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを受け、本年8月14日に中期経営計画の数値目標取り下げを発表しています。当社グループは、持続的な成長が見込まれる太陽光パネルのグローバル市場において、市況及び政策などの市場環境変化に機動的に対応することにより、太陽光パネル製造事業の競争力あるサプライチェーン構築及び販売エリアの多角化などを推進し、事業成長を図ってまいります。中期経営計画の新たな数値目標につきましては、合理的に算定可能となった段階で、速やかに開示いたします。
(相互資金供給枠の設定)
当社は、持分法適用関連会社の明治機械株式会社との間で一時的な余剰資金を供給し合う資金供給枠を相互に設定する契約を締結しました。
(1)契約締結先 明治機械株式会社
(2)資金供給枠 800百万円
(3)資金用途 事業性資金
(4)期間 1年以内
(5)金利 市場実績並みの水準
(融資契約の締結)
当社は、株式会社第四北越銀行との間でSDGsリンク・ローンの融資契約を2024年3月に締結しました。SDGsリンク・ローンとは、SDGsに関する野心的な目標設定により、その達成状況に応じて、金利が変動するサステナビリティ・リンク型のローンであります。
(1)借入先 株式会社第四北越銀行
(2)借入額 500百万円
(3)資金使途 当社グループのESG・SDGs経営を実践するための資金
当社グループでは、次世代のクリーンエネルギー貯蔵システムを担う水素エネルギーを活用した貯蔵システムの研究開発を計画的に推進しております。
当連結会計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。
(1)その他
エネルギー貯蔵システム開発事業において、バーディフュエルフェルズ合同会社は水素エネルギーを活用した貯蔵システムの研究開発を計画的に推進しております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は289百万円であります。