第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、「誰からも必要とされる会社になる」を経営理念に掲げ、「世の中をより豊かに」というビジョンの実現を目指しております。顧客の生産性改善のために、「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪をサポートすることで、企業のDXを推進する事業活動を行っております。

 

 ①「誰からも必要とされる会社になる」

 当社は、事業を通じてすべてのステークホルダーのみなさまから必要とされる会社を目指しております。顧客、従業員、株主、取引先企業、地域社会に対して1人でも多くの人に喜びや感動、幸せを分かち合い、価値ある商品やサービスを提供しつづけることを経営理念としております。

 

 ②「世の中をより豊かに」

 「豊か」とは何か、「幸せ」とは何か。私たちは文化と価値の創出であると考えております。私たちは事業を通じて、1人でも多くの人が幸せを実感できる社会へ貢献し、より良い未来を創造することを目指しております。新たな挑戦が変化を生み、技術革新が人々に幸せをもたらします。私たちにしかできないことで、世の中を、明日を、豊かにかえていきます。

 

 また、中期経営計画において新たなミッションを設定しました。

 

 ③「すべての中小企業のDXをサポートする」

 目まぐるしく変化する市場においてDXの重要性が増し続けるなか、更に多くの企業に価値を提供することで、“世の中をより豊かにする”というビジョンの達成に向けてさらに邁進してまいります。

 

(2)経営環境及び中長期的な経営戦略

 我が国の経済は、少子高齢化に伴う労働人口の減少により、働き手の不足と長期的な賃金の上昇とのトレードオフな課題に対して向き合わなければなりません。さらに、コロナ禍を契機として、世界規模でデジタル化が急速に促進する中で企業が生き残っていくためには、より一層DXを推進することで「デジタルによる生産性の向上」を行う必要性があるものと考えております。

 

 このような環境下で、当社は次の3つの戦略を柱に注力してまいります。

 

 ①営業体制の強化

 セールスネーブルメント(注1)を強化させることで教育体制を整備してまいります。セールスイネーブルメントを起点に人材育成を行い、営業活動のデータの蓄積や共有、標準化を進め、営業生産性の向上を目指します。

 

 ②ソリューションの拡大

 当社のメイン事業である、「Videoクラウド」の機能強化にとどまらず、当社が提供する中小企業に向けたソリューションの幅を拡大させていくことが重要であると認識しております。新サービスをローンチし、提供価値や課題解決領域のさらなる拡大に取り組んでまいります。

 

 ③多彩なソリューションでDXを実現

 クロスセルやアップセルの取り組みを強化させ、すべての中小企業のDXを実現するとともに、LTV(注2)の向上を狙います。

 

(注)1.営業組織を強化・改善するための取り組みのこと。

2.Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略称で、ある顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標。

 

(3)目標とする重要な経営指標

 当社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、Videoクラウド及びDXソリューションの「納品件数」「単価」を重要な経営指標としております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ①安定収益基盤の確立

 現在も安定収益基盤の構築を推進しておりますが、今後はVideoクラウドのアカウント数を伸張させ、ストック型収益の拡大にも注力を行ってまいります。それにより収益ポートフォリオを充実させることで、更なる安定収益基盤の強化を図ってまいります。

 

 ②優秀な人材確保と育成

 当社は、今後も事業拡大を行うため、各分野での専門性の高い人材獲得のための中途採用のほか、積極的な新卒採用を継続的に行い、当社の経営理念に共感できる優秀な人材の採用を行ってまいります。特に、DXコンサルティングができる人材の確保、育成については重要であると認識しております。そのため、動画を積極的に活用したナレッジマネジメントの取り組みを行ってまいります。自社のイントラネット内に、営業のみならず顧客との打ち合わせや改善提案などの録音や録画を掲載し、ノウハウとして蓄積して人材育成用のコンテンツとして活用しております。さらには動画を使った研修を充実させることで、これまで言語化が難しかった暗黙知を形式知化し、ナレッジの蓄積につながるように努めてまいります。また、営業組織の強化や人材育成を目的としたセールスイネーブルメントを強化し、教育体制の整備に取り組んでおります。イネーブルメントを起点にナレッジの蓄積・共有、営業の標準化を進め、営業生産性を向上させてまいります。

 

 ③新規事業の拡充

 当社は、今後更なる顧客ニーズに対応するため、新規事業の拡充に注力してまいります。業務提携などによる他社とのアライアンスや自社における新規商材の立ち上げを推進することにより、中小企業のDX化を実現するためのソリューションの拡充を行ってまいります。

 

 ④内部管理体制の強化

 当社では、今後更なる事業拡大を図るため、当社の成長段階に沿った内部管理体制の強化が求められていくものと認識しております。このため当社では、各分野に専門性を有した人員を配置し、社内管理体制の強化を図るとともに、業務プロセスなど内部統制の整備を行い、業務効率化及びリスク管理を図ってまいります。

 

 ⑤コンプライアンスと情報セキュリティの強化

 当社では、コンプライアンスの徹底並びに情報セキュリティ体制の確立と維持・強化が課題と捉えております。このため、当社は、コンプライアンス管理規程に基づく各種ルールの徹底と機密データを安全に処理、保管するためのインフラ・システムの構築による対策を継続的に行っております。また、顧客企業に対しての説明責任の徹底を図るために営業管理規程を定め、各種社内研修を実施し、社員の理解を促しております。

 

 ⑥財務上の課題について

 内部留保が十分確保されており、借入等による機動的な資金調達も可能であることから、現時点において財務上の課題は認識しておりません。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、中長期的な企業価値の向上のため、サステナビリティを巡る課題への対応は経営の重要課題と認識しております。今後、サステナビリティを巡る課題に適切に対応していくための体制整備を行い、基本方針の策定を検討してまいります。

 

(2)戦略

 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社は、待遇や業務内容等において男女の区別なく、機会の平等を確保するとともに、能力・職責等に基づき適切に評価しております。労働安全衛生面においても取り組みを強化し、社内美化を徹底することで働く環境を良好に保ち、労働環境の改善・向上を図るとともに、ストレスチェックを実施するなど、社員の心身の健康を維持できるよう努めております。また、社員の能力開発・研鑽のため、社内研修の充実化や、セールスイネーブルメントを強化し、教育体制を整備する取り組みを行っております。

 

(3)リスク管理

 当社は、サステナビリティに関する基本方針や重要課題の特定、さらには重要課題の監視・管理等のため、サステナビリティ関連のリスクと機会について分析し、対応策について検討を行ってまいります。リスクと機会については今後定期的に確認を行い、必要に応じて重要課題及びその指標や目標を見直すなど適切に対応してまいります。

 

(4)指標及び目標

 当社では現在、女性、外国人、中途採用者等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値等は定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示については、今後の課題として検討してまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社のリスク管理体制に関しましては、「「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 また、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

①景況感について

 当社では、原材料価格の高騰によるインフレや金利上昇等による景気下振れにより、当社がターゲットとする中小企業のコスト増加懸念が拡大した場合、集客や求人広告への投資意欲に影響が懸念されるため、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②市場について

 当社は、DXの遅れが深刻であると考えられるSMB領域にて、動画や店舗のデータを活用し、DXを推進していく事業を展開しております。そして、「サービス価値の向上」と「課題解決領域の拡大」の2つを柱とした成長戦略を策定しており、引き続き事業の拡大を行ってまいります。しかしながら、今後も国内におけるDXの重要性は増していくものと考えられるものの、当社の属する動画制作サービス市場、動画配信プラットフォームサービス市場、ビジネスコンサルティング市場、XR市場において、万が一DX市場の伸張の恩恵を受けられなくなった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③競合他社の動向について

 当社の事業に直接的に競合する企業はないと認識しているものの、当社の主たる事業であるVideoクラウド事業においては、動画制作サービス、動画配信プラットフォームサービス、DXコンサルティングと3つに分類ができます。競合他社は、それぞれの分野において、複数存在しており、今後の市場規模拡大に伴い新規参入が相次ぐと考えております。そのため、市場シェアの獲得競争や、上記3つのそれぞれの分野において部分的に模倣されるリスクが一定数存在すると考えております。しかしながら、当社はマーケットイン志向により顧客ニーズに合わせてサービスの拡充を進め、マーケティングから直販体制により安定的に案件を獲得できる体制を構築し、ディレクションから制作、カスタマーサクセスまで、一気通貫したサービス提供を行える体制を構築することで、競争優位性の向上に努めてまいりました。今後も顧客目線に立ってサービスをより充実させていくと同時に、知名度を向上させ、ユニークなポジショニングの構築を積極的に行ってまいりますが、競合の新規参入により競争優位性が低下した場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④特定の事業への依存について

 当社の売上高は、主力事業であるVideoクラウド事業が2023年6月期で96.4%、2024年6月期で96.9%を占めており、依存が大きくなっております。Videoクラウド事業を展開している市場が拡大していることに加え、顧客数の増加やサービスの拡充等により、今後もVideoクラウド事業は拡大していくものと考えておりますが、顧客数の減少や市場規模の縮小等の要因によりVideoクラウド事業の売上高が減少した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤技術革新への対応について

 当社は、各サービスの価値向上のために有効であると思われる新たな技術やノウハウを積極的に取り入れ、急速な技術変化や顧客のニーズの変化に応じたサービスの機能拡充及び強化を進めていく方針ですが、これらの技術革新への対応やサービスが遅れた場合や予想外に開発等の費用が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥自然災害・感染症等について

 当社は、台風、地震等の自然災害や感染症等が発生した場合には、速やかに危機対策、復旧対応を行うよう努めておりますが、当該事象による営業活動への影響等、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業体制に関するリスク

①特定の人物への依存について

 当社の代表取締役社長である三輪幸将は、当社の最高経営責任者であり、経営方針や事業戦略の決定、開発、サービスラインナップ、商品コンセプト等に関してリーダーシップを発揮しており、当人の属人的な能力に依存しております。そのため、各事業部門のリーダーへ権限委譲を進めることで、当人に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、万が一、当人に不測の事態が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②人材の採用・確保について

 当社では、今後の事業展開のため、優秀な人材の確保が重要であると考えております。人事制度の見直しや社内教育等を行うことによって体制の強化に努めるものの、DXコンサルティングや顧客の課題に応じたソリューションを提案できる人材の争奪により、優秀な人材の採用や確保が困難な場合や、人材が外部に流出してしまう場合には、事業拡大の計画遅れやサービスレベルの低下を招くおそれもあり、結果として当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③システム障害について

 当社は、安定的に商品・サービスを提供できる環境と社内インフラを構築するために、社内リソースだけに頼らず積極的に外部の商品・サービスも取り入れシステム環境を構築しております。また、ウイルスやハッカー対策を中心としたセキュリティ対策も積極的に行っております。しかしながら、想定を超えたシステム障害、自然災害、テロ等によりコンピューターシステムが停止し、又はインターネット回線の接続が不能となった場合、当社の業務遂行に支障をきたすリスクがあり、当該リスクが顕在化すると、機会損失の発生、代金の返還、損害賠償の支払、社会的信用の失墜等を通じて当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④顧客へ提供するクラウドサービスについて

 当社は顧客に対してクラウドサービスを提供しております。クラウドサービスは、通信ネットワークやサーバー等のネットワーク機器の環境に依存しております。そのため、当社では障害への適切な保護・対応手段を講じておりますが、災害や事故等の発生により通信ネットワークやネットワーク機器に不具合が発生した場合には、安定したサービス提供を行うことができなくなる可能性があります。この場合、信用低下や企業イメージの悪化等により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤訴訟及びトラブル等に関するリスクについて

 当社は、継続的にコンプライアンス研修を行い、健全かつ透明なビジネス活動の実践に努めておりますが、当社の商品・サービスに対する信頼性の低下やクレーム等が発生する可能性があります。また、弁護士等をはじめとする外部専門家に事前相談すること等により、適切かつ適法な対応に努めておりますが、すべての訴訟等の可能性を排除することは困難であり、法令違反等の有無に関わらず訴訟を提起される可能性があります。万が一、当社に対して訴訟や法的手続きが行われた場合、訴訟の内容及び金額によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥専門事業者の活用について

 当社では、実写やアニメーションの映像だけではなく、マンガを使った動画制作や、イラストを動かすLive2Dでの作画、3Dグラフィックでの制作も可能であり、様々な動画制作専門業務分野ごとに特定のパートナー企業を選定し、相互協力してサービスを提供しております。各パートナー企業に不測の事態が生じ又は市場の逼迫等によりパートナー企業への発注費用が上昇すると、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社はパートナー企業の選定を、その業績、業界での評判、従前の当社との取引関係等を勘案して慎重に行っており、これに加えて、パートナー企業選定後も、パートナー企業の業務運営の監督及びその提供する成果物の検収、品質レベル評価を厳正に行っております。しかし、パートナー企業の提供する成果物に隠れた瑕疵が存在する可能性がないとはいえず、当該瑕疵によって当社の顧客が損害を被った場合、当社に対する損害賠償請求その他の責任追及又は当社の社会的信用の失墜等によって当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦システムの保守運用を特定のパートナー企業へ依存するリスクについて

 当社は、Videoクラウド事業の運営にあたり、保守運用等を外部パートナー企業に委託し利用しております。現在はパートナー企業との取引関係は安定しているものの、サービスの提供元においてシステム障害が発生する場合や、パートナー企業の事業撤退等により、サービス供給が停止し、代替先を確保できなかった場合等には、Videoクラウドのサービス提供に支障が生じ、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営管理に関するリスク

①法的規制について

 当社は、「著作権法」「不当景品類及び不当表示防止法」「商標法」「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」「下請代金支払遅延等防止法」といった法的規制の対象となっております。当社は、コンテンツ制作過程においてコンテンツ審査専門業者による審査を実施するなど、法的規制を遵守する体制を構築しております。また、現在のところ、当社の事業の阻害要因となる直接的な法規制又は業界の自主規制はありません。しかし、事件・事故等を起因に世論が規制強化の方向に流れた場合や諸外国の規制や司法判断による影響を受け、我が国でも規制強化が行われた場合等、動画配信プラットフォームサービスに係る法規制又は自主規制が強化される可能性があります。現時点でその規制内容を予測することは困難でありますが、その内容如何によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②知的財産権について

 当社は、現在、一部の商品・サービス名称について商標登録を行っております。一方、当社による第三者の知的財産権侵害の可能性については、コンテンツ制作過程においてコンテンツ審査専門業者による審査を導入し、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、表示と異なる素材の権利者が存在した場合等、当該侵害のリスクを完全に回避できる保証はなく、当社において、第三者が保有する知的財産権の侵害が生じた場合、当該第三者より、損害賠償請求、差止請求、あるいは使用料支払要求等を受けた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③情報資産の管理について

 当社は、事業推進にあたり顧客企業等の機密情報及び個人情報を入手する場合があります。そのため当社は、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられており、これらの情報資産の管理を事業推進上の重要事項と認識しております。そのため個人情報管理規程等を制定し厳格に管理するとともに、コンプライアンス研修等を通じて継続的に社員教育を行うなど管理体制の構築に積極的に取組んでおります。しかしながら、今後顧客情報の流出等の問題が生じた場合には、損害賠償請求や信用低下等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④内部管理体制について

 当社は、今後更なる事業拡大を図るために、内部管理体制についても一層の充実を図ることが必要であると考えております。しかし、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない場合、適切な事業運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他

①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、長期的な企業価値の向上に対する役員及び従業員の士気を高める目的等のため、新株予約権を発行しております。当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は157,000株であり、発行済株式総数4,627,200株に対する潜在株式数の割合は3.4%に相当しております。これらの新株予約権が行使された場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

②大株主について

 当社の代表取締役社長三輪幸将による保有株式の総数は2,141,500株であり、当事業年度末現在で発行済株式総数の46.28%となっております。代表取締役社長三輪幸将は安定株主として引き続き一定の議決権を有し、議決権の行使にあたっては少数株主の利益にも配慮しつつ株主共通の利益を追求する方針です。しかしながら、何らかの事情で当該株式を売却する等の理由により株式数が減少し、議決権比率が低下した場合には、当社株式の市場価格や議決権の行使状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③配当政策について

 当社は、株主に対する利益還元とあわせて、財務体質を強化し、より一層の競争力強化を経営上の重要課題として位置付けております。当社は成長過程にあり、内部留保を充実させて、事業拡大のための新規投資を実行することが、長期的に株主に対する利益還元に資すると考えております。

 そのため、創業から配当は実施しておらず、今後におきましても将来の事業投資と経営基盤の強化を目的に適正な内部留保を確保することを基本方針としております。なお、今後は株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、業績と市場動向の状況に応じて柔軟な対応を行っていく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産の部)

 当事業年度末における総資産は2,581,396千円となり、前事業年度末と比較し195,132千円増加いたしました。

 流動資産は2,147,695千円となり、前事業年度末と比較し76,904千円増加いたしました。これは主に、当期純利益238,888千円の計上による現金及び預金の増加25,984千円、未収消費税等(本社移転費用に係る消費税の還付)の増加19,525千円によるものであります。

 固定資産は433,700千円となり、前事業年度末と比較し118,228千円増加いたしました。これは主に、本社移転等による建物附属設備の増加81,518千円、工具、器具及び備品の増加20,759千円、将来減算一時差異の増加による繰延税金資産の増加18,925千円によるものであります。

 

(負債の部)

 当事業年度末における負債は567,078千円となり、前事業年度末と比較し71,708千円減少いたしました。

 流動負債は567,078千円となり、前事業年度末と比較し71,708千円減少いたしました。これは主に、未払法人税等の減少148,681千円、本社移転に伴う賃料増加等による未払金の増加63,958千円によるものであります。

 

(純資産の部)

 当事業年度末における純資産は2,014,318千円となり、前事業年度末と比較し266,841千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ8,256千円増加し、当期純利益238,888千円の計上に伴う利益剰余金の増加によるものであります。

 

②経営成績の状況

 当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症による経済活動の制限が緩和され経済回復が期待される一

方、世界的に金融引締めが進む中で金融資本市場の変動や原材料価格の高騰等、景気下振れリスクが高まり、依

然として先行きが不透明な状態が続いておりました。

 しかしながら、当社の位置するDX市場は2030年に8兆350億円(注)に達する見込みとされる等、社会全体と

してDXへの関心やニーズへの高まりが定着しつつあり、当社にとっては継続的に追い風の状況が続いているもの

と考えております。

 このような環境下において当社は、「誰からも必要とされる会社になる」という経営理念のもと、主力サービ

スである「Videoクラウド」の販売に注力してまいりました。効果的な集客手段や求人方法などに課題意識を持

った全国各地の中小企業事業者や個人事業主向けに、動画の視聴データを有効活用することで、「付加価値の向

上」と「業務の効率化」の両輪から経営課題の改善をサポートし、企業のDX化を推進する事業活動を行ってまい

りました。当事業年度における業績は、セールスコンサルタント数の減少などによりVideoクラウドの獲得が伸

び悩み、前年同期比で減収減益となりました。売上高については、計画をやや下回る推移となり、各段階利益に

ついては、外注費及び原価部門の人件費が増加したことにより前年同期比で売上原価が増加した他、売上高が減

少したことにより売上総利益率が想定より悪化したこと、販売費及び一般管理費の増加により計画を下回る推移

となりました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は2,761,203千円(前年同期比5.2%減)、営業利益は329,301千円(前年同

期比55.4%減)、経常利益は341,736千円(前年同期比54.0%減)、当期純利益は238,888千円(前年同期比

53.2%減)となりました。

 

(注)「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」富士キメラ総研

 

 当社は、「すべての中小企業のDXをサポートする」を新しいミッションとする中期経営計画(2024年6月期~

2026年6月期)を策定いたしました。これまでの「動画を起点としたマーケティングDX」を多くの中小企業・個

人事業主の皆様にご提供し、活動の支援を行っていくとともに、DXを実現するためのソリューションを拡大させ

てまいります。

 これに伴い、当社の今後の経営実態をより適切に反映するため当事業年度より「店舗クラウド事業」について

報告セグメントから「その他」に変更しております。

 この変更により、当社の報告セグメントが「Videoクラウド事業」のみとなり、開示情報としての重要性が乏

しくなったため、セグメント情報を省略しております。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ25,984千円増加し、1,763,158千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は151,305千円(前事業年度は464,848千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益338,237千円(前事業年度は743,469千円の計上)の計上、未払金の増加額による資金の増加63,958千円(前事業年度は2,999千円の減少)、法人税等の支払額263,609千円(前事業年度は215,411千円の支払)によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は141,280千円(前事業年度は83,336千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出122,155千円(前事業年度は6,400千円の支出)、無形固定資産の取得による支出21,101千円(前事業年度は8,520千円の支出)によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は15,959千円(前事業年度390,304千円の獲得)となりました。これは、株式の発行による収入15,959千円(前事業年度は419,252千円の収入)によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社は、生産、受注及び販売の状況については、セグメント情報に代えて事業別に記載を行っております。

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の名称

当事業年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

Videoクラウド事業

2,396,904

89.8

516,120

92.4

合計

2,396,904

89.8

516,120

92.4

 (注) 事業のうち受注販売を行っているのは、制作売上のみであります。上記金額は制作売上の受注高、受注残高であります。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の名称

当事業年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

Videoクラウド事業

2,676,086

95.3

店舗クラウド事業

85,117

81.9

合計

2,761,203

94.8

 (注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 

 また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(のれんの減損)

 当社は、のれんについて10年間の均等償却を行っております。のれんを含むより大きな単位において事業計画どおりに業績が進捗せず、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっている場合や、経営環境が著しく悪化しているような場合には、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたり慎重に検討することとしておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②財政状態の分析

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は2,761,203千円(前年同期比5.2%減)となりました。これは主に、セールスコンサルタント数の減少などによりVideoクラウドの獲得が伸び悩んでいることが挙げられます。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度における売上原価は504,301千円(前年同期比6.4%増)となりました。これは主に、前事業年度同様、動画制作の内製化の向上に努めたものの、外注費単価の高いHP制作納品が増加したことにより売上高外注費率が8.3%(前年同期比0.3ポイント増)へ増加したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の売上総利益は2,256,902千円(前年同期比7.5%減)となりました。売上総利益率は2.0ポイント減少し、81.7%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は1,927,601千円(前年同期比13.4%増)となりました。これは主に、中途採用を積極的に行ったことにより給与手当が26,254千円増加、採用費が29,354千円増加、本社移転により地代家賃が55,081千円増加、支払手数料が35,102千円増加、消耗品費が29,704千円増加、減価償却費が13,534千円増加したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の営業利益は329,301千円(前年同期比55.4%減)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当事業年度における営業外収益は13,637千円(前年同期比0.9%増)となりました。これは主に、顧客からのキャンセルに伴い、逸失利益の補填に係る受取補償金が733千円減少したものの助成金収入が845千円増加したことによるものであります。また、営業外費用は1,202千円(前年同期比86.8%減)となりました。これは主に、株式上場に伴う上場関連費用が8,948千円減少したことによるものであります。

 この結果、経常利益は341,736千円(前年同期比54.0%減)となりました。

 

(特別利益、特別損失、当期純利益)

 当事業年度における特別利益は発生しておりません。特別損失は3,498千円(前年同期は発生しておりません。)となりました。これは、本社移転費用3,498が千円増加したことによるものであります。また、法人税等を99,348千円計上しております。

 この結果、当期純利益は238,888千円(前年同期比53.2%減)となりました。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の運転資金需要の主なものは、外注費、広告宣伝費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 運転資金及び投資資金は自己資金のほか、金融機関からの長期借入により調達することとしております。なお、当事業年度末の現金及び預金は1,763,158千円であり、十分な流動性を確保していると考えております。

 

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、Videoクラウド、DXソリューションの下表の指標を主要な経営指標と位置付けております。

 a.納品件数(注1)

 b.単価(注2)

 

重要な経営指標

2022年6月期

2023年6月期

2024年6月期

Videoクラウド納品件数(件)

1,523

1,795

1,592

Videoクラウド単価(千円)

1,320

1,314

1,270

DXソリューション納品件数(件)

133

148

238

DXソリューション単価(千円)

1,020

1,100

990

(注)1.動画制作サービス及びDXソリューションの納品件数

2.動画制作サービス及びDXソリューションの平均制作単価であり、小数点以下は四捨五入

 

 当該指標に対する今後の方針としては、納品件数の増加、戦略的顧客ターゲット層の引き上げによる単価の向上とそれぞれを強化していくことで、結果として売上高、営業利益の成長に繋げていきたいと考えております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社では、研究開発活動として新サービスの開発等を行っております。

 当事業年度における研究開発活動の総額は1,200千円であります。