第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「あらゆる判断を、Data-Informedに。」をパーパス(企業の目的)として掲げ、「すべての人がデータという武器を有効に用いて論理的に考え、合理的に判断する社会」の実現を目指しています。

当社グループは、業界リーディングカンパニーに対し、データに基づく判断・意思決定(Data-Informed Decision-Making(以下「DIDM」という。))支援を行っています。クライアント企業の個別事情に鑑み、個々の企業が抱える経営課題に応じて、変革すべき業務領域・活用すべきデータ・あるべき判断業務のあり方を検討します。様々な経営課題に対応するにあたっては、お仕着せのデータ分析・型通りのデータ分析では不十分です。当社は、試行錯誤を前提とした、当社独自の柔軟かつ高速なデータ分析手法を用い、クライアント企業が自ら気付きを得て、勘や経験を補強できるような分析アウトプットを提供します。

上記の遂行に際しては、「戦略コンサルティング」「データ・サイエンス」「データ・エンジニアリング」そして「プロダクト開発」の4つのケイパビリティを有機的に連携させております。

こうした活動を通じて、クライアント企業の業務効率向上、成功の再現性向上を実現することで競争力強化及び事業成長を後押ししていきます。

 

(2) 経営環境

各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、データ活用による業務効率化やAIアルゴリズム実装に対する需要を高めていると考えております。また、政府が人工知能(AI)等の最先端技術を社会課題解決に生かす「Society5.0」の一環として、DX推進を目的としたデジタル庁の創設等もあり、ビッグデータの活用やAIアルゴリズム技術等の社会実装を目指す機運がますます高まっております。そうした流れの中で、当社グループのデータインフォームド事業が内包されるビッグデータアナリティクス(BDA)・テクノロジー市場、及びそれを含むAI市場は拡大し続けております。この中でも特に関連の深い国内ビッグデータ/アナリティクス市場は、IT専門調査会社 IDC Japan株式会社によると、企業のビジネスの可視化需要によるビジネスインテリジェンス(BI)市場の継続的拡大、データ活用環境整備に即した構造化データウェアハウス/非構造化データストア等の成長を背景として、2027年までの年間平均成長率(CAGR)は14.3%で、2027年には支出額が3兆541億円に達すると予測されています。(出典:2024年3月21日IDC Japan 国内ビッグデータ/アナリティクス市場 ユーザー支出額予測:産業分野セクター別、2022年の実績と2023年~2027年の予測)

このように、当社が事業を営むビッグデータアナリティクス・テクノロジーの市場は、継続的に高い成長率を維持すると予想しています。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、より高い成長性を確保する観点から、売上高成長率を重要な経営指標と捉えております。さらに、売上高を個別課題解決サービスと共通課題解決サービスに分解し、それぞれ「フロント人員数」、「実施キャンペーン数」を、各サービスにおける売上高を構成する重要な指標として設定しております。加えて、全社的な指標として「取引先別年間取引高構成」を設定しております。

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、更なる成長と企業価値向上を目指し、安定的な収益力の向上とクライアント企業へのサービス提供品質向上に努めつつ、健全たる会社であるべき内部管理体制の強化を継続的に実施することを対処すべき主要課題と捉え事業に取り組んでまいります。また、当社グループの今後の事業拡大のためには、新たな技術に対応するための研究開発や人材への投資等、先行投資及び継続投資が必要となります。将来の資金需要に備え、必要に応じて借入等による機動的な資金調達にて財務基盤の安定化を行ってまいります。

 

 

1.継続的な売上規模の拡大

当社グループが自社の強みであると考える「一気通貫でプロフェッショナルサービスを提供可能」という優位性から、最初のプロジェクトをきっかけとして、クライアント企業に深く入り込み改革推進を支援することが多くあります。当社グループとしてもクライアント企業各社の業務を深く理解し、難解な経営課題を解決し続けていくことは、当社グループの競争力強化にもつながり、そのノウハウを汎用化したプロダクトサービスを生み出す源泉となります。この当社グループが考える精鋭人材を中心としたサービス提供体制を維持することで、継続的な売上規模の拡大に取り組んでまいります。

 

①長期契約の獲得

当社グループはデータ分析を活用したコンサルティング・情報基盤・アプリ構築/仕組化の業務を主としております。その中でも当社グループの価値を最大限に活用できるクライアント企業候補には、高度な経営課題・豊富なデータ・潤沢な投資資金の3つが求められ、そのような企業は限られるため、長期契約の維持・獲得や1クライアント企業における多業務への深耕が重要な課題であると認識しております。現状、経営課題を分析から仕組み構築まで一気通貫に解決していけるという付加価値も相まって当社グループの主要クライアント企業において深耕に取り組んでおりますが、今後も主要クライアント企業との資本業務提携や共同プロジェクトの開始、人材交流の活発化等を軸として継続していく計画です。

 

②DIプロダクト領域の拡大

各業界の東証プライム上場企業をはじめとする大手企業に対するデータ活用診断・情報基盤・アプリ構築/仕組化の両サービスにより培われた技術力、ノウハウをもって汎用的な自社プロダクトを複数開発して提供しております。これらDIプロダクト領域においては自動化・省力化・独自特許技術・アルゴリズムによる競争優位性のある品質・価格設定によって契約獲得数の拡大を目指しております。また、これまでは主に販売パートナーとの取り組みや当社グループ人員による営業活動により契約を獲得してきましたが、今後は強化している当社グループ人員を活用したイベント出展等のマーケティング活動の推進も合わせ、より積極的な拡販に努めてまいります。

 

③サービス提供体制の強化

クライアント企業に付加価値の高いサービスを提供し、当社グループの売上を拡大させるためには優秀な人材確保が必要不可欠であると認識しておりますが、大量一括採用による大幅な人員の増加は計画しておりません。当社グループは採用した人材を短期間で高い能力を持つ人材へと成長させるノウハウを保有しており、クライアント企業に、最先端の技術を用いた付加価値の高いサービスを継続的に提供できる体制を強化しております。加えて、外部の協業パートナーとも協力し、当社グループ専属の人材を長期的にアサインし続けていただくことで、当社グループの業務の進め方並びに品質を深く理解したチームメンバーとともに生産性の向上に取り組みつつ、サービス提供体制の拡大に取り組んでまいります。

 

④投資活動とM&Aの推進

当社グループはこれまで、既存サービス及びその周辺領域における成長を目指し、積極的な投資活動を推進してまいりました。今後も既存プロダクトの新規機能開発や、新事業・プロダクト開発に向けた先行投資等は継続してまいります。それに加えて、今後はM&Aの活用による非連続な成長を目指します。当社グループが課題としている、既存サービスの提供価値・提供規模の強化・拡充や、サービス領域の拡大、企業成長に必要な優秀な人材の獲得等をM&Aの目的と定め、積極的に推進することで持続的な競争力の強化を図ります。

 

2.クライアント企業へのサービス提供品質向上

当社グループは、プロフェッショナルであるという自覚を持ち、常にクライアント企業が想定する品質よりも高い成果を素早く提供し続けてきており、それが競争力の源泉となっていると考えております。さらにその競争力を生み出しているのは優秀な従業員と創業以来蓄積され続けている「戦略コンサルティング」「データ・サイエンス」「データ・エンジニアリング」そして「プロダクト開発」の4つのケイパビリティであり、それを継承させていく教育・育成ノウハウであります。クライアント企業へ高い付加価値を提供できる従業員に対して手厚い社内環境・制度を充実させることにより、クライアント企業へのサービス提供品質のさらなる向上に取り組んでまいります。

 

①技術力の研鑽

当社グループがコアケイパビリティとして定めている「戦略コンサルティング」「データ・サイエンス」「データ・エンジニアリング」そして「プロダクト開発」の4つに関しては、常に新議論・新技術が登場しております。従業員だけでなく取締役も率先して常に最新の情報入手や技術の取得に取り組んでいく必要があると考えております。特に重要と考えられる分野においては、各界のエキスパートを外部専門家として招聘(しょうへい)し、定期的に意見交換・討議を行っております。今後も必要に応じて業務委託契約や学術機関との共同研究なども増加させ、技術力の研鑽を推し進めてまいります。

 

②サービス提供速度の維持・向上

当社グループが優位性として確保しているクライアント企業が抱える経営課題を解決していくための経営課題の分解・変換、データ処理・分析技術、業務への組み込み技術等は、その基本思想から深く理解しなければ高速度でサービスを提供していくことが困難です。そのため、新たに加わる従業員は徹底的に当社グループの分析の基本思想と行動を身に着けます。また個々人ではなくチームとして案件を推進することでサービス提供速度の高速を維持しております。今後もさらなる自動化や業務の仕組化、ノウハウの形式知化を進め、サービス提供速度の向上に取り組んでまいります。

 

③従業員の労働環境の整備

当社は新型コロナウイルス感染症が流行する以前の2019年夏ごろよりリモートワークを試行していたため、同感染症の拡大時にも大きな混乱もなく全従業員が自宅からの業務実施を続けることができました。しかしながら労働環境の管理・向上は当社グループとしての義務であるのみならず競争力強化にもつながることであるため、労働時間の正確な把握や労働環境のヒアリングなどを通じ、必要に応じて制度、ツールの変更や備品の貸し出し・購入補助の実施なども行っております。またオフィスにおいても、高い衛生意識と広い空間を生かし、従業員が安心して最高のパフォーマンスで業務に集中できる職場環境を整えるよう、継続的に取り組んでいます。

 

3.内部管理体制の強化

当社グループは、成長段階にある企業ではあるものの、取締役を筆頭に経営基盤強化本部(コーポレート部門)が中心となり全社的に高いレベルでの内部管理体制を整備し、運用を行っております。加えて、ミドルオフィスの人員強化により、フロント業務をより把握したうえで各種業務を連携できる体制を構築しました。今後のさらなる事業領域の拡大に合わせた柔軟かつ迅速な内部管理体制の継続的な進化と強化に取り組んでまいります。

 

①コーポレート・ガバナンスの確実な実施

適切なコーポレート・ガバナンスの運用のため、代表取締役CEO、代表取締役COO、業務執行取締役、執行役員、各部門長(Division Leader、経営基盤強化本部長及び経理財務部長)によって営業進捗を議論する会議体(名称:Director’s Meeting)並びにその他重要な会議体に常勤監査役が出席しており、健全な議論並びに業務執行監査を担保しております。また業務執行取締役、各部門長(Division Leader、経営基盤強化本部長及び経理財務部長)によって各案件の進捗を議論する会議体(名称:Assign Meeting)を毎週定例的に実施しており、案件の進捗、品質確認だけでなく、全従業員の労働状況の把握も含め、業務執行を相互に確認しております。

上記会議体に限らず、各案件の進捗に関しては、細かいモニタリングに留まらず、多くの情報を業務執行部門とコーポレート部門が相互に確認し合うことにより高度なコーポレート・ガバナンスを実施しております。事業の拡大に伴い、確認・議論が増加することが予想されますが、必要に応じて外部専門家・システムなどを導入し、継続的なコーポレート・ガバナンスの確実な実施を進めてまいります。

 

②リスク・コンプライアンスに関する取り組みの強化

業務遂行上のリスクの把握、対応策の策定を確実に実施するため、経営基盤強化本部長を委員長としたグループ・リスクマネジメント委員会を設置しております。当委員会は、毎四半期定例で業務フローに沿ったリスクの洗い出しや、テーマを絞ったリスク並びに対応策の議論を実施し、全社的なリスクの把握及びリスクマネジメント体制の強化に努めております。また、コンプライアンスに関する取り組みにおいては、総務人事部が主管となり、各部門のコンプライアンスに関する課題を継続的に検討し、法令や社会的規範等の順守に対する意識の定着と運用の徹底を図っております。

 

③情報セキュリティの強化・セキュリティ強度の維持

当社グループは、その事業の特性上、クライアント企業の経営情報、機密情報、トランザクションデータなどの重要なデータ・情報を取り扱う場面が多く存在します。情報セキュリティガイドラインの制定や従業員に対するセキュリティ教育だけでなく、外部専門家による定期的なセキュリティチェックも継続的に実施しております。また個人情報の取り扱いに関しては、そもそもの取り扱う個人情報の量の最小化を図るとともに規程・運用管理体制の整備を通じ、プライバシーマークを取得しております。今後も確実な運用に留まらず継続的な社内教育・研修の実施やセキュリティに関するシステムの整備を継続して行ってまいります。

 

4.流動性の確保及び企業価値の拡大

当社の流通株式比率は上場に伴い実施する公募及び売出しによって取引所が定める形式要件を充足しております。当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上の観点から、事業の推進やIR活動の促進・強化を図るとともに、実施可能な資本政策を適宜検討し、流動性確保に努めることを方針としております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループはデータインフォームド事業を通じてクライアント企業の抱える課題を解決し、クライアント企業の持続的な発展をご支援しております。それに際して、当社グループの提供するコンサルティングサービスは、クライアント企業を含む社会全体の持続的発展を下支えするものであるべきだと考えております。翻って、昨今の社会情勢に鑑みますと、各企業の直面する課題が複雑化・高度化し続けているのは明らかです。

こうした社会全体の複雑化が進むことで、人間社会および地球環境の在り方に大きな影響を与えます。そうした変化を敏感に捉え、持続可能な社会の実現を推進することが、当社グループ、あるいは当社グループのクライアント企業を含む全ての企業体の使命であると言えます。2015年9月の国連サミットにおけるSDGsの全会一致での採択を踏まえ、当社グループも、社会の一員としてサステナビリティ実現に向けた活動を行う必要性を強く感じております。

当社グループの推進するデータインフォームド、すなわち、データ“も”用いて判断、意思決定を行うという行動様式は、企業活動の効率向上に著しい貢献をするものと考えております。例えば、当社の技術はMaaS(Mobility as a Service)の実現のために活用されています。こうした取り組みは、社会全体の無駄を排除し、持続的な発展を可能とすることに大きく寄与しているものと認識しております。当社グループはこのデータインフォームドという行動様式を世の中に普及させることを目指し、クライアント企業のサステナビリティ経営の実現のためにサービスを提供し続けることで、持続可能な社会と経済成長の実現に向けて貢献してまいります。

このようなデータインフォームドという行動様式の普及および、クライアント企業の発展に資する継続的なサービス提供のためには、人的リソースの確保が不可欠と考えております。このことから、当社グループでは「従業員」を最重要マテリアリティに設定しております。また、「あらゆる判断を、Data-Informedに。」というパーパスを基盤とした「行動指針(=高いマインドを持ち、行動に移していく実現力)」を定義しており、当社グループにおけるプロフェッショナリズムを具体的に表現したものとなっております。これを人材育成の過程で従業員に浸透させることで、組織としての方向性・ベクトルを一致させるとともに、各自高いプロフェッショナリズムをもって日々の業務を遂行することにより価値創出を推進してまいります。

 

(1) 具体的施策

当社グループは、クライアント企業のサステナビリティ経営の発展に資する継続的なサービス提供の拡充のため、継続的な人的リソースの確保・拡大が必要と考えております。そのために、当社グループのパーパスを実現していくプロフェッショナリズムを持った人材を育成することが重要となります。人材育成は、当社グループにおけるプロフェッショナリズムを具体的に定義した行動指針に基づいて実施しております。また同時に、多様な人材が長期にわたりポテンシャルを最大限に発揮して働けるための環境を整えることで、従業員一人ひとりの成長および生産性の向上を目指しています。当社グループでは以下のような施策を実施しており、これらにより、当社グループ及びクライアント企業のサステナビリティの実現に寄与するとともに、当社グループの企業価値の向上にも寄与するものと考えております。

 

◆人材育成

当社グループでは行動指針に基づいて人材の評価や育成を行っておりますが、育成において「アセットベースの人材育成」を重視しております。創業以来、当社グループはクライアント企業をデータインフォームドな状態に変革すべく、あらゆる業種・業態の様々なデータの分析を行ってまいりました。この長年にわたり培ってきたデータ分析のノウハウやモジュール群をアセットと位置づけ、このアセットを活用することで、データ分析手法を身に着けた人材を短期間で育成することを可能にしております。

ここでいう“アセットの活用によるデータ分析手法”は、分析スキルを身に着けることのみを指すのではなく、“クライアント企業の判断がより良い方向に向かうためにデータをどのような目的で活用するか”という思想の部分を兼ね備えていることが重要となります。すなわち、当社グループならではのデータ活用やデータの可視化における基本的な思想を身に着け、クライアント企業の事業課題にどう向き合うかに重きを置いております。このようなアセットベースの人材育成を実現するために、採用・育成・評価が重要となります。

①採用

当社グループのアセットベースの人材育成において、優秀な人材は不可欠です。優秀な人材とは、いわゆるコンサルタント経験者やデータサイエンティストを指すのではなく、背景を理解したうえでアセットを使いこなし、クライアント企業の事業課題に適切に向き合える人材を指します。そのため、採用する人材は業種・業界などのバックグラウンドのみならず、性別やキャリア、宗教、地域を問いません。このことから、多様性のある人材を獲得するうえで採用上の制限を可能な限り小さくすべく、多くの施策・制度を設けております。

a.フルリモートワーク制度導入による居住地に左右されない採用

b.ポテンシャル採用(データサイエンティスト・エンジニアの未経験者の採用)

c.リファラル採用

②育成

アセットベースの人材育成は、アセットの礎となる思想の理解から始まり、アセットの使い方・活用方法を覚えた後、実際のプロジェクトの現場でアセットを使うことで思想を体得します。さらに、実際のプロジェクトでアセットを用いて効率的に遂行するといった、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて育成しています。この一連の育成手法に関して一定の方法論を確立したことで、様々なバックグラウンドを有する多様性のある人材に対し、数週間~半年という短い期間で業務の遂行に必要な最低限のレベルまで育成する体制を構築しております。

③評価

当社グループはアセットベースでの人材育成を行うことで、未経験人材も早期に戦力化することができます。併せて、従業員の更なる成長を期待し、「リアルタイムプロモーション」という毎月人事考課を可能とする制度を導入しております。成長を続ける者に対し、成長を適時・適切に評価し昇格を認めることで、一層の成長を促す人事評価制度となっております。また、人事評価制度には性別の違いに基づいた区分は設けておらず、多様性確保を基礎とした公正な評価制度となっております。また、成長を支援するための施策を実施しております。

 

◆社内環境整備

当社グループの社内環境整備の在り方は、優秀な人材を採用することを可能とし、また、高い生産性を発揮できるためのものとなっております。良好な就労環境とするための制度や、ライフステージの変化の際にも柔軟に働き方を変えることで長期にわたる勤続を可能とする制度等、様々な施策・制度を導入し、人材育成の下支えとなる環境を整備しております。このような柔軟性の高い働き方は、働く方がプロフェッショナルであることを前提に成立すると考えております。求められる成果を出すだけでなく、さらに自身のスキルを向上させ、組織全体の生産性向上に寄与することを目指す集団だからこそ、「柔軟な働き方」が運用可能となっております。

当社グループでは以下のような施策を実施しており、最重要マテリアリティである「従業員」が、より働きがいのある人間らしい働き方ができる環境を整えております。

①コアタイムの無いフルフレックス(月内変形労働制)

②フルリモートワークとそれを支えるツールや施策

③過度な勤務防止のための就業時間管理

④ストックオプション制度

⑤持株会制度

⑥副業許可

 

(2) 指標

当社グループの従業員に関する指標は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載の通りです。

 

(3) ガバナンス及びリスク管理

当社グループの事業を取り巻く様々なリスクに対し的確な管理・運営を行うために、定期的に潜在リスク情報を集約しております。具体的には、「グループ・リスクマネジメント委員会」において、その影響の重要度と対応方針を評価しています。また、当委員会で評価されたリスクの内容は四半期に一度、取締役会に報告されています。

サステナビリティの取り組みにおけるリスクについても、発生事象や対応策が既知の事業リスクと共通する点も多いため、上記「グループ・リスクマネジメント委員会」において統合して運用しております。

また、当社グループが最重要マテリアリティと定める「従業員」すなわち人材については、上記「グループ・リスクマネジメント委員会」に加え、毎月の定時取締役会において、入社者、退職者、内定状況等の報告を実施しております。当社グループのリソース確保に関するモニタリング活動を、経営陣が直接行うことで、課題の早期検知及び対策検討を実現しています。加えて、プロジェクトのリソース状況を定期的に確認するとともに、各従業員の勤務実態や活動状況を把握することに努めています。これにより、当社グループの人的リソースの有効活用を図りつつ、従業員の労働環境の改善・勤務時間の平準化等の働き方改革を推進しています。

 

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下の通り記載しております。

当社グループのリスク管理体制に関しましては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ 企業統治の体制の概要 (グループ・リスクマネジメント委員会)」に記載のとおりであります。

なお文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。

 

1.業界及び景気動向の変動による影響

クライアント企業を取り巻く労働人口減少やIoT化の進展、企業競争環境の激化などの動向により、当社グループの関連市場は大幅な拡大が予測されています。しかし当社グループのクライアント企業や当社グループが提供するサービスの導入予定企業の業績による影響、他の経営改革案件や技術への投資変更による影響を受ける可能性があります。当社グループにおいては国内外の経済情勢の変動に伴う事業環境の悪化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

2.人材の確保・維持及び育成

当社グループは、優秀な戦略コンサルティング素養とデータサイエンス素養を併せ持つ人材を獲得・確保・維持・育成を進めることで事業を推進・拡大しております。しかしながら、内部における人材育成・教育、並びに外部からの人材採用が想定通りに進まないことなどによる人的リソースの不足がある場合、当社グループの経営成績及び業績に影響を与える可能性があります。

 

3.技術革新による影響

当社グループが事業を展開するアナリティクス・AI業界は、技術の変化やそれに対するクライアント企業のニーズの変化、競合の新サービス・アルゴリズムの展開などにより日々変化しております。当社グループは不変的な経営課題設定力や問題解決力と汎用的なアナリティクス力を主軸とし、それに対して最先端の機械学習・深層学習技術・自然言語処理技術などを組み合わせていく形をとることで技術革新の変化が直接的に当社グループのサービス品質や業績に影響が出にくいビジネスモデルを構築しております。しかしながら予想以上の破壊的なイノベーションの進展などにより、当社グループの競争力に影響を及ぼすような代替技術や高度技術の大幅な汎用化等が発生した場合、当社グループの経営成績及び業績に影響を与える可能性があります。

 

4.情報及び情報システムの管理

当社グループは、事業推進において、クライアント企業から経営戦略上重要な経営機密・営業機密・人事機密などの情報を受領し、分析することによって助言等の業務を行っております。情報の取扱いについては、各種規程の整備や認証の取得に加え、社員を含む関連する当事者(業務委託先を含む)からの誓約書の提出、コンプライアンス教育などを実施し、適切な運用を行っております。またクライアント企業から受領した情報・データに関しては施錠できる環境下での保管、社員個々人のID及びパスワードでのみアクセス可能なクラウド環境での運用を行っております。しかしながら、ヒューマンエラー等、その他予期せぬ要因による情報漏洩の発生、悪意を持った外部からのクラウド環境の破壊などによる情報の破損や滅失が発生した場合、当社グループが損害賠償責任を負う可能性や、クライアント企業からの信用失墜により当社グループの経営成績及び業績に影響を与える可能性があります。

 

5.コンプライアンス体制

当社グループは、事業の推進並びに拡大に対して、コンプライアンス体制が有効かつ適切に機能することが重要であると認識しております。そのためコンプライアンスに関しては、総務人事部が主管となり毎月の全社会議における周知徹底を行うとともに、社内規程・規則を策定しております。また、当社グループは、経営体質の強化及び経営の透明性・健全性を一層向上させることを目的に、グループ・リスクマネジメント委員会を任意の委員会として設置しています。同委員会は経営基盤強化本部長を委員長とし、執行役員、Division Leader等の部署長、子会社役員により構成され、オブザーバーとして常勤監査役、内部監査室長が参加し、リスクマネジメントに関する統括的監督機能を持ち、当社グループ全体の各種リスクに対する対応方針及び組織ごとのリスク対策について指示・監督等を行い、その状況を取締役会に報告しております。しかし、故意あるいは想定できない重大なコンプライアンス違反や法令違反があった場合、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの企業価値及び業績や事業に影響を与える可能性があります。

 

6.特定の売上先への依存

当社グループが提供するDIコンサルティングやDIプラットフォームのサービスはクライアント企業に深く関与し、クライアント企業の変革を共に推進するという性質上、特定のクライアント企業に関連する売上金額が高まる傾向にあります。単一のクライアント企業でありつつも、複数の部門部署別での契約の締結や分野の違う案件の獲得などを行っておりますが、クライアント企業自体の業績悪化、カウンターキーパーソンの異動・転出、当社グループに対するクライアント企業内評価の変動等が発生した場合、当社グループの経営成績及び業績に影響を与える可能性があります。具体的には、当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、西日本旅客鉄道㈱1,121,143千円(52.9%)、アサヒグループジャパン㈱452,361千円(21.4%)であります。

 

7.新規事業について

当社グループのDIプロダクト領域は、そのサービス特性から業界を横断してサービスを提供することが可能なビジネスモデルです。今後も、多種多様な業界向けに新サービス・事業の展開を推進してまいります。また同時に、DIコンサルティング・DIプラットフォーム領域においても、将来の事業拡大に向けた投資を推進しております。これら拡大・推進に伴い、人的並びにシステム・ソフトウェアに対する投資の増加といった支出が追加的に発生する可能性があります。加えて、今後はM&Aの活用による非連続な成長を目指します。これらの将来に向けた積極的な投資・M&A活動により、利益率の低下を引き起こす可能性があります。また新規事業及び買収企業・事業の開始・拡大・展開が計画通りに進展しない場合、当社グループの経営成績及び業績に影響を与える可能性があります。

 

8.知的財産権

当社グループが、第三者の知的財産権を侵害する可能性につきましては、特許事務所と密な連絡体制をとることにより、調査可能な範囲で対応を行っております。しかしながら密な調査・把握をもってしても、当社グループが意図せず第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性を完全に排除することは困難です。この場合、損害賠償請求や知財ロイヤリティ料金の支払等により当社グループの事業、企業価値及び業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループの知的財産権に対する第三者による侵害に対しては、同種サービス・事業の継続的な調査・把握を行っております。しかしながら密な調査・把握をもってしても、当社グループの知的財産権に対する第三者による侵害を完全に予防することは困難です。この場合、知的財産権の保護が損なわれることにより当社グループの事業、企業価値及び業績に影響を与える可能性があります。

 

9.法的規制・制度の動向による影響

当社グループが、データアナリティクスに用いているデータは個人が特定できない統計データであることに加え、データ収集・保管を行っているクライアント企業やデータ提供企業自身が顧客やデータ入手先よりデータ分析許諾を得たデータのみです。またデータの授受・分析環境への送信などにおいてはインターネットを用いることから、現在の関連する法律としては、個人情報保護法となりますが、現時点では当社グループが行う事業そのものを規制する法律・法令はありません。また、当社グループが扱うデータは前述の通り、個人を特定できないデータがほとんどでありますが、重要データとの認識に鑑み、個人情報保護に関するJIS Q15001(プライバシーマーク)の認証を取得しております。しかしながら、今後の法律・法令の変化や規制・制度の適用基準の変化、業界の自主的ルールの策定などが行われた場合、当社グループの事業、企業価値及び業績に影響を与える可能性があります。

 

10.特定の業務委託先への依存

当社グループの事業推進並びに展開に際しては、高度な技術力と不確定な要件からアジャイル的にプロジェクトを進めていく経験・知見が重要になります。そのため、当社グループは特定領域の専門家に業務を委託しております。複数の委託先への業務分散を推進しておりますが、特に高度な技能等が必要になる案件の増加により、必要な業務委託先を確保することができない場合、当社グループの経営成績及び業績に影響を与える可能性があります。

 

11.外部クラウドサーバーへの依存

当社グループが提供するDIコンサルティングにおいては、当社グループが契約するクラウドサービス上に顧客データをお預かりし、その上で分析等を行った結果を顧客企業に提供しております。またDIプロダクト領域においても当社グループが契約する外部のクラウドサービスをベースとして顧客企業にソリューションを提供しております。

当社グループはGoogle LLCが提供するGoogle Cloud Platform、Microsoft Corporationが提供するAzure及びAmazon Web Services, Inc.が提供するAmazon Web Servicesと、3つのクラウドサービスと契約しており、いずれかのサービスに障害が起きても、他のクラウドサービスにて業務が継続できる対応体制を整えております。更には、各クラウドサービスのリージョンにおいても冗長構成となっていることに加え、仮にリージョン内での障害が発生しても、当社グループは他リージョンへの切り替えによる復旧体制を構築しており、数時間のサービス提供遅延は出るものの、復旧に向けて迅速に対応できる体制を整えております。また、DIプラットフォームにおいては顧客企業が契約するクラウドサービス上に各種プログラム・アルゴリズムを構築することが多いため、クラウドサービスの障害は当社グループのソリューション提供に間接的には影響を受けるものの、直接的な被害が生じることはありません。

しかし、当社グループが契約するクラウドサービス全てが同時にシステムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等や当社グループの想定していない事象の発生により停止した場合や、コンピューター・ウイルスやハッカーの侵入その他の不具合等によりシステム障害が同時に生じた場合、又は契約が解除される等により全てのクラウドサービスの利用が継続できなくなった場合には、当社グループの経営成績及び業績に影響を与える可能性があります。

 

12.自然災害

当社グループによる予測が不可能かつ突発的な、大規模な地震等の自然災害、事故、戦争などにより、当社グループの各事業所並びに従業員の自宅をはじめとした社会インフラが壊滅的な損害を被る可能性があります。このような自然災害に備え、強固なビルへの入居、従業員安否確認の連絡フロー整備、データのクラウド上での保存、食料等の備蓄等の準備並びに注意喚起を行っておりますが、想定を著しく超える範囲での損害の場合は、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの経営成績及び業績に影響を与える可能性があります。また当社グループが被災しない場合でも顧客企業や外部パートナー企業の被災により、間接的に損害を被る可能性もあります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の回復も含め景気は緩やかに回復しているものの、円安の進行やエネルギー価格の高止まり、物価上昇による景気の下振れリスクの懸念もあり、先行き不透明な状況が続いています。そのような中、各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、データ活用による業務効率化やAIアルゴリズム実装に対する需要を高めていると考えております。また、政府が人工知能(AI)等の最先端技術を社会課題解決に生かす「Society5.0」の一環として、DX推進を目的としたデジタル庁の創設等もあり、ビッグデータの活用やAIアルゴリズム技術等の社会実装を目指す機運がますます高まっております。そうした流れの中で、当社グループのデータインフォームド事業が内包されるビッグデータアナリティクス(BDA)・テクノロジー市場、及びそれを含むAI市場は拡大し続けております。この中でも特に関連の深い国内ビッグデータ/アナリティクス市場は、IT専門調査会社 IDC Japan株式会社によると、企業のビジネスの可視化需要によるビジネスインテリジェンス(BI)市場の継続的拡大、データ活用環境整備に即した構造化データウェアハウス/非構造化データストア等の成長を背景として、2027年までの年間平均成長率(CAGR)は14.3%で、2027年には支出額が3兆541億円に達すると予測されています。(出典:2024年3月21日IDC Japan 国内ビッグデータ/アナリティクス市場 ユーザー支出額予測:産業分野セクター別、2022年の実績と2023年~2027年の予測)

このような環境の下、当社グループは「あらゆる判断を、Data-Informed(データインフォームド)に。」をパーパスとして掲げ、業績拡大を目指しております。当社グループの掲げる「データインフォームド」は、データを用いて論理的に考え合理的に判断することで、人間による意思決定の精度を高め、事業運営における再現性を高めることを狙いとしております。当社グループは、このような“人間が判断の主体となる”ことを前提にしたデータ活用を推進する「データインフォームド市場(DI市場)」をターゲット市場と定義し、クライアント企業のニーズに合わせてDIコンサルティング・DIプラットフォーム・DIプロダクトの3つのサービス(総称:DIサービス)を柔軟に組み合わせて提供しております。データインフォームドな判断をクライアント企業の各種業務に組み込むことで、業務における判断の精度が向上し、経営課題解決及び競争力強化が実現されます。昨今の不安定な社会情勢や経済環境においては、データインフォームドに対するニーズは日々高まっております。

当連結会計年度も「データインフォームド」の思想に共感する多くのクライアント企業から価値提供の機会を頂戴しました。前事業年度に引き続き、特に大手既存クライアント企業において、既取引部門・取り組み中の領域におけるDIサービスの利用継続・拡大(縦展開)及び、同社内の新規領域へのDIサービスの提供(横展開)が順調に進展いたしました。また、並行して強化しております既存及び新規プロダクトの推進につきましても、JR東海グループの駅商業施設で使える共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」と「マイグル」の連携や、トヨタモビリティパーツ株式会社と共同開発した「AI整備見積りシステム」の提供開始等、順調に進捗いたしました。売上成長の実現にあたっては、①縦横展開を加速するための、人材育成及びアセット活用の継続的な強化活動、②協業を核としたデータインフォームド思想の啓発活動及び営業体制・デリバリー体制の強化、③DIプロダクトサービス「マイグル」の拡販及び機能強化、の3つの領域に注力しました。①に関しては、前事業年度に引き続き、プロジェクト推進で培った当社グループ独自のノウハウをマニュアル、ツール、プログラム等の形式でアセット化し、再利用性を高めています。また、当該ノウハウを基にした人材育成に関しても、日々ブラッシュアップを重ね、効率性を高めています。データサイエンティスト及びエンジニアの採用活動の強化も順調に進捗しており、期初想定以上の人材採用も実現しています。②に関しては、2023年9月、西日本旅客鉄道株式会社との合弁会社設立を発表し、同年10月2日に合弁会社である「株式会社TRAILBLAZER(トレイルブレイザー)」を設立しました。将来的に不足が懸念されている高度デジタル人材を確保・育成し、JR西日本グループの業務プロセス改革及びビジネスモデル変革を一層強化してまいります。③につきましては、DIプロダクトサービス「マイグル」が順調に拡大している中、2023年8月、サービス価値の向上を目的としてブランディング/クリエイティブデザイン事業を行う完全子会社「株式会社ギディア」を設立しました。また、本年1月には「SCビジネスフェア2024」に出展、5月にはLINEヤフー株式会社主催イベント「Hello Friends! W!th LINEヤフー」に出展しイベントコンテンツにも採用される等、積極的な拡販施策に取り組んでいます。加えて、「マイグル」を活用したスマートシティ向けサービスを共同開発することを目的に、本年3月、三井不動産株式会社、一般社団法人UDCKタウンマネジメントと業務提携契約を締結いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,117,723千円、営業利益は133,830千円、経常利益は132,984千円、親会社株主に帰属する当期純利益は88,195千円となりました。

なお、当社グループはData-Informed事業のみの単一セグメントであることから、セグメントごとの記載を省略しております。

 

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は2,226,616千円となりました。この主な内訳は、現金及び預金が1,772,349千円、売掛金及び契約資産が409,844千円であります。固定資産は125,831千円となりました。この主な内訳は、投資その他の資産76,679千円であります。

この結果、総資産は、2,352,448千円となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は305,384千円となりました。この主な内訳は、未払金147,535千円であります。固定負債は35,240千円となりました。この内訳は、資産除去債務が35,240千円であります。

この結果、負債合計は、340,625千円となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は2,011,822千円となりました。この主な内訳は、資本剰余金1,158,459千円であります。

この結果、自己資本比率は84.1%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,772,349千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は62,514千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が133,909千円であったものの、法人税等の支払額が182,150千円、売掛金及び契約資産の増加が102,971千円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は14,407千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,554千円、事業譲受による支出4,720千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は50,074千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出50,004千円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループはData-Informed事業を営んでおり、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社グループはData-Informed事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

当連結会計年度

(自 2023年7月1日  至 2024年6月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

2,219,198

582,297

(注)金額は販売価格によっております。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社グループはData-Informed事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

当連結会計年度

(自2023年7月1日  至2024年6月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

2,117,723

(注)当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自2023年7月1日

至2024年6月30日)

金額

(千円)

割合

(%)

西日本旅客鉄道㈱

1,121,143

52.9

アサヒグループジャパン㈱

452,361

21.4

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

③資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状況を目指し、安定的なキャッシュ・フローの創出に努めております。運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービス提供のための人件費や外注費等の営業費用によるものの他、納税資金等であります。運転資金は、手持資金、銀行借入及び新株発行により資金調達を行っております。今後も事業活動を支える資金調達については、低コストかつ安定的・機動的な資金の確保を主眼にして多様な資金調達方法に取り組んでまいります。なお、事業拡大に伴う研究開発投資の増大や人件費投資の増大といった多額の先行投資が見込まれる場合、これら資金需要に対応するため、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達することを予定しております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成しております。この財務諸表作成における見積りにつきましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。なお、この財務諸表の作成に関する重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

⑥経営者の問題意識と今後の方針について

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

 

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、より高い成長性を確保する観点から、売上高成長率を重要な経営指標と捉えております。さらに、売上高を個別課題解決サービスと共通課題解決サービスに分解し、それぞれ「フロント人員数」、「実施キャンペーン数」を、各サービスにおける売上高を構成する重要な指標として設定しております。加えて、全社的な指標として「取引先別年間取引高構成」を設定しております。これらの指標の推移は以下の通りです。

決算情報等

前事業年度

(自2022年7月1日

至2023年6月30日)

当連結会計年度

(自2023年7月1日

至2024年6月30日)

売上高(千円)

1,686,061

2,117,723

各種指標

前事業年度

(自2022年7月1日

至2023年6月30日)

当連結会計年度

(自2023年7月1日

至2024年6月30日)

前期比売上高成長率(%)

159.5

個別課題解決サービス:フロント人員数(名)

20

29

共通課題解決サービス:実施キャンペーン数(件)

259

406

全社:取引先別年間取引高構成(社)

 A区分(1億円以上)

 

3

 

3

 B区分(10,000千円以上1億円未満)

6

9

 C区分(10,000千円未満)

39

57

(注)当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期比売上高成長率は記載しておりません。

 

個別課題解決サービスにおける重要指標である「フロント人員数」については、将来の事業拡大に向けた人材採用を強化しており、当連結会計年度末は前事業年度末と比べて9名増の29名となりました。新規採用者向け教育への工数振り向けや、案件の性質等により、1人当たり売上高は一時的に低下しましたが、中期視点での人員増強であり、将来の売上貢献を予定しております。

また、共通課題解決サービスにおける重要指標である「実施キャンペーン数」につきましても、前事業年度の259件から、当連結会計年度は406件となり、商業施設や行政における採用・導入が順調に拡大しております。

全社指標である「取引先別年間取引高構成」につきましては、年間1億円以上の取引高がある「A区分」は前事業年度の3社から変化がなかったものの、年間取引高が10,000千円以上1億円未満の「B区分」は6社から9社、10,000千円未満の「C区分」も39社から57社と拡大しております。A、B、Cそれぞれの区分におけるクライアント数を増やすとともに、CからBへ、BからAへ移行させることを目指す方針の元、活動を推進しております。

なお、当該指標に関する有限責任監査法人トーマツの監査及びレビューは受けておりません。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、既存サービスの発展や顧客ニーズに対応するため技術面における研究開発に取り組んでおります。特に、最先端技術の当社サービスへの適用検討や研究論文の実務への応用可能性の探求といった基礎研究要素の強い開発活動を行っております。また、より質の高いデータ分析業務の提供を目的にデータ分析業務の効率化に通じる開発活動及びプロダクトの機能追加開発も進めており、これら研究開発の結果、すでにクライアント企業へのサービス提供に役立てられております。これら研究開発活動は当社グループ従業員のほか、専門性の高い業務委託先との連携によって行われております。当社グループの研究開発活動の金額は、90,871千円(売上原価に32,237千円が含まれております)であります。

なお、当社グループはData-Informed事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。