第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国の経済は、記録的な円安による物価の上昇の影響が懸念され、引き続き先行き不透明な状況が続いております。このような物価上昇等のIT投資抑制要因となり得る要素はあるものの、「2025年の崖」(注1)が迫る状況下、国内企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)に対する投資意欲は引き続き底堅く、企業の情報化投資は当面堅調に推移するものと見込まれており、当社グループが事業を行うクラウド(注2)関連市場におきましても非常に強いニーズが継続しております。

 クラウド関連市場のニーズの高まりに対し、当社グループが主力事業を行うセールスフォース関連市場では、質の高いサービスの提供が出来る人材の確保や育成、再教育(リスキリング)が重要と考えており、継続して積極的な採用、独自のエンジニア育成に取り組んでおり、質量共に業界トップクラスの認定資格者を有しております。これによって、開発案件を継続的に受注、対応することを可能にしております。

 このように当社グループは、成長するクラウド導入市場でのリーダー・ポジションでの事業展開により、安定的な高成長を継続しておりますが、更なる事業の拡大を目指して、2024年4月12日に株式会社NTTデータとの資本業務提携を発表しております。同提携の目的は主に下記の4点になります。

・国内顧客に共同でセールスフォース導入を推進する。

・顧客のDX戦略をEnd to Endでサポートする。

・相互のブランド力、人材育成システムをベースに、デジタル人材の獲得・拡大を加速する。

・グローバル・マーケットでの共同事業展開。

 当社と株式会社NTTデータでは、今後継続的に上記の取り組みによる事業の拡大を目指してまいります。

 又、子会社である株式会社BeeX(東証グロース 4270)が行う、SAPのクラウド・マイグレーション(注3)事業も、グループのコア事業として堅調に業績推移しております。

 その他の子会社につきましても、企業が複数のクラウドを使用したいというマルチ・クラウドニーズに対応するなど様々なクラウド・サービスの提供により徐々に事業を拡大しております。

 

 これらの結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高11,929,182千円(前年同期比33.5%増)、営業利益610,018千円(前年同期比177.3%増)、経常利益677,061千円(前年同期比126.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益367,983千円(前年同期比217.9%増)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

① ソリューション事業

 当中間連結会計期間におけるソリューション事業の売上高は、当社及び株式会社DiceWorksによるSalesforceの導入開発事業、株式会社BeeXが行うSAPのクラウド・マイグレーション事業及び、セールスフォースエンジニア派遣の株式会社テラスカイ・テクノロジーズの業績が拡大したことで、11,084,291千円(前年同期比34.9%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、量子コンピュータ(注4)関連の研究開発を行う株式会社Quemixと、TerraSky(Thailand)Co.,Ltd.(タイ法人)の営業損失を取り込みながら、1,427,572千円(前年同期比43.7%増)となりました。

 

② 製品事業

 当中間連結会計期間における製品事業は、「mitoco(ミトコ)」を始めとする当社の全製品のサブスクリプション売上が対前年比で増加いたしました。結果として売上高は、952,439千円(前年同期比17.0%増)となりました。セグメント損失(営業損失)は、引き続き「mitoco ERP」等へ積極投資していることにより、96,029千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)47,904千円)となりました。

 

 当中間連結会計期間の当社グループの主な取り組みは、以下のとおりです。

2024年3月

・「mitoco(ミトコ)」は株式会社セールスフォース・ジャパンが公開した「2023年人気のあったAppExchangeアプリランキング」で、「中小企業向け 売上TOP5」部門でランクインしました。

・子会社で量子コンピュータの研究開発を行うベンチャー企業、株式会社Quemixの代表取締役 松下 雄一郎が、2024年4月1日付けで東京大学大学院理学系研究科物理学専攻の特任准教授に就任しました。

2024年4月

・Salesforceと生成AIを組み合わせた新サービス「mitoco AI」の提供を開始しました。

・Salesforce Japan Partner Award 2024における「Industry of the Year」及び「Emerging Technology of the Year」を受賞しました。

・株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区)と資本業務提携契約を締結しました。

・公式YouTubeチャンネル「TerraSkyTV with 厚切りジェイソン」を開設しました。

・mitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社(本社所在地:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2024 Spring」において、グループウェア部門で「High Performer」を受賞しました。

・就活サイト「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリア(本社:東京都渋谷区)主催、「ONE CAREER 就活クチコミアワード2024」のベンチャー部門において14位にランクインし、「Silver賞」を受賞しました。

2024年5月

・近年ニーズが高まるデータやAIの活用を支援するため、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するSalesforce Data Cloudに関し、「Salesforce Data Cloud+AIラボ」を設立しました。Data CloudやAIの知見を蓄積し、顧客企業に対してデータマネジメントを提案できる体制を整えます。

2024年6月

・子会社で量子コンピュータの研究開発を行うベンチャー企業、株式会社Quemixは、日経コンピュータ主催の「IT Japan Award 2024」にて、特別賞を受賞しました。量子コンピュータ領域で独自技術を持つ点に期待が集まり、特別賞の受賞に至りました。

2024年7月

・グループウェアmitoco(ミトコ)は、アイティクラウド株式会社(本社所在地:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2024 Summer」において、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。グループウェア部門での受賞は「ITreview Grid Award 2022 Summer」以来、9回連続となります。

・株式会社Quemixが、旭化成株式会社との新素材開発の検証実験において、誤り耐性量子コンピュータ(Fault Tolerant Quantum Computer)用アルゴリズムを用いた量子化学計算を、クオンティニュアム株式会社の提供するイオントラップ型量子コンピュータ上で実施いたしました。

・西日本支社 大阪支店を拡張のため移転いたしました。

2024年8月

・西日本支社 名古屋支店を拡張のため移転いたしました。

・秋田サテライトオフィス、松江サテライトオフィスを開設いたしました。U/Iターン人材採用や地元密着型のオフィス運営ノウハウを活かして積極的に社員を採用し、地域経済に貢献してまいります。

・VC子会社である株式会社テラスカイベンチャーズが運営する、「TSV1号投資事業有限責任組合」の投資先、株式会社オプロ(本社:東京都中央区)が、2024年8月21日、東京証券取引所グロース市場へ新規上場しました。

 

※用語解説

(注1)2025年の崖:

既存システムが事業部門ごとに構築されて全社横断的なデータ活用ができない。過剰なカスタマイズなどにより、複雑化・ブラックボックス化が問題となっている。経営者がDXを望む場合、データ活用のために上記の既存システムの問題の解決が必要であり、業務自体の見直しも求められる。一方、現場サイドの抵抗が大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている。この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性をいう。

(注2)クラウド:

クラウド・コンピューティングの略で、ネットワークをベースとしたコンピュータ資源の利用形態。企業はハードウェアやソフトウェアの資産を自前で持たず、インターネット上に存在するものを必要に応じて利用する。

(注3)クラウド・マイグレーション:

サーバーなどの機器を自社が管理する施設(ビルやデータセンターなど)で運用するITシステムの環境から、AWS(Amazon Web Services)、Google Cloud PlatformやMicrosoft Azureなどのパブリック・クラウドにシステムを移行すること。

(注4)量子コンピュータ:

量子力学の現象を情報処理技術に適用することで、従来型のコンピュータでは容易に解くことのできない複雑な計算を解くことができるコンピュータであり、量子ゲート方式と量子アニーリング方式の大きく2つに分類される。量子ゲート方式は、従来型のコンピュータの上位互換としての期待が高く、GoogleやIBMなどの大手ITベンダーやスタートアップがハードウェアの開発を進めている。量子アニーリング方式は、組み合わせ最適化問題を解くことに特化している。

 

(2)財政状態の分析

(流動資産)

 当中間連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末より658,011千円増加し、11,300,021千円となりました。これは主に、現金及び預金の減少207,224千円に対して、売掛金及び契約資産の増加819,062千円があったことによるものであります。

(固定資産)

 当中間連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末より883,057千円減少し、6,921,532千円となりました。これは主に、投資有価証券の減少1,181,852千円によるものであります。

(流動負債)

 当中間連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末より554,033千円増加し、4,976,602千円となりました。これは主に、買掛金の増加201,899千円、未払法人税等の増加115,117千円及び契約負債の増加103,973千円があったことによるものであります。

(固定負債)

 当中間連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末より382,885千円減少し、1,087,215千円となりました。これは主に、繰延税金負債の減少380,080千円があったことによるものであります。

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末より396,193千円減少し、12,157,736千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加367,983千円に対し、その他有価証券評価差額金の減少852,837千円があったことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、5,408,951千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における営業活動の結果、収入は402,037千円(前年同期は177,965千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益677,061千円、減価償却費229,284千円、売上債権及び契約資産の増加818,871千円、仕入債務の増加201,899千円、預り金の増加118,534千円及び法人税等の支払額112,166千円があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における投資活動の結果、支出は598,844千円(前年同期は446,859千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出119,247千円、無形固定資産の取得による支出353,077千円及び敷金及び保証金の差入による支出102,494千円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における財務活動の結果、支出は9,998千円(前年同期は39,448千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出20,596千円があったこと等によるものであります。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は、81,617千円であります。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。