第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間(自 2024年3月1日 至 2024年8月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善に加え、各種政策の効果も相まって、緩やかな回復傾向にあります。一方で、欧米における高金利の継続や中国における不動産市場の低迷など、海外景気の減速がわが国の景気を下押しするリスクとなっており、加えて、物価上昇や急激な為替変動などの影響により、依然として先行き不透明な状態が続くと想定されます。

当社グループを取り巻く日本国内のクラウド市場は急速に成長をしておりますが、その背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大によるテレワークの急速な普及に加え、業務効率化や顧客サービス・顧客サポートの向上、顧客接点の多様化などを目的としたデジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)やオムニチャネル(注2)化の推進、また、IoT(注3)やAI(注4)、特に大規模言語モデル(注5)に代表されるジェネレーティブAI(注6)などの最新技術が急激に進化したことによるデータ収集や処理・分析など、様々な分野でクラウド技術やクラウドサービスを活用することが急速に増加していることが要因として挙げられます。

世界的には、パブリッククラウド市場をけん引するAmazon Web Services(以下「AWS(注7)」)が、技術の進化とイノベーションを繰り返しながら、依然高い成長率と圧倒的シェアを維持して順調に市場を拡大していますが、追随するGoogleやMicrosoftとの競争は、それぞれが独自の強みを活かしてクラウドサービスの拡充や改善に力を入れることで多様な選択・オプションが利用可能になり、顧客にとって多くの利益をもたらすとともにクラウドサービスの性能向上やクラウド市場の拡大に大きく寄与しております。

このような状況の中、当社グループは、クラウド専業インテグレーターとして、AWSを中心としたクラウド基盤に関するコンサルティング、基盤構築・運用、クラウドサービスの機能強化、及びシェア獲得によるビジネスの拡大に尽力してまいりました。そのほか、新規事業開発においては、AIを活用した新サービス「Not A Chat」をリリースするなど最新技術を精力的に取り入れる活動も推進しております。また、2024年7月1日付で、Google Cloud事業を展開する連結子会社である株式会社G-genと株式会社トップゲートの合併が完了し、Google Cloud事業において国内ナンバーワンを目指すべく新たにスタートいたしました。

以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高は17,291,818千円(前年同期比38.6%増)、営業利益は602,976千円(前年同期比49.6%増)、経常利益は577,648千円(前年同期比29.8%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は355,067千円(前年同期比54.0%増)となりました。

なお、当社グループの事業はクラウド事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりませんが、製品・サービス別の業績の概要は以下のとおりであります。

 

(クラウドインテグレーション)

クラウドインテグレーションは、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復、更なるクラウド需要の加速に伴い、顧客獲得と受注が堅調に推移しました。以上の結果、売上高は1,058,395千円(前年同期比30.2%増)となりました。

 

(リセール)

リセールは、既存顧客からの継続的な受注及び大口顧客のAWS利用料の増加によりARPU(注8)が堅調に推移するとともに、新規顧客の獲得もあってアカウント数も増加、また、セキュリティを中心とするサービス・ソフトウェアのライセンス販売、自社サービスの販売も堅調に推移しました。以上の結果、売上高は15,408,864千円(前年同期比40.7%増)となりました。

 

 

(MSP(注9))

MSPは、既存顧客からの継続的な受注により堅調に増加しました。また、SRE(注10)の浸透により、大型顧客や案件に対しては専任チームを編成して対応にあたるなど、標準対応以上のサービス提供をMSPの役割として担うことが増えております。以上の結果、売上高は822,460千円(前年同期比15.7%増)となりました。

 

(その他)

その他は、特定顧客向けサービスの縮小により、売上高は2,098千円(前年同期比58.3%減)となりました。

 

〔用語解説〕

(注1)  デジタルトランスフォーメーション(DX): 企業がデジタルテクノロジーを活用して、ビジネスプロセスやカスタマーエクスペリエンス、組織文化などの様々な領域において革新的な変革を実現する取り組みのことを指します。

(注2)  オムニチャネル: 企業が複数の販売チャネル(店舗、ウェブサイト、モバイルアプリなど)を統合して、顧客にとってシームレスな購買体験を提供する戦略のことを指します。

(注3) IoT:「Internet of Things」の略称であります。コンピュータなどの情報通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、相互に通信を行うことにより認識や制御を自動的に行うことを意味します。

(注4) AI:「Artificial Intelligence」の略称であります。日本では「人工知能」として知られております。従来から概念として広く知られた言葉ですが、膨大なデータの分析・解析・学習処理をクラウドベースで実現することにより現実味を帯びはじめています。

(注5) 大規模言語モデル:自然言語処理の分野で使用される深層学習モデルの一種であり、大量のテキストから言語パターンを学習するAIモデルで、テキスト生成や質問応答など多様なタスクに使用されます。

(注6) ジェネレーティブAI:コンピュータが学習したデータを元に、新しいデータや情報をアウトプットする技術で、データからパターンを学び新しい情報やアイディアを生成するAIの一分野です。これには、テキスト、画像、音楽などの生成が含まれます。

(注7) AWS:「Amazon Web Services」の略称であります。Amazon.comの関連会社であるAmazon Web Services, Inc.が提供する、Webサービスを通じてアクセスできるよう整備されたクラウドコンピューティングサービス群の総称であります。

(注8) ARPU:「 Average Revenue Per User 」の略称であります。1社あたりの平均売上金額を表す数値であります。

(注9) MSP:「Managed Service Provider」の略称であります。顧客がAWS上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスであります。

(注10) SRE:「Site Reliability Engineering」の略称であります。Webサイトやシステムの信頼性向上に向けた取り組み(自動化、障害対応、パフォーマンス管理、可用性(システムが停止することなく稼働し続ける能力)担保など)を行い、価値の向上を進める方法論及び役割であります。

 

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

当中間連結会計期間末における流動資産は、14,293,825千円となり、前連結会計年度末に比べて766,026千円増加しました。これは主に、現金及び預金が334,620千円増加、売掛金及び契約資産が259,755千円増加、前渡金が98,575千円増加したことによるものであります。また、固定資産は5,077,569千円となり、前連結会計年度末に比べて548,513千円増加しました。これは主に、関係会社株式が330,123千円増加、投資有価証券が265,646千円増加した一方で、のれんが58,871千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における負債は7,705,363千円となり、前連結会計年度末に比べて315,845千円増加しました。これは主に、契約負債が523,419千円増加、繰延税金負債が65,353千円増加した一方で、短期借入金が100,000千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産は11,666,031千円となり、前連結会計年度末に比べて998,694千円増加しました。これは主に、資本剰余金が490,528千円増加、利益剰余金が355,067千円増加したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は7,215,240千円となり、前連結会計年度末に比べて334,620千円増加しました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は548,336千円(前年同期は968,654千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前中間純利益577,648千円、契約負債の増加額523,419千円、為替差損101,305千円等があった一方で、法人税等の支払額263,423千円、売上債権及び契約資産の増加額259,755千円、前渡金の増加額98,575千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は465,977千円(前年同期は168,530千円の支出)となりました。これは主に関係会社株式の取得による支出300,600千円、投資有価証券の取得による支出130,115千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は353,566千円(前年同期は113,385千円の収入)となりました。これは主に非支配株主からの払込による収入450,020千円等があった一方で、短期借入金の返済による支出100,000千円があったことによるものであります。

 

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

(連結子会社間の合併)

当社は、2024年2月28日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社トップゲートを存続会社、当社の連結子会社である株式会社G-genを消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、2024年4月26日付で合併契約を締結いたしました。また、2024年7月1日付で吸収合併が完了いたしました。

詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。