当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営方針
当社は、土地の有効活用を希望する土地オーナーの情報、事業に適した用地の情報、新しい事業展開のために拠点を求めるテナント企業の情報を収集し、土地オーナーとテナント企業を引き合わせ、双方のニーズをつなげることで建築工事の受注に結び付けるビジネスモデルを「カドスLANシステム」と呼び、当社の強みと言えるビジネスモデルであると認識しております。これにより、土地の特性に合わせた最適な事業プランの提案から店舗の設計施工、テナント企業の出店までをトータルプロデュースしております。
また、「100年存続企業」が当社における長期ビジョンであり、「100年存続企業」を実現するために「売上高100億円」と「社員100人体制」の早期実現を目指して、お客様、株主、従業員の信頼と期待に応えることを基本方針としております。
(2)経営環境
①建設事業
当社の建設事業は、山口県・広島県を中心に主として流通店舗の設計施工を行っており、土地の特性に合わせた最適な事業プランの提案から店舗の設計施工、テナント企業の出店までをトータルプロデュースしております。競合企業の多くが、テナント企業の出店が決定した案件の施工を請負うことに集中しているのに対し、土地を活用したい土地オーナーへのアプローチを進め、活用することについて、土地オーナーから承諾を得た土地の情報を店舗設計図案とともにテナント企業に紹介し、土地の賃貸借契約につなげるマッチングを進める当社のビジネスモデルは、山口県・広島県の幅広い地域で認知を得ておりますが、まだ当社認知度が充分でない地域における商圏拡大の余地は充分に残っていると見込んでおります。また、建設業の担い手不足やコストの上昇については業界共通の課題として認識し、人材の確保や生産性の向上等を進めており、今後も課題解決へ向けて継続的に取り組んでいく方針であります。
②不動産事業
当社の不動産事業は、建設事業の営業活動の中で土地オーナーとテナント企業とのニーズがマッチングしないケースで、当社が両社の間に入り双方のニーズをつなぎ合わせることで案件を成立させるビジネスモデルが強みであります。つまり、不動産事業における主たる収入(売上)である不動産賃貸収入は、不動産事業のみの事業活動で増加するものではなく、建設事業の案件に付随して増加するものであり、収入に対応する人件費等の直接原価や販売費及び一般管理費の負担が少ないため、建設事業と比べて高い利益率となります。これまでの建設受注実績と不動産賃貸実績の両面からアプローチすることによる積み重ねが、複合案件を生み出し、不動産賃貸による不動産収入の獲得、さらには期間満了後には新たな建設受注の獲得につながることから、将来にわたって長期間安定した不動産収入と建設受注を獲得確保できる機会・情報が積み上がっていると認識しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等及び中期的な経営戦略
①売上高伸長と併行して、売上総利益率の維持・向上に努めてまいります。
建設事業において質・量ともに広範に受注を獲得し、持続的な事業成長を目指す中で、利益率を重視した工事原価管理を徹底するとともに、安定収益の確保と財務体質の健全性を維持するため、安定的に高利益率を確保できる不動産事業の売上高割合も20%程度を堅持できるよう、成長に資する投資を着実に実施してまいります。
②財務健全性を維持しながら、株主価値の向上を目指してまいります。
財務健全性の高さを表す重要指標である自己資本比率の向上に努めると同時に、株主見地から投下資本の収益性を表す自己資本当期純利益率、また、株主還元の意味で重要な配当性向の向上に努めてまいります。東京証券取引所公表「2024年3月期決算短信集計〔連結〕(プライム・スタンダード・グロース)」の上場建設業平均値(自己資本当期純利益率7.87%、自己資本比率43.01%、配当性向44.16%)を参考に、資本政策上の当社の適正数値(自己資本当期純利益率10.0%、自己資本比率40.0%、配当性向30.0%)を目指してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)及び(2)に記載の、経営指標及び中期的な経営戦略を実行していくうえで、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は次のとおりであります。
①経営資源の選択と集中
本社を構える山口県は、人口減少や少子高齢化が急速に進む一方、福岡県と広島県については、就業・生活スタイルの変化に伴い、東京一極集中からのシフトの受け皿として、現状程度の商業・人口集積を維持するものと見込んでおります。したがって、建設事業においては、本社の売上規模は維持しつつ、人を含む経営資源を広島・福岡の両県に重点投入し、売上拡大に取り組んでまいります。
日本フランチャイズチェーン協会「フランチャイズチェーン統計調査(1989年~2022年)」によると、2022年のフランチャイズチェーン店舗数は約25万店であり、コロナ禍を背景に4年連続で減少しました。但し、一時の減少はあるものの全体的には増加基調で推移しており1989年以降に減少局面となったのは、リーマンショックが影響したと思われる2008年~2009年のみであります。また、国土交通省「建築着工統計調査(2013年~2023年)」によると、山口・広島・岡山・福岡の4県の工事費予定額はおよそ年間800億円程度、中でも人口規模が大きく、強い経済基盤を持つ広島県、福岡県の存在感は高いと言えます。
このような状況を踏まえて、当社は、今後、テナント企業の出店需要が高い山陽道(山口・広島・岡山)及び北部九州(福岡及びその周辺)を営業エリアとして、山口県・広島県に加えて西は福岡県及びその周辺、東は岡山県まで広く事業を展開する方針であります。また、同4県中の人口10万人超22市のうち、特にナショナルチェーン店舗施工実績10件未満の13市を進出余地のあるターゲット地域としてまいります。22市の当事業年度末時点の施工実績数値は以下のとおりであります。今後の営業力強化のため、ターゲット地域の地元不動産会社と業務提携を行い、土地オーナーの土地活用ニーズの掘り起こしを加速させる計画であります。当事業年度末現在、地元不動産会社との業務提携はありませんが、1市1社以上の業務提携を行うことを目標としております。
また、当社は敷地面積5,000坪以上の土地に複数のテナント企業を誘致した郊外型複合商業施設として「カドスタウン」の展開にも着手しており、既に山口県防府市及び宇部市において用地を確保しております。土地オーナーとナショナルチェーンの1対1対応よりも複数の土地オーナーと複数のナショナルチェーンのニーズをマッチングさせる多対多対応の相乗効果を想定し、複数のナショナルチェーン誘致で集客力を高め、用地のブランド力を引き上げます。当社はそれらの開発・一括管理で付加価値を提供するという構想を実現させる方針であります。
②継続的な設備投資
不動産事業については、将来性のある賃貸用不動産や借地権等の新規取得及び既存保有施設の維持更新を継続的に行うことで、保有資産価値の維持と賃貸収入の増加を図ってまいります。
当事業年度は、102百万円の投資を実施しました。今後もオフィスビル、物流関係の建物などをターゲットとし、投資を実施してまいります。当事業年度末現在はオフィスビル3件(山口県2件、広島県1件)、物流倉庫2件(山口県)を賃貸物件として保有しておりますが、事業エリアを福岡県、岡山県に拡げ、保有物件をさらに増加させていく方針であります。
③人材の確保と育成
65歳定年としておりますが、個人の健康状態・就労意欲に応じて個別に労働条件設定を行い、希望する年齢まで働ける環境を整えてまいります。また、従業員の目標設定、業績等の査定方法を明確化し、従業員の評価の適正化を図るとともに、業務に必要な資格取得を奨励して従業員一人一人の上昇志向と能力の向上を図っていく方針であります。
ビジネス機会を着実に取り込むためには施工能力強化が不可欠であります。当事業年度末現在、工事部門(原価見積部門、設計部門を含む)に所属する従業員は53人でありますが、今後も積極採用に努めてまいります。また、現場監督の組合せ改善、DXを活用した遠隔操作による現場監督、現場監督の人材育成、これらの施策を実行することにより、当事業年度の建設事業売上高における1人当たり年間完成工事高0.97億円からさらに増加させるべく取り組んでおります。
④環境保全への取り組み
サステナビリティを巡る課題への対応はリスクの減少のみならず収益機会の拡大にもつながる重要な経営課題であり、当社としては電力使用量の実質的削減が最も効果的な手段と認識しております。現状では、全事業の電力使用量が自社太陽光発電量の範囲に収まっておりますが、事業拡大に伴い、電力使用量が超過する場合には、調達するFIT電気に非化石証書(トラッキング付)を付加することで実質の再生可能エネルギーとする予定であります。
⑤建設工事受注の平準化
業界共通の課題である建設資材価格の上昇や建設技術者の不足により、条件交渉が長期化して工期が重なり、受注できないケース(機会損失)や外注費を含む建設コストの増加が懸念されます。これに対しては、テナント企業に対する工事請負金額の引き上げ交渉や、新卒・中途を問わない人材の確保・育成に加えて、建設技術者の効率的な配置ができるよう受注(工期)を平準化するため、契約までの営業・工事部門の連携強化に注力していく方針であります。
⑥財務基盤の強化
当社は、不動産事業を中心とする資金需要に対応するため、有利子負債による資金調達を行っておりますが、今後、金利の急激な変動や金融情勢の変化等の何らかの理由により計画どおり資金調達ができない可能性があります。特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに金融機関に融資を打診し、融資シェアバランスを考慮して調達先を選定し、金融機関との良好な関係構築に努めてきた結果、現時点では手許資金は潤沢で資金調達余力を有しておりますが、引き続き一定の内部留保の確保を継続的に行い、財務基盤の強化を図ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) ガバナンス
当社は、「地域社会との共生共栄」を大切にしながら、企業活動を通じてよりよい社会の持続・成長に貢献することが使命であると考え、サステナビリティを巡る課題への対応はリスクの減少のみならず収益機会の拡大にもつながる重要な経営課題であると認識し、積極的・能動的に取り組んでまいります。
当社では、サステナビリティにおける指標及び目標の推移について、取締役会において報告・審議しており、今後その進捗状況についても監督していく方針であります。
(2) 戦略
①人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
業容拡大に伴い増員を計画しており、そのために就業環境の整備として、多様な働き方・子育て支援等の福利厚生の充実に加え、今後、人事制度、業績評価体系を再構築し、研修制度も拡充させ、人的資本を質・量ともに充実させる方針であります。
当社は従来から性別・国籍・年齢など区別なく、新卒・中途採用を行っているほか、公正・公平な評価をもとに人材育成と管理職登用を推進しておりますが、中でも女性の活躍促進を重要な経営施策のひとつと位置づけており、まずはその前提となる女性社員比率向上を進めることが先決と判断し、目標を設定のうえ取り組んでおります。
②環境(気候変動)
当社にとっても、気侯変動(IPPC予測(注1))による平均気温の上昇が及ぼす影響は甚大であり、上昇の抑制に貢献することが重要と認識しており、国が定める2050年脱炭素社会の実現に向けてのロードマップに整合した対応が重要と考えております。
今後、カーボンニュートラルの動きにより燃料価格をはじめとする工事原価が上昇するリスクがあります。当社のできることとして、温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1,2(注2))の削減に向けて目標を設定し、その達成に向けて、太陽光発電設備の設置推進や、役社員が業務で自家用車を使用した場合に、走行距離に応じて支給しているマイカー利用料を、HV(ハイブリッド)・電気自動車に対してはその他の車種に比べて上乗せ(優遇)支給することでHV(ハイブリッド)・電気自動車利用の奨励に取り組んでおります。また、2024年5月からは山口県企業局の水力発電所で発電されたCO2フリーの「やまぐちぶちエコでんき」を導入しております。
(注)1.国連のIPPC(気候変動に関する政府間パネル)が予測する平均地上気温の変化予測
2.Scope1:燃料の燃焼や、製品の製造などを通じて企業・組織が直接排出する温室効果ガス(GHG)
Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気を使うことで、間接的に排出される温室効果ガス(GHG)
(3) リスク管理
当社では、信用の危機、財政上の危機、人的危機、外部からの危機等さまざまな事業運営上のリスクについて、リスク管理規程を制定しており、サステナビリティ関連のリスクもこの中に含んでおります。また、全役員、部長等、顧問弁護士をメンバーとするコンプライアンス委員会を設置し、毎四半期に委員会を開催して各部のリスク(サステナビリティ関連のリスクも含む)の管理状況等を統括・把握するとともに、その対策の検討・決定と進捗確認を行うことにより経営の健全性の維持・向上に努めております。発生したリスク(サステナビリティ関連のリスクも含む)が全社的対応レベルに該当するときは、委員会を招集して一元的に対応することとしております。
(4) 指標及び目標
当社がサステナビリティを巡る課題として取り組んでいる指標の目標並びに実績は以下のとおりであります。
(注)女性管理職比率並びに男女賃金格差については、女性管理職への登用を検討し得る、キャリア・能力を持つ女性社員の絶対数が不足している中、安易に目標設定した場合に、外部登用を誘引し、若手を中心とする在籍社員の成長意欲を削がれる懸念があることから、数値目標を設定しておりません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)外部環境の変化に関するリスク
①人口減少について
〔発生可能性:高 発生可能性のある時期:長期的 影響度:大〕
日本国内では少子高齢化が進んでおり、国内消費も相応に縮小する可能性があります。これに対して、過去に取り扱った案件の施主・地主管理を徹底して反復の設備投資需要取り込みを図るほか、商圏を広島・福岡県の地方都市近郊にも徐々に広げておりますが、工場・事業所の縮小・撤退等により、想定以上にマーケットが縮小した場合は、テナント企業の設備投資が減少し、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
②景気・不動産市況動向等に係るテナントの動向について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:大〕
当社は、流通店舗の建設・賃貸を主体に事業を行っており、テナントの出退店判断や設備投資需要は景気の動向に影響を受けやすい業態であります。これに対して、特定の地域・業種・取引先に偏らない幅広い収益源の確保に努めておりますが、今後、景気の後退や大量出店に伴う過当競争等により、テナントの動向が消極化した場合には、建設事業においては工事売上高が、不動産事業においては賃貸収入が減少したり、地価動向等に伴い不動産価格が下落したり、保有資産の価値が低下したりすることにより、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
③自然災害、人災等について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:大〕
台風や地震等の自然災害や、事故、火災、戦争等の人災が発生した場合に備えて、BCPを整備し安全衛生委員会等を通じた対策の周知や定期的な訓練等も実施しておりますが、不動産事業においては、管理物件や自社物件が、毀損、滅失又は劣化してしまい、賃貸収入の減少や修復のための費用負担が発生する可能性があります。建設事業においては、施工途上物件への直接被害や現場周辺への影響に対する損害賠償等に伴う費用負担が発生する可能性があり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
④感染症について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中〕
当社では、各営業拠点、建設現場等の人が集まる施設を保有しております。これに対して、重大な健康被害をもたらす感染症が大規模に蔓延した場合に備えて、リモートワークしやすい環境・システムの整備を行っておりますが、今後更なる感染症の蔓延が危惧される場合には、感染拡大を防止する観点から、営業活動や工事現場の操業を停止せざるを得なくなる可能性があり、また不動産市況の悪化により、不動産の取得・開発・賃貸等の事業も含めて業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業活動に関わるリスク
①特定の取引先への依存について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:大〕
当社は、建設事業において、テナントの出店動向に受注が左右されるため、出店意欲の旺盛な一部の業種や継続取引先からの受注に偏る懸念があります。前事業年度から当事業年度にかけて契約・工期が集中したことにより、建設事業売上高における㈱コスモス薬品への売上割合が前事業年度は46.8%、当事業年度における同割合は34.4%を占めたことが一例として挙げられます。これに対して、土地情報については、特定の業種・テナント先に偏ることなく出店意欲の高い複数のテナント先に対して幅広く紹介を行っており、現時点で受注の偏りに懸念はありませんが、今後、恒常的に受注が偏る状況に至り、突発的な経済環境の変化に起因する取引先の倒産、出店需要の収縮が発生した場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
②法令の変更について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:大〕
当社の事業に関しては、主として建設・不動産等に関連する各種の法令や条例による規制を受けており ます。これに対して、各担当部門及び管理部門の双方で法令や政策の変更状況を継続的に確認しておりますが、今後、予想外の規制の変更、法令適用や政府の政策運用の変更等により、営業・施工現場体制の大幅な変更を要する等の場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
③行政官庁からの指導等について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:大〕
当社の事業に関しては、各種の法令や条例による規制に基づいて行政官庁からの臨検・指導が行われます。これに対して、監督官庁からの指摘を受けた場合は、その内容を工事部内で速やかに情報共有し、それぞれの現場で状況確認と協力会社への伝達・教育を徹底することで、可能な限り指摘の減少に努めております。当事業年度における労働基準監督署による期中臨検数は7現場であり、このうち指摘を受けたのは2現場で指摘数は3件でありました。指摘の内訳は是正勧告2、指導1となっております。本書提出日現在、重大な指摘はなく、処分を受ける事由は発生しておりませんが、今後、何らかの理由により行政官庁からの重大な指摘を受け、業務停止命令等を受けた場合には、当社の事業の活動に支障をきたすとともに当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
④許認可等について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:大〕
当社の事業においては、主に建設・不動産等に関連する各種許認可を必要としております。当社が事業に関し取得している許認可等は次のとおりであります。当事業年度末現在、これらの許認可等が取消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、何らかの理由により許認可等の取消等があった場合、当社の事業の活動に支障をきたすとともに当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社売上高の大半に特定建設業許可が必要であり、今後、何らかの理由により当該許可の取消等があった場合、当社の事業活動に支障をきたすとともに、業績及び財務状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(注)当社が取得している特定建設業許可の業種は、土木工事業、建築工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、熱絶縁工事業、建具工事業、水道施設工事業、解体工事業であります。
⑤人材の確保及び育成について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:長期的 影響度:中〕
当社の事業は、専門性を有した技術者(特に建築設計・施工管理)により支えられており、優秀な人材の確保と育成、定着率が重要な課題となります。これに対して、新卒・中途を問わず、優秀な人材の確保・育成に積極的に取り組んでおりますが、近年は少子高齢化による労働人口の減少により需給ギャップは広がっており、当社の求める人材の確保・育成が充分にできない場合や当社の役職員が大量に社外に流出した場合には、売上・利益率の低下等により当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥競合について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:長期的 影響度:中〕
当社が行う建設・不動産事業においては、既存競合他社が多数存在しており、過当競争・供給過剰等による競争激化に影響を受けやすい業界構造となっております。これに対して、建設事業においては、土地紹介を起点とした過度な受注競争にさらされない事業モデルを主体に展開しており、不動産事業においては、当社が保有するオフィスビルは好立地で高い競争力を有していると自負しておりますが、今後、競合他社が競争力を高める等、当社が優位に立てない状況に至った場合には、売上・利益率の低下等により当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦賃貸借契約について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中〕
不動産事業において、自社物件の賃借人との賃貸借契約の期間満了時に契約が更改される保証はありません。これに対して、早期の中途解約時には違約金等が発生する条項を盛り込むこととしておりますが、賃借人が一定期間前の通知を行うことにより賃貸借契約期間中であっても賃貸借契約を解約できることとされている場合もあるため、既存の賃借人が退去した場合、後継賃借人が入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下する場合もあります。その場合、後継賃借人確保のため賃料水準を下げることもあり、賃貸借契約の解約が増加した場合、賃貸収入が減少するなど、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧外注業務について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中〕
当社は、建築・土木工事を一式で発注者から元請として直接請負い、工事全体の取りまとめを行う建設会社であり、施工は全て外注しております。これに対して、施工地域や工期等の多様な条件に柔軟な対応ができるよう、外注先の増加のため従前より常時新しい外注先を探索しておりますが、当社の選定基準に合致する外注先を十分に確保できない場合、外注先の経営不振や繁忙期等により工期が遅延する場合、あるいは、労働者・資材の不足に伴い外注価格が上昇する場合等には、工事採算の悪化により当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑨原材料・人件費等について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中〕
当社は、建築施工にあたり、下請業者を通じて多くの原材料の調達や作業員労務の提供を受けております。これに対して、経済合理性を働かせるためにも常に新しい下請業者の探索に努めておりますが、異常気象や為替市場の変動、地政学的リスクの影響により、資材価格、エネルギー価格や労務費が急激に上昇し、それを受注価格に転嫁できない場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑩安全管理・労働災害について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中〕
当社は、安全・環境に配慮が求められる建設現場を多数有しております。これに対して、平素より現場担当者や外注先に対する安全教育・指導を継続的に行っておりますが、重大な人身事故、環境事故、品質事故等が発生した場合には、信用の毀損、損害賠償や施工遅延・再施工費用等の発生により当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑪情報管理について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中〕
当社は、事業を行うにあたり土地オーナーをはじめとする個人情報を含むさまざまな情報を多数扱っております。これに対して、情報の取扱いに際しては、厳重な取扱いに留意しておりますが、サイバー攻撃やシステム障害、外部への情報漏洩等が発生した場合は、当社の信用失墜により契約件数の減少、売上の減少又は損害賠償による損失発生の可能性も考えられ、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑫契約不適合責任について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中〕
当社は、建設事業において主として店舗の施工を行っております。これに対して、施主と締結した工事請負契約に基づき、求められた品質及び性能を備えた目的物となるよう、十分配慮したうえで施工を行っておりますが、契約不適合責任を問われる建築物等の重大な欠陥や各種法令への不適合対応により費用が発生した場合や、多額の損害賠償、補修費用、社会的信用の失墜が発生した場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬不動産の設備維持について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中〕
当社は不動産を継続的に取得・保有しております。これに対して、不動産の取得にあたり権利、構造、環境等に関する欠陥や瑕疵等により予期せぬ損害を被る可能性がないよう、当該不動産の綿密な調査を行い、慎重な対応に注力しておりますが、取得した不動産に欠陥や瑕疵等があった場合には、瑕疵の修復などの追加費用等が生じる場合があります。また、長期保有方針のもと、既存物件の老朽化が進み、設備更新・維持の費用負担が突発的に発生する可能性もあり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑭減損会計の適用について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小〕
当社は収益に関わる固定資産を多数保有しております。これに対して、投資金額と収益性を精査し減損リスクを考慮したうえで取得しておりますが、景気・不動産市況の悪化による賃料水準の低下、空室率の上昇、金融情勢の悪化等により収益性の著しい低下や時価の著しい下落が認識された場合、損失を計上することとなり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑮労務管理について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小〕
当社は、一般的に厳しい就労環境にあるとされている建設業を主体に営んでおります。これに対して、法令に基づく適正な労務管理等により、労務関連リスクの低減に取り組んでおりますが、労務関連のコンプライアンス違反(雇用問題、ハラスメント、人権侵害等)が発生した場合、訴訟の発生、会社イメージ低下等につながり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑯訴訟の可能性について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小〕
当社は当事業年度末現在において、重大な訴訟を提起されている事実はありませんが、事業活動の遂行過程において、取引先及び従業員により提訴される訴訟その他の法的手続きの当事者となるリスクを有しております。これに対して、日頃から適正な業務運営に努め、知識や事例の周知・共有を図っておりますが、訴訟その他の法的手続きは、一般的に結果の予測が困難かつ多額の費用が必要となるとともに、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの手続きにおいて当社の責任を問うような判断がなされた場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑰履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法による収益認識
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小〕
当社は、工事契約に係る収益認識については、少額又は期間がごく短い工事等を除いて、履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。当該方法は、工事の進捗率に応じて収益を計上する方法であり、具体的には見積総工事原価に対する発生原価の割合をもって完成工事高を計上しております。これに対して、工事ごとに継続的に見積り総工事原価の見直しを実施するなど、適切な原価管理に取り組んでおりますが、想定していなかった状況の変化が生じて見直しが必要になった場合には、利益率の悪化等により当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑱代表取締役会長への依存について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小〕
当社の代表取締役会長である杉田茂樹は、当社の創業者であり、創業以来、経営者として経営方針や経営戦略を決定するとともに、役職員の精神的支柱を担っております。これに対して、2022年8月より工藤博丈が代表取締役社長に就任し複数代表制に移行し、役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、杉田茂樹に依存しない経営体制の整備が進んでおりますが、何らかの理由により杉田茂樹の業務執行が困難になった場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)財務状況に関わるリスク
①有利子負債依存について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中〕
当社は、不動産事業を中心とする資金需要に対応するため、有利子負債による資金調達を行っており、当事業年度末現在で短期借入金はなく、長期借入金は2,091百万円(社債500百万円を含む)、総資産に対する割合は24.9%であります。これに対して、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに金融機関に融資を打診し、融資シェアバランスを考慮して調達先を選定し、金融機関との良好な関係構築に努め、社債による直接金融での調達とともに、短期融資枠の積極的な利用提案を受けるなど、現時点では資金調達余力を有しておりますが、今後、金利の急激な変動や金融情勢の変化等の何らかの理由により計画どおり資金調達ができない場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
②金利変動について
〔発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小〕
当社は、不動産事業を中心とする資金需要に対応するため、有利子負債による資金調達を行っております。これに対して、金融機関との良好な関係構築に努めるとともに、金利変動時に臨機応変に対応できるよう資金調達時に固定・変動金利を都度選択しながらリスクの軽減に努めておりますが、想定外の市場金利の上昇や当社信用力の低下等により、資金調達コストが上昇した場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。また、建設事業においても、融資を利用して出店を行うテナントの意欲が減退することで受注に影響を及ぼす可能性があります。
(4)資本に関わるリスク
①ストック・オプションと株式の希薄化について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:長期的 影響度:小〕
当社では、取締役及び従業員に対し、当社の業績向上に対する貢献意欲や士気を一層高めるとともに、株主との価値共有を推進することにより、企業価値向上に資することを目的とするため、ストック・オプション制度を設け、その一環として新株予約権を付与しております。当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は104,400株であり、株式の総数(潜在株式を含み、自己株式を除く。)に対する潜在株式数の割合は9.3%となっております。これに対して、エンゲージメントの向上に向けて就労環境の改善等に取り組んでおりますが、今後、これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
②当社株式の流動性について
〔発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小〕
当社の代表取締役会長である杉田茂樹は、当社の大株主(支配株主)であり、同人が代表取締役を兼務する同人及び配偶者の資産管理会社㈱ネクストライト及び㈱せんじゅの所有株式数を含めると当事業年度末現在で発行済株式総数の42.4%を所有しております。
こうした中、当社の流通株式時価総額は、東京証券取引所が定める上場維持基準に近接しており、何らかの事情により流通株式時価総額が大きく低下する場合には、上場維持基準に抵触し、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも影響を及ぼす可能性があります。これに対して、当社は経営方針・経営戦略に従って、売上高及び利益の成長を通じて企業価値を継続的に向上させることで流通株式時価総額の拡大に努める方針であります。また、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加、当社大株主への一部売出し等の施策を組み合わせることで、流動性の向上を図っていく方針であります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における我が国経済は、雇用と所得環境の改善やインバウンド需要に支えられ、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や中東における紛争の勃発など、国際情勢の緊張状態が続き、エネルギー不足と原材料の価格高騰を背景にした物価上昇や金利・為替変動による景気の下振れリスクもあり、依然として景気の先行きが不透明な状況にあります。
建設業界におきましては、政府による建設投資は堅調に推移しており、民間設備投資についても、個人消費の回復やインバウンド需要の増加などから、商業施設やホテル建設などに持ち直しの動きが見られるものの、技能労働者の不足や時間外労働の上限規制等による工期延長の懸念、労務費や建設資材価格の高騰による建設コストの増加など、不安要素が多い経営環境が続いております。
このような状況の中で、当社は、建設事業における営業戦略として、ドラッグストアをはじめ、食品スーパー、家電量販店、ホームセンター等の大型店舗出店企業に加え、飲食店、コンビニエンスストア等の中・小型店舗出店企業のうち、出店意欲の高い得意先を受注案件獲得のターゲットとする営業活動を継続すると同時に、受注案件の平準化を目的としたテナント情報と土地情報の収集にも注力してまいりました。さらに、不動産事業においては、従来の不動産賃貸等に加え、前事業年度から取り組みを始めた不動産販売にも一層注力し、収益規模の拡大を図ってまいりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は8,403百万円、負債合計は4,302百万円、純資産合計は4,100百万円となり、前事業年度末と比べ総資産は736百万円増加しております。
(資産)
流動資産は前事業年度末と比べ789百万円増加し、3,417百万円となりました。「完成工事未収入金及び契約資産」が403百万円、「販売用不動産」が157百万円減少したものの、株式上場に伴う自己株式の売却及び新株発行による資金調達や当期の営業活動によるキャッシュ・フローにより、「現金及び預金」が1,278百万円増加したことが主な要因であります。
固定資産は前事業年度末と比べ53百万円減少し、4,985百万円となりました。賃貸物件の増加等により「建物」が87百万円、「長期前払費用」が77百万円増加したものの、減価償却費241百万円を計上したことが主な要因であります。
(負債)
流動負債は前事業年度末と比べ117百万円減少し、1,524百万円となりました。上場関連費用の発生等により「未払金」が56百万円増加しましたが、当事業年度末時点における進行中物件の減少に伴い、「工事未払金」が158百万円、「未成工事受入金」が50百万円減少したことが主な要因であります。
固定負債は前事業年度末と比べ201百万円減少し、2,777百万円となりました。賃貸物件の増加等により「預り敷金」が45百万円増加しましたが、「長期借入金」が255百万円減少したことが主な要因であります。
(純資産)
純資産は前事業年度末と比べ1,055百万円増加し、4,100百万円となりました。株式上場に伴う新株発行により「資本金」が86百万円、「資本準備金」が86百万円、自己株式の処分により「その他資本剰余金」が178百万円増加したこと、また、当期純利益の計上などにより「利益剰余金」が355百万円増加したことが主な要因であります。
b.経営成績
当事業年度の売上高は、前期末時点の受注残高の増加(前々期末比81.2%増)や進行途中物件の完成、また、不動産販売の実現も寄与し、6,475百万円(前期比14.4%増)となりました。利益面につきましては、資材価格の高騰をはじめ建設コストが上昇する中で、原価管理への意識徹底を図った結果、売上総利益率は19.4%(前期は19.0%)となりました。販売費及び一般管理費は、人員増加と賃上げに伴う人件費増を主な要因として615百万円(前期比11.2%増)と増加したものの、売上高増加の効果により、営業利益は637百万円(前期比22.3%増)、経常利益は601百万円(前期比17.5%増)、当期純利益は405百万円(前期比10.7%増)と前期比増収増益となりました。
また、事業活動の安定と成長を意識し、安全管理を徹底するとともに、財務体質の強化、コンプライアンスの遵守を中心とした内部管理体制の充実に取り組んでまいりました結果、目標としておりました東京証券取引所スタンダード市場への株式上場を当事業年度(2024年7月18日)において実現させることができました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
建設事業売上高は、前期末受注残高の増加や、当事業年度における完成工事の増加により4,868百万円(前期比8.1%増)、次期への繰越工事高は1,917百万円となりました。利益面につきましては、建設資材価格高騰や人件費増による工事原価の負担増もあり、セグメント利益は140百万円(前期比2.3%減)となりました。
(不動産事業)
不動産事業売上高は、前期に取得した賃貸物件による不動産賃貸収入の増加や、新たな取り組みとしての不動産販売(450百万円)が実現したことも寄与し、当事業年度の売上高は、1,606百万円(前期比38.9%増)、セグメント利益は497百万円(前期比31.6%増)となりました。
当事業年度末における現金及び預金同等物は、前事業年度末と比べ1,278百万円(109.7%)増加し、2,443百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、876百万円(前事業年度は136百万円)となりました。「仕入債務の減少額」158百万円、「法人税等の支払額」196百万円がありましたが、一方では、「税引前当期純利益」601百万円、「減価償却費」241百万円、「売上債権の減少額」371百万円、「販売用不動産の減少額」152百万円があったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、△64百万円(前事業年度は△266百万円)となりました。「預り敷金の払い込みによる収入」55百万円がありましたが、一方では、「有形固定資産取得による支出」95百万円があったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、466百万円(前事業年度は142百万円)となりました。「長期借入金の返済による支出」173百万円、「配当金の支払額」50百万円がありましたが、一方では、「自己株式の処分による収入」528百万円、「新株発行による収入」172百万円があったことが主な要因であります。
当社は、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当社が行っている事業のうち、不動産事業については、事業の性格上、受注実績を定義することが困難であります。
当事業年度における工事売上の受注実績は次のとおりであります。
(注) セグメント間取引はありません。
当事業年度における売上実績は、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたって、損益又は資産の状況に影響を与える見積、判断は、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表は固定資産の比率が高いことから、当社の財務諸表で採用する重要な会計上の見積りのうち特に影響が大きいものは、固定資産の減損会計であります。詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
建設事業セグメントにおいては、ドラッグストアをはじめとする大型物件に加え、飲食店、コンビニエンスストア等の中・小型物件も受注ターゲットの中心に組み込んだ営業戦略を推進し、当事業年度は前期比8.1%の売上高増となりました。不動産事業セグメントにおいては、前事業年度において取得した賃貸用不動産による賃貸収入の増加及び販売用不動産の売上実現の効果もあり、前期比38.9%の売上高増となりました。当事業年度においても、収益物件として、建物57百万円、土地211百万円を取得しました。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の主たる資金需要は、不動産事業セグメントにおける賃貸用不動産及び販売用不動産の取得用資金であります。当該資金について、当社は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金により調達しております。詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の報告セグメントは、建設事業及び不動産事業から構成されます。
建設事業セグメントは、主としてドラッグストアをはじめとする流通店舗に係る造成・建築請負から得られる収益であり、経営成績に影響を与える要因は、収入面ではテナントの新規出店等の設備投資動向であり、利益面では人手不足や建設資材価格の変動であります。人件費及び資材価格の高騰を主な要因として、工事単価はこの10年間でおよそ4割上昇(国土交通省「建築着工統計調査(2014年~2023年)」)しており、昨今の当社の利益率に影響しております。
不動産事業セグメントにおいて経営成績に重要な影響を与える主な要因は、賃貸収入から得られる収益であり、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク(1)外部環境の変化に関するリスク②景気・不動産市況動向等に係るテナントの動向について、(2)事業活動に関わるリスク⑦賃貸借契約について、⑬不動産の設備維持について」に記載のとおりであると認識しておりますが、各種対応策を実施することでリスク要因の低減を図ってまいります。
⑤経営者の問題意識と今後の方針について
当社は、建設事業においては、土地ありきの建築請負では、入札等により他社との価格競争に晒されて、利益率が低下すると考えております。したがって土地オーナーからの「土地利用承諾書(依頼書)」とテナントからの「出店申込書」の取得増加を重視しており、双方のニーズをマッチングさせることで競争のない特命による建築請負を受注していく方針であります。不動産事業においては、景気動向や物件の老朽化に伴う競争力低下により、賃貸収入が低下する可能性があります。したがって将来性のある収益不動産を厳選のうえ取得し長期保有することや適切な設備維持投資を継続的に行うこと、また、従来の不動産賃貸に加え、不動産販売にも注力することで、安定収益の維持・増加を図っていく方針であります。
⑥経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等
当社は、財務KPIとして、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等及び中期的な経営戦略」に記載のとおり、収益規模の拡大と収益性の改善を目指すうえで、売上高、売上総利益率を重要指標としております。また、財務健全性を維持しながら、株主価値の向上を目指すうえで、自己資本比率、自己資本当期純利益率を重要指標としております。2024年7月期の売上高は、順調な受注獲得と工事の進捗及び不動産販売の実現により、建設事業及び不動産事業ともに増加しました。不動産事業の売上高比率は、2023年7月期の20.4%から2024年7月期は24.8%に上昇しております。全社としての安定収益の確保の観点から、同事業の売上高増加と併行して比率の維持・向上を図ってまいります。売上総利益率については、資材価格の高騰をはじめ建設コストが上昇する中で原価管理への意識徹底を図った結果、僅かながら改善に向かいました。今後も原価管理をさらに徹底すると同時に、原価上昇分の販売価格転嫁を十分に意識した受注活動を進め、売上の拡大と利益率の改善に努めてまいります。当期純利益の計上や自己株式の処分等により、自己資本がより強固となり、自己資本比率は48.8%、自己資本当期純利益率は11.3%となりました。引き続き内部留保の着実な積み上げと収益確保に向けた効率的な投資を継続的に行うことで財務体質の強化を図っていく方針であります。
また、事業KPIとして、当社がマッチングした土地オーナーとの関係を維持し、永続的なトータルコーディネートを行うべく事業を推進するうえで、賃貸借契約管理書(管理カード)を発行した施工物件土地オーナー管理数、新築完工件数(累計)、不動産賃貸件数を重視しております。2024年7月期については、建築施工に関わる土地オーナーの管理数並びに新築完工件数は着実に積み上がっており、不動産賃貸件数は物件購入により増加しております。今後も将来の建設・不動産賃貸の反復需要取り込みにつなげていきたいと考えております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。