当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、資本・人材・ノウハウ等を集中投下し、業務オペレーションの均一化や経営の効率化に積極的に取り組む一方で、食材・調理の研究を通じた提供価値・品質の向上により付加価値を創出し、お客様に感動していただける店舗づくりを追求していくことで他社との差別化を図り、持続的な成長の実現と収益基盤強化を目指すことを基本方針としております。
(2)経営環境及び経営戦略等
当社グループの属する外食業界におきましては、少子高齢化に加え、お客様の嗜好の多様化、業種・業態を超えた企業間競争の激化など厳しい経営環境が続いておりました。
そのような中、当社グループは「Global YAKITORI Family」というビジョンを掲げ、“焼鳥”を“YAKITORI”に、“YAKITORI”を世界言語にし、“焼鳥”を軸として世界の外食市場へ挑戦しております。「鳥貴族」は関西圏、関東圏及び東海圏を中心に643店舗展開しており、国内全域に展開する「やきとり大吉」と合わせると日本国内において合計1,000店舗を超える焼鳥屋の店舗を有しておりますが、未出店地域も多いことから引き続き店舗展開を行ってまいります。海外はまだ中華人民共和国に2店舗、米国1店舗の3店舗に留まっておりますが、米国・東アジアを中心に積極的に店舗展開を進めてまいります。
(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、既存店の売上高を維持向上することが重要であると考えており、既存店(新規開店した月を除き、12ヶ月以上経過した店舗)の売上高、客数、客単価の前年同月比を客観的な指標としております。また、財務の健全性、安定性を維持するための運転資金の確保と資金効率のバランスを勘案し、自己資本比率40%を財務上の指標としておりましたが、今後は収益の拡大・安定化をすすめることでROE20%以上の安定的な利益創出も併せて目指してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症が収束し、当社グループの主力事業である『焼鳥屋 鳥貴族』の売上も順調に回復いたしましたが、原材料価格、人件費、物流費、エネルギーコストが軒並み高騰し、今後も厳しい状況が継続するものと想定されます。こうした状況を踏まえ、当社グループの主力事業である「焼鳥屋 鳥貴族」を中心に日本全国への出店に取り組みつつ、TORIKIZOKU USA INC.、TORIKIZOKU KOREA INC.による直営店を中心に米国及び東アジアでの事業展開により海外進出にも注力し取り組んでまいります。また、「やきとり大吉」は、日本国内はもとより海外を含め店舗数を純増に転じさせ再成長に取り組んでまいります。
長期的には、当社グループは、資本・人材・ノウハウ等の集中投下及び業務オペレーションの均一化等、経営の効率化に積極的に取り組む一方で、安心・安全な食材の使用・商品に最適な調理方法の開発など、品質・味へ徹底的にこだわることにより付加価値を創出し、お客様に感動していただける店舗づくりを追求してまいります。他社との差別化を図り、引き続き持続的な成長の実現と収益基盤強化のため、以下の課題について重点的に取り組んでまいります。
① 内部管理体制の強化
チェーンストアとしての多店舗展開におけるリスク管理、衛生管理のさらなる向上、コンプライアンス遵守体制の強化を重要事項とし、本部を中心に内部統制の改善を実施してまいります。また、財務報告に関連する内部統制の強化及びアメーバ経営による経営管理システムの構築も重要課題と認識しており、必要に応じて人員の増強を図る方針であります。
② 既存店売上高の維持向上
外食業界は成熟した市場となっており、個人消費支出における選別化、弁当・コンビニエンスストア等を代表とする業界を超えた顧客獲得競争の激化等により、厳しい経営環境となっております。
当社グループにおいては、ブランド力をさらに強化し既存店売上高を維持向上させるため、クオリティ(商品品質)・サービス(接客力)・クレンリネス(衛生管理)の強化を全従業員に周知徹底し、お客様満足度の向上に努めてまいります。『焼鳥屋 鳥貴族』につきましては、マーケティング・ブランディングを強化し、お客様の体験価値や好感度等の向上に取り組んでまいります。また、『やきとり大吉』につきましては、リブランディングや未出店エリアへの出店を行い、新規加盟者・顧客層を拡大させることで再成長を目指してまいります。
③ 商品力の向上
食の安全に対するお客様の意識は一層高まりつつあります。当社グループでは、産地との良好な関係を構築・維持することで、今まで以上に安全かつ良質な食材の確保に取り組んでまいります。また、お客様のニーズの変化にも迅速に対応できる商品開発や人気メニューのさらなる付加価値向上に取り組んでまいります。チキンの美味しさ・機能性に関する研究や調理機器の実証、調理オペレーション開発などを通じて、チキンの可能性を深耕し、当社グループが提供する“YAKITORI”の価値を向上させてまいります。
④ 食材の安定調達及びサプライチェーンの最適化
産地における人手不足や物流コストの上昇等により、調達・物流を取り巻く環境も厳しい状況にあります。当社グループでは、産地との良好な関係を構築・維持するとともに、調達・物流体制を強化することで、食材の安定調達に取り組んでまいります。当社グループが提供する“YAKITORI”をさらに広めるべく、また、持続的な成長に向けて、サプライチェーンの最適化にも取り組んでまいります。
⑤ 新規出店・投資効果の維持向上及び新規事業の開発
新たな収益を確保するためには、投資効果のさらなる向上が重要課題であると考えております。『焼鳥屋 鳥貴族』につきましては、全国展開に向け、出店初期投資額の削減、並びに、店舗運営の効率化を行うとともに、マーケティング調査の強化により競争優位となりうる出店候補地において新規出店を行い、直営/TCCで全国1,000店舗体制を目指してまいります。
また、総菜業態をはじめとする新たな店舗フォーマットの開発やパートナーとの協業に取り組み、新たな収益源となる新規事業を開発してまいります。
⑥ 人材の採用・教育強化
今後、当社グループの成長には、優秀な人材の確保が必要不可欠と考えております。当社グループの企業理念を理解し、賛同した人材の採用を最重要課題とし、中途採用だけでなく新卒採用にも積極的に取り組んでまいります。また、外食産業に限らない経験豊富な人材の招聘等により、変化する経営環境に対し柔軟に対応できる組織を目指します。
人材教育に関しては各役職・階層別に応じた研修プログラムを充実させ、特に当社グループの主力事業である『焼鳥屋 鳥貴族』の店長に対する教育プログラムを強化し、店舗運営力のさらなる向上に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
(2)人的資本に関する戦略、指標及び目標
① 人財育成に関する方針
当社グループでは、創業時から変わらない理念、「世の中を明るくしたい」という「うぬぼれ」のもと、社員と企業が共に成長し続けられるための教育体系を整備し、取り組んでおります。1985年の創業以来、「任せることが人を育てる」という人財育成方針のもと、任せる(=チャレンジできる)ことができる人財の育成を目指しております。
具体的な取組としましては、共通価値観である「TORIKIWAY」を教育のベースとし、階層別研修および選抜型研修を通じて、社員の成長を支援しています。階層別研修では、各階層において必要な知識・技術の習得に加え、マネジメントスキルや経営能力の向上に焦点を当てたトレーニングを提供しています。
選抜型研修では、有望な候補者を対象にし、リーダーシップの発揮を促進するため、対人関係力と課題解決能力を強化するプログラムを導入し、実務課題の効果的な解決手段を実践的に学ぶ機会を提供しています。これらのプログラムを通じて、社員は自己成長し、リーダーシップを発揮できる力を身につけていきます。
また、研修による育成だけでなく、社員のキャリアを広げられるように本人希望と適性を考慮した配置転換による育成を図っています。
② 採用に関する方針
当社グループの採用方針は、新卒採用・キャリア採用に関わらず、以下の人物像を重視します。
1.企業理念への共感とリーダーシップ:我々の理念とビジョンに共感し、主体的にリーダーシップを発揮できる個人を求めます。善悪の判断力を備えた正しい人間であることを重視します。
2.自己主導型の個人:我々は自己成長と問題解決能力を持ち、自ら考え仕事を作り出せる個人を求めます。選考プロセスでは、基礎能力の評価も行います。
採用プロセスでは、企業理念への共感を強化するため、面接や研修などで積極的に対話し、候補者の自己成長能力を評価します。面接では構造化面接を実施し、合議制で採用を決定しております。また、面接官は理念と文化を伝えるためのトレーニングを受けています。バックオフィス部門においては、専門知識と経験を追加要件としています。
③ 社内環境整備に関する方針
当社グループは企業理念の1つに「外食産業の社会的価値向上」を掲げており、労働環境の向上がひとつの重要な課題ととらえ、積極的に取り組んでいます。
また「Global YAKITORI Family」を実現すべく、優秀な人財の確保と定着に注力しております。
労働環境の整備の一環として、報酬向上と労働時間短縮を進めており2024年7月期においては定期賞与支給率の向上と併せて決算賞与を支給し、全正社員の平均年収が2023年7月期と比較して約2.6%アップいたしました。加えて2024年8月に平均4.8%の賃金引き上げとなるように、賃金制度を改定しております。
労働時間については、各店舗における人員充足率向上などの影響もあり、残業時間が昨対比△1.2%となっております。
人財定着については、2018年7月期、入社1年以内の離職者が、全離職者の4割に達していたことから、入社1年以内の正社員に対するサポートを強化しています。具体的には毎月モチベーションサーベイを実施し、サーベイ結果に基づいた適切なフォローアップを行う体制を構築しております。2024年7月期は25.0%でしたが、引き続き改善してまいります。
また、創業時からバックオフィスはコスト部門であり、極力投資を抑えておりました。しかしながらグローバル化や経営環境の変化に対応していくためには、バックオフィス部門も価値を創造していく必要があると考え、個々の成長・シナジー発揮を実現できるよう本社を移転いたしました。
今後も労働環境の向上に取り組みながら、グローバル化への対応や、優秀な人財の確保と定着のため、等級・評価・報酬を中心とした人事制度の改定や、多様な人財が活躍・成長できる環境構築に取り組んでまいります。
④ 指標及び目標
指標 |
目標 |
備考 |
管理職に占める 女性労働者の割合 |
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正社員の男女比率と同等基準の目標としております |
男性労働者の 育児休業取得率 |
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当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社グループの株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、特段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため実際の結果と異なる可能性があります。
(1)市場環境について
外食業界は成熟した市場となっており、個人消費支出における選別化、中食・コンビニエンスストア等を代表とする業界を超えた顧客獲得競争の激化等により、厳しい経営環境となっております。当社グループでは、メニューの改定等により既存店舗の売上高の確保を図ると同時に、直営店舗の新規出店による事業拡大を積極的に行ってまいりますが、外食産業における市場環境の悪化が進む場合には、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)店舗コンセプトについて
当社グループは現在、「鳥貴族」「TORIKI BURGER」「やきとり大吉」の3ブランドによる店舗展開を行っております。主要食材を鶏肉に絞り専門店として特化することにより、資本・人材・ノウハウの集中投下と業務オペレーションの均一化を行うことにより、景気変動に左右されにくい収益性の維持に取り組んでまいりますが、これらの施策が必ずしも継続的に顧客に受け入れられる保証はなく、その場合には当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)新規出店計画について
新規出店については、従来の不動産業者等からの外部情報に加え、取引先業者、取引先銀行からも幅広く情報を入手するように努めておりますが、当社グループのニーズに合致する物件が必ずしも確保されるとは限りません。また、仮に当社グループの計画に沿った物件を確保しても、計画した店舗収益を確保できない可能性があります。当社グループでは、新規出店の物件確保及び収益性の確保等に努めてまいりますが、新規出店が計画どおり遂行できない事態が発生した場合または計画した店舗収益を確保できない場合、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)賃貸借による店舗展開について
当社グループの本社事務所及び直営店舗はそのほとんどが建物を賃借しており、賃貸借契約に対して保証金等を差し入れています。2024年7月31日現在の敷金及び差入保証金の残高は1,917,135千円となっており、総資産に占める比率は9.3%であります。
当社グループは新規に出店する際の与信管理を徹底しておりますが、賃貸人の財政状態が悪化した場合、差入保証金(敷金・保証金)の一部または全部が回収不能となることや賃借物件の継続的使用が困難となることが考えられます。その場合、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)鳥貴族カムレードチェーン加盟店について
① カムレードチェーン加盟店の店舗展開について
「鳥貴族」では直営店の店舗展開のほか、カムレードチェーン加盟店による店舗展開の拡大を推進しております。当社グループはカムレードチェーン加盟店に対してサービスや衛生管理の指導を行う義務が生じ、その対価としてロイヤリティ収入等を収受しております。
外食産業全般の市場縮小やカムレードチェーン加盟に積極的な企業の業績悪化等により、カムレードチェーン加盟企業数が減少した場合、もしくはカムレードチェーン加盟企業の店舗が退店した場合には、ロイヤリティ収入等が減少し、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
② カムレードチェーン加盟店への店舗運営指導について
当社グループはカムレードチェーン加盟店に対してカムレード契約に基づき、ホールオペレーション、キッチンオペレーション及び衛生管理等の店舗運営に係る指導を実施しております。
しかし、カムレードチェーン加盟企業において当社グループの指導に従ったサービスの提供が行われない場合や衛生管理面の問題が生じた場合、当社グループブランドの価値が毀損し、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)商標権について
当社グループは商標権を取得し管理することで当社グループのブランドを保護する方針であります。
第三者が類似した商号等を使用し、当社グループのブランドの価値が毀損された場合、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)商品表示について
外食産業においては、一部企業の産地偽装や賞味期限の改ざん等が発生するなど、食の安全性だけではなく、商品表示の適正性、信頼性等においても消費者の信用を失墜する事件が発生しております。当社グループは、適正な商品表示のため社内体制の整備・強化に全社一丸となって注力しておりますが、食材等の納入業者も含めて、万が一、表示内容に重大な誤りが発生した場合には、社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)出店後の環境変化について
当社グループは新規出店をする際には、商圏誘引人口、競合店調査、賃借条件等の立地調査を綿密に行った上で意思決定をしております。しかしながら、当社グループの出店後に交通アクセスが変化した場合や、同業他社等から新規参入があった場合には、当初の計画どおりに店舗収益が確保できず、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)人材採用及び教育について
当社グループが安定的な成長を達成していくためには、優秀な人材の確保が必要であります。当社グループの経営理念を理解し、賛同した人材確保を最重要課題として、既存店舗に勤務しているパートタイマー・アルバイトからの社員登用や、中途採用だけでなく、新卒採用にも積極的に取り組んでまいります。また人材教育に関しては、実践的な技術指導に加え、理念教育を重点的に行う事により当社グループの核となり得る人材を育成してまいります。しかしながら、当社グループ直営店及びカムレード加盟企業の出店の拡大に対する人材の確保及び教育が追いつかない場合には、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)従業員の処遇について
① 短時間労働者に対する社会保険加入義務化の適用基準拡大について
当社グループの店舗運営において短時間労働者は不可欠なものとなっており、2024年7月31日現在で11,927名のパートタイマー及びアルバイトを雇用しております。そのうち社会保険加入義務のある対象者は少数でありますが、今後、短時間労働者の社会保険加入義務化の適用が拡大された場合には、保険料の増加、パートタイマー及びアルバイト就業希望者の減少等により、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
② その他労働法の強化等について
現状、当社グループは法令等で定められた労働規制等については適正に遵守しておりますが、今後この規制基準等が強化・拡大された場合には、法定福利費の増加及び人員体制強化に伴う費用の増加等により、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)法的規制について
当社グループは、「鳥貴族」「TORIKI BURGER」「やきとり大吉」の3ブランドで事業を展開しておりますが、事業に関する法規制等は多岐にわたっております。当社グループでは、コンプライアンス委員会を組織し、コンプライアンス体制の強化に努めておりますが、万が一重大な不祥事やコンプライアンス上の問題が発生した場合や、既存の法規制等の改正または新たな法規制等の制定が行われた場合には、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループ事業に関わる法規制等のうち、特に影響が大きいと考えられるものは以下のとおりです。
① 食品衛生法への対応について
当社グループは、食品衛生法(1947年法律第233号)の規定に基づき、管轄保健所を通じて飲食業の営業許可を取得し、各店舗では食品衛生管理者を管轄保健所に届け出ております。その上で、各店舗における衛生管理の強化に取り組んでおり、食中毒等の重大事故の未然防止に努めております。しかしながら、今後、食中毒等の事故が発生した場合には、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)について
2001年5月に施行された「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)により年間100トン以上の食品廃棄物を排出する外食業者(食品関連事業者)は、食品廃棄物の発生量の抑制、減量及び再生利用を通じて、食品残渣物の削減を義務付けられております。当社グループは食品残渣物を削減するための取り組みを鋭意実施しておりますが、今後法的規制が強化された場合には、その対応のために、設備投資等に関連する新たな費用が発生し、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
深夜0時以降も営業する店舗につきましては、深夜営業について「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」により規制を受けております。各店舗における届出等、当該法令に定める事項の厳守に努めておりますが、法令違反等が発生した場合には、一定期間の営業停止等が命ぜられ、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)鳥インフルエンザについて
当社グループは鶏肉の仕入ルートとして国内に複数の産地を確保しておりますが、同時多発的に鳥インフルエンザが発生した場合、鶏肉の確保が出来ず営業を休止せざるを得ない事態に至るおそれがあり、また、鳥インフルエンザの発生により鶏肉に対する風評被害が発生し消費者より敬遠される等の事態に陥った場合には、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)材料価格の高騰について
近年発生した原油相場高騰に伴う穀物相場等の高騰にとどまらず、天候不順による野菜価格の高騰並びに政府によるセーフガード(緊急輸入制限措置)等の発動など需給関係の急激な変動による食材価格の高騰の可能性等、当社グループが購入している原材料には価格が高騰する可能性のあるものが含まれております。当社グループは安心かつ安全な原材料の調達に向けた調達ルートの多様化に引き続き取り組んでまいりますが、このような事象が発生し、原材料価格が高騰した場合、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)有利子負債依存度について
当社グループは、総資産に占める有利子負債(借入金、リース債務)の割合が、2024年7月31日現在で16.5%に留まっており、今後の海外展開や新規出店等の事業投資に伴う資金調達についても引き続き経済情勢や金利動向、財務バランスを総合的に勘案し、有利子負債の適正な水準に維持し事業展開を行う予定です。しかし、有利子負債依存度が高い状態で金利が上昇した場合には、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)減損損失について
外的環境の著しい変化等により、店舗収益性が悪化し、事業計画において計画した店舗収益性と大きく乖離した場合、固定資産及びリース資産について減損損失を計上することとなり、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)特定地域に対する依存度等について
当社グループの直営店舗出店地域は、関西圏、関東圏及び東海圏の3商圏が中心となっており、特に関西圏においては、大阪府に本社及びタレ工場を設置しております。
当社グループは当面の間上記3商圏を中心に事業展開を計画しておりますが、地震等の自然災害が発生し、店舗設備、本社社屋及びタレ工場の損壊などによる営業の一時停止や、道路網の寸断、交通制御装置の破損等により事業の運営が困難になった場合、あるいは同地域に特定した経済的ダメージが発生し消費者の消費環境が悪化した場合には一時的に来客数が著しく減少する可能性があります。また、自然災害等による店舗、本社社屋またはタレ工場設備の損壊の程度によっては、大規模な修繕の必要性から、多額の費用が発生する可能性があり、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)個人情報について
当社グループは、顧客満足度向上のために顧客情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」に定める「個人情報取扱事業者」に該当し、個人情報の取扱いに関して一定の義務を負っております。そのため当社グループでは、個人情報管理規程を策定し、社内の管理体制には万全を期しております。しかしながら、個人情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合には、当社グループの信用低下による売上の減少や損害賠償による費用の発生等により、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)配当政策について
当社グループは、将来の成長投資のため利益を配分するとともに、長期的な成長を通じ株主の皆様に対し安定かつ充実した利益還元を行うことを重要な経営目標と認識しております。2025年7月期初年度とする中期経営計画においては、持続的な利益成長を通じて、安定的・持続的な増配を原則とする累進配当を実施する方針であります。なお、通期配当総額については連結配当性向20%以上を目安としております。しかしながら、当社グループの業績が計画どおりに進展しない場合には、配当を実施できない可能性があります。
(19)感染症の拡大による影響について
新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、2023年5月に新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置付けが5類感染症となり一定の収束はみられたものの、新型コロナウイルス感染症だけではなく、今後、新たな感染症などの拡大が発生した場合は、来店客数の減少等が生じ、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
外食業界を取り巻く環境は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置付けが5類感染症となり、経済活動の正常化が進み、人流が増加するとともにインバウンドも回復し、国内の消費活動に大きく持ち直しが見られました。その一方で、国際情勢の悪化や円安によるエネルギー資源や原材料価格の高騰、人件費の上昇により依然として厳しい経営環境が続いております。
当連結会計年度におきまして当社グループは、関東・東海・関西以外の新たなエリアへの「鳥貴族」の出店を継続し行い、「TORIKI BURGER」は関西のフードコートに出店致しました。
「鳥貴族」の新エリアでの新規出店は、鹿児島県初出店となる「鳥貴族 天文館店」、徳島県初出店となる「鳥貴族 徳島両国橋店」、石川県初出店となる「鳥貴族 片町店」、宮城県初出店となる「鳥貴族 仙台国分町店」を出店いたしました。また、2024年7月にはトリキアプリの総ダウンロード数は86万ダウンロードを超え、多くのお客様にご利用頂いております。
当連結会計年度末日における「鳥貴族」の総店舗数は643店舗(純増17店舗)、直営店は401店舗(純増7店舗)となりました。ダイキチシステム株式会社が運営する「やきとり大吉」他の店舗数は491店舗であり、当社グループの店舗数は1,139店舗(純増5店舗)、直営店は405店舗(純増6店舗)であります。
以上の結果、当連結会計年度は、売上高は41,914,070千円(前年同期比25.3%増)、営業利益は3,248,880千円(同129.2%増)となりました。経常利益は3,261,813千円(同128.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,127,337千円(同245.2%増)となりました。
なお、当社グループは飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
財政状態の状況は以下の通りであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は20,654,561千円となりました。
流動資産合計は10,747,268千円となり、前連結会計年度末と比較して90,604千円の増加となりました。これは主に売上の増加にともない売掛金が増加したこと等によるものであります。
固定資産合計は9,907,293千円となり、前連結会計年度末と比較して1,244,965千円の増加となりました。これは主に、「鳥貴族」の新規出店に伴い、建物、工具、器具及び備品が増加したこと等によるものであります。(負債)
当連結会計年度末における負債合計は11,961,902千円となりました。
流動負債合計は8,011,093千円となり、前連結会計年度末と比較して929,566千円の減少となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金等の減少要因が、未払法人税等の増加要因を上回ったことによるものです。
固定負債合計は3,950,809千円となり、前連結会計年度末と比較して462,613千円の増加となりました。これは主に、長期借入金が増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は8,692,659千円となりました。前連結会計年度末と比較して1,802,523千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加したこと等によるものであります。自己資本比率は42.1%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して243,765千円の減少となり8,445,903千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは4,441,729千円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,159,652千円及び減価償却費887,148千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,990,588千円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,554,702千円及び持分法適用関連会社株式の取得による支出157,766千円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,721,861千円の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3,848,646千円を計上した一方、運転資金の確保のための長期借入れによる収入1,500,000千円を計上したこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社グループは、焼鳥のタレを自社工場で生産しておりますが、金額的重要性が乏しいことから、記載を省略しております。
(b)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
前年同期比(%) |
飲食事業(千円) |
14,674,600 |
126.3 |
合計(千円) |
14,674,600 |
126.3 |
(注)当社グループの事業区分は「飲食事業」の単一セグメントであります。
(c)受注実績
当社グループは、一般消費者へ直接販売する飲食事業を行っておりますので、記載しておりません。
(d)販売実績
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
前年同期比(%) |
飲食事業(千円) |
41,914,070 |
125.3 |
合計(千円) |
41,914,070 |
125.3 |
(注)当社グループの事業区分は「飲食事業」の単一セグメントであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
既存店の売上高、客数、客単価の前年同月比は以下のとおりであります。
(前年同月比 単位:%)
|
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
累計 |
売上高 |
148.4 |
125.2 |
115.6 |
123.6 |
130.0 |
123.2 |
122.7 |
120.0 |
116.3 |
118.1 |
118.8 |
107.8 |
121.6 |
客数 |
146.2 |
125.9 |
116.5 |
123.3 |
127.8 |
121.4 |
121.4 |
116.9 |
114.0 |
116.6 |
116.2 |
106.2 |
120.2 |
客単価 |
101.5 |
99.4 |
99.3 |
100.3 |
101.7 |
101.4 |
101.1 |
102.6 |
102.0 |
101.3 |
102.3 |
101.5 |
101.2 |
(a)財政状態の状況
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
(b)経営成績の状況
当連結会計年度の経営成績の状況につきましては、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
(b)資本の財源及び資金の流動性
・資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要、設備資金需要があります。運転資金需要は食材仕入のほか、販売費及び一般管理費の営業費用であります。営業費用の主なものは、人件費、店舗賃借料及び店舗運営に係る費用(水道光熱費・修繕費等)であります。設備資金需要につきましては、飲食事業における新規出店や既存店舗の改装費用等であり店舗設備に係る設備投資であります。
・財政政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債の調達を実施しております。このうち、運転資金及び既存店舗の設備資金については内部資金を活用し、新規に出店する店舗設備等の設備資金については変動金利の長期借入金及びリース契約により調達しております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本としており、長期借入金及びリース等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存有利子負債の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断していくこととしております。
当連結会計年度末において、当社グループが締結しているコミットメントライン契約の合計は1,500,000千円であります(借入未実行残高1,500,000千円)。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,414,005千円であり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は8,445,903千円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当該見積りに際しましては、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
カムレード契約
当社グループはカムレードチェーン加盟店との間で、以下のような要旨の加盟契約を締結しております。
(1)契約の内容
当社は、その有する営業ノウハウと「鳥貴族」の商標(サービスマーク)を使用して焼鳥屋を営業する資格ないし権利を加盟店に付与し、マニュアル等の印刷物、担当指導員の指導等を通じて加盟店の経営、店舗の営業を支援する。加盟店は、契約に定める事項、貸与ないし供与されたマニュアル並びに当社の指示を遵守して営業に従事し、その発展に邁進するものとし、契約に定める加盟金、ロイヤリティを支払う。
(2)契約期間
契約締結日を開始日として、満7年を経過した日を終了日とする。
(3)契約更新
契約満了の3カ月前までに両当事者のいずれからも解約の申入れがない場合は、2年毎に自動的に更新される。
「カムレードチェーン」につきましては、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3事業の内容」をご参照下さい。
特記すべき事項はありません。