第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間(2024年1月1日から2024年6月30日まで)におけるわが国経済は、賃金上昇等による個人の消費マインドの高まりやインバウンド消費の回復、また企業収益の向上に伴う期待感から株価上昇の流れも生まれるなど、緩やかな回復傾向が見られております。他方、歴史的な円安の進行で原材料やエネルギー価格の高騰による物価上昇に加え、長期化するウクライナ情勢や中東情勢の緊迫化などを背景とした世界経済の下振れ懸念は続き、景気の先行きは依然として不透明な状況です。

 当社グループを取り巻く外部環境といたしましては、国内市場における少子高齢化、人口減少に伴う需要の低迷という構造的な問題に加えて、国内外を問わず、デジタル化の進展によって事務用品としての筆記具の需要は縮小傾向にあります。一方で、ライフスタイルや価値観の多様化によって、お客様の商品への要求は、機能的な価値のみならず、自己を表現する存在としての情緒的な価値に対しても高まりをみせております。さらに、環境問題をはじめとするサステナビリティという共通課題への関心の高まりは、お客様の消費に対する価値観を変容させつつあります。こういった市場環境の変化に迅速に対応し、お客様の求める価値を具現化し続けていくことが一層求められる状況になっております。

 このような経営環境のなか、当社グループは、「書く(かく)、描く(えがく)」を通じた“表現体験そのもの”を創造することで、すべての人が生まれながらにして持つ個性や才能といった「ユニーク」を表現する機会を創り出すことが、お客様への提供価値と捉え、「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプト(企業理念)に基づき、活動してまいりました。

 具体的な活動として、「書く(かく)・描く(えがく)」という表現体験をご提供する場として、東京・大井町に当社初の体験型空間「o-i STUDIO(オーイスタジオ)」をオープンいたしました。o-i STUDIOでは、当社の筆記具をご利用いただけるほか、ワークショップをはじめとする様々な表現体験をお試しいただくことができ、これらの体験を通じて人と人がつながり、表現の和が広がる場として、地域社会の活性化に貢献することを目指しております。また、“芯が回ってトガりつづけるシャープ”「クルトガ」シリーズから、メタル製の軸による上質さと安定した筆記感を実現した「KURUTOGA Metal(クルトガ メタル)」を発売いたしました。さらに、北米市場を主なターゲットとし、これまで水性ボールペンでは実現が困難だったリフィル交換可能なノック式タイプで、万年筆のような軽い書き心地を実現した水性ボールペン「uni-ball ZENTO」を発売いたしました。

また、筆記具事業のさらなるグローバル化を見据えて、ドイツを拠点とする C.Josef Lamy GmbH、Lamy Vermietungs GmbH および、C. Josef Lamy GmbH の子会社3社の持分を3月に取得いたしました。

 

 これらの活動の結果、当中間連結会計期間における売上高は42,434百万円(前年同期比17.1%増)、営業利益は5,251百万円(前年同期比7.2%減)、経常利益は6,419百万円(前年同期比1.8%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は6,671百万円(前年同期比50.4%増)となりました。

 セグメント別の業績を概観いたしますと、筆記具及び筆記具周辺商品事業におきましては、海外市場での売上が堅調に推移したことや、為替による押し上げ影響により、外部顧客への売上高は41,267百万円(前年同期比17.6%増)となりました。また、粘着テープ事業、手工芸品事業といったその他の事業におきましては、事業を取り巻く市場環境は依然として厳しいものの、外部顧客への売上高は1,166百万円(前年同期比2.7%増)となりました。

 当中間連結会計期間末の資産は、主に現金及び預金が減少したものの、棚卸資産やのれんが増加したことにより、前連結会計年度末に比べて36,878百万円増加し182,885百万円となりました。

 負債は、主に短期借入金や退職給付に係る負債が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて24,182百万円増加し53,329百万円となりました。

 純資産は、主に自己株式を消却したことやその他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて12,695百万円増加し129,556百万円となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて7,264百万円減少し48,591百万円となりました

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、主に税金等調整前中間純利益10,121百万円、減価償却費1,549百万円に対し、固定資産売却益3,592百万円、法人税等の支払額による資金の減少2,229百万円により、合計で4,692百万円(前年同期比2,603百万円の収入の減少)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は、主に連結の範囲の変更を伴う子会社持分の取得による支出21,122百万円、投資不動産の取得による支出5,993百万円に対し、固定資産の売却による収入3,700百万円により、合計で26,663百万円(前年同期比25,392百万円の支出の増加)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、主に配当金の支払額1,188百万円、短期借入金の増加による14,992百万円により、合計で13,280百万円(前年同期比15,654百万円の収入の増加)となりました。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当中間連結会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費は1,929百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 (持分取得の連結子会社化)

当社は、2024年2月28日開催の取締役会において、C. Josef Lamy GmbH 及びLamy Vermietungs GmbHの全持分を取得し、連結子会社化することについて決議いたしました。

詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。