第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間(以下、「当期」)において、新たな事業等のリスクの発生、または、前年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 業績の概要

当期(2024年4-9月期)の連結業績は、以下のとおりとなりました。

 

(単位:億円、%以外)

 

前年同期

当期

AERベース

CERベース

増減額

増減率

増減率

売上収益

21,017

23,840

2,823

13.4

5.0

売上原価

△6,647

△7,813

△1,166

17.5

9.2

販売費及び一般管理費

△5,011

△5,383

△372

7.4

△0.4

研究開発費

△3,467

△3,440

27

△0.8

△8.3

製品に係る無形資産償却費及び減損損失

△3,697

△3,052

644

△17.4

△23.9

その他の営業収益

99

139

41

41.1

32.9

その他の営業費用

△1,102

△785

317

△28.8

△35.2

営業利益

1,192

3,506

2,313

194.0

173.1

金融収益及び費用(純額)

△818

△934

△116

14.1

10.3

持分法による投資損益

16

△12

△29

 

 

税引前中間利益

391

2,560

2,169

555.5

500.1

法人所得税費用

24

△686

△710

 

 

中間利益

414

1,874

1,460

352.3

306.2

中間利益(親会社の所有者帰属分)

414

1,873

1,459

352.8

306.6

 

 

本項において、前年同期に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減」の定義については、「当期(2024年4-9月期)におけるCore業績の概要」の「Core財務指標とCERベースの増減の定義および説明」をご参照ください。

 

売上収益〕

売上収益は、2兆3,840億円+2,823億円および+13.4% AER、+5.0% CER)となりました。この増収は、為替相場が円安に推移したこと、血漿分画製剤、消化器系疾患、オンコロジー(がん)、希少疾患およびワクチンにおいて事業が好調に推移したことによるものです。これらビジネスエリアでの増収は、ニューロサイエンス(神経精神疾患)において、円安による増収影響があったものの、米国における注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSEの独占販売期間満了に伴い2023年8月以降、後発品が参入したことによる影響を引き続き大きく受けて減収となったことにより一部相殺されました。加えて、当社の6つの主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本において高血圧症治療剤アジルバの売上が減少したことによるものです。アジルバの売上は、58億円△178億円および△75.4% AER、△75.4% CER)となり、日本において2023年6月以降の後発品の参入による影響を受け減収となりました。

 

 

地域別売上収益

各地域の売上収益は以下のとおりです。

(単位:億円、%以外)

 

売上収益:

前年同期

当期

AERベース

CERベース

増減額

増減率

増減率

日本

2,285

2,164

△122

△5.3

△5.6

米国

11,048

12,476

1,428

12.9

3.1

欧州およびカナダ

4,600

5,330

730

15.9

6.1

アジア(日本を除く)

1,233

1,400

167

13.6

6.4

中南米

921

1,325

405

44.0

36.4

ロシア/CIS

311

430

119

38.2

31.1

その他(注1)

620

716

96

15.5

7.8

合計

21,017

23,840

2,823

13.4

5.0

 

(注1) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。

 

 ビジネスエリア別売上収益

ビジネスエリアの売上収益は以下のとおりです。

(単位:億円、%以外)

 

売上収益:

前年同期

当期

AERベース

CERベース

増減額

増減率

増減率

消化器系疾患

5,969

6,952

983

16.5

7.6

希少疾患

3,409

3,887

478

14.0

5.3

血漿分画製剤

4,302

5,357

1,055

24.5

14.3

オンコロジー

2,252

2,850

598

26.6

18.7

ワクチン

178

381

203

114.0

107.0

ニューロサイエンス

3,307

3,146

△161

△4.9

△12.3

その他

1,601

1,268

△332

△20.8

△24.9

合計

21,017

23,840

2,823

13.4

5.0

 

 

各ビジネスエリアにおける売上収益の前年同期からの増減は、主に以下の製品によるものです

・消化器系疾患

消化器系疾患の売上収益は、6,952億円+983億円および+16.5% AER、+7.6% CER)となりました。

潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、4,732億円+815億円および+20.8% AER、+10.7% CER)となりました。米国における売上は、3,266億円(+555億円および+20.5% AER)となりました。この増収は、円安による増収影響、炎症性腸疾患に対する生物学的製剤の新規投与の需要増加および皮下注射製剤の上市により新規患者に使用されたことによるものです。欧州およびカナダにおける売上は、1,125億円(+205億円および+22.3% AER)となりました。この増収は、主に皮下注射製剤の使用拡大に伴い新規患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。

短腸症候群治療剤GATTEX/レベスティブの売上は、733億円+144億円および+24.4% AER、+14.6% CER)となりました。この増収は、主に米国における需要増加、処方拡大(小児適応拡大)、および円安による増収影響によるものです。

 

・希少疾患

希少疾患の売上収益は、3,887億円(+478億円および+14.0% AER、+5.3% CER)となりました。

遺伝性血管性浮腫治療剤タクザイロの売上は、1,110億円+240億円および+27.5% AER、+16.7% CER)となりました。この増収は、主に米国、欧州およびカナダにおいて需要が増加していること、および円安による増収影響によるものです。

酵素補充療法のハンター症候群治療剤エラプレースの売上は、531億円+74億円および+16.3% AER、+8.0% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国での堅調な需要によるものです。

移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤リブテンシティの売上は、155億円(+72億円および+86.2% AER、+70.5% CER)となりました。この増収は、主に米国において上市後、順調に市場浸透していることに加え、欧州および成長新興国において引き続き販売エリアが拡大したことによるものです。

酵素補充療法のファブリー病治療剤リプレガルの売上は、413億円+51億円および+14.1% AER、+6.9% CER)となりました。この増収は、成長新興国での需要の増加、および円安による増収影響によるものです。

 

・血漿分画製剤

血漿分画製剤の売上収益は、5,357億円(+1,055億円および+24.5% AER、+14.3% CER)となりました。

免疫グロブリン製剤の売上合計は、3,910億円+819億円および+26.5% AER、+15.9% CER)となりました。原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤GAMMAGARD LIQUID/KIOVIGおよび皮下注射製剤であるキュービトルとHYQVIAの3つのグローバル製品の売上は、引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、皮下注射製剤は静脈注射に比べ投薬の利便性が高いこと、また円安による増収影響により、2桁台の売上増加率となりました。

主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられるHUMAN ALBUMINとFLEXBUMINを含むアルブミン製剤の売上合計は、703億円+114億円および+19.3% AER、+11.0% CER)となりました。この増収は、主に中国における堅調な需要の増加によるもの、および円安による増収影響によるものです。

 

・オンコロジー

オンコロジーの売上収益は、2,850億円+598億円および+26.6% AER、+18.7% CER)となりました。

大腸がん治療剤FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ)の売上は、231億円となりました。FRUZAQLAは、2023年11月に米国で最初に上市して以降、その他の国々でも上市されています。

悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、682億円+140億円および+25.7% AER、+17.4% CER)となりました。この増収は、成長新興国、欧州およびカナダにおける堅調な需要が牽引したこと、および円安による増収影響によるものです。

子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられるリュープリン/ENANTONEの売上は、604億円+117億円および+23.9% AER、+18.7% CER)となりました。この増収は、米国における売上が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。

白血病治療剤アイクルシグの売上は、354億円+84億円および+30.9% AER、+19.9% CER)となりました。この増収は、米国における堅調な伸長、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)と新たに診断された患者さんの化学療法併用下での治療剤としての効能が2024年3月に米国において承認されたこと、および円安による増収影響によるものです。

 

・ワクチン

ワクチンの売上収益は、381億円(+203億円および+114.0% AER、+107.0% CER)となりました。

デング熱ワクチンQDENGAの売上は、199億円(+179億円および+927.6% AER、+863.1% CER)となりました。この増収は、デング熱流行国においてQDENGAのアクセスが拡大したことによるものであり、非流行国も含め、20ヶ国以上で利用可能となっています。

その他のワクチンの売上合計は、増収となりました。この増収は、オミクロン株JN.1系統に対応した新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンであるヌバキソビッドが2024年9月に日本において承認されたことによるものです。

 

・ニューロサイエンス

ニューロサイエンスの売上収益は、3,146億円△161億円および△4.9% AER、△12.3% CER)となりました。

ADHD治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、2,032億円△231億円および△10.2% AER、△ 17.9% CER)となりました。この減収は、米国において2023年8月から複数の後発品が参入したことによるものです。欧州における成人向け市場の拡大や円安による増収影響は、この減収影響を一部相殺するにとどまりました。

大うつ病(MDD)治療剤トリンテリックスの売上は、641億円+132億円および+25.8% AER、+16.1% CER)となりました。この増収は、米国における売上伸長によるものです。

ADHD治療剤ADDERALL XRの売上は、168億円(△58億円および△25.6% AER、△31.5% CER)となりました。この減収は主に、米国における後発品である競合他社の即放性製剤が数か月の供給不足の後に増加したことによるものであり、本剤に対してはマイナスの影響となりました。

 

 

〔売上原価〕

売上原価は、7,813億円+1,166億円および+17.5% AER+9.2% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響および製品構成の変動を含む6つの主要なビジネスエリアの好調な売上の増加によるものです。

 

〔販売費及び一般管理費〕

販売費及び一般管理費は、5,383億円+372億円および+7.4% AER、△0.4% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものですが、様々な費用効率化の取り組みにより一部相殺されております

 

〔研究開発費〕

研究開発費は、3,440億円△27億円および△0.8% AER、△8.3% CER)となりました。この減少は主に、modakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラム終了に伴う費用の減少によるものですが、円安による為替影響により一部相殺されております。

 

〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕

製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、3,052億円△644億円および△17.4% AER、△23.9% CER)となりました。無形資産償却費は主に円安による為替影響により236億円増加しました。また減損損失は主に、前年同期におけるクローン病に伴う複雑痔瘻治療剤アロフィセルに係る減損損失740億円、および非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYに係る減損損失285億円の計上により、880億円の減少となりました。当期においては臨床第3相試験の結果を踏まえて無形資産計上額の全額を減損したソチクレスタット(TAK-935)に係る減損損失215億円を計上しております。

 

〔その他の営業収益〕

その他の営業収益は、139億円+41億円および+41.1% AER、+32.9% CER)となりました。この増加は主に、TACHOSIL(フィブリノゲン配合組織接着・閉鎖パッチ剤)の製造施設を含む事業売却が完了したことにより当期に計上した売却益61億円によるものです。

 

〔その他の営業費用〕

その他の営業費用は、785億円△317億円および△28.8% AER、△35.2% CER)となりました。この減少は主に、訴訟引当金繰入額の減少、および承認前在庫にかかる評価損の戻入を当期に計上したことによるものです。前年同期における訴訟引当金の繰入額にはAbbVie, Inc.(以下、AbbVie社)との供給契約に関する訴訟にかかる引当金の繰入額を含んでおります。これらの減少は、主に全社的な効率化プログラムにより事業構造再編費用が231億円増加したことにより一部相殺されております。

 

〔営業利益〕

営業利益は、上記の要因を反映し、3,506億円+2,313億円および+194.0% AER、+173.1% CER)となりました。

 

〔金融損益〕

金融収益と金融費用をあわせた金融損益は934億円の損失+116億円および+14.1% AER、+10.3% CER)となりました。この増加は主に、武田テバファーマ株式会社株式を売却目的で保有する資産に分類したことにより当期に183億円の減損損失を計上したことによるものですが、受取利息が増加したことにより一部相殺されております。

 

〔持分法による投資損益〕

持分法による投資損益は、12億円の損失△29億円、前年同期は16億円の利益)となりました。

 

〔法人所得税費用〕

法人所得税費用は、686億円+710億円、前年同期は24億円の便益)となりました。この増加は主に、前年同期において、2014年にShire plcがAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したことに伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額635億円を認識したこと、および当期における税引前中間利益の増加によるものです。これらの増加は、当期において、認識した税額控除の増加により税金費用の計上が減少したことと一部相殺されております。

 

 

中間利益〕

上記の要因を反映し、中間利益は、1,874億円+1,460億円および+352.3% AER、+306.2% CER)、中間利益(親会社の所有者帰属分)は、1,873億円+1,459億円および+352.8% AER、+306.6% CER)となりました

 

 

当期(2024年4-9月期)におけるCore業績の概要

 

Core財務指標CERベースの増減の定義および説明

Core財務指標

当社グループのCore売上収益、Core営業利益、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)、Core EPSをはじめとするCore財務指標は、売却に伴う収益、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非定常的な事象に基づく影響、企業結合会計影響や買収関連費用など、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除しています。Core売上収益は、財務ベースの売上収益から、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない売上収益に係る影響を控除して算出します。Core営業利益は、財務ベースの営業利益から、その他の営業収益及びその他の営業費用、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非資金項目または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。Core EPSは、財務ベースの当期利益(親会社の所有者帰属分)から、Core営業利益の算出において控除された項目、および特別、非定常的な事象に基づく影響、または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算出します。

当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除するものであり、当社グループ事業の本質的な業績を理解していただくにあたり有用であると考えているためです。控除される項目には、(i) 前年度から著しく変動する項目、もしくは毎年度発生するものではない項目、または(ii) 当社グループの中核事業の本質的な業績の変動とはほぼ相関関係がないと認められる項目が含まれます。同様の指標は、同業他社においても頻繁に使用されていると認識しており、本指標を表示することは、投資家が当社グループの業績を過年度の業績と比較される際だけではなく、同業他社と類似の基準に基づき比較される際にも有用になると考えています。また、当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が予算の策定や報酬の設定(CEOおよびCFOのインセンティブ報酬を含む、当社グループの短期インセンティブ並びに長期インセンティブ報酬プログラムに係る一定の目標はCore財務指標の結果に関連して設定)に用いられているためです。

 

CER(Constant Exchange Rate: 恒常為替レート)ベースの増減

CERベースの増減は、当期の国際会計基準(IFRS)に準拠した業績またはCore財務指標(Non-IFRS)について、前年同期に適用した為替レートを用いて換算することにより、前年同期との比較において為替影響を控除するものです。

当社グループがCERベースの増減を表示する理由は、変動する為替レートが当社グループの事業に与える影響を踏まえ、為替影響がなかった場合の経営成績の増減について投資家に理解していただくにあたり有用であると考えているためです。CERベースの増減は、当社グループの経営陣が経営成績を評価するに際して使用する主な指標になっています。また、製薬業界における各社が為替影響を調整した同様の業績指標を頻繁に用いているため、証券アナリスト、投資家その他の関係者が各社の経営成績を評価するに際しても、本指標が有用であると考えています。
ただし、CERベースの増減の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、CERベースの増減は、前年度においてIFRSに準拠した業績を算定するために用いた為替レートと同一の為替レートを用いますが、そのことは必ずしも、当年度の取引が前年度と同一の為替レートで実施され得た、あるいは計上され得たことを示すものではありません。また、類似の名称の指標を用いている同業他社が、当社グループとは異なる方法で指標を定義し、算定している可能性があるため、そのような指標との比較可能性に欠け得るものです。従って、CERベースの増減はIFRSに準拠して作成、表示された業績と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。なお、超インフレが発生し、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の業績については、前年同期の為替レートを用いるCERベースの増減計算において超インフレの影響が増大していることから、2024年度第1四半期より、CERベースの増減調整は行わないこととし、これら子会社に係るCERベースの増減は、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に基づき報告された業績の変動と実質的に変わらないものとしています。
 

 

Core業績

 

 

 

 

(単位:億円、%以外)

 

 

前年同期

当期

AERベース

 

CERベース

増減額

増減率

 

増減率

Core売上収益

21,017

23,840

2,823

13.4

 

5.0

Core営業利益

5,888

7,199

1,312

22.3

 

12.9

Core中間利益

4,078

4,892

814

20.0

 

8.9

Core中間利益

(親会社の所有者帰属分)

4,077

4,891

814

20.0

 

8.9

Core EPS(円)

261

310

49

18.8

 

7.9

 

 

〔Core売上収益〕

当期のCore売上収益は、2兆3,840億円(+2,823億円および+13.4% AER、+5.0% CER)となりました。この増加は主に、為替相場が円安に推移したこと、および当社の事業を好調に牽引したタケダの成長製品・新製品(注)の売上収益が1兆1,270億円(+2,561億円および+29.4% AER、+18.7% CER)になったことによるものです。これらの増加は、米国におけるVYVANSEおよび日本におけるアジルバの独占販売期間満了後の後発品の参入による売上の減少により一部相殺されました。

 

(注)タケダの成長製品・新製品
消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA
希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ
血漿分画製剤:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、

           HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤
オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLA
ワクチン:QDENGA

 

〔Core営業利益〕

当期のCore営業利益は、7,199億円(+1,312億円および+22.3% AER、+12.9% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下の通りです。

 

 

 

 

(単位:億円、%以外)

 

前年同期

当期

AERベース

 

CERベース

増減額

増減率

 

 増減率

Core売上収益

21,017

23,840

2,823

13.4

 

5.0

Core売上原価

△6,648

△7,815

△1,166

17.5

 

9.2

Core販売費及び一般管理費

△5,014

△5,385

△371

7.4

 

△0.5

Core研究開発費

△3,467

△3,441

26

△0.7

 

△8.3

Core営業利益

5,888

7,199

1,312

22.3

 

12.9

 

 

報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。

 

〔Core売上原価〕

Core売上原価は、7,815億円(+1,166億円および+17.5% AER、+9.2% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響および製品構成の変動を伴う6つの主要なビジネスエリアの好調な売上の増加によるものです。

 

〔Core販売費及び一般管理費〕

Core販売費及び一般管理費は、5,385億円(+371億円および+7.4% AER、△0.5% CER)となりました。この増加は、円安による為替影響によるものですが、様々な費用効率化の取り組みにより一部相殺されております。

 

 

〔Core研究開発費〕

Core研究開発費は、3,441億円(△26億円および△0.7% AER、△8.3% CER)となりました。この減少は主に、modakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラム終了に伴う費用の減少によるものですが、円安による為替影響により一部相殺されております。

 

〔Core中間利益〕

当期のCore中間利益は、4,892億円(+814億円および+20.0% AER、+8.9% CER)、Core中間利益(親会社の所有者帰属分)は、4,891億円(+814億円および+20.0% AER、+8.9% CER)となりました。Core中間利益は、Core営業利益に基づき、以下の通り算出されます。

 

 

 

 

(単位:億円、%以外)

 

前年同期

当期

AERベース

 

CERベース

増減額

増減率

 

増減率

Core営業利益

5,888

7,199

1,312

22.3

 

12.9

Core金融収益及び費用(純額)

△638

△733

△95

14.8

 

10.1

Core持分法による投資損益

23

16

△6

△27.7

 

△30.7

Core税引前中間利益

5,272

6,483

1,211

23.0

 

13.0

Core法人所得税費用

△1,194

△1,591

△396

33.2

 

27.1

Core中間利益

4,078

4,892

814

20.0

 

8.9

Core中間利益

(親会社の所有者帰属分)

4,077

4,891

814

20.0

 

8.9

 

 

報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。

 

〔Core金融損益〕

Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、733億円の損失(+95億円および+14.8% AER、+10.1% CER)となりました。

 

〔Core持分法による投資損益〕

Core持分法による投資損益は、16億円の利益(△6億円および△27.7% AER、△30.7% CER)となりました。

 

〔Core税引前中間利益〕

Core税引前中間利益は、6,483億円(+1,211億円および+23.0% AER、+13.0% CER)となりました。

 

〔Core法人所得税費用〕

Core法人所得税費用は、1,591億円(+396億円および+33.2% AER、+27.1% CER)となりました。この増加は、当期において、繰延税金資産の評価減によるものを含めCore税金費用の計上が増加したことによりますが、認識した税額控除の増加によりCore税金費用の計上が減少したことと一部相殺されております。

 

〔Core EPS〕

当期のCore EPSは、310円(+49円および+18.8% AER、+7.9% CER)となりました。

 

 

(2) 財政状態の分析

 

 

 

(単位:億円)

 

前年度末

当期末

増減額

資産合計

151,088

145,730

△5,358

負債合計

78,348

76,514

△1,834

資本合計

72,740

69,216

△3,524

 

 

〔資産〕

当期末における資産合計は、14兆5,730億円△5,358億円)となりました。主に償却費および為替換算の影響により、無形資産が減少(△5,041億円)しております。加えて、主に為替換算の影響により、のれんおよび有形固定資産がそれぞれ減少(△2,500億円および△1,022億円)しております。これらの減少は、現金及び現金同等物の増加(+4,012億円)により、一部相殺されております。

 

〔負債〕

当期末における負債合計は、7兆6,514億円△1,834億円)となりました。主にProtagonist Therapeutics, Inc.へのマイルストンを含む様々な支払いにより、仕入債務及びその他の債務が減少(△1,342億円)しております。未払費用の減少により、その他の流動負債が減少(△1,200億円)しております。主に為替換算の影響により米国におけるリース負債が減少したことに伴い、その他の金融負債合計が減少(△709億円)しております。主に米国において、無形資産を償却したことにより繰延税金負債を取り崩したこと、およびその他の繰延税金負債が減少したことにより、繰延税金負債が減少(△672億円)しました。当期末における社債及び借入金合計は5兆512億円(注)(+2,074億円)となり、無担保普通社債およびコマーシャル・ペーパーの償還により一部相殺されたものの、主にハイブリッド社債および米ドル建無担保普通社債の発行により増加しました。

 

注) 当期末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆3,138億円および7,374億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。

 

社債:

銘柄

 (外貨建発行額)

発行時期

償還期限

帳簿価額

米ドル建無担保普通社債

(1,301百万米ドル)

2015年6月

2025年6月

~2045年6月

1,866億円

米ドル建無担保普通社債

(1,500百万米ドル)

2016年9月

2026年9月

2,082億円

ユーロ建無担保普通社債

(3,000百万ユーロ)

2018年11月

2026年11月

~2030年11月

4,771億円

米ドル建無担保普通社債

(1,750百万米ドル)

2018年11月

2028年11月

2,483億円

ハイブリッド社債

(劣後特約付社債)

2019年6月

2079年6月

5,000億円

米ドル建無担保普通社債

(7,000百万米ドル)

2020年7月

2030年3月

~2060年7月

9,918億円

ユーロ建無担保普通社債

(3,600百万ユーロ)

2020年7月

2027年7月

~2040年7月

5,717億円

円貨建無担保普通社債

2021年10月

2031年10月

2,495億円

ハイブリッド社債

(劣後特約付社債)

2024年6月

2084年6月

4,578億円

米ドル建無担保普通社債

(3,000百万米ドル)

2024年7月

2034年7月

~2064年7月

4,229億円

合計

 

 

4兆3,138億円

 

 

 

 

借入金:

名称

 (外貨建借入額)

借入時期

返済期限

帳簿価額

シンジケートローン

2016年4月

2026年4月

1,000億円

2017年4月

2027年4月

1,135億円

 

(1,500百万米ドル)

2017年4月

2027年4月

2,137億円

2023年4月

2030年4月

1,000億円

その他のバイラテラルローン

2016年3月

~2024年4月

2025年4月

~2031年4月

2,100億円

その他

 

 

2億円

合計

 

 

7,374億円

 

 

当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。

2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(以下、本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。

 

〔資本〕

当期末における資本合計は、6兆9,216億円△3,524億円)となりました。この減少は、主に円高の影響による為替換算調整勘定の変動により、その他の資本の構成要素が減少(△4,282億円)したことによるものです。この減少は、配当金の支払いに伴う1,477億円の減少があったものの、主に中間利益の計上による利益剰余金の増加(+405億円)と一部相殺されております。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

 

 

 

(単位:億円)

 

前年同期

当期

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,913

4,513

1,600

投資活動によるキャッシュ・フロー

△3,271

△2,318

953

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,984

2,063

4,048

現金及び現金同等物の増減額

△2,342

4,258

6,600

現金及び現金同等物の期首残高

5,335

4,578

△757

現金及び現金同等物に係る換算差額

188

△246

△433

現金及び現金同等物の中間期末残高

(要約中間連結財政状態計算書計上額)

3,181

8,590

5,410

 

 

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

営業活動によるキャッシュ・フローは、4,513億円+1,600億円)となりました。この増加は、主に非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の中間利益が増加したことによるものです。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

投資活動によるキャッシュ・フローは、△2,318億円+953億円)となりました。この増加は、主に無形資産の取得による支出が減少したことによるものです。この増加は、AC Immune SAへの契約一時金の支払いおよびAscentage Pharma Group Internationalへのマイノリティ出資およびライセンスオプションの取得を含む、他の投資活動により一部相殺されております。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,063億円+4,048億円)となりました。この増加は、主にハイブリッド社債および米ドル建無担保普通社債の発行によるものです。この増加は、コマーシャル・ペーパーの全額償還により一部相殺されております

 

 

(4) 研究開発活動の内容および成果

当期の研究開発費の総額は3,440億円であります。なお、当社の研究開発費の予算は、全社的に決定されており、特定の支出は開発の結果および優先事項に応じて再配分の対象となる場合があるため、当社の研究開発費について、疾患領域あるいは臨床試験段階毎の内訳を報告しておりません。

当社の研究開発は、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変えうるような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しております。当社は、「革新的なバイオ医薬品」、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の3つの分野において研究開発活動を実施しております。「革新的なバイオ医薬品」に対する研究開発は、当社の研究開発投資の中で最も高い比率を占めております。「革新的なバイオ医薬品」における重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー)には、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が存在する疾患に対し、当社はベスト・イン・クラスあるいはファースト・イン・クラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。当社は希少疾患に対してコミットしており、当社が探求している患者さんの人生を根本的に変えうるような医薬品の多くは、当社の重点疾患領域および血漿分画製剤領域における希少疾患を治療するものとなります。当社では新たな研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内および外部との提携によるネットワークを通じて投資し、細胞療法および遺伝子治療の領域の強化を図っております。また、当社はデータとデジタル技術を活用し、イノベーションの質を向上させ、実行を加速させております。

当社のパイプラインは、当社事業の短期的および長期的かつ持続的な成長を支えるものです。初回の承認取得後も上市後の製品に対して、地理的拡大や効能追加に加え、市販後調査および剤型追加の可能性を含めた継続的な研究開発活動による支援体制が整っております。当社の研究開発チームは、販売部門との緊密な連携を通じ既発売品の価値の最大化を図り、販売活動を通じて得られた知見を研究開発戦略やポートフォリオに反映します。

当社の2024年4月以降の主要な研究開発活動の進捗は、以下のとおりです。

 

研究開発パイプライン

消化器系・炎症性疾患

消化器系・炎症性疾患において、消化器系疾患(肝疾患を含む)および免疫介在性の炎症性疾患の患者さんに革新的で人生を変えうるような治療法をお届けすることに注力しております。炎症性腸疾患(IBD)においては、ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の皮下注射製剤の上市や、IBD治療パラダイムにおけるENTYVIOのバックボーン治療薬としての位置づけを実証し、患者さんの予後をさらに改善する方法への理解を深めるため、実臨床エビデンスを構築する臨床試験を実施するなど、フランチャイズのポテンシャルを最大化しております。Zasocitinib(TAK-279)は、ベスト・イン・クラスとなる可能性を有する次世代の経口チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬であり、複数の免疫介在性の炎症性疾患の治療薬となる可能性があります。また、fazirsiran(TAK-999)は、α-1アンチトリプシン欠損関連肝疾患に対するファースト・イン・クラスのRNA干渉治療薬となる可能性があり、後期開発段階にあります。さらに、当社は、自社創製、社外との提携および事業開発を通じて炎症性疾患(消化器系、皮膚科系、リウマチ性の疾患に加え、厳選した希少血液疾患(アジンマ、mezagitamab(TAK-079)およびrusfertide(TAK-121))、肝疾患、神経性消化器疾患における機会を探索し、パイプラインの構築を進めております。

 

[ENTYVIO/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]

- 2024年4月、当社は、ENTYVIO点滴静注製剤による導入療法後の成人の中等症から重症の活動期クローン病に対する維持療法として、ENTYVIO皮下注射製剤が米国食品医薬品局(FDA)により承認されたことを公表しました。本承認は、VISIBLE2試験(SC CD試験)のデータに基づきます。本試験は、0週および2週時点に非盲検下にてENTYVIOの点滴静注製剤による静脈内投与を2回実施後、6週時点で臨床的改善を達成した、中等症から重症の活動期クローン病成人患者全409例を対象に、ENTYVIO皮下注射製剤による維持療法の安全性と有効性をプラセボと比較して評価した無作為二重盲検臨床第3相試験です。52週時点における長期の臨床的寛解率において、ENTYVIO皮下注射製剤108mgを維持療法として2週間ごとに投与した群では、プラセボ投与群と比較し統計学的に有意に高い結果(ENTYVIO皮下注射群:48%、プラセボ投与群:34%、p<0.01)を示しました。臨床試験において、ENTYVIO皮下注射製剤の安全性プロファイルは、点滴静注製剤の既知の安全性プロファイルと概ね一致していましたが、皮下注射製剤の副作用として注射部位反応(注射部位の紅斑、発疹、そう痒症、腫脹、挫傷、血腫、疼痛、蕁麻疹、浮腫)が追加されました。

 

[アジンマ 一般名:アパダムターゼ アルファ/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)]

- 2024年8月、当社は、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の小児および成人患者のADAMTS13欠乏症の治療薬として、欧州委員会(EC)がアジンマを承認したことを公表しました。本承認は、希少疾病用医薬品指定の確認を含むものであり、2024年5月に当社が発表した欧州医薬品評価委員会(CHMP)の肯定的見解に基づきます。本承認は、cTTPを対象とした初の無作為化、比較対照、非盲検、クロスオーバー第3相試験から得られた有効性、薬物動態、安全性および忍容性データの中間解析を含む包括的エビデンスおよび継続試験の安全性および有効性データに基づくものです。本臨床第3相試験のデータは、2024年5月にThe New England Journal of Medicine誌に掲載されました。

 

[開発コード:TAK-079 一般名:mezagitamab] 

- 2024年6月、当社は、持続性もしくは慢性の一次性免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病:ITP)の患者を対象としたmezagitamabの安全性、忍容性および有効性を評価する臨床第2b相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(TAK-079-1004試験)の良好な結果を第32回国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Haemostasis Congress:ISTH)の口頭Late-Breakthrough Sessionで発表しました。TAK-079-1004試験は、慢性もしくは持続性のITP患者を対象に、3つの用量(100 mg、300mgおよび600 mg)を週1回、8週間にわたり皮下投与した後に8週間を超えて安全性追跡調査を行い、プラセボと比較評価しました。主要評価項目は、グレード3以上の有害事象、重篤な有害事象、および投与中止に至った有害事象を含む、試験治療下で有害事象を発現した患者の割合です。副次評価項目は、血小板反応、血小板反応の完全寛解、臨床的に意義のある血小板反応、止血血小板反応です。臨床第2b相試験の結果、評価した3つの用量すべてにおいて、mezagitamabの投与により血小板反応がプラセボと比較して大幅に改善することが示されました。Mezagitamab群では、血小板数の迅速かつ持続的な増加(治療閾値50,000/μL以上)が認められ、その効果が最終投与(8週目)から16週目まで8週間持続したことから、血小板反応に対する迅速な効果および治療後の効果が示されました。本試験で新たな安全性シグナルは検出されず、ITP患者においてmezagitamabの良好な安全性および忍容性プロファイルが示され、安全性プロファイルはこれまでに実施されたmezagitamabの試験と一致していました。当社は、ITP患者を対象としたmezagitamabの国際共同臨床第3相試験を2024年度下期に開始する予定です。なお、mezagitamabは米国食品医薬品局(FDA)よりITPを対象にオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を取得し、本プログラムはファストトラック(優先審査)の対象とされております。

 

[開発コード:TAK-625 一般名:マラリキシバット] 

- 2024年6月、当社は、マラリキシバットについて、アラジール症候群(ALGS)・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)の治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。本申請は、ALGSおよびPFICを対象として国内で行われた臨床第3相試験(TAK-625-3001、TAK-625-3002)、ならびに海外で行われた複数の臨床試験の結果に基づくものです。 

 

ニューロサイエンス(神経精神疾患)

当社は、高いアンメット・ニーズが存在する神経疾患および神経筋疾患を対象に、革新的治療法に研究開発投資を集中させ、当社の専門知識やパートナーとの提携を生かし、パイプラインを構築しております。疾患の生物学的理解、トランスレーショナルなツール、革新的なモダリティの進展により、当社は希少神経疾患、特にオレキシン2受容体作動薬フランチャイズ(TAK-861、danavorexton(TAK-925)、TAK-360など)によるナルコレプシーや特発性過眠症などの睡眠・覚醒障害、およびソチクレスタット(TAK-935)による希少てんかんの治療薬の開発に注力しております。当社はさらに、神経筋疾患、神経変性疾患および運動障害のうち患者さんセグメントを明確に定義できる疾患に特化した投資を行っております。

 

[開発コード:TAK-861]

- 2024年6月、米国睡眠学会および睡眠研究学会の第38回年次総会であるSLEEP2024において、ナルコレプシータイプ1(NT1)を対象としたTAK-861の臨床第2b相試験の良好な結果を発表しました。NT1患者112名を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照反復投与試験であるTAK-861-2001試験で、主要評価項目と副次評価項目において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示され、有効性は8週間の投与期間にわたり持続しました。主要評価項目の覚醒維持検査(MWT)では、プラセボと比較して本試験で評価したTAK-861のすべての用量で統計学的に有意かつ臨床的に意味のある睡眠潜時の延長が認められました(プラセボとのLS平均差はすべてp≤0.001)。エプワース眠気尺度(ESS)および1週間あたりのカタプレキシー発現率(WCR)を含む主な副次評価項目でも一貫した結果が得られ、眠気およびカタプレキシー(筋緊張の突然の消失)の頻度に関する主観的評価項目がプラセボと比較して顕著に改善しました。本試験を完了した被験者の大部分は長期継続投与(LTE)試験に登録され、一部の患者は投与期間が1年に達しました。TAK-861の安全性および忍容性は概ね良好であり、治験薬と関連のある重篤な有害事象または有害事象による投与中止はありませんでした。臨床第2b相試験および現在実施中のLTEにおいて、肝毒性や視覚障害の事例は認められていません。主な有害事象は不眠症、尿意切迫、頻尿および唾液分泌過多でした。大部分の有害事象の重症度は軽度から中等度であり、そのほとんどが投与後1~2日以内に発現し、一過性でした。米国食品医薬品局(FDA)は、臨床第2b相試験のデータに基づき、TAK-861をNT1患者の日中の過度の眠気(EDS)治療薬としてブレークスルーセラピーに指定しました。

 

[開発コード:TAK-935 一般名:ソチクレスタット]

- 2024年6月、当社は、ソチクレスタットについてSKYLINE試験およびSKYWAY試験のトップラインデータを発表しました。SKYLINE(TAK-935-3001)試験は、難治性のドラベ症候群(DS)患者を対象としてソチクレスタット+標準治療とプラセボ+標準治療を比較評価した臨床第3相多施設共同無作為化二重盲検試験です。ソチクレスタットは、プラセボと比較した、けいれん発作の発現頻度のベースラインからの減少という主要評価項目をわずかに達成しませんでした(p値=0.06)。6つの重要な副次評価項目のうち、ソチクレスタットは16週間の投与期間にわたり、レスポンダーの割合、介護者および医師による全般印象改善尺度-改善の指標、並びに発作強度および持続時間のスケールにおいて臨床的に意義があり、名目上有意な結果を示しました(すべてp値≤0.008)。SKYWAY(TAK-935-3002)試験は、難治性のレノックス・ガストー症候群(LGS)の患者を対象としてソチクレスタット+標準治療とプラセボ+標準治療を比較評価した臨床第3相多施設共同無作為化二重盲検試験です。ソチクレスタットはプラセボと比較して、major motor drop(MMD)発作の発現頻度のベースラインからの減少という新たな主要評価項目を達成しませんでした。SKYLINE試験およびSKYWAY試験では、事前に特定したサブグループの患者において、ソチクレスタットは16週間の投与期間にわたり、主要評価項目および副次評価項目である介護者および医師の全般印象改善尺度-改善、並びに発作強度および持続時間スケールで臨床的に意義があり、名目上有意な治療効果が示されました。SKYLINE試験およびSKYWAY試験のいずれにおいてもソチクレスタットの忍容性は概ね良好であり、これまでの臨床試験と一致する安全性プロファイルが示されました。今後の方針を決定するため、(SKYLINE試験、SKYWAY試験および臨床第2相試験のELEKTRA試験で)得られているデータ全体について規制当局と協議をする予定です。また、当社は両臨床第3相試験の結果を今後の学会で発表する予定です。

 

オンコロジー

オンコロジー領域では、患者さんを通じて得られるインスピレーションおよびあらゆるイノベーションを活用することで、がんの治癒を目指しております。本疾患領域では、(1)既発売品(ニンラーロ、アドセトリス、アイクルシグなど)を通じた血液がん領域におけるさらなるプレゼンスの構築、(2)既発売品(アルンブリグ、FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ))による固形がん領域の拡充、(3)高度に革新的な治療薬候補および基盤技術からなる最先端のパイプラインの進捗の3つの分野に注力しております。 

 

 

[アドセトリス 一般名:ブレンツキシマブ ベドチン] 

- 2024年6月、当社とファイザー株式会社は、第60回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会および第29回欧州血液学会(EHA)年次総会において、German Hodgkin Study Group(GHSG)が、アドセトリスと化学療法との併用療法を評価する臨床第3相HD21試験の良好な結果についてレイトブレーキングオーラルプレゼンテーションにて発表することを公表しました。GHSGが発表する4年時点での解析では、欧州における現在の標準治療レジメンと比較して優れた無増悪生存率(PFS)と忍容性の改善が示されました。HD21試験は、臨床第3相無作為化国際共同前向き非盲検試験であり、IIb/III/IV期古典的ホジキンリンパ腫と新たに診断された患者を対象に、アドセトリスとエトポシド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダカルバジンおよびデキサメタゾンの併用療法(BrECADD)を、標準治療であるブレオマイシン、エトポシド、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジンおよびprednisone(eBEACOPP)と比較して評価するデザインです。ASCOにおける発表では、GHSGが実施したHD21試験の4年PFS解析の詳細が発表されます。48ヵ月後、BrECADDはBEACOPPと比較して優れた有効性を示しました[BrECADD群PFS:94.3%、eBEACOPP群PFS:90.9%、ハザード比(HR):0.66(95% CI:88.7-93.1; p<0.035)]。3年時点の解析ですでに報告したように、BrECADDによる治療はBEACOPPと比較して治療関連罹患(TRMB)の発現率の有意な低下(n=738、42% vs 59%、p<0.001)ならびに臨床的に意味のある有害事象の減少とも関連していました。BrECADD群の患者におけるアドセトリスの安全性プロファイルは、承認された他のアドセトリス併用レジメンと一致しており、安全性に関して新たなシグナルは認められませんでした。

 

[FRUZAQLA/フリュザクラ 一般名:フルキンチニブ]

- 2024年6月、当社は、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法ならびに抗EGFR療法による治療歴があり、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤又はレゴラフェニブのいずれかによる治療中に進行した、もしくはこれらに不耐の転移性大腸がん(mCRC)成人患者に対する単剤療法として、FRUZAQLAが欧州委員会によって承認されたことを公表しました。本承認は、国際共同臨床第3相試験であるFRESCO2試験の結果に基づくものです。

- 2024年9月、当社は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に対して選択性を有する経口のチロシンキナーゼ阻害剤フリュザクラカプセル1mg/5mgについて、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を効能または効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。本承認は主に国際共同臨床第3相試験であるFRESCO-2試験の結果に基づくものです。

 

[ニンラーロ 一般名:イキサゾミブ]

- 2024年8月、当社は、ニンラーロの剤形追加として、厚生労働省よりニンラーロカプセル0.5mgの製造販売承認を取得したことを公表しました。本剤形追加により、多発性骨髄腫における維持療法において、ニンラーロの低用量製剤による新たな治療選択肢(1.5mg用量(0.5mgカプセル×3))を提供することができ、従来よりも低用量の用量調節が可能となることで患者の状態に合わせた、より適切な用量調節の実現を目指すことが可能になります。本承認は、主に国際共同臨床第3相試験であるTOURMALINE-MM3試験ならびにTOURMALINE-MM4試験の結果に基づくものです。

 

[カボメティクス 一般名:カボザンチニブ]

- 2024年9月、当社は、新規ホルモン療法(NHT)による1回の前治療歴があり、測定可能な骨盤外リンパ節腫大を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者を対象に、カボザンチニブと免疫チェックポイント阻害薬であるアテゾリズマブの併用療法と2剤目のNHTを比較した、Exelixis社が主導する国際共同臨床第3相試験(CONTACT-02試験)の全生存期間(OS)に関する最終解析結果が2024年欧州腫瘍学会(European Society for Medical Oncology CongressESMO 2024)において発表されたことを公表しました。CONTACT-02試験の主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)およびOSでした。追跡期間中央値24.0ヵ月において、OSの最終解析では、カボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法に統計学的に有意な差はないものの、改善傾向が示されました(ハザード比:0.89、95%信頼区間:0.72-1.10、p=0.296)。本試験では、複数の集団(骨転移を有する患者集団、および肝転移を有する患者集団)において特にOSの延長が示唆されました。

 

その他の希少疾患品目

当社の研究開発は、3つの重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー)にわたり、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が存在する疾患に注力しております。その他の希少疾患品目においては、遺伝性血管性浮腫に対するタクザイロなどの既発売品に加え、高いアンメット・メディカル・ニーズが存在する複数の疾患に焦点をあて取り組んでおります。希少血液疾患においては、アドベイト、アディノベイト/ADYNOVIを通じて、出血性疾患治療における現在のニーズへ対応することに注力しております。また、リブテンシティにおいては、移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症の治療を再定義することを目指しております。当社は、希少疾患の患者さんに対し革新的な医薬品を届けるという当社のビジョンを実現するための取り組みに注力します。当社は、希少疾患において当社が有する専門能力の活用が可能であり、希少疾患に対する当社のコミットメントおよびリーダーシップを高める可能性のある、後期開発段階の事業開発機会の探索を今後も継続する予定です。

 

[リブテンシティ 一般名:マリバビル]

- 2024年6月、当社は、リブテンシティ錠200mgについて、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス(CMV)療法に難治性のCMV感染症を効能または効果として、厚生労働省から製造販売承認を取得したことを公表しました。本承認は、主にHSCTまたはSOT後で既存の抗CMV治療に難治性のCMV感染・感染症を有する患者を対象とした海外第3相非盲検試験(SOLSTICE 試験)および日本人の造血幹細胞移植(HSCT)または固形臓器移植(SOT)後でCMV 感染・感染症を有する患者を対象とした国内第3相非盲検試験に基づくものです。

 

血漿分画製剤

当社は、血漿分画製剤(PDT)に特化したPDTビジネスユニットを設立し、血漿の収集から製造、研究開発および商用化まで、エンド・ツー・エンドのビジネスの運営に注力しております。本領域では、様々な希少かつ複雑な慢性疾患に対する患者さんにとって生命の維持に必要不可欠な治療薬の開発を目指しております。本領域に特化した研究開発部門は、既発売の治療薬の価値最大化、新たな治療ターゲットの特定および血漿収集から製造に至るまで血漿分画製剤のバリューチェーン全体にわたる効率性の最適化という役割を担っております。短期的には、当社の幅広い免疫グロブリン製剤ポートフォリオ(HYQVIA、キュービトル、GAMMAGARD LIQUIDおよびGAMMAGARD S/D)における効能追加、地理的拡大および総合的な医療テクノロジーの活用を通じたより良い患者体験を追求しております。血液製剤およびスペシャリティケアのポートフォリオにおいては、PROTHROMPLEX(4F-PCC)、ファイバおよびセプーロチンにおける効能追加や剤型追加の開発機会の追求を優先しております。また、当社は、グローバルに販売している20種類以上にわたる治療薬ポートフォリオに加え、20% fSCIg(TAK-881)およびliquid low IgA IG(TAK-880)といった次世代の免疫グロブリン製剤の開発、およびその他の早期段階の治療薬候補(高シアル化免疫グロブリン(hsIgG)を含む)の開発を行っております。

 

[HYQVIA 一般名:遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%(開発コード:TAK-771)]

- 2024年6月、当社は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者におけるHYQVIAの安全性および有効性を評価する長期継続試験である臨床第3相ADVANCE-CIDP3試験のデータを発表しました。本結果はHYQVIAの良好な長期安全性および忍容性と低い再発率を示しており、CIDPに対する維持療法としての使用を支持しております。これらの結果は、末梢神経学会(PNS)年次総会のポスターセッションで発表される予定です。ADVANCE-CIDP3試験はCIDPを対象とした臨床試験として、これまでで最長の延長試験です。本試験はADVANCE-CIDP1試験から85名の患者を登録し、主要評価項目は安全性、忍容性および免疫原性でした。HYQVIAの投与期間中央値は33カ月(0カ月から77カ月)で、全追跡期間の累積は220人年でした。HYQVIAの安全性および忍容性プロファイルは既知のプロファイルと一致しており、新たな安全性に関する懸念は認められませんでした。

- 2024年8月、当社は、遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%(TAK-771)について、CIDP(多巣性運動ニューロパチー(MMN)を含む)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)を予定する効能または効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったことを公表しました。本申請は、日本人のCIDP患者およびMMN患者を対象とした国内臨床第3相試験、ならびにCIDP患者を対象とした2つの海外臨床第3相試験に基づくものです。

 

ワクチン

ワクチンでは、イノベーションを活用し、デング熱(QDENGA(TAK-003))、新型コロナウイルス感染(COVID-19)(ヌバキソビッド筋注)など、世界で最も困難な感染症に取り組んでおります。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、日本の政府機関および主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しております。これらのパートナーシップは、当社のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。

 

[ヌバキソビッド筋注 一般名:組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン]

- 2024年9月、当社は、2024年4月に製造販売承認申請を行ったヌバキソビッド筋注1mLについて、SARS-CoV-2による感染症の予防を効能または効果として厚生労働省から製造販売承認を取得したことを公表しました。ヌバキソビッドは、オミクロン株JN.1系統に対応した1価ワクチンです。本製剤は、パンデミック下のまん延予防の緊急の必要性に応じた特例臨時接種と異なり、1日に多数の方に接種することを想定しない場合の流通および使用に適した1回0.5mL 接種2回分のバイアル製剤です。本承認は、抗原株の変更に係る臨床および品質のデータに加え、ヌバキソビッドがJN.1およびKP.2、KP.3を含むその下位系統に対しても中和抗体を誘導することが認められた非臨床データに基づきます。

 

将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化

自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。

- 2024年4月、当社と公益財団法人がん研究会(がん研究会)は、がん領域の開発提携に関する契約を締結したことを公表しました。当社とがん研究会は、本契約に基づき、グローバル早期臨床試験の推進や橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ・リバーストランスレーショナルリサーチ)を推進すること等を目的として、双方の強みを活かした交流を行い、現在進行している医薬品開発における必要な情報共有や協議を行っていきます。これにより、優れた画期的な抗がん剤を創出し、いち早くがん患者とその家族の元にお届けすることを目指します。

- 2024年4月、当社、アステラス製薬株式会社(アステラス製薬)および株式会社三井住友銀行は、日本発の革新的な医薬品の創出に向けた創薬シーズのインキュベーションを行う合弁会社の設立に関する基本合意契約を締結したことを公表しました。3社は合弁会社の設立に加えて、当社およびアステラス製薬で培われたグローバル創薬研究開発のノウハウに基づいたサポートを合弁会社に提供し、新薬開発のオープンイノベーションならびに創薬シーズの社会実装の促進ならびに革新的な医薬品開発を行うスタートアップ企業創出につなげます。合弁会社は、設立後、国内のアカデミア・製薬企業・スタートアップ企業などが有する有望な創薬シーズへのアクセスをはじめ、共同研究等を通じてインキュベーション活動を開始予定です。

- 2024年5月、当社とAC Immune SA(AC Immune社)は、AC Immune社がもつ毒性アミロイドβ(Aβ)を標的とする能動免疫療法に関する全世界の独占的オプションとライセンス契約を締結したことを公表しました。本契約には、AC Immune社がアルツハイマー病治療薬として開発中のACI-24.060が含まれます。ACI-24.060は、抗Aβ能動免疫療法候補薬で、 プラークの形成やアルツハイマー病を進行させると考えられている毒性Aβに対する強力な抗体反応を誘導するように設計されております。ACI-24.060は、脳内のプラークを除去し、かつプラーク形成を効果的に抑制することで、アルツハイマー病の進行を遅らせる可能性があります。ACI-24.060については現在、前駆期アルツハイマー病の被験者とダウン症候群の成人患者を対象に被験薬の安全性、忍容性と免疫原性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照臨床第1b/2相試験(ABATE試験)を実施しております。AC Immune社は、ABATE試験を完了させる責任を負います。当社がオプションを行使した場合、当社はオプション行使以降の臨床開発を当社の費用負担で行い、世界各地での申請業務と全世界での商業化の責任を負います。

- 2024年6月、当社はAscentage Pharma社とolverembatinibの独占的ライセンスを獲得するためのオプション契約を締結したことを公表しました。olverembatinibは、慢性骨髄性白血病(CML)およびその他の血液がんを対象に現在開発が進められており、ベスト・イン・クラスとなりうる経口の第三世代BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)です。当社がオプションを行使した場合、中国本土、香港、マカオ、台湾およびロシア以外の全地域でolverembatinibの開発および商業化に関する全世界的な権利を有することになります。本契約の一環として、Ascentage Pharma社は引き続きライセンスオプション行使前のolverembatinibのすべての臨床開発について単独で責任を負います。Olverembatinibは現在、TKI抵抗性の慢性期CML(CP-CML)またはT315I変異を有する移行期CML(AP-CML)の成人患者、および第一世代および第二世代TKIに抵抗性および/または不耐容を示すCP-CML成人患者の治療薬として、中国で承認・販売されております。

 

(5) 主要な設備

前期末(2024年3月末)において計画中であった主要な設備の新設について、当期(2024年4-9月期)に著しい変更があったものは、次のとおりであります。

区分

事業所名 
 《主な所在地》

セグメントの
名称

設備の内容

投資予定金額

資金調達
方法

着手及び完了予定

総額
(百万円)

既支払額
(百万円)

着手

完了

新設

武田薬品工業株式会社

《日本 大阪府大阪市
淀川区》

医薬品事業

製造設備

153,000(注)

3,319

自己資金

2025年度(注)

2029年度(注)

 

(注)当社は、血漿分画製剤の新製造設備を大阪工場に建設するため、総額95,000百万円の長期投資を計画していましたが、円安による為替影響を含む建設資材の価格高騰や建設事業者における人員不足の現況を踏まえ、当期において、投資予定総額の増額を決定するとともに、着手及び完了予定時期を見直しました。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当期(2024年4月-9月)において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。