【要約中間連結財務諸表注記】
1 報告企業
武田薬品工業株式会社(以下、「当社」)は、日本に所在する上場企業であります。当社および当社の子会社(以下、「当社グループ」)は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社グループは、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を主要な事業としております。当社グループの主要な医薬品には、当社の主要なビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ワクチン、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の医薬品が含まれております。
2 作成の基礎
当社グループの要約中間連結財務諸表は、IAS第34号に準拠して作成しております。本要約中間連結財務諸表は、年度の連結財務諸表で要求されるすべての情報を含んでいないため、2024年3月31日に終了した前年度の連結財務諸表と併せて利用されるべきものであります。
本要約中間連結財務諸表は、2024年10月31日に代表取締役社長CEO クリストフ ウェバーおよび取締役CFO 古田未来乃によって承認されております。
当社グループの要約中間連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円で表示されており、特に記載のない限り、百万円未満を四捨五入して表示しております。四捨五入された数値を含む表の合計は必ずしも各項目の合算値と一致しない場合があります。
要約中間連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の金額、ならびに偶発資産および偶発負債の開示に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定の設定を行うことが要求されております。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積りおよびその基礎となる仮定は、継続的に見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りを変更した会計期間および影響を受ける将来の会計期間に認識されます。
本要約中間連結財務諸表における会計方針を適用する過程で行われた判断および見積り、ならびに会計上の見積りおよび仮定は、前年度と同様であります。
また、当中間連結会計期間末および本報告書の提出日までにおいて、のれんの減損の兆候は存在しないと判断しております。
3 重要性がある会計方針
本要約中間連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針は、前年度に係る連結財務諸表において適用した会計方針と同一であります。
なお、当中間連結会計期間の法人所得税費用は、見積年次実効税率を基に算定しております。
4 事業セグメントおよび売上収益
当社グループの顧客との契約から生じる売上収益の内訳は、以下のとおりであります。
財またはサービスの種類別の売上収益
(注)1 国内製品名:エンタイビオ
2 配合剤、パック製剤を含む
3 一般名:pantoprazole
4 国内製品名:フリュザクラ
5 国内製品名:ビバンセ
(注)「その他」には、中東・オセアニア・アフリカが含まれております。売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しております。
5 製品に係る無形資産償却費及び減損損失
前中間連結会計期間の製品に係る無形固定資産減損損失115,750百万円には、主にクローン病に伴う複雑痔瘻治療剤アロフィセルの臨床第3相 ADMIRE-CD Ⅱ試験のトップライン結果を踏まえて計上した73,979百万円の減損損失、および非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYの販売や開発活動を全世界で自主的に中止する決定を行ったことに伴う28,477百万円の減損損失が含まれております。
当中間連結会計期間の製品に係る無形資産減損損失27,762百万円には、臨床第3相試験の結果を踏まえて当期に無形資産計上額の全額を減損したソチクレスタット(TAK-935)にかかる減損損失21,490百万円が含まれております。
6 その他の営業費用
前中間連結会計期間のその他の営業費用には、事業構造再編費用38,500百万円、承認前在庫に係る評価損11,747百万円、およびAbbVie, Inc.(以下、「AbbVie社」)との供給契約に関する訴訟を含む訴訟引当金の繰入額、寄付金、特定の資産にかかる減損損失が含まれております。
当中間連結会計期間のその他の営業費用には、全社的な効率化プログラムを含む事業構造再編費用61,629百万円が含まれております。
7 法人所得税費用
実効税率は、前中間連結会計期間△6.1%に対して当中間連結会計期間では26.8%となりました。当期における実効税率の増加は、主に、前中間連結会計期間に、2014年にShire plcがAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したことに伴い、和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻し、税金費用63,547百万円の減額を認識したことによるものです。この増加は、当期において、認識した税額控除の増加により税金費用の計上が減少したことと一部相殺されております。
8 1株当たり利益
当社の普通株主に帰属する基本的1株当たり中間利益および希薄化後1株当たり中間利益の算定基礎は以下のとおりであります。
9 共同研究開発契約、ライセンス契約およびその他の資産取得
当社グループは、共同研究開発契約およびライセンス契約の締結ならびにその他の資産取得を実施しております。
共同研究開発契約、ライセンス(導入)契約およびその他の資産取得
通常、これらの契約では、提携企業の製品または開発中の製品の販売権を獲得し、その対価として、契約締結時の一時金の支払いの他、将来の開発、規制当局からの承認取得、またはコマーシャルマイルストンおよびロイヤルティの支払いに対する義務を負います。これらの契約においては、当社グループおよびライセンシーは、ライセンス製品の開発および販売に積極的に関与しており、晒されるリスクおよび得られる経済的価値はその商業的な成功に依存する場合があります。その他の資産取得は、被取得企業の価値の大部分が単一または複数の製品に対する権利から構成される取得など、IFRS第3号の企業結合に該当しない企業の取得を含んでおります。
下記の契約を除き、前年度の連結財務諸表に記載した導出契約、共同研究開発契約、ライセンス(導入)契約およびその他の資産取得からの重要な変更はありません。
AC Immune SA(以下、「AC Immune社」)
2024年5月、当社グループは、AC Immune社と、毒性アミロイドβ(Aβ)を標的とする能動免疫療法に関する全世界の独占的オプションとライセンス契約を締結しました。本契約には、AC Immune社がアルツハイマー病治療薬として開発中のACI-24.060が含まれます。本契約の条件に基づき、2024年5月、当社グループはAC Immune社に契約一時金として1億米ドルを支払いました。また、AC Immune社は、オプション行使料、開発・商業化と売上に基づくマイルストンに応じた支払いを受ける権利を有し、契約期間中に全てのマイルストンを達成した場合は、最大で約21億米ドルの支払いを受ける権利を有します。商業化に際しては、AC Immune社は全世界での売上高に応じて段階的に設定した二桁台のロイヤリティを受領する権利を有します。
Ascentage Pharma Group International(以下、「Ascentage Pharma社」)
2024年6月、当社グループは、Ascentage Pharma社と、olverembatinibの独占的ライセンスを獲得するためのオプション契約を締結しました。本契約に基づき、2024年7月、当社グループはAscentage Pharma社に、オプション料として1億米ドルの支払い、およびマイノリティ出資を行いました。当社グループがolverembatinibのライセンスオプションを行使した場合には、オプション行使料およびマイルストンに応じた支払い、ならびにロイヤルティが追加で支払われる可能性があります。オプションの行使には通常、規制当局の承認が必要となります。
10 売却目的で保有する資産または処分グループ
2024年8月、当社は、Teva Pharmaceutical Industries Ltd.(以下、「テバ社」)と日本国内において展開するジェネリック医薬品および長期収載品を中心とした合弁事業について、これを解消する方向でテバ社と協議することを決定しました。これに伴い、当社が保有する合弁会社の全株式である関連会社株式52,877百万円を当中間連結会計期間において売却目的で保有する資産に分類しました。なお、当該資産を売却目的保有に分類したことにより18,320百万円の減損損失を金融費用に計上しております。
11 社債及び借入金
(1) 社債
当中間連結会計期間において、当社グループは、下記の社債を発行いたしました。
劣後特約付ハイブリッド社債
米ドル建無担保普通社債
当中間連結会計期間において、当社グループは、下記の社債を繰上償還いたしました。
(2) 借入金
当中間連結会計期間において、当社グループは、下記の借入を行いました。
当中間連結会計期間において、当社グループは、下記の借入を満期返済いたしました。
12 資本及びその他の資本項目
(1) 新株の発行および自己株式の処分
前中間連結会計期間において、当社は、国外の当社グループ従業員に対する長期インセンティブ報酬制度に基づき、自己株式13,958千株を処分しました。自己株式処分により、当社の自己株式は47,614百万円減少しました。
当中間連結会計期間において、当社は、国外の当社グループ従業員に対する長期インセンティブ報酬制度に基づき、新たに普通株式8,519千株を発行するとともに自己株式7,327千株を処分しました。新株発行により、当社の資本金および資本剰余金はそれぞれ18,064百万円および18,064百万円増加しました。また自己株式処分により、当社の自己株式は24,999百万円減少しました。
なお、当該普通株式および自己株式は、当社米国預託証券(American Depositary Share)に転換の上、従業員に交付されています。
(2) 配当
なお、配当の効力発生日が当中間期の末日後となるものは以下のとおりであります。
13 金融商品
(1) 公正価値の測定方法
公正価値で測定されるデリバティブおよび非デリバティブ金融商品は、公正価値測定を行う際のインプットの重要性を反映した、以下の3段階の公正価値ヒエラルキーに分類しております。レベル1は活発に取引される市場での同一の資産又は負債の取引相場価格などの観察可能なインプットとして定義されます。レベル2は、レベル1に含まれる相場価格以外のインプットのうち、資産又は負債について直接的又は間接的に観察可能なものとして定義されます。レベル3は資産又は負債に関する観察可能でないインプットであります。
(単位:百万円)
(2) 評価技法
レベル2に分類されるデリバティブの公正価値は、財務管理システムの評価モデル、またはブラック・ショールズ・モデルを用いて測定しております。これらの評価技法への重要なインプットは観察可能な市場情報に基づいております。
レベル3に分類されるデリバティブには、バーチャル電力販売契約に基づく再生可能エネルギーの固定価格と市場変動価格との差額から生じるキャッシュ・フローの決済に関連して認識したデリバティブおよび当該キャッシュ・フローの変動を相殺するために行った契約により認識したデリバティブが含まれております。レベル3に分類されるデリバティブの公正価値は、割引キャッシュ・フロー法を用いて算定しており、主な仮定として再生可能エネルギーの予想価格および再生可能エネルギー発電設備の予想発電量が考慮されております。
転換社債への投資の公正価値は、割引キャッシュ・フロー法、オプション・プライシング・モデル等の評価技法を用いて算定しております。
当社グループが売却する権利を有する顧客に対する売上債権及びその他の債権の公正価値は、請求額に基づいて測定しております。
資本性金融商品および負債性金融商品は売買目的保有ではありません。資本性金融商品または負債性金融商品が活発な市場で取引されている場合、公正価値は期末日の相場価格に基づいております。資本性金融商品または負債性金融商品が活発な市場で取引されていない場合、公正価値は各期末日現在の入手可能な情報および類似企業に基づき、修正簿価純資産法またはEBITDA倍率法を用いて算定しております。レベル3に分類された資本性金融商品または負債性金融商品の公正価値算定に用いた観察可能でない主なインプットは、EBITDA倍率法におけるEBITDA倍率であり、3.8倍から14.8倍の範囲に分布しております。
条件付対価契約に関する金融資産および金融負債は、売却時または企業結合における取得日時点の公正価値で測定しております。条件付対価契約が金融資産または金融負債の定義を満たす場合は、その後の各期末日において公正価値で再測定しております。公正価値はシナリオ・ベース・メソッドや割引後のキャッシュ・フロー等を基礎として算定しており、主な仮定として、各業績指標の達成可能性、将来収益予測および割引率が考慮されております。なお、条件付対価契約に関する金融資産は主に「XIIDRA」の売却に伴い認識した金融資産であります。条件付対価契約に関する金融負債の詳細は、「(5) 条件付対価契約に関する金融負債」に記載しております。
その他の金融負債の公正価値は、割引キャッシュ・フロー法を用いて算定しております。
(3) 公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替
当社グループは、報告期間に発生した公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替を報告期間の末日において生じたものとして認識しております。当中間連結会計期間において、レベル3からレベル1への振替がありました。当該振替は、以前取引所に上場しておらず、観察可能である活発な市場で取引がなかった企業の株式が取引所に上場したことによるものです。同社の株式は現在活発な市場において取引されており、活発な市場における取引相場価格を有しているため、公正価値の測定額を公正価値ヒエラルキーのレベル3からレベル1に振替えております。上記以外に、当中間連結会計期間において公正価値ヒエラルキーのレベル間の重要な振替はありません。
(4) レベル3の金融資産の公正価値
当社グループは、主に研究協力企業への出資を目的として、資本性金融商品への投資を行っております。レベル3の金融資産の公正価値の期首残高から期末残高への調整は以下のとおりであります。レベル3の金融負債である条件付対価契約に関する金融負債については、「(5) 条件付対価契約に関する金融負債」に記載しております。レベル3の金融資産に関して、公正価値の測定に影響を与える重要な仮定が変動した場合における、公正価値の重要な変動はありません。
条件付対価契約に関する金融負債は、当社グループが買収した被買収企業における既存の条件付対価契約を含む、開発マイルストンおよび販売マイルストンの達成等の将来の事象を条件とする企業結合における条件付対価またはライセンス契約に基づき認識した金融負債であります。各期末日において、条件付対価契約に関する金融負債の公正価値は、リスク調整後の将来のキャッシュ・フローを適切な割引率を用いて割り引いた金額に基づいて再測定しております。
当中間期末の残高は主に過去の買収から生じた既存の条件付対価契約に関するものであります。
条件付対価契約に関する金融負債の公正価値は、公正価値測定の前提となる特定の仮定が変動することにより増減します。当該仮定には、マイルストンの達成可能性が含まれます。
条件付対価契約に関する金融負債の公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。条件付対価契約に関する金融負債の期首残高から期末残高への調整は以下のとおりであります。条件付対価契約に関する金融負債に関して、公正価値の測定に影響を与える重要な仮定が変動した場合における、公正価値の重要な変動はありません。
(6) 公正価値で測定されない金融商品
要約中間連結財政状態計算書上において公正価値で測定されない金融商品の帳簿価額と公正価値は以下のとおりであります。短期間で決済され、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっている場合、金融商品の公正価値情報は下の表から除外しております。
長期金融負債は帳簿価額で認識しております。社債の公正価値は、評価技法への重要なインプットが観察可能な市場情報に基づいている時価情報によっており、長期借入金の公正価値は、一定の期間ごとに区分した債務ごとに、その将来キャッシュ・フローを信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値によっております。社債および長期借入金の公正価値のヒエラルキーはレベル2であります。
14 後発事象
2024年10月6日、当社は、2019年6月に発行した円貨建て劣後特約付きハイブリット社債500,000百万円を2079年6月の償還期日に先立ち繰上償還しました。当該償還には、2024年6月25日に発行した460,000百万円のハイブリット社債および2024年10月3日に借入れた40,000百万円のシンジケート ハイブリッド ローンにて調達した資金が充当されました。本繰上償還が要約中間連結損益計算書に与える重要な影響はありません。