第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、「公明正大且つ信用あるオークション市場の創造と拡大」、「常に信用を重んじる中での慎重かつ大胆な挑戦」、「豊かで美しく潤いある生活文化の追求」の実現を目指して事業を進めております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループの効率的な経営の実現を目標として、ROE(自己資本当期純利益率)15%以上を連結での中長期的な指標として掲げております。

 

(3)経営環境と中長期的な経営戦略

国内経済全体としては緩やかな回復基調が継続しておりますが、米中貿易摩擦の影響や世界経済の不確実性の問題、金融資本市場の変動懸念により、景気が下振れするリスクがあります。

このような環境下において、オークション関連事業においては、昨年後半から近代美術の中低価格帯の相場が急落しており、この状況は、来期も継続すると思われます。特に当社グループは、「日本近代美術再生プロジェクト」と題した、日本の近代美術の再評価と価値付けに継続して取り組んでまいりましたが、オークション関連事業の主要な収益セグメントである近代美術の分野が深刻な影響を受ける状況に至っております。古美術やワイン等の一部のオークションで、今後も継続が期待できる一方、近代美術の分野では、市場全体の流通量の減少と価格下落の傾向が続いており、出品作品の募集環境は以前にも増して厳しい状況にあり、取り扱いジャンルのポートフォリオの見直しを行ってまいります。

エネルギー関連事業では、事業用太陽光発電の固定価格買い取り制度の優遇廃止が検討されており、当社がこれまで手掛けてきた低圧型太陽光発電施設販売事業は、来期は計画的な事業収益をほぼ見込めない状況にあります。また、国内のバイオマス発電所の本格稼動が、まだ数年先であり、PKS事業が収益化するまでには時間を要するため、グループ保有の太陽光発電施設による売電が主な収益源となるため、その他の事業領域でも、柔軟な発想で当社グループの成長戦略を支える将来の安定的な収益源となる新たな事業を模索してまいります。

 

(4)対処すべき課題

 オークション関連事業の領域では、世界的に評価の高い一部の美術品について、引き続き高額取引が欧米のオークション市場で成立しており、世界のアート市場全体では、昨年に引き続き拡大傾向であるとの報告もあります。

 そのような中、日本国内の美術品市場は、前年とほぼ同様の市場規模で推移しましたが、昨年後半から、特に近代美術の中低価格帯の相場が急落するとともに、市場全体の流通量も大幅に減少しております。この傾向は今後も続くと思われ、当社にとって軽視できない状況にあります。

 エネルギー関連事業の領域におきましては、事業用太陽光発電の固定価格買い取り制度の優遇廃止が検討されており、当社がこれまで手掛けてきた低圧型太陽光発電施設販売事業は、来期以降、計画的な事業収益をほぼ見込めない状況にあります。また、国内のバイオマス発電所の本格稼動がまだ数年先であるため、PKS事業の領域は収益化までに時間を要します。

 当社グループは、オークション関連事業において「日本近代美術再生プロジェクト」と題した、日本の近代美術の再評価と価値付けに継続して取り組んでまいりましたが、このような事業環境下において、オークション関連事業の主要な収益セグメントである近代美術の分野が深刻な影響を受ける状況に至っております。

 従いまして、グループ全体の利益を確実に上げられる企業体質を実現するために、「アートで収益を上げる」をスローガンに掲げ、近代美術以外の新たな柱となり得る戦後・現代美術へのシフトを実現し、事業ポートフォリオの早急な見直しを行ってまいります。一方で、「日本近代美術再生プロジェクト」には、引き続きオークション事業(Shinwa Auction株式会社)と画廊事業(Shinwa Prive株式会社)の両面から、マーケットメーカーとしての役割を更に鮮明に打ち出して取り組んでまいります。

 エネルギー関連事業では、低圧型太陽光発電施設販売事業がここ数年内に収束を迎えると思われ、また、PKS事業も収益化の時期は数年先になることが見込まれることから、太陽光発電施設販売事業に代わる新たな事業の開発に積極的に取り組んでまいります。

 

(5)その他、経営上重要な事項

該当事項はありません。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。ただし、以下の事項は当社グループに係る全ての事業等のリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測し難い事業等のリスクが存在するものと考えます。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断にとって重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.グループ全体

(1)小規模組織について

当社グループはグループ従業員数50名程度と規模が小さく、内部管理体制も当該規模に応じたものとなっております。今後も必要に応じ、内部管理体制の充実とそれに伴う人員補充を実施していく方針でありますが、人材の確保及び管理体制の維持ができなかった場合、適切な組織的対応が出来ず、組織効率が低下する可能性があり、業務に支障をきたすおそれがあります。

 

2.オークション関連事業

(1)オークションへの出品について

日本国内の美術市場全体では、取引全体のボリュームは対前年比で若干の増加と堅調に推移してはいるものの、依然として先行き不透明感を払拭するまでには至っておらず、特に近代美術の分野では、市場全体の流通量の減少傾向が続いており、予断を許さない状況が続いております。いかなる状況においても出品募集営業を徹底して強化していく所存でありますが、出品数の減少が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)売上高の構成について

オークション関連事業の売上高の主たる構成要素は、落札価額に対する手数料収入(落札手数料及び出品手数料)であります。落札手数料は、落札価額の200万円以下に対し15.0%、200万円超5,000万円以下に対し12.0%、5,000万円超に対し10.0%、出品手数料は、落札価額の10.0%(いずれも別途消費税)としております。

なお、作品を仕入れた後に、在庫商品としてオークションやプライベートセールで売却する場合があります。この場合、オークションでの落札価額またはプライベートセールでの販売価格を商品売上高としてそのまま売上高に計上するため、在庫商品の取扱高の増減が、売上高変動のひとつの要因となります。その他、カタログの販売高、出品者から徴収するカタログ掲載料で構成されるカタログ収入、有料会員から徴収する会費収入があります。

 

(3)美術品の査定について

オークションに出品されるすべての作品は、査定委員会にて現物を直接検分して、評価額を決定しております。査定委員会は、常任委員の他、必要に応じて担当部長ならびに社外の専門家を交えて複数のメンバーで構成しています。作品の評価額は、オークション出品の際、そのままエスティメイト(落札予想価格帯)を構成するため、適切な評価額を決定する体制を整えています。

しかしながら、査定委員会が現下の市況と大きく乖離した評価をし、その結果オークションで落札されないケースが連続した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)鑑定・鑑別の外部委託について

オークションに出品される美術品や宝飾品の真贋に関しては、権威ある第三者機関に鑑定・鑑別を依頼しております。美術品に関しては、当社グループが認める鑑定機関及び鑑定人が存在する作家の作品に関しその鑑定を受け、宝飾品に関しては、原則として当社グループが定める鑑別機関の鑑別を受けることとしており、当社グループは、販売委託者と鑑定・鑑別機関及び鑑定人の仲介を行っておりますが、当社グループが鑑定・鑑別を行うことはありません。

オークションの開催・運営にあたっての規則であるオークション規約及び特約に基づき、当社グループが開催する近代美術、近代陶芸、戦後美術&コンテンポラリーアートの出品作品、ブランドバック等のブランド雑貨に関し、当社グループは、オークションの開催日から5年以内に、落札作品が真作でないとの証明がなされた場合、落札作品を引き取り、落札者に代金を返還することになっております。但し、近代美術PartⅡ等のオークションで取り扱う低価格作品、骨董(アンティーク)等の真贋判定の困難な作品に関しては保証しておりません。出品作品の真贋には、最善の注意を払い対応しておりますが、真作でない作品を誤って取り扱うことにより、信用低下につながる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)オークション未収入金及びオークション未払金について

オークション未収入金及びオークション未払金は、オークション事業により発生する、落札者及び出品者に対する未決済債権及び債務であります。オークション規約及び販売委託に関する約定に基づき、落札者からは、オークション開催日から土日祝日を除く10日以内に購入代金が支払われ、出品者に対しては、オークション開催日から35日以内に販売代金を支払っており、従ってオークション未収入金及びオークション未払金の期末残高は、オークションの開催日程と連結会計年度末日との関係で増減します。

 

(6)前渡金制度について

当社グループは、営業戦略上、業者のみならず一般コレクターからの出品を促進するためのシステムとして、オークションへの出品が決定した作品に関し、販売委託契約締結と同時に販売代金の一部を前渡しすることができる前渡金制度を採用しております。主に近代美術オークションにおいて契約締結から支払までの期間が最長約4ヶ月であることに関し、出品者の急な資金需要に対応できる施策として、当社グループの出品募集に大きく貢献しております。

前渡金が支払われている作品が不落札となった場合には、オークション終了後に出品者から前渡金が返還されることになっていますが、万一、出品者が前渡金を返済できない事態が生じたとしても、不落札の作品を売却し、前渡金返済に充てることができます。しかしながら、今後事業が拡大する中で、前渡金の返還及び回収が滞る事案が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)一括保証取引について

オークションへの一括の大口出品に関して、営業戦略上、落札価額合計額の最低金額の保証を行う場合があります。一括保証した金額については、作品をお預かりし、契約締結後に前渡金として保証金額の支払いを行う場合がありますが、実際の落札価額合計額が、この保証金額に満たない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)美術品等の保管について

当社グループでは、作品を当社グループの倉庫等で保管しております。保管中、作品にはすべて保険を付保しており、盗難、火災等については保険の対象となっております。しかし、地震等の自然災害に起因する事故については保険対象外の扱いとなっていることから、地震等の自然災害が発生し、作品が損壊した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、オークション規約上、当社グループの故意または重過失に起因する損害に関しては、通常の損害の他、予見可能な損害までを責任の範囲と定めており、通常損害保険で担保されない範囲の損害が発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)法的規制等について

当社グループが行っているオークション形態は、海外においてオークション事業を展開しているクリスティーズ、サザビーズ等の事業をモデルとしております。日本国内においては、商法第551条の問屋(といや)に該当し、オークションの運営にあたっては、オークション規約を制定しておりますが、同規約は、民法、商法、消費者契約法、古物営業法等の規制を受けております。

これら、日本国内における法的規制により、過去において当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼした事実はありません。しかしながら、当社グループが行うオークションという事業形態は、日本国内で完全に認知を得ているわけではなく、将来的にオークションの運営に支障を来すような法令等の規制を受けた場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

現在、当社グループでは定期開催のオークションの他、西洋美術オークション、戦後美術&コンテンポラリーアートオークション、ワインオークション、個人収集品オークション等を随時開催しております。また、チャリティオークション開催のためのカタログ作製作業やオークション会場運営等の業務提供も行っております。酒類の取り扱いに関しては「酒税法」の、宝石・貴金属等の取り扱いに関しては「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の、西洋美術の一部の作品の取り扱いに関しては「電気用品安全法」の、象牙等の希少野生動植物種の剥製、標本、器官等の取り扱いに関しては「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」の定めに従い行っております。今後も、取扱商品が拡大していく中で個別に法的規制を受けるケースが考えられますが、当社グループは、いかなる場合も法令を遵守し対応していく所存であります。しかしながら、将来的に個別の法的規制により当社グループが取り扱えないアイテムが発生し、当社グループの事業計画の変更を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)古物の取り扱いについて

当社グループは、盗難品や遺失物を取り扱わないよう、定期的に社内教育を行っております。しかしながら、不測の事態により盗難品や遺失物を取り扱った場合、信用失墜により取扱高の減少及び法令手続に基づく損失の発生等の可能性があります。

 

(11)著作権について

オークションカタログに図版を掲載するに当たり、著作権者或いは著作権管理団体に著作権使用に係る許諾を受けることを、当社グループで把握しているものについては実施しています。また、それ以外のものについては著作権法第47条の2の定める範囲内で掲載しております。著作権使用料は出品者負担として、請求がある著作権者或いは著作権管理団体に支払っておりますが、今後請求先が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)顧客情報の取り扱いについて

当社グループは、オークション出品者に対して、その出品者との間で締結される販売委託契約により、顧客情報に関する守秘義務を負っております。当社グループは、個人情報の取り扱いについては充分注意しておりますが、不測の事態により情報が外部に漏洩する事態となった場合、信用の失墜による取扱高の減少及び損害賠償による損失の発生等の可能性があります。

 

(13)戦略的在庫商品の保有について

美術市場全体の安定化と規模の拡大を実現する事を目標に、いわゆる近代美術の巨匠といわれる作家の名品(マスターピース)クラスの作品を購入し、戦略的在庫として保有し、作品ごとに、販売時期、価格及び販売先に関して理想とする最良の環境での販売を考えており、その環境が整うまでは保有することを予定しております。戦略的在庫商品の購入後は、経済環境や美術品取引市場の著しい変動により、保有する戦略的在庫商品の評価の見直しを迫られる可能性があります。また、販売が計画通り進まず、保有期間の長期化による資金の固定化や、予想していた販売収益が得られない可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.エネルギー関連事業

(1)法的規制等について

低圧型太陽光発電施設販売事業では、今後は利回りに着目した需要の継続的な開拓が必須となりますが、固定価格買取制度が大幅に変更された結果、市場全体の販売価格は低下しており、事業の採算性に関して今まで以上に十分な検討が必要となってまいります。

 

(2)気象・災害等について

太陽光発電は、気象条件により発電量が左右されるほか、設備の劣化や天災・火災等の事故により、想定した発電量と実際の発電量との間に予期せぬ乖離が生じる可能性があり、これらの要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)PKS事業について

当社グループは、マレーシアにおいて、バイオマス発電の燃料となるPKS(パーム椰子殻)販売事業を行っておりますが、再生可能エネルギーに占めるバイオマス発電の割合は上昇が見込まれるため、今後、原材料の仕入価格が上昇して利益を圧迫し、または量的確保そのものが難しくなる可能性があり、これらの要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、仕入等の取引は外貨建て取引のため、為替相場の変動により仕入価格・仕入数量に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.その他

(1)為替相場について

当社グループの海外現地法人は、外貨建ての財務諸表を作成しているため、日本円に換算する際、為替レートによる換算リスクが生じます。このため急激な為替変動が起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)デリバティブ取引のリスクについて

当社グループの金融機関からの長期借入金には、一部市場金利に連動するものが含まれており、変動金利の長期借入金につきましては、金利スワップ取引を利用しております。当該デリバティブ取引は、期末ごとに時価評価したうえで損益処理することとしており、この評価損益が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2018年6月1日~2019年5月31日)におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善が継続し、また、各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調にありました。しかしながら、米中貿易摩擦の影響や世界経済の不確実性の問題、金融資本市場の変動懸念や世界的な地政学リスクの影響を受け、先行きは不透明な状況にあります。そのような中、日本国内の美術品市場は、前年とほぼ同様の市場規模で推移しましたが、昨年後半から、特に近代美術の中低価格帯の相場が急落するとともに、市場全体の流通量も大幅に減少しております。この傾向は今後も続くと思われ、当社グループにとって軽視できない状況にあります。また、エネルギー関連事業の領域につきましては、経済産業省による電力の買取価格は継続的に引き下げられており、低圧型太陽光発電施設販売事業にとって、新たな案件の確保がかなり困難な状況にありました。

 

 a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前年比1,392,113千円減の4,728,708千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前年比1,374,104千円減の2,839,739千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前年比18,007千円減の1,888,969千円となりました。

 

b.経営成績

各事業の業績は次のとおりです。

 

1.オークション関連事業

オークション関連事業は、取扱高4,605,396千円(前年比7.7%増)、売上高2,129,862千円(前年比44.3%増)、セグメント利益54,379千円(前年比61.3%減)となりました。

種別の業績は次のとおりです。

 

 

 

第30期

 

2019年5月期

 

取扱高

前年比増減

売上高

前年比増減

オークション

オークション

オークション

落札率

(千円)

(%)

(千円)

(%)

開催数

出品数

落札数

(%)

近代美術オークション

1,131,971

△39.6

267,875

△25.7

5

530

409

77.2

近代陶芸オークション

400,810

34.0

88,413

47.8

4

736

679

92.3

近代美術PartⅡオークション

164,095

△33.2

38,394

△34.7

5

1,225

1,023

83.5

その他オークション

(注)2

1,130,749

14.7

168,487

△10.8

12

3,323

2,044

61.5

オークション事業合計

2,827,625

△16.9

563,171

△15.7

26

5,814

4,155

71.5

プライベートセール

1,772,671

109.7

1,544,440

100.4

 

 

 

 

その他

5,100

△81.2

22,250

△40.0

 

 

 

 

オークション関連

その他事業合計

1,777,771

103.8

1,566,690

93.9

 

 

 

 

オークション関連事業合計

4,605,396

7.7

2,129,862

44.3

 

 

 

 

 

(注)1.取扱高の前年比増減率と売上高の前年比増減率の乖離の大きな要因のひとつに、商品売上高の増減があ
ります。商品売上高は、オークション落札価額に対する手数料収入、カタログ収入、年会費等と同様に
売上高を構成する要素であり、在庫商品を販売した場合、その販売価格(オークションでの落札の場合
には落札価額)を商品売上高として、売上高に計上することとしております。

   2.その他オークションは、出品の状況により随時開催しております。

 

ⅰ)オークション事業

当連結会計年度は、オークション会場改装工事及びShinwa Priveの画廊スペース新設工事を行っており、オークションの開催回数は26回(前年度開催回数29回)でした。内訳は、近代美術オークション及び近代美術PartⅡオークションを各5回、近代陶芸オークション及びBags/Jewellery&Watchesオークションを各4回、ワインオークションを3回、西洋美術オークションの他、新たなジャンルとしてMANGAオークションを各2回、また、リニューアル記念特別オークションとして「Y氏コレクション - ART JUNGLE」を1回です。

 近代美術オークションは、前年比で1開催少なかったため、出品点数21.8%減(前年比)、落札点数25.6%減(前年比)となりました。エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で125.8%と高水準で推移いたしました。平均落札単価は前年比で18.2%減少いたしました。

 近代陶芸オークションは、出品点数2.4%減(前年比)、落札点数5.6%減(前年比)となりました。当連結会計年度も古美術の取り扱いが引き続き好調であったことから、平均落札単価は前年比で41.0%増加し、また、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で158.9%と高水準で推移いたしました。

 近代美術PartⅡオークションは、前年比で1開催少なかったため、出品点数17.3%減(前年比)、落札点数22.1%減(前年比)となりました。平均落札単価は前年比で14.1%減少し、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で135.8%と高水準で推移いたしました。

 その他、ワインオークションは引き続き高水準で推移した他、新たなジャンルとしてMANGAオークションを2回開催しました。また、オークション会場リニューアル及びShinwa Priveの画廊スペース新設記念特別オークションとして「Y氏コレクション - ART JUNGLE」を開催したところ、取扱高は約7億円、落札率92.9%と高い実績を上げました。

 

ⅱ)オークション関連その他事業

 プライベートセール部門では、新たにShinwa Priveの画廊スペースを設け、お客様のニーズにきめ細やかに対応できる体制を整え、高額作品の積極的な取り扱いに努めました。当連結会計年度は大型案件の成約があったため、前年との比較で、取扱高は109.7%増、売上高は100.4%増とともに大幅に増加いたしました。

 その他、高額ダイヤモンド販売事業は、引き続き安定した売上高で推移いたしました。

 

2.エネルギー関連事業

 50kW級の低圧型太陽光発電施設販売事業では、利回り商品としての需要により、当連結会計年度は、20基を販売いたしました。しかしながら、経済産業省による電力の買取価格は継続的に引き下げられており、新たな案件の確保が難しくなっております。

 マレーシアにおけるPKS事業においては、当連結会計年度に約2万トンを販売し、継続して収益改善に取り組んでおります。

 その他、子会社保有の太陽光発電施設による売電事業等により、当連結会計年度の売上高は、前年比40.8%減の747,287千円、セグメント損失は、64,779千円(前年は226,600千円のセグメント損失)となりました。

 

3.その他

 ウェルスマネジメント分野における米国テキサス州の中古不動産物件紹介事業は、当連結会計年度は9件の販売実績となりました。また、各事業の販売費及び一般管理費の見直しを行う等、グループ全体の収益改善に取り組みました。

 

その他、ミャンマー連邦共和国でのマイクロファイナンス事業を行っていたSHINWA MICROFINANCE COMPANY LIMITEDの全保有株式を売却したことにより121,392千円の特別利益を計上しました。

以上により、当連結会計年度の業績は、売上高2,928,754千円(前年比5.3%増、対前年増加額147,385千円)、営業損失95,163千円(前年は181,854千円の営業損失)、経常損失144,082千円(前年は265,494千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失63,514千円(前年は257,306千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの増加、財務活動によるキャッシュ・フローの減少の結果559,271千円の資金使用となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は756,162千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、34,191千円(前年は756,197千円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の減少による資金増加331,849千円に対し、オークション未払金の減少による資金減少223,550千円、未収入金の増加による資金減少157,298千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は、405,652千円(前年は67,130千円の獲得)となりました。これは主に関係会社株式の売却による資金増加165,497千円と定期預金の純減少額による資金増加315,815千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、995,227千円(前年度は175,633千円の使用)となりました。これは主に長期借入金による資金増加200,000千円及び株式の発行による資金増加118,002千円に対し、短期借入金の純減少額による資金減少853,958千円及び長期借入金の返済による資金減少312,812千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、主に美術品等のオークション事業運営とエネルギー関連事業を行っており、生産実績の記載はしておりません。

 

 b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。

 

 c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年6月1日

  至 2019年5月31日)

前年同期比(%)

オークション関連事業(千円)

2,129,862

144.3

エネルギー関連事業(千円)

747,287

59.2

報告セグメント計(千円)

2,877,149

105.1

その他(千円)

51,604

120.5

合計(千円)

2,928,754

105.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお前連結会計年度につきましては、総販売実績に対する割合が100分の10を超える相手先がないため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自  2017年6月1日

至  2018年5月31日)

当連結会計年度

(自  2018年6月1日

至  2019年5月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ニトリ

718,263

24.5

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループは、過去の実績値や現状等を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積り、判断及び評価を行っております。

 当社グループの経営陣が、当連結会計年度末において、見積り、判断及び評価等により、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えているものとしては、貸倒引当金、棚卸資産の評価、固定資産の減損、退職給付に係る負債、繰延税金資産があげられます。

 なお、見積り、判断及び評価等については、過去の実績や現状等に基づいて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積りや評価には、不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

 1.財政状態の分析

 当連結会計年度の資産につきましては、総資産は、前年比1,392,113千円減の4,728,708千円となりました。内訳は流動資産が1,404,925千円減の3,229,232千円、固定資産は12,813千円増の1,499,475千円となりました。流動資産の主な内訳と増減は、現金及び預金1,223,162千円(前年比880,803千円の減少)、売掛金15,121千円(405,578千円の減少)、商品1,291,705千円(前年比65,034千円の増加)、前渡金147,991千円(前年比245,493千円の減少)であります。固定資産の主な内訳と増減は、建物及び構築物(純額)68,388千円(前年比63,534千円の増加)、機械装置及び運搬具(純額)847,594千円(前年比58,679千円の減少)であります。

 負債は前年比1,374,104千円減の2,839,739千円となりました。内訳は流動負債が1,264,425千円減の1,942,791千円、固定負債が109,679千円減の896,948千円となりました。流動負債の主な内訳と増減は、短期借入金1,112,542千円(前年比853,958千円の減少)、1年内返済予定の長期借入金147,932千円(前年比92,740千円の減少)オークション未払金274,563千円(前年比223,550千円の減少)であります。固定負債の主な内訳と増減は、長期借入金215,340千円(前年比20,072千円の減少)及び長期割賦未払金503,451千円(前年比53,926千円の減少)であります。

 純資産は、前年比18,007千円減少の1,888,969千円となりました。この主な内訳と増減は、資本金1,133,142千円(前年比59,361千円の増加)、資本剰余金739,381千円(前年比59,361千円の増加)、利益剰余金240,560千円(前年比109,046千円の減少)であります。この結果、1株当たり純資産額は286.77円、自己資本比率は39.9%となっております。

なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

 

 2.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況b.経営成績」に記載のとおりであります。

 

 3.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 オークション関連事業の領域では、世界的に評価の高い一部の美術品について、引き続き高額取引が欧米のオークション市場で成立しており、世界のアート市場全体では、昨年に引き続き拡大傾向であるとの報告もあります。

 そのような中、日本国内の美術品市場は、前年とほぼ同様の市場規模で推移しましたが、昨年後半から、特に近代美術の中低価格帯の相場が急落するとともに、市場全体の流通量も大幅に減少しております。この傾向は今後も続くと思われ、当社にとって軽視できない状況にあります。

 古美術やワイン等の一部のオークションで、今後も継続が期待できる一方、近代美術の分野では、市場全体の流通量の減少と価格下落の傾向が続いており、出品作品の募集環境は以前にも増して厳しい状況にあり、取扱ジャンルのポートフォリオの見直しを行ってまいります。

 エネルギー関連事業の領域につきましては、事業用太陽光発電の固定価格買い取り制度の優遇廃止が検討されており、当社がこれまで手掛けてきた低圧型太陽光発電施設販売事業は、来期以降、計画的な事業収益をほぼ見込めない状況にあります。また、国内のバイオマス発電所の本格稼動が数年先であるため、PKS事業の領域は収益化までにまだ時間を要するため、グループ保有の太陽光発電施設による売電が主な収益源となります。従いまして、グループ全体の安定的な収益の早期確保に向けた体制の構築に務めるとともに、グループ成長戦略を支える、将来の安定的な収益源となる新たな事業を柔軟な発想で模索してまいります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、オークション事業の商品仕入及び前渡金、エネルギー関連事業の売却用太陽光発電設備建設資金、各事業の販売費及び一般管理費があります。

 また、設備資金需要としては、エネルギー関連事業の売電のための太陽光設備投資があります。

 

財務政策

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入を主に資金の調達を行っております。

オークション関連事業の資金については、取引行5行と計1,400,000千円の当座貸越契約を締結しており、安定的な調達を図っております。

また、持株会社体制への移行を行い、運転資金及び設備資金管理を一元管理し、資金調達コストの低減化、全社グループでの効率的な資金活用を図っております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 ROE(自己資本当期純利益率)を重要な指標として位置づけ、当社グループの効率的な経営の実現を目標として、15%以上を連結での中長期的な指標として掲げておりますが、当連結会計年度は、赤字業績のため算出しておりません。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

1.株式譲渡契約

 当社の子会社であるShinwa ARTEX 株式会社(以下「Shinwa ARTEX」といいます。)は、2019年5月30日、下記のとおり、当社の孫会社であるSHINWA MICROFINANCE COMPANY LIMITED(以下「SHINWA MICROFINANCE」といいます。)の保有株式全部を譲渡する譲渡契約を締結いたしました。

(1)株式譲渡の経緯

 Shinwa ARTEX は、2016 年3月にミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」といいます。)において、SHINWA MICROFINANCE を設立し、新たな事業としてマイクロファイナンス事業を行ってまいりました。マイクロファイナンス事業は、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が提唱した、バングラデシュ人民共和国におけるグラミン銀行のマイクロファイナンスの事業モデル「グループレンディング」を原型とした「グループギャランティ」という制度を採用し、ミャンマーの地方の行政と協力して、地域社会において10人程度のグループを形成し、グループの構成メンバーが相互に保証しあうことにより、各メンバーに対して無担保の少額融資を行うことで、融資を受けたメンバーの収入の向上を図るものであります。

 事業業績は順調に推移し、当連結会計年度は設立わずか3年で黒字業績を出すまでになりましたが、為替リスクの問題から経営権の譲渡も選択肢として視野にいれて事業を行いつつ、事業の継続を託すことができる適切な譲渡先を探してまいりましたところ、法人1社と成約に至りました。

 

(2)譲渡する株式の発行会社(当社孫会社)の概要

名称

SHINWA MICROFINANCE COMPANY LIMITED

所在地

No.251(Right), 4th Floor, Bo Aung Kyaw Street, (Middle Block), Kyauktada Township, Yangon, the Republic of Union of Myanmar

代表者

Managing Director Nyan Lin

主な事業内容

マイクロファイナンス事業

資本金

MMK1,002,375,000(71,168,625円 注1)

設立年月日

2016年3月1日

当社の出資比率

89.9%

注1.上記資本金は1MMK=0.071円(2019年5月29日現在のレート)で計算しております。

2.SHINWA MICROFINANCE の財務数値は入手しておりませんので、記載しておりません。また、譲渡価格につきましては、譲渡先の意向を踏まえ守秘義務契約を締結しておりますので、公表を控えさせていただきます。

 

(3)譲渡先の概要

 譲渡先は、法人1社でありますが、譲渡先との守秘義務契約により公表を控えさせていただきます。なお、当社及び当社の子会社と譲渡先との間には、記載すべき資本関係、人的関係、取引関係はなく、属性についても問題はございません。

 

(4)譲渡日程

取締役会決議日     2019年5月30日

株式譲渡契約締結日 2019年5月30日

株式譲渡日         2019年5月31日

 

 

 

2.正規特約店委託契約

 当社子会社(Shinwa Auction株式会社)は、2019年5月31日現在、9業者と正規特約店委託契約を締結しております。

(1)契約の目的

 特約店は、美術業者や得意先コレクターからオークションへの出品に関する業務を行うことを目的としております。業務内容は、オークション売却希望者から売却委託を受け、販売委託契約を締結する業務と、オークション売却希望者を紹介することにより、オークション売却希望者との販売委託契約の締結の仲介をする業務があります。

(2)契約期間に関する事項

 契約期間は、契約日から1年間とし、それ以降は自動更新であります。

(3)紹介料に関する事項

 特約店の紹介による出品契約が締結された場合には、落札価額に応じた紹介料を特約店に支払います。

(4)契約解除に関する事項

 契約満了の30日前までに契約解除の申し出があった場合、オークションへの出品及び紹介総額が一定基準に満たない場合、その他契約違反が生じた場合は、正規特約店委託契約を解除することができます。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。