第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、「公明正大且つ信用あるオークション市場の創造と拡大」、「常に信用を重んじる中での慎重かつ大胆な挑戦」、「豊かで美しく潤いある生活文化の追求」の実現を目指して事業を進めております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループの効率的な経営の実現を目標として、ROE(自己資本当期純利益率)15%以上を連結での中長期的な指標として掲げております。

 

(3)経営戦略等

当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対応することが経営戦略上重要であると考えており、オークションにおける取扱点数と取扱価格の増加、そして新型コロナウイルス感染症の感染拡大に影響されにくい新規事業の開発を目指します。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が内外経済に与える影響に加え、米中通商問題などの海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響も受け、わが国の経済の先行は極めて不透明な状況にあります。

オークション関連事業においては、古美術やワイン等の一部のオークションの堅調な推移が期待できる一方、昨年後半から近代美術の中低価格帯の相場が急落しており、この状況は来期も継続すると思われます。そして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりオークションの開催を延期せざるを得ない事態も想定されます。

当社は「日本近代美術再生プロジェクト」と題した、日本の近代美術の再評価と価値付けに取り組んでまいりましたが、近代美術以外の新たな柱となり得るコンテポラリーアート(戦後美術を含む)へのシフトに注力し、新たに資産形成アート投資サロンを立ち上げ数多くのコレクターを呼び込み、オークションへの取扱点数と取扱価格を増加させると同時に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に影響されにくい新たな事業の開発に積極的に取り組んでまいります。

具体的には、インターネットからのオークション参加やオンラインオークションを立ち上げ、会場にこだわらず遠隔地からのオークションへの参加を可能にして、日本からだけでなくアジアを巻き込む事業展開の中で、安全に換金・コレクションができるプラットフォームを提供し、事業の拡大を図ってまいります。また、オークション事業から派生した資産防衛ダイヤモンド事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大にかかる各国の金融緩和政策から生じるインフレ懸念から、ダイヤモンドへの需要が高まってきており売上の増大を目指します。

 エネルギー関連事業においては、低圧型太陽光発電施設販売事業がここ数年内に収束を迎えると思われるため、当社の太陽光発電施設販売事業も縮小を余儀なくされるものの、マレーシアから日本へのPKS(ヤシ殼)輸出事業は、今年に入り、需要が供給を上回る状況となり、日本国内のPKSを燃料とするバイオマス発電所の完工ラッシュが始まることから、2021年5月期は同事業の黒字化を目指します。

 

(5)新型コロナウイルス感染症の影響及びその対応

 2020年1月以降世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症を契機として、政府による緊急事態宣言が発動され、個人の外出自粛や企業の事業活動が制限されるなど、先行き不透明な状態が続いていくと考えられます。

 当社としては、お客様、取引先、関係先等及びに従業員の安全確保を最優先とし、リモートワークやオンライン会議の利用による接触機会の低減、マスクの着用義務、アルコール消毒の徹底などの感染予防策を実施し、感染防止に努めております。

 

(6)その他、経営上重要な事項

該当事項はありません。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.グループ全体

(1)小規模組織について

当社グループはグループ従業員数40名程度と規模が小さく、内部管理体制も当該規模に応じたものとなっております。今後も必要に応じ、内部管理体制の充実とそれに伴う人員補充を実施していく方針でありますが、人材の確保及び管理体制の維持ができなかった場合、適切な組織的対応が出来ず、組織効率が低下する可能性があり、業務に支障をきたすおそれがあります。

 

(2)継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、3期連続して営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、継続企業の前提に関する重要事象等が存在しております。

しかし当連結会計年度の大幅な赤字は、新型コロナウイルス感染症も大きく影響しており、対処すべき課題に記載のとおり、オークション関連事業における新たな取り組み及びエネルギー関連事業における自社所有の太陽光発電施設の売却も見込んでいるため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、財務諸表等への注記は記載しておりません。

 

2.オークション関連事業

(1)オークションへの出品について

日本国内の美術市場全体では、取引全体のボリュームは対前年比で若干の増加と堅調に推移してはいるものの、依然として先行き不透明感を払拭するまでには至っておらず、特に近代美術の分野では、市場全体の流通量の減少傾向が続いており、予断を許さない状況が続いております。いかなる状況においても出品募集営業を徹底して強化していく所存でありますが、出品数の減少が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)売上高の構成について

オークション関連事業の売上高の主たる構成要素は、落札価額に対する手数料収入(落札手数料及び出品手数料)であります。落札手数料は、落札価額の200万円以下に対し15.0%、200万円超5,000万円以下に対し12.0%、5,000万円超に対し10.0%、出品手数料は、落札価額の10.0%(いずれも別途消費税)としております。

なお、作品を仕入れた後に、在庫商品としてオークションやプライベートセールで売却する場合があります。この場合、オークションでの落札価額またはプライベートセールでの販売価格を商品売上高としてそのまま売上高に計上するため、在庫商品の取扱高の増減が、売上高変動のひとつの要因となります。その他、カタログの販売高、出品者から徴収するカタログ掲載料で構成されるカタログ収入、有料会員から徴収する会費収入があります。

 

(3)美術品の査定について

オークションに出品されるすべての作品は、査定委員会にて現物を直接検分して、評価額を決定しております。査定委員会は、常任委員の他、必要に応じて担当部長ならびに社外の専門家を交えて複数のメンバーで構成しています。作品の評価額は、オークション出品の際、そのままエスティメイト(落札予想価格帯)を構成するため、適切な評価額を決定する体制を整えています。

しかしながら、査定委員会が現下の市況と大きく乖離した評価をし、その結果オークションで落札されないケースが連続した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)鑑定・鑑別の外部委託について

オークションに出品される美術品や宝飾品の真贋に関しては、権威ある第三者機関に鑑定・鑑別を依頼しております。美術品に関しては、当社グループが認める鑑定機関及び鑑定人が存在する作家の作品に関しその鑑定を受け、宝飾品に関しては、原則として当社グループが定める鑑別機関の鑑別を受けることとしており、当社グループは、販売委託者と鑑定・鑑別機関及び鑑定人の仲介を行っておりますが、当社グループが鑑定・鑑別を行うことはありません。

オークションの開催・運営にあたっての規則であるオークション規約及び特約に基づき、当社グループが開催する近代美術、近代陶芸、戦後美術&コンテンポラリーアートの出品作品、ブランドバック等のブランド雑貨に関し、当社グループは、オークションの開催日から5年以内に、落札作品が真作でないとの証明がなされた場合、落札作品を引き取り、落札者に代金を返還することになっております。但し、近代美術PartⅡ等のオークションで取り扱う低価格作品、骨董(アンティーク)等の真贋判定の困難な作品に関しては保証しておりません。出品作品の真贋には、最善の注意を払い対応しておりますが、真作でない作品を誤って取り扱うことにより、信用低下につながる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)オークション未収入金及びオークション未払金について

オークション未収入金及びオークション未払金は、オークション事業により発生する、落札者及び出品者に対する未決済債権及び債務であります。オークション規約及び販売委託に関する約定に基づき、落札者からは、オークション開催日から土日祝日を除く10日以内に購入代金が支払われ、出品者に対しては、オークション開催日から35日以内に販売代金を支払っており、従ってオークション未収入金及びオークション未払金の期末残高は、オークションの開催日程と連結会計年度末日との関係で増減します。

 

(6)前渡金制度について

当社グループは、営業戦略上、業者のみならず一般コレクターからの出品を促進するためのシステムとして、オークションへの出品が決定した作品に関し、販売委託契約締結と同時に販売代金の一部を前渡しすることができる前渡金制度を採用しております。主に近代美術オークションにおいて契約締結から支払までの期間が最長約4ヶ月であることに関し、出品者の急な資金需要に対応できる施策として、当社グループの出品募集に大きく貢献しております。

前渡金が支払われている作品が不落札となった場合には、オークション終了後に出品者から前渡金が返還されることになっていますが、万一、出品者が前渡金を返済できない事態が生じたとしても、不落札の作品を売却し、前渡金返済に充てることができます。しかしながら、今後事業が拡大する中で、前渡金の返還及び回収が滞る事案が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)一括保証取引について

オークションへの一括の大口出品に関して、営業戦略上、落札価額合計額の最低金額の保証を行う場合があります。一括保証した金額については、作品をお預かりし、契約締結後に前渡金として保証金額の支払いを行う場合がありますが、実際の落札価額合計額が、この保証金額に満たない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)美術品等の保管について

当社グループでは、作品を当社グループの倉庫等で保管しております。保管中、作品にはすべて保険を付保しており、盗難、火災等については保険の対象となっております。しかし、地震等の自然災害に起因する事故については保険対象外の扱いとなっていることから、地震等の自然災害が発生し、作品が損壊した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、オークション規約上、当社グループの故意または重過失に起因する損害に関しては、通常の損害の他、予見可能な損害までを責任の範囲と定めており、通常損害保険で担保されない範囲の損害が発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)法的規制等について

当社グループが行っているオークション形態は、海外においてオークション事業を展開しているクリスティーズ、サザビーズ等の事業をモデルとしております。日本国内においては、商法第551条の問屋(といや)に該当し、オークションの運営にあたっては、オークション規約を制定しておりますが、同規約は、民法、商法、消費者契約法、古物営業法等の規制を受けております。

これら、日本国内における法的規制により、過去において当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼした事実はありません。しかしながら、当社グループが行うオークションという事業形態は、日本国内で完全に認知を得ているわけではなく、将来的にオークションの運営に支障を来すような法令等の規制を受けた場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

現在、当社グループでは定期開催のオークションの他、西洋美術オークション、戦後美術&コンテンポラリーアートオークション、ワインオークション、個人収集品オークション等を随時開催しております。また、チャリティオークション開催のためのカタログ作製作業やオークション会場運営等の業務提供も行っております。酒類の取り扱いに関しては「酒税法」の、宝石・貴金属等の取り扱いに関しては「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の、西洋美術の一部の作品の取り扱いに関しては「電気用品安全法」の、象牙等の希少野生動植物種の剥製、標本、器官等の取り扱いに関しては「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」の定めに従い行っております。今後も、取扱商品が拡大していく中で個別に法的規制を受けるケースが考えられますが、当社グループは、いかなる場合も法令を遵守し対応していく所存であります。しかしながら、将来的に個別の法的規制により当社グループが取り扱えないアイテムが発生し、当社グループの事業計画の変更を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10)古物の取り扱いについて

当社グループは、盗難品や遺失物を取り扱わないよう、定期的に社内教育を行っております。しかしながら、不測の事態により盗難品や遺失物を取り扱った場合、信用失墜により取扱高の減少及び法令手続に基づく損失の発生等の可能性があります。

 

(11)著作権について

オークションカタログに図版を掲載するに当たり、著作権者或いは著作権管理団体に著作権使用に係る許諾を受けることを、当社グループで把握しているものについては実施しています。また、それ以外のものについては著作権法第47条の2の定める範囲内で掲載しております。著作権使用料は出品者負担として、請求がある著作権者或いは著作権管理団体に支払っておりますが、今後請求先が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)顧客情報の取り扱いについて

当社グループは、オークション出品者に対して、その出品者との間で締結される販売委託契約により、顧客情報に関する守秘義務を負っております。当社グループは、個人情報の取り扱いについては充分注意しておりますが、不測の事態により情報が外部に漏洩する事態となった場合、信用の失墜による取扱高の減少及び損害賠償による損失の発生等の可能性があります。

 

(13)戦略的在庫商品の保有について

美術市場全体の安定化と規模の拡大を実現する事を目標に、いわゆる近代美術の巨匠といわれる作家の名品(マスターピース)クラスの作品を購入し、戦略的在庫として保有し、作品ごとに、販売時期、価格及び販売先に関して理想とする最良の環境での販売を考えており、その環境が整うまでは保有することを予定しております。戦略的在庫商品の購入後は、経済環境や美術品取引市場の著しい変動により、保有する戦略的在庫商品の評価の見直しを迫られる可能性があります。また、販売が計画通り進まず、保有期間の長期化による資金の固定化や、予想していた販売収益が得られない可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新型コロナウイルス感染症の影響について

2019年12月に新型コロナウイルス感染症が確認され、日本全国に拡大を続けています。当社は、お客様、取引先、関係先等及び従業員の安全を第一とし、感染拡大を防ぐための行動を継続していきます。

当社は業績への影響を軽微に抑えるため、テレワークの導入やweb会議等を活用して「密閉、密集、密接」を避ける対応を実施しておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、オークションの延期、中止などにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.エネルギー関連事業

(1)法的規制等について

低圧型太陽光発電施設販売事業では、今後は利回りに着目した需要の継続的な開拓が必須となりますが、固定価格買取制度が大幅に変更された結果、市場全体の販売価格は低下しており、事業の採算性に関して今まで以上に十分な検討が必要となってまいります。

 

(2)気象・災害等について

太陽光発電は、気象条件により発電量が左右されるほか、設備の劣化や天災・火災等の事故により、想定した発電量と実際の発電量との間に予期せぬ乖離が生じる可能性があり、これらの要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)PKS事業について

当社グループは、マレーシアにおいて、バイオマス発電の燃料となるPKS(パーム椰子殻)販売事業を行っておりますが、再生可能エネルギーに占めるバイオマス発電の割合は上昇が見込まれるため、今後、原材料の仕入価格が上昇して利益を圧迫し、または量的確保そのものが難しくなる可能性があり、これらの要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、仕入等の取引は外貨建て取引のため、為替相場の変動により仕入価格・仕入数量に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.その他

(1)為替相場について

当社グループの海外現地法人は、外貨建ての財務諸表を作成しているため、日本円に換算する際、為替レートによる換算リスクが生じます。このため急激な為替変動が起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)デリバティブ取引のリスクについて

当社グループの金融機関からの長期借入金には、一部市場金利に連動するものが含まれており、変動金利の長期借入金につきましては、金利スワップ取引を利用しております。当該デリバティブ取引は、期末ごとに時価評価したうえで損益処理することとしており、この評価損益が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2019年6月1日~2020年5月31日)におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかな回復基調で推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、景気下振れのリスクが急速に顕在化いたしました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が内外経済に与える影響に加え、米中通商問題などの海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響も受け、先行きは極めて不透明な状況にあります。

そのような中、日本国内の美術品市場は、前年とほぼ同様の市場規模で推移しましたが、昨年後半から、特に近代美術の中低価格帯の相場が急落するとともに、市場全体の流通量も大幅に減少しております。この傾向は今後も続くと思われ、当社にとって軽視できない状況にあります。エネルギー関連事業では、自社所有の秩父太陽光発電所の売電事業は順調に稼働しており、当社の安定した収益となっています。国内のバイオマス発電所の本格稼動は少し遅れておりますが、PKS事業の領域は収益化の目処がつきつつあります。

 

 a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前年比1,768,593千円減の2,960,114千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前年比1,513,515千円減の1,326,223千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前年比255,078千円減の1,633,890千円となりました。

 

b.経営成績

各事業の業績は次のとおりです。

 

1.オークション関連事業

 オークション関連事業は、取扱高2,837,933千円(前年比38.4%減)、売上高1,541,159千円(前年比27.6%減)、セグメント損失137,771千円(前年は54,379千円のセグメント利益)となりました。

種別の業績は次のとおりです。

 

 

 

第31期

 

2020年5月期

 

取扱高

前年比増減

売上高

前年比増減

オークション

オークション

オークション

落札率

(千円)

(%)

(千円)

(%)

開催数

出品数

落札数

(%)

近代美術オークション

541,380

△52.2

99,702

△62.8

4

349

266

76.2

近代陶芸オークション

303,545

△24.3

57,677

△34.8

4

686

623

90.8

近代美術PartⅡオークション

158,430

△3.5

34,789

△9.4

4

681

624

91.6

その他オークション

(注)2

362,650

△67.9

88,146

△47.7

9

1,957

1,255

64.1

オークション事業合計

1,366,005

△51.7

280,316

△50.2

21

3,673

2,768

75.4

プライベートセール

1,468,593

△17.2

1,240,791

△19.7

 

 

 

 

その他

3,335

△34.6

20,051

△9.9

 

 

 

 

オークション関連

その他事業合計

1,471,928

△17.2

1,260,843

△19.5

 

 

 

 

オークション関連事業合計

2,837,933

△38.4

1,541,159

△27.6

 

 

 

 

 

(注)1.取扱高の前年比増減率と売上高の前年比増減率の乖離の大きな要因のひとつに、商品売上高の増減があ
ります。商品売上高は、オークション落札価額に対する手数料収入、カタログ収入、年会費等と同様に
売上高を構成する要素であり、在庫商品を販売した場合、その販売価格(オークションでの落札の場合
には落札価額)を商品売上高として、売上高に計上することとしております。

   2.その他オークションは、出品の状況により随時開催しております。

 

ⅰ)オークション事業

当連結会計年度は、オークションの開催回数は21回(前年度開催回数26回)でした。内訳は、近代美術オークション、近代美術PartⅡオークション及び近代陶芸オークションを各4回、戦後美術&コンテンポラリーアートオークションを3回、ワインオークション及びBags/Jewellery&Watchesオークションを各2回、西洋美術オークション及びMANGAオークションを各1回です。

3月中旬から5月末までで、近代美術オークション、近代美術PartⅡオークション及び戦後美術&コンテンポラリーアートオークションを各2回、西洋美術オークション、ワインオークション及びMANGAオークションを各1回の計9回のオークションの開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するために政府から外出やイベント等の自粛要請及び緊急事態宣言が発令されたことを受けて、これらのオークションの開催を6月以降に延期し、大幅な取扱高の減少となりました。加えて、これまで主力の近代美術オークションで取り扱っていた作品のうち、相場全体の下落によって主に低価格帯を取り扱う近代美術PartⅡオークションの価格帯まで下落している作品が多くなっております。このような中、当社が得意とする高額な良品の流通は市場全体で極めて少なく、オークションへの出品誘致が難しくなっており、大幅な取扱高の減少となりました。

近代美術オークションは、前年比で2開催少なかったため、出品点数34.2%減、落札点数35.0%減、平均落札単価27.9%減となりましたが、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で111.9%と高水準で推移いたしました。

近代陶芸オークションは、出品点数6.8%減、落札点数8.2%減、平均落札単価17.8%減となりましたが、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で129.3%と高水準で推移いたしました。

近代美術PartⅡオークションは、前年比で2開催少なかったため、出品点数44.4%減、落札点数39.0%減となりました。平均落札単価は前年比で59.5%増加し、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で195.6%と高水準で推移いたしました。

その他オークションでは、ワインオークションが引き続き好調を保ったほか、新たな柱となり得る戦後・現代美術へのシフトの一環として、戦後美術&コンテンポラリーアートオークションを3回開催し、取扱高92,255千円、落札率91.5%の実績を上げました。しかしながら、前年同期間には、オークション会場リニューアル及びShinwa Priveの画廊スペース新設記念特別オークションとして「Y氏コレクション - ART JUNGLE」を開催しており、前年同期間との比較では取扱高、売上高ともに大きく減少しております。

 

ⅱ)オークション関連その他事業

 プライベートセール部門では、Shinwa Priveの画廊スペースを活用したお客様のニーズにきめ細やかに対応できる体制を整え、高額作品を積極的に取り扱い順調に推移いたしましたが、前連結会計年度は特別高額な案件の成約があったことに加え、3月以降は新型コロナウィルス感染症対策のため、画廊スペースを休業し営業活動を縮小したため、前年比では、取扱高、売上高ともに減少しております。その他、資産防衛ダイヤモンド販売事業は、消費税率引上げの影響を受け、9月には駆け込み需要があったものの10月以降はその反動で伸び悩みました。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が出始めた頃から資産防衛としてのダイヤモンドの価値が高まり始め、問い合わせが多くなり、回復の基調が見え始めました。

 

2.エネルギー関連事業

マレーシアにおけるPKS事業では、継続して収益改善に取り組むとともに、販売先の開拓にも注力いたしました。その他、子会社保有の太陽光発電施設による売電事業は堅調に推移しております。昨年まで行っていた新規の低圧型太陽光発電施設販売事業につきましては、今期は販売いたしませんでした。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、売電事業は予定通り推移いたしましたが、マレーシアにおけるPKS事業は、マレーシア政府による活動制限令を受けて3月中旬から5月上旬まで事業活動を停止していたため、約60百万円の売上減となりました。

以上により、当連結会計年度の売上高は、前年比76.6%減の175,118千円、セグメント損失は、34,590千円(前年は64,779千円のセグメント損失)となりました。

 

以上により、当連結会計年度の業績は、売上高1,721,889千円(前年比41.2%減、対前年減少額1,206,864千円)、営業損失262,878千円(前年は95,163千円の営業損失)、経常損失314,148千円(前年は144,082千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失425,220千円(前年は63,514千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの増加、財務活動によるキャッシュ・フローの減少の結果571,561千円の資金使用となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は185,883千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、36,151千円(前年は34,191千円の獲得)となりました。これは主に、棚卸資産の減少による資金増加250,863千円、オークション未収入金の減少による資金増加182,733千円に対し、オークション未払金の減少による資金減少272,228千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は、322,021千円(前年は405,652千円の獲得)となりました。これは主に定期預金の純減少額による資金増加334,997千円に対し、保険積立金の積立による資金減少5,155千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、932,149千円(前年度は995,227千円の使用)となりました。これは主に自己株式の処分による資金増加197,256千円に対し、短期借入金の純減少額による資金減少861,042千円及び長期借入金の返済による資金減少147,932千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、主に美術品等のオークション事業運営とエネルギー関連事業を行っており、生産実績の記載はしておりません。

 

 b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。

 

 c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年6月1日

  至 2020年5月31日)

前年同期比(%)

オークション関連事業(千円)

1,541,159

72.4

エネルギー関連事業(千円)

175,118

23.4

報告セグメント計(千円)

1,716,277

59.7

その他(千円)

5,611

10.9

合計(千円)

1,721,889

58.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2018年6月1日

至  2019年5月31日)

当連結会計年度

(自  2019年6月1日

至  2020年5月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ニトリ

718,263

24.5

767,794

44.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

 1.財政状態の分析

当連結会計年度の資産につきましては、総資産は、前年比1,768,593千円減の2,960,114千円となりました。内訳は流動資産が706,740千円減の2,522,492千円、固定資産は1,061,853千円減の437,622千円となりました。流動資産の主な内訳と増減は、現金及び預金317,886千円(前年比905,276千円の減少)、オークション未収入金1,348千円(前年比189,261千円の減少)、商品1,884,043千円(前年比592,337千円の増加)、前渡金109,761千円(前年比38,229千円の減少)であります。固定資産の主な内訳と増減は、機械装置及び運搬具(純額)26,562千円(前年比821,032千円の減少)、土地12,900千円(前年比108,860千円の減少)であり、太陽光発電設備の所有目的の変更により、機械装置及び運搬具744,928千円と土地108,860千円を商品に振り替えたことによるものであります。

負債は前年比1,513,515千円減の1,326,223千円となりました。内訳は流動負債が1,371,229千円減の571,561千円、固定負債が142,286千円減の754,661千円となりました。流動負債の主な内訳と増減は、短期借入金251,500千円(前年比861,042千円の減少)、1年内返済予定の長期借入金59,332千円(前年比88,600千円の減少)、オークション未払金2,334千円(前年比272,228千円の減少)であります。固定負債の主な内訳と増減は、長期借入金156,008千円(前年比59,332千円の減少)及び長期割賦未払金449,525千円(前年比53,926千円の減少)であります。

純資産は、前年比255,078千円減少の1,633,890千円となりました。この主な内訳と増減は、資本金1,133,142千円(前年比増減なし)、資本剰余金801,835千円(前年比62,453千円の増加)、利益剰余金△213,040千円(前年比453,601千円の減少)であります。この結果、1株当たり純資産額は229.90円、自己資本比率は55.2%となっております。

 

 2.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況b.経営成績」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

オークション関連事業においては、古美術やワイン等の一部のオークションの堅調な推移が期待できる一方、昨年後半から近代美術の中低価格帯の相場が急落しており、この状況は来期も継続すると思われます。そして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりオークションの開催を延期せざるを得ない事態も想定されます。当社グループは、「日本近代美術再生プロジェクト」と題した、日本の近代美術の再評価と価値付けに取り組んでまいりましたが、近代美術以外の新たな柱となり得るコンテポラリーアート(戦後美術を含む)へのシフトに注力し、新たに資産形成アート投資サロンを立ち上げ数多くのコレクターを呼び込み、オークションへの取扱点数と取扱価格を増加させると同時に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に影響されにくい新たな事業の開発に積極的に取り組んでまいります。具体的には、インターネットからのオークション参加やオンラインオークションを立ち上げ、会場にこだわらず遠隔地からのオークションへの参加を可能にして、日本からだけでなくアジアを巻き込む事業展開の中で、安全に換金・コレクションができるプラットフォームを提供し、事業の拡大を図ってまいります。また、オークション事業から派生した資産防衛ダイヤモンド事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大にかかる各国の金融緩和政策から生じるインフレ懸念から、ダイヤモンドへの需要が高まってきており売上の増大を目指します。

エネルギー関連事業においては、低圧型太陽光発電施設販売事業がここ数年内に収束を迎えると思われるため、当社の太陽光発電施設事業も縮小を余儀なくされるものの、マレーシアから日本へのPKS(ヤシ殼)輸出事業は、今年に入り、需要が供給を上回る状況となり、日本国内のPKSを燃料とするバイオマス発電所の完工ラッシュが始まることから、2021年5月期は同事業の黒字化を目指します。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、オークション事業の商品仕入及び前渡金、エネルギー関連事業の売却用太陽光発電設備建設資金、各事業の販売費及び一般管理費があります。

 また、設備資金需要としては、エネルギー関連事業の売電のための太陽光設備投資があります。

 

 

財務政策

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入を主に資金の調達を行っております。

オークション関連事業の資金については、取引行1行と計300,000千円の当座貸越契約を締結しており、安定的な調達を図っております。

また、持株会社体制への移行を行い、運転資金及び設備資金管理を一元管理し、資金調達コストの低減化、全社グループでの効率的な資金活用を図っております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 ROE(自己資本当期純利益率)を重要な指標として位置づけ、当社グループの効率的な経営の実現を目標として、15%以上を連結での中長期的な指標として掲げておりますが、当連結会計年度は、赤字業績のため算出しておりません。

 

②.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループは、過去の実績値や現状等を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積り、判断及び評価を行っております。

 当社グループの経営陣が、当連結会計年度末において、見積り、判断及び評価等により、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えているものとしては、貸倒引当金、棚卸資産の評価、固定資産の減損、退職給付に係る負債、繰延税金資産があげられます。

 なお、見積り、判断及び評価等については、過去の実績や現状等に基づいて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積りや評価には、不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

a.貸倒引当金

当社グループは一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しておりますが、将来、販売代金の未回収が発生し、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

b.棚卸資産

当社グループが販売する棚卸資産は評価基準として、個別法による原価法(収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により算定)を採用しております。経済環境や市場環境の著しい変動により、予想していた販売収益が得られない場合があり、当社の業績に影響を与える可能性があります。

c.退職給付に係る負債

従業員退職給付費用及び債務は、退職給付に係る期末要支給額を退職給付債務とする方法を用いています。

d.繰延税金資産

当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに当たって、将来の課税所得を合理的に見積っております。この見積りに変動があった場合、繰延税金資産の調整により、利益に影響を与える可能性があります。

 

 

 また、新型コロナウイルス感染症による影響は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「追加情報」にて記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

1.正規特約店委託契約

 当社子会社(Shinwa Auction株式会社)は、2020年5月31日現在、9業者と正規特約店委託契約を締結しております。

(1)契約の目的

 特約店は、美術業者や得意先コレクターからオークションへの出品に関する業務を行うことを目的としております。業務内容は、オークション売却希望者から売却委託を受け、販売委託契約を締結する業務と、オークション売却希望者を紹介することにより、オークション売却希望者との販売委託契約の締結の仲介をする業務があります。

(2)契約期間に関する事項

 契約期間は、契約日から1年間とし、それ以降は自動更新であります。

(3)紹介料に関する事項

 特約店の紹介による出品契約が締結された場合には、落札価額に応じた紹介料を特約店に支払います。

(4)契約解除に関する事項

 契約満了の30日前までに契約解除の申し出があった場合、オークションへの出品及び紹介総額が一定基準に満たない場合、その他契約違反が生じた場合は、正規特約店委託契約を解除することができます。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。