当社代表取締役社長倉田陽一郎は、当社グループの財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見できない可能性があります。
財務報告に係る内部統制の評価は、当連結会計年度の末日である2024年5月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行っております。
財務報告に係る内部統制の評価範囲は、当社並びに連結子会社及び持分法適用会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しております。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、当社及び連結子会社4社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しております。なお、連結子会社のうち5社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めておりません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の売上高を基準として、当社、Shinwa Auction株式会社、Shinwa Prive株式会社、Shinwa ARTEX株式会社及びアイアート株式会社の売上高合算が当連結会計年度の連結売上高の2/3以上となることから、当社、Shinwa Auction株式会社、Shinwa Prive株式会社、Shinwa ARTEX株式会社及びアイアート株式会社の5事業拠点を「重要な事業拠点」としております。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として「売上高」「オークション未収入金」「売掛金」「商品」に至る業務プロセスを評価の対象といたしました。さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加しております。
下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすことになり、開示すべき重要な
不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度の末日時点における当社の財務報告に係る内部統制は
有効ではないと判断いたしました。
記
当社の連結子会社であるShinwa Prive株式会社等において、2019年5月期から2024年5月期までのプライベートセ
ールに関する不適切な会計処理により、実態と相違がある売上計上が行われている疑いがあることが判明いたしま
した。これを受け、2024年7月4日開催の取締役会において、プライベートセールに関する会計処理において疑義
が発生したため、専門的かつ客観的な調査が必要であるとの判断に至り、業績への影響の有無、社内体制の不備の
有無や原因の究明および再発防止策の策定等を目的として、外部専門家で構成される第三者委員会の設置につきま
して決議いたしました。
当社は、2024年9月6日、第三者委員会から調査報告書を受領し、連結子会社である Shinwa Prive 株式会社等
が行った絵画等のアート作品のプライベートセール(以下、「アート売買取引」という。)の中に、実質的には金
融取引等と処理すべきもの及び売買契約締結時に売上計上されていたが引渡時に売上計上されるべきであったもの
が含まれていたとの評価を受けております。
当社は、報告内容の検討及びこれを受けた自主調査の結果、金融取引等及び売上計上時期に関する不適切な会計
処理が行われていたことを確認しました。このため、当社は影響のある過年度の決算を訂正することが適切である
と判断し、2019 年5月期から 2023 年5月期の各有価証券報告書、2020 年5月期第1四半期から2024 年5月期
第3四半期までの各四半期報告書について、訂正報告書を提出することといたしました。
また、第三者委員会からは上記の発生原因として、上場企業の会計処理及び内部統制に詳しい公認会計士等が
役員にいないことを含むアート売買取引の業務執行(契約書締結フロー等を含む)に対する監視・監督の不備等
のガバナンス上の問題、管理担当者と執行担当者の兼務、内部監査室のリソース不足等、上記の不適切な会計処理
を止めることのできなかった組織上・内部統制上の問題の指摘を受けております。
これらの事実は、当社グループのアート売買取引に関する事業活動におけるルールの遵守、内部統制評価計画策定、
業務プロセス評価手続、内部統制評価の計画及び評価結果の取締役会等への報告等に不備があり、特にアート売買
取引に関して内部統制が機能しなかったことによるものと認識しております。
当社はこれらの不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制及び全社的な観点で評価する決
算・財務報告プロセス並びに業務プロセスに関する開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。また、
上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が、当事業年度の末日までに是正されなかった理由は、当
該重要な不備の判明が事業年度の末日以後になったためです。
なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表及び連結財務諸表において適切に
反映しております。
当社グループは、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するた
めに、第三者委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってま
いります。
・コンプライアンス意識の抜本的かつ全社的な改革
・不祥事再発防止のための業務フローの改善
・役職員への実効性のある研修・教育の実施
・内部監査部門の組織体制の再整備
・職務権限規程の改訂
・業務フローの改善及び規程の改訂
・グループ経理規程関連の改訂
・公益通報者規程の改訂及び周知徹底
「3評価結果に関する事項」 に記載した` 開示すベき重要な不備を是正するために、当事業年度の末日から内部統制報告書の提出日までに、以下の措置を実施いたしました。今後も引き続き再発防止策の実行を推進します。
(1)コンブライアンス及びリスク管理体制の再構築
① 当社の内部統制及びガバナンス体制に対する当社のステークホルダーからの信頼を回復することを目的とし
て、2024 年9月18日付でガバナンス委員会を設置いたしました。
ガバナンス委員会設置の目的として、(1)内部統制システムの整備、(2)会計の知識の強化、(3)リスクコンプ
ライアンス委員会が担当する事項に対する助言・勧告、(4)上記目的のために必要なグループ再編の検討、
(5)取締役会の運営に関する整備、(6)取締役及び監査役に対する評価及び取締役・監査役候補者の指名、(7)
その他上記目的のために必要と認める事項を掲げております。
② 第三者委員会からの調査結果および再発防止のための提言を踏まえて、再発防止に向けた具体策の立案に加え
コンプライアンス体制の強化に関する各種施策について速やかに検討を行う目的として、2024年9月18日付で
リスクコンプライアンス委員会を設置いたしました。
リスクコンプライアンス委員会設置の目的として、(1)グループ全体に関わるリスクコンプライアンス体制の
基本方針ならびに推進体制(組織・体制・人事)に関する事項、(2)グループ全体に関わるリスクコンプライ
アンス体制に関する規程・規則、マニュアル等に関する事項(各規程・規則、マニュアル等の相互の整合性の
検討・整理を含む)、(3)グループ全体のコンプライアンス推進およびリスク管理推進に関する教育・啓蒙計
画に関する事項、(4)グループ各社のコンプライアンス遵守状況およびリスク管理状況の確認・判定、指導・
支援策に関する事項、(5)法令・リスク管理規程違反あるいは会社に対する不正行為等に関わる問題の確認・
調査、改善・予防策に関する事項、(6)報告・相談、内部通報制度の整備策に関する事項、(7)重大な法令・
リスク管理違反、危機発生時(不祥事を含む)の対応策・再発防止策に関する事項を掲げております。
③ コンプライアンスに対する意識を高く保つために、役員及び従業員向けに専門家によるコンプライアンス研修
を実施することを予定しています。
(2)公益通報者規程の改訂
① 外部通報窓口を新たに追加し、通報窓口を、総務人事部と常勤監査役に加え、外部弁護士の3つとします。
② 各子会社担当者に事前に相談・通報することについても許容する旨規定に盛り込みます。
(3)業務フローの改善及び規程の改訂
① 職務権限規程、内部通報制度規程、内部監査に関する規程、文書管理に関する規程、取締役会に関する規程、
監査役会に関する規程に関して一部改定し、社内ヘ周知します。
② 上記の前提となる業務フローの改善等の見直しを進めています。
(4)内部監査体制の再構築
① 内部監査室長及び内部監査部員の専任者を採用いたします。
特記すべき事項はありません。