文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「公明正大且つ信用あるオークション市場の創造と拡大」、「常に信用を重んじる中での慎重かつ大胆な挑戦」、「豊かで美しく潤いある生活文化の追求」の実現を目指して事業を進めております。
(2)目標とする経営指標
当社グループの効率的な経営の実現を目標として、ROE(自己資本当期純利益率)15%以上を連結での中長期的な指標として掲げております。
(3)経営戦略等
当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対応することが経営戦略上重要であると考えており、オークションにおける高額品の取扱い比率を高め、そして資産防衛ダイヤモンドやアートのプライベートセールの拡大により、増収増益を目指します。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
アート関連事業においては、近代美術オークションをはじめとする各オークションでの高額作品の取り扱いの増加から、市況は徐々に好転する方向にあります。
当社グループは、「日本近代美術再生プロジェクト」と題した、日本の20世紀の近代美術の再評価と価値付けに取り組んでまいりましたが、日本のインフレ環境下において、ようやく日本の近代美術が見直される環境が醸成されてまいりました。同時に、近代美術だけでなく、新たな柱となり得るコンテンポラリーアートの拡大を推進してまいります。また、「資産形成アート投資サロン」を通じて、アートコレクターを呼び込み、オークションに新たな富裕層の誘引を図り、高額品の取り扱いを増加させると同時に、外的要因に影響されにくい新たな事業の開発にも積極的に取り組んでまいります。
これまで、当社では、アートを中心に、宝飾品、時計、バッグ、ワイン・リカー等の様々な高額品アイテムのオークションを開催してまいりましたが、今後、特に宝飾品・時計部門を一つの大きな柱となる部門に育成する方針です。
また、オークション事業から派生した資産防衛ダイヤモンド事業は、各国の金融緩和政策から生じるインフレ懸念から、資産防衛としてのダイヤモンドへの需要が高まっており、引き続き売上の増大を目指します。
2022年3月設立したEdoverse株式会社が推進する仮想空間GameFiの構築を目指す「Edoverse(江戸バース)」の開発・運用・管理にかかるコンサルテーション業務を通じて、現代に江戸の町を再構築するゲームの中で、NFTアートを中心としたNFT取引を通じて持続可能な経済圏の拡大を目指します。サテライト空間を利用した浮世絵美術館のオープン(2023年6月1日)を皮切りに、2023年年末に予定している仮想空間内でのゲームオープンを控え、Edoverse公式アンバサダーにVtuberを起用するなどコミュニティの活性化かつ拡大を目指します。
その他事業のエネルギー関連については、アート関連事業に経営のリソースを集中させていくため、太陽光発電施設事業を縮小しておりますが、SDGsの観点から、持続可能な再生エネルギーとして自社保有の太陽光発電施設は保持しております。一方、マレーシアから日本へのPKS(ヤシ殼)輸出事業は、前期から事業活動を再開し、引き続き収益化を目指します。
(5)第三者委員会による調査結果を踏まえた当社の課題
当社の連結子会社であるShinwa Prive株式会社等において、2019年5月期から2024年5月期までのプライベートセールに関する不適切な会計処理により、実態と相違がある売上計上が行われている疑いがあることが判明いたしました。これを受け、当社は、2024年7月4日開催の取締役会において、プライベートセールに関する会計処理において疑義が発生したため、専門的かつ客観的な調査が必要であるとの判断に至り、業績への影響の有無、社内体制の不備の有無や原因の究明および再発防止策の策定等を目的として、外部専門家で構成される第三者委員会の設置を決議いたしました。
その後、当社は、2024年9月6日、第三者委員会から調査報告書を受領し、子会社であるShinwa Prive 株式会社等が行った絵画等のアート作品のプライベートセールの中に、実質的には金融取引等と処理すべきもの及び売買契約締結時に売上計上されていたが引渡時に売上計上されるべきであったものが含まれていたとの評価を受けております。
当社は、第三者委員会より受領した調査報告書における報告内容の検討、及びこれを受けた自主調査の結果、売買取引と金融取引の分類及び売上計上時期に関し、必ずしも適切とはいえない会計処理が行われていたことを確認しました。このため、当社は影響のある過年度の決算を訂正することが適切であると判断し、2019 年5月期から 2023 年5月期の各有価証券報告書、2020 年5月期第1四半期から2024 年5月期第3四半期までの各四半期報告書について、訂正報告書を提出することといたしました。
また、第三者委員会からは、上記の発生原因として、上場企業の会計処理及び内部統制に詳しい公認会計士等が役員にいないことを含むアート作品のプライベートセールの業務執行(契約書締結フロー等を含む)に対する監視・監督の不備等のガバナンス上の問題、管理担当者と執行担当者の兼務、内部監査室のリソース不足等、上記の会計処理を止めることのできなかった組織上・内部統制上の問題の指摘を受けております。
これらの事実は、当社グループのアート作品のプライベートセールに関する事業活動におけるルールの遵守、内部統制評価計画策定、業務プロセスに対する評価手続等の点で、当社の業務プロセスに係る内部統制に不備があり、また、内部統制評価の計画及び評価結果の取締役会等への報告等の点で、当社の決算・財務報告に係るプロセスに不備があり、その結果、アート作品のプライベートセールに関して内部統制が機能しなかったことによるものと認識しております。
当社は、これらの不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制及び全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセス並びに業務プロセスに関する内部統制について開示すべき重要な不備 に該当すると判断いたしました。また、上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が、当事業年度の末日までに是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が事業年度の末日以後になったためです。
なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表及び連結財務諸表において適切に反映しております。
(6)上記課題に対する当社の対応状況
当社グループは、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、第三者委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて、適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
・グループ全体におけるコンプライアンス意識の抜本的改革
・内部監査部門の組織体制の再整備
・公益通報関連者規程の改定及び周知徹底
・内部統制を実効あらしめるための業務フローの改善及び職務権限関連規程の改定
・適切な経理処理を遂行するためのグループ経理関連規程の改定
・グループ会社を含む役職員への実効性のある研修・教育の実施
次に、当社グループは、上記⑸の課題および重要な不備を是正するために、以下の措置を実施することと致しました。今後も、再発防止策の実行を推進してまいります。
ア コンブライアンス及びリスク管理体制の再構築
①当社の内部統制及びガバナンス体制に対する当社のステークホルダーからの信頼を回復することを目的として、2024 年9月18日付でガバナンス委員会を設置いたしました。
ガバナンス委員会設置の目的として、⑴内部統制システムの整備、⑵会計の知識の強化、⑶リスクコンプライアンス委員会が担当する事項に対する助言・勧告、⑷上記目的のために必要なグループ再編の検討、⑸取締役会の運営に関する整備、⑹取締役及び監査役に対する評価及び取締役・監査役候補者の指名、⑺その他上記目的のために必要と認める事項を掲げており、同委員会で検討作業を進めております。
同委員会の答申が出ましたら、当社は、ガバナンス体制強化のため、同委員会の提案を踏まえた各種施策を講じて参ります。
②第三者委員会からの調査結果および再発防止のための提言を踏まえて、再発防止に向けた具体策の立案に加え、コンプライアンス体制の強化に関する各種施策について速やかに検討を行う目的として、2024年9月18日付でリスクコンプライアンス委員会を設置いたしました。
リスクコンプライアンス委員会設置の目的として、(1)グループ全体に関わるリスクコンプライアンス体制の基本方針ならびに推進体制(組織・体制・人事)に関する事項、(2)グループ全体に関わるリスクコンプライアンス体制に関する規程・規則、マニュアル等に関する事項(各規程・規則、マニュアル等の相互の整合性の検討・整理を含む)、(3)グループ全体のコンプライアンス推進およびリスク管理推進に関する教育・啓蒙計画に関する事項、(4)グループ各社のコンプライアンス遵守状況およびリスク管理状況の確認・判定、指導・支援策に関する事項、(5)法令・リスク管理規程違反あるいは会社に対する不正行為等に関わる問題の確認・調査、改善・予防策に関する事項、(6)報告・相談、内部通報制度の整備策に関する事項、(7)重大な法令・リスク管理違反、危機発生時(不祥事を含む)の対応策・再発防止策に関する事項を掲げており、同委員会では現在、内部監査部門の充実、内部通報制度の整備、規程類の整備、グループ全体における研修等に向けた検討作業を進めております。
当社は、同委員会における議論の内容を踏まえて、コンプライアンス体制の強化およびリスク管理にかかる各種施策を講じて参ります。
③上場企業の会計処理及び内部統制に詳しい公認会計士を役員に選任することの検討を進めております。
④コンプライアンスに対する意識を高く保つために、役員及び従業員向けに専門家によるコンプライアンス研修を実施することを予定しています。
イ 公益通報者規程の改定
①外部通報窓口を新たに追加し、通報窓口を、総務人事部と常勤監査役に加え、外部弁護士の3つとします。
②各子会社担当者に事前に相談・通報することについても許容する旨、規程に盛り込みます。
ウ 業務フローの改善及び規程の改定
①職務権限関連規程、内部通報関連規程、内部監査関連規程、文書管理関連規程、取締役会関連規程、監査役会関連規程お一部改定し、社内ヘ周知します。
②上記の前提となる業務フローの改善等の見直しを進めています。また、適宜、社内規程類の定期的な見直しを実施し、規程・マニュアルの記載内容と業務実態との間で齟齬がないか定期的に確認し、齟齬があれば規程又は運用の見直しを行います。
エ 内部監査体制の再構築
内部監査部門を強化すべく、専任の内部監査室長および内部監査部員を選任致します 。
今回、投資家の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。当社は 適正な内部統制の整備及び運用のさらなる強化に取り組み、内部管理体制の強化およびコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ることが重要であると考え、着実に施策を講じてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティをめぐる課題を極めて重要な経営課題と認識しております。当社グループのサステナビリティに関する取組みや、人的資本への経営資源の配分を進めることで企業価値向上に努めてまいります。
定例的な取締役会への報告等を通じて業務・計画の進捗状況を確認し、実効的な監督を行ってまいります。
(2)戦略
当社グループは、事業をより充実させ、持続的に成長していくためには、人材を確保することが重要であると考えております。積極的に人的資本経営に取り組み、従業員のモチベーションを高め、グループ内の人材育成を一層推進していきます。今後、当社の人的資本、人材戦略について、経営戦略にも連動した人材戦略を策定し、体制を構築していく予定です。
(3)リスク管理
サステナビリティ課題のリスクおよび機会の識別や評価等については、取締役会が統括し、リスクの見直しや軽減化を図るとともに、リスク発見時に迅速に対応できるようリスク管理体制の整備に努めてまいります。リスク管理の内容については、必要に応じて、取締役会に報告し、適切なリスクマネジメントに向けた対応を図ってまいります。
また、必要に応じて弁護士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家からアドバイスを受けられる体制を構築するとともに、潜在的なリスクの早期発見に努めてまいります。
(4)指標及び目標
当社グループは、小規模な組織体制であるため、重要性も加味したうえで、年齢、国籍、性別等の区分で管理職の構成割合や人数の目標などは定めておりません。当社グループの事業成長を加速するためには、様々な局面において多数な意見を反映することが重要であると認識しております。企業価値の持続的な向上の為に人材は人財であると認識し、人材の育成及び社会的環境整備に関する方針、戦略を構築したのちに、目標値も設定する予定です。
また、現任の当社女性役員は、2020年3月に招集した当社臨時株主総会において、選任されました。今後も期待する役割に応じた能力と実績に基づき、積極的に登用を進めるとともに、適切に能力が評価されるような施策や環境の整備に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.グループ全体
小規模組織について
当社グループはグループ従業員数50名弱と規模が小さく、内部管理体制も当該規模に応じたものとなっております。今後も必要に応じ、内部管理体制の充実とそれに伴う人員補充を実施していく方針でありますが、人材の確保及び管理体制の維持ができなかった場合、適切な組織的対応が出来ず、組織効率が低下する可能性があり、業務に支障をきたすおそれがあります。
2.オークション関連事業
(1)オークションへの出品について
日本国内の美術市場の取扱高は前年と比し増加傾向にあります。当社が主力とする近代美術の分野では、近年、続いていた近代美術の中価格帯作品の相場全体にも下げ止まりの兆候が見え始め、徐々に市場全体が復調する兆しがある中で、特に高価格帯作品の相場は明らかな上昇を見せております。特に一部の高価格帯に属する作品は予想を大幅に上回る価額で落札されるものも出てきています。本格参入したコンテンポラリーアート(現代美術)も活況を呈しており、オークション事業の大きな柱の一つとして成長するよう推進致します。従来同様に、良品の出品募集営業を徹底強化し、同時に新規顧客層の開拓を強化していく所存でありますが、景気動向等による出品数の減少となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)売上高の構成について
オークション関連事業の売上高の主たる構成要素は、落札価額に対する手数料収入(落札手数料及び出品手数料)であります。落札手数料は、落札価額に対し15.0%相当額、出品手数料は、落札価額の10.0%(いずれも別途消費税)としております。
なお、作品を仕入れた後に、在庫商品としてオークションやプライベートセールで売却する場合があります。この場合、オークションでの落札価額またはプライベートセールでの販売価格を商品売上高としてそのまま売上高に計上するため、在庫商品の取扱高の増減が、売上高変動のひとつの要因となります。その他、カタログの販売高、出品者から徴収するカタログ掲載料で構成されるカタログ収入、有料会員から徴収する会費収入があります。
(3)美術品の査定について
オークションに出品されるすべての作品は、査定委員会にて現物を直接検分して、評価額を決定しております。査定委員会は、常任委員の他、必要に応じて担当部長ならびに社外の専門家を交えて複数のメンバーで構成しています。作品の評価額は、オークション出品の際、そのままエスティメイト(落札予想価格帯)を構成するため、適切な評価額を決定する体制を整えています。
しかしながら、査定委員会が現下の市況と大きく乖離した評価をし、その結果オークションで落札されないケースが連続した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)鑑定・鑑別の外部委託について
オークションに出品される美術品や宝飾品の真贋に関しては、権威ある第三者機関に鑑定・鑑別を依頼しております。美術品に関しては、当社グループが認める鑑定機関及び鑑定人が存在する作家の作品に関しその鑑定を受け、宝飾品に関しては、原則として当社グループが定める鑑別機関の鑑別を受けることとしており、当社グループは、販売委託者と鑑定・鑑別機関及び鑑定人の仲介を行っておりますが、当社グループが鑑定・鑑別を行うことはありません。
オークションの開催・運営にあたっての規則であるオークション規約及び特約に基づき、当社グループが開催する近代美術、近代陶芸、戦後美術&コンテンポラリーアートの出品作品、ブランドバック等のブランド雑貨に関し、当社グループは、オークションの開催日から1年以内に、落札作品が真作でないとの証明がなされた場合、落札作品を引き取り、落札者に代金を返還することになっております。但し、近代美術PartⅡ等のオークションで取り扱う低価格作品、骨董(アンティーク)等の真贋判定の困難な作品に関しては保証しておりません。出品作品の真贋には、最善の注意を払い対応しておりますが、真作でない作品を誤って取り扱うことにより、信用低下につながる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)オークション未収入金及びオークション未払金について
オークション未収入金及びオークション未払金は、オークション事業により発生する、落札者及び出品者に対する未決済債権及び債務であります。オークション規約及び販売委託に関する約定に基づき、落札者からは、オークション開催日から土日祝日を除く10日以内に購入代金が支払われ、出品者に対しては、オークション開催日から35日以内に販売代金を支払っており、従ってオークション未収入金及びオークション未払金の期末残高は、オークションの開催日程と連結会計年度末日との関係で増減します。
(6)前渡金制度について
当社グループは、営業戦略上、業者のみならず一般コレクターからの出品を促進するためのシステムとして、オークションへの出品が決定した作品に関し、販売委託契約締結と同時に販売代金の一部を前渡しすることができる前渡金制度を採用しております。主に近代美術オークションにおいて契約締結から支払までの期間が最長約4ヶ月であることに関し、出品者の急な資金需要に対応できる施策として、当社グループの出品募集に大きく貢献しております。
前渡金が支払われている作品が不落札となった場合には、オークション終了後に出品者から前渡金が返還されることになっていますが、万一、出品者が前渡金を返済できない事態が生じたとしても、不落札の作品を売却し、前渡金返済に充てることができます。しかしながら、今後事業が拡大する中で、前渡金の返還及び回収が滞る事案が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)一括保証取引について
オークションへの一括の大口出品に関して、営業戦略上、落札価額合計額の最低金額の保証を行う場合があります。一括保証した金額については、作品をお預かりし、契約締結後に前渡金として保証金額の支払いを行う場合がありますが、実際の落札価額合計額が、この保証金額に満たない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)美術品等の保管について
当社グループでは、作品を当社グループの倉庫等で保管しております。保管中、作品にはすべて保険を付保しており、盗難、火災等については保険の対象となっております。しかし、地震等の自然災害に起因する事故については保険対象外の扱いとなっていることから、地震等の自然災害が発生し、作品が損壊した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、オークション規約上、当社グループの故意または重過失に起因する損害に関しては、通常の損害の他、予見可能な損害までを責任の範囲と定めており、通常損害保険で担保されない範囲の損害が発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)法的規制等について
当社グループが行っているオークション形態は、海外においてオークション事業を展開しているクリスティーズ、サザビーズ等の事業をモデルとしております。日本国内においては、商法第551条の問屋(といや)に該当し、オークションの運営にあたっては、オークション規約を制定しておりますが、同規約は、民法、商法、消費者契約法、古物営業法等の規制を受けております。
これら、日本国内における法的規制により、過去において当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼした事実はありません。しかしながら、当社グループが行うオークションという事業形態は、日本国内で完全に認知を得ているわけではなく、将来的にオークションの運営に支障を来すような法令等の規制を受けた場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
現在、当社グループでは定期開催のオークションの他、西洋美術オークション、戦後美術&コンテンポラリーアートオークション、ワインオークション、個人収集品オークション等を随時開催しております。また、チャリティオークション開催のためのカタログ作製作業やオークション会場運営等の業務提供も行っております。酒類の取り扱いに関しては「酒税法」の、宝石・貴金属等の取り扱いに関しては「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の、西洋美術の一部の作品の取り扱いに関しては「電気用品安全法」の、象牙等の希少野生動植物種の剥製、標本、器官等の取り扱いに関しては「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」の定めに従い行っております。今後も、取扱商品が拡大していく中で個別に法的規制を受けるケースが考えられますが、当社グループは、いかなる場合も法令を遵守し対応していく所存であります。しかしながら、将来的に個別の法的規制により当社グループが取り扱えないアイテムが発生し、当社グループの事業計画の変更を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)古物の取り扱いについて
当社グループは、盗難品や遺失物を取り扱わないよう、定期的に社内教育を行っております。しかしながら、不測の事態により盗難品や遺失物を取り扱った場合、信用失墜により取扱高の減少及び法令手続に基づく損失の発生等の可能性があります。
(11)著作権について
オークションカタログに図版を掲載するに当たり、著作権者或いは著作権管理団体に著作権使用に係る許諾を受けることを、当社グループで把握しているものについては実施しています。また、それ以外のものについては著作権法第47条の2の定める範囲内で掲載しております。著作権使用料は出品者負担として、請求がある著作権者或いは著作権管理団体に支払っておりますが、今後請求先が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)顧客情報の取り扱いについて
当社グループは、オークション出品者に対して、その出品者との間で締結される販売委託契約により、顧客情報に関する守秘義務を負っております。当社グループは、個人情報の取り扱いについては充分注意しておりますが、不測の事態により情報が外部に漏洩する事態となった場合、信用の失墜による取扱高の減少及び損害賠償による損失の発生等の可能性があります。
(13)戦略的在庫商品の保有について
美術市場全体の安定化と規模の拡大を実現する事を目標に、いわゆる近代美術の巨匠といわれる作家の名品(マスターピース)クラスの作品を購入し、戦略的在庫として保有し、作品ごとに、販売時期、価格及び販売先に関して理想とする最良の環境での販売を考えており、その環境が整うまでは保有することを予定しております。戦略的在庫商品の購入後は、経済環境や美術品取引市場の著しい変動により、保有する戦略的在庫商品の評価の見直しを迫られる可能性があります。また、販売が計画通り進まず、保有期間の長期化による資金の固定化や、予想していた販売収益が得られない可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.その他事業
(1)法的規制等について
低圧型太陽光発電施設販売事業では、今後は利回りに着目した需要の継続的な開拓が必須となりますが、固定価格買取制度が大幅に変更された結果、市場全体の販売価格は低下しており、事業の採算性に関して今まで以上に十分な検討が必要となってまいります。
(2)気象・災害等について
太陽光発電は、気象条件により発電量が左右されるほか、設備の劣化や天災・火災等の事故により、想定した発電量と実際の発電量との間に予期せぬ乖離が生じる可能性があり、これらの要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)PKS事業について
当社グループは、マレーシアにおいて、バイオマス発電の燃料となるPKS(パーム椰子殻)販売事業を行っておりますが、再生可能エネルギーに占めるバイオマス発電の割合は上昇が見込まれるため、今後、原材料の仕入価格が上昇して利益を圧迫し、または量的確保そのものが難しくなる可能性があり、これらの要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、仕入等の取引は外貨建て取引のため、為替相場の変動により仕入価格・仕入数量に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)Edoverse(江戸バース)コンサルティング事業について
コンサルティングを請け負ったクライアントの事業が不測の事態で完成しなかった場合、コンサルティング事業で予測する収益が上がらず、事業が縮小または中断する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.その他
(1)為替相場について
当社グループの海外現地法人は、外貨建ての財務諸表を作成しているため、日本円に換算する際、為替レートによる換算リスクが生じます。このため急激な為替変動が起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)デリバティブ取引のリスクについて
当社グループの金融機関からの長期借入金には、一部市場金利に連動するものが含まれており、変動金利の長期借入金につきましては、金利スワップ取引を利用しております。当該デリバティブ取引は、期末ごとに時価評価したうえで損益処理することとしており、この評価損益が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済におきましては、欧米経済が物価高や金融引き締めの影響から減速しています。中国経済はゼロコロナ政策の解除による反動増が成長率を押し上げ、欧州経済も暖冬によりエネルギー制約が緩和されマイナス成長は回避されたものの、コロナ危機前の成長率を下回っているほか、暖冬などの特殊要因を除けば世界経済は減速傾向にありました。
わが国内の経済は、緩やかに持ち直しており、23年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.4%(年率+1.6%)と、プラス成長となりました。経済活動の正常化を受け民間最終消費支出が回復したほか、設備投資など内需の拡大がプラス成長を主導しました。そのため、経済活動の活性化が一層期待されます。
そのような状況の中、アート関連事業において、取扱高は前年と比べ増加いたしました。その中でも、オークション事業は、前年同期と比し、出品点数・落札点数は減少したものの、高額品の取り扱いが増加したため、11.7%増の73億円となりました。オークション事業の新しい柱と位置付けるコンテンポラリーアート(現代美術)は、前年同期と比し、265.2%増の結果となりました。また、前期のより連結子会社となったアイアート株式会社も大きく貢献し、Shinwa Auction株式会社とともにオークション事業の強化を推進いたしました。
プライベートセール・その他事業は、資産防衛ダイヤモンドを中心に順調に売上を伸ばしました。
その他事業では、自社所有の売電事業及びマレーシアでのPKS事業を継続しております。
前期から業務を開始したEdoverse株式会社は、Edoverse Foundationが行うメタバース空間構築の早期実現や、デジタルツインのコンサルテーション業務を積極的に推進しました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前年比598,594千円増の4,969,798千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前年比前年比135,774千円増の1,738,952千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前年比462,820千円増の3,230,845千円となりました。
b.経営成績
各事業の業績は次のとおりです。
1.アート関連事業
アート関連事業は、取扱高9,401,803千円(前年比13.1%増)、売上高3,292,490千円(前年比16.8%増)、セグメント利益668,248千円(前年比6.6%増)となりました。
種別の業績は次のとおりです。
|
第34期 |
|||||||
|
2023年5月期 |
|||||||
|
取扱高 |
前年比増減 |
売上高 |
前年比増減 |
オークション |
オークション |
オークション |
落札率 |
(千円) |
(%) |
(千円) |
(%) |
開催数 |
出品数 |
落札数 |
(%) |
|
近代美術オークション |
1,906,860 |
94.6 |
355,386 |
108.2 |
6 |
387 |
337 |
87.1 |
近代陶芸オークション |
457,480 |
△21.3 |
80,044 |
△19.1 |
4 |
665 |
573 |
86.2 |
近代美術PartⅡオークション |
211,745 |
95.2 |
47,024 |
113.8 |
6 |
719 |
680 |
94.6 |
コンテンポラリーオークション |
819,625 |
265.2 |
155,481 |
297.2 |
6 |
205 |
186 |
90.7 |
その他オークション (注)2 |
1,535,915 |
△57.2 |
289,408 |
△58.5 |
12 |
2,758 |
2,408 |
87.3 |
アイアートオークション |
2,408,615 |
120.4 |
457,682 |
128.4 |
5 |
1,116 |
893 |
80.0 |
オークション事業合計 |
7,340,240 |
11.7 |
1,385,027 |
12.8 |
39 |
5,850 |
5,077 |
86.8 |
プライベートセール |
1,930,242 |
11.7 |
1,810,259 |
15.1 |
|
|
|
|
その他 |
131,320 |
- |
97,202 |
470.4 |
|
|
|
|
プライベートセール・ |
2,061,563 |
18.6 |
1,907,462 |
19.9 |
|
|
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アート関連関連事業合計 |
9,401,803 |
13.1 |
3,292,490 |
16.8 |
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(注)1.取扱高の前年比増減率と売上高の前年比増減率の乖離の大きな要因のひとつに、商品売上高の増減があ
ります。商品売上高は、オークション落札価額に対する手数料収入、カタログ収入、年会費等と同様に
売上高を構成する要素であり、在庫商品を販売した場合、その販売価格(オークションでの落札の場合
には落札価額)を商品売上高として、売上高に計上することとしております。
2.その他オークションは、出品の状況により随時開催しております。前期は2022年3月27日にEveningSale(羽田オークション)が開催され、高額作品が出品・落札されております。
ⅰ)オークション事業
当連結会計年度は、オークションの開催回数は39回(前年度開催回数34回)でした。主な内訳は、近代美術オークション、近代美術PartⅡオークション及びコンテンポラリーアートオークションを各6回、アイアートオークションを5回、近代陶芸オークションを4回、MANGAオークション及びワイン・リカーオークションを各3回、西洋美術オークション、Bags/Jewellery&Watchesオークションを各2回、アバターオークション及びLuxury Evening オークションを各1回で、取扱高は昨年と比し11.7%増となりました。
近代美術オークションは、出品点数16.4%減、落札点数3.2%減でしたが、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で149.6%と高水準で推移し、取扱高は、1,906,860千円となり、昨年と比し94.6%増加しました。
近代陶芸オークションは、出品点数27.9%減、落札点数30.5%減でしたが、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で130.3%と高水準で推移いたしました。取扱高は、457,480千円となり、昨年と比し21.3%減少しています。
近代美術PartⅡオークションは、出品点数2.3%増、落札点数13.0%増となり、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で326.6%と高水準で推移し、取扱高は、211,745千円となり、昨年と比し95.2%増加しました。
コンテンポラリーアートオークションは、出品点数47.4%減、落札点数44.9%減でしたが、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で163.7%と高水準で推移いたしました。取扱高は、819,625千円となり、昨年と比し265.2%増加しました。
その他オークションは、前期2022年3月27日にEvening Sale(羽田オークション)が開催され、高額作品が出品・落札されております。そのため、当期の取扱高は1,535,915千円となり57.2%減となりました。そのような中で、ワイン・リカーオークションは出品点数15.8%増、落札点数19.2%増となり、エスティメイト下限合計額に対する落札価額合計額の比率は、平均で173.6%と高水準で推移いたしました。2月に行われたワイン・リカーオークションの取扱高は、ワインオークションを開始した2001年3月以来、過去最高の240,970千円となりました。また、Bags/Jewellery&Watchesオークションでは高額品の出品・落札があり、取扱高は539,900千円と前年比398.2%増となりました。
アイアートオークションは、5回開催し、出品点数1,116点、落札点数893点、落札率80.0%という結果になりました。このアイアート株式会社の子会社化により、売上高457,682千円(前年同期比128.4%増)となり、連結決算に大きく貢献いたしました。
ⅱ)プライベートセール・その他事業
プライベートセール・その他事業では、資産防衛ダイヤモンド販売事業と美術品のプライベートセールで売上を伸ばしました。資産防衛ダイヤモンド販売事業は、売上高847,827千円(前年同期比55.4%増)と、資産防衛としてのダイヤモンドの需要の高まりから、引き続き順調に売上を伸ばしました。プライベートセール事業は、売上高1,810,259千円(前年同期比15.1%増)と、売上を伸ばしました。
結果として、プライベートセール・その他事業は、前年同期比で取扱高18.6%増、売上高19.9%増となりました。
2.その他事業
子会社保有の太陽光発電施設による売電事業は29,530千円、またマレーシアにおけるPKS事業では164,544千円の売上となりました。
その結果、当連結会計年度のその他事業のセグメント売上高は194,075千円(前年同期比29.4%増)、7,506千円のセグメント利益(前年同期は14,105千円のセグメント損失)となりました。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高3,486,565千円(前年同期比17.5%増、対前年同期増加額518,486千円)、営業利益516,384千円(前年同期比13.0%増)、経常利益514,502千円(前年同期比9.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益305,032千円(前年同期比57.3%増)となりました。
なお、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、2006年5月期以来、17年ぶりに最高益を更新いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び投資活動、財務活動によるキャッシュ・フローの増加の結果1,087,537千円の資金獲得となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,273,123千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,180,942千円(前年は136,199千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益による資金増加524,980千円、オークション未収入金の増加による資金減少217,259千円、オークション未払金の増加による資金増加382,401千円、仕入債務の増加による資金増加237,010千円、未収入金の減少による資金増加27,086千円、法人税等の支払による資金減少210,445千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は、221,701千円(前年は42,996千円の獲得)となりました。これは主に定期預金解約による資金増加200,000千円、投資有価証券売却による資金増加137,575千円、定期預金預入による資金減少100,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、311,600千円(前年度は315,290千円の獲得)となりました。これは主に新株予約権の行使に伴う株式発行による資金増加155,625千円に対し、短期借入金の減少による資金減少428,500千円、長期借入金の返済による資金減少31,228千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、主に美術品等のオークション事業運営とエネルギー関連事業を行っており、生産実績の記載はしておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) |
前年同期比(%) |
アート関連事業(千円) |
3,292,490 |
116.8 |
その他事業(千円) |
194,075 |
129.4 |
合計(千円) |
3,486,565 |
117.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上になる相手先がないため、記載を省略しております。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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イセ株式会社 |
267,046 |
10.2 |
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- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1.財政状態の分析
当連結会計年度の資産につきましては、総資産は、前年比598,594千円増の4,969,798千円となりました。内訳は流動資産が768,257千円増の3,971,521千円、固定資産は169,661千円減の998,277千円となりました。流動資産の主な内訳と増減は、現金及び預金2,273,123千円(前年比960,650千円の増加)、オークション未収入金261,379千円(前年比217,259千円の増加)、商品1,245,356千円(7,639千円の減少)、その他151,488千円(前年比141,978千円の減少)、売掛金36,749千円(253,471千円の減少)であります。固定資産の主な内訳と増減は、のれん659,793千円(前年比64,370千円の減少)、投資有価証券26,973千円(前年比88,762千円の減少)であります。
負債は1,738,952千円(前年比135,774千円の増加)となりました。内訳は流動負債が1,449,352千円(前年比221,847千円の増加)、固定負債が289,600千円(前年比86,073千円の減少)となりました。流動負債の主な内訳と増減は、オークション未払金467,146千円(前年比382,401千円の増加)、買掛金257,830千円(前年比237,171千円の増加)、短期借入金90,000千円(428,500千円の減少)であります。固定負債の主な内訳と増減は、長期借入金238,121千円(前年比35,308千円の減少)訴訟損失引当金-千円(前年比49,925千円の減少)であります。
純資産は3,230,845千円(前年比462,820千円の増加)となりました。これは、利益剰余金129,048千円(前年比305,032千円の増加)、資本金1,674,567千円(前年比80,302千円の増加)、資本剰余金1,395,772千円(前年比80,302千円の増加)となったことによるものです。この結果、1株当たり純資産額は319.49円、自己資本比率は64.7%となっております。
2.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況b.経営成績」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、公開のオークションという商形態にて美術品や高級品の換金やコレクションを円滑に実現し、美術品を中心とした高額品の価値付けに寄与することを自らのミッションとして事業を展開しています。ポストコロナにおける行動・意識の変化と経済環境のインフレへの転換に合わせ、当社は自らの役割の重要性を認識し、自らのミッションの実現に向けた取り組みを更に強化・加速してまいります。
具体的には、インフレによる資産価値の上昇をベースに高額品の取扱い比率を高める努力を推進します。また、日本の高齢化の中で、相続による様々な高額品の取り扱いの増加を図ります。さらに、国内の市場だけでなく、アジアを中心とした世界からの需要を取り込むため、海外担当チームを本格的に立ち上げます。同時に、国内外からインターネットでオークションにライブで参加できるライブビッティングシステムの利用拡大を推進し、これまでのオークション形態に拘らず、より多くの方にオークションを体験していただき、高額商品を中心にした「Luxury Evening」オークション、高額な宝飾品と時計に特化したオークションを開催するなど、今後は顧客拡大・事業拡大を図ることを経営視点の一つに置いていきます。また、世界の新たな潮流として、SDGsの推進拡大がなされる中で、仮想空間を構築し、その中の経済活動を推進することにより、より効率的な経済運営を目指します。当社では、新たなメディアとして、アートの取引を仮想空間の中で推進できるようNFTアートの開発・販売を推進してまいりましたが、更に持続可能な取引プラットフォームの構築をサポートするため、「Edoverse(江戸バース)」のコンサルテーション業務を推進します。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、オークション事業の商品仕入及び前渡金、エネルギー関連事業のPKS(ヤシ殼)輸出事業仕入資金、各事業の販売費及び一般管理費があります。
財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入を主に資金の調達を行っております。
また、持株会社体制への移行を行い、運転資金及び設備資金管理を一元管理し、資金調達コストの低減化、全社グループでの効率的な資金活用を図っております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
ROE(自己資本当期純利益率)を重要な指標として位置づけ、当社グループの効率的な経営の実現を目標として、15%以上を連結での中長期的な指標として掲げております。当連結会計年度のROE(自己資本当期純利益率)は、9.8%でした。
②.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成のために当社グループが採用している重要な会計処理基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループは、過去の実績値や現状等を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積り、判断及び評価を行っておりますが、見積りや評価には、不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
当社が行った見積りのうち重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
1.正規特約店委託契約
当社子会社(Shinwa Auction株式会社)は、2023年5月31日現在、9業者と正規特約店委託契約を締結しております。
(1)契約の目的
特約店は、美術業者や得意先コレクターからオークションへの出品に関する業務を行うことを目的としております。業務内容は、オークション売却希望者から売却委託を受け、販売委託契約を締結する業務と、オークション売却希望者を紹介することにより、オークション売却希望者との販売委託契約の締結の仲介をする業務があります。
(2)契約期間に関する事項
契約期間は、契約日から1年間とし、それ以降は自動更新であります。
(3)紹介料に関する事項
特約店の紹介による出品契約が締結された場合には、落札価額に応じた紹介料を特約店に支払います。
(4)契約解除に関する事項
契約満了の30日前までに契約解除の申し出があった場合、オークションへの出品及び紹介総額が一定基準に満たない場合、その他契約違反が生じた場合は、正規特約店委託契約を解除することができます。