第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間における我が国の経済は、不安定な国際情勢や円安などを背景としたエネルギー・原材料価格の継続的な上昇によって賃金を上回る物価の上昇がみられることから景気の先行きは予断を許さないものの、社会活動の正常化による個人消費の回復やインバウンド需要の増加により、経済活動は緩やかな回復基調にあります。

 このような経営環境の下で、当社グループは「生活文化創造企業」の経営理念の下、近年で新たに発生した社会的ニーズを含めた幅広い社会課題の解決を事業機会と捉え、他にない製品やサービスの開発と事業化に努めてまいりました。

 その結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高14,405百万円(前年同期比2.7%減)、営業利益1,815百万円(同8.4%増)、経常利益1,910百万円(同7.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は1,276百万円(同6.4%増)と減収増益となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

 

(ファインケミカル)

 自動車を取り巻く環境は、認証不正などによる一部メーカーでの出荷停止の影響を受け、新車販売は前期を下回りました。その一方で、新車販売の低迷に伴い中古車の需要が高まり、中古車販売は前期を上回りました。

 国内の小売業界では、ホームセンターをはじめとした量販店の来店客数は減少傾向にありますが、平年に比べて気温の高い日が続いたことにより、冷房用品や遮光用品などの夏季商品が好調に推移し、地震や台風などの影響で防災関連商品も好調に推移しました。

 また、カー用品専門店においても、来店客数が減少傾向だったものの、外出機会の増加に伴い車両メンテナンス需要が高まったことでタイヤやバッテリーなどの販売が好調に推移しました。

 

①一般消費者向け販売(自動車分野)

 ボディケア製品は、新製品の出荷は好調に推移したものの、気温の高い日が続き洗車機会が減少したことや、足回り関連の出荷が好調だった前期と比較して今期は販売が落ち着いたことで、前期を下回りました。

 ガラスケア製品は、撥水剤での価格改定に伴う単価上昇や、ワイパー製品で店頭キャンペーンを強化したことなどにより前期を上回りました。

 リペア製品は、商流の変更に伴う一時的な販売減少があった前期に対して、今期は得意先への販売が堅調に推移したことや、価格改定の実施により前期を上回りました。

 一般消費者向け販売全体では、ガラスケア製品やリペア製品が好調だったものの、ボディケア製品での落ち込みをカバーできず、前期を下回りました。

 

②業務用製品販売(自動車分野・産業分野)

 新車向けは、キャンペーン強化によって当社ブランドの業務用コーティング製品の出荷が好調に推移しました。

一方、OEM製品においては、認証不正などによる新車販売の低迷に伴い販売が減少したことで、新車向け販売全体では、前期を下回りました。

 中古車向けは、中古車販売が好調だったことや、得意先への積極的なアプローチにより高付加価値製品を使用した施工機会が増加したことで前期を上回りました。

 業務用製品販売全体では、新車向け販売は苦戦したものの、中古車向け販売の伸長やワイパーなどのコーティング以外の製品販売が伸長したことで前期を上回りました。

 

③家庭用製品販売(生活分野)

 主力のメガネケア製品では、くもり止め製品におけるマスクの着用意識の低下や関連商材売り場縮小があったものの、「メガネのシャンプー」の売り場展開強化や新規獲得などに注力したことで、前期を上回りました。

 OEM製品においては、スポーツサイクル向けの製品展開を開始したものの、くもり止め製品の需要減速に伴い出荷が低調であったことから前期を下回りましたが、家庭用製品販売全体ではOEMの苦戦をメガネケア製品の販売伸長でカバーし前期を上回りました。

 

④海外向け販売(自動車分野)

 ロシアでは、当社製品の出荷が前期に比べ好調に推移しているものの、ウクライナ侵攻の長期化による輸出規制強化に伴い他社製品の仲介取引から撤退したことで、ロシア全体では前期を大幅に下回りました。

 中国では、代理店によるプロモーションが奏功しガラスケア製品の販売が好調に推移したことで、当社製品の出荷は前期を上回りました。

 中国を除く東アジアでは、韓国においてレインドロップのリピート販売が想定を下回り、現地で在庫調整が発生したことでボディケア製品の出荷が減少し、前期を下回りました。

 東南アジアでは、代理店によるEC販売でのプロモーションが奏功し、撥水剤の出荷が好調だったことで前期を上回りました。

 欧州エリアでは、SNSプロモーションが奏功しボディケア製品やガラスケア製品の出荷が好調に推移したことで前期を上回りました。

 南米エリアでは、主要仕向け地であるブラジルでSNSプロモーションが奏功し、ボディケア製品やガラスケア製品の出荷が好調だったことにより前期を上回りました。

 東南アジア、欧州、南米での出荷が好調だったものの、ロシア向け他社製品の仲介取引から撤退したことで、海外向け販売全体では前期を下回りました。

 

⑤TPMSの企画開発販売(自動車分野)

 主要得意先において一部メーカーでのモデルチェンジに伴う一時的な供給停滞により販売が減少したものの、新規顧客獲得により取付台数が増加したことや、既存取付車両への整備・メンテナンスサービスの売上が伸長したことにより、前期を上回りました。

 

⑥電子機器・ソフトウエア開発販売(産業分野)

 各種部材の入荷状況が改善傾向にあり製品出荷も堅調に推移しているものの、一部得意先への納品が遅れたことで前期を下回りました。

 

 これらの結果、当中間連結会計期間のファインケミカル事業の売上高は、家庭用製品販売やTPMSの企画開発販売が好調に推移したものの、一般消費者向け販売の低調や、海外向け販売でロシア向け他社製品の仲介取引から撤退したことによる販売減少をカバーするには至らず、6,651百万円(同9.6%減)となりました。また営業利益は、販売ミックスの変化などが利益率改善に寄与したものの、運賃の高騰や基幹システムの更新に伴う費用が発生したことで877百万円(同7.0%減)となりました。

 

 

(ポーラスマテリアル)

①産業資材部門(産業分野)

 世界的な生成AIの急速な普及やIoTなどの進展に伴い、半導体市場をはじめデジタル関連全体での需要は拡大傾向にあり、国内向け販売は半導体工場への積極投資の影響もあり主力の半導体向けが好調に推移しました。また、フィルター及びプリンター用途、環境用途も堅調に推移し、HDD向けでは前期に得意先での生産調整があったものの、生成AIの普及によるデータセンターへの投資増加に伴い販売が好調に推移したことで前期を上回り、国内向け販売全体でも前期を上回りました。

 海外向け販売は、生成AIに関する投資増加によってロジック半導体向けやHBM向けの需要が継続しており、韓国や台湾などを中心に販売が好調に推移したことで、海外向け販売全体では前期を上回りました。

 医療向け販売は、前期には国内でのシート関連製品の出荷が感染症対策目的での需要減少により低調でしたが、今期は下げ止まり傾向にあることに加え新規開拓強化などによって出荷が増加しました。また、体外検査薬フィルターや薬液塗布材なども堅調に推移したことで医療向け販売全体では前期を上回りました。産業資材部門全体では前期を上回りました。

 

②生活資材部門(自動車分野・生活分野)

 国内向け販売は、主力である消費者向け車用製品の苦戦や、認証不正などによる新車販売の低迷に伴い自動車向けOEM製品の出荷が低調に推移しました。また、家庭用製品においても前期末での大量出荷の影響から低調に推移したことで、国内向け販売全体では前期を下回りました。

 海外向け販売は、主力仕向け地である米国で急激なインフレによる消費停滞の影響から在庫調整が継続し、販売が減少しました。生活資材部門全体においても前期を下回りました。

 

 これらの結果、当中間連結会計期間のポーラスマテリアル事業の売上高は、4,306百万円(同6.1%増)となりました。また、営業利益は半導体向け製品などの利益率が比較的高い製品の出荷好調により一定の利益を確保できたことや、費用面でも生活資材の販売減少に伴う販売促進費の減少や研究費の発生時期のずれなどがあったことで、689百万円(同40.2%増)となりました。

 

 

(サービス)

①自動車整備・鈑金事業(自動車分野)

 鈑金事業では、人件費などの経費高騰に伴いレバレートアップなどの取り組み強化や分業化による適正な工賃単価確保に努め、各メーカーの認証取得も積極的に進めました。これらの結果、適正な単価確保や入庫台数維持につながったことで前期を上回りました。

 美装事業でも、新たな自社ブランド製品の展開に伴い自動車用プロテクションフィルムにかかる施工・物販が好調に推移したことで、自動車整備・鈑金事業全体では前期を上回りました。

 

②自動車教習事業(自動車分野)

 入所者数は前期をやや下回る形で推移しているものの、講習や職業用免許が好調に推移したことで前期を上回りました。

 

③生活用品企画販売事業(生活分野)

 生協向けにおける採用数が減少傾向にあったものの、全体的な単価上昇によって前期を上回りました。

 

 これらの結果、当中間連結会計期間のサービス事業の売上高は、各事業で好調だったことにより、2,817百万円(同6.2%増)となりました。また、営業利益においては104百万円(同89.7%増)となりました。

 

 

(不動産関連)

①不動産賃貸事業(生活分野)

 稼働が安定的に推移したことで、前期を上回りました。

 

②温浴事業(生活分野)

 各店舗の来店客数や店内での飲食利用は増加傾向にあるものの、IRやインバウンド向けの新施設建設のため前期末で3店舗中1店舗を閉店したことにより、前期を下回りました。

 

③介護予防支援事業(生活分野)

 積極的な営業活動により登録者が増加したことや、欠席者が減少し平均利用者数がコロナ禍以前の水準まで回復したことで、前期を上回りました。

 

 これらの結果、当中間連結会計期間の不動産関連事業の売上高は、630百万円(同14.4%減)となりました。

また、営業利益は138百万円(同22.6%減)となりました。

 

 当中間連結会計期間末の財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(資産)

 当中間連結会計期間末における総資産は、63,415百万円(前連結会計年度末は62,542百万円)となり、872百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が266百万円減少したことや棚卸資産が194百万円増加したこと、社債の償還により有価証券が199百万円減少しました。また、ファインケミカルセグメントにおける基幹システムの更新などによって無形固定資産が271百万円増加したことや、株式市場の好調を受けた保有株式等の含み益増加などによって投資有価証券が697百万円増加したことなどによるものです。

 

(負債)

 当中間連結会計期間末における負債は、7,820百万円(前連結会計年度末は7,915百万円)となり、94百万円減少いたしました。これは主に、未払金及び未払費用が141百万円減少したことや、株式市場の好調を受けて繰延税金負債が112百万円増加したことなどによるものです。

 

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産は、55,594百万円(前連結会計年度末は54,627百万円)となり、966百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が819百万円増加したことや、株式市場の好調を受けてその他有価証券評価差額金が206百万円増加したこと、自己株式の取得により自己株式が68百万円増加したことなどによるものです。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、1,442百万円の流入(前年同期は1,289百万円の流入)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益が1,901百万円、減価償却費が436百万円、棚卸資産が193百万円増加したことや、法人税等の支払額657百万円などを要因としております。

 「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、1,125百万円の支出(前年同期は396百万円の支出)となりました。

これは主に、ファインケミカルセグメントやポーラスマテリアルセグメントでの設備投資などで有形固定資産の取得による支出587百万円や、ファインケミカルセグメントでの設備投資で無形固定資産の取得による支出328百万円、

投資有価証券の取得による支出799百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入600百万円などを要因としております。

 「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、598百万円の支出(前年同期は533百万円の支出)となりました。

これは主に、配当金の支払額457百万円や自己株式の取得による支出105百万円を要因としております。

 以上の結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は20,966百万円となり、前連結会計年度末

と比較して277百万円減少いたしました。

 

 

(3) 経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、重要な変更及び新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

 当社グループは多様化、高度化、精密化した顧客のニーズに対応していくため、ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業において、製品の研究開発を進めております。

 当中間連結会計期間における研究開発活動の状況及び研究開発費の金額は次のとおりであります。

 なお、当中間連結会計期間における研究開発費の総額は318百万円であります。

 

(ファインケミカル)

 当事業における当中間連結会計期間の研究開発費は173百万円となっております。

 なお、当中間連結会計期間において、特許の登録は1件です。

 当事業の研究開発活動は合計10名で行っております。

 

(ポーラスマテリアル)

 当事業における当中間連結会計期間の研究開発費は145百万円となっております。

 なお、当中間連結会計期間において、特許の登録は0件です。

 当事業の研究開発活動は合計27名で行っております。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結はありません。