第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」からの変更があった事項は以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

 

事業、経営に関するリスク

・リスク

中期経営計画において、材料加工は、戦略事業「デジタルマニュファクチャリング」の中期成長ドライバーと位置づけています。戦略投資の一つとして、金属アディティブマニュファクチャリングにおける統合ソリューションをグローバルで提供するドイツSLM Solutions Group AG(現Nikon SLM Solutions AG)に対して公開買付けを実施し、当社の連結子会社とする等、事業の拡大を進めていますが、関連する市場の成長が想定よりも鈍い場合等は、本計画期間である2025年度までに期待される規模への成長に届かない可能性があります。

また、主要事業においては、映像事業の主要製品であるデジタルカメラは、ミラーレスカメラ市場での厳しい競争が生じており、将来的には市場環境悪化の可能性があります。

精機事業が扱うFPD露光装置の需要は、ディスプレイ市場自体は安定的に需要が見込める市場ですが、設備投資の縮小継続により露光装置需要の回復が伸び悩む可能性があります。半導体露光装置の対象市場である半導体市場は、中長期的に大きく成長が見込まれるものの、競合他社の先端プロセス開発の状況によっては、液浸露光装置の需要が減少する可能性があります。また、当社グループの主要顧客が設備投資計画を変更した場合等、当社グループの収益に影響を及ぼす恐れがあります。

・対応

デジタルマニュファクチャリング事業では、デジタル化が進む製造業に対して独自の価値を提供し、競争力のある新製品を市場に導入すること等で、新たな市場の形成を進めていきます。また、取締役会等で定期的にモニタリングを行い、市場の動向を注視することで、タイムリーに戦略を検討・修正できる体制としています。

映像事業は、生産販売面での最適化、サプライチェーンや物流の改革、徹底したコストダウン、デジタルマーケティングの強化、開発効率化等に取り組み、引き続き事業の収益体質強化を進めています。

FPD装置事業は、露光装置の需要が落ち込む環境下でも一定の利益を確保するため、新規露光装置及びサービスビジネスによる収益拡大やトータルコスト低減を進めています。半導体装置事業は、収益性重視の事業戦略の下、既存顧客以外の開拓を積極的に進めるとともに、サービスビジネスを拡大していきます。

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

当中間連結会計期間より、報告セグメントに変更がありました。詳細は、「第4 経理の状況 1要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおりです。前中間連結会計期間との比較にあたっては、前中間連結会計期間の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて行っております。

 

(1) 経営成績の分析

当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)は、映像事業においては、デジタルカメラ市場は中高級機の販売が好調で、市場全体の販売台数、金額とも堅調に推移しました。

精機事業においては、FPD関連分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも設備投資は堅調に推移しました。一方、半導体関連分野は、AI関連半導体は好調に推移するなか、全体としてはデバイスごとに改善状況にばらつきがみられました。

ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野で、金利上昇による投資抑制など、市況の停滞が見られました。

コンポーネント事業においては、インダストリアルソリューションズ事業では、半導体や電子部品市場の減速、ならびに最終ユーザーによる在庫調整などの影響を受けました。航空宇宙、EV(電気自動車)市場の設備投資は好調に推移しました。カスタムプロダクツ事業では、EUV関連市場減速の影響を受け、低調に推移しました。

デジタルマニュファクチャリング事業においては、金属アディティブマニュファクチャリング分野は、防衛及び航空宇宙領域が市場を牽引しました。

 

当社グループは、中期経営計画(2022~2025年度)のもと、2030年のありたい姿である「人と機械が共創する社会の中心企業」の実現に向けた戦略や諸施策を進めています。

2025年3月期は、映像事業以外の業績は想定を下回っているものの、デジタル露光や細胞受託生産、光学コンポーネント及び材料加工等といった成長ドライバーの展開は順調に進捗しています。また、経営基盤強化にも着手しています。持続的成長を実現するため、人材への投資強化をはじめサステナビリティ戦略の推進、ITやDXへの投資、生産拠点の整備などものづくりへの投資を進めています。

 

このような状況の下、当中間連結会計期間の業績は、売上収益は3,327億79百万円前年同期比14億84百万円0.4%)の増収営業利益は58億17百万円前年同期比78億12百万円(57.3%)の減益となりました。また、当中間連結会計期末の為替変動に伴う外貨建て資産の評価額が為替換算により下がり、為替差損や投資有価証券評価損を計上した影響等により、税引前中間利益は44億54百万円前年同期比108億6百万円(70.8%)の減益親会社の所有者に帰属する中間利益は29億63百万円前年同期比68億38百万円(69.8%)の減益となりました。

 

セグメント情報は次のとおりです。

 

映像事業においては、フルサイズミラーレスカメラ「Z8」、「Zf」及び新製品「Z6III」等を中心に、プロ・趣味層をターゲットとした中高級機及び交換レンズの拡販に注力し、販売が好調に推移しました。製品ミックスの改善による平均販売単価の上昇もあり、増収増益となりました。この結果、当事業の売上収益は1,517億91百万円、前年同期比10.2%増、営業利益は288億48百万円、前年同期比14.4%増となりました。

 

精機事業においては、FPD露光装置分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも装置の販売台数が増加したことにより、増収増益となりました。一方、半導体露光装置分野は、新品装置の販売台数の減少により、減収減益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は815億85百万円、前年同期比15.0%減、営業利益は9億44百万円、前年同期比70.9%減となりました。

 

ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野で、市況停滞の影響を受けましたが、円安効果により、事業全体として増収となりました。一方、物価高騰による各種コストの増加や将来に向けた投資の影響もあり、事業全体として減益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は551億33百万円、前年同期比7.6%増、営業利益は13億円、前年同期比52.8%減となりました。

 

コンポーネント事業においては、インダストリアルソリューションズ事業では、大型のX線/CT検査装置の販売は堅調に推移したものの、光学部品、エンコーダの販売が減少し、減収減益となりました。カスタムプロダクツ事業では、EUV関連コンポーネントの販売がEUV関連市場減速の影響を受け、減収減益となりました。これらの結果、事業全体では売上収益は304億49百万円、前年同期比16.9%減、営業利益は14億86百万円、前年同期比71.0%減となりました。

 

デジタルマニュファクチャリング事業においては、Nikon SLM Solutions AGの大型装置の販売が好調なため増収となりました。営業損失は、増収効果に加え前年同期に発生した一時費用の剥落により縮小しました。この結果、当事業の売上収益は117億30百万円、前年同期比42.4%増、営業損失は64億44百万円(前年同期は87億32百万円の営業損失)となりました。

 

(2) 当中間連結会計期間末の財政状態の分析

当中間連結会計期間末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて125億78百万円減少し、11,345億32百万円となりました。これは主に、棚卸資産290億93百万円増加した一方、売上債権及びその他の債権257億40百万円現金及び現金同等物148億68百万円減少したためです。

当中間連結会計期間末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて68億41百万円増加し、4,688億60百万円となりました。これは主に、社債及び借入金が74億49百万円、その他の金融負債が65億32百万円減少した一方、前受金208億41百万円増加したためです。

当中間連結会計期間末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて194億19百万円減少し、6,656億72百万円となりました。これは主に、在外営業活動体の換算差額等の減少によりその他の資本の構成要素165億70百万円、剰余金の配当処分等により利益剰余金29億9百万円減少したためです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前中間利益44億54百万円、減価償却費及び償却費225億99百万円の計上に加えて、売上債権及びその他の債権の減少、前受金の増加があった一方、棚卸資産の増加があり、384億73百万円の収入(前年同期は85億64百万円の支出)となりました。

当中間連結会計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の売却及び償還による収入が93億28百万円あった一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が352億92百万円、子会社又はその他の事業の取得による支出が124億59百万円あり、387億68百万円の支出(前年同期は173億70百万円の支出)となりました。

当中間連結会計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の増加が257億43百万円、デリバティブの決済による収入が106億48百万円あった一方、長期借入金の返済による支出が337億11百万円、配当金の支払が86億57百万円、リース負債の返済による支出が46億18百万円あり、107億18百万円の支出(前年同期は217億73百万円の支出)となりました。

上記に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額によって38億55百万円減少した結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ148億68百万円減少し、1,917億76百万円となりました。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

当社グループは開発投資の一部について資産化を行っており、研究開発投資には無形資産に計上された開発費を含んでおります。無形資産に計上された開発費を含む当中間連結会計期間の研究開発投資は383億86百万円です。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。