【要約中間連結財務諸表注記】
1.報告企業
株式会社ニコン(以下、当社)は、日本に所在する株式会社であり、東京証券取引所に株式を上場しております。登記されている本社の所在地は、東京都品川区西大井1丁目5番20号であります。
当社及びその子会社(以下、当社グループ)並びに持分法を適用した関連会社及び共同支配企業は、映像事業、精機事業、ヘルスケア事業、コンポーネント事業、デジタルマニュファクチャリング事業等を行っております。当社グループの主な事業内容は、注記「5.事業セグメント」にて開示されております。
2.作成の基礎
当社グループの要約中間連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2第2号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第312条の規定により、IAS第34号に準拠して作成しております。
なお、要約中間連結財務諸表は、年度の連結財務諸表で要求されるすべての情報が含まれていないため、前連結会計年度の連結財務諸表と併せて使用されるべきものであります。
(2) 測定の基礎
当社グループの要約中間連結財務諸表は、公正価値で測定している金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
当社グループの要約中間連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円未満を四捨五入して表示しております。
当社グループの要約中間連結財務諸表は、2024年11月7日に代表取締役 兼 会長執行役員 馬立稔和及び代表取締役 兼 社長執行役員 德成旨亮によって承認されております。
3.重要性がある会計方針
当社グループが当要約中間連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針は、前連結会計年度に係る連結財務諸表において適用した会計方針と同一であります。
なお、当中間連結会計期間の法人所得税費用は、見積平均年次実効税率に基づいて算定しております。
4.見積り及び判断の利用
要約中間連結財務諸表の作成において、資産、負債、収益及び費用の報告額は経営者による会計方針の選択や見積りにより影響されます。見積りの算定の基礎となる仮定は、過去の経験及び入手可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者による最善の判断に基づいております。経済状態や市場、消費動向、また当社各事業の属する産業における需要や供給の変化等を踏まえた一定の仮定を置いたうえで、見積りを行っております。しかし、その性質上、これらの見積りは、将来において、異なる結果となる可能性があります。
見積りは継続して見直されております。これらの見直しによる影響は、当該見積りを見直した期間及び将来の期間において認識しております。
当要約中間連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積り及び見積りを伴う判断は、前連結会計年度に係る連結財務諸表と同様であります。
5.事業セグメント
(1)報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは経済的特徴の類似性等を考慮したうえで各事業部を集約し、「映像事業」、「精機事業」、「ヘルスケア事業」、「コンポーネント事業」及び「デジタルマニュファクチャリング事業」の5つを報告セグメントとしております。
「映像事業」はレンズ交換式デジタルカメラ、レンズ一体型デジタルカメラや交換レンズなど、映像関連製品やその周辺領域の製品・サービスを提供、「精機事業」はFPD露光装置及び半導体露光装置の製品・サービスを提供、「ヘルスケア事業」は生物顕微鏡などのライフサイエンスソリューション分野、超広角走査型レーザー検眼鏡などのアイケアソリューション分野、細胞受託生産ソリューション分野の製品・サービスを提供、「コンポーネント事業」は工業用顕微鏡、測定器、X線/CT検査システムなどの産業機器事業関連、光学コンポーネント、光学部品、エンコーダや材料加工などのデジタルソリューションズ事業関連、EUV関連コンポーネントや宇宙関連などのカスタムプロダクツ事業関連、FPDフォトマスク基板などのガラス事業関連の製品・サービスを提供、「デジタルマニュファクチャリング事業」は金属3Dプリンターの製品・サービスを提供しております。
(報告セグメントの変更に関する事項)
当中間連結会計期間より、産業機器事業部とデジタルソリューションズ事業部を統合してインダストリアルソリューションズ事業部を新設しました。当該事業部の報告セグメントを「コンポーネント事業」とし、従来「デジタルマニュファクチャリング事業」に含まれていた産業機器事業部を「コンポーネント事業」に移管しております。
なお、前中間連結会計期間のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。
(2)報告セグメントに関する情報
報告セグメントの利益は、営業利益をベースとした数値であります。セグメント間の売上収益は市場実勢価格に基づいております。
当社グループのセグメント情報は次のとおりであります。
(注1)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
(注2)セグメント利益又は損失(△)は、要約中間連結損益計算書の「営業利益」と調整を行っております。セグメント利益又は損失(△)の調整額には、セグメント間取引消去2,907百万円、在外子会社の清算による換算差額累計額の純損益への振替△33百万円及び各セグメントに配賦されない全社損益△17,040百万円が含まれております。全社損益には、主に基礎研究や新規事業創設、ものづくり革新に関連する「成長投資関連費用」△10,200百万円、また本社機能の一般管理費、各セグメントに配賦されないその他営業損益を合算した「本社管理部門費用」△6,840百万円が含まれております。
(注1)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
(注2)セグメント利益又は損失(△)は、要約中間連結損益計算書の「営業利益」と調整を行っております。セグメント利益又は損失(△)の調整額には、セグメント間取引消去1,053百万円、各セグメントに配賦されない全社損益△21,987百万円が含まれております。全社損益には、主に基礎研究や新規事業創設、ものづくり革新に関連する「成長投資関連費用」△9,945百万円、また本社機能の一般管理費、各セグメントに配賦されないその他営業損益を合算した「本社管理部門費用」△12,042百万円が含まれております。
当中間連結会計期間に生じた企業結合は、次のとおりであります。
当社は、RED.com, LLC(以下「RED社」)の持分のすべてを2024年4月8日に取得し、完全子会社化しました。
(1)企業結合の概要
① 被取得企業の名称、事業の内容
名称 :RED.com, LLC(現社名:RED Digital Cinema, Inc.)
事業内容:業務用シネマカメラの開発、製造、販売、サービス
② 企業結合を行った主な理由
RED社は2005年の創業以来、映画やCM撮影などに使用されるプロフェッショナル向けのシネマカメラを手掛ける企業です。RED社は、独自のRAW圧縮技術による「RED ONE 4K」や最先端の「V-RAPTOR [X]」などのデジタルシネマカメラを開発するなど、シネマカメラ市場をリードする製品を多くリリースしてきました。また、RED社の製品は、アカデミー賞の受賞をはじめとした数多くのハリウッド作品に選ばれており、世界中の監督やシネマトグラファーからその革新性と画質が高い評価を得ております。
今回の子会社化により、製品開発における高い信頼性や映像処理技術、ユーザーインターフェイス、光学技術などの知見を持つ当社と、独自の画像圧縮技術やカラーサイエンスをはじめとしたシネマカメラにおけるノウハウを培ってきたRED社の強みが一体化され、業務用動画機において特色のある製品開発が可能になります。当社とRED社はそれぞれの知見やノウハウを結集し、双方の事業基盤やネットワークを最大限活用しながら、今後拡大が見込まれる業務用動画市場の開拓を目指します。
③ 被取得企業の支配を獲得した方法
現金を対価とする持分の取得
④ 支配獲得日
2024年4月8日
⑤ 取得した議決権比率
100%
(2)取得対価及びその内訳
(注)本件持分譲渡契約に基づき、当該金額をベースに本件クロージング日までの運転資本等の増減を反映した価格調整が行われます。
(3)取得関連コスト
当該企業結合に係る取得関連コストは、759百万円であり、前連結会計年度において185百万円、当中間連結会計期間において574百万円を、連結損益計算書及び要約中間連結損益計算書上の「販売費及び一般管理費」にそれぞれ計上しております。
(4)支配獲得日における資産及び負債の公正価値及びのれん
当中間連結会計期間において、支配獲得日における識別可能な資産及び負債の特定及び支配獲得日に取得した資産及び引き受けた負債の公正価値評価が完了しておらず、現時点での最善の見積りによる暫定的な金額です。そのため、取得した資産及び引き受けた負債の金額及び発生したのれんに対する取得対価の配分について、支配獲得日時点で存在していた事実や状況に関する追加的な情報が得られ評価される場合には、支配獲得日から1年間は修正することがあります。
(注1)識別可能な無形資産7,423百万円が含まれており、技術関連資産が7,423百万円となります。
(注2)のれんは、今後の事業展開により期待される将来の超過収益力であります。また、認識されたのれんのうち、税務上損金算入が見込まれるものはありません。
(5)子会社の支配獲得による支出
RED社持分の取得価額と取得のための支出(純額)との関係は次のとおりであります。
(注)本件持分譲渡契約に基づき、当該金額をベースに本件クロージング日までの運転資本等の増減を反映した価格調整が行われます。
(6)当社グループの業績に与える影響
当中間連結会計期間の要約中間連結損益計算書に計上されている取得日以降の被取得企業の売上収益は3,027百万円、親会社の所有者に帰属する中間損失は3,203百万円であります。
(7)企業結合が期首に完了したと仮定した場合の、当社グループの売上収益及び中間損益
当該企業結合が期首に完了したと仮定した場合の売上収益及び中間損益は、当中間連結会計期間の要約中間連結損益計算書に与える影響額に重要性が乏しいため、記載を省略しております。
7.配当金
(1) 配当金支払額
配当の総額は次のとおりであります。
もの
8.売上収益
当社グループは経済的特徴の類似性等を考慮したうえで各事業部を集約し、「映像事業」、「精機事業」、「ヘルスケア事業」、「コンポーネント事業」及び「デジタルマニュファクチャリング事業」の5つを報告セグメントとしております。当該報告セグメントは、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績の評価をするために、定期的に検討を行う対象としていることから、これらの事業で計上する収益を売上収益として表示しております。顧客の所在地に基づく地域別に分解した売上収益及びセグメント売上収益の関連は、次のとおりであります。
なお、当中間連結会計期間において、報告セグメントに変更がありました。当該変更に伴い、前中間連結会計期間のセグメント売上収益は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。詳細は、注記「5.事業セグメント」をご参照ください。
(単位:百万円)
(注1)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
(注2)日本、米国及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
① 欧州:英国、フランス、ドイツ
② その他:カナダ、アジア、中東、オセアニア、中南米
(単位:百万円)
(注1)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
(注2)日本、米国及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
① 欧州:英国、フランス、ドイツ
② その他:カナダ、アジア、中東、オセアニア、中南米
9.1株当たり中間利益
親会社の所有者に帰属する基本的1株当たり中間利益及び希薄化後1株当たり中間利益の算定基礎は次のとおりであります。
(注)前中間連結会計期間において、子会社が発行するストックオプションについては希薄化効果を有していないため、希薄化後1株当たり中間利益の算定に含めておりません。
10.金融商品
(1) 金融商品の分類
金融商品の分類は次のとおりであります。
(2) 金融商品の公正価値等に関する事項
① 公正価値のヒエラルキーのレベル別分類
公正価値で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは、次のとおりであります。
公正価値で測定する主な金融商品の測定方法は、以下のとおりであります。
(ⅰ)デリバティブ
デリバティブ資産及びデリバティブ負債のうち為替予約、金利スワップ、通貨スワップ及び通貨オプションの公正価値については、契約を締結している金融機関等による提示価格や、利用可能な情報に基づく適切な評価方法により算定しており、レベル2に分類しております。
(ⅱ)株式
活発な市場が存在する株式の公正価値は、取引所の価格を公正価値としてレベル1に分類しております。活発な市場が存在しない株式の公正価値は、観察可能なインプットを用いて算定している場合にはレベル2に分類し、観察不能なインプットを用いてマーケット・アプローチや将来キャッシュ・フローを割引く方法により公正価値を算定している場合には、レベル3に分類しております。
(ⅲ)その他
その他のうち活発な市場が存在しない銘柄の公正価値は、観察可能なインプットを用いて算定している場合にはレベル2に分類し、観察不能なインプットを用いてマーケット・アプローチや将来キャッシュ・フローを割引く方法により公正価値を算定している場合には、レベル3に分類しております。
経常的にレベル3で測定する金融商品の期首から中間期末までの変動は次のとおりであります。
(注1) 純損益に含まれている利得及び損失は、各報告期間の末日時点の純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、要約中間連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれております。
(注2) その他の包括利益に含まれている利得及び損失は、各報告期間の末日時点のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、要約中間連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動」に含まれております。
(注3) 当中間連結会計期間におけるレベル3から他の分類への振替は、投資先が取引所に上場したことによるものであり、レベル1への振替であります。
② 償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額及び公正価値は、次のとおりであります。
(注) 1年以内に返済予定又は償還予定の残高を含んでおります。
償却原価で測定する主な金融商品に係る公正価値の測定方法は、以下のとおりであります。
社債の公正価値については、市場価格に基づき算定しており、公正価値ヒエラルキーをレベル1に分類しております。長期借入金の公正価値については、将来キャッシュ・フローを国債の利回り等適切な指標に信用スプレッドを上乗せした利率で割り引いて算定しており、公正価値ヒエラルキーはレベル3に分類しております。
社債及び長期借入金以外の償却原価で測定する金融資産及び金融負債の公正価値は帳簿価額と近似しております。
11.偶発負債
当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(訴訟関連)
当社グループが事業展開する中で、国内外において、係争案件へ発展すること、訴訟の被告になることや政府機関による調査を受けることがあります。当社グループでは、係争案件や訴訟に関連した債務に関し、当該債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性や、その影響額について信頼性のある見積りができるかを勘案のうえ、引当金の認識を検討しております。
当社のインド子会社は、当社デジタルカメラ製品の輸入に関連して、インド税当局から調査を受け、2016年10月、同製品について関税、延滞税及び加算税の支払決定を受けておりました。これに対し、当社インド子会社は、2017年1月、同国間接税租税審判所(CESTAT:Customs, Excise and Service Tax Appellate Tribunal)へ不服申立を行いましたが、2017年12月、当該申立は棄却されました。当社インド子会社はこれを不服とし、2018年1月、同国最高裁判所(以下「最高裁」)に対して上告し、2021年3月に最高裁は当社インド子会社に対する関税、延滞税及び加算税の支払決定を取り消す判決を下しました。なお、インド税当局は2021年4月に最高裁判決に対する再審請求を申立てています。現時点において同請求に対する最高裁の決定を予想することは不可能であるため、上記会計方針に則り、引当金は認識しておりません。
(契約・法令対応)
当社の連結子会社であるOptos Plcに関し、同社がリファービッシュ製品と新品とを区別せず販売していたという疑義が提起されたことを受け、当社では外部機関の協力を得て社内調査を進めております。現在までの調査の結果、同社のリファービッシュ製品の品質については問題がないものと判断しておりますが、米国政府系顧客等との契約及びそれに関連する米国における法令に抵触する可能性があることが判明しました。当社は、上記の特定顧客に対する契約に抵触した場合の補償費用及び当該米国法令に抵触した場合の課徴金に備えるため、引当金1,452百万円を計上しております。
また、当社は米国におけるリファービッシュ製品の販売に関する開示規制に抵触している事実はないものと判断しております。なお、今後の進捗次第では、各規制当局への支出や顧客あての賠償金等が新たに発生し、当社の連結業績に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点ではその影響額を合理的に見積もることが困難と判断しております。
その他の案件においては、現時点において、当社の連結業績や財政状態へ重要な影響を与えるものはないと考えております。
12.重要な後発事象
当社は、2024年10月31日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づき自己株式を取得すること、及び会社法第178条の規定に基づき自己株式を消却することを決議いたしました。
1 自己株式の取得及び償却を行う理由
2026年3月期を最終年度とする中期経営計画の資本配分方針として、「成長投資」と「株主還元」双方を推進することを掲げています。自己株式の取得を実施することにより、株主還元の強化及び資本効率の向上を図ります。なお、中期的な株主価値の向上を図るため、取得した自己株式はその全株の消却を実施します。
2 取得に係る事項の内容
(1)取得対象株式の種類: 普通株式
(2)取得し得る株式の総数: 3,000万株(上限)
(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 8.7%)
(3)株式の取得価額の総額: 300億円(上限)
(4)取得期間: 2024年11月8日~2025年3月24日
3 消却に係る事項の内容
(1)消却する株式の種類: 普通株式
(2)消却する株式の総数: 上記2により取得した自己株式の全株式数
(3)消却予定日: 2025年3月31日