当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
当中間連結会計期間末の総資産は、営業債権及びその他の債権の減少などにより前連結会計年度末に比べて337億4千7百万円減少し、1兆1,889億4千8百万円となりました。負債は、営業債務及びその他の債務の減少などにより前連結会計年度末に比べて360億5千9百万円減少し、6,781億5千万円となりました。資本は、親会社の所有者に帰属する中間利益の積み上げなどにより前連結会計年度末に比べて23億1千2百万円増加し、5,107億9千8百万円となりました。
なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度の2,140.68円から2,151.94円に増加し、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度の40.0%から41.4%となりました。
(2) 経営成績の状況
当中間連結会計期間における売上収益は5,079億6千2百万円(前年同期比106.5%)、営業利益は319億8千2百万円(同112.7%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は201億5千6百万円(同116.4%)となりました。
当期間の我が国経済は、物価上昇の影響を受けつつも所得環境の改善により個人消費は底堅く推移し、好調な企業業績を背景に設備投資が増加するなど、景気は緩やかな回復傾向が続いています。一方、海外は、欧米の金融緩和政策への転換や中東情勢の緊迫化等の地政学的リスクが懸念される中、依然として先行き不透明な状況が続きました。
当社グループは、成長領域と位置付けるデジタル・半導体関連事業やインド、北米における海外事業に注力しております。国内事業においては、グループの総合力を活かした新規顧客の獲得や販路拡大、合理化・効率化によるコスト削減と価格マネジメントの徹底により、収益力の強化に取り組みました。さらに、カーボンニュートラル分野での新事業として家畜ふん尿由来の「液化バイオメタン」の販売を開始しました。
当期間の業績は、一部の事業で半導体市況の停滞の影響を受けた一方で、これまで実施してきた各種産業ガスの価格改定や海外における産業ガス事業やアグリ分野における取り組みなどが順調に進展し、全てのセグメントで増益となりました。
各セグメントの概況は次の通りであります。
<デジタル&インダストリー>
当セグメントの売上収益は1,648億7千6百万円(前年同期比98.7%)、営業利益は143億3千1百万円(同106.4%)となりました。
国内でデジタル・半導体産業における製造拠点の増強が進む中、新規取引先の開拓や大型プラント増強などの設備投資を実行しガス需要の獲得を図るとともに、特殊ケミカルの供給やガス精製装置の販売といったエレクトロニクス関連事業の拡大に取り組みました。また、前年度から継続して各種ガスの価格改定や製造・供給体制のさらなる効率化を推進しました。
売上収益は、鉄鋼向けオンサイトガス供給の販売単価が下落したことに加え、機能材料分野においてシール材の販売や基礎化学品の販売が低迷したことにより、産業ガスの価格改定による増収分を打ち消し、前年同期を下回りました。一方、営業利益は、前年度から実施してきた産業ガスの価格マネジメントの効果が発現したことに加え、産業ガスの拡販やプラント稼働における生産性向上、大手半導体工場向けのガス供給が堅調に推移したことで前年同期を上回りました。
<エネルギーソリューション>
当セグメントの売上収益は278億7千2百万円(前年同期比110.3%)、営業利益は7億7千9百万円(同146.2%)となりました。
低・脱炭素需要が高まる中、顧客に対して重油からLNGへの燃料転換を積極的に進めたほか、家畜ふん尿由来の液化バイオメタンなど、地域の未利用資源を活用したカーボンニュートラルに寄与するエネルギー供給を開始しました。また、北海道を中心とした家庭向けLPガス供給は、IoT技術を活用した配送の効率化を図るとともに、販売店の商権取得により顧客獲得に努めるなど、収益力の強化に取り組みました。
売上収益は、LPガスが輸入価格に連動し、顧客への販売価格が上昇するとともに販売量も増え、またLNGの販売量増やLNG関連機器の拡販も寄与したことから前年同期比で大きく伸長しました。営業利益については、前年同期に計上したLPガスの在庫評価損の影響もなくなり増益となりました。
<ヘルス&セーフティー>
当セグメントの売上収益は1,145億6千1百万円(前年同期比106.2%)、営業利益は60億1千万円(同104.5%)となりました。
医療用ガスの供給基盤を通じて医療現場のニーズを汲み取り、医療機器の開発、手術室などの病院設備工事の直接受注の推進、病院業務のアウトソーシング受託などに注力しました。また、日常のヘルスケアに関わる在宅医療、デンタル、衛生材料、注射針、エアゾール・化粧品といったコンシューマーにより近い事業の体制強化を進めてきました。さらに、防災分野では、データセンター向け工事案件の獲得に努めました。
注射針やエアゾールの受託製造が前年同期を下回った影響がありましたが、一酸化窒素吸入療法の症例数増加や介護用シャワー入浴装置の販売が好調に推移し、防災分野でもデータセンター向け工事案件が堅調に進展したほか、医療機器や衛生材料での価格改定効果やサービス事業におけるコスト低減により、売上収益、営業利益とも前年同期を上回りました。
<アグリ&フーズ>
当セグメントの売上収益は890億2千9百万円(前年同期比111.2%)、営業利益は44億3千4百万円(同115.1%)となりました。
持続可能な農業と食料安定供給システムの実現を見据え、スマート農業・鮮度保持関連の技術開発の強化や農産品の取扱量拡大に取り組んでいます。さらに、当社の物流基盤を活用し、他社との協業による原料野菜の調達や青果流通・加工におけるサプライチェーンプラットフォーム構築を進めています。
野菜・果実系飲料等の受託製造が増加したことで好調に推移しました。また冷凍ブロッコリーや北海道産馬鈴薯等の販売が堅調に推移したことに加え、九州で青果仲卸事業を展開する丸進青果㈱を前連結会計年度に新規連結したことにより、売上収益、営業利益ともに前年同期を上回りました。
<その他の事業>
当セグメントの売上収益は1,116億2千2百万円(前年同期比115.4%)、営業利益は55億1千9百万円(同138.0%)となりました。
物流事業は、一般貨物及び食品輸送が堅調に推移したことに加え、受託料金適正化の取り組みやデジタル化による業務効率化を進めたことで、売上収益、営業利益とも堅調に推移しました。
㈱日本海水は、業務用塩の販売量が回復し、2023年8月に営業運転を開始した苅田バイオマス発電所が安定的に稼働しており、水処理工事関連も好調に推移したことで売上収益、営業利益ともに前年同期を上回りました。
電力事業は、小名浜バイオマス発電所でPKS価格の落ち着きやコスト低減の取り組みが寄与したことで、営業利益は前年同期を上回りました。
グローバル&エンジニアリング事業においては、北米市場では当社の低温技術を活用した機器エンジニアリング事業とともに産業ガス事業の拡大を図っており、前年度に新規連結した産業ガス関連2社が収益に大きく貢献しました。インド市場は、経済成長に伴い産業ガス需要が拡大しており、当社もシリンダーガス充填工場を新設するなど事業基盤を強化し、鉄鋼向けオンサイト供給、ローリー・シリンダーによるガス供給とも堅調に推移しました。また、高出力UPS(無停電電源装置)分野は、昨今のデータセンター需要の高まり、及び半導体メーカーの設備投資の増加を背景にアジア、北米などで受注を伸ばし、好調に推移しました。これらの結果、売上収益、営業利益ともに前年同期を上回りました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前中間利益及び減価償却費などから法人所得税の支払などを差し引いた結果、前中間連結会計期間に比べ130億2千万円収入が増加し、476億1千6百万円の収入となりました。
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出が減少したことなどにより、前中間連結会計期間に比べ282億9千9百万円支出額が減少し、359億3千6百万円の支出となりました。
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入及び長期借入れによる収入が減少したことなどにより、前中間連結会計期間に比べ459億4千万円減少し、215億6千5百万円の支出となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、前中間連結会計期間末残高に比べ76億2百万円減少し、556億4千7百万円となりました。
(4) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は23億6百万円であります。
(5) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は次のとおりであります。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。