第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開その他に関連するリスク要因となる可能性があると考えられる主な項目を記載しております。また、必ずしも事業上のリスク要因とは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 また、その内容については、当社グループと従前のレオス・キャピタルワークス株式会社(以下「レオス・キャピタルワークス」といいます)の連結グループの範囲に実質的な変更がないため、レオス・キャピタルワークスが2024年6月26日に提出した有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」と同様の内容であり、当中間期において重要な変更はありません。

 

(1)事業内容の特性に係るリスク

① 経済やマーケットの動向に係るリスクについて

 当社グループの事業領域は、投資運用事業の単一セグメントであり、また当面は単一セグメントの状態が続くものと考えられます。投資運用事業における営業収益は委託者報酬と投資顧問報酬の2種類の収入によって構成されていますが、これは主として、ファンドの運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定されること、また、ファンドの運用資産残高は純流入額(設定額から解約額を控除した金額)に加え、ファンドの投資対象資産の時価が変動することにより増減するため、当社グループの営業収益は、日本経済のみならず世界経済や世界的なマーケットの動向に影響を受けます。このような状況に左右されないためにも、当社グループでは、お客様につみたて投資を推奨しており、つみたて投資を継続することで、お客様にとっては相場環境を気にせずに投資を継続することが容易になり、また、当社グループにとっても安定的な運用残高の積み上げが期待できます。しかし、経済情勢の不確実性等によって証券市況が悪化する可能性は低いとは言えず、仮にこのような状況となった場合、当社グループの運用資産残高が減少し、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② ひふみ投信マザーファンドの評価に係るリスク

 当社グループは、ひふみ投信マザーファンドをマザーファンドとする、ひふみ投信、ひふみプラス、ひふみ年金という3つの投資信託を運用しており、これらの投資信託が当社グループの運用資産残高に占める割合は、2024年9月末時点で61.5%となっております。近年は、日本を除く世界各国の株式等を主要な投資対象とし、成長性が高いと判断される銘柄を中心に選別して投資する、「ひふみワールド」、「ひふみワールド+(プラス)」、「ひふみワールド年金」や、国内外の株式及び債券を投資対象としたバランスファンド型の公募投資信託「まるごとひふみ」シリーズ、「ひふみらいと」などの新商品の運用を開始して、上記割合の減少に努めておりますが、ひふみ投信マザーファンドに対する評価の変化や顧客の資産運用の趣向の変化等の要因で解約が広がり当社グループの運用資産残高が減少した場合、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ マーケットの流動性に係るリスクについて

 当社グループの主力商品である投資信託は、その商品の特性上、顧客はいつでも解約可能であること、顧客に契約の終了又は資金の引出しを禁じるロックアップ期間もないことから、顧客の解約によりファンド規模が縮小する可能性があります。当社グループは、つみたて投資の推進や投資信託を長期に保有するほど信託報酬が低減する仕組みである「資産形成応援団(信託報酬一部還元方式)」を導入するなど長期投資を奨励する施策を実施しておりますが、一時に多額の解約があった場合、返還のための資金を手当するため、保有資産を大量に売却しなければならないことがあります。当社グループは、このような解約に適切に対応するためにも、定期的に運用リスク管理委員会を開催して、信託財産の市場リスクや信用リスクに係る状況のモニタリングを実施し、運用リスクについて適切な管理を行っておりますが、投資信託が保有する銘柄を低い価格で売却せざるをえなくなったり、また、保有数量の一部を売却することで当該銘柄の株価が下がり、残りの保有分の評価額が下がったりすること等により、当該投資信託の基準価額が低下し、その結果として当社グループの運用資産残高が減少した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 顧客の動向に係るリスクについて

 当社グループは、独立系の投資運用会社(ファンドマネージャーに親会社等から派遣された役職員が存在せず、投資判断も自社独自で行う資産運用会社をいいます。)として主に国内に顧客ネットワークを独自に構築しておりますが、競合他社が顧客に対して対面販売も行う事のできる金融機関の系列に属することで強力な販売チャネルを活用できるのに比べると、当社グループの顧客基盤は必ずしも十分ではありません。投資信託委託業務においては、直接販売によるお客様の獲得に加え、間接販売ではネット証券や地方銀行などの販売会社とのネットワークを築いて参りましたが、投資顧問業務については、密接な関係を築けている少数の顧客に依存している状況となっています。さらに、間接販売顧客に対しては、主に販売会社を介しての間接的な販売となることから、直接販売のお客様と比べ、長期投資を奨励する当社グループの方針が浸透しない可能性があります。

 今後も国内外ともに販売力の拡大に努めて参りますが、販売会社の販売方針の変更による当社グループの運用資産残高の減少や委託者報酬及び投資顧問報酬の条件変更等の結果次第では、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 未上場株式等への投資に係るリスクについて

 当社グループは、投資信託を通じて、主に国内外の上場株式及び債券に投資をしておりますが、一部の投資信託やベンチャーキャピタル業務において、未上場株式等への投資も行っております。未上場企業は、一般に収益基盤や財務基盤が不安定で、売上がない又は僅少である場合が多く、景気や市場動向、競争状況等の影響を受けやすいため、事業の不確実性が高いといった特徴があります。当社グループにおいて、未上場株式等へ投資を実施する際は、投資委員会を開催し、社内で慎重に検討をした上で投資を実行しておりますが、投資先企業の事業が当初の計画通りに進捗せず、財務状況が悪化した場合、投資資金が全く回収できないリスクがあります。さらに、投資先企業の株式上場やM&A等による出口が保証されているものではなく、株式上場やM&A等があった場合であっても、その株式等を、投資コストを上回って売却できないリスクがあります。加えて、未上場株式等は、上場株式等に比べ、発行体情報の正確性が保証されておらず、流動性が著しく劣る等の性質があるため、未上場段階で売却を行う場合には、その価格が想定を大きく下回るリスクがあります。未上場株式等への投資について、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業環境に係るリスク(経営環境)

① 他社との競合に係るリスクについて

 今後、国内外の大手金融機関が投資運用事業に積極的に経営資源を投入した場合や、業界内プレーヤーの統廃合等により、競合他社の規模が拡大した場合は、競争環境が変化する可能性があります。また、当社グループの事業である投資運用事業は金融業界の他業種と比較すると参入障壁が比較的低く、常に新規参入者と競合する可能性があります。このような競争環境の変化に当社グループが柔軟に対応できなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、このような競争環境の変化が、委託者報酬及び投資顧問報酬の過当引下競争をもたらしたり、新規参入者又は既存の競合他社によるファンドマネージャーやその他の従業員の引き抜き競争をもたらしたりする可能性があります。そのような事態が発生した場合には、運用成績や運用資産残高の減少等の悪影響を及ぼす可能性があり、その結果として当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法的規制及び企業会計基準の変更等に係るリスクについて

 当社グループは、投資運用業、投資助言・代理業及び第二種金融商品取引業の登録を以下のとおり行っていることから、「金融商品取引法」、「投資信託及び投資法人に関する法律」を中心として、当社グループ事業に関連する各種法令に基づく規制を受けており、これらは主要な事業活動の前提に該当しております。

取得年月日

2007年9月30日

2007年9月30日

2007年9月30日

許認可等の名称

第二種金融商品取引業

(関東財務局長(金商)第1151号)

投資運用業

(関東財務局長(金商)第1151号)

投資助言・代理業

(関東財務局長(金商)第1151号)

所管官庁等

金融庁

金融庁

金融庁

許認可等の内容

委託者指図型投資信託の受益権に係る受益証券の募集又は私募等

投資信託委託業、投資一任契約に係る業務

投資助言業務を行うこと

有効期限

法令違反の要件

及び主な許認可等の取消事由

金融商品取引法

第52条、第54条

金融商品取引法

第52条、第54条

金融商品取引法

第52条、第54条

 

 また、自主規制としては、一般社団法人投資信託協会及び一般社団法人日本投資顧問業協会の規則等の規制を受けております。

 当社グループは、コンプライアンス部門を充実させるなど、これらの法令や諸規制を遵守するための対策を講じており、また、法令や諸規則への違反が発覚した場合には、法令等にしたがって、遅滞なく当局等への届出等を行い、その改善策を速やかに講じていることから、主要な事業活動の前提となる事項について、その継続に支障を来す要因は発生しておりません。

 しかしながら、仮にこれらの法令や諸規制への抵触を完全に防ぐことができず、法令違反等が発生した場合には、罰金、一部の業務の停止、社内管理態勢の改善等に係る命令、又は営業登録の取消しなどの処分を受ける可能性があります。また、これらの法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる場合において、通常業務への制限、コストの増加等の悪影響が考えられ、その結果として当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、法解釈等の違いにより、監督当局からの行政指導・処分を受けるなどした場合には、運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの業績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、国内外投資有価証券に投資を行っているため、売買益に関する税率が変更される等の税制の変更や解釈の変更による影響が生じた場合には、顧客の投資マインドへの悪影響を生じ、解約又は新規流入の減少により運用資産残高の減少をもたらす等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、今後、新たな会計基準の適用や従来の会計基準の変更が行われた場合、当社グループの業績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 為替相場の変動に係るリスクについて

 当社グループの財務諸表は円建てで表示されているため、外国為替相場の変動は、外貨建て資産及び負債の円換算額に影響を及ぼします。当社グループの営業収益の大部分は円建てですが、一部の投資一任契約の報酬額算定において外貨建てを採用しており、外国為替相場の変動により、これらを円換算する際に、為替差損が生じる可能性があります。また、今後、海外顧客との契約の増加等で外貨建て取引が増加した場合、為替相場の変動に係るリスクが増大する可能性があります。

 

(3)当社グループの事業体制に係るリスク(内部環境)

① 人材の確保に係るリスクについて

 当社グループは、ファンドマネージャーやアナリストをはじめとする高い専門性と豊富な経験を有する人材により成り立っており、今後の事業展開においても優秀な人材を採用・育成し、成長への基盤を確固たるものとする方針であります。しかし、人材採用・育成が計画どおりに実現できなかった場合や、優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの業績及び事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

 人材採用・育成が順調に行われた場合でも、採用・育成関連費用や人件費等が増加することが考えられ、当該コスト増に見合う収益の増加がない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 小規模体制に係るリスクについて

 当社グループは小規模組織であり、ガバナンス体制や内部管理体制は当社グループの現在の規模に応じたものとなっています。今後の事業拡大に向けた人材採用・育成や組織体制の強化を図る所存でありますが、計画どおりに進まない場合には、当社グループの業績及び事業展開へ悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 役職員による過誤及び不祥事並びに情報漏えいに係るリスクについて

 当社グループは、アクセス権限の適切な設計や情報管理状況に関する自主点検などの社内業務手続の確立を通して役職員による過誤の未然防止策を講じております。また、社内規程やコンプライアンス研修の実施により役職員が徹底して法令を遵守するよう指導に努めております。しかしながら、人為的なミスを完全に排除することはできず、また、役職員個人が詐欺、機密情報の濫用、その他の不祥事に関与し、法令に違反する可能性を否定することはできません。内部者又は不正なアクセスにより外部者が、顧客又は当社グループの機密情報を漏えいしたり悪用したりするリスクも完全に排除することはできません。

 このような役職員等による過誤や不祥事等、又は情報の漏えいや悪用が発生した場合、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 個人情報管理に係るリスクについて

 当社グループでは、事業活動を通じて取得した個人情報及び当社グループの役職員に関する個人情報を保有しております。当社グループでは、個人情報の取扱いについては「個人情報保護規程」、「特定個人情報等保護取扱規程」を策定の上、自主点検による運用状況の確認や全社員向けに定期的に研修を実施して、細心の注意を払っております。しかしながら、万一、当社グループの保有する個人情報が外部に漏えいした場合又は不正使用された場合には、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 訴訟等の可能性に係るリスクについて

 当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は本書提出日現在存在せず、重大な影響を及ぼすような訴訟に発展する可能性のある紛争も本書提出日現在存在しません。

 ただし、関連法規や各種契約などに違反し、顧客に損失が発生した場合又は取引先や提携先、その他第三者との間で予期せぬトラブル等が発生した場合等には訴訟を提起される可能性があります。このような訴訟が提訴された場合、訴訟の内容及び結果によっては当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 資金繰りに係るリスクについて

 当社グループは、直接販売している投資信託の買付代金の預かり分について、当社グループが廃業等した場合に顧客に返還しなければならない額に相当する金銭を顧客分別金信託として信託会社等に信託することが法令で義務付けられております。顧客分別金信託として拠出すべき金額には、集金代行業者に滞留している投資信託の買付代金相当額も含まれているとされていることなどから、かかる金銭を当社グループが一時的に拠出する必要があることが、当社グループの資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、顧客分別金信託として拠出すべき金銭が急増するなどして当社グループから一時的に拠出ができなくなった場合には、法令に違反することとなり、監督当局からの行政指導・処分を受け、また、顧客やマーケットの信頼を失い、運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システムに係るリスク

① システムへの依存に係るリスクについて

 当社グループは、投資運用事業に係る顧客管理及び運用業務等の業務を特定の会社が提供するコンピューターシステムの安定運用に依拠して管理・運用しております。現在、当該システムの利用の継続が困難となるような事情は発生しておりませんが、当該システムの利用に支障が生じた場合には、当社グループの業務に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは一部のコンピューターシステムについて内製化しておりますが、当該システムの移行に伴い当該システムの利用に支障が生じた場合には、当社グループの業務に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム障害に係るリスクについて

 当社グループでは、「情報セキュリティ管理規程」を定め、情報セキュリティ管理体制に関する方針や情報セキュリティの管理方針、情報セキュリティリスクの統制に係る方針を定め、重要な情報資産をさまざまな脅威から保護し、情報資産に係る各種リスクをコントロールするよう努めております。また、想定しえないシステム障害に備え、基幹システムの堅牢化や二重化、各種機器の稼働状況監視、追跡可能なログ管理、データバックなどの対応を行っております。しかし、事故・災害等の自然災害や外部からのサイバー攻撃、その他の不正アクセスにより想定以上のシステム障害が発生した場合には、当社グループの業務に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このようなシステム障害が発生した場合、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)その他のリスク

① 親会社等との関係について

 当社グループの親会社であるSBIホールディングス株式会社及びそのグループ会社は、証券・銀行・保険分野のグループ会社で構成される「金融サービス事業」、資産運用に関連するサービスを提供する「資産運用事業」、ベンチャーキャピタル、レバレッジド・バイアウト、事業承継などの各種ファンドの運営を行う「投資事業」、暗号資産マーケットメイカーや、暗号資産(仮想通貨)の交換・取引サービス、システムを提供する「暗号資産事業」、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業や半導体事業、Web3関連事業を行う「次世代事業」の5事業セグメント体制で事業を展開しています。

 当社グループの主要業務である投資運用事業は、親会社グループの一部の企業と事業領域が類似しておりますが、投資スタイルや主たる販売先などは異なっております。ただし、親会社グループが当社グループと同様の事業領域の企業を新たに買収する可能性があります。

 親会社であるSBIホールディングス株式会社及びそのグループ会社を含めた関連当事者との取引については、一般株主との間に利益相反リスクが存在しますが、当社グループでは、関連当事者との取引は原則行わないこととし、取引を行うこと自体に合理性(事業上の必要性)があること、及び取引条件の妥当性(他の取引先と同等の条件であり、個別にその条件の妥当性が確認できる)があることが担保される場合に限り、取締役会決議により取引の開始・変更の決定を行っており、一般株主の利益に十分配慮した対応を実施しております。

 

② 既存株主の株式売却の可能性について

 当社グループの既存株主は、当社株式について長期保有を目的として取得しておりますが、当社グループの業容の変化や市場環境による影響等により当社株式売却等を行った場合には、当社グループの資本構成等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ ストック・オプション制度に係る希薄化について

 当社グループは、取締役及び従業員がオーナーシップ意識を持って業務を遂行するインセンティブとなるよう、ストック・オプション制度を採用しており、取締役及び従業員に新株予約権を付与しております。本書提出日現在、発行された新株予約権の目的となる株式の数は5,052,000株であり、同日現在の発行済株式総数103,378,400株に対して、4.89%に相当しています。新株予約権を付与された取締役及び従業員がこれを行使し、当社が新株を発行した場合には、1株当たり利益が希薄化することになります。

(注)2024年8月21日開催の取締役会決議により、2024年10月1日付で普通株式1株につき8株の割合で株式分割を行っております。これにより、提出日現在の発行済株式総数は2024年9月30日現在より90,456,100株増加し、103,378,400株となっております。

 

④ 当社株式の流動性について

 株式会社東京証券取引所の定める当社株式の流通株式比率は2024年9月末で30.36%となっております。今後は、大株主からの売出し協力、当社グループの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加など、これらを組み合わせて、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定人物への依存に係るリスクについて

 当社グループの創業者であり、代表取締役会長兼社長である藤野英人は、グループCEOとして当社グループの経営方針の決定において重要な役割を果たしていることに加え、レオス・キャピタルワークスの最高投資責任者及びファンドマネージャーとして投資運用事業において重要な役割を果たしております。また、当社グループの創業者であり、代表取締役副社長である湯浅光裕は、レオス・キャピタルワークスのファンドマネージャーとして投資運用事業において重要な役割を果たしています。

 当社グループは特定人物へ過度に依存することなく、より組織的な経営体制を目指し、人材採用・育成に力を入れ、経営リスクの軽減を図る所存でありますが、何らかの事情により藤野英人が当社グループの代表者として通常の職務を遂行できなくなる場合や、何らかの事情により藤野英人・湯浅光裕が最高投資責任者やファンドマネージャーとして通常の職務を遂行できなくなる場合には、当社グループの業績及び事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 新規事業について

 当社グループは主として投資運用事業を行っており、本書提出日現在において、新規事業についての具体的な計画はありませんが、将来において、広範囲なシナジーと将来の成長を目的として、投資運用事業における新商品の提供のほか、他の事業領域への事業ポートフォリオ拡大を進める可能性があります。

 しかしながら、拡大先の事業領域において、必要な情報、経営資源、顧客関係、事業の専門知識、ブランド認知度が常に適時に確保できるとは限りません。拡大先の事業領域における事業発展には、従前とは異なった経験や知見を有する人材やリソースの確保が必要であり、事業展開に想定以上の時間を要したり、初期投資の負担が収益性を毀損したりする可能性があります。その他、これらの事業領域では、個々の案件を推進した当社グループが第三者に生じた損害に対して賠償責任が生じ得る等の独自のリスクもあり、かかるリスクは可能な限り保険又は契約等により回避を図るものの、リスク回避の手法、法的規制に対する十分な理解や内部管理体制の構築、そのための人材の充実が求められます。また万一、監督当局から行政処分を受けるなどした場合には、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 なお、当社は、2024年4月1日に単独株式移転により、レオス・キャピタルワークス株式会社の完全親会社として設立されたため、前連結会計年度及び前年同期比較は行っておりません。

 

(1)財政状態の状況

(資産)

 当中間連結会計期間末における資産合計は12,411百万円となりました。その主な内訳は、現金及び預金4,127百万円、未収委託者報酬4,420百万円など流動資産が11,117百万円、有形固定資産632百万円など固定資産が1,294百万円であります。

(負債)

 当中間連結会計期間末における負債合計は4,561百万円となりました。その主な内訳は、未払費用1,823百万円、預り金1,458百万円など流動負債が4,214百万円、資産除去債務218百万円など固定負債が347百万円であります。

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産合計は7,849百万円となりました。その主な内訳は、利益剰余金6,475百万円など株主資本が7,434百万円、非支配株主持分が413百万円であります。自己資本比率は59.9%となりました。

 

(2)経営成績の状況

 当中間連結会計期間の日経平均株価は冴えない展開で始まりました。2023年度はデフレからの脱却期待からバリュー株中心に買い進められて日経平均株価は過去最高値を更新しましたが、2024年4月に入ると中東情勢悪化もあり戻り売りに圧されました。さらに、5月以降の欧米株は再度強い動きを見せた一方で、日本株は上値の重い展開が続きました。2024年3月に日銀が17年ぶりにマイナス金利政策の解除を決定したとは言え、日銀のタカ派シフトは依然限定的であるとして円安が継続する環境の下、過度の円安への警戒や個別企業の弱気な業績見通しも嫌気されました。そして、7月には出遅れていた反動もあり、日経平均株価は大きく上昇し42,000円超えと最高値を更新しましたが、7月半ばから株式市場は売り優勢となりました。米国のCPIが予想を大きく下振れたことで米国における利下げ期待が高まって金利が低下し、株式市場では出遅れていた銘柄群に資金が向かいましたが、これまで強い動きを続けてきた半導体関連を中心にメガテック株から資金が流れました。また、日銀の利上げ期待が根強い一方で米国では利下げ期待が高まったことで為替は円高反転、米国テック株の崩れと円高が日本株には重石となりました。7月末の日銀会合では25bpsの利上げが決定された一方、FOMCでパウエルFRB議長はハト派メッセージを送り、円高と日本株売りが加速、米国の弱いマクロ指標を背景にした景気減速懸念も加わり8月5日の日経平均株価は▲12.4%と1987年のブラックマンデー以来の下落率を記録し、32,000円割れまでの急落は、グローバルで見ても日本株の下げが突出しました。それでも景気減速懸念と株売りは行き過ぎとの見方からすぐにリスクアセット全般が反発に転じます。実際、米国の雇用データは底堅い数字が続き、8月頭に出ていた弱いデータは天候など一時的要因が大きいと楽観的な見方が広がりました。また、中国政府による相次ぐ景気刺激策もセンチメント改善に貢献し、株式市場は反発基調を辿りました。しかし、世界的にインフレがピークアウトし利下げスタンスに転じている国が多い一方で日本は利上げスタンスに転換したとあって円高基調が継続したため、結果としてグローバルでは日本株の出遅れが目立ったものの、8月序盤以降は底堅い動きに終始し日経平均株価は38,000円水準まで切り返して9月末を迎えました。

※日経平均株価に関する著作権、知的財産権その他一切の権利は株式会社日本経済新聞社に帰属します。

 

 一方で、一般社団法人投資信託協会が公表する「投資信託概況」によれば、株式投信(除ETF)の2024年9月末の純資産総額は、2024年3月末から6.5%増の129兆3,696億円となりました。

 このような環境下、2024年1月から開始した新NISA制度による投資への関心の高まりもあり、当社はオンライン・対面を問わず、様々なセミナーを通じて多くのお客様とのリレーションを深めていきました。また、幅広い層への「ひふみ」ブランドの認知度向上を目指し、チャンネル登録者数50万人を擁するYouTubeチャンネル『お金のまなびば!』でお金や投資について幅広く発信するとともに、効率的な広告投資を実施することで、新規獲得口座開設数は増加しました。この結果、直接販売する投資信託のいずれかを保有する顧客数は、2024年9月末には63,710名となり、2024年3月末の62,417名から1,293名増加しました。

 また、当社グループの経営理念と運用哲学に共感していただける販売パートナー開拓を継続し、間接販売において、2024年3月からは日本国内の小型株に投資する「ひふみマイクロスコープpro」を、さらに2024年9月には一部未上場企業に投資する「ひふみクロスオーバーpro」の運用を開始しました。この結果、間接販売である「ひふみ」シリーズの2024年9月末の取扱い社数は延べ292社となりました。

 

 

 この結果、2023年の年末から2024年の年初にかけて見られた基準価額の上昇による利益確定のためと思われる解約も落ち着き、当中間連結会計期間の投資信託の純流入額(設定額から解約額を控除した金額)は211億円となりましたが、「ひふみ投信」などの基準価額が下落したことにより、当中間連結会計期間末における運用資産残高は、2024年3月末から3.3%減の1兆3,230億円となり、営業収益は5,694百万円となりました。

 広告宣伝費などの増加により営業費用及び一般管理費は4,626百万円となって、営業利益は1,068百万円、為替差損などの営業外費用の計上により経常利益は1,065百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は767百万円となりました。なお、当社グループは、投資運用事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 当社グループの2020年3月末以降の投資信託委託業務及び投資顧問業務における運用資産残高の推移は次のとおりです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。

(単位:億円)

 

2020年

3月末

2021年

3月末

2022年

3月末

2023年

3月末

2024年

3月末

2024年

9月末

公募投資信託

(直接販売)

1,193

1,763

1,864

1,885

2,409

2,320

公募投資信託

(間接販売)

5,371

6,699

8,169

8,414

9,822

9,514

私募投資信託

51

66

52

15

21

11

投資信託合計

6,616

8,529

10,086

10,315

12,253

11,846

投資顧問合計

855

1,079

993

1,127

1,435

1,384

全社合計

7,471

9,608

11,079

11,443

13,688

13,230

(注)当該数値は、東陽監査法人による監査及び期中レビューを受けておりません。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は4,129百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における営業活動の結果増加した資金は842百万円となりました。

 その主なものは、税金等調整前中間純利益が1,065百万円、減価償却費が198百万円、募集等受入金の増加等による預り金の増加による収入406百万円となった一方、顧客分別金信託の増加による支出が300百万円、未収委託者報酬の増加による支出が286百万円、法人税等の支払額が332百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における投資活動の結果減少した資金は198百万円となりました。

 その主なものは、有形固定資産の取得による支出が131百万円、無形固定資産の取得による支出が67百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における財務活動の結果減少した資金は82百万円となりました。

 その主なものは、配当金の支払額が232百万円、非支配株主からの払込みによる収入が135百万円等であります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当社グループと従前のレオス・キャピタルワークス株式会社(以下「レオス・キャピタルワークス」といいます)の連結グループの範囲に実質的な変更がないため、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等については、レオス・キャピタルワークスが2024年6月26日に提出した有価証券報告書に記載した経営方針、経営戦略等と同様の内容であり、当中間連結会計期間において、重要な変更はありません。

 

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループと従前のレオス・キャピタルワークスの連結グループの範囲に実質的な変更がないため、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題については、レオス・キャピタルワークスが2024年6月26日に提出した有価証券報告書に記載した対処すべき課題と同様の内容であり、当中間連結会計期間において、重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

(8)従業員数

①連結会社の状況

2024年9月30日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

全社(共通)

122(18)

合計

122(18)

(注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、嘱託社員、契約社員及びグループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員)は含まれておりません。臨時雇用者数については、当中間連結会計期間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

2.従業員数には、当中間連結会計期間末日における退職者を含めております。

3.当社グループの事業セグメントは単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。

 

②提出会社の状況

2024年9月30日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

全社(共通)

48(6)

合計

48(6)

(注)1.従業員数は就業人員(当社から当社外への出向者を除き、嘱託社員、契約社員及び当社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員)は含まれておりません。臨時雇用者数については、当中間連結会計期間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

2.従業員数には、当中間連結会計期間末日における退職者を含めております。

3.当社グループの事業セグメントは単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。

 

(9)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの主な資金需要は、事業活動の維持拡大に必要な事業資金及び設備投資資金、顧客分別金信託の追加設定に必要な資金であります。必要な資金については、原則自己資金を基本方針としておりますが、顧客分別金信託の追加設定に必要な資金が生じた場合には金融機関からの短期借入で賄います。

 

3【経営上の重要な契約等】

 

 当社は、連結子会社であるレオス・キャピタルワークス株式会社及びレオス・キャピタルパートナーズ株式会社との間で、経営管理サービスを提供することについて、それぞれ経営管理契約を締結しております。