当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中における将来に関する事項は、当半期報告書提出日(2024年11月8日)現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(2)財政状態及び経営成績の状況
① 当中間連結会計期間の経営成績の概況及び分析
当中間連結会計期間につきましては、原材料価格やエネルギー価格の高止まり、さらには物流費等が上昇する中、物価の高騰による節約志向が続き、個人消費の持ち直しには依然として足踏みが見られたものの、インバウンドをはじめとした人流の増加等により、当社グループを取り巻く環境は明るさを取り戻しつつあります。
このような中、当社グループは、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給を確保し、各事業において安全・安心な製品をお届けするという使命を果たすとともに、2026年度を最終年度とする「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の達成に向けて、当期は、事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進、豪州製粉事業・インドイースト事業の業績回復施策の推進、研究開発戦略における目に見える成果の実現、自動化省人化施策の効果発現を最優先課題として取り組んでおります。
その一環として、事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進を図るべく、製粉事業の子会社である日清製粉株式会社において、2025年5月頃の稼働に向け、水島工場の建設を進めており、これに伴い同社岡山工場及び坂出工場を閉鎖する予定です。また、米国子会社であるMiller Milling Company, LLCでは、2025年初頭の稼働に向け、サギノー工場の増設を進めております。さらに、本年7月より、加工食品事業のベトナム子会社であるベトナム日清製粉Co., Ltd.及びベトナム日清テクノミックCo., Ltd.では、同国において家庭用製品の販売を開始しました。今後も、将来の成長に向けた施策を積極的に実施してまいります。
研究開発に関しては、研究成果の実用化に向けた対応を進めており、製粉事業において高食物繊維小麦粉「アミュリア」の認知拡大及び市場開拓を図っております。また、「みらい共創キッチン」をコンセプトとした新たな開発拠点を2026年度の竣工予定で東京都世田谷区用賀に建築することを決定しました。これにより、更なる開発力の発揮を目指すとともに、グループシナジーの創出を図ってまいります。
当中間連結会計期間の業績につきましては、売上高は海外製粉事業における出荷増及び為替換算影響、酵母・バイオ事業における販売増等により、4,295億13百万円(前年同期比100.6%)となりました。利益面では、各事業において原材料費や輸送費、労務費等のコスト上昇が継続する中、海外製粉事業及びメッシュクロス事業の業績が堅調に推移したこと等により、営業利益は260億10百万円(前年同期比102.0%)、経常利益は270億76百万円(前年同期比102.1%)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は、投資有価証券売却益の計上もあったことにより、203億63百万円(前年同期比110.4%)となりました。
(前年同期比較) (単位:百万円)
|
前中間期 |
当中間期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
426,881 |
429,513 |
2,632 |
100.6% |
営業利益 |
25,511 |
26,010 |
498 |
102.0% |
経常利益 |
26,511 |
27,076 |
565 |
102.1% |
親会社株主に帰属する 中間純利益 |
18,446 |
20,363 |
1,916 |
110.4% |
セグメント別の経営成績及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
1) 製粉事業
(単位:百万円)
|
前中間期 |
当中間期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
227,750 |
228,737 |
986 |
100.4% |
営業利益 |
14,731 |
15,478 |
747 |
105.1% |
国内製粉事業につきましては、インバウンドをはじめとした人流の増加に伴う外食需要等の拡大に加え、拡販への取組み効果もあり、出荷は前年を上回りました。
また、本年4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で0.6%引き下げられたこと、及び輸送費の上昇を踏まえ、7月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。
海外製粉事業につきましては、出荷が堅調に推移し、為替換算影響もあり、売上高は前年を上回りました。
この結果、製粉事業の売上高は2,287億37百万円(前年同期比100.4%)となりました。営業利益は、国内製粉事業は製造コスト等の上昇により減益となったものの、海外製粉事業の業績が堅調に推移したことにより、154億78百万円(前年同期比105.1%)となりました。
2) 食品事業
(単位:百万円)
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前中間期 |
当中間期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
99,153 |
101,932 |
2,779 |
102.8% |
営業利益 |
4,692 |
3,927 |
△765 |
83.7% |
加工食品事業につきましては、国内においては消費者の節約志向が継続しておりますが、家庭用製品において「マ・マー 早ゆでスパゲティ」をはじめとしたパスタ等の出荷が堅調に推移しました。また、海外での業務用プレミックスの出荷増もあり、売上高は前年を上回りました。
酵母・バイオ事業につきましては、バイオ事業における培養用基材の出荷増及びインドイースト事業における販売数量の増加等により、売上高は前年を上回りました。
健康食品事業につきましては、医薬品原薬及び消費者向け製品の出荷減により、売上高は前年を下回りました。
この結果、食品事業の売上高は1,019億32百万円(前年同期比102.8%)となりました。営業利益は、加工食品事業での為替影響による原材料費及び輸送費等のコスト上昇や健康食品事業の出荷減等により、39億27百万円(前年同期比83.7%)となりました。
3) 中食・惣菜事業
(単位:百万円)
|
前中間期 |
当中間期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
78,064 |
78,535 |
470 |
100.6% |
営業利益 |
3,397 |
3,398 |
1 |
100.1% |
中食・惣菜事業につきましては、インバウンド需要の増加等に伴い販売が堅調に推移したことにより、売上高は785億35百万円(前年同期比100.6%)となりました。営業利益は、原材料費・労務費等のコスト上昇があったものの、販売増及び生産性の向上により、33億98百万円(前年同期比100.1%)となりました。
4) その他事業
(単位:百万円)
|
前中間期 |
当中間期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
21,912 |
20,308 |
△1,604 |
92.7% |
営業利益 |
2,581 |
3,247 |
666 |
125.8% |
エンジニアリング事業につきましては、大型プラント工事の減少により、売上高は前年を下回りました。
メッシュクロス事業につきましては、太陽光パネル向けスクリーン印刷用資材の出荷が引き続き好調であったことから、売上高は前年を上回りました。
この結果、その他事業の売上高は203億8百万円(前年同期比92.7%)、営業利益はメッシュクロス事業の出荷増等により、32億47百万円(前年同期比125.8%)となりました。
② 当中間連結会計期間の財政状態の概況及び分析
(単位:百万円)
|
2024年3月期 |
2024年9月期 |
前期末差 |
流動資産 |
365,072 |
339,133 |
△25,939 |
固定資産 |
461,629 |
445,091 |
△16,538 |
資産合計 |
826,702 |
784,224 |
△42,477 |
流動負債 |
163,571 |
131,728 |
△31,843 |
固定負債 |
146,749 |
141,215 |
△5,533 |
負債合計 |
310,321 |
272,944 |
△37,377 |
純資産合計 |
516,381 |
511,280 |
△5,100 |
負債純資産合計 |
826,702 |
784,224 |
△42,477 |
当中間連結会計期間末における資産、負債及び純資産の状況及び分析は以下のとおりです。
流動資産は3,391億33百万円で、受取手形、売掛金及び契約資産の減少等に伴い、前期末に比べ259億39百万円減少しました。固定資産は4,450億91百万円で、保有している投資有価証券の時価評価による減少等に伴い、前期末に比べ165億38百万円減少しました。この結果、資産合計は7,842億24百万円となり、前期末に比べ424億77百万円減少しました。
また、流動負債は1,317億28百万円で、支払手形及び買掛金の減少等に伴い、前期末に比べ318億43百万円減少しました。固定負債は1,412億15百万円で、繰延税金負債の減少等に伴い、前期末に比べ55億33百万円減少しました。この結果、負債合計は2,729億44百万円となり、前期末に比べ373億77百万円減少しました。純資産合計は親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加、配当金の支出による減少、その他の包括利益累計額の減少等により、前期末に比べ51億円減少し、5,112億80百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(単位:百万円)
|
前中間期 |
当中間期 |
前年同期差 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
33,766 |
31,800 |
△1,966 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△13,815 |
△14,668 |
△852 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△14,953 |
△19,573 |
△4,619 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
1,742 |
△780 |
△2,522 |
現金及び現金同等物の増減額 |
6,740 |
△3,222 |
△9,962 |
連結子会社の決算期変更に伴う 現金及び現金同等物の増減額 |
- |
21 |
21 |
現金及び現金同等物の中間期末残高 |
89,711 |
104,480 |
14,768 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前中間純利益310億11百万円、非資金損益項目である減価償却費、売上債権及び契約資産の減少等による資金の増加が、仕入債務の減少、未払金及び未払費用の減少、法人税等の支払等の資金減少を上回ったことにより、当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは318億円の資金増加(前中間連結会計期間は337億66百万円の資金増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形及び無形固定資産の取得に200億62百万円を支出したこと等により、当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは146億68百万円の資金減少(前中間連結会計期間は138億15百万円の資金減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純増減額の減少、株主の皆様への利益還元といたしまして配当に71億40百万円を支出したこと等により、当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは195億73百万円の資金減少(前中間連結会計期間は149億53百万円の資金減少)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、前連結会計年度末比32億1百万円減少し、1,044億80百万円となりました。
当中間連結会計期間末の有利子負債(リース債務含む)残高は790億円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループの資金は、当面充分な流動性を確保しております。
当社グループは、「日清製粉グループ 中期経営計画2026」に基づき、小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を充分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールしてまいります。持続的成長、EPS(1株当たり当期純利益)成長を実現するために、環境投資、デジタル投資、新規事業開発・M&A投資、研究開発投資、人材育成を含めた成長投資を促進するとともに、株主還元につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結ベースでの配当性向を現在の40%以上から現中期経営計画最終年度までに50%目安へ引き上げることとしております。また、投資資金が余剰となった場合などは、更なる株主還元を検討してまいりたいと考えております。
そのための資金は、内部及び外部の両財源より調達してまいります。内部からの資金捻出は、既に導入しておりますキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を利用した国内連結子会社の資金の一元管理、及び政策保有株式の縮減を含めた資産の圧縮に引き続き取り組むことにより、外部からは当社グループの健全な財務体質を背景に有利子負債等により、調達してまいります。
(4)経営方針、経営戦略等
中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、「事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進」、「ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進」、「ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行」の3点を基本方針とする5年間(2022年度から2026年度)の中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の達成に向けて取り組んでおります。その最終年度である2027年3月期の数値目標、資本政策(株主還元、政策保有株式)を下記の通り修正しました。
① 数値目標
1) 修正内容
2027年3月期 連結財務数値目標
|
2026年度(2027年3月期) |
||
当初目標 |
修正後目標 |
修正内容 |
|
売上高 |
9,000億円 |
9,500億円 |
+500億円 |
営業利益 |
480億円 |
570億円 |
+90億円 |
EPS |
110円 |
140円 |
+30円 |
ROE |
7.0% |
8.0% |
+1.0% |
2) 修正理由
最終年度である2026年度の数値目標につきましては、今上期に修正要否を検討し、その結果を2025年3月期第2四半期決算時に公表する予定としておりました。当該修正要否を検討した結果、当初目標から売上高を500億円、営業利益を90億円上方修正いたしました。また、営業利益目標の上方修正及び政策保有株式の縮減予定を考慮し、当初目標からEPSを30円、ROEを1.0%上方修正いたしました。
② 資本政策
1) 株主還元
配当方針は、「親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結ベースでの配当性向40%以上を基準として配当を行う」こととしておりますが、株主の皆様への利益還元の更なる充実のため、配当性向を見直し、「中期経営計画2026」最終年度までに「40%以上」から「50%目安」へ引き上げます。
2) 政策保有株式
資本効率の向上を図るため、今後5年間(2024年度~2028年度)で400億円以上、年平均80億円程度を縮減目標(※)とします。
(※)2024年3月期公表時点の縮減目標は、2024年度~2026年度の3年間で150億円以上としていました。
また、上記の縮減目標額は2024年9月末時点の株価で算定しています。
引き続き、当社グループは小麦粉をはじめとする「食」の安定供給という使命を果たすとともに、持続的な成長と長期的な企業価値の極大化を目指して取り組んでまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
また、当社は株式会社の支配に関する基本方針を定めておりますが、当中間連結会計期間において重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費は、40億75百万円であります。
(7)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「1 事業等のリスク」に記載のとおり、当中間連結会計期間において、重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。