当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド需要が好調に推移し、雇用や所得環境の改善が見られる一方で、依然として円安等を要因とした物価上昇による実質賃金の下落傾向が続いており、今後の景気悪化が懸念されます。世界経済においても、全体として緩やかな回復基調ではありますが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化、中国経済の減速など景気の先行きは不透明な状況となっております。
このような環境の中、当社グループの当中間連結会計期間の営業収益は187億49百万円(前年同期比141億7百万円減)、営業損失は1億74百万円(前年同期は営業利益55億15百万円)、経常利益は66億79百万円(前年同期比27億82百万円減)、親会社株主に帰属する中間純利益は53億96百万円(前年同期比9億88百万円増)となりました。
前第1四半期連結累計期間において、ハーン銀行の業績が全部連結されていたため、営業収益及び営業損益は前年同期比で大幅に減少しております。また、営業外収益に計上される持分法による投資利益は、ハーン銀行単体の最終損益をもとに算定されるため、法人税等や非支配株主損益が差し引かれて算定されており、そのため、経常利益は前第1四半期連結累計期間において全部連結されていた経常利益と比較すると大幅な減少となっております。なお、親会社株主に帰属する中間純利益が前年同期比で増加しているのは、モンゴル銀行法の改正によりハーン銀行の留保利益に関する税効果会計に変動が生じ、法人税等調整額(益)が約8億円計上されたことなどが要因であります。
当社グループは、当社、連結子会社3社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。
銀行関連事業 ハーン銀行(Khan Bank LLC)、
キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)
リユース事業 株式会社STAYGOLD
その他事業 当社、H.S. International (Asia) Limited
報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
銀行関連事業の当中間連結会計期間の営業収益は16億4百万円(前年同期比176億12百万円減)、営業利益は80百万円(前年同期比56億90百万円減)となりました。また、持分法適用関連会社であるハーン銀行及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。なお、持分法による投資損益を含めた銀行関連事業の経常利益は68億51百万円となっております。
ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)
モンゴル経済につきましては、国内消費の増加や鉱工業生産の増加、石炭や金の輸出増加が寄与し、実質GDP(1-6月)は前年同期比で5.6%増加と高成長が続いております。インフレ率は食品価格を中心に依然として上昇しておりますが、前年同期比5.1%と昨年度末にかけて落ち着いてきています。また、貿易収支(1-6月)は、主に国内消費が堅調に推移していることから輸入が増加し前年同期比で23.5%の減少、外貨準備高は貿易収支の黒字が継続していることから48億ドル台(前年同期比26.7%増)となっております。為替市場では、前年同期比で米ドルに対して1.5%上昇(ドル安)、日本円に対して11.1%上昇(円安)しました。このようなインフレの収まりや通貨高を受けて、モンゴル中央銀行は今年に入って政策金利を継続的に引き下げ、2024年9月末時点で10%まで引き下げております。一方で、モンゴルを襲った大寒波の影響や中国経済の失速の影響が今後のモンゴル経済の懸念点として挙げられます。
モンゴルの銀行業界につきましては、モンゴル経済が高成長を続けていることや、モンゴル政府が実施した低金利融資の景気対策の影響が継続していることから、金融セクターの融資残高は前年同期比で37.5%増加しました。また、延滞債権残高は6.8%減少、不良債権残高は11.6%減少となりました。
このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、法人向け融資や個人向け融資、また、モンゴル国のデジタル化の方針に従い個人向けのデジタルバンキングサービスを中心に積極的に展開してまいりました。特に、モンゴル政府が実施した低金利融資の景気対策により個人向け融資が大きく増加したことから資金運用収益が増加しました。一方で、預金残高の増加により資金調達費用も増加しておりますが、デジタルバンキングサービスの推進による手数料収入が増加したことも影響し、増収増益となりました。
結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前年同期比で28.2%増加、融資残高は22.2%増加、資金運用収益は28.0%増加、四半期純利益は6.8%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前年同期比で21.5%増加、個人向け融資は25.0%増加、農牧業向け融資は4.0%減少いたしました。
キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)
キルギス経済につきましては、全ての主要な業種で成長が見られ、特に製造業や小売業、建設業の成長が著しく、2024年第2四半期の実質GDP(1-6月)は前年同期比で8.1%増加しました。インフレ率は2024年第2四半期(1-6月)で前年同期比5.1%上昇となり、このインフレ率の鈍化を受け、キルギス中央銀行は主要政策金利を13%から9%へ引き下げております。
キルギスコメルツ銀行は、現在、金利変動およびロシアに対する制裁強化を受け、法人と個人への融資を抑えてリスク管理に注力している状況です。預金業務では、金利の引き下げに伴い定期預金の募集を進めています。また、コロレス口座ネットワークや海外送金などの決済業務を見直し、手数料収入の増加を目指しています。しかし、ITシステムおよびIT人材に対する投資が増加し経費が拡大する傾向が見られ、わずかな最終黒字を維持するにとどまっております。
今後につきましては、ロシア・ウクライナ情勢を背景にキルギス経済の先行きは依然として不透明な状況となっておりますが、このような環境の中、キルギスコメルツ銀行はリスク管理およびコンプライアンス体制の強化に取り組み、安定した預金基盤の確立と顧客のニーズに応じた融資商品の提供に努めてまいります。さらに、フロントオフィスとバックオフィスの業務効率向上を目指し、業務プロセスおよびコストの見直しを継続して行ってまいります。
ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)
ロシア経済につきましては、ウクライナ侵攻による幅広い経済制裁を受けているものの、国内消費が堅調に推移している影響から製造業や小売業が好調で、2024年第2四半期の実質GDP(1-6月)は前年同期比で4.1%増加となりました。一方で、2024年第2四半期のインフレ率(1-6月)は、食料品価格などの上昇により前年同期比8.3%の上昇となり、ロシア中央銀行は数回にわたる政策金利の引き上げを行い、主要政策金利は19%に達しています。
このような環境の中、ソリッド銀行は貸出残高と預金残高を堅調に伸ばしており、金利上昇の影響もあり純金利収入は増加しております。ロシアの金融システムに対する制裁が強化される中、ソリッド銀行は継続的に国際業務を見直し、外為取引などを通じて非金利収入も増加しており、増収増益となりました。
非金利ビジネスが好調な市場環境に支えられ、ソリッド銀行の業績は大幅に改善していますが、今後の見通しについては、ロシア・ウクライナ情勢の展開が依然として不透明な要因となっております。ルーブルの為替レート、原油価格の変動、経済制裁の影響、そして国際情勢の緊迫化が、今後のソリッド銀行の業績に大きな影響を与える可能性があります。
このような状況下において、ソリッド銀行は引き続き貸出残高と預金残高の増加や不良債権の徹底管理、預金コストの効率的な管理に注力するとともに、変化するビジネス環境に対応し、リスク管理体制を強化する取り組みを継続して行ってまいります。
リユース市場は、SDGsなど環境意識の高まりやフリマアプリなどによるネット販売の急拡大により、市場規模は10年以上も拡大しており、今後も成長を続けていくとみられています。
リユース事業である株式会社STAYGOLDは、新規出店による店舗数の増加や主に時計の販売好調により売上高は増加しております。一方で、事業拡大のための人員数増加や新規店舗増加、広告宣伝費の増加などにより経費が増加しており、また、連結セグメント上では、のれんや無形固定資産の償却費が計上されていることも影響し、営業損失となりました。
新型コロナウイルス感染症の収束に伴いインバウンド消費が急回復していることに加え、国内消費においてもリユース品に対する需要は強く、今後も積極的な販売拡大を目指してまいります。また、当中間連結会計期間では新たに6店舗の新規出店を行いました。
結果として、リユース事業の当中間連結会計期間の売上高は171億38百万円(前年同期比35億3百万円増)、営業損失は30百万円(前年同期は営業利益34百万円)となりました。
当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社は、その他事業に分類しております。
当社(単体)の営業収益は、主に関係会社からの配当金で構成され、前中間連結会計期間においては関係会社からの配当金がなかったため、当中間連結会計期間は大幅な増収増益となっております。なお、関係会社からの受取配当金は、連結上は相殺消去されるため連結業績に影響を与えません。
結果として、その他事業の当中間連結会計期間の営業収益は61億76百万円(前年同期比61億68百万円増)、営業利益は58億92百万円(前年同期は営業損失3億84百万円)となりました。
持分法適用関連会社であるハーン銀行及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
前述のとおり、ハーン銀行及びソリッド銀行の業績は好調で増収増益となっております。なお、前第1四半期連結累計期間においてハーン銀行は全部連結されていたため、当中間連結会計期間の持分法による投資利益は大幅な増加となりました。
結果として、当中間連結会計期間の持分法による投資利益は67億71百万円(前年同期比34億3百万円増)となりました。
また、財政状態は次のとおりであります。
① 資産
当中間連結会計期間末の資産合計につきましては、1,094億89百万円となり、前期末比107億15百万円増加しました。
これは主に、「流動資産 その他」が39億99百万円、「関係会社株式」が74億88百万円増加したことによるものであります。主な増減要因は、「流動資産 その他」は当社における短期貸付金の増加、「関係会社株式」はハーン銀行およびソリッド銀行にかかる持分法投資利益によるものであります。
当中間連結会計期間末の負債合計につきましては、272億2百万円となり、前期末比8億43百万円増加しました。
これは主に、「預金」が2億73百万円、「未払法人税等」が3億35百万円、「繰延税金負債」が2億69百万円増加したことによるものであります。主な増減要因は、「預金」はキルギスコメルツ銀行が顧客から預かる預金の増加(ただし、現地通貨ベースでは減少)、「未払法人税等」は当社における未払法人税等の増加、「繰延税金負債」はハーン銀行の留保利益に関する税効果会計の変動によるものであります。
当中間連結会計期間末の純資産合計につきましては、822億87百万円となり、前期末比98億71百万円増加しました。
これは主に、「利益剰余金」が50億95百万円、「為替換算調整勘定」が56億65百万円増加したことによるものであります。
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、182億71百万円(前年同期比21億16百万円増)となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは34億3百万円の資金増加(前年同期は282億70百万円の資金減少)となりました。
これは主に、「税金等調整前中間純利益」66億63百万円、「利息及び配当金の受取額」63億89百万円の資金が増加した一方、「持分法による投資損益(△は益)」67億71百万円、「預金の純増減(△)」17億30百万円、「法人税等の支払額」13億98百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な要因は、当社におけるハーン銀行からの配当金の受取、キルギスコメルツ銀行が顧客から預かる預金の減少、当社及び連結子会社における法人税等の支払いによるものであります。
当中間連結会計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは39億29百万円の資金減少(前年同期は74億75百万円の資金減少)となりました。
これは主に、「貸付けによる支出」35億円の資金が減少したことによるものであります。
主な要因は、当社における貸付金の増加によるものであります。
当中間連結会計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは2億73百万円の資金減少(前年同期は120億58百万円の資金増加)となりました。
これは主に、「配当金の支払額」3億0百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な要因は、当社における配当金の支払いによるものであります。
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第2 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。