第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績の状況

連結経営成績

前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

(億円)

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

  至 2024年9月30日)

(億円)

前年同期比

増減率

 

(%)

売上高

10,027

10,995

9.7

航空事業

9,131

10,010

9.6

航空関連事業

1,364

1,573

15.3

旅行事業

395

366

△7.3

商社事業

573

641

11.9

その他

187

208

11.1

セグメント間取引

△1,625

△1,804

営業利益又は損失

1,297

1,083

△16.5

航空事業

1,277

1,093

△14.5

航空関連事業

43

30

△29.9

旅行事業

10

△6

商社事業

27

26

△0.9

その他

0

5

セグメント間取引

△61

△65

経常利益

1,273

1,123

△11.7

親会社株主に帰属する中間純利益

932

807

△13.3

※ 下記(注)1、2参照。

当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中、景気については一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しています。

航空業界を取り巻く環境は、ウクライナや中東地域情勢等の地政学リスクが懸念されますが、旅客需要は回復基調が続いています。

このような社会・経済情勢の下、航空事業を中心に増収となったことから、売上高は1兆995億円となりましたが、運航規模の拡大に伴う整備機会の増加や人財への投資を進めたこと等から費用が増加し、営業利益は1,083億円となり、前年同期と比べて減益となりました。また、航空機等に関わる各種補償金や為替差益を計上したこと等から、経常利益は1,123億円、親会社株主に帰属する中間純利益は807億円となりました。

 

以下、当中間連結会計期間におけるセグメント別の概況をお知らせいたします。

 

セグメント別の概況

◎航空事業

売上高1兆10億円(前年同期比9.6%増) 営業利益1,093億円(同14.5%減)

 

旺盛な訪日需要と国内のレジャー需要に支えられ、国際線・国内線ともに旅客需要が好調に推移し、売上高・旅客数ともに前年同期を上回りました。費用面では整備費や人件費、燃油費等を中心に増加したことから、営業利益は前年同期と比べて減益となりました。

なお、当社グループは、一部の旅客機に加えて、機体表面に空気抵抗を減らすフィルムを貼付した貨物機を新たに就航させる等、航空機の運航で発生するCO2排出量の削減に向けた取り組みを推進しました。

 

<国際線旅客(ANAブランド)>

項 目

 前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

 当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

  至 2024年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

旅客収入

(億円)

3,586

3,901

8.8

旅客数

(人)

3,471,441

3,898,535

12.3

座席キロ

(千席キロ)

25,902,570

28,271,070

9.1

旅客キロ

(千人キロ)

20,328,364

22,032,355

8.4

利用率

(%)

78.5

77.9

△0.5

※ 下記(注)3、7、8、12参照。

国際線旅客では、好調な訪日需要に加え、日本発のレジャー需要やビジネス需要を積極的に取り込んだ結果、旅客数・収入ともに前年同期を上回りました。中でも、北米路線が好調に推移しました。

路線ネットワークでは、8月から羽田=ウィーン線を運航再開したほか、7月から羽田=パリ線、羽田=ミュンヘン線、9月から羽田=クアラルンプール線、羽田=ジャカルタ線を週7便に増便しました。

営業・サービス面では、国際線特別塗装機「ピカチュウジェットNH」・「イーブイジェットNH」において、お客様に興味・関心を持っていただけるように、ポケモンが登場する「機内安全ビデオ」を公開しました。また、一部の国際線機材のビジネスクラスにおいて、機内インターネットサービス「ANA Wi-Fi Service」を無料で提供開始し、サービス拡充に努めました。

 

<国内線旅客(ANAブランド)>

項 目

 前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

 当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

  至 2024年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

旅客収入

(億円)

3,229

3,462

7.2

旅客数

(人)

20,395,049

21,678,550

6.3

座席キロ

(千席キロ)

23,338,512

23,385,468

0.2

旅客キロ

(千人キロ)

16,202,209

17,347,842

7.1

利用率

(%)

69.4

74.2

4.8

※下記(注)3、4、7、8、12、13参照。

国内線旅客では、台風等による悪天候の影響を受けたものの、「ANA SUPER VALUEセール」を継続的に実施しレジャー需要の喚起と早期取り込みに努めたことや、運賃を一部改定したこと等により、旅客数、収入ともに前年同期を上回りました。

路線ネットワークでは、夏休み期間や連休を中心に、中部=新千歳線や中部=沖縄線等において臨時便を設定し、レジャー需要を積極的に取り込みました。また、1月から発生していたプラット・アンド・ホイットニー社製エンジンの点検整備による減便については、8月以降解消しています。

営業・サービス面では、日本各地を一風変わった視点で掘り下げ、隠れた魅力を再発見・発信する「偏愛日本プロジェクト」の企画等を通じ、各地域への旅行需要の創出に取り組みました。

<貨物(ANAブランド)>

項 目

 前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

 当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

  至 2024年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

国際線

 

 

 

 

貨物収入

(億円)

748

887

18.7

有効貨物トンキロ

(千トンキロ)

3,159,433

3,164,662

0.2

貨物輸送重量

(トン)

344,207

348,212

1.2

貨物トンキロ

(千トンキロ)

1,734,299

1,770,730

2.1

郵便収入

(億円)

23

23

0.4

郵便輸送重量

(トン)

6,533

5,646

△13.6

郵便トンキロ

(千トンキロ)

34,054

33,017

△3.0

貨物重量利用率

(%)

56.0

57.0

1.0

国内線

 

 

 

 

貨物収入

(億円)

109

112

2.6

有効貨物トンキロ

(千トンキロ)

729,982

781,649

7.1

貨物輸送重量

(トン)

121,999

132,711

8.8

貨物トンキロ

(千トンキロ)

121,031

129,116

6.7

郵便収入

(億円)

13

13

0.6

郵便輸送重量

(トン)

11,408

11,102

△2.7

郵便トンキロ

(千トンキロ)

9,843

9,643

△2.0

貨物重量利用率

(%)

17.9

17.8

△0.2

※ 下記(注)3、5、6、9、10、11、12、13参照。

国際線貨物では、アジア・中国発北米向け三国間貨物の旺盛な需要を取り込んだことに加えて、自動車関連を中心とした日本発着の需要が緩やかに回復したこと等により、輸送重量・収入ともに前年同期を上回りました。

路線ネットワークでは、8月から他社によるエアラインチャーター便の運航を開始したほか、需要動向を見極めて貨物専用機の運航路線や供給量を柔軟に調整する等、収益性の確保に努めました。

 

 

<Peach・AirJapan>

項 目

 前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

 当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

  至 2024年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

Peach

 

 

 

 

 収入

(億円)

673

712

5.8

 旅客数

(人)

4,681,918

4,641,317

△0.9

 座席キロ

(千席キロ)

6,033,158

6,234,178

3.3

 旅客キロ

(千人キロ)

5,202,853

5,380,135

3.4

 利用率

(%)

86.2

86.3

0.1

AirJapan

 

 

 

 

 収入

(億円)

42

 旅客数

(人)

169,969

 座席キロ

(千席キロ)

1,059,656

 旅客キロ

(千人キロ)

585,555

 利用率

(%)

55.3

※ 下記(注)7、8、12、13参照。

Peachでは、旺盛な訪日需要を取り込むため、使用する機材を国際線へ重点的に振り分けたこと等から、国内線の旅客数は減少したものの国際線の旅客数は増加し、収入は前年同期を上回りました。

路線ネットワークでは、国内線においては、運航規模を縮小する中でも需要を見極め、関西=女満別線と関西=釧路線の期間運航を実施しました。

営業・サービス面では、9月からお客様ご自身で手荷物タグを発行できる「Peach BAGGAGE TAG KIOSK」を導入し、利便性の向上に努めました。

 

2月に新たなブランドとして誕生したAirJapanでは、成田=バンコク線、成田=仁川線、成田=シンガポール線を運航しています。

訪日旅客に加えて日本発旅客に対する需要喚起を目的に、「AirJapanサマーセール」や機内特別企画「空の上の夏祭り」を実施したほか、航空券の支払方法として、日本ならびに就航国であるタイ・韓国においても2次元バーコード決済を開始しました。

 

<その他>

航空事業におけるその他の収入は855億円(前年同期748億円、前年同期比14.3%増)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。

 

◎航空関連事業

売上高1,573億円(前年同期比15.3%増) 営業利益30億円(同29.9%減)

外国航空会社の就航便数拡大に伴い、空港地上支援業務や機内食関連業務の受託が増加したほか、国際貨物の取扱高が拡大したこと等により、売上高は前年同期を上回ったものの、人件費が増加したこと等から、営業利益は前年同期を下回りました。

 

◎旅行事業

売上高366億円(前年同期比7.3%減) 営業損失6億円(前年同期 営業利益10億円)

海外旅行については、ハワイやアジア方面における需要を取り込んだことから、取扱高が増加しました。国内旅行については、マイル支払いが可能となったことから、「ANAトラベラーズホテル」や「ANAトラベラーズレンタカー」等の素材販売が好調であったものの、全国旅行支援の効果があった前年同期と比べてダイナミックパッケージ商品の取扱高が減少しました。以上の結果、売上高は前年同期を下回り、営業損失を計上しました。

◎商社事業

売上高641億円(前年同期比11.9%増) 営業利益26億円(同0.9%減)

訪日旅客と国内旅客需要の増加に伴い、免税店「ANA DUTY FREE SHOP」や空港物販店「ANA FESTA」、観光土産品卸売「FUJISEY」が好調に推移したこと等により、売上高は前年同期を上回ったものの、人件費が増加したこと等から、営業利益は前年同期を僅かに下回りました。

 

◎その他

売上高208億円(前年同期比11.1%増) 営業利益5億円(前年同期 営業利益0億円)

空港設備保守管理事業や不動産関連事業において取扱高が増加したこと等から、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。

 

注)  1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。

2.各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。

3.国際線、国内線ともに不定期便実績を除きます。

4.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績並びにオリエンタルエアブリッジ㈱、天草エアライン㈱及び日本エアコミューター㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。

5.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。

6.国内線貨物及び郵便実績には、Peach Aviation㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。

7.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。

8.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。

9.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれます。

10.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。

11.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。

12.利用率及び貨物重量利用率については、「前年同期比増減率(%)」の欄に前期差(%)を記載しています。

13.国内線の区間距離については、2024年4月1日より国際線と同一の「大圏距離」に変更しています。これに伴い、前年同期の実績も変更しています。

 

(2) 財政状態の状況

資産の部は、現金及び預金が減少したこと等により、前期末に比べて727億円減少し、3兆4,967億円となりました。

負債の部は、転換社債型新株予約権付社債の償還及び借入金の返済があったこと等から、前期末に比べて813億円減少し、2兆4,355億円となりました。なお、有利子負債(無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)は、前期末に比べて1,018億円減少し、1兆3,822億円となりました。

純資産の部は、配当金の支払いや繰延ヘッジ損益の減少があった一方で、親会社株主に帰属する中間純利益を計上したこと等により、前期末に比べて85億円増加し、1兆611億円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

営業活動においては、当中間連結会計期間の税金等調整前中間純利益1,126億円に、減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行ったこと等から、1,604億円の収入となりました。

投資活動においては、有価証券の取得や設備投資による支出があったこと等から、3,537億円の支出となりました。これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは1,932億円の支出となりました。

財務活動においては、配当金の支払いや社債の償還、借入金の返済による支出があったこと等から、1,309億円の支出となりました。

以上の結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、期首から3,241億円減少し、6,783億円となりました。

 

(4) 経営方針・経営戦略等について

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営の基本方針について重要な変更はありません。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。物価上昇やウクライナ・中東地域をめぐる情勢等の地政学リスクが懸念されるものの、国際線旅客をはじめ、今後も需要は堅調に推移すると見込まれています。引き続き、回復が進む需要を取り込みながらコストマネジメントを行い、利益の最大化を目指します。

(6) 研究開発活動

航空事業セグメントにおいては、より安全で快適かつ効率的な航空運送サービスを提供するための多様な改良・改善活動を推進しています。

また、航空事業をはじめ各セグメントにおける事業活動が及ぼす環境負荷の逓減活動も推進しています。

なお、上記活動に関して「研究開発費等に係る会計基準」に定義する研究開発費に該当するものはありません。

 

(7) 従業員数

運航規模の拡大に伴う新規採用等により、当中間連結会計期間の航空関連事業の従業員数は1,844名増加し、21,105名となりました。

なお、従業員数は就業人員数(当社及びその連結子会社から連結子会社外への出向者を除き、連結子会社外から当社及びその連結子会社への出向者を含む。)です。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において新たに締結した重要な契約等はありません。