当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間における経済環境の概観は以下のとおりであります。
世界経済は、主要国・地域においてインフレの減速と利下げの動きが始まるなか、米国を中心に景気が底堅く推移しました。先進国は、米国で雇用の軟化が徐々に進むなかでも底堅い個人消費が景気を下支えし、欧州はインフレ率低下を主因に緩やかな成長が続きました。日本は賃金が上昇するも、個人消費の足踏みが続くなかで景気は緩やかな回復に留まりました。新興国は、中国経済が景気刺激策等に下支えされながらも住宅市場の影響から停滞した一方、アジア諸国を中心に米国向け輸出の拡大が景気を牽引しました。
一次産品価格は、世界経済の減速により総じて需要の弱さが続く一方、地政学リスクの高まり等が一部商品価格を押し上げました。銅は中国景気見通しを巡り上下しましたが、総じて前年度よりも高値で推移しました。
債券市場では、欧米で利下げに伴い金利が低下する一方、日本は7月の利上げ等を受けて10年債利回りが一時1%を上回る水準まで上昇しました。円相場は日米の金融政策修正等を受けて円高・ドル安基調に転じました。株式市場は米国の景気後退懸念等を受けて乱高下が起きるも主要国・地域で総じて上昇基調が続きました。
このような経済環境のなか、当中間連結会計期間の経営成績は以下のとおりとなりました。
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(単位:百万円) |
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前中間連結会計期間 |
当中間連結会計期間 |
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増減 |
収益 |
3,750,610 |
3,891,199 |
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140,589 |
売上総利益 |
523,065 |
566,551 |
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43,486 |
営業利益 |
151,479 |
145,140 |
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△6,339 |
持分法による投資損益 |
154,668 |
164,995 |
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10,327 |
親会社の所有者に帰属する 中間利益 |
251,304 |
238,124 |
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△13,180 |
(注)「営業利益」は、投資家の便宜を考慮し、日本の会計慣行に従った自主的な表示であり、IFRSで求められている表示ではありません。「営業利益」は、要約中間連結包括利益計算書における「売上総利益」、「販売費及び一般管理費」及び「貸倒引当金繰入額」の合計額として表示しております。
収益は前中間連結会計期間比(以下「前年同期比」という。)1,406億円(3.7%)増収の3兆8,912億円となりました。オペレーティング・セグメント別には主に、電力、金属、化学品で増収となりました。
売上総利益は前年同期比435億円(8.3%)増益の5,666億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。
電力 |
138億円増益 |
電力卸売・小売事業の増益及び前年同期に計上した台湾発電所EPC(建設請負)案件に係る工事損失引当金の反動
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化学品 |
136億円増益 |
オランダ香辛料・調味料の製造販売会社の子会社化による増益等
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航空・船舶 |
75億円増益 |
航空関連事業における需要増加に伴う増益及び船舶市況の改善に伴う船舶保有運航事業の増益 |
営業利益は、販売費及び一般管理費の増加により、前年同期比63億円(4.2%)減益の1,451億円となりました。
持分法による投資損益は前年同期比103億円(6.7%)増益の1,650億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。
金融・リース・不動産 |
213億円増益 |
みずほリース社の関連会社化に伴う増益及び航空機リース事業の増益
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航空・船舶 |
33億円増益 |
船舶保有運航事業の増益及び航空機用部品販売事業の増益
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金属 |
154億円減益 |
鉄鋼製品事業の減益並びに商品価格の下落に伴う豪州鉄鉱石事業及び豪州原料炭事業の減益 |
以上の結果、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比132億円(5.2%)減益の2,381億円となりました。
当中間連結会計期間のオペレーティング・セグメント別の業績(親会社の所有者に帰属する中間利益)は以下のとおりであります。
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(単位:百万円) |
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前中間連結会計期間 |
当中間連結会計期間 |
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増減 |
ライフスタイル |
4,889 |
4,334 |
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△555 |
フォレストプロダクツ |
3,087 |
7,986 |
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4,899 |
情報ソリューション |
2,346 |
2,776 |
|
430 |
食料第一 |
8,901 |
6,654 |
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△2,247 |
食料第二 |
12,744 |
5,951 |
|
△6,793 |
アグリ事業 |
27,215 |
22,558 |
|
△4,657 |
化学品 |
2,081 |
7,066 |
|
4,985 |
金属 |
79,254 |
59,618 |
|
△19,636 |
エネルギー |
19,069 |
14,500 |
|
△4,569 |
電力 |
27,970 |
31,844 |
|
3,874 |
インフラプロジェクト |
6,413 |
5,438 |
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△975 |
航空・船舶 |
12,067 |
18,476 |
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6,409 |
金融・リース・不動産 |
24,192 |
40,651 |
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16,459 |
建機・産機・モビリティ |
15,729 |
9,482 |
|
△6,247 |
次世代事業開発 |
△118 |
△458 |
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△340 |
次世代コーポレートディベロップメント |
△1,426 |
△715 |
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711 |
その他 |
6,891 |
1,963 |
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△4,928 |
全社合計 |
251,304 |
238,124 |
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△13,180 |
(注)1. 当連結会計年度より、「情報ソリューション」の一部を「インフラプロジェクト」に編入しております。この変更に伴い、前中間連結会計期間のオペレーティング・セグメント情報を組み替えて表示しております。
2. セグメント間取引は、通常の市場価格により行われております。
3. 「その他」には、特定のオペレーティング・セグメントに配賦されない本部経費等の損益、セグメント間の内部取引消去等が含まれております。
ライフスタイル
親会社の所有者に帰属する中間利益(以下「中間利益」という。)は、ゴム・産業資材事業及び衣料品等の企画・製造・販売事業の減益等により、前年同期比6億円減益の43億円となりました。
フォレストプロダクツ
中間利益は、パルプ市況改善等に伴うムシパルプ事業の増益及びブラジル衛生用品製造販売事業の増益により、前年同期比49億円増益の80億円となりました。
情報ソリューション
中間利益は、国内携帯電話販売事業の増益等により、前年同期比4億円増益の28億円となりました。
食料第一
中間利益は、海外インスタントコーヒー製造・販売事業の減益により、前年同期比22億円減益の67億円となりました。
食料第二
中間利益は、国内鶏肉事業及び米国肉牛事業の減益等により、前年同期比68億円減益の60億円となりました。
アグリ事業
中間利益は、農業資材価格の下落及び需要低迷によるHelena社の減益により、前年同期比47億円減益の226億円となりました。
化学品
中間利益は、石油化学品取引の改善により、前年同期比50億円増益の71億円となりました。
金属
中間利益は、前年同期比196億円減益の596億円となりました。これは、鉄鋼製品事業の減益並びに商品価格の下落に伴う豪州原料炭事業及び豪州鉄鉱石事業の減益等に加え、前年同期に計上した一過性の受取配当金の反動があったことによるものです。
エネルギー
中間利益は、トレーディング事業の減益等により、前年同期比46億円減益の145億円となりました。
電力
中間利益は、前年同期に計上した台湾発電所EPC(建設請負)案件に係る工事損失引当金の反動及び海外発電事業の増益等により、前年同期比39億円増益の318億円となりました。
インフラプロジェクト
中間利益は、前年同期に計上した海外水事業における一過性利益の反動により、前年同期比10億円減益の54億円となりました。
航空・船舶
中間利益は、航空関連事業における需要増加に伴う増益及び船舶市況の改善に伴う船舶保有運航事業の増益により、前年同期比64億円増益の185億円となりました。
金融・リース・不動産
中間利益は、米国中古車販売金融事業の減益があったものの、みずほリース社の関連会社化に伴う増益及び航空機リース事業の増益等により、前年同期比165億円増益の407億円となりました。
建機・産機・モビリティ
中間利益は、建設機械事業、産業設備事業及び自動車関連事業の減益により、前年同期比62億円減益の95億円となりました。
次世代事業開発
中間損失は、前年同期に計上したヘルスケア事業における一過性利益の反動により、前年同期比3億円悪化の5億円となりました。
次世代コーポレートディベロップメント
中間損失は、米国ライフスタイルブランド運営会社の子会社化による増益等により、前年同期比7億円改善の7億円となりました。
(2)キャッシュ・フロー及び財政状態の状況の分析、並びに資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比(以下「前年度末比」という。)319億円減少の4,744億円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業資金負担等の増加があったものの、営業収入及び配当収入により、2,518億円の収入となりました。前年同期比では333億円の収入の増加であります。
基礎営業キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローから、営業資金の増減等を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」は、3,059億円となりました。その内訳は以下のとおりであります。
(収入:+、支出:△)
調整後営業利益 (売上総利益+販売費及び一般管理費) |
+1,501億円 |
減価償却費等 |
+989億円 |
利息の受取額及び支払額 |
△302億円 |
配当金の受取額 |
+1,120億円 |
法人所得税の支払額 |
△249億円 |
基礎営業キャッシュ・フロー |
+3,059億円 |
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
持分法適用会社の株式取得や海外事業における資本的支出等により、4,421億円の支出となりました。前年同期比では2,232億円の支出の増加であります。
回収
当中間連結会計期間における投資の回収等(*1)による収入は、425億円となりました。
(*1)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の売却による収入」、「貸付金の回収による収入」、「子会社の売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)」及び「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の売却による収入」の合計額
新規投資・CAPEX(資本的支出)
当中間連結会計期間における新規投資・CAPEX(資本的支出)等(*2)による支出は、4,846億円となりました。
(*2)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の取得による支出」、「貸付による支出」、「子会社の取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)」、「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の取得による支出」及び「定期預金の純増減額」の合計額
ビジネスモデル別の主な新規投資は以下のとおりであります。
セールス&マーケティング事業
・スペシャリティ油脂の加工・販売事業(米国 Gemsa Enterprises)
・電子部品卸売事業(シンガポール DTDS Technology)
・ライフスタイルブランド運営事業(米国 R.G.Barry)
・食品原料・機能性食品素材の製造・販売事業(ベトナム AIG Asia Ingredients)
ファイナンス事業
・フリートマネジメント事業(米国 Donlen(Wheels事業))
・みずほリース株式追加取得(日本 みずほリース)
・航空機リース事業(米国 Aircastle)
安定収益型事業
・再生可能エネルギー等発電事業
資源投資
・チリ・センチネラ銅鉱山の拡張プロジェクト
以上により、当中間連結会計期間のフリーキャッシュ・フローは、1,903億円の支出となりました。前年同期比では1,899億円の支出の増加であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払及び自己株式の取得を行ったものの、社債及び借入金等による調達を行った結果、1,812億円の収入となりました。前年同期比では3,216億円の収入の増加であります。
当中間連結会計期間における資本配分の状況は以下のとおりであります。
当中間連結会計期間における基礎営業キャッシュ・フローは3,059億円の収入となり、子会社や持分法で会計処理される投資の売却等の投資活動による収入と合わせた収入合計額は3,484億円となりました。一方で、新規投資・CAPEX等の投資活動による支出は4,846億円となり、更に親会社の株主に対する配当金及び自己株式の取得資金1,229億円を控除した株主還元後フリーキャッシュ・フロー(営業資金増減等を除く)(*3)は、2,590億円の支出となっております。
(*3)基礎営業キャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額から、親会社の株主に対する配当金及び自己株式の取得資金を控除したもの。
② 財政状態の状況
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(単位:百万円) |
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前連結 会計年度末 |
当中間連結 会計期間末 |
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増減 |
|||
総資産 |
8,923,597 |
8,577,588 |
|
△346,009 |
|||
ネット有利子負債 |
1,902,395 |
2,160,173 |
|
257,778 |
|||
親会社の所有者に帰属する持分合計 |
3,459,682 |
3,389,447 |
|
△70,235 |
|||
ネットDEレシオ |
0.55 |
倍 |
0.64 |
倍 |
|
0.09 |
ポイント |
(注)ネット有利子負債は、社債及び借入金(流動・非流動)の合計額から現金及び現金同等物、定期預金を差し引いて算出しております。
当中間連結会計期間末における総資産は、持分法投資の増加があったものの、円高の影響及び棚卸資産の減少等により、前年度末比3,460億円減少の8兆5,776億円となりました。ネット有利子負債は、フリーキャッシュ・フローでの支出に加え、支払配当や自己株式の取得による増加があったこと等により、前年度末比2,578億円増加の2兆1,602億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分合計は、純利益の積上げによる利益剰余金の増加があったものの、円高による在外営業活動体の換算差額の減少により、前年度末比702億円減少の3兆3,894億円となりました。この結果、ネットDEレシオは0.64倍となりました。
③ 資金調達の方針及び手段
当社及び連結子会社の資金調達に関しては、資産構成に合わせた最適資金調達を基本方針としております。
銀行、生保等の国内金融機関を中心とした間接調達、及び社債(国内社債発行登録枠2,000億円を設定)、コマーシャル・ペーパーの発行を通じた直接調達をバランスよく組み合わせることにより、必要資金を確保するとともに、長年にわたり金融機関・市場関係者と培った関係性を活かしながら、安定的な資金調達と金融費用の削減を目指しております。
また、財務基盤の強化に資する調達として、ハイブリッド社債(劣後特約付)750億円、ハイブリッドローン(コミット型劣後特約付)250億円を有しております。
連結子会社を含む当社グループの資金管理については、原則として、当社及び国内外の金融子会社、海外現地法人等の調達拠点を通じて、資金余剰のあるグループ会社の余資を、他のグループ会社の資金需要に機動的に活用することで、グループ全体における効率的な調達体制を維持しております。
格付について、当社はムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody's)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の4社から格付を取得しております。
当中間連結会計期間末現在の長期格付は、Moody'sがBaa1(見通し「安定的」)、S&PがBBB+(見通し「安定的」)、R&IがAA-(見通し「安定的」)、JCRがAA(見通し「安定的」)となっております。
④ 流動性の状況
当社及び連結子会社では、基礎営業キャッシュ・フロー等の収入や手元流動性(現金及び現金同等物並びに定期預金の保有)の確保に加え、コミットメントラインの設定により、営業資金や新規投資・CAPEX(資本的支出)といった資金需要、並びに1年以内に返済予定の長期債務を含む短期債務に対する流動性を準備しております。
当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物並びに定期預金の残高は4,746億円となっております。
設定しているコミットメントラインは以下のとおりであります。
・大手邦銀を主としたシンジケート団による3,000億円(長期)
・欧米主要銀行を主としたシンジケート団による850百万米ドル(長期)
(3)重要性がある会計方針及び見積り
要約中間連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第4 経理の状況」における「1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表に対する注記2 作成の基礎 (3)見積り及び判断の利用」及び「同 注記3 重要性がある会計方針」に記載のとおりであります。
(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について、当中間連結会計期間において重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。
(将来に関する記述等についてのご注意)
本報告書に記載されている将来に関する記述は、当社が当半期報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。