第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績の状況

 当中間連結会計期間において、当社は、PTCJ-6Oホールディングス株式会社及びPTCJ-6Fホールディングス株式会社(ポラリス・キャピタル・グループ株式会社が設立した特別目的会社。以下「ポラリス・キャピタル・グループ」と総称します)に対して、オリンパステルモバイオマテリアル株式会社およびFH Ortho SAS社から構成される整形外科事業を譲渡することについて、ポラリス・キャピタル・グループとの間でプット・オプション契約を締結しました。これに伴い、当中間連結会計期間より、整形外科事業に関わる損益を非継続事業に分類しており、前中間連結会計期間についても同様の形で表示しています。なお、売上高、営業利益、調整後営業利益、税引前中間利益、継続事業からの中間利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、中間利益及び親会社の所有者に帰属する中間利益については、継続事業及び非継続事業を合算した数値を表示しています。

 また、当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他事業」の3区分を報告セグメントとしていましたが、整形外科事業が非継続事業に分類されたことにより、継続事業に含まれる、整形外科事業以外の「その他事業」について当期見込まれる財務情報の金額的な重要性が低下するため、「報告セグメント」より除外しています。そのため、当中間連結会計期間より報告セグメントを「内視鏡事業」及び「治療機器事業」の2区分に変更しており、前中間連結会計期間についても同様の形で表示しています。

 なお、上記のプット・オプション契約に基づき、整形外科事業については、2024年7月12日に譲渡を完了しました。

 

業績全般に関する動向

 当中間連結会計期間における世界経済は、持ち直しの動きが継続しましたが、欧米において金利水準が高い状況が続いていることや、中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響、中東地域をめぐる情勢など、海外景気の下振れリスクを注視する必要があります。わが国経済においても、景気は緩やかに持ち直している一方で、為替の変動による影響が発生しており、世界経済の先行きを注視する必要があります。

 こうした環境下にあるものの、当社グループは、2023年5月に公表した経営戦略に沿って、「患者さんの安全と持続可能性」「成長のためのイノベーション」「生産性の向上」という3つの優先事項のもと、グローバル・メドテックカンパニーへの変革に向けて引き続き取り組んでいます。

 

業績の状況

以下(1)から(10)は継続事業の業績を、(11)は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ示しています。

(単位:百万円)

 

前中間連結

会計期間

当中間連結

会計期間

増減額

増減率

(1)売上高

431,593

474,029

42,436

9.8%

(2)売上原価

146,363

151,073

4,710

3.2%

(3)販売費及び一般管理費

218,481

237,907

19,426

8.9%

(4)持分法による投資損益/

その他の収益/その他の費用

△62,982

△14,519

48,463

(5)営業利益

3,767

70,530

66,763

(6)調整後営業利益

66,515

85,068

18,553

27.9%

(7)金融損益

△5,818

△1,725

4,093

(8)税引前中間利益(△は損失)

△2,051

68,805

70,856

(9)法人所得税費用

10,217

19,542

9,325

91.3%

(10)継続事業からの中間利益(△は損失)

△12,268

49,263

61,531

(11)親会社の所有者に帰属する中間利益

216,296

48,978

△167,318

△77.4%

為替レート(円/米ドル)

141.00

152.63

11.63

為替レート(円/ユーロ)

153.39

165.95

12.56

為替レート(円/人民元)

19.75

21.15

1.40

(1)売上高

 前年同期比424億36百万円増収の4,740億29百万円となりました。内視鏡事業、治療機器事業ともに増収となりました。詳細は下段の「セグメント別の動向に関する分析」に記載しています。

(2)売上原価

 前年同期比47億10百万円増加の1,510億73百万円となりました。売上原価率は、前期に内視鏡事業で引当計上していた小腸内視鏡システムなどの自主回収に伴う費用約50億円がなくなったことにより、31.9%と前年同期比2.0ポイント良化しました。

(3)販売費及び一般管理費

 前年同期比194億26百万円増加の2,379億7百万円となりました。主な要因は、次世代内視鏡システムなどに関わる研究開発費や、総合的な品質変革プログラム Elevateに関する費用の増加です。

(4)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用

 持分法による投資損益、その他の収益およびその他の費用の合算で145億19百万円の費用となり、前年同期比で損益は484億63百万円改善しました。その他の収益に関しては、当社の連結子会社であるOlympus (Shenzhen) Industrial Ltd.と深圳市安平泰投资发展有限公司との間で和解が成立したことに伴い、訴訟等に係る損失に備えるため過去に見積もり計上した引当金の戻入額約13億円を計上しており、前年同期比で、14億66百万円増加しました。その他の費用に関しては、当期は社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用約28億円を計上したものの、前期に計上していたVeran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約496億円がなくなったことに加え、総合的な品質変革プログラムElevateに係る一時的な費用が約9億円減少し、前年同期比で467億44百万円減少しました。

(5)営業利益

 上記の要因により、前年同期比667億63百万円増益の705億30百万円となりました。

(6)調整後営業利益

 営業利益からその他の収益およびその他の費用を除外した調整後営業利益は、上記の要因により、前年同期比185億53百万円増益の850億68百万円となりました。

(7)金融損益

 金融収益と金融費用を合わせた金融損益は17億25百万円の損失となり、前年同期比で40億93百万円改善しました。損益の改善は、主として為替差損が減少したことによるものです。

(8)税引前中間利益

 上記の要因により、前年同期比で708億56百万円増加し688億5百万円となりました。

(9)法人所得税費用

 税引前中間利益が増加したことにより、前年同期比で93億25百万円増加し195億42百万円となりました。

(10)継続事業からの中間利益

 税引前中間利益が増加したことにより、前年同期比で615億31百万円増加し492億63百万円となりました。

(11)親会社の所有者に帰属する中間利益

 前中間連結会計期間に非継続事業において科学事業の譲渡益約3,490億円を計上したことにより、前年同期比で1,673億18百万円減少となる489億78百万円となりました。

 

(為替影響)

 為替相場は前年同期と比べ、対米ドル、ユーロ及び人民元は円安で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=152.63円(前年同期は、141.00円)、1ユーロ=165.95円(前年同期は、153.39円)、1人民元=21.15円(前年同期は、19.75円)となり、売上高では前年同期比303億47百万円の増収要因、営業利益では前年同期比152億36百万円の増益要因、調整後営業利益では前年同期比158億88百万円の増益要因となりました。

 

セグメント別の動向に関する分析

[内視鏡事業]

(単位:百万円)

 

前中間連結

会計期間

当中間連結

会計期間

増減額

前年同期比

売上高

270,867

298,706

27,839

10.3%

営業損益

50,909

62,554

11,645

22.9%

 

 内視鏡事業の連結売上高は、2,987億6百万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は、625億54百万円(前年同期比22.9%増)となりました。

 消化器内視鏡分野では、反腐敗運動などの影響を受けた 中国で売上が減少した一方、消化器内視鏡システム「EVIS X1」の販売が好調な北米で売上が増加し、前年同期比プラス成長となりました。

 外科内視鏡分野では、中国で減収となった一方、欧州で増収となり、外科内視鏡システム「VISERA ELITEIII」などが堅調に推移した結果、為替の円安効果もあって前年同期比プラス成長となりました。

 医療サービス分野では、保守サービスを含む既存のサービス契約の安定的な売上に加えて、新規契約の増加もあり、欧州や北米を中心に、全ての地域で前年同期比プラス成長となりました。

 内視鏡事業の営業損益は、次世代内視鏡システムなどに関わる研究開発費や、総合的な品質変革プログラム Elevateに関する費用の増加に加え、その他の費用として、社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用約11億円を計上したものの、増収による売上利益の増加や、前期に引当計上していた小腸内視鏡システムなどの自主回収に伴う費用約50億円がなくなったことにより、増益となりました。

 

[治療機器事業]

(単位:百万円)

 

前中間連結

会計期間

当中間連結

会計期間

増減額

前年同期比

売上高

159,698

175,038

15,340

9.6%

営業損益

△28,542

26,846

55,388

 

 治療機器事業の連結売上高は1,750億38百万円(前年同期比9.6%増)、営業利益は、268億46百万円(前年同期は、285億42百万円の営業損失)となりました。

 治療機器事業では、注力三領域である、消化器科(処置具)分野、泌尿器科分野、呼吸器科分野のすべての分野で、北米や欧州を中心にプラス成長となりました。

 消化器科(処置具)分野では、膵管や胆管などの内視鏡診断・治療に使用するERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影術)用の製品群などで売上が増加しました。

 泌尿器科分野では、尿路結石用破砕装置「SOLTIVE SuperPulsed Laser System」や、BPH(前立腺肥大症)用の切除用電極の売上が増加しました。

 呼吸器科分野では、EBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下針生検)で主に使われる処置具や超音波気管支鏡が好調に推移しました。

 その他の治療領域では、他社製品の取り扱い終了の影響を受けた日本などで、減収となりました。

 治療機器事業の営業損益は、研究開発費や、総合的な品質変革プログラム Elevateに関する費用が増加したものの、その他の費用として、前期に計上していたVeran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約496億円がなくなったことや、増収による売上利益の増加により、増益となりました。

 

(2)財政状態の状況

[資産]

 当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末から1,675億71百万円減少し、1兆3,666億45百万円となりました。流動資産では、自己株式の取得のための預託金の増加により、その他の金融資産が191億60百万円増加した一方で、自己株式の取得による支出とその預託金の増加750億1百万円や借入金の返済500億35百万円を主因に現金及び現金同等物が950億64百万円、営業債権及びその他の債権が307億69百万円、また、法人所得税の還付を主因に未収法人所得税が344億25百万円減少しています。非流動資産では、有形固定資産が104億88百万円減少しています。

 

[負債]

 負債合計は、前連結会計年度末から1,134億77百万円減少し、6,635億53百万円となりました。借入金の返済により、社債及び借入金が541億34百万円、未払費用の減少等によりその他の流動負債が369億88百万円減少しています。

 

[資本]

 資本合計は、前連結会計年度末から540億94百万円減少し、7,030億92百万円となりました。親会社の所有者に帰属する中間利益により489億78百万円増加した一方で、自己株式の取得564億65百万円および剰余金の配当209億81百万円を実施したこと、また、在外営業活動体の換算差額を中心にその他の資本の構成要素が265億71百万円減少したことが主な要因です。

 また、当社は2023年11月9日開催の取締役会決議に基づき、2024年4月30日に自己株式771億61百万円の消却を行っています。一方で、2024年5月10日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得564億65百万円を行ったこと等により、自己株式は221億43百万円減少(資本におけるプラス表示額の拡大)しています。

 

 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の49.4%から51.4%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から950億64百万円減少し、2,458億69百万円となりました。当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、937億12百万円の増加(前中間連結会計期間は117億77百万円の減少)となりました。未払費用の支払を主因としたその他の支出274億70百万円により減少した一方で、税引前中間利益688億5百万円や減価償却費及び償却費の調整330億91百万円、法人所得税の還付195億32百万円等により増加しています。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、300億23百万円の減少(前中間連結会計期間は4,127億1百万円の増加)となりました。有形固定資産の取得に伴う支出207億41百万円、無形資産の取得による支出95億9百万円等が主な要因です。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,567億41百万円の減少(前中間連結会計期間は1,254億22百万円の減少)となりました。自己株式の取得による支出とその預託金の増加(キャッシュ・フローにおけるマイナス表示額の拡大)750億1百万円、借入金の返済500億35百万円、配当金の支払209億81百万円を行ったことが主な要因です。

 

(4)事業上および財務上の対処すべき課題

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
 なお、当中間連結会計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、432億6百万円です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は以下のとおりです。

 

(整形外科事業の譲渡)

 当社は、2024年5月27日付で、PTCJ-6Oホールディングス株式会社及びPTCJ-6Fホールディングス株式会社(ポラリス・キャピタル・グループ株式会社が設立した特別目的会社で以下、「ポラリス・キャピタル・グループ」と総称します)に対して、当社の連結子会社であるオリンパステルモバイオマテリアル株式会社およびFH Ortho SAS社(以下、「FHOグループ」)から構成される整形外科事業を譲渡することについて、ポラリス・キャピタル・グループとの間でプット・オプション契約を締結しました。また、当該契約に基づき、2024年7月12日付で本事業譲渡を完了しました。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記 15. キャッシュ・フロー情報(整形外科事業の譲渡)」に記載の通りです。