当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
なお、重要事象等は存在しておりません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド市場などにおいて景気回復が見られる一方、原材料・エネルギー価格の上昇が継続し、物価高による消費マインドの停滞や、不安定な国際情勢等により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループはパーパスである「おいしい!の笑顔をつくる」をさらに発揮するため2024年度より中期経営計画「Value Innovation 2026(新価値創造)」に沿って活動しております。その変革課題を「2030年を見据えた成長戦略の実行と経営基盤の強化」と定め、2030年へ向かってステークホルダーの皆さまと共に持続的な成長を志し、特色ある価値創造企業として社会から共感いただける井村屋グループを目指してまいります。
初年度となる2024年度は活動方針を「先義後利 そして備えよ常に!」として、長期的な視点で、社会貢献を重視する企業経営を行い、目標達成に向けた活動に取り組んでおります。
2024年9月には、三重県大台山系有数の渓谷である「香肌峡」に採水場「めぐるるの郷」をグランドオープンいたしました。日本では稀有な硬水の採水地であり、水資源の重要性を考慮して、保全・整備を行い、更なる活用を進めてまいります。
当中間連結会計期間における当社グループの売上高については、井村屋株式会社の菓子カテゴリーや夏場の主力となる冷菓カテゴリーの売上が増加しました。また、井村屋フーズ株式会社におけるOEM商品の受注が順調に推移しました。その結果、連結売上高は、243億85百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
損益面では、引き続き原材料価格や物流費用が上昇する中、商品価格の改定を行うとともに、継続した生産性向上活動によるコスト削減を図ったことで営業利益率が向上しました。
以上の結果、営業利益は14億33百万円(前年同期比29.8%増)となり、営業外損益に為替差損1億7百万円(前年同期は為替差益2億6百万円)を計上した影響により、経常利益は14億13百万円(同2.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は10億57百万円(同10.9%増)となりました。
各セグメントの概況は次のとおりであります。
① 流通事業
流通事業(BtoC事業)の中心となる井村屋株式会社では、菓子・冷菓・デイリーチルドの各カテゴリーで売上が増加しました。BtoB事業の井村屋フーズ株式会社では、スパウチ商品の受注が順調に推移しました。
以上の結果、流通事業の売上高は221億68百万円(前年同期比6.7%増)となり、セグメント利益は20億35百万円(同26.9%増)となりました。
流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。
(菓子カテゴリー)
防災対策への関心が高まる中、長期保存が可能な防災備蓄用商品「えいようかん」、「チョコえいようかん」の売上が増加しました。また、以前より取り組みを進めてきました独自の冷凍技術を活かし和菓子のおいしさをそのまま提供する冷凍和菓子では、新商品「井村屋謹製 たい焼き(つぶあん)」が引き続き好評をいただき、売上増加に貢献しております。「カステラ」や「どら焼き」は前年同期の鶏卵不足が解消し、販売数量の回復にて売上が増加しました。
以上の結果、菓子カテゴリーの売上高は46億88百万円(前年同期比30.1%増)となりました。
(食品カテゴリー)
炊飯器で炊くだけで簡単に調理ができる「お赤飯の素」の売上が増加し、「ごはんの素シリーズ」では、季節限定商品の新商品「栗入りさつまいもごはんの素」を発売し好評をいただいております。また、野菜を切って入れてレンジ調理するだけで、手軽に副菜が作れる「レンジで煮物シリーズ」も順調に売上が増加しております。井村屋フーズ株式会社の食品加工事業では、屋外活動向けのスパウチ商品の受託加工が順調に推移しました。
以上の結果、食品カテゴリーの売上高は29億36百万円(前年同期比0.8%増)となりました。
(デイリーチルドカテゴリー)
豆腐類では「美し豆腐」が順調に推移し、その他業務用商品も売上が伸長しました。また、家庭内食向けの「チルドパックまん」の売上が増加しました。
以上の結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は7億47百万円(前年同期比3.4%増)となりました。
(冷菓カテゴリー)
主力商品の「あずきバー」シリーズが猛暑の影響もあり好調に推移し、上期において過去最高の売上本数2億65百万本を記録しました。微細氷入りの「SHALILI」シリーズでは新商品「SHALILI クリームブリュレアイス」が売上増加に貢献しました。「やわもちアイスシリーズ」においても、季節限定で発売した「やわもちアイス 栗づくし」が好評を得ております。マレーシアのIMURAYA MALAYSIA SDN. BHD.ではマレーシア産ドリアンの最高級品種「猫山王(Musang King/ムサンキング)」を贅沢に使用した新商品「MOCHI MOCHI MUSANG KING DURIAN&DURIAN」を発売し、販路拡大に取り組んでおります。
以上の結果、冷菓カテゴリーの売上高は118億32百万円(前年同期比5.1%増)となりました。
(点心・デリカテゴリー)
「肉まんあんまん」などの点心・デリカテゴリーは、コンビニエンスストアへの導入が始まる8月が記録的な猛暑となり、9月に入っても高温が続いたこともあり売上は前年同期より減少しました。
以上の結果、点心・デリカテゴリーの売上高は16億99百万円(前年同期比15.7%減)となりましたが、「肉まんあんまん」は今年度発売60周年を迎え、本格的なシーズンに向けて感謝の気持ちを込めたキャンペーンを開始しており、最盛期での販売強化に取り組んでおります。
(スイーツカテゴリー)
スイーツカテゴリーでは、客数の回復とともに「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)」各店舗の売上は広尾店、京都伊勢丹店が前年同期を上回りました。また、「アンナミラーズ」では、8月にエキュート品川、9月には東京スカイツリータウン・ソラマチ(R)にポップアップショップを出店し多くのお客様にご来店いただきました。
以上の結果、スイーツカテゴリーの売上高は2億1百万円(前年同期比1.9%増)となりました。
(VISON(ヴィソン)カテゴリー)
VISON(ヴィソン)カテゴリーでは、三重県の水と酒米、酵母を使用し、テロワールに根差した日本酒の製造・販売を行う「福和蔵」と、和菓子を販売する「菓子舗井村屋」の2店舗を三重県多気町の大型商業リゾート施設VISON内にて運営しております。「福和蔵」については、発売以来、様々な品評会で受賞をいただいておりますが、2024年5月には令和5酒造年度全国新酒鑑評会において「福和蔵 純米大吟醸」が初の金賞を受賞し、8月には全国燗酒コンテスト2024(プレミアムぬる燗部門)において「福和蔵 純米酒」が最高金賞を受賞するなど高い評価をいただきました。「菓子舗井村屋」においては、「酒々(ささ)まんじゅう 芳醸菓」や特色のある季節限定商品を販売し、好評を得ております。
以上の結果、VISON(ヴィソン)カテゴリーの売上高は62百万円(前年同期比8.7%増)となりました。
② 調味料事業
国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、得意先の内製化によるOEM(受託加工)売上の減少、そして夏場の猛暑による影響でスープ市場の需要が減速しました。コスト管理面では原材料の値上げに伴う販売価格の見直しを進め、昨年設備投資した新工場スプレードライヤー6号機はフル稼働に入り、生産性向上と環境負荷低減を図りつつ、利益確保に注力しました。
中国での調味料事業は、個人消費の低迷等から中国国内の売上が伸び悩みました。
以上の結果、調味料事業の売上高は21億7百万円(前年同期比0.6%増)となり、セグメント利益は2億80百万円(同10.5%減)となりました。
③ その他事業
イムラ株式会社においてSDGsの一環として井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」は、引き続き地域のお客様に好評をいただいております。また、「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」においては、季節のデザートなども販売し売場の活性化を図りました。
以上の結果、井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は1億9百万円(前年同期比1.5%減)となり、セグメント利益は人件費の上昇要因もあり18百万円(同24.8%減)となりました。
(2) 財政状態の状況
当中間連結会計期間の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は376億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億11百万円の減少となりました。流動資産は、最盛期に向けた秋冬商品の供給体制を確実にするための製品在庫の増加があった一方で、売掛金の回収による減少などにより、47百万円減の143億79百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の減価償却などにより、3億63百万円減の232億99百万円となりました。
負債は161億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億62百万円の減少となりました。流動負債は、短期借入金の返済などにより、7億93百万円減の136億9百万円となりました。固定負債は、繰延税金負債の減少などにより、1億69百万円減の25億12百万円となりました。
純資産は親会社株主に帰属する中間純利益の計上などにより、5億51百万円増の215億57百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、11億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億68百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動による資金の増加は32億23百万円(前年同期は16億8百万円の減少)となりました。この増加の主な要因は、前中間連結会計期間末日が金融機関の休日だったことによる売上債権の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動による資金の減少は8億78百万円となり、前年同期に比べ、支出は8億37百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動による資金の減少は25億55百万円(前年同期は26億89百万円の増加)となりました。この減少の主な要因は、短期借入金の返済が増加したことによるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
第3四半期に向けて、下期の主力商品となる点心・デリ商品類の売上増加など、順調に推移する見込みではありますが、不安定な世界情勢を背景に原材料価格や物流コストの上昇が続いており、消費動向も依然として先行き不透明な状況を慎重に考慮し、2024年5月9日付の「2024年3月期決算短信」において公表いたしました業績予想につきましては現時点では変更はありません。
ただし、今後の業績推移等によって通期業績予想の見直しが必要と判断した場合には、速やかに開示いたします。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は2億43百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。