第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、第55期からの新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う、政府による緊急事態宣言の発出、外出自粛要請や埋葬の選択肢の多様化等の影響を受け、お墓事業においては来園者(見学者)数の急減、葬祭事業においては会葬者が激減した結果、業績が急速に悪化しました。

さらに、宗教法人が納骨堂を開発する際の資金の一部を当社が債務保証しており、宗教法人との契約に基づく納骨堂の販売が計画通りに進捗しなかったため、債務保証の履行により、当社の資金繰りを圧迫しました。

そのため当社は、借入金の返済について取引金融機関と協議し、当面の返済について猶予を受けることで合意しました。

しかしながら、依然として手元流動性資金の確保に支障が生じる可能性があることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在するものの、このような状況を速やかに解消するため、より効率的且つ効果的な広告媒体の選定を含む営業施策を抜本的に見直すことにより、納骨堂の拡販を図り当該リスクに対処して参ります。

資金面につきましては、手元流動性の確保に努めるべく全ての取引金融機関と協議を行い、今後も継続的な支援が得られるよう交渉して参ります。

また、これらに限らず諸施策を遂行することにより、当該状況を早期に解消し、経営基盤の強化及び安定に努めて参ります。

この結果、当社には継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

当中間会計期間におけるわが国経済は、設備投資や名目賃金の増加、インバウンド消費の劇的な回復等、経済活動の正常化に向けた動きが見られたものの、足元では、円安に起因した物価高や実質賃金の減少等の要因による消費者の家計防衛意識は根強いものがあり、先行き不透明な状況を包含する形で終えました。

当社が属するメモリアル市場は、高齢者が増加傾向にあるにもかかわらず、お墓事業においては、埋葬の選択肢の多様化に伴い低価格帯の樹木葬等の需要が増加しており、旧来の一般墓の購入層は年々減少傾向にあります。

一方、首都圏の居住者が所有する故郷のお墓を引っ越しする需要は緩やかに増加しております。

こうした流れに対応すべく、当社は、消費者ニーズに寄り添った様々なお墓の形態を兼ね備えた霊園を提供するため、既存霊園の改造、増設を行うと同時に旧来の一般墓や国産墓石の販売強化や境内墓地の取り扱いを行うと共に、供養の全てを網羅した納骨堂(堂内陵墓)の販売拡大に取り組んでおります。

葬祭事業においては、超高齢化を背景に葬儀の簡素化が進むと共に、インターネット媒体を中心とした同業者間の価格競争により施行単価が伸び悩む傾向があるものの、コロナ禍により自粛傾向にあった通夜式を執り行うご葬家が戻ってきております。

このような環境下、当社は、「後悔のない葬儀式」を提供すべく魅力的なプランを開発し、低価格競争からの脱却を継続して行っております。

全社的マーケティング戦略としては、会報誌を春夏秋冬に配布することに加え、コロナ禍により少人数に限定していた終活セミナーやイベントを積極的に開催し受注に繋げる施策を継続して行うと同時に、さくら・あおい倶楽部会員に対して墓石、納骨堂、葬儀及び仏壇等を会員価格で提供するだけでなく、終活や葬儀後の諸手続きを総合的にお手伝いする「総合シニアライフサポート企業」として発展することを目指しております。

その一環として、これまで縦割りであった組織の変革を目的として、2024年7月1日に、お墓事業本部、葬祭事業本部及び終活事業部を営業本部に統合の上、営業本部の下に、本店営業部、東東京営業部、西東京営業部、神奈川営業部、中部・関西営業部を設置し、それぞれの拠点が当社における全てのサービスをご案内できる総合窓口となることにより横串の体制を整え、収益並びに企業価値の拡大に取り組んでおります。

しかしながら、当中間会計期間においては、円安に起因した物価高等による消費者の将来に対する不安は依然根強く、その煽りを受けたこと等の要因により前中間会計期間と比べ減収減益となりました。

この結果、当中間会計期間の経営成績は、売上高11億1千9百万円(前年同中間期比25.7%減)、営業損失6千9百万円(前年同中間期は営業利益1億7千2百万円)、経常損失8千1百万円(前年同中間期は経常利益1億3千8百万円)、中間純損失7千4百万円(前年同中間期は中間純利益2億9千万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

①お墓事業

a.屋外墓地

屋外墓地(一般墓、樹木葬を含む)につきましては、高齢者の増加により成約件数は堅調に推移しているものの、埋葬に対する価値観の変化や選択肢の多様化に伴い、高価格となる旧来の一般墓の購入層は年々減少傾向にあります。

それに対し、樹木葬や共有墓等の需要は急増しており、当社は、募集販売を受託している既存霊園の改造や増設、業務提携先である株式会社アンカレッジが得意とする花と眠る境内型樹木葬を共同開発する等、販売力強化に努めております。

また、「近隣で良いお寺があれば、ご先祖を含め永続的に供養をお願いしたい。」という消費者ニーズに対応すべく、「お寺と協同した供養の提供」を戦略とし、安心できるお寺をお探しの方と寺院を繋ぐため、前事業年度より「境内墓地」の取り扱いを開始し好評を得ております。

しかしながら、当中間会計期間は、消費者の節約志向等により施工単価が伸びず、収益は減少しました。

売上高は、3億7千3百万円(前年同中間期比38.7%減)となりました。

 

b.納骨堂

納骨堂につきましては、現在、第六号「赤坂一ツ木陵苑(東京都港区)」並びに第七号「大須陵苑(名古屋市中区)」の募集代行を行っております。

消費者が受け入れやすい価格且つ価値観を超える重厚な近代的設備を備えたお墓の形態であり、主要な駅から徒歩圏内という利便性も兼ね備えております。

また、赤坂一ツ木陵苑においてはデジタルサイネージ機能「家系樹」を実装しており、家系図、故人の情報を含むパネル式情報端末を作成しタッチパネルによる閲覧機能を兼ね備えた新たなサービスは、今後の納骨堂収益に寄与するものと確信をもって提供しております。

しかしながら、当中間会計期間は、来園者数が前年同中間期に比べ減少したことに伴い成約件数も減少しております。

売上高は、7千8百万円(前年同中間期比10.0%減)となりました。

 

②葬祭事業

葬祭事業につきましては、死亡者数が年々増加傾向にある中、ご葬家に対して後悔のない葬儀式を提供することを念頭に、魅力的なプランを開発し低価格競争からの脱却を図り、売上高並びに受注件数の増大に努めております。

それに加え、新たな取り組みとして、仏教の儀式に則った丁寧な葬儀を求めるご葬家の要望に応えるため、前事業年度に歴史ある寺院の本堂にて寺院の宗派の法式によって執り行える「本堂葬儀」を開発し、荘厳且つ格調高い葬儀を提供し好評を得ております。

しかしながら、当中間会計期間は、円安による物価高等に起因した消費者の節約志向の高まりから、一日葬等の受注比率が高まった結果、施行単価を押し下げました。

売上高は、6億6千6百万円(前年同中間期比17.6%減)となりました。

 

b.財政状態の状況

当中間会計期間末における財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(資産)

当中間会計期間末における流動資産は、前事業年度末に比べ、1億2千8百万円減少し、7億2千6百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金9千3百万円、完成工事未収入金1千4百万円及び売掛金1千3百万円の減少等によるものであります。

当中間会計期間末における固定資産は、前事業年度末に比べ、1億1千3百万円減少し、70億9千4百万円となりました。その主な要因は、差入保証金5千万円の増加、建物(純額)3千2百万円及び投資その他の資産のその他に含まれる保険積立金1億3千3百万円の減少等によるものであります。

この結果、総資産は、78億2千4百万円となり、前事業年度末に比べ2億4千2百万円減少いたしました。

 

(負債)

当中間会計期間末における流動負債は、前事業年度末に比べ、1億8百万円減少し、24億3百万円となりました。その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金4千3百万円、買掛金1千3百万円、流動負債のその他に含まれる預り金3千8百万円及び未払費用1千6百万円の減少等によるものであります。

当中間会計期間末における固定負債は、前事業年度末に比べ、6千万円減少し、6億3千9百万円となりました。その主な要因は、長期借入金3千7百万円及び退職給付引当金1千8百万円の減少等によるものであります。

この結果、負債合計は、30億4千2百万円となり、前事業年度末に比べ1億6千8百万円減少いたしました。

 

(純資産)

当中間会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べ、7千3百万円減少し、47億8千2百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金7千4百万円の減少等によるものであります。

この結果、自己資本比率は61.1%(前事業年度末は60.2%)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ9千3百万円減少し、1億8千9百万円となりました。

 

当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、8千6百万円(前年同中間期は7千6百万円の獲得)となりました。これは主に、営業収支による支出7千1百万円、利息の支払2千3百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は、8千万円(前年同中間期は3億8千4百万円の獲得)となりました。これは主に、保険積立金の解約による収入1億5千3百万円、差入保証金の純増による支出6千5百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、8千8百万円(前年同中間期は7億6百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出8千1百万円、短期借入金の純減による支出4百万円等によるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。