当中間連結会計期間において、経営者が当社グループの経営成績および財政状態などに影響をおよぼす可能性があると認識しているリスクについて、重要な変更および新たに発生したものはありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当中間連結会計期間においては、長期化する国際紛争や欧米における高金利水準の継続世界的な金融引き締め政策など、国際社会におけるさまざまな影響や世界経済の下振れリスクが生じています。国内においては、雇用・所得環境の改善のもと緩やかな景気回復が続くことが期待される一方、物価上昇による家計や企業への影響は今後も継続すると考えられ、引き続き国内外の情勢の動向を注視する必要があります。
そのような中、森永乳業グループにおいては「中期経営計画 2022-24」のもと、当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」の提供に努め、特に、国内外での健康ニーズの高まりを背景に、ヨーグルトや機能性素材をはじめさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大や、当社の保有するビフィズス菌の価値訴求に継続して取り組んでいます。
また、海外事業においては、主力となるMILEI GmbH(ミライ社)の安定的な利益貢献を軸に、パキスタン、米国、ベトナム地域での事業計画を着実に軌道に乗せるべく、中長期での成長を目指した取り組みを進めています。
一方で、原料価格および物流コストや人件費などの各種オペレーションコストについては、引き続きコストアップの影響を受けています。これに対し、引き続き価格改定の取り組みに継続して努めるほか、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをさらに推進させるなどの対応を図っています。
<当期の主な取り組み事項>
当期は「中期経営計画 2022-24」の最終年度となります。激変する環境に対応しながら、さらなる企業体質および事業の強化に努めるべく取り組みを進めています。
■ 原料乳・原材料・エネルギーコストおよび各種オペレーションコスト上昇への対応
➣ 価格改定、プロダクトミックス改善、合理化などあらゆる対応によりコスト上昇の影響を最小限に抑制
■ 「中期経営計画 2022-24」「サステナビリティ中長期計画2030」に沿った取り組みの推進
➣ 当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を追求した、お客さまのニーズに応える商品・高付加価値商品の提供とその価値訴求
➣ 栄養・機能性食品事業を中心に、ヨーグルトや機能性素材を始めとするさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大とビフィズス菌の価値訴求
➣ 海外事業の中長期的な成長に向けた取り組みの推進
➣ 当社グループの基盤となる主力食品事業の収益基盤の強化、BtoB事業の拡大
➣ 経営基盤のさらなる強化に向けた成長分野への投資
・2025年4月稼働予定:神戸工場製造棟増築
・2025年4月以降順次稼働予定:神戸工場アイス製造設備、ほか
➣ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
・2024年5月発表:「収益性・効率性の向上」、「バランスシート方針のアップデート」、「IR・コーポレートガバナンスの強化」の3点に取り組み、企業価値の向上を目指す
・特に「バランスシート方針のアップデート」に基づき、株主還元を強化
➣ サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み
・本業を通じた健康への貢献、気候変動・プラスチック問題など環境課題への対応、人権・多様性への配慮、グループ全体のサステナビリティ意識の浸透など
こうした取り組みの結果、当社グループの連結売上高は増収となりました。栄養・機能性食品事業および主力食品事業においては、ビバレッジなどの価格改定効果や、機能性ヨーグルト、「マウントレーニア」、アイスなどの高付加価値商品の提供に努めました。底堅い需要や価格改定効果を背景としたBtoB事業の増収などもあり、全体でも増収となりました。
連結の営業利益では、原料価格や物流費、人件費など各種オペレーションコストを中心に、引き続きコストアップの影響を受けました。これに対し、価格改定や利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進しました。海外事業は各海外子会社において中長期での成長を目指した取り組みを推進した一方、前期に大きく拡大したMILEI社の反動減やその他の子会社の回復の遅れなどもあり減益となりました。そのほか、売上拡大のための積極的な販促費支出や、主要国内子会社の減益影響などもあり、グループ全体では減益となりました。
また、親会社株主に帰属する中間純利益につきましては、前第1四半期に東京工場跡地売却による特別利益として657億円を計上したことなどにより大きく減益となりました。
2025年3月期中間期営業利益増減要因
セグメント別の状況
(単位:百万円)
食品事業:市乳、乳製品、アイス、飲料など
その他の事業:飼料、プラント設備の設計施工など
<森永乳業グループ10年ビジョンと「中期経営計画 2022-24」について>
当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を、2019年4月に制定しています。当ビジョンでは、「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ」「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ」「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」を10年後の当社グループのありたい姿と定め、「営業利益率7%以上」「ROE10%以上」「海外売上高比率15%以上」を2029年3月期の数値目標に設定しました。
・「森永乳業グループ10年ビジョン」
この考えのもと、2025年3月期までの3年間の「中期経営計画 2022-24」では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」、「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」、「効率性を重視した財務戦略」の3つを基本方針に定め、取り組んでいます。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのテーマにより2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めています。
中期経営計画の最終年度(2025年3月期)の数値目標については、売上高5,700億円、営業利益300億円、親会社株主に帰属する当期純利益190億円、売上高営業利益率5.3%、ROE(自己資本利益率)7.0%、海外売上高比率12.3%としています。(2024年5月14日時点)
・「中期経営計画 2022-24」全体像
・「サステナビリティ中長期計画2030」
中期経営計画の基本方針の1つ目「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」におきましては、①栄養・機能性食品事業、②主力食品事業、③BtoB事業、④海外事業の4本の柱それぞれを拡大させるとともに、特に「健康5領域」商品の拡大による横断的な健康価値提供の加速、当社独自の機能性素材・菌体の再飛躍、海外事業のポートフォリオ変革を進めています。事業活動を通じ「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を提供し、生活者の「健康」と「幸せ」に貢献してまいります。
基本方針の2つ目「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」におきましては、構造改革、戦略投資、資産活用の観点からそれぞれ取り組みを進めています。構造改革として、外部環境変化への耐性強化などに取り組んでいます。戦略投資として、研究開発機能の強化や、10年ビジョンを見据えた成長投資・環境関連投資などを進めています。資産活用の観点では、知的財産基盤の強化や、国産乳資源活用の推進を図っています。
基本方針の3つ目「効率性を重視した財務戦略」におきましては、成長投資の戦略的な実行、株主還元と財務体質にも留意した資金活用を目指すとともに、合わせて資本効率の視点を重視したROE改善を進めています。株主還元につきましては、財務の健全性、内部留保の重要性に留意しつつ、安定的かつ長期的な配当を実施することを基本方針とし、具体的には配当性向を30%(一過性要因を除く)とすることを目標にしています。合わせて総還元性向も意識した対応を実施してまいります。なお、保有する自己株式につきましては、基本的には消却しますが、将来の柔軟な資本政策に備えて一部を保有します。
加えて、2024年5月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を発表しました。ステークホルダーの期待に応え、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために「収益力・効率性の向上」、「バランスシート方針のアップデート」、「IR・コーポレートガバナンスの強化」の3点に取り組み、さらなるROEの向上、PBRの改善を目指してまいります。なお、本方針を踏まえ、「バランスシート方針のアップデート」に基づく株主還元強化策として、自己株式の取得と消却(2024年5月~10月取得:293万株、100億円)、一株当たり年間配当金の増額(2025年3月期:90円予想、前期比30円増)、中間配当制度の導入を実施します。
「中期経営計画 2022-24」における事業分野別(4本の事業の柱)業績概況
① 栄養・機能性食品事業:ヨーグルトは健康志向の高まりを背景に「ビヒダスヨーグルト」が好調に推移し、機能性ヨーグルトや「パルテノ」などの拡大にも継続して注力しました。育児用ミルクなどの栄養食品、流動食などを扱う森永乳業クリニコ社の寄与もあり、事業全体では増収となりました。また、中長期的な成長を見据え、ビフィズス菌等のプロモーションの強化にも継続的に取り組んでいます。
利益面では、原材料価格の上昇の影響やオペレーションコスト増加の影響を受け、プロダクトミックスの改善、コスト削減などに努めましたが、販売促進費等の増加もあり事業全体では減益となりました。
② 主力食品事業:原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、ビバレッジなどの価格改定効果や、「マウントレーニア」、アイスなどの高付加価値商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、コスト削減などに努め、事業全体では増収増益となりました。
③ BtoB事業:原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、底堅い需要や価格改定効果を背景に業務用乳製品が伸長し、事業全体でも増収増益となりました。また、菌体をはじめとする当社保有の機能性素材の拡販にも継続して努めています。
④ 海外事業:前第1四半期に大きく拡大したMILEI GmbH(ミライ社)の反動減の影響はありましたが、米国のMorinaga Nutritional Foods, Inc.(MNF社)が増収となり、菌体の輸出も堅調に推移するなどにより、事業全体では増収となりました。
利益面においては、MILEI社の反動減の影響やその他の子会社の回復の遅れなどにより事業全体で減益となりました。
2.キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間の各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ499億3千5百万円収入減の181億6千3百万円の支出となりました。主な要因は、税金等調整前中間純利益148億4千7百万円などがキャッシュ・フローの収入となり、法人税等の支払額236億8千7百万円などがキャッシュ・フローの支出となったことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ657億9千6百万円支出増の188億9千5百万円の支出となりました。主な要因は、固定資産の取得により185億8千7百万円の支出があったことなどによります。
これらを合計したフリーキャッシュ・フローは、前年同期に比べ1,157億3千2百万円減の△370億5千8百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ323億2千2百万円支出減の11億7千1百万円の収入となりました。主な要因は、社債の発行により198億9千1百万円の収入となり、社債の償還により100億円の支出及び自己株式の取得により89億1千9百万円の支出があったことなどによります。
これらの結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前年同期末に比べ397億7千9百万円減の291億7千6百万円となりました。
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
また、会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は、28億3千3百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間末の資産の部は、「現金及び預金」が減少したことなどから、合計では前連結会計年度末に比べ、227億6千4百万円減の5,432億3千3百万円となりました。
負債の部は、「社債」が増加した一方、「未払法人税等」や「退職給付に係る負債」が減少したことなどから、合計では前連結会計年度末に比べ、271億2千7百万円減の2,567億3千4百万円となりました。
純資産の部は、「自己株式」が増加した一方、「為替換算調整勘定」や「利益剰余金」の増加などにより、合計では前連結会計年度末に比べ、43億6千3百万円増の2,864億9千9百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の49.0%から51.7%となりました。
当社グループは、資金調達に際しては、内部資金を基本としながら、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行などの外部からの資金も利用しております。外部からの資金調達につきましては、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案してバランスのとれた調達を実施しております。なお、当社(提出会社)は機動的な資金調達および当社グループ全体の資金効率アップのため、金融機関11行と総額200億円のコミットメントライン契約を締結しております。調達した資金につきましては、経常設備投資および成長投資への支出と、財務安定性を維持(有利子負債コントロール)することにより基盤確保した上で、株主還元へ振り分けております。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。