当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
本項に記載した将来や想定に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営成績の状況
当中間連結会計期間における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景として、設備投資や個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、景気は緩やかな回復傾向となりました。しかしながら、海外景気の下振れ懸念に加えて、エネルギー価格の高止まりや継続的な物価上昇、住宅ローン金利の上昇懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いています。また、住宅投資に関しても、大規模な政府の住宅省エネ支援策により断熱製品を中心とした窓リフォーム市場の需要が創出されたものの、新築市場に関しては建築資材価格の高止まりなどに起因した住宅価格高騰による住宅取得マインドの低下などから、新設住宅着工戸数は持家を中心に低調に推移しました。
世界経済に関しては、欧州及び米国において高金利水準が継続したことや、不動産市場の低迷を受けた中国経済の減速などにより、依然として景気は先行き不透明な状況で推移しました。今後、欧州及び米国での政策金利引き下げ決定を背景としたインフレ圧力緩和により個人消費回復が期待される一方で、長期化するロシア・ウクライナ紛争や中東情勢の緊迫化等の地政学リスクの高まりなど、海外景気の下振れ懸念については引き続き状況を注視していく必要があります。
このような環境のもと、当中間連結会計期間の売上収益は、国内事業では大規模な補助金制度や販売施策の実施によるリフォーム関連売上の拡大に加え、価格改定効果の発現があったものの、新築向けについては需要低迷による新設住宅着工戸数の落ち込み影響を大きく受けた結果となりました。一方、海外事業では、高い金利水準の継続を背景として欧州及び米国の市場環境は引き続き低調であったものの、欧州において新商品の投入効果や販売施策の奏功による売上改善があったほか、中東・インドにおける需要も堅調に推移したことなどから、売上収益は7,397億75百万円(前年同期比1.0%増)の増収となりました。また、利益面においても、事業利益は105億11百万円(前年同期比18.9%増)、営業利益は98億80百万円(前年同期比49.0%増)とそれぞれ増益、利息負担の増加などにより金融費用が増加したものの、税引前中間利益も40億87百万円(前年同期比54.5%増)の増益となりました。しかしながら、法人所得税費用の増加により非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する中間損失は39億32百万円(前年同期は4億89百万円の親会社の所有者に帰属する中間利益)となりました。
当社グループでは、かねてより外部環境の変化に左右されにくい企業体質の構築に取り組んでおり、経営の基本的方向性である「LIXIL Playbook」で示した優先課題への対応に注力し、着実に前進しています。
特に国内事業においては、競争環境が平常化する中、シェアの回復に注力しています。加えて、アルミリサイクル率100%を実現した低炭素型アルミ形材「プレミアル(PremiAL)R100」に代表されるように、環境配慮型製品の拡充を進めています。先進的な技術と製品の提供を通じて、脱炭素化と循環型経済へ貢献していきます。
このような様々な取り組みを通じて、事業基盤をさらに強化し、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という当社グループの存在意義と持続的成長の実現に向けて邁進していく所存です。
セグメント別の概況は次のとおりです。なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前です。
[ウォーターテクノロジー事業]
主に水まわり製品を手がけるウォーターテクノロジー事業においては、国内事業は新設住宅着工戸数の落ち込みによる影響があったものの、価格改定効果の発現に加え、新商品展開による売上増加やリフォーム関連製品の売上が好調であったことなどから、対前年同期比で増収を確保しました。また、海外事業は主要市場である欧州及び米国における政策金利引き下げの住宅市場への影響は未だ限定的である一方で、欧州での新商品投入効果や販売施策による売上改善、中東・インドでの堅調な需要継続による販売拡大などに加え、為替換算による影響もあり、対前年同期比で増収となりました。その結果、同事業の売上収益は4,550億19百万円(前年同期比4.3%増)の増収となりました。
また、事業利益は国内事業のIT償却費をはじめとした販管費増加による影響を、リフォーム売上の増加と価格改定効果にてカバーするとともに、海外事業においても欧州・中東における売上改善や構造改革による効果が寄与したことなどから、152億38百万円(前年同期比107.7%増)の増益となりました。
[ハウジングテクノロジー事業]
主に国内にて住宅建材製品を展開するハウジングテクノロジー事業においては、窓リフォームの受注増加によりリフォーム売上が伸長した一方で、新設住宅着工戸数が大きく落ち込んだ影響や、前連結会計年度に一部事業の売却があったことなどから、売上収益は2,900億6百万円(前年同期比3.6%減)の減収となりました。
また、事業利益についても、売上減少の影響に加え、資材・エネルギー価格の高止まりによる原価や販管費の増加による影響を、リフォーム関連の売上増加や商品ミックス改善などにより補いきれなかったことから、138億37百万円(前年同期比25.7%減)の減益となりました。
(注)1.「事業利益」は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
2.「国内事業」「海外事業」については、当社グループの連結業績管理にて定義しているマネジメントベースの区分を使用しており、所在国による区分とは一部異なります。具体的には、ウォーターテクノロジー事業及びハウジングテクノロジー事業において、国内で管轄している一部の海外子会社を「国内事業」に含めています。
(2) 財政状態の状況
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて719億63百万円減少の1兆8,146億32百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末が期末休日であったことにより営業債権及びその他の債権が減少したことに加え、手元資金の平準化や為替換算に伴う影響などもあり、前連結会計年度末に比べて463億72百万円減少の6,844億6百万円となりました。非流動資産についても、主にのれん及びその他の無形資産に係る為替換算に伴う減少影響や、有形固定資産及び無形資産の減少があったことなどから、前連結会計年度末に比べて255億91百万円減少の1兆1,302億26百万円となりました。
また、資本は6,136億36百万円、親会社所有者帰属持分比率は33.7%(前連結会計年度末比0.4ポイント低下)です。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額です。
営業活動によるキャッシュ・フローは、403億91百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて684億92百万円の増加であり、この主な要因は、営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務、棚卸資産等の運転資本の変動によるものなどです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、短期貸付金の減少があったものの、主に有形固定資産及び無形資産の取得による支出があったことなどから167億43百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて33億34百万円の減少です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債発行をはじめとする有利子負債の調達と返済を機動的に行ったこと、配当金やリース負債の支払があったことなどから404億46百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて877億43百万円の減少です。
これらの結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて173億97百万円減少の1,070億88百万円です。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。
当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めています。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っています。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大のような想定外の事象により経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に短期資金の調達枠を設定しています。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めています。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針及び経営環境に重要な変更はありません。また、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についても重要な変更はありません。
なお、株式会社の支配に関する基本方針は、次のとおりです。
当社では、多数の株主に株式を中長期で保有していただくことが望ましいと考え、業績を向上し企業価値を高めて、株主の支持をいただけるような施策を打っています。よって、敵対的買収防衛策については、特に定めていません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は、12,904百万円です。
なお、当中間連結会計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。