当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、ウクライナ戦争やガザ地区を中心とした中東紛争の長期化による資源価格の高騰、物価上昇や為替相場の円安進行等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
また、当社事業と関連性が強い国内証券市場においては、当中間連結会計期間の日経平均株価は米国の景気減速懸念や急速な円高等から一時31,000円台まで下落したものの、国内の景気回復への期待等により概ね38,000円台(前年同期は31,000円台)を中心に推移しました。
このような経済状況のもと、当社グループにおいては株主・投資家との対話促進ニーズの高まりや来年4月からのプライム上場会社の日英同時開示の義務化等を背景に、Webサービスや英文翻訳等のIR関連サービスの受注が拡大したほか、上場会社のファイナンス関連製品や投資信託関連における販売会社向けのWebサイト等の販促ツールの受注が拡大しました。当社主力製品である株主総会招集通知は、2023年3月開催の株主総会から導入された電子提供制度により印刷ページ数が減少したものの、電子化の進展が想定よりも緩やかであったことに加え、個人株主数の増加に伴う印刷部数の増加や、電子化に対応するサービスの提供によりほぼ前年同期並みの売上にとどまりました。これらの結果、当中間連結会計期間の連結売上収益は前年同期比171百万円増(同1.0%増)の17,887百万円となりました。
利益面では株主総会招集通知の電子提供制度に対応するための初期コストの解消や、業務効率化に努めたこと等から、営業利益は前年同期比258百万円増(同8.9%増)の3,163百万円となりました。また、税引前中間利益は持分法適用関連会社の全株式譲渡に伴う持分法で会計処理されている投資の売却益1,411百万円を計上した結果、前年同期比1,660百万円増(同56.6%増)の4,595百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比1,139百万円増(同57.1%増)の3,132百万円となりました。
当社グループの事業セグメントは、「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおり、ディスクロージャー関連事業の単一セグメントでありますが、取扱製品を区分した売上収益の概況は、次のとおりであります。
① 上場会社ディスクロージャー関連
2023年3月開催の株主総会から導入された招集通知の電子提供制度の進展に伴い、当社主力製品である株主総会招集通知の印刷ページ数が減少しました。しかしながら電子化の進展が想定よりも緩やかであったことに加え、個人株主数の増加による印刷部数の増加や、制度変更に対応した新サービスの受注促進によりマイナス影響は軽微にとどまり、期初の計画を上回る結果となっております。
また、堅調な株式市場を背景にファイナンス関連製品の受注が増加したことに加えて、根強い業務効率化
ニーズにより開示書類作成アウトソーシングサービスが増収となりました。これらの結果、上場会社ディスク
ロージャー関連の売上収益は、前年同期比147百万円増(同1.8%増)の8,148百万円となりました。
② 上場会社IR・イベント関連等
株主・投資家との対話促進ニーズの高まりを背景に、Webサービスや株主総会ビジュアル化サービスの受注が拡大しました。また、来年4月からのプライム上場会社の日英同時開示の義務化を見据えた英文翻訳サービスが増収となりました。一方、株主通信は作成企業の減少に伴い減収となりました。これらの結果、上場会社IR・イベント関連等の売上収益は、前年同期比94百万円減(同1.6%減)の5,752百万円となりました。
③ 金融商品ディスクロージャー関連
投資信託関連においては、新NISAの導入に伴う個人投資家の増加を背景に、販売会社向けのWebサイト等の販促ツールの受注が拡大しました。一方、不動産証券関連において前年同期に比べて資金調達が減少したこと等に伴い関連製品の受注が減少したものの、増収要因がこれを上回った結果、金融商品ディスクロージャー関連の売上収益は前年同期比117百万円増(同3.5%増)の3,472百万円となりました。
④ データベース関連
データベース関連では、既存顧客との契約更改に際し一部単価ダウンがあったものの、主要顧客である大学を中心に単価アップや新規顧客の受注に努めました結果、データベース関連の売上収益は前年同期比1百万円増(同0.1%増)の516百万円となりました。
(製品区分別売上収益) |
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区分 |
前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) |
増減 (△印減) |
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金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
増減率 (%) |
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上場会社ディスクロージャー関連 |
8,000,642 |
45.2 |
8,147,712 |
45.5 |
147,070 |
1.8 |
上場会社IR・イベント関連等 |
5,845,947 |
33.0 |
5,752,221 |
32.2 |
△93,726 |
△1.6 |
金融商品ディスクロージャー関連 |
3,354,377 |
18.9 |
3,471,723 |
19.4 |
117,346 |
3.5 |
データベース関連 |
514,897 |
2.9 |
515,534 |
2.9 |
637 |
0.1 |
合計 |
17,715,863 |
100.0 |
17,887,190 |
100.0 |
171,327 |
1.0 |
(注)金額は販売価格によっております。
なお、当社グループは事業の性質上、業績に次のとおり季節的変動があります。
(中間連結会計期間の季節性)
当社グループの売上収益の約3分の2を占める事業会社向け製品・サービスは、顧客の約60%が3月決算会社であるため、決算及び株主総会関連製品の受注が4-6月に集中します。このため、下表のとおり4-6月の売上収益が約4割を占め、7-9月の売上収益は2割以下にとどまります。
(参考)2024年3月期 |
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4-6月 |
7-9月 |
10-12月 |
1-3月 |
年度計 |
売上収益 (百万円) |
11,800 |
5,916 |
6,275 |
6,126 |
30,117 |
構成比 (%) |
39.2 |
19.7 |
20.8 |
20.3 |
100.0 |
(利益の概況)
当中間連結会計期間の売上収益は、上場会社IR・イベント関連等を除く各製品区分において前年同期を上回り171百万円増加となりました。売上原価は株主総会招集通知の電子提供制度の進展により用紙代が減少したものの用紙代を含めた資材コスト等の単価上昇が続いていること、受注拡大により労務費が増加したことで前年同期比37百万円増(同0.4%増)の10,565百万円となりました。一方、売上原価率は前述の電子提供制度に対応するための初期コストの解消や、業務効率化に努めたことで前年同期比0.3ポイント減の59.1%となりました。これらの結果、売上総利益は前年同期比134百万円増(同1.9%増)の7,322百万円となりました。販売費及び一般管理費は主に販売促進費の減少により、前年同期比94百万円減(同2.2%減)の4,217百万円となり、販売費及び一般管理費率は前年同期比0.7ポイント減の23.6%となりました。これらの結果、営業利益は前年同期比258百万円増(同8.9%増)の3,163百万円となりました。
また、金融収益44百万円、金融費用23百万円をそれぞれ計上したほか、持分法適用関連会社の全株式譲渡に伴う持分法で会計処理されている投資の売却益1,411百万円を計上した結果、税引前中間利益は前年同期比1,660百万円増(同56.6%増)の4,595百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する中間利益は、前年同期比1,139百万円増(同57.1%増)の3,132百万円となりました。
なお、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、前年同期の関連する数値について暫定的な会計処理の確定の内容を反映させています。
(2)財政状態の状況
当中間連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,059百万円増加し41,643百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の増加5,217百万円、営業債権及びその他の債権の減少584百万円及び持分法で会計処理されている投資の減少974百万円等であります。
当中間連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ743百万円増加し13,744百万円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の減少681百万円、未払法人所得税等の増加939百万円、契約負債の増加840百万円であります。
当中間連結会計期間末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,317百万円増加し27,899百万円となりました。主な要因は、親会社の所有者に帰属する中間利益3,132百万円の計上による増加、その他の包括利益359百万円の損失計上による減少及び剰余金の配当459百万円による減少等であります。この結果、親会社所有者帰属持分比率は、66.9%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5,217百万円増加し、14,669百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は4,524百万円(前年同期は5,141百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税引前中間利益4,595百万円に対し、非資金損益項目等の調整を加減した営業取引による収入5,123百万円、利息及び配当金の受取額41百万円等であり、支出の主な内訳は、法人所得税の支払額632百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、得られた資金は1,584百万円(前年同期は909百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出155百万円、無形資産の取得による支出632百万円であり、収入の主な内訳は、持分法で会計処理されている投資の売却による収入2,385百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は880百万円(前年同期は817百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、リース負債の返済による支出388百万円、配当金の支払額459百万円等であります。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、前連結会計年度の有価証券報告書に記載の課題及び課題に対する当中間連結会計期間中の主な進捗状況は以下のとおりであります。
(会社の対処すべき課題)
事業環境が大きく変化するなかで、事業領域の拡張、競争力・収益力・顧客満足の向上に努めてまいります。
① 株主総会プロセスの電子化・開示制度の変化に対応した中核ビジネスの強化と拡張
・2023年3月開催の株主総会から導入された招集通知の電子提供制度に対応し、お客様の実務負荷を軽減し、Web・印刷両面で株主への情報提供・対話の充実に寄与する「招集通知電子化対応サービス」の機能拡張および受注拡大を推進。
② 制作・製造プロセスの電子化対応と生産性向上・収益性改善
・上記「招集通知電子化対応サービス」の対応に加え、製品・サービスの多様化に対応する制作体制を強化するとともに、各制作・製造工程における工数管理とデジタル化を促進。
③ DX・働き方改革に対応したシステム・コンサルティング・BPOサービス強化
・開示書類作成支援システム「PRONEXUS WORKS」の継続的なバージョンアップと監査対応の効率化を図るための機能を開発。
・投資信託書類作成支援システム「PRONEXUS FUND DOCUMENT SYSTEM」の機能を拡張。
・根強い業務効率化ニーズに対応するため、開示BPOサービスの提供体制強化・受注拡大を図る。
④ 非財務情報開示の充実に対応したコンサルティング・英文開示・Webサービスの拡大と体制強化
・2025年4月からのプライム上場会社を対象とした日英同時開示の義務化に備え、連結子会社である日本財務翻訳株式会社を中心に英文翻訳サービス体制強化・生産性向上を推進。
・サステナビリティ情報開示の義務化および充実に対応し、コンサルティングサービスの拡充や専門人財の獲得・育成に注力。
⑤ グループ事業の強化と新たなビジネス領域の拡大
・2023年3月に連結子会社化したイベント映像機材・運営支援会社である株式会社シネ・フォーカスとともに、既存の株主総会支援サービスおよび株主総会以外のイベント事業を強化。
・人財採用分野でトータルサポートを展開する業務提携先との連携強化により、採用ツールを中心とした受注促進を図る。
⑥ ESG・サステナビリティ経営への取り組み
・サプライチェーン全体の一層の価値向上のため、「パートナーシップ構築宣言」を改訂。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間において、該当事項はありません。
当社は、2024年4月15日開催の取締役会において、持分法適用関連会社である株式会社ミツエーリンクスの全保有株式を譲渡することを決議し、同日、同社代表取締役である髙橋仁氏と株式譲渡契約を締結いたしました。
この譲渡取引は2024年4月26日に完了し、当中間連結会計期間において当社は株式会社ミツエーリンクスを持分法適用関連会社から除外し、持分法で会計処理されている投資の売却益1,411百万円を計上しております。