(1)市場環境の変化と全体像
雇用の流動化やはたらき方・はたらく価値観の多様化など、個人のパワーシフトを背景に、個人が自らのキャリアを主体的に描き、仕事だけでなく人生もキャリアの一部と捉えた上で、はたらくことを通じてその人自身が感じる幸せや満足感“はたらくWell-being”を求める時代へと変化しております。また、業務のリモート化、自動化・省人化、データによる分析・最適化などの急速なテクノロジーの進化により、人とテクノロジーの共創による経営進化が求められる時代となっております。
当社は、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を掲げ、多様なはたらき方や学びの機会の提供を通じて、一人ひとりの選択肢を広げ、はたらく自由を広げることで、個人と社会の幸せを広げる「“はたらくWell-being”創造カンパニー」となることを目指しております。さらに、これらの社会変化や多様化する個人のニーズに応えるため、当社は「人」による介在価値を重視しつつ、プロダクトとデジタル化で非連続な成長を実現する「テクノロジードリブンの人材サービス企業」へ進化することを、経営の方向性として定めております。
「はたらく」に関するさまざまな事業・サービス、多様な人的資本を強みとし、未来に向けた価値創出に取り組んでいます。なお、世界の地政学情勢等により経済活動に影響が及んだ場合、景気連動性の強い当社の一部事業にも影響が及ぶ可能性があります。
(2)価値創造ゴール
当社は、「人の可能性を広げることで、2030年に100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを価値創造ゴールとして設定しています。「多様なはたらき方の提供」や「学びの機会の提供」等を通じて、「グループ中期経営計画2026(2024年3月期~2026年3月期)」では50万人以上、2030年には100万人以上のより良い“はたらく機会”の創出を目指します。2023年度は約40万人のはたらく機会を創出することができました。
(注)"はたらく機会“の創出の実績には、全SBUの人材派遣、アウトソーシング等における稼働人数、人材紹介事業の就職件数を含む。
(3)当社グループのサステナビリティに関する重要課題
当社は、2030年に向けた「グループ中期経営計画2026」において、「事業を通じた社会課題の解決」「持続的成長を実現するための基盤」の2つの領域で、以下8つのサステナビリティに関する重要課題(以下、「マテリアリティ」という。)を特定し、それぞれ目標を設定し、進捗状況のモニタリングを行っております。
<事業を通じた社会課題の解決>
①はたらく機会の創出 :「人を集めるチカラ」「人と組織を結ぶチカラ」「業務をデザインするチカラ」を通じて、2030年に100万人のはたらく人の可能性を広げ、より良い“はたらく機会”を創出する
②多様なはたらき方の提供:フレキシブルなはたらき方や雇用のあり方を提案・提供することで、個人のニーズに見合うはたらき方の実現に貢献する
③学びの機会の提供 :就業、リスキリングやアップスキリングにつながる学びの機会を提供することで、はたらく人の選択肢を広げ、個人のキャリアの可能性を最大化する
④企業の生産性向上 :生産性向上に資するサービスを提供することで、企業活動の効率化、労働力不足の解消に貢献する
<持続的成長を実現するための基盤>
⑤多様な人材の活躍 :多様性を活かす企業文化の醸成、環境の整備を通じて、グループビジョンを実現する
⑥データガバナンスの強化:パーソナルデータの利活用に関する当社グループにおける共通の方針・ルールの策定や管理・保護体制の整備を行い、さらなる強化を図ることで、ユーザーの利用環境を整えるとともに、信頼を確保する
⑦人権の尊重 :責任ある企業として国際規範に沿った取り組みを推進することで、人権への負の影響を軽減するとともに、社員を含むすべてのステークホルダーの信頼を獲得する
⑧気候変動への対応 :カーボンニュートラルに取り組むとともに、環境関連(GX: Green Transformation)人材サービス等を通じて脱炭素社会の実現に貢献する
(4)グループ中期経営計画2026について
①全体方針
2030年に向けたありたい姿「“はたらくWell-being”創造カンパニー」を目指した、グループ中期経営計画2026(2024年3月期~2026年3月期)の全体方針及び進捗は下記のとおりです。
・グループ中期経営計画2026
事業の位置づけ |
・Staffing SBU/BPO SBU/Technology SBU/Career SBU/Asia Pacific SBUの5つのSBU体制へ ・Staffing SBUを「グループの屋台骨(グループの成長基盤)」と位置付けつつ、Career SBU/BPO SBU/Technology SBUを「利益成長の柱」とする ・Asia Pacific SBUは、将来の飛躍へ向けた基盤強化(収益性改善)を行う ・将来に向け事業の探索・創造を行う、R&D Function Unitを設立 |
強化すべき競争優位性 |
・「人を集めるチカラ」「人と組織を結ぶチカラ」「業務をデザインするチカラ」を継続強化する強みとする |
事業成長のエンジン |
・事業成長を加速させるグループ共通の下記3つの取り組みを「事業成長のエンジン」とする 人的資本 :「“はたらくWell-being”の体現/テクノロジー人材の拡充/多様な人材が活躍する基盤構築」に取り組む
テクノロジー:「テクノロジー人材と組織の進化/はたらく環境のデジタル化推進/コア事業の価値向上/新たな価値創造」に取り組む
ラーニング :より良い“はたらく”に繋がる“学び”を各事業に実装することで個人とともに、各事業の成長を加速させる |
・グループ中期経営計画2026の進捗
事業の位置づけ |
・Staffing SBUは、“はたらく人に軸足を置く経営”に取り組み、派遣スタッフが選ぶ 派遣会社満足度ランキング2023で2冠獲得(総合満足度ランキング5年連続1位、継続就業意向度ランキング初の1位、出典:派遣の働き方研究所調査より) Career SBUは、調整後EBITDA対前年比124%の成長、ハイクラス領域dodaXの強化 BPO SBUは、事業会社の統合、コンサルティング事業の強化に向けて採用やプロモーションを拡大 Technology SBUは、採用を強化、またエンゲージメント向上により退職率低減 ・Asia Pacific SBUは、ROIC10%の達成に向けて、事業ポートフォリオの見直しやコスト最適化を推進 ・R&D Function Unitは、短期間・短時間の仕事に特化し、柔軟な働き方を望む個人と必要な時に必要な分だけ人材を活用したい企業をつなぐデジタルマッチングプラットフォーム「シェアフル」を積極拡大 |
強化すべき競争優位性 |
・「人を集めるチカラ」:共通CIによる各サービスブランドとのリンケージ強化を実施 「人と組織を結ぶチカラ」:ハイクラス転職dodaXとスカウトサービスdodaダイレクトを連携し、dodaXでは企業から直接スカウトが届く企業スカウトサービス、dodaダイレクトではdodaXの登録者に直接スカウトを送ることができる新プランの提供を開始 人材派遣や人材紹介への接続を視野に入れた、シェアフルの構築 「業務をデザインするチカラ」:BPO事業の統合によるケイパビリティ(人材力、顧客接点、規模)強化、市場におけるプレゼンスを向上 |
事業成長のエンジン |
人的資本 :女性活躍推進に優れた企業として令和5年度「なでしこ銘柄」に初選定、グループ中核会社が健康経営優良法人に認定、1月人的資本 レポートを初発行
テクノロジー:持株会社でテクノロジー人材を集約した組織を拡充しSBU支援を開始、テクノロジー人材向け人事制度の運用、生成AIツールの導入
ラーニング :派遣スタッフへの教育・研修コンテンツを拡充。人材紹介ではIT・ハイクラス領域を中心に、仕事に結びつけた学習提案で個人と関係を構築しサービスへ接続 |
②財務戦略
当社は、「パーソルグループ中期経営計画2026」において、企業価値の向上を図るため、財務戦略を「主要な財務戦略指標」「キャッシュアロケーション」「株主還元」の3つに分け、それぞれ達成すべき目標を明確にしております。
<主要な財務戦略指標>
成長性 |
調整後EBITDA(注) |
年平均成長率は10%超 |
効率性 |
ROIC(投下資本利益率) |
15%以上 |
ROE(自己資本利益率) |
20%以上 |
|
健全性 |
Net Debt/Equity |
1倍以内 |
Net Debt/EBITDA |
2倍以内 |
(注)調整後EBITDA:営業利益+減価償却費(使用権資産の減価償却費のうち家賃等相当額を除く)±未払有給休暇の増減額+株式報酬費用±その他の収益・費用±その他恒常的でない損益
これまでも当社の取締役会において資本コスト及び資本効率性のモニタリング等を行ってまいりました。現在の資本コストを約8%と認識し、また、PBR(株価純資産倍率)は恒常的に1倍を超過しております。なお、当連結会計年度では、資本コスト約8%に対してROIC実績はそれを大きく上回る15.1%でした。中長期的に「ROIC-資本コスト」(ROICスプレッド)を拡大することに努め、また、資本コストの低減にむけた取組みを行ってまいります。
なお、すでに当社では、役員報酬制度に資本効率性の向上を一つの指標として導入しております。
(参考)
当社グループは、資本効率性の指標として、主にROICとROEをモニタリングしております。各事業領域において、それぞれのROIC(資本効率性)を考慮し、事業の運営にあたっております。
2024年3月期のROICとROEは、営業利益がグループ全体で増益となったことにより、税引後営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益が増加したことから、ROICが15.1%、ROEが16.6%と、いずれも前年度と比較して上昇いたしました。
<ROIC、ROEの推移(IFRS)>
ROIC = 税引後営業利益 ÷ 投下資本(資本合計+有利子負債(リース除く))の期首・期末平均
(2023年3月期)
税引後営業利益 296億円
投下資本 2,348億円(資本合計1,835億円 有利子負債(リース除く)512億円)
(2024年3月期)
税引後営業利益 361億円
投下資本 2,424億円(資本合計2,083億円 有利子負債(リース除く)341億円)
ROE = 親会社の所有者に帰属する当期利益 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分の期首・期末平均
(2023年3月期)
親会社の所有者に帰属する当期利益 227億円
親会社の所有者に帰属する持分 1,696億円
(2024年3月期)
親会社の所有者に帰属する当期利益 299億円
親会社の所有者に帰属する持分 1,923億円
<キャッシュアロケーション>
キャッシュアロケーションは、2026年3月期までの本中期経営計画における税引き後の調整後EBITDAを2,000億円としておりましたが、昨今の事業環境の急速な変化による2024年2月公表の業績見通しの下方修正に伴い、下方に見直される見込みです。
<株主還元>
当社は、株主還元を重視しております。そのため、本中期経営計画においては、調整後EPS*1に対して配当性向を約50%にすることを定めております。
*1調整後EPS:調整後当期利益*2 ÷ (期中平均発行済株式数-期中平均自己株式数)
*2調整後当期利益:親会社の所有者に帰属する当期利益±調整項目*3(非支配株主帰属分除く)±調整項目の一部に係る税金費用
*3調整項目:+(-)未払有給休暇の増額(減額)+株式報酬費用 -(+)その他の収益(費用)
(1)サステナビリティ全般
当社グループでは、経営理念である「雇用の創造」、「人々の成長」、「社会貢献」に基づき、持続可能な社会を目指して、多様なステークホルダーと連携し、社会・環境課題解決に積極的に取り組んでおります。適切なガバナンスの下、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を実現する事業活動を推進し、すべてのはたらくが笑顔につながる社会を創造していきます。
①ガバナンス
当社グループは経営によるサステナビリティ推進及びサステナビリティ関連のリスク・機会の適切なマネジメントを目的に「サステナビリティ委員会」をHeadquarters Management Committee(HMC)傘下に設置しております。サステナビリティ委員会では、議長である代表取締役社長CEOのもと、サステナビリティに係る経営アジェンダについて審議し、HMCへ付議または報告します。HMCはサステナビリティ委員会の報告を受け、グループ横断的なサステナビリティ経営に係る施策に関し審議し、CEOの意思決定を補佐します。取締役会は審議内容、及びこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて承認、対応の指示、助言を行います。
サステナビリティ委員会のほか、リスクマネジメント委員会、人事委員会、ジェンダーダイバーシティ委員会、スタッフウェルビーイング委員会が、サステナビリティに関連する個別課題への対応にあたっております。
パーソルグループのサステナビリティ推進体制
②戦略
経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク・機会に対処するため、持続的成長に不可欠なマテリアリティ(重要課題)を特定し、経営戦略及び経営計画にそれらを組み込み、実行していかなければならないと考えています。
グループビジョンを実現する過程で、2030年に向けた中期経営計画2026の3ヵ年で取り組むべきマテリアリティを検討した結果、“事業を通じた社会課題の解決”を実現する4つのマテリアリティと“持続的成長を実現するための基盤”を構築する4つのマテリアリティを設定しています。当社グループは、新たな8つのマテリアリティについて、2030年に向けた目標、及びKPIを設定し、目指す姿を明確にしつつ、これらの達成に向けてグループ一丸となって取り組んでまいります。8つのマテリアリティの詳細は、「
パーソルグループのマテリアリティ
③リスク管理
サステナビリティ関連のリスク・機会について、当社グループの中長期的な企業価値に影響を与える事項、及び社会や地球環境に及ぼす影響度が大きい重要事項の双方を認識し、管理を行っております。当社グループでは、それら2つの側面より重要度を分析し、より優先度の高いものをマテリアリティとして特定しております。マテリアリティに関するモニタリングは、半期に一度、サステナビリティ委員会にて実施し、委員会の内容はHMC、取締役会に報告します。HMC傘下の各委員会においても、サステナビリティに関連する個別のリスクを検討・モニタリングを実施しております。
一方、「
④指標及び目標
当社グループのサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)のKPI及び目標は当社の中期経営計画に含まれています。
(2)人的資本
人的資本は、当社グループの最大の財産であり価値創造の源泉です。当社グループでは、人的資本の価値の最大化に向けて「多様な人材の活躍」をマテリアリティの一つに定めており、多様性を活かす企業文化の醸成、環境の整備を通じて、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」の実現を目指します。
①ガバナンス
当社グループではHMC傘下の委員会として「人事委員会」、「ジェンダーダイバーシティ委員会」及び「スタッフウェルビーイング委員会」を設置しています。
人事委員会ではグループの人事戦略及び重要人材の後継者計画等に関する審議を、ジェンダーダイバーシティ委員会ではグループの女性活躍推進戦略及び関連する重要事項の審議を、スタッフウェルビーイング委員会ではグループの派遣スタッフの人的資本の価値の最大化に向けた重要事項の審議を、それぞれ行います。
②戦略
当社グループでは、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現するため、派遣スタッフを含む多様な人材が、“はたらくWell-being”を体現し、価値創造を推進する組織を目指しています。中期経営計画においては、事業成長のエンジンの一つとして人的資本を位置づけ、3つの構成要素(“はたらくWell-being”の体現、テクノロジー人材の拡充、多様な人材が活躍する基盤の構築)を定めて取り組みを加速していきます。
人的資本の方針
a.人材育成方針
当社グループでは、すべての社員が自律的に成長し続け、不確実性の高いビジネス環境下でも活躍できるよう、社員それぞれの役割や能力等に応じた多彩な学びのプログラムを展開しております。
また当社グループが持続的に社会に貢献し続けるためには、次世代経営人材の育成が必要です。そのために、当社グループでは経営幹部に求められる要件を明文化した「パーソルリーダーシップコンピテンシー」を策定しております。これに基づき、現経営層のサクセッションプランと、全ての管理職が「最高のリーダー」として活躍するためのタレントマネジメント施策を推進していきます。
テクノロジー人材の拡充施策については、テクノロジードリブンの人材サービス企業として、「テクノロジー人材の採用」「テクノロジー人材の育成」の2つを柱として、「人」による介在価値を重視しつつ、デジタルプラットフォーム型のビジネスモデルを拡充し、新たな価値を創出できる人材サービス企業を目指します。
(a)テクノロジー人材の採用
テクノロジー人材は、企業の競争優位性を生み出すために不可欠な存在となっております。そのため多くの企業においてもDX人材の不足により獲得競争が激化しております。当社グループの採用においては、求めるテクノロジースキルの明確化、テクノロジー人材のはたらきやすい環境整備、適切な報酬の提示等において既存の枠組みにとらわれないアプローチも視野に入れ、テクノロジー人材の確保を進めていきます。
(b)テクノロジー人材の育成(リスキリング・アップスキリング)
テクノロジー人材を数多く採用することは困難を伴うと推測されます。そのため、育成(リスキリング)をテクノロジー人材の拡充の重要なポートフォリオの1つとして据えていきます。また、テクノロジー活用人材(当社で定義する“最新テクノロジーを理解しテクノロジー人材と密に連携してデジタル化を加速させる人材”を指す)のスキル向上(アップスキリング)も同時に推進していきます。2023年度は、会社として重視する育成スキル分野を定義し、社員のキャリアデザインと動機づけを継続的に行うことで短期間での習熟を可能とするための取り組みや育成プログラムを実施しました。今後は、社員同士が教え、学んだ成果をスキル認定する場づくりへと更に拡充していく計画です。
b.社内環境整備方針
当社グループでは社員と派遣スタッフの、“はたらくWell-being”の最大化に向けて、社員のエンゲージメントと派遣スタッフのWell-beingを重要指標に位置づけ、多様な人材が活躍できる環境の整備を推進しております。
社員に対しては、エンゲージメント向上のための重要な要素として、「健康」「自律性」「関係性」「自己効力感」「ビジョンへの共感」の5つのエンゲージメントドライバーを設定し、当社独自のエンゲージメントサーベイで経年の状態を把握した上で、効果的な施策を実施しております。
また社員のエンゲージメントを継続的に高めていくためには、社員の属性の理解、価値観の受容、そして能力を生かす多様性の推進が不可欠です。パーソルグループでは「Diversity, Equity & Inclusion」に関するグループ共通ポリシーを定め、女性管理職比率と障害者雇用数、男性育児休業等取得率の向上に取り組んでいきます。
社員一人ひとりが自律的にはたらく場所やはたらき方を選択できる環境の整備も進めています。社員の自己実現、社会貢献につながる「複業制度」、ドレスコード原則自由化やフレックスタイム制・リモートワークの導入など、多様なはたらき方の選択肢を増やし、社員のエンゲージメント向上に取り組んでおります。
派遣スタッフに対しては、個々の価値観や将来ビジョンを尊重しながら、“はたらき方を選び、自分らしく生きること”を支援することが、派遣スタッフのWell-beingに繋がると考えております。そのため当社グループでは、様々な価値観を持つ派遣スタッフの多様な就業ニーズに応えることができるよう、多種多様な雇用創出に注力し、クライアントと良い関係性ではたらき続けられるように支援を行っております。また、パーソルグループに対する信頼・愛着を深めてもらえるよう、信頼関係を構築していきます。
③リスク管理
人的資本(多様な人材の活用)に関しては、当社グループのマテリアリティの1つとして、リスク管理を行っております(「
HMC傘下の各委員会においては、人的資本戦略の遂行にあたり、人的資本の3つの構成要素におけるリスク及び機会を以下のとおり特定し、②戦略に記載の対応策を推進しております。
|
リスク |
機会 |
“はたらく Well-being” の体現 |
・社員のエンゲージメント低下による労働生産性及び社員の退職率悪化のリスク ・派遣スタッフのWell-being低下による派遣スタッフの継続率・終了率の悪化のリスク
|
・社員のエンゲージメント向上による労働生産性及び社員の定着率の改善 ・派遣スタッフのWell-being向上による派遣スタッフの継続率・終了率の改善 |
テクノロジー人材の拡充 |
・プロダクトデザイン・データ分析など、特に獲得の競争が激しい人材について、想定通りに採用が進められないリスク ・スキルを身につけた派遣・請負事業の人材が高待遇の企業に転職する人材流出のリスク |
・テクノロジー人材の獲得・育成を計画通りに遂行することにより、「テクノロジードリブン人材企業」のブランディングを後押しし、テクノロジー人材「採用力」を高めることにつながる ・顧客企業の満足度獲得により、派遣・請負社員の継続率、請求単価が向上する |
多様な人材が活躍する基盤の構築 |
・多様な人材が活躍する基盤構築の遅延による採用競争力及び企業競争力低下のリスク ・タレントマネジメント施策の遅延による次期経営人材の不足や全管理職の成長鈍化のリスク
|
・多様な人材が活躍する基盤構築によるさらなる人材の獲得や新たな価値の創出 ・タレントマネジメント施策による次期経営幹部の計画的育成及び全管理職の組織運営能力向上の実現
|
人的資本リスクに関する当社グループ全体の総合的なリスク管理への統合についての詳細は、「
④指標及び目標
当社グループでは、中期経営計画に沿った人的資本の取り組みの効果を評価するため、2025年及び2030年に向けた定量目標を設定しています。設定した目標は外部環境の変化や人的資本施策の進捗に応じて柔軟に見直しを行い、取り組みを進めていきます。
「人材育成に関する指標」として、マテリアリティのKPIとは別に、「リーダー育成人数7,000人(注1)」及び「テクノロジー人材2,000人(注2)」を2026年3月期の目標として掲げております。
「社内環境整備に関する指標」においては、マテリアリティのKPIとして、「はたらいて、笑おう。指標(社員エンゲージメント指標)」「女性管理職比率(注3)」「障害者雇用数(注4)」「男性育児休業等取得率(1日以上の取得)(注5)」を定め、それぞれ目標を設定しております。
「はたらいて、笑おう。指標(社員エンゲージメント指標)」はグループ全体で72.3%(2023年実績)となっており、2026年3月期に75.0%を目指します。女性管理職比率はグループ全体で25.6%(2024年4月1日時点)となっており、2026年3月期に30.8%、2031年3月期に37.0%を目指します。障害者雇用数は2,991人(2023年6月時点)から2026年3月期に4,000人を目指します。男性育児休業等取得率(1日以上の取得)はグループ全体で73.0%(2024年3月時点)となっており、2026年3月期に1日以上の取得100%を目指します。
(注)1. リーダー育成人数は国内グループ会社横断で実施している管理職向け研修の延べ受講者数を指します。各SBU/各社でも固有の管理職向け研修を実施していますがその受講者数は含んでおりません。
2. テクノロジー人材はデータやデジタル技術、ITに関する専門的な知見を活用しプロダクトや業務、インフラの変革を担う人材を指します(採用及び社内育成含む)。
3.女性管理職比率は国内グループ会社の社員を対象に目標を設定し、実績を集計しております。
4. 特例子会社制度の手続きに従い、グループの障害者雇用状況報告に含めている人数です。障害者雇用数の対象社数の異動(2023年6月時点で22社)、グループ全体の社員数の増減及び法定雇用率の変動の影響を加味し、将来的に目標を修正する可能性があります。
5.男性育児休業等取得率は国内グループ会社の社員を対象に目標を設定し、実績を集計しております。
ただし、国内グループ会社共通の人事管理システムの導入が完了していない一部会社は集計対象から除いております。
(3) 気候変動への対応
気候変動は、世界中の人々の生活や当社グループの事業に影響を及ぼす、今日の社会において避けることができない課題です。そのために、気候変動問題を当社グループの経営課題のひとつであると捉え、温室効果ガスの排出を削減するとともに、エネルギー使用の削減・抑制及び効率的で持続可能な使用を促進していきます。地球規模で発生している気候変動問題に対して、当社グループは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終提言に賛同し、気候変動への対応を当社グループのマテリアリティの一つとして設定し、気候変動への対応を含むサステナビリティ推進を強化しております。
①ガバナンス
気候変動対応を含むサステナビリティ推進体制の詳細は、「
②戦略
気候変動による事業へのリスクと機会を特定するシナリオ分析に基づいた開示を2022年5月より実施しております。
気候変動が当社グループ事業に及ぼす影響、及び気候関連の機会とリスクを具体化して把握するために、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの外部機関が公表している4℃シナリオ(気候変動による自然災害の甚大さ・頻度が増加する世界)と1.5~2℃シナリオ(急速に脱炭素社会が実現する世界)をベンチマークとして参照し、分析しております。
シナリオ分析による気候変動リスクと機会
③リスク管理
サステナビリティ委員会にて、気候変動関連リスクが事業に与える影響の把握及び対応を行っております。サステナビリティ委員会にて特定した事業における気候変動関連リスクをリスクマネジメント委員会に共有しております。
気候変動関連リスクに関する当社グループ全体の総合的なリスク管理への統合についての詳細は、「
④指標及び目標
a.温室効果ガス削減目標
当社グループは、温室効果ガス排出量に関する目標として、2030年度までに、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量(注)を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」目標を策定しました。また、中間目標として2025年度までに2021年度比17%以上の削減を目指します。車両のHV/EV切り替えやオフィスにおける省エネ活動の推進、再生可能エネルギーの活用などの取り組みを通じて、地球規模の共通課題であるカーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組んでいきます。
(注)事業活動に伴う温室効果ガスの排出量は、Scope1、Scope2の合計です。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
当社グループは、リスクマネジメント活動を、リスク発現時の損失や被害を最小限に留め、また、グループの企業価値の維持・向上のために必要な活動と位置付けております。この考えのもと、「グループリスク管理規程」を定め、事業戦略の遂行を妨げるリスクを特定し、適切な対策を講じることでリスクコントロールを行っております。また、「グループクライシスマネジメント規程」を定め、リスクが発現した場合に迅速かつ適切な対応を行えるよう備えております。
(1)リスクマネジメントの体制とプロセス
①リスクマネジメント委員会
当社グループは、パーソルホールディングスのHMC(Headquarters Management Committee)の機能補完・強化を行うグループ横断組織としてリスクマネジメント委員会を設置しております。本委員会は四半期ごとに開催され、委員には代表取締役社長CEOをはじめとした経営層、および各内部統制推進責任者が就いております。本委員会では、後述する「グループ重要リスク」を議題として取り扱うほか、パーソルホールディングスの機能本部やSBU(Strategic Business Unit)およびFU(Function Unit)におけるリスクマネジメントの状況についてモニタリングなどを行っております。また、本委員会の活動状況については取締役会に報告を行っております。
②リスクマネジメント体制
当社グループでは、3線モデルによるリスクマネジメント体制を構築しており、第2線によるリスク管理状況については、パーソルホールディングス内のグループリスク統括部署や、リスクマネジメント委員会に報告を行っております。
・第1線(グループ各社):リスクが発生する現場であり、事業活動および日常活動と一体になってリスクマネジメント活動を推進する。
・第2線(管理部門) :グループ各社のリスクマネジメント活動に対し、モニタリングと支援を行う。
・第3線(内部監査部門):第1線および第2線から独立した立場で、リスクマネジメントの有効性について合理的な保証を与える。
※PHD=パーソルホールディングス(株)、HMC=Headquarters Management Committee、
CFO=Chief Financial Officer、CIO=Chief Information Officer、CDO=Chief Digital Officer、
CHRO=Chief Human Resources Officer、GRC=ガバナンス・リスク・コンプライアンス
SBU=Strategic Business Unit、FU=Function Unit
また、リスクの性質により、パーソルホールディングスとSBU/FUで次の役割分担を行っております。
・グループ共通リスク:グループ共通のリスク対策が効果的なもの(主に、オペレーショナルリスク)については、パーソルホールディングスの各機能本部が、グループ横断的にリスク管理を行う
・SBU/FU個別のリスク:事業特性や地域特性に基づくSBU/FU固有のリスクについては、各SBU/FUにリスク管理責任者(=SBU/FU内部統制推進責任者)を設置し、各SBU/FU内で自律的にリスク管理を行う
③グループ重要リスクの管理プロセス
当社グループでは、当社グループにおけるリスクのうち、グループの経営状況や経営戦略に照らし、特に重要性の高いリスクを「グループ重要リスク」として選定しております。グループ重要リスク選定の目的は、これらのリスクへの対応を経営課題として優先的に経営資源を割り当てるためであり、選定された各グループ重要リスクには、パーソルホールディングスの役員をリスクオーナー(リスクの最終的な説明責任を負う者)として設定することでリスク対応への実効性を高めております。グループ重要リスクの選定時には、主に「影響度」と「発生可能性」の観点での評価に加え、リスク対策の脆弱性や、社会からの期待・関心も加味したうえで決定しております。
<リスク評価基準>
影響度
レベル |
定義 |
判断基準(例) |
||
経済的損失 |
事業継続 |
レピュテーション |
||
大 |
甚大な影響 |
・グループ全体に及ぶ大きな損失 |
・事業許可の取り消し、事業廃止命令、事業停止命令 |
・長期にわたる致命的な信頼の失墜(数年単位) |
中 |
中程度の影響 |
・単年度実績への影響 |
・監督官庁からの改善命令、一時的な業務停止命令 |
・短期/一時的な信頼の失墜(1年以内) |
小 |
限定的な影響 |
・影響が限定的で、年度内に回復可能 |
・監督省庁からの行政指導・勧告・注意 |
・信頼の失墜にまでは至らない |
発生可能性
レベル |
定義 |
高 |
頻繁に発生する(1年に1回以上) |
中 |
時々発生する(2~3年に1回程度発生) |
低 |
発生頻度が低い(3~5年に1回程度より少ない) |
また、リスクマネジメント委員会においてこれらのリスクを議案として取り扱い、リスク対応の進捗や効果を確認し、年次で改善及び見直しを検討するPDCAサイクルを回すことで、継続的に改善できる仕組みとしております。
<グループ重要リスク管理のPDCAサイクル>
(2)当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク
当社グループは、2024年2月のグループ重要リスクの見直しにより、2025年3月期も2024年3月期同様の「IT関連リスク(個人情報漏えい、システム障害等)」「企業買収投資に伴うリスク」「プライバシー侵害リスク」「自然災害等の有事に関する事業継続リスク」「人権侵害リスク」「景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク」「気候変動に伴うリスク」の7項目をグループ重要リスクとして選定しました。2025年3月期も引き続きこれらの重要リスクを中心にリスク対策を講じ、定期的なモニタリングを実施いたします。
また上記のグループ重要リスク7項目を含め、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす主要なリスクは以下の表に記載のとおりであります。当社経営者が認識する当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与えるリスクに関し、発生の蓋然性及び事業への影響の度合いに鑑み、重要と考えられる順に記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。
当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク一覧
重要度 順位 |
リスク名称 |
グループ |
1 |
IT関連リスク(個人情報漏えい、システム障害等) |
● 継続 |
2 |
企業買収投資に伴うリスク |
● 継続 |
3 |
プライバシー侵害リスク |
● 継続 |
4 |
自然災害等の有事に関する事業継続リスク |
● 継続 |
5 |
人権侵害に関するリスク |
● 継続 |
6 |
景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク |
● 継続 |
7 |
気候変動に伴うリスク |
● 継続 |
8 |
技術革新によるリスク |
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9 |
法令遵守等コンプライアンスに関するリスク |
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10 |
人材の育成・確保におけるリスク |
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11 |
海外事業展開に伴うリスク |
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12 |
競合によるリスク |
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①グループ重要リスクと主な対応策
グループ 重要リスク |
1 IT関連リスク(個人情報漏えい・システム障害等) |
リスクオーナー |
CIO/CDO |
残存リスク |
a. 個人情報漏えい 影響度:大、 発生可能性:高 b. システム障害 影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
a. 個人情報漏えい 当社グループでは、登録スタッフ、派遣スタッフ、求職者、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報を大量に保有し取り扱っており、当社グループにおいてサイバー攻撃をはじめとした、第三者によるセキュリティ侵害、不適切なシステムの設定・管理、従業員の不正・過失等によりこれらの個人情報が漏えいする事態が生じた場合、当社グループのブランドの棄損、企業イメージの悪化等の社会的信用の低下に伴う顧客・サービス利用者の減少、さらに損害賠償請求等の発生により、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
b. システム障害 当社グループの事業は、国内外を問わずよりITへの依存が高まり、よりコンピュータシステム及び通信ネットワークに多くを依存しております。近年のリモートワーク拡大等により、当該リスクへの対応の重要性は一段と高いものとして認識しております。またシステムのメンテナンス等の一部はクラウドシステム業者を含む外部業者に委託しております。人為的過誤、サイバー攻撃、広範な自然災害や外部業者のトラブル等により、コンピュータシステムや通信ネットワークに何らかの問題が生じ、適切に利用ができなくなることにより、当社グループの業務や提供するサービスに遅延・停止の可能性があり、当社グループに対する信頼性の低下を招き事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
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リスク対策の状況 |
いずれのリスクにおいても、ITの技術的な側面、人的な側面など多面的に適時・適切な管理体制の構築・維持に努めております。具体的な対策例としては次のものが挙げられます。
a. 個人情報漏えい ・当社グループのネットワークやシステムに対するセキュリティ対策の実装 ・当社グループのCSIRT (PERSOL-SIRT)設置による、グループ内でのセキュリティインシデント対応力の強化 ・従業員向けセキュリティ教育や標的型メール訓練の実施 ・グループ共通の情報セキュリティや個人情報取扱いに関する規程・ルールの制定 ・新規サービスの立ち上げや新規の個人データ利活用に際して、専門部署によるプライバシーレビュープロセスを経る体制を構築 ・グループのセキュリティ統括部門を中心としたIT環境やグループ各社のセキュリティ状況の点検 ・外部サービスや委託先に対するセキュリティ水準の確認(契約時と定期点検)
b. システム障害 ・障害発生時の体制・報告フローの整備 ・システムセキュリティの強化 ・耐障害性を向上させるIT環境の検討・改修・構築
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グループ 重要リスク |
2 企業買収投資に伴うリスク |
リスクオーナー |
CFO |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:高 |
リスク認識 |
当社グループまた当社グループを取巻く業界においては、これまでオーガニックな成長に加え、企業買収や事業提携を行い事業の拡大を行ってまいりました。引き続き企業買収等を通じて事業規模を拡大していくとともに、ITなどの新しいテクノロジーの取込みを目的とする企業買収を行うことによって、さらなる企業価値の向上と競争優位性の確保を行ってまいります。 企業買収や事業提携に際しては、対象となる企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューディリジェンスを行い、リスク回避に努めておりますが、案件の性質や時間的な制約等から十分なデューディリジェンスが実施できず、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合、また当該事業が、当初想定した収益計画と大きく乖離した場合、多額の資金投入が発生する可能性のほか、関係会社株式の評価替えやのれんの減損等により、当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、買収を通じて取得した企業ののれんは、当連結会計年度末において59,019百万円であり、そのうち、Asia Pacific SBU及びCareer SBUが大きな割合を占めております。 なお、当社グループは2024年3月期第1四半期よりIFRSに基づき開示しております。IFRSにおいては、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「日本基準」という。)と異なり、のれんの償却が行われない一方で、減損の判定方法が異なるため、日本基準と比較し、減損損失が早期に計上され、また、一度に計上される金額が多額となる可能性があります。 また、買収した企業は、それぞれのブランド力やグループ内の相互協力により極めて有益なビジネスシナジーの創出が可能になるものと判断しておりますが、今後、経営環境や事業の状況の著しい変化、技術革新、また何らかの事由によりそれぞれの経営成績が想定通り進捗しない場合、これらの資産について追加の減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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リスク対策の状況 |
事業投資案件に関しては、資本効率を重視し、その決裁プロセスにおけるガバナンス体制の強化に取り組んでおります。2020年4月からは、多額の事業投資案件に関して専門的見地から審議した上で経営陣に対して助言する「投資委員会」を設置しております。投資委員会は、グループの投資全般に関する重要事項の審議を行うとともに、投資推進に関連した一連の知識、知見をグループの組織知として高めていくことを目的としており、審議結果をHMC(Headquarters Management Committee)に上程し、HMCの適切な判断を補完する組織となります。
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グループ 重要リスク |
3 プライバシー侵害リスク |
リスクオーナー |
CIO/CDO |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
当社グループ各社では、事業運営に際し、登録スタッフ、派遣スタッフ、求職者、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報を大量に保有し取扱っております。サービスの利便性向上やパーソルグループの成長戦略の観点から、個人データの活用の推進が期待される一方、世の中では人工知能(AI: Artificial Intelligence)を含むITの発達によりデータ提供者本人に対しても何らかの不利益が発生するリスクがあります。 当社グループで保有する個人情報の取扱いについては、当該国の個人情報に関する法律が適用されます。特に主力事業を展開している日本国内においては「個人情報保護法」、「職業安定法」、「労働者派遣法」等に準拠した取扱いが求められます。これらの法令は、近年の個人情報保護及びプライバシーの権利に対する意識の高まりやグローバル基準への適合に向けた動きにより内容が高度化しており、当社グループでは、法務と情報セキュリティの両面からこれらの解釈や運用について慎重な検討と判断を重ねております。しかしながら、これらの法令での実務面に対する要求事項は解釈の余地も多いことから、当社グループにおける解釈によっては、意図せず当社グループの個人情報の取扱いが不適切と評価され、当局からの業務停止命令、データ提供者若しくは法人からの訴訟につながる可能性があります。 さらに法令を遵守して活用した場合でも、データ提供者の不利益又は不信感を招くおそれがあります。特にAIを用いたプロファイリングやマッチング、発展の著しい生成AIの活用において、公平性や公正性の担保をはじめとする適切な取扱いの確保ができないときは、当社グループのブランド及び企業イメージの低下や信用が毀損し、これらに伴い、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
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リスク対策の状況 |
「グループプライバシーガバナンス審議会」を設置し、グループ全体のパーソナルデータ利活用に伴うプライバシーリスクについて議論することで、グループ全体で整合性のとれたパーソナルデータの利活用を支えるプライバシーガバナンスを構築しております。新規サービスの立ち上げや新規の個人データ利活用に際しては、専門部署によるプライバシーレビュープロセスを経る体制を構築し、データ提供者への影響を予め十分に検討し、適切な対応策を講じることで、ユーザー等の信頼を確保することに努めております。また、AIを用いたプロファイリングやマッチング、生成AIの活用に関しては、適切なプライバシーレビューを促進するためのガイドラインを整備しております。 また、2023年3月には、当社グループにおけるプライバシーに関する基本的な考え方を示した「パーソナルデータ指針」を制定いたしました。当該指針は、プライバシー保護の体制・取り組み等と併せて当社グループにおける取り組みを紹介する「プライバシーセンター」上で公開しており、当社グループのサービスを安心してご利用いただけるよう情報開示についても強化しております。
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グループ 重要リスク |
4 自然災害等の有事に関する事業継続リスク |
リスクオーナー |
GRC管掌役員 |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
当社グループは、日本国内およびAPAC地域で事業活動を展開しております。地震、台風、洪水等の自然災害、火災、停電、戦争、テロ行為等が起こり、当社グループの従業員の安全が脅かされる若しくは会社資産が毀損した場合、又はパンデミックが起こり、多数の従業員の感染若しくは行動制限措置により業務が制限された場合、当社グループの事業が一時的に中断され、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人材サービスという事業性質上、有事には派遣スタッフの安否確認や顧客企業との契約内容の調整等、多大な顧客対応による業務負荷が予想されることから、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 また、自然災害のリスクは年々被害規模が甚大化しており、さらに同時多発も想定する必要が生じております。
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リスク対策の状況 |
かかるリスクに対し、当社グループでは当社にクライシスマネジメントの統括部署を設置し、①従業員と派遣スタッフの安全確保、②顧客・会社資産保護、③事業継続、④ステークホルダーコミュニケーションを基本方針として、有事に適切な対応をとる体制を日本国内およびAPAC地域で構築しております。 日本国内では、人材サービスの根幹である従業員・派遣スタッフへの給与支払い業務をグループの最重要業務と位置づけ、大規模自然災害やパンデミックが発生した場合でも給与支払い業務を継続し、従業員・派遣スタッフが生活基盤を維持するための事業継続計画を策定しております。併せて、グループ全体で迅速な危機対応を行うための体制や計画の整備を進めるとともに、危機対応力向上にむけ定期的な訓練の実施に努めております。なお、初動対応の迅速化・効率化を実現するため、被災地域の拠点情報や従業員安否情報等を自動で収集するITツールを導入しております。 加えて、APAC地域においては、政治的・社会的情勢の不安定化や戦争、テロ等を想定し、日本からの駐在員を含む現地従業員の安全対策・教育、医療支援を実施するとともに、有事の際の安否確認ルールを策定するなど、従業員の安全と健康を守るための取り組みを行っております。また、定期的な事業継続計画の見直しと訓練の実施による対応の強化を進めております。
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グループ 重要リスク |
5 人権侵害に関するリスク |
リスクオーナー |
GRC管掌役員 |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
当社グループは、日本国内とAPAC地域で事業拠点を持ち、取引する顧客企業や個人の求職者等の方々も多国にわたっております。近年、先進国を中心として「ビジネスと人権」に関する関心は高まっており、またステークホルダーによる人権への高度な対応要求は、当社グループの事業活動にも大きく影響します。 人権尊重の取り組みはグループビジョンである「はたらいて、笑おう。」実現のために必要不可欠であり、人権侵害に該当する事案が生じた場合には、各国における行政罰や当社グループの社会的信用・ブランドイメージ毀損等により、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
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リスク対策の状況 |
これまで当社グループにおいても、パーソルグループ行動規範の制定など取り組みを進めてまいりましたが、2022年12月に取締役会の承認のもと「パーソルグループ人権方針」を制定いたしました。また、2023年4月より、選定した事業において人権デューディリジェンスの運用を開始するとともに、人権に関するグループ従業員向けの研修を開始いたしました。今後もこれらの取り組みについて引き続き実施していくことに加え、人権デューディリジェンスの拡大・高度化、救済メカニズムの構築等、さらなる体制整備に向けて取り組みを推進してまいります。
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グループ 重要リスク |
6 景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク |
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リスクオーナー |
CFO |
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残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
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リスク認識 |
当社グループが提供している人材サービスは、日本国内における構造的な要因(少子化・労働人口の減少・労働市場の構造変化など)が追い風となってきました。同時に景気変動による影響を受けやすく、こうしたマクロ経済の変化にうまく対応できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。グローバル化の進展に伴い、他国の経済状況、国際政治情勢、地政学的要因、国際金融市場等の影響により、事業を展開する各国の経済が大きく左右される傾向が強まっております。また、2008年の世界金融危機、2020年初頭からのCOVID-19感染拡大や地政学的要因による世界的な経済活動の急激な収縮といった、予見が難しい事象が発生しております。2008年の世界金融危機のような深刻な経済危機が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。また、不況時における当社グループの収益に与える影響度の順に記載すると以下の表のとおりです。
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リスク対策の状況 |
通常の景気循環による変動に対しては、当社グループでは、期初段階から景気悪化時シナリオを用意し、コスト管理を行う等の経営努力により、当社の経営成績に与える影響を抑制するよう努めております。こうしたマクロの影響に対して、新しいサービスの展開、ITを利用した付加価値の提供に努めるなど、成長分野への投資を継続的に行い、新たな事業領域への展開と成長に努めております。
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グループ 重要リスク |
7 気候変動に伴うリスク |
リスクオーナー |
総務購買管掌役員 |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
当社グループは、地球規模で発生している気候変動問題に対して、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終提言に賛同し、気候変動による事業へのリスクと機会を特定するシナリオ分析に基づいた開示を2022年5月より実施しております。 気候変動が当社グループ事業に及ぼす影響及び気候関連の機会とリスクを具体化して把握するために、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの外部機関が公表している4℃シナリオ(気候変動により自然災害の甚大さ・頻度が増加する世界)と1.5~2℃シナリオ(急速に脱炭素社会が実現する世界)をベンチマークとして参照し、分析しております。 当社グループでは、2030年度までに、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」目標を設定しました。気候変動への取り組み遅延や法令違反等があった場合、当社グループの信頼性の低下を招き事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
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リスク対策の状況 |
当該リスクに関する当社グループ全体の対応方針・施策全般は、サステナビリティのマテリアリティに含めて管理しております。「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)マテリアリティに関する事項 (3)気候変動への対応」を参照ください。 |
②その他、当社グループの経営成績等に影響を与える主要なリスク
<8 技術革新によるリスク>
当社グループの営む人材サービスは、特にITの活用が不可欠な事業であります。当社グループでは、ITを用い、新規サービス開発やオペレーションシステムの改善に努めておりますが、高度な専門性を持つ技術者や企画者の確保や育成ができなかった場合、当社グループが技術革新のトレンドを正確に予測することができず新技術適用の判断が遅れること等により、競争力の低下及び従前のビジネスモデルそのものが陳腐化する可能性があります。また、IT環境の改良や新技術導入に際し、多額の費用が発生する場合、何らかの事由により期待した導入効果が得られない場合、ディスラプティブテクノロジー(disruptive technology)と言われるこれまでにない発想に基づく新たなプロダクトやサービスが急速にグローバルに普及し、既存のマーケットが破壊された場合等に、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
さらに、近年AI技術が急速に拡大しており、それを活用した生成AIの導入も注目を集めております。生成AIは業務効率化や生産性向上を実現するテクノロジーの1つです。当社グループではAIや生成AIのスキル保有人材の派遣や、導入支援、研修等のサービスを提供し、新たな企業ニーズに適合すべくサービス展開を実施しております。しかしながら、技術革新における高度な専門性を持つ技術者や企画者の確保や育成ができない場合には、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、AIや生成AIの導入や改良に際し、多額の費用が発生する場合、何らかの事由により当初想定したサービスの質の確保が難しい場合、期待した導入効果が得られない場合等において、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。加えて、他社の生成AIの活用動向によっては、事務派遣事業や受託請負事業の代替となることや、職業紹介事業においても、人を介さないビジネスモデルが考えられることなど、既存ビジネスそのものが陳腐化するディスラプター(Disruptor: 破壊的イノベーター)が生じる可能性があります。
<9 法令遵守等コンプライアンスに関するリスク>
当社グループは、事業活動を行う上で自らが事業を展開する国又は地域の様々な法令の適用を受けております。人材サービスを行う当社グループは、労働関連法令の遵守を求められております。当社グループでは、コンプライアンスを、法令遵守に留まらず、「社会からの要請や期待に応え、誠実に事業活動を行っていくこと」とより広範囲で捉え、「パーソルグループ行動規範」を制定し、当社グループの役職員には、公正、正直、敬意及び誠実さをもって行動することを定めております。
また当社グループでは、事業の拡大に合わせ、コンプライアンス統括部署を設置し、コンプライアンス関連規程の整備や継続的な教育・研修の実施、グループ内部通報制度の整備等、コンプライアンス体制を構築しております。しかしながら、当社グループに適用される法令等に違反する事態が生じた場合や社会からの要請や期待に応えられなかった場合は、次のaからcに記載するリスクが具現化し、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損し、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
a.人材派遣事業
当社グループの主要な事業である人材派遣事業は、国内においては「労働者派遣法」に基づき、労働者派遣事業の許可を受け事業運営を行っております。現時点で、当社グループにおいては、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社及びその役職員が労働者派遣法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、労働者派遣法及び関係法令については、これまでにも労働環境の変化に応じ改正が適宜実施されており、当社グループではその都度、当該法改正に対応するための諸施策を講じております。今後、さらなる法改正が実施され、大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。
b.人材紹介事業・求人広告事業
当社グループが行う人材紹介事業及び求人広告事業は、国内においては「職業安定法」に基づき、有料職業紹介事業の許可又は募集情報等提供事業の届出の下に行っている事業であります。現時点で、当社グループにおいては、職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社及びその役職員が職業安定法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、職業安定法及び関係法令については、これまでにも労働環境の変化に応じた改正が適宜実施されており、直近では、2022年3月に、求人広告事業の一部である募集情報等提供事業の届出制を創設する内容の法改正が行われました。当社グループでは法改正の都度、当該法改正に対応するための諸施策を講じております。今後、さらなる法改正が実施され、大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。
c.受託請負事業
当社グループが行う受託請負事業は、事務業務などの業務コンサルティングや業務運営・管理、IT・エンジニアリング領域の製造・開発など多岐にわたります。また、官公庁・地方公共団体・民間企業等の様々な顧客からの業務を受託しております。これら事業の遂行に当たり、顧客の要件を満たすことが第一ですが、特に官公庁・地方公共団体から受託している事業に関しては、その成否が日本社会全体又は地域社会に強く影響する場合もあります。当社グループでは、事前にアセスメントを行ったうえで受託判断を行うとともに、事業開始後も適切に遂行・運営されるように努めております。しかしながら、特に公共性の高い業務を適切に遂行・運営できなかった場合は、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損し、経営成績に影響を与える可能性があります。
<10 人材の育成・確保におけるリスク>
当社グループの中長期戦略の実行及び持続的な成長において、様々な分野での多様な人材の確保・育成が必要となります。当社グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現するため、当社グループのすべての従業員が仕事へのやりがいと組織への貢献意欲を持てるよう良好な職場づくりに努めております。しかしながら、今後の当社グループの成長をけん引するためのIT技術者、デジタルトランスフォーメーション推進人材及びグローバル人材等、一部の領域において、要件を満たす人材は希少性が極めて高く、これら人材の確保が想定通り進められない可能性があります。また、当社グループの目指す職場環境づくりが困難な場合には、優秀な人材の育成が想定通りに進まず、また競合他社等への流出が発生し、当社グループの事業運営が計画通りに進まず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに関する当社グループ全体の対応方針・施策全般は、サステナビリティのマテリアリティに含めて管理しております。「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本」を参照ください。
<11 海外事業展開に伴うリスク>
当社グループは、日本国内に加えAPAC地域においても人材派遣事業、人材紹介事業、受託請負事業等を行っております。海外事業展開に際しては、支援体制及び経営管理機能の強化を進めておりますが、APAC地域各国の政治・社会情勢の急激な変化、法令改正、想定外の為替変動等、著しい事業環境変化等により同地域における明確な競争優位を確立できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<12 競合によるリスク>
当社グループが展開している人材ビジネス市場では、各国の各分野において多数の競合他社が存在しております。これらの競合他社が当社グループと同水準のサービスを低価格で提供した場合や、当社グループのサービスを必要としないプロセスや仕組みを顧客企業に提供若しくは社会的に浸透・普及に成功した場合、求職者等の個人や法人顧客にとってより魅力的なサービスを提供する又は当社グループがニーズに対応したサービスや機能の改善を図れない場合には、当社グループの競争力が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループにおける派遣スタッフ及び求職者等の個人の集客においては、他社の運営する検索エンジン等を利用して求人広告を掲載しているものがあります。かかるプラットフォームを提供する企業が求人広告業界における集客力を強め、独占的なポジションを確立した場合には、当社グループの集客力や財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、当連結会計年度より、IFRSに準拠した連結財務諸表を開示しており、前連結会計年度についてIFRSに組み替えた数値との比較・分析を行っております。
詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 38.初度適用」をご参照ください。
(1)業績等の概要
①業績
創業から今年度で50年を迎えた当社グループは、日本国内では人材派遣及び人材紹介など幅広く人材関連サービスを提供しております。また、アジア・パシフィック(APAC)地域では人材サービス事業及びファシリティマネジメント事業などを展開しております。
当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中、企業による設備投資の増加や賃金上昇による個人消費の持ち直しが見られ、緩やかに景気が推移しました。一方で、物価高や海外経済減速などの下押し要因もあり、一部には一服感もみられます。世界的な金融引き締めや地政学的リスクの高まり等の影響などもあり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
そのような中で、日本国内の有効求人倍率(季節調整値)*1は2024年3月には1.28倍となり、人材需要は継続して堅調であります。需給については一部業種や企業規模による差も出てきております。APAC地域におきましては、国・地域における濃淡はあるものの、総じて経済は回復基調であり、人材需要も堅調です。
このような事業環境の下、当社グループは当連結会計年度において、当期を初年度とするグループ中期経営計画2026の方針に沿って、利益成長の柱と定めた Career SBU、BPO SBU、Technology SBU(SBU:Strategic Business Unit)を中心に期初から積極的な投資を行いました。企業の堅調な需要に伴い、COVID-19関連業務が当初想定通り剥落したBPO SBUを除いた全てのSBUで増収となり、グループ全体の売上収益は、1,327,123百万円(前年同期比6.8%増)となりました。利益面では、当期から重要な利益指標としております調整後EBITDAにおいて、BPO SBU以外の全てのSBUでは増益となりましたが、BPO SBUにおけるCOVID-19関連業務の剥落により、グループ全体では72,287百万円(同4.0%減)と減益となりました。営業利益はBPO SBUを除く全てのSBUで増益となり、グループ全体では52,065百万円(同21.8%増)と増益で着地しました。また、税引前利益は、48,926百万円(同18.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、29,971百万円(同31.7%増)となりました。
*1有効求人倍率(季節調整値):厚生労働省公表値
セグメントの業績(セグメント間内部取引消去前)は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
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|
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
Staffing |
売上収益 調整後EBITDA |
544,740 26,727 |
575,798 30,632 |
31,058 3,905 |
5.7 14.6 |
BPO |
売上収益 調整後EBITDA |
117,085 17,827 |
110,795 8,907 |
△6,290 △8,920 |
△5.4 △50.0 |
Technology |
売上収益 調整後EBITDA |
90,987 6,343 |
102,380 6,930 |
11,393 587 |
12.5 9.3 |
Career |
売上収益 調整後EBITDA |
104,467 20,142 |
128,284 25,001 |
23,817 4,859 |
22.8 24.1 |
Asia Pacific |
売上収益 調整後EBITDA |
386,410 7,659 |
412,770 9,832 |
26,360 2,173 |
6.8 28.4 |
その他 |
売上収益 調整後EBITDA |
32,213 △1,460 |
34,651 △1,666 |
2,438 △206 |
7.6 - |
調整額 |
売上収益 調整後EBITDA |
△33,295 △1,962 |
△37,558 △7,350 |
△4,263 △5,388 |
- - |
連結損益計算書 計上額 |
売上収益 調整後EBITDA |
1,242,611 75,277 |
1,327,123 72,287 |
84,512 △2,990 |
6.8 △4.0 |
(注)上記の売上収益のうち、調整額及び連結損益計算書計上額に記載の売上収益以外の売上収益については、セグメント間内部取引消去前の金額であります。
a. Staffing SBU
本セグメントは、国内で事務領域を中心に幅広い業種に対応した人材派遣事業に加え、事務職を中心とした人材紹介事業等を展開しております。
当連結会計年度における売上収益は、575,798百万円(前年同期比5.7%増)、調整後EBITDAは、30,632百万円(同14.6%増)、営業利益は、27,187百万円(同22.5%増)となりました。売上収益の増加及び増益は、主に派遣就業者数の増加及び一時間あたり平均請求単価の上昇によるものであります。営業利益に関しましては、売上収益も順調に進捗し、広告宣伝費や外注コストコントロールの効果もあり増益となり、営業利益率は0.6ポイント上がりました。
b. BPO SBU
本セグメントは、前期まではStaffing SBUの一部であった受託請負のBPO事業を主とした新設のセグメントであります。当連結会計年度における売上収益は、110,795百万円(前年同期比5.4%減)、調整後EBITDAは、8,907百万円(同50.0%減)、営業利益は、6,896百万円(同54.8%減)となりました。売上収益、調整後EBITDA及び営業利益とも、COVID-19関連対策に係る業務が当初想定通りに落ち着きが見られたことにより、減収、減益となりました(COVID-19関連の減益影響額は約6,186百万円(COVID-19関連事業の売上総利益は、前連結会計年度:約9,907百万円、当連結会計年度:約3,720百万円))。
c. Technology SBU
本セグメントは、前期までのProfessional Outsourcing SBUから名称を変更、一部事業をBPO SBUへ移管し、IT・DXソリューション領域及びエンジニアリング領域への製造・開発受託請負事業や、技術者を専門とした人材派遣事業を展開しております。当連結会計年度における売上収益は、102,380百万円(前年同期比12.5%増)、調整後EBITDAは、6,930百万円(同9.3%増)、営業利益は、5,695百万円(同20.0%増)となりました。売上収益は、エンジニアリング領域において、製造業で開発等の請負事業の需要が伸長し、さらにIT・DXソリューション領域の堅調な成長の結果、増収となりました。調整後EBITDA及び営業利益は、第3四半期までは積極的な採用に伴う非稼働エンジニアの増加により減益でしたが、前期第4四半期に実施した再編後の一時的なブランディング投資を当期行わなかったことや、請求単価の上昇による効果により、通期では増益となりました。
d. Career SBU
本セグメントは、顧客企業の正社員の中途採用活動を支援する人材紹介事業、求人メディア事業等を展開しております。当連結会計年度における売上収益は、128,284百万円(前年同期比22.8%増)、調整後EBITDAは、25,001百万円(同24.1%増)、営業利益は、19,924百万円(同18.3%増)となりました。売上収益は、景況感に若干の不透明感が見られ始めたことに加え、COVID-19収束後の求人の特需にも一服感がある中でも、大幅な増収となりました。調整後EBITDA及び営業利益は、マーケティング投資、採用強化、報酬水準の引き上げなどで販売費及び一般管理費が増加する中でも、増益となりました。
e. Asia Pacific SBU
本セグメントは、アジア地域で人材サービス事業、豪州においては人材サービス事業及びファシリティマネジメント事業等を主に展開しております。(アジア地域では主にPERSOLKELLY、豪州では主にProgrammedのブランドで事業を運営しております。)
当連結会計年度における売上収益は、412,770百万円(前年同期比6.8%増)、調整後EBITDAは、9,832百万円(同28.4%増)、営業利益は、4,841百万円(前年同期は、営業損失4,281百万円)となりました。売上収益は、COVID-19の感染拡大による影響からの回復が進み、特にファシリティマネジメント事業において、売上収益が順調に成長したことにより増収となりました。営業利益は、前連結会計年度において減損損失約8,929百万円を計上(当連結会計年度は減損損失約2,279百万円を計上)していた関係上、増益となりました。
②生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、Staffing、BPO、Technology、Career、Asia Pacific等のセグメント区分にて国内及びAPAC地域において人材関連事業を行っており、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、省略しております。
b.受注実績
生産実績の記載と同様に、受注状況の記載に馴染まないため省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
売上収益 (百万円) |
構成比 (%) |
前年同期比増減 (%) |
|
Staffing |
570,221 |
43.0% |
5.9% |
BPO |
103,959 |
7.8% |
△5.3% |
Technology |
92,014 |
6.9% |
9.4% |
Career |
126,148 |
9.5% |
23.4% |
Asia Pacific |
412,770 |
31.1% |
6.8% |
全社及びその他の事業 |
22,009 |
1.7% |
1.8% |
合 計 |
1,327,123 |
100.0% |
6.8% |
(注)セグメント間の取引は、相殺消去しております。
(2)財政状態の分析
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ30,001百万円増加し、518,730百万円となりました。流動資産は11,244百万円増加し、312,690百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が7,136百万円、営業債権及びその他の債権が6,155百万円増加したことによるものであります。非流動資産は18,757百万円増加し、206,040百万円となりました。これは主に、使用権資産が7,804百万円、その他の金融資産が5,729百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ5,213百万円増加し、310,412百万円となりました。流動負債は7,863百万円増加し、257,416百万円となりました。これは主に、社債及び借入金が7,030百万円、未払法人所得税が1,701百万円減少した一方、その他の流動負債が14,091百万円、営業債務及びその他の債務が1,582百万円、リース負債が1,004百万円増加したことによるものであります。非流動負債は2,650百万円減少し、52,996百万円となりました。これは主にリース負債が7,021百万円増加した一方、社債及び借入金が10,117百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ24,788百万円増加し、208,317百万円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期利益29,971百万円の計上、剰余金の配当18,927百万円の支払等により利益剰余金が11,053百万円増加、及びその他の資本の構成要素が増加しており、主にその内訳である為替換算調整勘定が為替相場の変動の影響により7,671百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、財務指標としては、流動比率が前連結会計年度末の120.8%から121.5%に上昇し、親会社所有者帰属持分比率が前連結会計年度末の34.7%から37.1%に上昇いたしました。
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
売上収益営業利益率 |
3.4% |
3.9% |
売上収益調整後EBITDA比率 |
6.1% |
5.4% |
ROIC |
12.7% |
15.1% |
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) |
13.6% |
16.6% |
流動比率 |
120.8% |
121.5% |
固定比率 |
110.4% |
107.1% |
固定長期適合率 |
83.1% |
84.0% |
親会社所有者帰属持分比率 |
34.7% |
37.1% |
Net Debt/Equity(倍) |
△0.29 |
△0.39 |
Net Debt/EBITDA(倍) |
△0.66 |
△1.03 |
(3)経営成績の分析
当連結会計年度における売上収益は、1,327,123百万円と前連結会計年度に比べ84,512百万円の増収となりました。利益面では、売上総利益において、301,161百万円と前連結会計年度に比べ19,301百万円の増益、営業利益において、52,065百万円と前連結会計年度に比べ9,311百万円の増益、税引前利益において、48,926百万円と前連結会計年度に比べ7,677百万円の増益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、29,971百万円と前連結会計年度に比べ7,210百万円の増益となりました。
① 売上収益
売上収益は、企業の堅調な需要に伴い、COVID-19関連業務が当初想定通り剥落したBPO SBUを除いた全てのSBUで増収となった結果、全体として6.8%の増収となりました。
② 売上総利益
売上総利益は、企業の堅調な需要に伴い、COVID-19関連業務が剥落したBPO SBUを除いた全てのSBUで増収となった結果、6.8%の増益となりました。
③ 営業利益
営業利益はBPO SBUを除く全てのSBUで増益となった結果、全体の営業利益は21.8%の増益となりました。
④ 税引前利益
税引前利益は、営業利益の増加により18.6%の増益となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加により31.7%の増益となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ7,136百万円増加し、108,369百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度より8,773百万円増加し、77,753百万円となりました。これは主に、法人所得税の支払額が21,523百万円となった一方、税引前利益が48,926百万円、減価償却費及び償却費が29,634百万円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度より3,787百万円減少し、19,000百万円となりました。これは主に、無形資産の取得による支出が12,207百万円、有形固定資産の取得による支出が3,279百万円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度より12,023百万円増加し、53,803百万円となりました。これは主に、短期借入による収入が166,839百万円となった一方、短期借入金の返済による支出が174,713百万円、配当金の支払額が18,921百万円、リース負債の返済による支出が16,876百万円となったことによるものであります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の主な運転資金需要は、派遣スタッフ及び従業員に対する給与支払いであります。事業構造上、現金及び現金同等物が資産の中で占める割合が高くなっております。短期運転資金は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保する基本方針を踏まえて、事業収益から得られる自己資金を基本としており、特に多額の資金が必要となる企業買収等については、安定した財務基盤を活かし、銀行借入、社債発行など最適な資金調達手段を通じて行うことを基本としております。
なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は108,369百万円、有利子負債の残高は、34,144百万円となっております。
(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、2024年3月期を初年度とする3カ年の「中期経営計画2026」を2023年5月に発表しました。“はたらくWell-being”創造カンパニーとして、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現を目指してまいります。
詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(9)並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
① 要約連結貸借対照表(日本基準)
|
|
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (2023年3月31日) |
当連結会計年度 (2024年3月31日) |
資産の部 |
|
|
流動資産 |
304,281 |
319,905 |
固定資産 |
|
|
有形固定資産 |
14,849 |
18,555 |
無形固定資産 |
86,320 |
83,339 |
投資その他の資産 |
36,707 |
40,775 |
固定資産合計 |
137,877 |
142,670 |
資産合計 |
442,159 |
462,575 |
|
|
|
負債の部 |
|
|
流動負債 |
195,421 |
202,106 |
固定負債 |
46,005 |
41,558 |
負債合計 |
241,426 |
243,665 |
|
|
|
純資産の部 |
|
|
株主資本 |
180,366 |
195,181 |
その他の包括利益累計額 |
5,150 |
7,658 |
非支配株主持分 |
15,214 |
16,070 |
純資産合計 |
200,732 |
218,910 |
負債純資産合計 |
442,159 |
462,575 |
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
|
|
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
売上高 |
1,223,967 |
1,327,123 |
売上原価 |
941,323 |
1,024,076 |
売上総利益 |
282,643 |
303,047 |
販売費及び一般管理費 |
229,581 |
253,483 |
営業利益 |
53,061 |
49,564 |
営業外収益 |
2,261 |
1,885 |
営業外費用 |
1,630 |
1,166 |
経常利益 |
53,693 |
50,282 |
特別利益 |
290 |
817 |
特別損失 |
13,267 |
5,694 |
税金等調整前当期純利益 |
40,716 |
45,405 |
法人税等合計 |
17,880 |
17,721 |
当期純利益 |
22,835 |
27,683 |
非支配株主に帰属する当期純利益 |
2,257 |
2,002 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
20,578 |
25,680 |
要約連結包括利益計算書
|
|
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当期純利益 |
22,835 |
28,170 |
その他の包括利益合計 |
7,151 |
2,540 |
包括利益 |
29,987 |
30,710 |
(内訳) |
|
|
親会社株主に係る包括利益 |
27,260 |
28,660 |
非支配株主に係る包括利益 |
2,727 |
2,050 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の 包括利益累計額 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
当期首残高 |
184,579 |
△ 1,530 |
21,317 |
204,367 |
当期変動額 |
△ 4,212 |
6,681 |
△ 6,103 |
△ 3,634 |
当期末残高 |
180,366 |
5,150 |
15,214 |
200,732 |
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の 包括利益累計額 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
当期首残高 |
180,366 |
5,150 |
15,214 |
200,732 |
当期変動額 |
14,815 |
2,508 |
856 |
18,178 |
当期末残高 |
195,181 |
7,658 |
16,070 |
218,910 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
|
|
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
52,796 |
63,534 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△22,504 |
△19,000 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△38,268 |
△39,583 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
1,077 |
2,186 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
△6,899 |
7,136 |
現金及び現金同等物の期首残高 |
106,558 |
99,658 |
連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
- |
1,574 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
99,658 |
108,369 |
⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(時価の算定に関する会計基準の適用指針の適用)
「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2021年6月17日。以下「時価算定会計基準適用指針」という。)を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準適用指針第27-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準適用指針が定める新たな会計方針を将来にわたって適用することといたしました。
なお、当該会計基準の適用による連結財務諸表に与える影響はありません。
(資産除去債務の会計処理の変更)
当社及び国内連結子会社の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務に係る資産除去債務の計上は、従来、当該不動産賃借契約に係る敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額を合理的に見積り、そのうち当期の負担に属する金額を費用に計上する方法によっておりましたが、固定資産管理システムを見直したことでより適正な会計処理を実施することが可能となり、当連結会計年度から、原状回復費用を資産除去債務として負債計上し、これに対応する除去費用を有形固定資産に含めて償却する方法へと変更しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(連結子会社の決算日の変更)
当社と決算日が異なっていた子会社・関連会社について、当連結会計年度の期首において報告期間を統一いたしました。この変更に伴い、当該子会社・関連会社に係る2023年1月1日から2023年3月31日までの3ヶ月の損益については利益剰余金に計上するとともに、キャッシュ・フローについては現金及び現金同等物の期首残高の調整項目として計上しております。
(10)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 38.初度適用」に記載のとおりであります。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(のれん)
日本基準では、のれんはその効果が発現する期間にわたって均等償却することとしておりましたが、IFRSでは移行日以降は非償却としております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「販売費及び一般管理費」が6,975百万円減少しております。
(未払有給休暇)
日本基準では計上していなかった未払有給休暇をIFRSでは計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」が3,758百万円増加しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。