当社グループは、当社及び子会社119社、関連会社31社で構成され、その主な事業内容は、建設事業(国内建築事業、海外建築事業、国内土木事業及び海外土木事業)及び不動産事業であり、さらに各々に付帯する事業を行っている。
当中間連結会計期間において、当社グループが営む事業の内容について、重要な変更はない。また、主要な関係会社に異動はない。
当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはない。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はない。
(1)経営成績
当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しや企業収益の改善を受け、緩やかな景気回復を続けた。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな景気回復が継続することが期待されるが、国内外の金融政策変更等に伴う為替変動による下振れリスクや原材料・エネルギー価格の高騰等の影響にも引き続き注視が必要な状況にある。
国内の建設市場においては、為替の変動や建設物価の高騰等が企業の設備投資意欲を減退させる可能性はあるものの、政府が推進する特定重要物資のサプライチェーンの強靭化政策等による民間工事の増加や堅調に推移している公共工事の発注を背景として、当面は底堅い受注環境が見込まれている。
こうした情勢下にあって、当中間連結会計期間における当社グループの連結業績については、売上高は国内・海外建築事業における大型工事の進捗や海外土木事業におけるMWH社の連結子会社化等により、前年同期比1,592億円(14.7%)増の1兆2,405億円となった。損益の面では、国内建設事業において手持ち工事の採算性が改善したことなどにより、営業利益は前年同期比146億円(47.5%)増の454億円、経常利益は前年同期比117億円(30.8%)増の497億円となった。また、親会社株主に帰属する中間純利益は、政策保有株式の売却等により、前年同期比253億円(85.3%)増の551億円となった。
セグメント情報
(国内建築事業) 売上高は前年同期比406億円(6.8%)増の6,351億円、営業利益は前年同期比
75億円(125.5%)増の135億円となった。
(海外建築事業) 売上高は前年同期比464億円(21.4%)増の2,637億円、営業利益は前年同期比
10億円(13.8%)減の66億円となった。
(国内土木事業) 売上高は前年同期比99億円(5.7%)増の1,846億円、営業利益は前年同期比
72億円(72.0%)増の172億円となった。
(海外土木事業) 売上高は前年同期比613億円(122.5%)増の1,115億円、営業利益は前年同期比
7億円(104.7%)増の15億円となった。
(不動産事業) 売上高は前年同期比28億円(14.8%)増の225億円、営業利益は前年同期比
3億円(6.8%)減の49億円となった。
(その他) 売上高は前年同期比20億円(8.4%)減の229億円、営業利益は前年同期比
5億円(48.7%)増の16億円となった。
※ セグメント情報の詳細は、第4 経理の状況 を参照
(2)財政状態
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末比580億円(1.9%)減の2兆9,610億円となった。これは、「現金預金」が減少したこと、政策保有株式の売却や時価の下落により「投資有価証券」が減少したことなどによるものである。
当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末比395億円(2.2%)減の1兆7,843億円となった。これは、工事代金の支払に係る債務(「支払手形・工事未払金等」及び「電子記録債務」の合計)が減少したことなどによるものである。一方、有利子負債残高は「コマーシャル・ペーパー」や「社債」が増加したことなどにより、前連結会計年度末比444億円(13.7%)増の3,683億円となっている。
当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末比185億円(1.5%)減の1兆1,767億円となった。これは、親会社株主に帰属する中間純利益の計上に伴い「利益剰余金」が増加した一方で、「その他有価証券評価差額金」が減少したことなどによるものである。
これらの結果、当中間連結会計期間末の自己資本比率は38.2%となり、前連結会計年度末より0.1ポイント上昇した。
(3)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に国内の建設事業収支で支出が先行したことなどから563億円のマイナス(前中間連結会計期間は967億円のマイナス)となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、政策保有株式の売却による収入があったものの、事業用不動産の取得やEastland Generation社株式の取得(関連会社化)等により163億円のマイナス(前中間連結会計期間は582億円のマイナス)となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーや社債を発行したものの、配当金の支払等により43億円のマイナス(前中間連結会計期間は56億円のマイナス)となった。
これらの結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、前連結会計年度末に比べて667億円減少し、2,598億円となった。
(4)経営方針・経営戦略等
(政策保有株式の縮減について)
当社は、顧客との取引関係の維持強化を目的として取引先の株式(以下「政策保有株式」という。)を保有しており、保有意義については、取締役会において当該株式評価損益を定期的に報告し、資本コストや取引関係の維持強化による事業上のリターン等の収益性評価の指標を総合的に勘案したうえで、中長期的な経済合理性を検証している。検証の結果、営業上の保有意義が希薄化した株式については適宜売却している。
当社グループは、「大林グループ中期経営計画2022」において、政策保有株式の保有意義や投資効率の見直しを更に進め、2027年3月末までに連結純資産の20%以内とすることを目標とし、縮減を進めている。
当中間連結会計期間末の政策保有株式の保有残高が連結純資産に占める割合は26.7%となり、前連結会計年度末より7.1ポイント減少した。これは、政策保有株式の売却が進捗したこと及び保有株式の株価が下落したことなどによるものである。目標の必達に向け、さらなる売却の加速に努めていく。
なお、当社は、企業価値向上に向けて、人材・DX・技術への投資や生産力拡充のための投資及び競争優位を確立できる領域において機会を捉えた成長投資等を積極的に実行することとしている。また、資本効率性の向上の観点から、当社グループの成長に合わせて必要となる自己資本額を設定のうえ、戦略的な株主還元を実施することとしている。政策保有株式の売却で得られた資金は、これらの投資または株主還元に充当する。
<政策保有株式の残高及び純資産比率の推移(連結)>
<政策保有株式売却額推移(連結)>
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2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 中間期末時点 |
売却額 |
169億円 |
246億円 |
331億円 |
361億円 |
2021年度からの累計売却額 |
169億円 |
415億円 |
746億円 |
1,108億円 |
累計売却額+売却合意済額 |
― |
563億円 |
1,463億円 |
1,763億円 |
<政策保有株式保有残高の期中増減要因(連結)>
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金額 |
2024年3月末残高 |
4,035億円 |
期中売却 |
△361億円 |
株価下落による減少 |
△515億円 |
その他(減損、為替の影響等) |
△17億円 |
2024年9月末残高 |
3,142億円 |
(うち、売却合意済額) |
(654億円) |
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はない。
(6)研究開発活動
当社グループの当中間連結会計期間における研究開発に要した費用の総額は、71億円である。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はない。