第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間(2024年4月1日から9月30日まで)において、世界の株式市場は米国の雇用情勢を巡り株価が調整する場面もあったものの、全体として欧米先進国のインフレ圧力低下と金融政策転換を織り込む形で堅調に推移しました。

その中で米国株式市場は、FRBによる約4年半ぶりの利下げとソフトランディング観測を追い風に大型グロース株とバリュー株の循環物色が見られ、ダウ工業株30種やS&P500種指数等、主要株価指数は史上最高値を更新しました。

国内株式市場は、米国の株高と円安を受けて日経平均株価が7月11日に史上最高値となる42,426円77銭を付けました。その後、日銀による利上げや米国の雇用情勢悪化をきっかけに一時31,000円台まで下落しましたが、円安の持続や米国情勢の改善により足元株価は戻り基調となっています。

アジア株式市場は、米国の利下げを事前に織り込む形で新興国の通貨高・株高が進行し、7月から9月にかけてインドネシアのジャカルタ総合指数は史上最高値を更新、マレーシアとタイ、フィリピンの主要株価指数も大きく反発しました。一方ベトナムは実質GDP成長率や輸出等の経済指標が好調だったものの、外国人の売り越しが続いたためVN指数はほぼ横ばいに推移しています。中国・香港株式市場は、不動産市況の低迷やデフレ懸念を背景に5月以降相場の低迷局面が続きましたが、9月24日に発表された大規模な景気刺激策をきっかけに主要株価指数が20%以上急騰するなど株価見直しの動きが出始めています。

 

このような状況の中、当社グループは経営理念「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」の下、2022年度からスタートした中期経営計画「Define Next 100 ~もっとお客様のために~」に基づき、徹底的なお客様目線での業務運営をはじめ、ブローカレッジビジネスから資産形成ビジネスへのシフトやプラットフォームビジネスの拡大、グループ連携の強化(総合金融サービスグループ化)、サステナブルな未来の実現を目指すという5つの基本方針を掲げ、各種取組みを進めております。

当社グループは、証券事業を主軸とし、投資事業、運用事業、金融商品仲介事業、ベトナム証券事業を展開しております。各事業における取組みは以下のとおりです。

 

[証券事業]

証券事業を営むアイザワ証券株式会社では「資産運用・資産形成の伴走者」として、お客様が資産運用・資産形成のゴールを実現するまで寄り添い、最適なアドバイスをする投資運用助言・フォローアップのプロフェッショナルを目指しております。

プラットフォームビジネスにおいては、金融商品仲介業務に係る業務委託基本契約を締結している株式会社佐賀共栄銀行と会社分割(簡易吸収分割)契約を締結しました。これにより、佐賀共栄銀行にて取り扱われている公共債及び投資信託の窓販業務等、一部の登録金融機関業務に係るお客様の証券口座に関する権利義務をアイザワ証券が承継します。本会社分割により佐賀共栄銀行における金融商品取引に係る業務のリソースの合理化・効率化を実現するとともに、アイザワ証券の同業務に対する豊富なノウハウや商品ラインアップ等を活用し、地域のお客様の人生100年時代における資産形成と豊かな生活を支援してまいります。

店舗戦略においては、店舗配置の合理化とお客様へのサービス向上を目的として、7月に広島支店と三次コンサルティングプラザ、8月に五條支店と吉野コンサルティングプラザをそれぞれ統合しました。また、7月に加古川支店を移転しました。店舗ネットワークの再構築及び人的資源の再配置を行うことでより地域に根差し、お客様にご満足いただけるサービスをお届けしてまいります。

 

その他の取組みとしまして、地域活性化に関する包括連携協定を締結している静岡県小山町において、より一層の地方創生・地域活性化に取り組むため、アイザワ証券の従業員(地域連携サポート室所属社員)がアイザワ証券所属のまま小山町役場に駐在することになりました。証券会社社員の行政機関への駐在は国内「初」(※アイザワ証券調べによる)の案件となります。

ベトナム証券事業におきましては、現地証券会社であるJapan Securities Co., Ltd.がベトナム株式のリアルタイム取引の提供や投資情報の充実により、ベトナム株式の取引拡大を推進しています。

 

[投資事業]

投資事業を営むアイザワ・インベストメンツ株式会社は、国内外の上場有価証券やベンチャー企業、外部ファンド、収益不動産を中心に投資を行い、それぞれのアセットクラスにおいて投資資産残高及び投資収益の拡大を図っております。

国内外の成長企業や、配当金を含め安定的な期待収益が見込める上場企業等、中長期投資を基本に上場有価証券への投資を行っております。また、有望なベンチャー企業へ投資し、将来的な上場へ向けてサポートを行っているほか、国内外のベンチャーファンドやバイアウトファンド、プライベートデットファンド、メザニンファンド、ヘッジファンド、不動産開発型ファンド等への投資を行っております。国内不動産に対する直接投資も行い、主に首都圏においてレジデンスを中心に物件を保有し、賃料収入による収益を獲得しております。

 

[運用事業]

運用事業を営むあいざわアセットマネジメント株式会社は、「日本で最も投資家に求められるオルタナティブ資産運用会社」になることを目標に掲げ、プライベートエクイティとヘッジファンドの分野を中心とするオルタナティブ資産の運用を行っております。日本では担い手の少ない「プライベートエクイティセカンダリー投資」分野で日本のリーディングカンパニーを目指し、国内外における認知度の向上を図っております。

 

[金融商品仲介事業]

金融商品仲介事業・保険代理事業を営むライフデザインパートナーズ株式会社は、従来の金融商品に留まらず生命保険商品も含めた提案を行うことで、お客様の総合的な資産形成のサポートを行っております。保険代理店として、アイザワ証券のお客様へ保険サービスを提供しており、保険代理事業の拡大に取り組んでおります。

 

アイザワ証券グループは、株主還元の強化の一環として、2025年3月期から2028年3月期までの間、配当(普通配当及び特別配当)と自己株式取得による株主還元を総額200億円以上(約100億円(※)を特別配当、残り約100億円を普通配当及び自己株式取得)実施する方針としております。

※特別配当の金額は現在の株式数を前提にした試算であり、今後株式数の増減や分配可能額規制その他の法令上の規制、経営環境の変化等の事情により変動する可能性があります。

 

これからも当社グループは、各グループ子会社がそれぞれの強みを発揮し、連携した活動により総合金融サービスグループを目指してまいります。

 

当中間連結会計期間における業績の内訳は次のとおりです。

 

①経営成績の状況

(受入手数料)

 投資信託の取扱高及びラップ取引に係る投資顧問報酬の増加等により、受入手数料は69億35百万円(前年同期比8.5%増)となりました。

(トレーディング損益)

 外国株式国内店頭取引の減少等により、トレーディング損益は16億97百万円(同23.4%減)となりました。

(金融収支)

 金融収益は4億53百万円(同46.6%増)、金融費用は42百万円(同0.5%増)となり、差引金融収支は4億10百万円(同53.9%増)となりました。

 

(その他の営業収益・その他の営業費用)

営業投資有価証券売上高の増加等により、その他の営業収益は4億47百万円(同24.9%増)となりました。

不動産売上原価の増加等により、その他の営業費用は2億64百万円(同8.1%増)となりました。

(販売費・一般管理費)

 取引関係費及び人件費の増加等により、販売費・一般管理費は89億20百万円(同7.8%増)となりました。

(営業外損益)

 営業外収益は受取配当金2億75百万円等により4億46百万円、営業外費用は支払利息57百万円等により93百万円となりました。これにより営業外損益は3億52百万円(同4.8%増)の利益となりました。

(特別損益)

 特別利益は投資有価証券売却益により17億25百万円、特別損失は投資有価証券償還損2億56百万円等により2億66百万円となりました。これにより特別損益は14億58百万円の利益となりました。

 

 以上により、当中間連結会計期間の営業収益は95億33百万円(同2.8%増)、営業利益は3億6百万円(同57.1%減)、経常利益は6億59百万円(同37.3%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は15億26百万円(同65.1%増)となりました。

 

②セグメントごとの経営成績の状況

(証券事業)

当中間連結会計期間における証券事業は投資信託の取扱高及びラップ取引に係る投資顧問報酬の増加等により、受入手数料が増加し、営業収益は89億82百万円(前年同期比1.9%増)となりました。一方で、取引関係費及び人件費等の販売費・一般管理費の増加等により、セグメント利益は2億97百万円(前年同期比63.0%減)となりました。

(運用事業)

当中間連結会計期間における運用事業は運用報酬の増加等により、営業収益は1億20百万円(同5.5%増)、セグメント損失は1億36百万円となりました。

(投資事業)

当中間連結会計期間における投資事業は営業投資有価証券売上高の増加等により、営業収益は4億61百万円(同23.1%増)、セグメント損失は42百万円となりました。

 

なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。

 

③財政状態の状況

 (資産の状況)

当中間連結会計期間末の資産合計は1,186億22百万円と、前連結会計年度末に比べ54億97百万円の減少となりました。主な要因は、預託金37億90百万円の減少、投資有価証券24億97百万円の減少によるものです。

 (負債の状況)

当中間連結会計期間末の負債合計は711億29百万円と、前連結会計年度末に比べ56億67百万円の増加となりました。主な要因は、信用取引負債52億27百万円の減少、預り金58億31百万円の増加、短期借入金73億35百万円の増加によるものです。

 (純資産の状況)

当中間連結会計期間末の純資産合計は474億92百万円と前連結会計年度末に比べ111億64百万円の減少となりました。主な要因は、自己株式の増加に伴う純資産107億5百万円の減少、その他有価証券評価差額金16億20百万円の減少によるものです。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ20億85百万円減少し、当中間連結会計期間末には206億23百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における営業活動の結果獲得した資金は12億47百万円(前年同期は56億76百万円の収入)となりました。これは主に預り金の増加、信用取引負債の減少によるものです。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における投資活動の結果獲得した資金は13億68百万円(前年同期は7億48百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出、投資有価証券の売却による収入によるものです。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における財務活動の結果支出した資金は45億22百万円(前年同期は12億98百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金の増加、自己株式取得による支出、配当金の支払いによるものです。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

当社グループの中核事業が金融商品取引業であることから、営業収益は国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けます。このため、当社グループの経営成績は金融商品取引市場の環境により大きく変動する可能性があります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。