第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

また、当中間連結会計期間において、重要な影響を及ぼす可能性のある事項は発生しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」のグループ理念のもと、事業を通して持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践することで、自らの中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を実現していきたいと考えております。このため、2030年度をゴールとする長期目標※1として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、2024年度を最終年度とする4ヵ年の中期経営計画※1においては、最終年度の業績目標として、売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を掲げ、様々な変革に取り組んでまいりました。

あわせて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献、サステナビリティ経営推進の観点から、長期にわたり取り組む重点課題として当社グループのマテリアリティ※2を特定し、環境、イノベーション、社会、人材については、独自の4つのSDGs目標※3を定め、また、企業が社会に存立するうえで果たさなければならない基本的責務※4である3つの項目については、CSR活動において具体的目標を定め、その達成に向けた取組みを進めております。

現在、持続可能な社会に向けて、気候変動・脱炭素への対応やウイルスと共生が求められる時代における安全・安心の確保からサプライチェーンの課題やエネルギー価格の高騰、インフレへの対処まで、様々な社会・お客様の課題が生まれています。こうした課題対応に向けたお客様や社会の変化を支援できることがオートメーション事業の価値との考えに基づき、当社グループといたしましては、独自の技術・製品・サービスを活かすことのできる「新オートメーション事業」「環境・エネルギー事業」「ライフサイクル型事業」という3つの成長事業領域に注力し、新たな課題の解決策を提供することにより、ビルディングオートメーション(BA)、アドバンスオートメーション(AA)、ライフオートメーション(LA)各事業での成長を目指してまいります。

このため引き続き、技術開発・設備への積極的な投資を進め、外部パートナーとの協創を含めた商品力強化に向けた取組みを進めてまいります。また、グローバルでの生産基盤強化や商品力強化、社内の生産性向上に向けたDXの推進、海外事業における顧客カバレッジ・商品の拡大等、これまでの実績を起点に、“更なる成長に向けた変革”に取り組んでまいります。あわせて、企業成長の原動力でもある人的資本に積極的に投資してまいります。

こうした変革の取組みとこれまでの収益力強化等の成果を基に、中期経営計画最終年度となる2024年度においては、当初目標を上回る、売上高3,010億円、営業利益402億円、営業利益率13.4%、ROE16.7%(2024年11月8日公表)を計画いたします。

 

当社グループは、事業活動そのものを通じて持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践し、自らの成長も実現することで、社会のwell-being実現への貢献と社員のwell-beingの実現を目指してまいります。

 

※1 長期目標、中期経営計画

2021年5月14日、当社グループは長期目標、中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。

※2 当社グループのマテリアリティ

環境(気候変動、資源循環)、イノベーション、社会(サプライチェーン、地域社会への貢献)、人材(人権・安全・健康、学習と人材育成)、ガバナンス(商品安全・品質、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス)

※3 azbilグループSDGs目標

・事業として取り組む領域:「環境・エネルギー」「新オートメーション」

・企業活動全体で取り組む領域:「サプライチェーン、社会的責任」、「健幸経営、学習する企業体」

※4 企業が社会に存立するうえで果たさなければならない基本的責務

「商品安全・品質」「コーポレート・ガバナンス」「コンプライアンス」

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間における当社グループを取り巻く事業環境認識は次のとおりです。

 国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移しています。生産設備向けの各種機器・システムにつきましては、工場・プラントの脱炭素化やDX推進に向けた需要は継続していますが、ファクトリーオートメーション(FA)市場で前年度からの需要低迷が継続しました。

 この結果、当中間連結会計期間における業績につきましては次のとおりとなりました。

 受注高は、堅調な市況に加えて、複数年の大型サービス契約の更改によりBA事業が大きく増加したことを主因に、LA事業でも大型案件の獲得があったことなどから、前年同期比7.5%増加の1,711億2千6百万円(前年同期は1,591億4千2百万円)となりました。売上高についても、前連結会計年度における受注増加を背景に、BA事業、LA事業が増加したため、全体として前年同期比5.6%増加の1,392億5千2百万円(前年同期は1,318億8千5百万円)となりました。

損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画に基づく研究開発費の増加に加え、DX関連費用、人件費やその他費用の増加がありましたが、増収及び価格転嫁も含めた収益力強化施策により改善し、前年同期比12.8%増加の146億4千万円(前年同期は129億8千万円)となりました。経常利益は、為替差損の計上があるものの、増収により前年同期比2.5%増加の146億6千7百万円(前年同期は143億1千4百万円)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期に投資有価証券売却益の計上があったことなどにより、前年同期比8.3%減少の109億4千4百万円(前年同期は119億3千7百万円)となりました。

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期
中間連結会計期間

2025年3月期
中間連結会計期間

増減

増減率

受注高

159,142

171,126

11,984

7.5%

売上高

131,885

139,252

7,367

5.6%

営業利益

(利益率)

12,980

(9.8%)

14,640

(10.5%)

1,660

(0.7pp)

12.8%
 

経常利益

14,314

14,667

352

2.5%

親会社株主に帰属する
中間純利益

(利益率)

11,937

(9.1%)

10,944

(7.9%)

△992

(△1.2pp)

△8.3%

 

 

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては次のとおりであります。

 

ビルディングオートメーション(BA)事業

BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、都市再開発のオフィスビル向け需要が一旦踊り場を迎えますが、高い水準を引き続き維持しています。省エネ・CO排出量削減の需要に加えて、新型コロナウイルス感染拡大後の安全や新しい働き方に適応した新たなソリューション対応への関心も継続しています。海外市場でも新型コロナウイルス感染拡大前の水準を超えて、投資が拡大しています。こうした事業環境のもと、着実に受注を獲得するとともに、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化とDX推進による効率化を進めてまいりました。また、IoTやクラウド等の技術活用を志向する国内外のお客様のニーズに対応するための製品・サービスの拡大も進めてまいりました。

この結果、BA事業の当中間連結会計期間の業績は次のとおりとなりました。

受注高は、大型の複数年サービス契約の更改を主因に、人員等のリソースのシフト・体制強化を進めている既設建物向け分野も増加し、BA事業全体として大きく伸長し、前年同期比12.1%増加の932億9千3百万円(前年同期は832億5千2百万円)となりました。売上高は、既設建物向け分野、サービス分野、海外事業それぞれが増加したことから、前年同期比11.6%増加と大きく伸長し625億3千1百万円(前年同期は560億4千3百万円)となりました。セグメント利益は、外注費の高騰のほか、人件費、DX関連費用や研究開発投資等の費用の増加がありましたが、収益性の高い既設建物向け・サービス分野を中心とした増収及び価格転嫁を含む収益力強化の効果により大きく改善し、前年同期比63.4%増加の61億1千7百万円(前年同期は37億4千3百万円)となりました。

中長期的には、引き続き大型の再開発案件が計画され、建物の改修計画も多数見込まれています。採算性に配慮しつつ、これらの需要に確実にお応えしてまいります。さらに、事業提携も含めて、脱炭素化に向けた省エネ・再生可能エネルギー利活用ニーズに応えるESP(Energy Service Provider)モデルの展開、データセンター市場の攻略等を進めてまいります。また、新型コロナウイルス感染拡大後に顕在化した安全・安心ニーズに利便性・快適性を備え、新しい働き方にも適応したウェルネスオフィスの需要に対し、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。収益力強化の観点からは、営業・エンジニアリング等のDXの推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期
中間連結会計期間

2025年3月期
中間連結会計期間

増減

増減率

受注高

83,252

93,293

10,041

12.1%

売上高

56,043

62,531

6,488

11.6%

セグメント利益

(利益率)

3,743

(6.7%)

6,117

(9.8%)

2,374

(3.1pp)

63.4%

 

 

 

 

アドバンスオートメーション(AA)事業

AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、プロセスオートメーション(PA)市場は、国内の保守・改造需要を中心に堅調に推移しています。一方、FA市場では、一部で回復の兆しが見られるものの、中国での市況回復の遅れもあり、全体としては低調な市況が続きました。

このような事業環境のもと、海外での事業成長、新しいオートメーションの創造という2つの成長施策を通じて事業拡大を図るとともに、部材調達難対応としての調達・生産プロセスの改善や収益力強化に継続して取り組みました。

この結果、AA事業の当中間連結会計期間の業績は次のとおりとなりました。

受注高は、FA市場での循環的な需要の低迷が継続したことに加えて、前年同期に大型案件が計上されたことなどから前年同期比5.3%減少の493億2千3百万円(前年同期は521億1百万円)となりました。一方、売上高は、部材調達難が段階的に解消されたことにより納期が改善され、受注から売上までの期間が短縮されたため、前年同期と同水準となる516億1千4百万円(前年同期は518億4千8百万円)となりました。セグメント利益は、価格転嫁を含む収益力強化施策の効果が引き続き認められたものの、人件費をはじめとした各種経費の上昇や海外営業投資、DX投資、研究開発投資の増加に加えて、部品在庫への一時的な引当金の計上があり、前年同期比7.5%減少の78億5千2百万円(前年同期は84億8千7百万円)となりました。

現在もFA市場の市況低迷が継続していますが、前述の2つの成長施策が着実に進展しており、今後の市況回復期での成長に寄与することに加え、長期的には工場の脱炭素化、人手不足対応、設備老朽化対応、新しい生産方式の導入等、お客様のオートメーションへのニーズ対応として、工業系オートメーション市場はグローバルに拡大していくことが期待されています。引き続き3つの事業単位※5(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、海外事業をはじめとした成長領域への展開を推し進め、AIやクラウド、微細加工等の先進的な技術を取り入れた製品・サービスの開発、市場投入を加速し、当社グループならではの新しいオートメーション領域を創出することで、高い競争力を持った事業成長を目指してまいります。

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期
中間連結会計期間

2025年3月期
中間連結会計期間

増減

増減率

受注高

52,101

49,323

△2,777

△5.3%

売上高

51,848

51,614

△234

△0.5%

セグメント利益

(利益率)

8,487

(16.4%)

7,852

(15.2%)

△635

(△1.2pp)

△7.5%

 

 

※5 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)

CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)

IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)

SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)

 

ライフオートメーション(LA)事業

LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。

売上の大半を占めるライフライン分野は、法定によるメーターの交換需要を主体として一定の需要が継続的に見込まれますが、現在LPガスメーター市場が循環的な不需要期にあります。また、海外で事業展開しているライフサイエンスエンジニアリング分野では、製薬プラント設備への需要は継続していますが、業界再編の進展、インフレ継続による投資・景気への影響等が見られました。

こうした事業環境のもと、LA事業として品質・コスト管理の強化及び価格転嫁を含む収益力強化に取り組んでまいりました。あわせて、資本効率の向上を図る事業ポートフォリオの再構築の観点から、ライフサイエンスエンジニアリング分野を担うアズビルテルスター有限会社(以下、「アズビルテルスター」)の出資持分全てのSyntegon Technology GmbH(契約上の譲渡先は同社の100%子会社であるFalcon Acquisition, S.L.U.)への譲渡※6を進めてまいりました。

この結果、LA事業の当中間連結会計期間の業績は次のとおりとなりました。

受注高は、大型案件のあったライフサイエンスエンジニアリング分野での増加を主因に、LA事業全体では大きく伸長し前年同期比18.5%増加の294億2千9百万円(前年同期は248億2千5百万円)となりました。売上高は、ライフサイエンスエンジニアリング分野が増加したことを主因に、前年同期比3.8%増加の259億7千6百万円(前年同期は250億1千4百万円)となりました。セグメント利益については、人件費をはじめとした各種経費の上昇はあるものの、増収による増益等により前年同期と同水準となる6億9千4百万円(前年同期は7億6千万円)となりました。

LA事業では、事業全体で価格転嫁の取組みを含めた収益力の改善、DXの推進による業務プロセスの見直しなどに取り組み、環境変化に応じた適切な変革を推進いたします。ライフライン分野では、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、スマートメーターを視野に入れた製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メーターからのデータを活用したサービスプロバイダーとしての新たな事業の創出に取り組んでまいります。住宅用全館空調システム分野では新設建物から既設建物まで、省エネや空気質も含めて、幅広く生活空間の快適性を提供する製品対応等により、事業を推進してまいります。

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期
中間連結会計期間

2025年3月期
中間連結会計期間

増減

増減率

受注高

24,825

29,429

4,603

18.5%

売上高

25,014

25,976

961

3.8%

セグメント利益

(利益率)

760

(3.0%)

694

(2.7%)

△66

(△0.4pp)

△8.8%

 

 

※6 アズビルテルスターの出資持分全てを、2024年10月31日(中央ヨーロッパ時間)付で譲渡しました。この譲渡に伴いアズビルテルスター及びその子会社は2025年3月期第3四半期末にて当社の連結の範囲から除外されます。

 

その他

 その他は主にazbilグループ内の保険代理業であり、当中間連結会計期間の受注高は3千7百万円(前年同期は3千4百万円)、売上高は3千6百万円(前年同期は3千4百万円)、セグメント損失は1千2百万円(前年同期は7百万円の損失)となりました。

 

当中間連結会計期間末の財政状態につきましては、以下のとおりです。

(資産の状況)

 当中間連結会計期間末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて107億7千6百万円減少し、資産合計で3,029億5千2百万円となりました。これは主に、現金及び預金が84億5千7百万円増加したものの、売上債権等が158億2千8百万円、投資有価証券が41億6千2百万円それぞれ減少したことによるものであります。

(負債の状況)

 当中間連結会計期間末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて163億1千万円減少し、負債合計で725億3千万円となりました。これは主に、未払法人税等が55億8千1百万円、賞与引当金が41億3千7百万円、仕入債務が24億1千3百万円それぞれ減少したことによるものであります。

(純資産の状況)

 当中間連結会計期間末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて55億3千4百万円増加し、純資産合計で2,304億2千2百万円となりました。これは主に、株主資本が配当金の支払いにより53億7百万円減少したものの、親会社株主に帰属する中間純利益の計上により109億4千4百万円増加したことによるものであります。

 

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.6%から75.0%となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は172億4千4百万円となり、前年同期に比べて103億4千2百万円の増加となりました。これは主に、前年同期において部品確保・調達力強化の対応等により棚卸資産が増加していたことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における投資活動による資金の増加(収入と支出の純額)は、設備投資等の支出はあったものの、米国の関係会社出資金の売却等の収入があり、1億7百万円となりました。前年同期においては、投資有価証券の売却による収入があったものの、設備投資等の支出により、22億6千4百万円の支出の超過となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は、84億2千3百万円となり、前年同期に比べて66億2千6百万円の支出の減少となりました。これは主に、配当による支出が増加したものの、前年同期には取締役会決議に基づく自己株式の取得による支出があったことによるものであります。

 

 以上の結果、資金の当中間連結会計期間末残高は、前連結会計年度末より95億2千3百万円増加し、851億1千9百万円となりました。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、azbilグループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるazbilグループの研究開発費の総額は61億2千7百万円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、azbilグループの経営方針・経営戦略等について、重要な変更はありません。

 当社グループは、2030年度をゴールとする長期目標及びこの目標実現に向けた第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定し、2021年5月14日に公表いたしました。長期目標では、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しており、また中期経営計画においては、最終年度の売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。さらに、2021年度より資本コストを意識した経営の観点から投下資本利益率(ROIC)を導入し、投下資本からの収益性に基づく経営資源活用の最大効率化と事業ポートフォリオ管理を実践することで、当社グループ全体の企業価値向上(ROEの向上)に繋げてまいります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、前述のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため、当社グループは格付投資情報センターより発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、コマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。

 当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当中間連結会計期間末現在で短期借入金の残高は62億5千4百万円で、前連結会計年度末に比べて12億1千4百万円減少しております。なお、当中間連結会計期間において重要な資金調達はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当社は、当社の連結子会社であるアズビルテルスター有限会社の出資持分の全てを、Syntegon Technology GmbHの100%子会社に譲渡することに合意のうえ、2024年6月6日(中央ヨーロッパ時間)に決定・契約締結しました。

 なお、当該持分譲渡については2024年10月31日(中央ヨーロッパ時間)に実行しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。