第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績の状況

 当中間連結会計期間において、欧米では金融政策が緩和傾向にあるものの、地政学リスクもあり景気の先行きは不透明な状況で推移しました。国内では、本年4月に施行された医師の働き方改革および本年6月の診療報酬改定を受け、各医療機関はタスクシフトや業務の効率化に取り組む一方、医療従事者の確保が課題となり、厳しい経営環境となりました。海外では、中国において反腐敗運動や景気減速の影響により医療機器の設備投資に慎重な姿勢が続いたものの、米国においては検査・手術件数の増加に伴い病院経営に改善傾向が見られました。国内外ともに、医療機関における医療の質向上と効率化が急務であり、データヘルス、遠隔医療、AI、ICTの活用など医療DXが推進されました。

 このような状況下、当社グループは、2024年度からスタートした3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」を推進し、3つの指標「成長性」「収益性」「資本効率性」の目標達成に向け、「製品競争力の強化」「北米事業の成長に注力」「全社収益改革の実行」など6つの重要施策に取り組みました。

 国内市場においては、急性期病院、中小病院、診療所といった市場別の取り組みを強化するとともに、医療安全、診療実績、業務効率につながる顧客価値提案を推進し、増収を確保することが出来ました。ITシステムは大口商談の受注もあり好調だった前年同期から反動減となった一方、注力している消耗品・サービス事業の売上が伸長しました。市場別には、大学、私立病院市場は前年同期実績を下回りましたが、官公立病院、診療所市場は堅調に推移しました。PAD市場(※1)でAEDの販売も好調でした。商品別には、ITシステム商談が減少した生体情報モニタ、生体計測機器が減収となり、その他商品群は前年同期並みとなりました。一方、治療機器は、AED、除細動器、アブレーションカテーテルが好調に推移しました。この結果、国内売上高は662億4千3百万円(前年同期比0.8%増)となりました。

 海外市場においては、前年同期の米国子会社再編に伴うデフィブテックLLCの決算期変更の影響(※2)に加え、中国を中心にアジア州他が低調だったことから、減収となりました。北米では、AEDは減収となったものの、生体情報モニタ、人工呼吸器が好調に推移しました。中南米も、メキシコ、ブラジルを中心に二桁成長となりました。欧州では、ドイツ、トルコは増収となりましたが、オランダ、イギリスを中心にAEDが減収となり、前年同期実績を下回りました。アジア州他では、中国、中近東・アフリカが好調だった前年同期実績を下回ったことから、減収となりました。商品別には、生体情報モニタ、その他商品群が増収となった一方、治療機器、生体計測機器が前年同期実績を下回りました。この結果、海外売上高は365億4千1百万円(同3.4%減)となりました。

 以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は1,027億8千4百万円(同0.7%減)となりました。利益面では、減収に加え、人員の増強および賃上げ対応に伴う販管費の増加により、営業利益は51億1千4百万円(同31.7%減)となりました。経常利益は、為替差損益が差損に転じたことから、21億3千9百万円(同82.9%減)となりました。また、中国での医療機器の需要低迷に伴い、上海光電医用電子儀器㈲の事業再編費用等の特別損失を計上したことから、親会社株主に帰属する中間純利益は4億6千3百万円(同94.2%減)となりました。

※1 PAD(Public Access Defibrillation):一般市民によるAEDを用いた除細動。PAD市場には公共施設や学校、民間企業などが含まれる。

※2 前連結会計年度において、米国子会社再編に伴い、デフィブテック LLCの決算日を12月31日から3月31日に変更しています。前中間連結会計期間は、2023年1月1日から2023年9月30日までの9ヵ月決算を連結しています。

 

売上高を商品群別に分類すると次のとおりです。

 

金額(百万円)

対前年同期増減率(%)

   生体計測機器

21,474

△  3.8

   生体情報モニタ

38,478

+  1.3

   治療機器

24,444

△  3.6

   その他

18,387

+  3.0

   合 計

102,784

△  0.7

    機器

49,966

△  5.7

    消耗品・サービス

52,818

+  4.5

 

 

(参考)地域別売上高

 

 

 

 

     国内売上高

66,243

+  0.8

     海外売上高

36,541

△  3.4

      北米

19,281

+  8.0

      中南米

2,225

+ 24.3

      欧州

5,741

 △  9.9

      アジア州他

9,292

△ 21.4

 

 

区 分

 内 容

生体計測機器

脳波計、筋電図・誘発電位検査装置、心電計、心臓カテーテル検査装置、診断情報システム、関連の消耗品(記録紙、電極、電極カテーテルなど)、保守サービスなど

生体情報モニタ

心電図、呼吸、SpO2(動脈血酸素飽和度)、NIBP(非観血血圧)等の生体情報を連続的にモニタリングする生体情報モニタ、臨床情報システム、関連の消耗品(電極、センサなど)、保守サービスなど

治療機器

除細動器、AED(自動体外式除細動器)、人工呼吸器、心臓ペースメーカ、麻酔器、人工内耳、関連の消耗品(電極パッド、バッテリ、アブレーションカテーテルなど)、保守サービスなど

その他

血球計数器、臨床化学分析装置、超音波診断装置、消耗品(試薬、衛生用品など)、設置工事・保守サービスなど

 

 

  報告セグメント別の経営成績は次のとおりです。

(日本)売上高は667億7千2百万円(前年同期比1.0%増)、セグメント利益は89億8千4百万円(同1.1%増)となりました。

(北米)売上高は204億3千6百万円(同1.8%減)、セグメント損失は14億1千万円(前年同期は12億9千2百万円の損失)となりました。

(その他の地域)売上高は155億7千6百万円(同6.1%減)、セグメント利益は3千1百万円(同93.9%減)となりました。

 

 

(2) 財政状態の分析

当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ146億3千3百万円減少し、2,186億円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ164億4千2百万円減少し、1,678億9千1百万円となりました。これは、前期末債権の回収が進んだことにより受取手形及び売掛金が減少したことなどによるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ18億9百万円増加し、507億9百万円となりました。これは、鶴ヶ島新工場建設のため建設仮勘定が増加したことや、繰延税金資産が増加したことなどによるものです。

当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ99億3千5百万円減少し、422億1千5百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金や未払法人税等が減少したことなどによるものです。

当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ46億9千7百万円減少し、1,763億8千5百万円となりました。これは、配当金の支払により利益剰余金が減少したことや、自己株式の取得などによるものです。

これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ20.63円減少して1,058.57円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の77.6%から3.1ポイント増加し80.7%となりました。

(注)当社は2024年7月1日付で、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行いました。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産額」を算定しています。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11億8千5百万円減少して486億9千2百万円となりました。
 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前中間連結会計期間に比べ16億円減の78億8千8百万円となりました。主な内訳は、税金等調整前中間純利益19億8百万円、売上債権の減少141億4千3百万円、仕入債務の減少23億3千7百万円、為替差損23億4千6百万円、法人税等の支払53億6千2百万円などです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、前中間連結会計期間に比べ4億9千1百万円増の33億6千6百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得25億3百万円、無形固定資産の取得10億3千2百万円などです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、前中間連結会計期間に比べ14億8千1百万円増の50億3千4百万円となりました。主な内訳は、配当金の支払26億2百万円、自己株式の取得による支出23億6百万円などです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は31億8千6百万円です。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年9月12日開催の取締役会において、米国Ad-Tech Medical Instrument Corporation(Ad-Tech社)の親会社であるNeuroAdvanced Corp.(NA社)の株式71.4%を取得することを決議しました。また、同日付で、NA社の株式を100%保有するファンドNeuroNewCo, LP(NNC-LP)と株式譲渡契約を締結しました。2024年11月9日付で株式71.4%の取得を完了したことから、NA社とAd-Tech社に加え、両社の間にある特別目的会社(SPC)2社は、当社の連結子会社となります。

また、NNC-LPと新たな資本構成(当社 71.4%:NNC-LP 28.6%)でのAd-Tech社の事業運営および今後の株式取得等に係る株主間契約を2024年11月8日付で締結しました。株主間契約では、将来の経営体制の変更可能性を見据え、NNC-LPにプットオプション(NNC-LPが保有するNA社株式28.6%を当社に売却できる権利)を設定しています。本オプションが行使された場合、当社はNA社の株式28.6%を追加取得することとなり、NA社は当社の100%子会社となります。また、株主間契約には、本オプション行使を前提条件とする、Ad-Tech社の業績目標達成に応じたアーンアウト条項を設定しています。

詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。