当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書(第99期有価証券報告書)に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間の業績については、売上収益は4兆3,797億円(前年同期は4兆4,124億円)、事業利益は3,757億円(前年同期は4,942億円)、親会社の所有者に帰属する中間利益は2,433億円(前年同期は3,002億円)となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。当社グループは、製鉄事業を中核として、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの4つのセグメントで事業を推進しており、製鉄セグメントが連結売上収益の約9割を占めています。
(当期のセグメント別の業績の概況) (単位:億円)
<製鉄>
鉄鋼需要については、国内・海外ともに、製造業や建設業が低迷し、下期にかけて一層厳しさを増す危機的な状況です。加えて、中国の低迷は、政府による景気刺激策はあるものの未だ不透明であり、過剰生産・輸出増加に伴って、各国・地域で通商措置が発動され、日本国内への輸入材圧力も高くなっています。こうした環境のもと、内外の実需及びスプレッド(原料と鋼材の市況価格差)の改善は見込めない状況です。このように、極めて厳しい事業環境が継続するなかにおいても、当社は、足元の収益改善や中長期的な成長に向けた取組みを推進してきました。当中間連結会計期間の業績は、在庫評価差等による増益要因はあったものの、生産出荷やマージン(為替影響を含む)の悪化、外貨建資産・負債の為替換算差額、前中間連結会計期間における一過性影響の戻り(段階取得に係る差益ほか)等の影響により、前年同期比で減収・減益となりました。
製鉄セグメントとして、売上収益は3兆9,905億円(前年同期は4兆532億円)、事業利益は3,538億円(前年同期は4,767億円)となりました。
<エンジニアリング>
日鉄エンジニアリング㈱においては、廃棄物発電プラント事業、海外石油・天然ガス開発施設事業や建築工事事業等で大型案件の工事が進捗し、売上収益は前年同期比で増収となりました。事業利益については、保有海洋作業船の総点検を実施し、クレーン故障箇所以外の健全性も担保するための修繕を行った結果として損失を計上することとなりましたが、故障が発生した前年同期比では改善しました。なお、当該作業船は当中間連結会計期間に修繕を完了し、現在現場にて工事に従事しています。
エンジニアリングセグメントとして、売上収益は1,833億円(前年同期は1,754億円)、事業利益は△12億円(前年同期は△54億円)となりました。
<ケミカル&マテリアル>
日鉄ケミカル&マテリアル㈱においては、世界的な原燃料価格の高騰や半導体等の在庫調整により需要低迷が続く厳しい事業環境下、コスト削減や販売価格改善に最大限努め、事業利益は前年同期比で増益となりました。コールケミカル事業は、主力の黒鉛電極用ニードルコークスの需要低迷が継続し、タイヤ向けカーボンブラック販売は自動車生産停滞等により弱基調で推移しました。化学品事業では、ベンゼン市況は概ね安定的に推移しましたが、スチレンモノマーは国内誘導品需要の回復遅れによる販売減に加え、中国での生産設備の新増設継続による市況低迷が継続しました。機能材料事業では、半導体等の最終製品の需要増の動きがあるなか、機能樹脂は高速通信向けの需要が伸長し、基板材料はスマートフォン向け需要が堅調に推移しました。
ケミカル&マテリアルセグメントとして、売上収益は1,404億円(前年同期は1,328億円)、事業利益は122億円(前年同期は108億円)となりました。
<システムソリューション>
日鉄ソリューションズ㈱においては、企業のDXへの取組みの加速を受け、お客様との関係性を深化させながら、全社を挙げてDXニーズを最大限に捕捉し、事業拡大に取り組んでいます。当社に導入した生産管理システムをアセット化した新生産管理パッケージ「PPMP」の他製造業への展開や、同社が有するITアセットをメニュー化して提供する伴走型プロフェッショナルサービス「xSource(クロスソース)」によるIT戦略策定支援等、お客様のDX推進を強力に牽引しました。また、AIプラットフォーム「Databricks」、「Alli LLM App Market」、デジタルヒューマンサービスの取扱いを開始するなど、AI領域の対応力強化も図っています。
システムソリューションセグメントとして、売上収益は1,570億円(前年同期は1,450億円)、事業利益は183億円(前年同期は151億円)となりました。
(2)当中間連結会計期間末の資産、負債、資本及び当中間連結会計期間のキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間末の連結総資産は、現金及び現金同等物の増加(1,916億円)、営業債権及びその他の債権の増加(522億円)、棚卸資産の増加(590億円)、有形固定資産の増加(1,097億円)、持分法で会計処理されている投資の増加(1,734億円)等があった一方で、非流動資産のその他の金融資産の減少(1,577億円)等があり、前期末(10兆7,146億円)から4,864億円増加し11兆2,010億円となりました。
負債については、有利子負債が2兆7,957億円と前期末(2兆7,116億円)から841億円増加したことや、未払法人所得税等の増加(427億円)等があった一方、営業債務及びその他の債務の減少(2,886億円)等により、前期末(5兆3,587億円)から1,570億円減少し5兆2,016億円となりました。
資本については、親会社の所有者に帰属する中間利益2,433億円による増加、配当金の支払いによる減少(783億円)に対し、在外営業活動体の換算差額の増加(1,793億円)、転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加(2,973億円)等により、前期末(5兆3,558億円)から6,434億円増加し5兆9,993億円となりました。なお、当中間連結会計期間末の親会社の所有者に帰属する持分は5兆4,038億円となり、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は0.52倍(劣後ローン・劣後債資本性調整後0.40倍)となりました。
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前中間利益3,642億円に、減価償却費及び償却費(1,888億円)の加算、営業債権及びその他の債権の減少(403億円)等の収入があった一方、持分法による投資損益(839億円)の控除の調整に加え、営業債務及びその他の債務の減少(1,639億円)、法人所得税の支払(1,020億円)による支出等があり、2,132億円の収入(前年同期は4,625億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入(802億円)等があった一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出(2,734億円)等により、1,950億円の支出(前年同期は3,019億円の支出)となりました。この結果、フリーキャッシュ・フローは182億円の収入(前年同期は1,606億円の収入)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付シンジケートローンや公募劣後特約付社債の発行等による資金調達を通じた有利子負債の実質的な増加を伴う収入(3,718億円)に対し、前期末の配当(783億円)等により、1,509億円の収入(前年同期は2,065億円の支出)となりました。以上により、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は6,405億円となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書(第99期有価証券報告書)に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、経営方針・経営戦略等について、重要な変更及び新たに定めたものはありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当中間連結会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について、重要な変更及び新たに定めたものはありません。
(7)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社及び連結子会社全体の研究開発費は395億円です。
なお、当中間連結会計期間において、研究開発活動の状況について、重要な変更はありません。
(8)従業員数
当中間連結会計期間において、従業員数について、著しい変動はありません。
(9)生産、受注及び販売の実績
当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売の実績について、著しい変動はありません。
(10)主要な設備
当中間連結会計期間において、主要な設備について、著しい変動はありません。
当中間連結会計期間において、新たに決定又は締結した経営上の重要な契約等は、以下のとおりです。
*1 国内電縫鋼管事業の再編について
当社は、2025年4月1日(予定)を効力発生日として、当社の完全子会社である日鉄建材㈱(以下「日鉄建材」)が当社の完全子会社である日鉄鋼管㈱(以下「日鉄鋼管」)の建材管の商権を中心とした事業を吸収分割により承継すること、当社が当該吸収分割後の日鉄鋼管を吸収合併すること(以下「本合併」)、及び日鉄建材の完全子会社である日鉄めっき鋼管㈱(以下「日鉄めっき鋼管」)のメカニカル鋼管の商権を当社に移管すること等(以下、併せて「本事業再編」)に関し、2024年8月1日開催の取締役会決議により決定し、基本合意書を締結した。
本合併の概要は、以下のとおりである。
1.本合併を含む本事業再編の目的
当社、日鉄建材、日鉄鋼管及び日鉄めっき鋼管は、これまで建材管分野及びメカニカル鋼管分野を中心に、各社の強みを活かして顧客の様々なニーズに応え貢献してきた。一方、国内鋼材需要の低迷長期化、国内労働力不足、自動車の電動化、顧客・競争環境のグローバル化等の構造変化も加速しており、当社グループを取り巻く事業環境は今後一層厳しいものになると想定している。このことから、より効率的な事業構造への変革・さらなる競争力強化を目的として事業再編を実行すると同時に、各社における生産構造の最適化を行うものである。
2.本合併の条件等
(1)本合併の日程
本合意書締結決定日(当社) 2024年8月1日
基本合意書締結日 2024年8月1日
合併契約書締結決定日 2025年2月(予定)
合併契約書締結日 2025年2月(予定)
実施予定日(効力発生日) 2025年4月1日(予定)
なお、本合併は、当社においては会社法第796条第2項に規定する簡易合併、日鉄鋼管においては会社法第784条第1項に規定する略式合併に該当するため、両社いずれにおいても、合併契約承認のための株主総会は開催しない。
(2)本合併の方式
当社を存続会社、日鉄鋼管を消滅会社とする吸収合併方式とし、本合併と同時に、日鉄鋼管は解散する。
(3)本合併に係る割当ての内容
当社の完全子会社との合併であり、株式その他の金銭等の割当ては行わない。
(4)本合併に係る割当ての内容の算定根拠
当社の完全子会社との合併であり、株式その他の金銭等の割当ては行わないため、該当事項はない。
(5)新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
該当事項はない。
3.本合併による引継資産・負債の状況(日鉄鋼管の2024年3月31日現在における資産・負債の状況)
4.本合併後の会社の資本金・事業の内容等
また、第99期有価証券報告書で開示している以下の契約については、関係当局の承認が得られること等を条件(以下「前提条件」)に、宝鋼日鉄自動車鋼板有限公司(以下「BNA」)の当社出資持分のすべてを宝山鋼鉄株式有限公司(以下「宝鋼」)に譲渡することにより、2024年8月29日をもって終了させることを宝鋼と合意していましたが、当該日までに前提条件の充足には至らなかったことから、前提条件が充足されるまでの間、BNAの経営を継続するため、契約内容を一部改訂したうえで、経営期間を2024年12月31日まで延長しました。その後、前提条件の充足に至ったことから、2024年10月29日に持分譲渡が完了し、本契約は同日をもって終了しました。
また、第99期有価証券報告書で開示している以下の契約については、それぞれ契約期限を延長しました。
また、2024年10月1日以降、新たに決定又は締結した経営上の重要な契約等は、以下のとおりです。
*2 当社と日鉄ステンレス㈱の合併について
当社は、2025年4月1日を効力発生日(予定)として、当社の完全子会社である日鉄ステンレス㈱(以下「日鉄ステンレス」)を吸収合併すること(以下「本合併」)に関し、2024年10月11日開催の取締役会決議により決定し、合併契約を締結した。
本合併の概要は、以下のとおりである。
1.本合併の目的
日鉄ステンレスは、当社の完全子会社としてステンレス鋼の製造・販売を行っているが、ステンレス鋼板事業に特化した事業規模を活かし、スピーディかつ効率的な組織・運営体制のもとで、営業・品質・コスト・商品開発等を強化するとともに、スリムで強靭な生産設備体制の構築を図るなど、ステンレス鋼板固有の事業環境に根差した課題への対処を実行し、安定した収益基盤を確立してきた。
一方で、今後の人口減少や自動車電動化等による国内需要の減少、アジア市場における過剰供給能力問題の長期化等、ステンレス鋼板事業を取り巻く環境も変化しているなか、従来にも増して高度化・多様化する経営課題に的確に対応していくために、今般、当社は日鉄ステンレスを吸収合併することとした。これにより、両社が有するリソースを最大限に活用し、ステンレス鋼板事業の強化とシナジー最大化を進め、一層の利益成長に取り組んでいく。
2.本合併の条件等
(1)本合併の日程
取締役会決議日(両社) 2024年10月11日
合併契約書締結日 2024年10月11日
効力発生日 2025年4月1日(予定)
なお、本合併は、当社においては会社法第796条第2項に規定する簡易合併、日鉄ステンレスにおいては会社法第784条第1項に規定する略式合併に該当するため、両社いずれにおいても、合併契約承認のための株主総会は開催しない。
(2)本合併の方式
当社を存続会社、日鉄ステンレスを消滅会社とする吸収合併方式とし、本合併と同時に、日鉄ステンレスは解散する。
(3)本合併に係る割当ての内容
当社の完全子会社との合併であり、株式その他の金銭等の割当ては行わない。
(4)本合併に係る割当ての内容の算定根拠
当社の完全子会社との合併であり、株式その他の金銭等の割当ては行わないため、該当事項はない。
(5)新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
該当事項はない。
3.本合併による引継資産・負債の状況(日鉄ステンレスの2024年3月31日現在における資産・負債の状況)
4.本合併後の会社の資本金・事業の内容等
*3 詳細は「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記 15 後発事象」を参照。
なお、第99期有価証券報告書で開示している以下の契約については、「NS Kote, Inc.の株式譲渡を通じたAM/NS Calvert LLC の持分譲渡に関する契約」に基づく持分譲渡が実行された場合には、当該持分譲渡の実行日をもって終了します。