第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

①経営成績

当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)におけるわが国の経済は、インバウンド需要や個人消費、雇用情勢等に回復の兆しがあり、景気は緩やかな持ち直しが見られます。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化の影響、また日米金利政策の影響による為替相場の急激な変動など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く国内ITサービス業界では、「非接触」や「非対面」を実現するデジタル化のニーズは依然として高く、AIやブロックチェーンなど、デジタル技術を活用したビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)を中心に企業の投資意欲は引き続き高い状態にあります。

そのような環境下においても持続可能な成長を目指すため、当社グループは、FY2033構想「HIGH FIVE 2033」という新たな長期ビジョンを打ち出しました。これは、現在の事業基盤を活用し新しい領域へ展開、拡大させ、地域内で経済が循環する「地域還流型ビジネス」を生み出す企業を目指すもので、当社グループの事業を通して、人々の豊かな時間の創出に貢献していきます。そこでまずは、「HIGH FIVE 2033」の実現に向けて、本年度から2026年度までの3カ年を対象とした第4次中期経営計画「FLY ON 2026」をスタートさせました。第3次中期経営計画で確立した「経営基盤の強化」「収益性の向上」「ESG経営の進化」を土台に、既存事業を力強く発展させるとともに新規事業で飛躍的に成長するというテーマのもと、「事業戦略」「人財戦略」「企業価値向上戦略」の3つの戦略を掲げて活動を進めております。

営業活動においては、金融機関を中心に、当社の主力である延滞債権管理システムの安定的な受注に加え、個人ローン業務支援システム「SCOPE」と業務の非対面化を実現するローンWeb受付システム「WELCOME」は組み合わせて販売できる唯一のパッケージベンダーであることから、マーケットにおいて高い競争力を有しております。これらの当社システムは、申込用紙の削減や契約書類の電子化により環境への配慮を実現しつつ、審査時間の短縮に貢献しております。加えて、2024年6月にリリースした新システム「サービサーTCS(延滞債権管理システム)」のWEB版が既存のお客様のリプレイス需要獲得に繋がっており、労働人口の減少に伴う人材不足を解消すべく延滞債権督促業務を無人化した「ロボティックコール」の販売や、経済産業省によるキャッシュレス推進政策にも対応したマルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」の販売、およびシステム保守サービスの売上高も順調に増加しております。一方、公共分野において、前年度受注した複数年BPO(業務受託)サービス契約や、地方自治体のシステム標準化における進捗遅延の影響を大幅に受けました。その結果、受注高は9,318百万円(前年同期比81.6%)、受注残は16,296百万円(前年同期比94.4%)となりました。

また、2024年4月に賃金改定を実施した影響や開発人財の人件費が増加した結果、粗利率は一時的に低下しております。販管費については、採用や教育費用の増加などの人財投資に注力した結果、2,047百万円(前年同期比108.0%)と増加しました。

これらの結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高は9,621百万円(前年同期比101.8%)、営業利益は1,514百万円(前年同期比90.1%)、経常利益は1,579百万円(前年同期比91.7%)、親会社株主に帰属する中間純利益は1,059百万円(前年同期比89.1%)と増収減益となりましたが、受注高および受注残を含む中間連結会計期間の業績内容につきましては、概ね計画通りとなっております。

なお、報告セグメント別の経営成績は次のとおりです。

 

 

(システム開発・販売)

受注高に関して、基幹事業である金融機関向けのソフト開発、インフラ設備の更改、個人ローン業務支援システムなどの金融機関への販売については計画通り堅調に推移いたしましたが、公共分野において地方自治体のシステム標準化における進捗遅延の影響を大幅に受け、受注高が減少いたしました。売上高については、マルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」の販売、社会インフラ向け通信システムの販売が増加しております。一方、金融機関への販売において、第3四半期以降への期ズレの影響を受けました。その結果、受注高は5,505百万円(前年同期比84.3%)、売上高は5,173百万円(前年同期比97.1%)、セグメント利益は718百万円(前年同期比77.8%)となりました。

 

(リカーリング)

安定収益源である保守サービスに加え、公共分野向けBPO(業務受託)サービスにおいて政令市・中核市を中心に、既存契約先からの追加対応に加え、新規受託先の売上が計上されるなど引き続き好調に推移しております。一方で、受注において前年度受注した複数年BPO(業務受託)サービス契約の影響を受けました。その結果、受注高は3,813百万円(前年同期比77.9%)、売上高は4,447百万円(前年同期比107.9%)、セグメント利益は795百万円(前年同期比105.1%)となりました。

 

②財政状態

当中間連結会計期間末の総資産は22,838百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,158百万円減少いたしました。流動資産は18,339百万円となり、1,158百万円減少いたしました。主な原因は、有価証券が495百万円増加しましたが、受取手形、売掛金及び契約資産が1,267百万円、現金及び預金が219百万円、棚卸資産が122百万円減少したことなどです。

当中間連結会計期間末の負債合計は4,104百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,055百万円減少いたしました。流動負債は3,797百万円となり、1,080百万円減少いたしました。主な原因は、買掛金が538百万円、未払法人税等が195百万円減少したことなどです。固定負債は306百万円となりました。

当中間連結会計期間末の純資産は18,734百万円となり、前連結会計年度末に比べて102百万円減少いたしました。主な原因は、親会社株主に帰属する中間純利益の計上により1,059百万円増加しましたが、剰余金の配当の支払いにより1,088百万円減少したことなどです。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の78.5%から82.0%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は10,384百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,121百万円減少いたしました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動から得られた資金は1,655百万円(前年同期比125.7%)となりました。主な増加要因は税金等調整前中間純利益1,582百万円、売上債権の減少額1,301百万円、減価償却費165百万円、棚卸資産の減少額122百万円であり、主な減少要因は法人税等の支払額761百万円、仕入債務の減少額538百万円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,709百万円(前年同期比536.0%)となりました。主な減少要因は有価証券の増加額1,397百万円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は1,066百万円(前年同期比62.7%)となりました。主な減少要因は配当金の支払額1,084百万円です。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、116百万円です。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(システム開発・販売)

債務整理業務における法律事務所と金融機関とのやり取りをデジタル化するプラットフォーム「Agent Hub」の研究開発を進めています。また自治体では、2025年度までに主要な20業務のシステム標準化が義務づけられており、当社の主要パッケージである滞納管理システムの標準化対応などの研究開発を行っております。

また、2022年の産学官連携による実証実験に続き、地域密着型デジタルサービス「Degital Safe(デジタル金庫)」の研究開発も展開しています。これは「貸金庫」と「終活ノート」を組み合わせたサービスであり、データ改ざん防止を実現するブロックチェーン技術を活用しています。

 上記の研究開発活動の結果、システム開発・販売における研究開発費は52百万円となりました。

 

(リカーリング)

カード事業拡大戦略の一環として、さまざまな決済方法や場所に対応するため、次世代に向けたマルチ決済端末の追加機能の開発を進めるとともに、決済事業者のサービス向上を目指し、キャッシュレス決済プラットフォームや決済代行業務に関する研究開発活動も行っております。

 上記の研究開発活動の結果、リカーリングにおける研究開発費は63百万円となりました。

 

(5) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。