当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当中間連結会計期間における世界経済は、ウクライナ紛争の長期化、中東情勢の緊迫化による地政学的リスクの高まりや、中国景気の減速、欧米での金融引き締め政策の継続による影響等、先行きが不透明な状況が続きました。
わが国経済は、社会活動及び経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境の改善により、景気の緩やかな回復の動きが見られる一方で、不安定な国際情勢での物価上昇や円安の進行もあり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の中で当社グループは、今期を初年度とする新たな中期経営計画「“INOFINITY 700” Innovation × Infinity」を策定し、『世界に類のない「総合砥粒加工機メーカー」として、平面研削盤・半導体ウェーハ研磨装置でグローバルNo.1を目指す』ことを長期ビジョンとして掲げ、2030年3月期の売上高700億円に向けて、三井物産株式会社との資本業務提携を締結するなど、更なる企業価値向上に努めてまいりました。
その結果、当中間連結会計期間における連結売上高は20,041百万円(前年同期比18.8%減)、営業利益は891百万円(前年同期比69.4%減)、経常利益は525百万円(前年同期比82.2%減)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は312百万円(前年同期比83.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a. 工作機械
国内市場におきましては、中小企業での投資が鈍化したことや、金型業界向けの平面研削盤やロボット向け歯車の需要が低迷し、受注は前年同期を下回りました。売上につきましても、自動車関連や工作機械業界向けの大型平面研削盤、半導体関連向けのロータリー平面研削盤の販売があったものの、精密歯車の販売が落ち込み、前年同期から減少しております。
海外市場におきましては、米国では、航空機向けを中心に工作機械の受注が回復傾向にありますが、精密歯車の需要が低迷し受注は前年同期には届きませんでした。売上につきましても前期の受注低迷により減少しております。欧州では、ロシア・ウクライナ問題の長期化やスエズ運河の通航制約など地政学的リスクが販売活動にも影響したため、売上は前年同期を下回っておりますが、受注につきましては、EV関連向けの大型平面研削盤や光学機器向けの超精密平面研削盤の注文を獲得し、前年同期より増加しております。中国では、景気の減速によりEV関連向けを中心に新規受注が伸び悩んだものの、売上は大型平面研削盤などの受注残に支えられ、前年同期を上回りました。
以上の結果、売上高は14,589百万円(前年同期比1.7%増)、セグメント利益(営業利益)は512百万円(前年同期比14.7%増)となりました。
b. 半導体関連装置
半導体市場におきましては、パソコン、スマートフォン向けの設備投資需要が低迷している一方で、通信技術の発達やIoT、AIディープラーニング、自動運転の本格化等を背景として市場の成長が見込まれております。特に省エネや高効率化に不可欠な次世代パワー半導体、高周波通信デバイス向けの半導体などでは旺盛な需要が継続しております。
このような状況の中で当社グループは、半導体事業の収益力維持、向上に向けて、ウェーハ業界向けのポリッシャーやグラインダーの次世代新機種開発などの諸施策を進めてまいりました。その結果、売上につきましては、国内や東アジア向けにウェーハ生産用ファイナルポリッシャーやグラインダーを販売したものの、ユーザーの生産調整による投資計画の先送りもあり、特に好調であった前年同期に比べ大きく減少いたしました。受注につきましては、国内、東アジアの次世代パワー半導体や高周波通信デバイス向けの取引先からグラインダーやファイナルポリッシャーなどの受注を獲得し前年同期を上回ることができました。
以上の結果、売上高は5,451百万円(前年同期比47.2%減)、セグメント利益(営業利益)は1,029百万円(前年同期比66.6%減)となりました。
② 財政状態
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比較して7,667百万円増加し、67,832百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が2,824百万円減少した一方で、有価証券が8,000百万円、棚卸資産が1,422百万円、有形固定資産が1,815百万円増加したことによるものであります。
当中間連結会計期間末の負債の合計は、前連結会計年度末と比較して1,962百万円減少し、28,225百万円となりました。主な要因は、電子記録債務が1,422百万円、契約負債が1,453百万円減少したことによるものであります。
また、純資産は、前連結会計年度末と比較して9,630百万円増加し、39,607百万円となりました。主な要因は、第三者割当による新株式の発行により、資本金が4,903百万円、資本剰余金が4,903百万円増加したことによるものであります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の49.8%から58.4%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して5,173百万円増加し、16,592百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、2,999百万円(前年同期は1,609百万円の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の増加1,478百万円及び仕入債務の減少1,798百万円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,261百万円(前年同期は2,250百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,221百万円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、9,510百万円(前年同期は228百万円の使用)となりました。これは主に、株式の発行による収入9,762百万円により資金が増加したことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めておりますが、前事業年度の有価証券報告書提出日後、当中間連結会計期間において重要な変更はありません。
(5)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、65百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(資本業務提携契約の締結、及び第三者割当による新株式の発行)
当社は、2024年5月22日開催の取締役会において、三井物産株式会社(以下「三井物産」とする)との間で資本業務提携(以下「本資本業務提携」とする)を行うこと及び三井物産に対する第三者割当による新株式の発行(以下「本第三者割当」とする)を決議し、2024年6月7日に同社からの払込みが完了しております。その結果、当社の主要株主である筆頭株主に異動がありました。
Ⅰ.本資本業務提携の概要
1.本資本業務提携の理由
当社は1935年の創立以来、社是「技術は正しく」をメーカーとしてのバックボーンとし、「常に最先端技術を追求し、お客様にご満足いただける精巧比なき、価値ある製品をつくり、社会に貢献する」ことを経営の基本理念としております。あわせて、人と自然環境の融合を視野に入れた製品づくりに積極的に取り組んでいるところであります。
また、直近では長期戦略「ビジョン2030」を策定し、「世界に類のない「総合砥粒加工機メーカー」として、平面研削盤・半導体ウェハ研磨装置でグローバルNo.1を目指す」ことを長期ビジョンとして掲げております。長期ビジョンの中におきましては、特に半導体関連装置事業を主力セグメントとして位置付けております。半導体市場は、通信技術の発達やIoT、AI・ディープラーニング、自動運転の本格化等を背景とした市場成長が見込まれますが、特に次世代半導体として注目される化合物半導体市場は、より一層の市場成長が予測されております。
かかる状況を今後の当社グループの成長の好機と捉え、当社グループでは次世代半導体ウェハ向けポリッシャ、グラインダ、バックグラインダ等の開発や拡販に注力しております。また、2023年11月には半導体製造装置や真空装置等の組立・製造を手掛ける大和工機株式会社を完全子会社化する等、M&Aも活用しつつ、半導体関連装置事業における事業基盤の強化を図っております。
一方で、著しい成長が見込まれる次世代半導体市場の成長を捉え、当社グループの企業価値を一層高めていくには、競合他社対比で優位性のある製品を開発し、顧客に対し製品の魅力を訴求するためのショールーム等の設備が必要であります。また、これらの投資実行に際しては、今後の市況変化に対して柔軟に対応するために、資金調達は借入れではなくエクイティ性の資金で調達することが必要であると考えております。さらに、かかる成長機会を捉えていくためには、自力での販売活動・顧客開拓のみならず、外部パートナー企業のリソースも活用したうえで拡販を図っていくことに加えて、製品・サービスの付加価値を向上させるために、外部パートナー企業とのアライアンス体制を構築することが必要不可欠であると考えております。
一方、三井物産は中期経営計画2026の実現に向け、日本の産業構造変化を支えるビジネスモデルの構築、日本の光る技術を生かしたパートナーとの海外事業開拓等を通じ、「国内ビジネスの持続的な深化」を推進する方針を掲げております。また三井物産は長年にわたり、ものづくり・産業機械領域において事業基盤を築き、新たな事業機会創出に取り組んでおります。
このような状況において、2023年7月に三井物産より当社へ直接コンタクトがあり、当社との協業に関する初期的な打診があったことから、各種事業における協業に関する議論を続けてまいりました。また、協議を継続する中において、2023年11月に三井物産より当社への出資に関する初期的な意向の申し出があったことから、その後両社間で資本業務提携に関する本格的な協議を継続してまいりました。協議の結果、両社間で半導体関連装置事業・工作機械事業の両事業において、両社の経営資源・ノウハウを有効活用することで事業展開を加速させることが可能であり、ひいては資本業務提携を行うことが両社の企業価値向上に資するという結論に至ったことから、本資本業務提携を決定いたしました。
2.本資本業務提携の内容
(1)資本提携の内容
当社は、本第三者割当により、三井物産に当社普通株式1,985,900株(議決権数 19,859個)を割り当てます。
2024年3月31日現在の議決権総数(46,336個)に、本第三者割当により増加する議決権数(19,859個)を加味した議決権総数(66,195個)を基準とした議決権比率は、30.00%となります。
(2)業務提携の内容
① 半導体関連装置事業における提携
② 工作機械事業における提携
③ 人材戦略・コーポレート機能における提携
3.本資本業務提携の相手先の概要
(1) |
名称 |
三井物産株式会社 |
|||
(2) |
所在地 |
東京都千代田区大手町一丁目2番1号 |
|||
(3) |
代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 堀 健一 |
|||
(4) |
事業内容 |
金属資源、エネルギー、プロジェクト、モビリティ、化学品、鉄鋼製品、生活産業、次世代・機能推進などの各分野において、全世界に広がる事業拠点とその情報力を活かし、多種多様な商品の売買、製造、輸送、ファイナンスなどを多角的に行っており、さらには国際的なプロジェクト案件の構築など多角的に展開 |
|||
(5) |
資本金 |
343,062百万円 |
|||
(6) |
設立年月日 |
1947年7月25日 |
|||
(7) |
発行済株式数 |
1,513,589,168株(自己株式を含みます。) |
|||
(8) |
決算期 |
3月31日 |
|||
(9) |
従業員数 |
連結53,602名 / 単体5,419名 |
|||
(10) |
主要取引先 |
該当事項はありません。 |
|||
(11) |
主要取引銀行 |
株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行株式会社、株式会社国際協力銀行 |
|||
(12) |
大株主及び持株比率 |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口):16.17% BNYM AS AGT/CLTS 10 PERCENT:9.16% 株式会社日本カストディ銀行(信託口):5.73% JP MORGAN CHASE BANK 385632:2.35% 日本生命保険相互会社:2.33% STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234:1.64% バークレイズ証券株式会社:1.32% JP MORGAN CHASE BANK 385781:1.32% NATSCUMCO:1.09% SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT:1.07% |
|||
(13) |
当事会社間の関係 |
|
|||
|
資本関係 |
該当事項はありません。 |
|||
|
人的関係 |
該当事項はありません。 |
|||
|
取引関係 |
当社は、三井物産の連結子会社であります三井物産マシンテック株式会社との間で営業取引があり、2024年3月期の取引高は202百万円です。 |
|||
|
関連当事者への 該当状況 |
該当事項はありません。 |
|||
(14) |
最近3年間の経営成績及び財政状態(連結 IFRS) |
||||
決算期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
||
資本合計 |
5,795,416 |
6,565,148 |
7,769,943 |
||
総資産 |
14,923,290 |
15,380,916 |
16,899,502 |
||
1株当たり |
3,501.21 |
4,177.49 |
5,036.80 |
||
収益 |
11,757,559 |
14,306,402 |
13,324,942 |
||
売上総利益 |
1,141,371 |
1,396,228 |
1,319,715 |
||
当期利益 |
914,722 |
1,130,630 |
1,063,684 |
||
基本的1株当たり当期利益 |
561.61 |
721.82 |
705.60 |
||
1株当たり配当額(円) |
105 |
140 |
170 |
(単位:百万円。特記しているものを除く)
(注)1.三井物産の概要については、2024年3月31日現在の内容であります。
2.三井物産は、東京証券取引所プライム市場、名古屋証券取引所プレミア市場、札幌証券取引所及び福岡証券取引所に上場しており、三井物産が東京証券取引所に提出したコーポレート・ガバナンス報告書(最終更新日、2024年4月9日)において「当社は、反社会的勢力に対しては毅然とした態度で対応し、反社会的勢力及び反社会的勢力と関係ある取引先とは、いかなる取引もしないことを方針としています。」と定めていることを確認することにより、三井物産及びその役員が反社会的勢力とは一切関係がないと判断しております。
Ⅱ.本第三者割当増資の概要
1.募集の概要
(1)募集株式の種類及び数
普通株式 1,985,900株
(2)募集株式の払込金額
1株当たり4,938円
(3)払込金額の総額
9,806,374,200円
(4)発行諸費用の概算額
200,000,000円
(5)差引手取概算額
9,606,374,200円
(6)申込期日
2024年6月7日
(7)払込期日
2024年6月7日
(8)増加する資本金及び資本準備金の額
増加する資本金の額:4,903,187,100円
増加する資本準備金の額:4,903,187,100円
(9)募集及び割当の方法
第三者割当の方法により、すべての新株式を三井物産株式会社に割り当てる。
(10)その他
① 会社法その他の法律の改正等、本要項の規定中読み替えその他の措置が必要となる場合には、当社は必要な措置を講じる。
② 上記各項については、金融商品取引法による届出の効力発生を条件とする。
③ その他新株式発行に関し必要な事項は、当社代表取締役社長に一任する。
2.日程
(1) |
本資本業務提携及び本第三者割当に関する取締役会決議日 |
2024年5月22日 |
(2) |
本資本業務提携及び本第三者割当に関する契約締結日 |
2024年5月22日 |
(3) |
本第三者割当の払込期日及び本資本業務提携の開始日 |
2024年6月7日 |
3.調達する資金の具体的な使途
差引手取概算額9,606百万円については、下記表記載の各資金使途に充当する予定であります。
具体的な使途 |
金額(百万円) |
支出予定時期 |
半導体関連装置及び工作機械に関連した技術開発棟の新設、ショールームの刷新のための設備資金 |
5,700 |
2024年8月~2026年3月 |
次世代機種の新規開発に向けた研究開発投資 |
1,500 |
2024年8月~2026年3月 |
半導体関連装置及び工作機械に関連した高い付加価値を継続的に提供するための自動倉庫棟の建設資金 |
1,606 |
2024年6月~2026年2月 |
大和工機株式会社における半導体関連装置の生産能力向上に向けた設備更新・新規設備投資 |
800 |
2024年10月~2025年9月 |
(注)調達資金が充当されるまでの間は、現金又は現金同等物にて管理します。