当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はない。
経営者による当社グループの経営成績等の状況の分析は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであり、また、様々な要素により異なる結果となる可能性がある。
当中間連結会計期間における世界経済は、金融政策に変化があった。欧米を中心に、インフレの鎮静化とともに政策金利引き下げの動きが見られ、全体としての景気は底堅く推移した。我が国経済においては、緩やかな物価上昇が継続し政策金利が引き上げられる状況下においても、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要が寄与したことから、回復基調を維持した。
国内建設市場においては、製造業、非製造業ともに民間企業の設備投資意欲が高く、公共投資も安定していることから、堅調な建設需要が続いた。建設コストに関しては、資機材価格が総じて高い水準にあり、労務費についても、繁忙により一部の地域・職種において上昇傾向が見られた。
こうした中、当中間連結会計期間における当社グループの連結業績は、次のとおりとなった。
建設事業受注高につきましては、国内、海外ともに高水準であった前中間連結会計期間を下回り、前中間連結会計期間比12.1%減の1兆2,404億円(前中間連結会計期間は1兆4,116億円)となった。なお、当社の受注高は、開発事業等を含めて同14.3%減の7,842億円(同9,154億円)となった。
売上高は、海外関係会社の建設事業売上高の増加を主因に、前中間連結会計期間比1.2%増の1兆3,216億円(前中間連結会計期間は1兆3,058億円)となった。
利益については、建設事業、開発事業等の売上総利益がともに減少したことから、営業利益は前中間連結会計期間比27.6%減の480億円(前中間連結会計期間は664億円)、経常利益は同32.8%減の489億円(同728億円)、親会社株主に帰属する中間純利益は同29.8%減の351億円(同500億円)となった。
当中間連結会計期間における事業別業績の概況は、次のとおりである。
当社土木事業は、手持ち大型工事の施工が順調に進捗したことにより、売上高が前中間連結会計期間を上回り、売上総利益率(13.5%)も前中間連結会計期間(13.0%)を上回って推移している。一方、建築事業は、施工初期段階の大型工事が多かったことから、売上高が前中間連結会計期間を下回った。売上総利益率(8.8%)も、一部の工事において建設コスト上昇の影響を受けたため、前中間連結会計期間(9.8%)を下回った。土木事業、建築事業の売上総利益率は、追加変更契約の締結や原価低減などにより、期末に向けて改善していくことを見込んでいる。開発事業等については、売上高、売上総利益ともに前中間連結会計期間を下回って推移しているが、第4四半期に分譲マンションの引渡しやオフィスビルの売却を予定しており、計画どおりの進捗と捉えている。
国内関係会社は、売上高が前中間連結会計期間と比べ減少したが、売上総利益率は同水準を維持しており、概ね順調に進捗している。海外関係会社については、第1四半期に買収した米国建設会社の寄与や東南アジアにおける売上総利益の回復などにより、建設事業の売上高、売上総利益は前中間連結会計期間を上回った。一方、開発事業等に関しては、米国における流通倉庫の売却件数が減少したことなどから、売上高及び売上総利益が前中間連結会計期間を下回った。今後は、米国や欧州における政策金利の引き下げに伴って、不動産売買市場が活性化していくと見通しており、開発物件の売却が進むと見込んでいる。
セグメントの業績は次のとおりである。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。)
① 土木事業
(当社における建設事業のうち土木工事に関する事業)
売上高は、大型案件を中心に手持ち工事の施工が着実に進捗し、前中間連結会計期間比11.9%増の1,945億円(前中間連結会計期間は1,738億円)となった。
営業利益は、売上高増加に加え、売上総利益率が向上したことから、前中間連結会計期間比38.4%増の141億円(前中間連結会計期間は102億円)となった。
② 建築事業
(当社における建設事業のうち建築工事に関する事業)
売上高は、大型工事の施工量が少ない時期にあたることから、前中間連結会計期間比18.5%減の4,744億円(前中間連結会計期間は5,821億円)となった。
営業利益は、売上高の減少と売上総利益率の低下により、前中間連結会計期間比46.2%減の190億円(前中間連結会計期間は353億円)となった。
③ 開発事業等
(当社における不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業)
不動産販売事業における売上高、売上総利益の減少を主因に、売上高は前中間連結会計期間比32.3%減の249億円(前中間連結会計期間は369億円)、営業利益は同45.7%減の38億円(同69億円)となった。
④ 国内関係会社
(当社の国内関係会社が行っている事業であり、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸事業等)
売上高は、建設事業売上高の減少により、前中間連結会計期間比2.3%減の1,639億円(前中間連結会計期間は1,677億円)となった。
営業利益は、売上高の減少と販管費の増加により、前中間連結会計期間比14.7%減の66億円(前中間連結会計期間は77億円)となった。
⑤ 海外関係会社
(当社の海外関係会社が行っている事業であり、北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等)
売上高は、全ての地域で建設事業売上高が増加したことから、前中間連結会計期間比28.5%増の5,171億円(前中間連結会計期間は4,025億円)となった。
営業利益は、建設事業の売上総利益は増加したものの、米国流通倉庫開発事業における物件売却件数の減少などにより、開発事業等の売上総利益が前中間連結会計期間を下回ったことに加え、販管費が増加したことから、前中間連結会計期間比31.9%減の41億円(前中間連結会計期間は60億円)となった。
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末比2,298億円増加し、3兆3,650億円(前連結会計年度末は3兆1,351億円)となった。これは、棚卸資産(販売用不動産、未成工事支出金、開発事業支出金及びその他の棚卸資産)の増加834億円、受取手形・完成工事未収入金等の増加811億円及び有形固定資産の増加530億円があったこと等によるものである。
負債合計は、前連結会計年度末比2,244億円増加し、2兆1,359億円(前連結会計年度末は1兆9,114億円)となった。これは、有利子負債残高※の増加2,609億円があったこと等によるものである。なお、有利子負債残高は、8,736億円(前連結会計年度末は6,126億円)となった。
純資産合計は、株主資本9,293億円、その他の包括利益累計額2,799億円、非支配株主持分197億円を合わせて、前連結会計年度末比53億円増加の1兆2,290億円(前連結会計年度末は1兆2,236億円)となった。
また、自己資本比率は、前連結会計年度末比2.7ポイント悪化し、35.9%(前連結会計年度末は38.6%)となった。
(注)※短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債(1年内償還予定の社債を含む)及び長期借入金の合計額
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,578億円の支出超過(前中間連結会計期間は698億円の収入超過)となった。これは、税金等調整前中間純利益532億円に減価償却費148億円等の調整を加味した収入があった一方で、未払又は未収消費税等の増減による支出739億円、棚卸資産(販売用不動産、未成工事支出金、開発事業支出金及びその他の棚卸資産)の増加402億円、法人税等の支払額323億円、仕入債務の減少308億円及び売上債権の増加163億円の支出があったこと等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、832億円の支出超過(前中間連結会計期間は448億円の支出超過)となった。これは、有形固定資産の取得による支出400億円、貸付けによる支出399億円及び投資有価証券の取得による支出51億円があった一方で、投資有価証券の売却等による収入63億円及び貸付金の回収による収入34億円があったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金、長期借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債による資金調達と返済の収支が2,076億円の収入超過となった一方で、自己株式の取得による支出300億円及び配当金の支払額265億円があったこと等により、1,495億円の収入超過(前中間連結会計期間は270億円の支出超過)となった。
これらにより、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から753億円減少し、2,746億円となった。
当中間連結会計期間の業績動向と今後の経営環境を勘案し、2024年5月14日に公表した当連結会計年度業績予想を2024年11月12日に修正した。
当社建設事業は、土木事業における大型工事の追加変更契約獲得や施工の着実な進捗により、売上高が増加する見通しであり、それに伴う売上総利益の増加も見込んでいる。建築事業においても、建設コスト上昇の影響が当期首に見込んだ範囲に概ね収まっており、売上高、売上総利益が前回発表予想から微増すると予想している。また、開発事業等に関しては、国内における不動産販売事業の収益性向上を見込んでおり、利益は前回発表予想を上回る見通しである。
国内関係会社については、建設事業を中心に順調な進捗を見込み、利益が前回発表を上回る見通しである。海外関係会社は、不動産売買市場の環境改善に伴い開発事業における物件売却が第3四半期以降に増加する見通しではあるものの、米国や東南アジアなどにおいて、更なる有利条件での売却を見据え、売却時期を当連結会計年度から翌連結会計年度以降に変更した開発物件があることなどから、売上高、利益ともに前回発表予想を下回る見込みである。なお、為替レートは2024年9月末時点の1米ドル142円73銭を想定している。
こうした見通しを反映した結果、当社業績の向上が海外関係会社の業績を補い、売上高は前回発表予想比0.7%増の2兆8,000億円、営業利益は同6.1%増の1,400億円、経常利益は同5.1%増の1,440億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同10.5%増の1,160億円を予想している。
連結業績予想 (単位:百万円)
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についての重要な変更はない。
当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は96億円である。
当中間連結会計期間における当社グループの設備投資の総額は450億円であるが、その主な内容は国内関係会社における賃貸用土地建物の購入等(154億円)である。
特記事項なし。