当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
なお、将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況といたしまして、2006年3月期より、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。
また、当中間会計期間におきましても、営業損失30百万円、経常損失30百万円、中間純損失31百万円を計上しております。
そこで当社は、当該状況を改善するために次のような取り組みにより、当事業年度は1,100百万円の売上確保をめざしております。
①受託事業
・当社のノウハウを活用した提案型研究受託の営業強化
・実験デザインの提案、検体の受領からデータ解析まで、顧客ニーズに応じた一気通貫の大型案件の受注確保
・最新技術や外部企業との連携強化
・新サービスメニュー開発による他社との差別化
②診断事業
・肺がん コンパクトパネルⓇのTAT短縮およびアフターフォロー強化を中心としたサービス強化
・肺がん コンパクトパネルⓇの製品改良
・検査センター・製薬企業との営業連携、適正使用の推進を中心とした学術営業強化によるシェア拡大
・新規診断検査メニューの開発
・研究用検査サービスの提供
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間会計期間の業績につきましては、売上高440,646千円、営業損失30,357千円、経常損失30,416千円、中間純損失31,696千円となりました。
セグメントごとの売上高及びセグメント損益(営業損益)、それらの対前年同期比較及び各セグメントにおけるサービスの概況は以下のとおりです。
2024年4月1日付で組織変更を実施し経営管理区分を変更したことに伴い、当中間会計期間より、従来の「受託事業」「研究事業」「診断事業」の3つのセグメントから「受託事業」「診断事業」の2つのセグメントへ変更しております。これは、「研究事業」セグメントは全社の売上収益に貢献する研究を行う過程で、一部直接的な売上サービスも実施しておりましたが、当期より本格的に診断事業サービスが立ち上がる見通しとなったため、「研究事業」で実施していた当該サービスに係る業務は「受託事業」に移管することとし、全社の研究開発におきましては、次世代の診断サービス開発のみに注力することといたしました。
これにより、報告セグメントごとの業績をより適正に反映させるため、研究開発費は全社費用に含むことで一部の費用の配賦方法を見直し、報告セグメントの利益又は損失の算定方法の変更を行っております。
なお、前中間会計期間のセグメント情報については、変更後の名称及び算定方法により作成したものを記載しております。
上段が売上高(千円)、下段がセグメント損益(営業損益) (千円)
①受託事業
<次世代シークエンス受託解析サービス>
受託事業の主要サービスである次世代シークエンス受託解析サービスは、売上が前年より下回りました。特にアカデミアを中心とした公的研究機関からの受注について、大型プロジェクト終了に伴い、大幅に減少しています。一方、民間企業を中心に大口案件の受注を獲得しております。今後は販促活動を強化するとともに、カスタムパネルサービスやオリジナル情報解析等を組み合わせることにより、受注拡大に努めてまいります。
<マイクロアレイ受託解析サービス>
マイクロアレイ受託解析サービスについては、前年に比べ問い合わせ件数が減少しており、市場のトレンドとしては次世代シークエンスへの移行が顕著となっております。その結果、マイクロアレイ受託解析サービスは前年と比べ大幅に売上が減少いたしました。今後はメニューを絞ったサービスを展開してまいります。
<提案型研究受託サービス>
多様化する受託解析ニーズに合わせて、生体サンプル(細胞や組織等)からの核酸(DNA/RNA)抽出から遺伝子データ取得、情報解析まで、トータルソリューションを提供する提案型研究受託サービスを展開しています。抽出サービスは次世代シークエンスやマイクロアレイを実施する際の前段階でのサービスとなります。製薬企業を含む民間企業の案件数増加にともない、前年と比べて売上が増加しました。今後はユーザーの目的に応じた実験デザイン・解析デザインを提案し、より付加価値のあるサービスを展開してまいります。
<Tbone Exキット>
原材料費高騰によるキットの値上げを行った結果、販売数量は前年と横ばいでしたが、売上が増加いたしました。
この結果、受託事業の売上は55百万円となりました。
②診断事業
<肺がん コンパクトパネルⓇ>
本検査は、合計7遺伝子のコンパニオン診断対象とするパネル検査として2024年1月26日に統合承認を取得し、全国医療機関向けに検査を提供しています。売上ベースでは、当中間会計期間は前年同期比589.5%増加と、前年度より大幅に上回っており、順調に推移しております。検出感度の良さ(少ない腫瘍細胞でも提出できること)、変異のタイプ(バリアント)に幅広く対応していること、胸水や脳脊髄液をはじめとした液性細胞診での検査適用といった差別化要素が、臨床現場のニーズを捉えていることが好調の一因と考えております。特に、これまで検査の難しかった液性細胞診でのパネル適用は、生検組織が取れないケースでも検査が可能となり、より多くの患者さんにお薬を届ける一助になるとともに、状況に合わせた適正使用向上に資する製品特徴と考えております。2024年4月には、肺癌学会のガイドラインにおける、バイオマーカー手引きが更新され、“肺癌患者におけるバイオマーカー検査の手引き”の項目の中で、肺がん コンパクトパネルⓇの“細胞診を対象としたバイオマーカー検索”や、“バリアントのカバー範囲の広さ”など差別化要素が取り上げられております。当社は、製品の更なる認知拡大を目的に、2024年7月9日に全国規模でのweb講演会を実施し、合計900名を超える臨床医にご視聴いただくことができました。視聴者からは、その実用性や性能に対して高い評価をいただいており、今後の臨床サイトへのさらなる浸透に寄与するものと考えております。また、参加者やその後の情報提供活動から得られたフィードバックをもとに、本製品が今後の臨床ニーズをさらに満たすべく、開発の改善やサービスの向上にも努めてまいります。引き続き全国講演会や学会学術集会での共催セミナー等を通じて適正使用情報を提供し、シングル検査からマルチプレックス検査への切り替えや、適正使用に伴う薬剤到達率の向上を推進してまいります。さらなる使いやすさを追求する製品改良の一環として、HER2やEGFRエクソン20挿入などの新規コンパニオン対象薬剤を追加する一部変更申請に向けた開発も進めております。また、検体数が増加しても、検査提供時間を維持できるよう検査体制強化を継続しており、出検から検査報告までの検査提供時間(Turn Around Time)は、当中間会計期間を通して中央値で9日とこれまでの水準を維持しております。今後、さらに受注数アップに対応するべく自動化マシンの導入、AIを取り入れたITシステム化、人員体制・教育システム強化による検査品質の向上を進めております。
<高精度分子バーコード法(NOIR)・AI解析>
臨床研究でのコンパクトパネルの活用、高精度分子バーコード法(NOIR)によるリキッドバイオプシー研究案件、周術期における高感度パネル検査および浸潤リンパ球プロファイル解析などの研究プロジェクト支援にむけ、サービス改良や大型研究支援の案件受注に向けた開発を継続しております。売上は前年度と同程度の水準となっております。
<MammaPrint>
保険診療検査としての検査は、競合製品の保険検査が開始となった影響もあり、伸び悩んでおります。一方、研究用途としての根強い需要があり、臨床研究案件の受注獲得に向け準備を進めております。売上は前年度と同程度の水準となっております。
この結果、診断事業の売上は385百万円となりました。
『研究開発活動について』
<NOIR-SS技術>
独自の分子バーコード技術を用いて微量な遺伝子変異を正確に検出する「NOIR-SS」の研究開発に取り組んでおります。高感度が要求される微小な生検組織検体や血液検体への適用が期待されます。特に、リキッドバイオプシー(血液などの体液を用いた低侵襲検査)への応用の可能性を検証すべく、手術後の残存がん病変の確認やがんの薬剤の治療効果判定に関する研究を進めております。
<肺がん コンパクトパネルⓇの応用>
肺がん コンパクトパネルⓇで培った遺伝子パネル開発・薬事戦略・プログラム医療機器システム構築のノウハウを活かした他癌種パネルの開発を計画しております。高感度かつ幅広い検体種に適用可能な、国内の診療ニーズにマッチしたパネル製品の開発を目指し、Key Opinion Leader(KOL)の先生方や製薬企業との協議を進めております。
<RNAチェック>
大学や研究機関との共同研究により、将来の診断・創薬に役立つ新しい検査方法「RNAチェック」を開発しております。RNAチェックでは、DNAを対象とする遺伝子検査と異なり、遺伝子の働き具合を知ることができます。主な研究として、抗リウマチ薬の効果予測やうつ病の早期発見に向けたバイオマーカー研究などを進めております。
<三井化学株式会社との協業>
三井化学株式会社との資本業務提携契約の下、両社が有するネットワークや経営資源を活用することで、検査・診断領域における新サービスの創出を目的とし、協議・開発を進めております。現在、1プロジェクトについて共同開発が進行中です。
『売上高の季節的変動について』
当社の受託事業に関しましては事業の性質上、売上高が下半期に集中する傾向があり、上半期と下半期の業績に季節的変動があります。
資産・負債及び純資産の状況
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べて11百万円増加し、688百万円となりました。これは、現金及び預金の増加74百万円、一年以内に返還される敷金の増加29百万円、受取手形及び売掛金の減少58百万円などによるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて27百万円減少し、277百万円となりました。これは、有形固定資産のうち取得による増加11百万円、減価償却による減少6百万円、無形固定資産のうち薬事申請によるソフトウエア仮勘定の増加3百万円、ソフトウエアの減価償却による減少19百万円、投資その他の資産のうち敷金の減少15百万円などによるものです。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べて15百万円減少し、966百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べて15百万円増加し、224百万円となりました。これは、買掛金の減少14百万円、その他の負債の増加26百万円などによるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べて僅かに増加し、41百万円となりました。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて15百万円増加し、266百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べて31百万円減少し、700百万円となりました。
これは、中間純損失による利益剰余金の減少31百万円によるものです。
当中間会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末残高より74百万円増加して462百万円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前中間会計期間では59百万円の支出であったのに対し、当中間会計期間は102百万円の収入となりました。
主な要因は、収入では売上債権の減少額86百万円、減価償却費26百万円、支出では税引前中間純損失30百万円、仕入債務の減少額14百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前中間会計期間では8百万円の支出であったのに対し、当中間会計期間は27百万円の支出となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出11百万円、無形固定資産の取得による支出2百万円、本社移転に伴う新事務所に係る敷金の差入による支出13百万円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前中間会計期間は収入、支出ともに発生いたしませんでしたが、当中間会計期間は第三者割当増資に係る株式の発行による支出がわずかに発生いたしました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間会計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当中間会計期間の研究開発費の総額は、32百万円であります。
なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)従業員数
当中間会計期間において、従業員数の重要な変動はありません。
(6)生産、受注及び販売の実績
当中間会計期間における生産、受注及び販売の実績は、受託事業においては計画を下回りましたが、診断事業においてはほぼ計画通りとなりました。なお、年間ベースでは両事業ともほぼ計画通りの見通しの予定です。
(7)主要な設備
当中間会計期間において、主要な設備に重要な変動はありません。
該当事項はありません。