当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
なお、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況につきましては、次のとおりであります。
当社グループは、2020年3月期まで9期連続の営業損失を計上しており、2021年3月期において黒字転換を果たしたものの、2022年3月期以降再び営業損失を計上しており、当中間連結会計期間においても、営業損失13,571千円、経常損失14,620千円、親会社株主に帰属する中間純損失24,140千円を計上しております。財務基盤は未だ盤石とは言えず、不測の事態が発生すれば、手元流動性の確保に支障が生じる可能性もあることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
このため、当社グループは、安定的な黒字基盤を確立し健全な財務体質を確保することを最優先課題として、以下に示す3つの施策を積極的に推進し、当社グループにおける経営基盤の強化を進めてまいります。
① 既存事業の再構築と事業基盤の強化
既存事業のうち、コア事業であるボイスコンピューティング事業とコミュニケーション・プラットフォーム事業に経営資源を投下し、事業を拡大してまいります。
具体的には、今後の急成長分野として期待するボイスコンピューティング分野において事業展開する、自然会話AIプラットフォーム「commubo(コミュボ)」の提供により、コールセンター業務への対応、電話による営業アポイントメントの獲得、企業の代表電話の受付、通販・テレビショッピングの注文受付など様々な利用シーンへの展開が期待され、同様にサービスの拡販に力を入れてまいります。
様々なシステム環境に電話の機能を安価にかつスピーディに組み込んでサービス提供することを可能とするクラウドサービス「telmee(テルミー)」におきましては、commuboとの連携も含め顧客ニーズにマッチしたサービスの拡販に力を入れてまいります。
専門知識がなくてもWebサイトやコンテンツを構築管理・更新できるソフトウェア「SITE PUBLIS(サイトパブリス)」とページ制作・構築・保守などの関連サービスを提供する株式会社サイト・パブリスにおいて、さらにこれからの時代に即したソフトウェア開発を行い、企業と、お客様、従業員、パートナーなどあらゆるステークホルダーをつなぐコミュニケーション基盤としてさらなる拡販を図るとともに、ボイスコンピューティング事業とのシナジーを創出することに力を入れてまいります。
② 財務基盤の充実と戦略的な投資計画の実行
当社グループは、不採算事業の見直し、徹底した経費削減等への取組みなど、一連の経営再建活動により業績の回復を進めてまいりましたが、さらに、グループ全体の効率化や合理化を図ってまいります。また、開発投資やM&A投資などで資金が必要になった場合は、柔軟な資金調達をすすめてまいります。
③ 資本・業務提携、M&Aによる業容の拡大
当社は、これまで株式会社デジタルフォルンとの資本業務提携などにより、手元資金の確保のため資金調達を行うとともに人材の確保、事業の拡大のための投資を進めてまいりました。さらに、当社取引先や当社コミュニケーション・プラットフォーム関連事業分野の隣接エリアとの連携の強化を図るとともに、積極的に資本業務提携やM&Aによる業容の拡大と事業基盤の構築をしてまいります。
上記の施策により、収益基盤を確保し経営の安定化を図り、当該状況が解消されると判断しておりますが、業績の安定化は経済環境等の影響を受け、計画通りに進捗しない可能性があることなどから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、中間連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を中間連結財務諸表に反映しておりません。
文中の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、エネルギーや原材料価格の高騰に伴う物価上昇や、金利が変動したことに伴う為替動向等の影響はありましたが、国内での経済活動の活発化によって、企業の業績が改善傾向をみせる等、緩やかながらも景気は回復の動きが続きました。
日本経済の先行きにつきましては、雇用や所得環境が改善するなかで、継続的な財政・金融政策などの効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方で、欧米における高い金利水準の継続や、中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが日本経済を下押しするリスクになっています。また、金融資本市場の変動や中東地域を巡る情勢など、経済に与える影響には十分に注意する必要があります。
このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、顧客企業におけるIT投資の拡大基調が続いております。世界的な物価の上昇や欧米金利の高止まり等の海外景気の下振れの懸念はあるものの、幅広い業種にわたって事業の拡大や競争力強化を目的としたIT投資への意欲は力強いものがあり、社会のデジタル化に対応するための既存システムのクラウド対応需要等、IT投資需要の持続的な拡大が期待されます。
当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、様々な業態におきまして業務効率化と生産性向上への強い意欲や、企業価値向上に向けたWeb等へのIT投資を背景に当社サービスの拡大導入への需要が継続しており、今後も継続していくものと考えております。
当社グループにおきましては、過年度から引き続き収益構造の改善に取り組むとともに、当連結会計年度におきましても、継続して当社サービスのブランディングをはじめとしたマーケティング施策の構築及び実行により顧客との商談機会が増加し、提供する各種製品によるストックビジネスの積み上げを進めてまいりました。
また、当社グループにおける活動方針であります「売りやすく、作りやすく、使いやすく」を掲げ、マーケティング(認知向上)や顧客ニーズに寄り添う支援体制の強化、プロダクト開発に積極的に取り組んでまいりました。その中心となる主力製品が、自然会話AIプラットフォーム「commubo(コミュボ)」及びクラウド電話サービス「telmee(テルミー)」並びにWebサイトやコンテンツを簡単に構築・管理・更新できるシステム「SITE PUBLIS(サイトパブリス)」であり、当中間連結会計期間における事業活動により次の成果が得られております。
<commubo>
機能強化(使いやすく)活動
・日本語特有の課題に挑戦した新音声認識エンジンを自社開発、人名の誤り率を30%改善
・電話応対の自動化を促進する新音声認識エンジンをデモ公開、AIボイスボット「commubo」に6月30日より搭載開始
外部連携(作りやすく)活動
・グローバルCTIベンダーのジェネシスクラウドサービス株式会社とのパートナーシップ、AIボイスボット「commubo」とGenesys Cloudの連携を開始、音声コミュニケーションの観点から顧客体験(CX)を加速
・国内トップシェアCTIベンダーである株式会社リンクのクラウド型コールセンターシステム「BIZTEL」とAIボイスボット「commubo」が連携、一歩先を行くCTI連携で人とロボットのハイブリッド業務を実現
認知向上(売りやすく)活動
・電話対応業務担当者のAIボイスボット「commubo」に対する評価について、第三者機関の調査結果を公表、「自社業務にもフィットしそう:81%」「サポート充実度:92%」「聞き手の不快感が少ないと思う:85%」
導入事例・他の活動
・教習所DX化を推進する岐阜県関自動車学校がAIボイスボット「commubo」を導入、年間3,500件の高齢者講習受付を自動化
・commubo、「AIsmiley PRODUCT AWARD 2024 SUMMER」ボイスボット部門を受賞(現場で使いやすい操作性と自然な対話機能を評価)
・立ち上げ工数大幅に削減、短期大量発信も迅速対応を実現したコンタクトセンターBPO のディー・キュービックがAIボイスボット「commubo」を選ぶ理由を公開
・PRTIMES STORYにcommuboカスタマーサクセスストーリーを公開
<telmee>
機能強化(使いやすく)活動
・顧客増、利用増に備えたサービスインフラ設備の新設、増強
<SITE PUBLIS>
認知向上(売りやすく)活動
・販売パートナー向けに弊社CMSの操作方法、実装方法のレクチャー会を定期的に開催し、新規も含め販売パートナーとのリレーションを強化
・販売パートナーとの共催セミナーを実施し、社内報クラウドサービス「TSUTAERU」の顧客への浸透を図るとともに受注に向けた提案
・CMSの選定方法、「SITE PUBLIS」の操作方法といったオンラインセミナーを複数開催することにより認知度を向上させるとともに、受注に向けた活動を推進
以上の結果、当社グループの当中間連結会計期間の経営成績は、売上高393,599千円(前年同期比1.8%増)、営業損失13,571千円(前年同期は営業損失72,543千円)、経常損失14,620千円(前年同期は経常損失72,185千円)、親会社株主に帰属する中間純損失24,140千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失84,585千円)となりました。
売上高につきまして、前年同期に比べ微増となり、主力製品であります「commubo」及び「telmee」の営業活動による引合いが増加しており、受注に向けた商談に引き続き傾注してまいります。
当社グループの主力製品であります「commubo」及び「telmee」は月額課金のストック型ビジネスであり、また「SITE PUBLIS」も保守契約等のストック型ビジネスであることから、売上高においては今後も顧客数の伸びに応じて安定的な収益が堅調に推移するものと見込んでおりますが、受託開発売上においては、顧客企業の動向による受注の遅れにより売上の計上が期ずれする可能性があります。
なお、当社グループは、コミュニケーション・プラットフォーム関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の分析
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は353,968千円となり、前連結会計年度末に比べ82,416千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が21,525千円、受取手形、売掛金及び契約資産が57,435千円減少したことによるものであります。固定資産は72,071千円となり、前連結会計年度末に比べ6,996千円減少いたしました。これは主に、ソフトウエアが4,190千円、投資その他の資産のその他が2,228千円減少したことによるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における流動負債は108,247千円となり、前連結会計年度末に比べ79,261千円減少いたしました。これは主に、営業未払金が16,457千円、流動負債のその他が64,893千円減少したことによるものであります。固定負債は170,099千円となり、前連結会計年度末に比べ13,858千円増加いたしました。これは、固定負債のその他が13,858千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産合計は147,692千円となり、前連結会計年度末に比べ24,010千円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純損失を計上したことにより利益剰余金が24,140千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は25.1%(前連結会計年度末は25.4%)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による資金の使用8,065千円、投資活動による資金の使用7,622千円、財務活動による資金の使用5,838千円により、前連結会計年度末に比べて21,525千円減少し、184,500千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は8,065千円(前年同期は4,485千円の資金の使用)となりました。これは主に、減価償却費14,741千円、売上債権及び契約資産の減少額57,435千円などの資金増加要因があった一方で、税金等調整前中間純損失14,520千円、仕入債務の減少額16,457千円、その他の資金の減少額50,239千円などの資金減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は7,622千円(前年同期は17,200千円の資金の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出9,842千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5,838千円(前年同期は19,180千円の資金の獲得)となりました。これは、長期借入金の返済による支出5,838千円があったことによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
なお、当社グループは、2024年6月24日付で発表した「事業計画及び成長可能性に関する事項」の下、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に示す課題への対処を的確に行っております。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間において、当社グループにおける研究開発活動の金額は3,762千円であります。
当社グループは、リアルタイム通信のコア技術とWebコンテンツ・マネージメント技術をコア技術として、デジタル・コミュニケーション基盤の拡張に向けた技術開発活動を展開しております。
当中間連結会計期間における主な研究開発の内容は以下のとおりであります。
・生成AIによるリアルタイム・コミュニケーション・サービスの検討
さまざまな企業・団体より生成AIのモデルデータが公開され、日々大きく進化する中で、これらLLM技術をリアルタイム・コミュニケーション・サービスへ組み込んだ際の、機能価値と技術課題について検討しております。複数のモデルデータの性能比較を行い、当社製品への実装方法について研究しております。
・会話AIロボットサービスと連携可能なサービスの調査
当社が開発する「会話業務を自動化するAIロボット」を企業の業務へ導入するにあたっては、在庫管理や伝票
入出力などの会話以外の前後の業務と円滑に結合し、自動化する業務の範囲を広げていくことが重要になりま
す。市中において、多様なそれぞれの業務ごとに、AI技術による自動化の取組みが行われていることから、ス
タートアップ企業を中心に保有技術や製品、サービスの調査を行い、当社技術との連携について研究しております。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。