第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間における我が国経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しています。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

第2四半期(7~9月)の羽田空港の旅客数は、国内線では8月に台風による欠航便があったものの、前年を約5%上回りました。国際線では、段階的な増便等により日本人、外国人ともに増加し、前年を2割近く上回りました。

このような中、当社グループは、長期ビジョン“To Be a World Best Airport”の実現に向けて、中期経営計画の各施策を着実に実行しています。

施設面では、動く歩道など設置後年数の経過した設備・機器の更新工事、照明LED化などの省エネ対応工事や、到着出口逆流防止ゲートの設置など、安心・快適で先進的な空港づくりに取り組むとともに、商業区画の再編整備を進めています。また、国際線の増便に対応するため、第2ターミナルの一部スポットで時間帯によって国内線と国際線を切り替えるスイング運用を行っています。さらに、第2ターミナル北側サテライト-本館接続工事や第1ターミナル北側サテライト建設工事などの、将来へ向けた投資計画を着実に推進しています。

また、羽田空港に隣接している「HANEDA INNOVATION CITY」に開設した研究開発拠点「terminal.0 HANEDA」では、空港の様々な課題解決に向けて、参画企業・団体とともに異業種連携で取り組んでいます。保安検査場を想定した検証では、お客様のストレス軽減を企図して視覚や嗅覚に訴えるサービスに関する実験を開始しました。なお、当施設で効果検証したペットボトルキャップ回収BOXは、現在、空港ターミナル内でトライアルを実施しており、キャップを再生原料とした製品の導入を検討しています。

営業面では、国内線で人気商品の催事やイベントを積極展開するとともに、国際線では旺盛なインバウンド需要を取り込むべく、免税店内のレイアウト変更やPOSレジを増設してレジ待ち列の解消に努めるとともに、購買単価向上の為、商品構成の見直しを実施しました。羽田空港第3ターミナルでは、全てのメニューがヴィーガン対応の日本食レストラン「Diversity Diner HND」をオープンし、成田空港ではハイジュエリーメゾン「ブシュロン」を、空港免税店として初出店しました。EC事業では、中国人向けアプリ「WeChat」内に、当社店舗の免税品をオンライン予約できる「羽田空港免税予約ステーション」を開設しました。さらに、中国人旅行者を対象に、旅行中に購入した商品を持ち歩くことなく、快適な「手ぶら観光」が可能で、消費税免税手続きを完全電子(無人)化した「HANEDA TAX FREE ロッカー」サービスを開始するなど、空港の場を活用したインバウンド旅客の利便性向上に取り組んでいます。

経営基盤の面では、引き続き、労働生産性向上と待遇改善に取り組み、専門性向上に向けた各種研修プログラムの強化や、インナーブランディング活動“プラスワンプロモーション”等を通じて、「自ら考え挑戦する人財」の活躍、多様な人財が互いを高め合う企業風土の構築を目指しています。DX戦略では、デジタルの力で事業変革を進める「攻めのDX」と、既存業務を効率化する「守りのDX」の2つの視点からDXを推進し、データドリブン経営や業務効率化など、デジタル技術を活用した変革と進化を追求してまいります。

サステナビリティ関連では、東京都が公募した「空港臨海部におけるパイプライン等による水素供給体制構築に向けた検討」の実施事業者に採択され、今後、羽田空港エリア内における水素利活用の導入に向けた実現可能性調査を実施します。また、8月に「国連グローバル・コンパクト」の参加企業となり、今後も人権、環境、労働、腐敗防止に関する取り組みを一層強化し、持続可能な発展に貢献してまいります。

羽田空港旅客ターミナルは、英国SKYTRAX社の“World Airport Star Rating”において、世界最高水準である「5スターエアポート」を10年連続で獲得しました。また、“WORLD AIRPORT AWARDS 2024”においては、「World's Cleanest Airports」部門(9年連続)、「World's Best Domestic Airports」部門(12年連続)、「World's Best PRM & Accessible Facilities」部門(6年連続)で世界第1位の評価をいただき、アジア空港の総合評価「Best Airports in Asia」部門で第3位、空港の総合評価「World's Best Airports」部門で世界第4位を受賞しました。

(※ PRMは、Persons with Reduced Mobilityの略で、高齢者、障がいのある方や怪我をされた方の意味。)

今後とも引き続き、当社グループは、社会インフラである旅客ターミナルにおける絶対安全の確立に努めるとともに、利便性・快適性及び機能性の向上を目指し、絶え間ない羽田空港の価値創造と航空輸送の発展に貢献することにより、企業価値の向上を図ってまいります。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の財政状態及び経営成績につきましては、次のとおりとなりました。

 

①財政状態

(資産)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ 76億9千万円増加し、1,284億4千7百万円となりました。これは主に、旅客数回復に伴い施設利用料収入に係る現金及び預金が増加したことによるものです。固定資産は、前連結会計年度末に比べ 89億8千2百万円減少し、3,306億8千4百万円となりました。これは主に、減価償却に伴う減少によるものです。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ 12億9千1百万円減少し、4,591億3千2百万円となりました。

 

(負債)

 負債合計は前連結会計年度末に比べ 121億2千9百万円減少し、2,822億5千7百万円となりました。これは主に、約定返済及び期限前弁済に伴い長期借入金が減少したことによるものです。

 

(純資産)

 純資産合計は前連結会計年度末に比べ 108億3千7百万円増加し、1,768億7千4百万円となりました。これは主に、利益剰余金及び非支配株主持分が増加したことによるものです。

 この結果、自己資本比率は、38.0%(前連結会計年度末は 36.5%)となりました。

 

②経営成績

当中間連結会計期間の業績については、営業収益は 1,317億5千2百万円(前年同期比 31.6%増)となりました。売上増加やターミナル運用の拡大に伴い、営業費用は増加しましたが、国際線売店売上の増加等が牽引し、営業利益は 210億9千3百万円(前年同期比 56.1%増)、経常利益は 203億3千1百万円(前年同期比 62.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は 119億9千万円(前年同期比 45.6%増)となりました。

 

(単位:百万円)

区 分

前中間連結会計期間
(自 2023年4月1日
  至 2023年9月30日)

当中間連結会計期間
(自 2024年4月1日
  至 2024年9月30日)

前年同期比
増減率
(%)

 営 業 収 益

100,148

131,752

31.6

 

施設管理運営業

43,683

51,207

17.2

 

物品販売業

49,490

72,368

46.2

 

飲食業

6,974

8,176

17.2

 営 業 利 益

13,508

21,093

56.1

 経 常 利 益

12,481

20,331

62.9

 親会社株主に帰属する

 中間純利益

8,234

11,990

45.6

 

セグメント別の概況

セグメント別の業績は次のとおりです。なお、各事業における売上高はセグメント間の内部売上高を含み、営業利益(損失)はセグメント利益(損失)に該当します。

 

(施設管理運営業)

(単位:百万円)

区 分

前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日
  至 2023年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日
  至 2024年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

 外部顧客への売上高

43,683

51,207

17.2

 

家賃収入

9,824

10,231

4.1

 

施設利用料収入

25,098

29,222

16.4

 

その他の収入

8,760

11,753

34.2

 セグメント間の内部売上高

1,491

1,639

9.9

 売上高 合計

45,174

52,846

17.0

 セグメント利益

9,239

10,678

15.6

家賃収入については、事務室賃料や店舗の歩合賃料が増加し、前年を上回りました。

施設利用料収入については、国際線PSFC収入の増加等により、前年を上回りました。

その他の収入については、主に国際線において、直営外貨両替所やラウンジ、広告料等の収入が増加し、前年を上回りました。

費用面では、旅客数の増加や物価上昇に伴う業務委託費等のターミナル維持管理コストや、賃借料(国有財産使用料)等が増加しています。

その結果、施設管理運営業の営業収益は 528億4千6百万円(前年同期比 17.0%増)となり、営業利益は
106億7千8百万円(前年同期比 15.6%増)となりました。

 

(物品販売業)

(単位:百万円)

区 分

前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日
  至 2023年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日
  至 2024年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

 外部顧客への売上高

49,490

72,368

46.2

 

国内線売店売上

6,333

6,933

9.5

 

国際線売店売上

31,144

48,167

54.7

 

その他の売上

12,012

17,268

43.8

 セグメント間の内部売上高

701

894

27.4

 売上高 合計

50,192

73,263

46.0

 セグメント利益

8,883

15,278

72.0

国内線売店売上については、昨年12月、第1ターミナルに羽田産直館がオープンして店舗数が増加したことや、催事展開・MD変更等の施策効果により購買客数・単価が上昇したことで、前年を上回りました。

国際線売店売上については、羽田空港や成田空港等での国際線旅客数の増加に加え、免税売店の購買客数・単価の上昇により、前年を大きく上回りました。羽田空港免税売店では、円安の影響に加え、回復が遅れていた中国人旅客数が増加したこと等により、売上は前年同期に比べ、旅客数の増加率を上回って増加しました。

その他の売上については、他空港の国際線旅客数の増加に伴い卸売上が増加したこと等により、前年を上回りました。

費用面では、売上増に伴い、商品売上原価や業務委託費、他空港店舗の支払家賃等が増加しております。

その結果、物品販売業の営業収益は 732億6千3百万円(前年同期比 46.0%増)となり、営業利益は
152億7千8百万円(前年同期比 72.0%増)となりました。

(飲食業)

(単位:百万円)

区 分

前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日
  至 2023年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日
  至 2024年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

 外部顧客への売上高

6,974

8,176

17.2

 

飲食店舗売上

3,509

4,242

20.9

 

機内食売上

2,876

3,335

15.9

 

その他の売上

588

598

1.7

 セグメント間の内部売上高

343

449

30.9

 売上高 合計

7,318

8,625

17.9

 セグメント損益

△ 71

195

飲食店舗売上については、前年に休業や時短営業していた飲食店舗の営業を正常化したこと等により、前年を上回りました。

機内食売上については、羽田、成田における外国航空会社の旅客数の増加により、前年を上回りました。

その結果、飲食業の営業収益は 86億2千5百万円(前年同期比 17.9%増)となり、人件費等は増加していますが、営業利益は 1億9千5百万円(前期は営業損失 7千1百万円)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ 142億2百万円増加し、 895億9千7百万円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。


 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間に比べ 81億2千万円収入が増加

(前年同期比 35.9%増)し、 307億6千1百万円の収入となりました。

 これは主に、税金等調整前中間純利益を計上したことによるものです。


 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間に比べ 162億2百万円支出が減少

(前年同期比 99.7%減)し、 4千5百万円の支出となりました。

 これは主に、有価証券の売却による収入、有形固定資産の取得による支出によるものです。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間に比べ 77億8千1百万円支出が増加

(前年同期比 88.6%増)し、 165億6千6百万円の支出となりました。

 これは主に、長期借入金の返済による支出、配当金の支払いによるものです。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。