第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

タナベコンサルティンググループ(TCG)は、中堅企業を中心に大企業から中規模企業のトップマネジメント(経営者層)に対し、経営戦略の策定からプロフェッショナルDXサービスによる経営オペレーションの実装・実行まで、経営の上流から下流までを一気通貫で支援するチームコンサルティングを提供しております。そして、チームコンサルティングの専門領域を引き続き強化・拡大し、中期ビジョン「One&Only 世界で唯一無二の新しい経営コンサルティンググループ」の実現を目指しております。

当中間連結会計期間においては、2024年8月30日付で株式会社Surpassを新たにグループ企業として迎えました。同社は、100名を超えるプロフェッショナルな女性を中心として、組織・人材育成コンサルティングや大企業向けに約90%のリピート率を誇る顧客創造支援、女性活躍推進総研による情報発信等を強みとしております。同社を加えて、当社及び連結子会社6社/約800名体制となりました。なお、当中間連結会計期間の中間連結財務諸表作成にあたり、同社の2024年9月(1ヶ月分)の業績を連結しております。

国内では雇用・所得環境が改善し、緩やかな景気回復基調が続きましたが、世界的な地政学的紛争リスク、物価の上昇や為替相場の大きな変動等により、TCGの主要顧客である中堅企業や大企業、中規模企業の経営環境においても先行き不透明な状況が続きました。このような環境下で、ストラテジー&ドメイン、デジタル・DX、HR、ファイナンス・M&A、ブランド&PRといったトップマネジメントが常に抱える経営課題を全方位から解決できる経営コンサルティングの提供を通じ、企業と社会の課題解決に貢献してまいりました。

結果、当中間連結会計期間の経営成績は、過去最高売上高及び過去最高益となり、売上高66億64百万円(対前年同期増減率+11.1%)、営業利益7億96百万円(同比+36.5%)、経常利益8億64百万円(同比+47.7%)、親会社株主に帰属する中間純利益5億7百万円(同比+44.9%)となりました。

(単位:千円)

 

2024年3月期

中間連結会計期間

2025年3月期

中間連結会計期間

対前年同期

増減額

対前年同期

増減率

売上高

6,000,143

6,664,191

+664,048

+11.1%

売上総利益

2,766,537

3,183,199

+416,662

+15.1%

 売上総利益率

46.1%

47.8%

+1.7pt

販売費及び一般管理費

2,183,251

2,386,767

+203,515

+9.3%

営業利益

583,285

796,432

+213,147

+36.5%

 営業利益率

9.7%

12.0%

+2.2pt

経常利益

585,280

864,621

+279,341

+47.7%

税金等調整前中間純利益

612,924

862,147

+249,223

+40.7%

中間純利益

405,113

546,713

+141,599

+35.0%

親会社株主に帰属する中間純利益

349,983

507,133

+157,149

+44.9%

 

 

<経営コンサルティング領域別の売上高分析>

経営コンサルティング領域別売上高の概況は、次のとおりであります。

(単位:千円)

経営コンサルティング

領域

内容

2024年3月期

中間連結

会計期間

2025年3月期

中間連結

会計期間

対前年同期

増減額

対前年同期

増減率

ストラテジー&ドメイン

パーパス経営から業種別のビジネスモデル変革、成長戦略や新規事業、サステナビリティを実装させたビジョン・中期経営計画の策定、その実行までを支援

1,104,421

1,193,847

+89,426

+8.1%

デジタル・DX

DXビジョンを策定し、4つのDX領域(ビジネスモデル、マーケティング、HR、マネジメント)の具体的な実装・実行、システム導入までを支援

1,354,699

1,519,473

+164,773

+12.2%

HR

HRビジョンの策定から人材ポートフォリオ(人的資本の最適配分、組織開発判断基準等)の定義、採用・育成・活躍・定着から成る戦略人事システム構築までを支援

1,221,262

1,384,334

+163,072

+13.4%

ファイナンス・M&A

企業価値向上に向けて、事業承継やグループ経営、クロスボーダーも含めたFA・デューデリジェンス・PMIまでの一気通貫のM&Aを提供

998,173

1,101,024

+102,850

+10.3%

ブランド&PR

パーパスや経営戦略に基づき、国内外でのブランドコミュニケーション戦略の立案から実行、クリエイティブ、PR・広報までを一気通貫で支援

1,163,846

1,296,938

+133,092

+11.4%

その他

ブルーダイアリー(手帳)やプロモーション商品

157,739

168,572

+10,832

+6.9%

6,000,143

6,664,191

+664,048

+11.1%

 

 

[ストラテジー&ドメイン]

当該領域における当中間連結会計期間の売上高は、11億93百万円(対前年同期増減額+89百万円、対前年同期増減率+8.1%)となりました。また、概況は以下のとおりとなります。

≪概況≫

①主な顧客は、上場企業や業界トップ企業、地域を代表する企業を含む大企業から中堅企業(業種:製造(食品)、商社、建設、物流、システムインテグレーション、ヘルスケア、観光等)や行政/公共。

②物価上昇が常態化してきた経営環境の変化に伴い、「長期ビジョン・中期経営計画の策定・推進」「事業ポートフォリオ戦略の立案」等のコンサルティングテーマが好調。

③円安の進行や、内需縮小に伴う既存事業のみでの成長の限界から、「新規事業開発」「グローバル戦略の策定・推進」「ビジネスモデル変革」「ビジネスデューデリジェンス(M&Aコンサルティング)」等のテーマも増加。また、行政/公共案件も増加。

④当社独自の「長期ビジョン・中期経営計画策定」専門サイトを通じたリード情報も、コンサルティング案件の創出に貢献。

 

[デジタル・DX]

当該領域における当中間連結会計期間の売上高は、15億19百万円(対前年同期増減額+1億64百万円、対前年同期増減率+12.2%)となりました。また、概況は以下のとおりとなります。

≪概況≫

①主な顧客は、上場企業や業界トップ企業、地域を代表する企業を含む大企業から中堅企業(業種:製造(化学)、インフラ、運輸、不動産、システム開発、食品卸、観光等)や行政/公共。

②業績好調な企業では、将来投資としてのデジタル投資意欲が高く、「IT化構想・DXビジョンの策定」から「ERPシステムの導入・実装」、「マーケティングDX(デジタルマーケティング・セールスプロセス変革等)」「ブランディングDX(Webサイト・SNS)」等のコンサルティングテーマが好調。

③組織全体でDXを推進する企業や生成AIの活用を推進する企業も増えており、「DX研修(人材育成・リスキリング)」「システム開発」「データマネジメント」等のテーマも増加。

④新たにグループに加わった株式会社Surpassの業績(2024年9月の1ヶ月分)も寄与。

⑤様々なITテクノロジー企業とのアライアンス拡大に伴うプロフェッショナルDXサービスの開発や共同セミナー・イベントの開催、共同提案等が増加。

⑥当社独自の「デジタル・DXの戦略・実装」専門サイトを通じたリード情報も、コンサルティング案件の創出に貢献。

 

[HR]

当該領域における当中間連結会計期間の売上高は、13億84百万円(対前年同期増減額+1億63百万円、対前年同期増減率+13.4%)となりました。また、概況は以下のとおりとなります。

≪概況≫

①主な顧客は、上場企業や業界トップ企業、地域を代表する企業を含む大企業から中堅企業(業種:製造(消費財)、建設、物流、金融、外食、システム開発、ヘルスケア等)や行政/公共。

②物価上昇が常態化してきた経営環境の変化や人的資本経営の拡がりに伴い、「人事処遇制度の再構築」「アカデミー(企業内大学)の設立」「ジュニアボード(次世代経営チームの育成)」「サクセッションプラン」「女性活躍/DE&Iを推進する組織デザイン」等のコンサルティングテーマが好調。

③2024年問題等の経営環境・労働環境の変化に伴う人材マネジメントの見直しニーズも増加しており、「組織・人事戦略の策定・推進」「人材育成」「タレントマネジメント」「HR KARTE(人材アセスメント/HRテック)」「働き方改革」等のテーマも増加。

④新たにグループに加わった株式会社Surpassの業績(2024年9月の1ヶ月分)も寄与。

⑤当社独自の「HR戦略」専門サイトを通じたリード情報も、コンサルティング案件の創出に貢献。

 

 

[ファイナンス・M&A]

当該領域における当中間連結会計期間の売上高は、11億1百万円(対前年同期増減額+1億2百万円、対前年同期増減率+10.3%)となりました。また、概況は以下のとおりとなります。

≪概況≫

①主な顧客は、上場企業や業界トップ企業、地域を代表する企業を含む大企業から中堅企業(業種:情報通信、物流、エネルギー、商社、システムインテグレーション、建設、人材派遣等)。

②後継者不足を背景に、第三者承継も見据えた事業承継に関連するニーズが堅調であり、「ホールディングス化・グループ経営」「クロスボーダーを含むM&A一貫コンサルティング(戦略策定からFA、デューデリジェンス、PMIまでを一貫支援)」「事業承継」等のコンサルティングテーマが好調。

③上場企業における資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、「企業価値ビジョン(IRも含む)」「コーポレートガバナンス・コード対応」「資本政策」等のテーマも増加。

④当社独自の「コーポレートファイナンス・M&A」「成長M&A/事業承継M&A」専門サイトを通じたリード情報や金融機関等のアライアンス先からの紹介も、コンサルティング案件の創出に貢献。

 

[ブランド&PR]

当該領域における当中間連結会計期間の売上高は、12億96百万円(対前年同期増減額+1億33百万円、対前年同期増減率+11.4%)となりました。また、概況は以下のとおりとなります。

≪概況≫

①主な顧客は、上場企業や業界トップ企業、地域を代表する企業を含む大企業から中堅企業(業種:製造(輸送機器)、ビューティー・コスメ、小売、商社、アパレル、金融、メディア等)や行政/公共。

②BtoB企業や周年・事業承継を迎える企業が、パーパスやブランドの構築、グループブランディング等を検討する傾向にあり、「ブランドビジョンの策定」「クリエイティブ・デザイン」「戦略ブランディング・PR」等のコンサルティングテーマが好調。

③リアルイベントや展示会、店頭施策等のニーズが復調したことにより、「メディアPR(Global PR Wire(海外向けプレスリリース配信サービス)等)」「コンテンツマーケティング」「リアル×デジタルのハイブリッドプロモーション」等のテーマも増加。

④当社独自の「ブランディング・戦略PR」専門サイトを通じたリード情報も、コンサルティング案件の創出に貢献。

 

[その他]

当該領域における当中間連結会計期間の売上高は、1億68百万円(対前年同期増減額+10百万円、対前年同期増減率+6.9%)となりました。

 

<その他の経営活動>

[アライアンス戦略の推進]

主要な事業会社である株式会社タナベコンサルティングが、Oracle Corporationが提供する「NetSuiteソリューションプロバイダープログラム」(NetSuiteの導入支援パートナー)に参加し、また全国の中堅・中規模企業のDX支援を目的にリコージャパン株式会社と連携開始する等、様々なITテクノロジー企業とのアライアンスを拡大し、デジタル・DXコンサルティング領域の強化を進めております。

※ NetSuiteとは、Oracle Corporationが提供する、顧客管理や会計データ管理、在庫管理等、企業経営に必要な様々な情報を一元管理できるクラウド型ERPシステム。

 

[研究・開発の推進]

主要な事業会社である株式会社タナベコンサルティングの戦略総合研究所において、経営コンサルティング領域ごとのメソッド開発やコンテンツ開発、経営オペレーションの実装・実行における業種別のプロフェッショナルDXサービスの開発を強化するとともに、当社グループにおけるナレッジマネジメントも推進しております。

 

[コーポレート]

①資本政策

中期経営計画(2021~2025)「TCG Future Vision 2030」の最終年度である2026年3月期までに、ROE(株主資本当期純利益率)10%の達成を確実にするために、積極的な株主還元を実行しており、東京証券取引所における市場買付による機動的な自己株式の取得も実施しております。

 

②成長M&A投資

中期事業戦略として掲げる「経営コンサルティング領域の多角化」戦略のもと、積極的な成長M&A投資を実施しております。2026年3月期の売上高目標150億円に対して、オーガニックグロースで売上高130億円を達成し、手元現預金10億円以上を活用した成長M&A投資により売上高20億円を上乗せしてまいります。

 

③人的資本投資

様々な業界における実務経験者の採用を強化していくとともに、グループ全社員向けのデジタル教育コンテンツ「TCGアカデミー」(企業内大学)のリーダーシップ学部、ストラテジー&ドメイン学部、デジタル学部、HR学部、ファイナンシャル学部、M&A学部、マーケティング学部等によりプロフェッショナル人材の育成を強化しております。また、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」認定企業としてDE&Iを実現する取り組みも推進しております。

 

④コーポレートコミュニケーション

パーパスムービー等の制作によりパーパス&バリューの社内外浸透を進めていくとともに、「One&Only 世界で唯一無二の新しい経営コンサルティンググループ」を実現するためのコーポレートブランディング活動や、商品・サービス、コンサルタント等の戦略PR活動を推進しております。

 

 

 

②財政状態の状況

(資産の部)

当中間連結会計期間末における資産合計は144億72百万円となり、前連結会計年度末比3億33百万円増加いたしました。

流動資産は91億70百万円となり、前連結会計年度末比1億77百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金や受取手形、売掛金及び契約資産が増加した一方で、有価証券が減少したためであります。

固定資産は53億円となり、前連結会計年度末比5億10百万円増加いたしました。主な要因は、のれんが増加したためであります。

(負債の部)

当中間連結会計期間末における負債合計は33億45百万円となり、前連結会計年度末比5億10百万円増加いたしました。

流動負債は26億35百万円となり、前連結会計年度末比4億25百万円増加いたしました。主な要因は、前受金や買掛金が増加したためであります。

固定負債は7億9百万円となり、前連結会計年度末比84百万円増加いたしました。主な要因は、長期借入金が増加したためであります。

(純資産の部)

当中間連結会計期間末における純資産合計は111億27百万円となり、前連結会計年度末比1億77百万円減少いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する中間純利益を計上した一方で、剰余金の配当と自己株式の取得を行ったことによるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物の残高は72億39百万円となり、前連結会計年度末と比べ16億円増加いたしました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、6億82百万円の収入(前年同期は3億78百万円の収入)となりました。

これは、税金等調整前中間純利益8億62百万円の計上等の増加要因があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、17億円の収入(前年同期は3億4百万円の支出)となりました。

これは、有価証券の売却及び償還による収入28億円等の増加要因があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、7億82百万円の支出(前年同期は9億69百万円の支出)となりました。

これは、配当金の支払額4億30百万円、自己株式の取得による支出3億円等の減少要因があったことによるものです。

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」の記載について重要な変更はありません。

(4)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

(6)研究開発活動

該当事項はありません。

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。