第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

当中間連結会計期間における当社グループの経営環境は、中国内需の長期低迷の影響を受け、ASEAN地域を中心に安価な中国材との競争が激しさを増すなど悪化傾向にあります。世界的な鋼材需要の低迷・形鋼市況の軟化などにより前年同期比で減益となりましたが、収益の柱である米国事業は安定して高収益を確保し、また新拠点のインドネシア事業は順調なスタートを切っており、連結業績は比較的高水準を維持しております。

 

日本におきましては、建設業界の人手不足による工期遅れや建築資材高騰などを背景に形鋼需要は停滞しております。ヤマトスチールにおきましては、電力料金や物流費が大幅に上昇するなか、コスト高を反映した販売価格の浸透に努めましたが、需要停滞や円高進行による鉄スクラップ価格の下落などにより、形鋼市況は軟化傾向にあります。業績につきましては、圧延設備の矯正機更新に伴う1ヵ月強の生産停止などの影響に加え、需要停滞による販売数量の減少により、前年同期比で減収減益となりました。

 

連結子会社を有するタイ、また持分法適用関連会社を有する米国、バーレーン、サウジアラビア、ベトナム、韓国におきましては、いずれも2024年1月~6月の業績が当中間連結会計期間に反映されます。

なお、2024年5月31日付「特定子会社の異動を伴うインドネシア法人の株式取得完了及び商号変更のお知らせ」にて公表いたしましたとおり、12月決算であるインドネシアの連結子会社PTガルーダ・ヤマト・スチール(GYS)におきましては、第1四半期連結会計期間末より連結開始(みなし取得日:2024年3月31日)のため、2024年4月~6月の3ヵ月間の業績を反映しております。なお、当該株式取得関連費用(約11億円)につきましては、第1四半期連結累計期間の損益(販売費及び一般管理費)に計上しております。

 

タイの連結子会社サイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッド(SYS)におきましては、タイ国内の形鋼需要が政府予算執行の遅れなどから伸び悩むなか、安価な中国材の流入が増しており、ASEAN市場でも中国メーカー等との厳しい競争環境が継続しており、販売数量は前年同期比で減少しました。業績につきましては、形鋼市況も国内・輸出市場ともに軟化傾向にありますが、電力単価下降などによるコスト低下もあり、前年同期並みの利益を確保しております。

 

インドネシアの連結子会社PTガルーダ・ヤマト・スチールにおきましては、大統領選挙を背景に政府主導のインフラ投資や大型民間プロジェクトが一時停滞していた影響もあり、販売数量は伸び悩みました。一方、貿易障壁による安価な輸入材の流入抑制もあり、形鋼市況は高値で推移しており、高水準の鋼材マージンを確保しております。

 

米国の持分法適用関連会社ニューコア・ヤマト・スチールカンパニー(NYS)におきましては、半導体や電気自動車関連、データセンターなどの大型建築案件向けに加え、輸入材も含め競争が激しい流通顧客向けの数量確保にも注力しております。形鋼市況が軟化傾向にあるなか、鋼材マージンは若干縮小したものの高水準を維持しており、業績につきましては、前年同期比で減益となりましたが、安定して高収益を確保できる環境は続いております。

 

中東の持分法適用関連会社スルブカンパニー(SULB)におきましては、中東地域の形鋼需要はインフラ投資を中心に底堅く、引続き生産・販売数量は高水準で推移しております。一方、安価な中国材流入の影響を受け、域内メーカーとの価格競争も激しさが増しております。主原料となる鉄鉱石価格は前年同期並みで推移するなか、販売価格の下落により、業績につきましては、前年同期比で減益となりました。

 

 

ベトナムの持分法適用関連会社ポスコ・ヤマト・ビナ・スチールジョイントストックカンパニー(PY VINA)におきましては、送電鉄塔向け需要の捕捉などにより、販売数量は前年同期比で増加しましたが、中国製鋼板を加工した建築材を含む輸入材との競争激化により、販売価格は大幅に下落しました。業績につきましては、前年同期比で減益となりました。

 

韓国の持分法適用関連会社ワイケー・スチールコーポレーション(YKS)におきましては、長期化するインフレと高金利の影響を受け、鉄筋需要は落ち込み、販売低迷が続いております。業績につきましては、販売数量減及び販売価格の下落による鋼材マージンの悪化により、事業収益ベース(訴訟関連費用除く)では前年同期比で減益となりました。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は、前年同期比2,014百万円減78,359百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前年同期比2,848百万円減5,006百万円、経常利益は前年同期比8,743百万円減41,877百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比7,792百万円減28,549百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

① 鉄鋼事業(日本)

建設業界の人手不足による工期遅れや建築資材高騰などを背景に形鋼需要は停滞しております。ヤマトスチールにおきましては、電力料金や物流費が大幅に上昇するなか、コスト高を反映した販売価格の浸透に努めましたが、需要停滞や円高進行による鉄スクラップ価格の下落などにより、形鋼市況は軟化傾向にあります。業績につきましては、圧延設備の矯正機更新に伴う1ヵ月強の生産停止などの影響に加え、需要停滞による販売数量の減少により、前年同期比で減収減益となりました。

以上により、当事業の売上高は前年同期比8,881百万円減27,626百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比3,425百万円減2,233百万円となりました。

 

② 鉄鋼事業(タイ)

タイ国内の形鋼需要が政府予算執行の遅れなどから伸び悩むなか、安価な中国材の流入が増しており、ASEAN市場でも中国メーカー等との厳しい競争環境が継続しており、販売数量は前年同期比で減少しました。業績につきましては、形鋼市況も国内・輸出市場ともに軟化傾向にありますが、電力単価下降などによるコスト低下もあり、前年同期並みの利益を確保しております。

以上により、当事業の売上高は前年同期比3,232百万円減35,383百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比109百万円増3,451百万円となりました。

 

③ 鉄鋼事業(インドネシア)

大統領選挙を背景に政府主導のインフラ投資や大型民間プロジェクトが一時停滞していた影響もあり、販売数量は伸び悩みました。一方、貿易障壁による安価な輸入材の流入抑制もあり、形鋼市況は高値で推移しており、高水準の鋼材マージンを確保しております。

以上により、当事業の売上高は9,774百万円、セグメント利益(営業利益)は1,527百万円となりました。なお、セグメント利益(営業利益)には、のれん償却額311百万円が含まれております。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)及び(企業結合等関係)」をご参照下さい。

 

④ 軌道用品事業

当事業の売上高は前年同期比447百万円増4,076百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比115百万円増566百万円となりました。

 

⑤ その他

その他の売上高は前年同期比122百万円減1,497百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比138百万円増182百万円となりました。

 

 

(2) 財政状態

当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比84,991百万円増693,774百万円となりました。これは主にGYSを第1四半期連結会計期間末より連結したことによるものです。なお、GYS株式取得に伴い発生した「のれん」の金額約155億円(当初認識額)につきましては、取得原価の配分が完了していないため、暫定的に算定された金額であります。

負債につきましては、前連結会計年度末比11,465百万円増65,307百万円となりました。
 また、純資産につきましては、親会社株主に帰属する中間純利益による増加、配当金の支払による減少、円安が進行したことで為替換算調整勘定が大幅に増加したこと等により、前連結会計年度末比73,525百万円増628,467百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが57,355百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが114,286百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが17,966百万円減少しました。これに資金に係る換算差額の増加13,169百万円を加えた結果、当中間連結会計期間末の資金残高は、前連結会計年度末比61,727百万円減106,967百万円となりました。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において、営業活動による資金の増加は57,355百万円前年同期は60,329百万円の増加)となりました。これは主に、当中間連結会計期間において、税金等調整前中間純利益が41,694百万円前年同期は49,192百万円)及び、利息及び配当金の受取額が55,468百万円前年同期は58,038百万円)であったこと等によります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において、投資活動による資金の減少は114,286百万円前年同期は6,838百万円の増加)となりました。これは主に、当中間連結会計期間において、定期預金の預入による支出が101,523百万円前年同期は9,929百万円)であったこと、及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が50,405百万円(前年同期はなし)であったこと等によります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において、財務活動による資金の減少は17,966百万円前年同期は11,067百万円の減少)となりました。これは主に、当中間連結会計期間において、配当金の支払額による支出が15,848百万円前年同期は9,509百万円)であったこと等によります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間において研究開発費は発生しておりません。

 

(6) 従業員数

当中間連結会計期間において、当社の連結従業員数は前連結会計年度末より1,153名増加し、当中間連結会計期間末日現在で2,567名となっております。これは主に、GYSを連結子会社としたことにより、「鉄鋼事業(インドネシア)」セグメントの従業員数が増加したためであります。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」をご参照ください。

 

 

(7) 生産、受注及び販売の実績

当中間連結会計期間においてGYSを連結子会社としたことにより、「鉄鋼事業(インドネシア)」セグメントの当中間連結会計期間における生産実績が9,593百万円、受注高が10,773百万円、受注残高が4,061百万円、販売実績が9,774百万円増加しております。

 

(8) 主要な設備

① 新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当中間連結会計期間に著しい変動があった設備は、次のとおりであります。

 

当中間連結会計期間においてGYSを連結子会社としたことにより、主要な設備について、以下の設備が増加しております。

2024年6月30日現在

会社名

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(人)

建物及び
構築物

機械装置
及び運搬具

土地
(面積㎡)

その他

合計

PTガルーダ・ヤマト・
スチール

工場
(Indonesia,Bekasi)

鉄鋼事業

(インドネシア)

製鋼設備
連続式鋳造鋼片製造設備
鉄鋼熱間圧延設備

5,960

18,704

10,127

(419,948)

1,325

36,117

1,138

 

(注) 1 帳簿価額のうち、「その他」の内訳は工具・器具及び備品、建設仮勘定及びリース資産の合計であります。

2 現在休止中の主要な設備はありません。

 

② 前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当中間連結会計期間における状況は、次のとおりであります。

 

会社名

事業所名(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

投資予定額 (百万円)

資金調達
方法

着手及び完了予定

完成後の
増加能力

総額

既投資額

着手

完了

ヤマトスチール㈱

本社
(兵庫県
姫路市)

鉄鋼事業
(日本)

圧延設備更新
電気設備更新他

40,000

13,365

自己資金

2021年8月

2029年度

生産能力
20%増

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等は行われておりません。