当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化等の地域的な紛争の拡大によるインフレの進展、中国での内需停滞等に加え、日米金利差の縮小による円安の修正が進みました。
ロジック半導体市場は、在庫調整の一巡やデータセンター向け需要が旺盛で前中間期比プラス成長となりました。アプリケーション別では、生成AI(人工知能)向け需要が旺盛なデータセンター向けの拡大、スマートフォン及びパソコン向け等で需要の回復がありましたが、産業機器、事務機器及び自動車向けは前中間期比でマイナス成長ないしは横ばいで推移する等、需要の回復はまだら模様となっています。
当社グループにおいては、2018年4月以降、ビジネスモデルの転換、グローバルな大型商談が見込まれる成長分野/先端分野へのシフト、更に大胆な事業体制の変革等の構造改革を進めてまいりました(「第一の変革」)。その結果、注力分野であるオートモーティブ、データセンター/ネットワーク分野を中心に多くの大型商談を獲得しております。当中間期は、データセンター分野において北米及びインドで商談を獲得し、開発フェーズに移行しております。年間の商談獲得金額(1米ドル=100円で換算)は、構造改革以前は1,000億円程度でしたが、構造改革後は2,000億円程度へ、更に2023年3月期以降は2,500億円程度の規模へと拡大しました。また、獲得した商談の量産が徐々に始まり、確実に売上拡大に繋がってきております。更に、競争力のある開発体制の構築やグローバル企業に相応しい組織風土を目指す「第二の変革」を進めております。グローバルな顧客、半導体エコシステムのプレーヤー、グローバルな投資家とのコミュニケーションを通じて、社内の体制、組織の構造及び従業員の意識を変える取り組みを強化しております。
大規模先端技術分野のモデルプロジェクトの開発に取り組むグローバルリーディンググループを中心に、ソリューションSoCのビジネスモデルに相応しいコンピューターアーキテクチャベースの開発基盤と標準的な開発プロセスの構築を進めてきました。並行して、開発の効率化・可視化、開発マネジメント改革を一体として積極的に推進してきました。前年開設したインド・ベンガルールの拠点をはじめとして、グローバルな設計・開発力を強化してきました。また、老朽化の進んだ高蔵寺事業所を閉鎖・売却するとともに、名古屋事業所を新たに開設し、設計開発拠点を整備しました。
当社グループにおける研究開発は、注力分野における商談獲得に繋げるための先行開発と、獲得した商談の製品開発から構成されております。当中間連結会計期間の研究開発費は28,769百万円(前中間期比16.8%増)となりました。これは主に獲得した商談の製品開発が増加していることによるものです。先行開発では、日々進化する半導体エコシステムにおいて最新の技術を活用するために、Arm社及びTSMC社とも密に連携し、2nm以細のプロセステクノロジー、チップレット等の先進的なパッケージング技術、最新設計ツールの実用化及びプラットフォーム化の推進等に対して積極的に取り組んでおります。また、3nm車載プロセスを採用したADAS及び自動運転向けSoCの開発についても順調に開発が進んでおります。今後は、設計開発へのAI導入等にも積極的に取り組んでいきます。
当社グループにおける生産・調達部門は、台湾と日本の関連する組織を一体化し、グローバルな生産・調達体制の構築を進めました。半導体関連サプライヤーが集中する台湾において、委託先の生産をコントロールするチームを現地(台湾)に配置することでダイレクトインターフェースを構築し、サプライヤーとの連携がより強固なものとなりました。これにより、製造委託先の供給状況の変化にも迅速に対応する体制が整いつつあります。
ここ数年の大型先端開発案件の商談獲得に伴い、半導体業界を取り巻くエコシステムを形成するグローバル企業との関係強化を進めてきました。特に、北米や台湾等に本社を置くグローバル企業とのマネージメントレベルでの関係構築・強化により、これらの企業との先端技術分野での共同開発プロジェクト等において進捗がありました。
当中間連結会計期間の売上高は99,181百万円(前中間期比15.2%減)となりました。当社グループの売上は、量産段階で受領する製品売上と、設計開発に要する費用を段階的に受領するNRE売上から構成されております。製品売上については、中国の5G基地局向け商談における特需の終了に加え、データセンター/ネットワーク分野での中国市場における通信関係等の需要減少及び産業分野のFAや事務機器向けの需要が弱含みであったこと等により79,952百万円(前中間期比21.2%減)となりました。NRE売上は、オートモーティブ及びデータセンターでの7nmより微細な先端テクノロジーの開発完了案件が重なったことにより18,756百万円(前中間期比23.3%増)となりました。
[売上高] (単位:百万円)
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前中間連結会計期間 (自2023年4月1日 至2023年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自2024年4月1日 至2024年9月30日) |
製品売上 |
101,439 |
79,952 |
NRE売上 |
15,215 |
18,756 |
その他 |
334 |
473 |
売上高合計 |
116,988 |
99,181 |
当中間連結会計期間における売上原価は45,190百万円、先端テクノロジーを使用した開発案件の増加により販売費及び一般管理費は38,435百万円となり、営業利益は15,556百万円(前中間期比16.7%減)となりました。これに加え、当中間連結会計期間の期末にかけての円高進行により外貨建て債権債務の評価換算差として為替差損が発生し、経常利益は14,637百万円(前中間期比28.4%減)となりました。特別利益1,790百万円は、高蔵寺事業所の売却に伴う固定資産売却益の計上によるものであります。この結果、親会社株主に帰属する中間純利益は11,586百万円(前中間期比24.2%減)となりました。
当中間連結会計期間の1米ドルの平均為替レートは152.6円、前中間期比11.6円の円安となりました。
なお、当社グループの事業セグメントは、ソリューションSoCビジネスモデルで開発するSoCを主とする単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
(2)財政状態の状況
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は132,252百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,649百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が増加した一方で、売掛金の回収が進んだこと及び顧客要望に基づく先行手配分の減少で棚卸資産が減少したことによるものであります。
固定資産は45,591百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,348百万円減少しました。これは主に、当中間期は減価償却費が設備投資を上回ったこと及び高蔵寺事業所の売却によるものであります。
この結果、総資産は177,843百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,997百万円減少しました。
(負債)
当中間連結会計期間末における流動負債は37,368百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,726百万円減少しました。これは主に、法人税等の納付による未払法人税等の減少、賞与の支払による未払費用の減少及び顧客要望に基づく先行手配分が減少したことでの有償支給に係る負債の減少によるものであります。
この結果、負債合計は39,909百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,911百万円減少しました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産合計は137,934百万円となり、前連結会計年度末から6,914百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益11,586百万円の計上により利益剰余金が増加したこと及びストック・オプションの権利行使によるものであります。
この結果、自己資本比率は77.56%となり、前連結会計年度末から7.44ポイント増加しております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末より4,229百万円増加し、73,967百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは14,143百万円の収入(前年中間期は14,648百万円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額5,662百万円がある一方、税金等調整前中間純利益の計上16,427百万円及び減価償却費7,703百万円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは4,722百万円の支出(前年中間期は10,934百万円の支出)となりました。これは主に、固定資産の売却による収入2,331百万円がある一方、獲得した商談の製品開発に係るレチクル、テストボード及び設計開発環境の増強等のための有形固定資産の取得による支出4,617百万円と、IPマクロ等の無形固定資産の取得による支出2,279百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは4,320百万円の支出(前年中間期は2,665百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額4,467百万円によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、28,769百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当中間連結会計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。