第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績の状況

当中間連結会計期間(2024年4月1日~9月30日)における国内経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復が続いています。企業の収益は堅調で、賃上げやDX・脱炭素化に向けた積極的な設備投資が進展し、個人消費の下支えとなっています。また、インバウンド需要の拡大も見られ、観光関連消費が高水準を維持しています。

一方、エネルギーコストや原材料価格の高騰が続き、実質賃金の回復が遅れています。また、米国経済の減速リスクや為替相場の不安定な状況による外部環境の変動が、国内経済に不確実性をもたらしているため、引き続き動向を注視する必要があると認識しています。

こうした中、当社グループは、目指す姿である「お客さまの暮らしを豊かにする“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向けて現中期経営計画(2022年度~2024年度)を推進し、2023年度まで重点戦略を着実に進展させて当初計画を大きく上回る業績を達成しました。現中期経営計画の最終年度となる2024年度は、中核となる4つの重点戦略「高感度上質戦略」、「個客とつながるCRM戦略」、「連邦戦略」、「まち化戦略」を推し進めています。

国内百貨店では、三越伊勢丹アプリ会員の新規獲得を中心に、当社が識別できる顧客(以下、識別顧客)数が引き続き拡大しております。加えて個のマーケティングの高度化により、外商顧客を中心に識別顧客の客単価が向上し、首都圏店舗を中心に識別顧客売上高が順調に拡大しております。また、引き続き収支構造改革を着実に推し進めたことで、地域百貨店計も増収(総額売上高)増益となりました。

その他、グループ関係会社についても、それぞれのユニークポイントを進化させながら、グループの中核である百貨店との事業連携を強化しております。百貨店で識別化した個客に対して、各社がグループならではの価値を提供することで、更なる収益拡大に向けた取り組みを進めています。

この結果、当中間連結会計期間の連結業績は、売上高は264,093百万円(前年同期比6.3%増)営業利益は34,884百万円(前年同期比72.8%増)経常利益は38,711百万円(前年同期比69.0%増)親会社株主に帰属する中間純利益は25,394百万円(前年同期比70.8%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

①百貨店業

国内百貨店では、国内外のお客さまの消費意識がより一層高まり、首都圏店舗・地域百貨店計ともに入店客数が拡大しました。お客さまお一人おひとりの幅広い関心事にお応えすべく品揃えやサービスの強化に取り組み、ラグジュアリーブランドなどの高額品や化粧品だけでなく、婦人・紳士の衣料品など幅広い商品が好調に推移しました。その結果、総額売上高は大幅に伸長した前年実績を更に上回り、前年同期比2桁以上の増収となりました。

首都圏店舗では、「高感度上質戦略」におけるMDバランスの最適化に向け、お客さまのニーズに沿った商品展開を実現するためのリモデルが順次行われています。更に、個のマーケティングを高度化させる取り組みにより、収益拡大につながっております。

当社が力を入れる「高感度上質戦略」「個客とつながるCRM戦略」の象徴と言えるお得意様向けのご招待会(伊勢丹新宿本店「丹青会」、三越日本橋本店「逸品会」)では、過去最高の売上を更新しました。8月に開催した「丹青会」では、ブランドミックスで行われたファッションショーや、高感度なアート、飲食の限定メニューなどがお客さまの支持を集めました。9月に開催した「逸品会」では、デパートメントストア120周年記念として「伝統・文化・芸術・暮らし」領域における高感度上質な商品を集約し、逸品会ならではの先行・限定品をはじめ、カスタムカーや楽器、限定の企画旅行など、普段は百貨店店頭で取扱いのないコンテンツが好評を博しました。

地域百貨店では、高感度上質消費を志向する全国のお客さまのご要望にお応えする「拠点ネットワーク」の取り組みにおいて、伊勢丹新宿本店や三越日本橋本店の商品のお取り寄せ販売実績が大幅に拡大しました。加えて、百貨店の科学による収支構造改革の取り組みで販売管理費の削減を更に推し進めたことにより、利益が増加しました。

免税売上高については、ラグジュアリーブランドのハンドバッグや宝飾品などの高付加価値商品に加えて、化粧品やベビー子供用品も好調に推移しました。首都圏の都心店舗だけでなく地域百貨店においても、急伸した前年実績から更に拡大し、当中間連結会計期間における国内百貨店合計の免税売上高が過去最高額を更新しています。

オンライン事業に関しても、カテゴリー別のサイトを中心に取り組みを強化しており、化粧品のmeecoやMOO:D MARK(ムードマーク)などのサイトの売上が前年同期比2桁以上上回るなど堅調に推移いたしました。また、販管費コントロールの取り組みを引き続き強化したことで、当中間連結会計期間において大幅に利益が改善しました。

海外事業(2024年1月1日~6月30日)では、米国で昨年度リモデルオープンしたレストランが好調に推移したことにより、売上と営業利益がともに大幅に計画を上回りました。

なお、2024年9月に、株式会社三越伊勢丹の子会社であるイセタン(シンガポール)Ltd.の、完全子会社化の手続きが完了し、シンガポール証券取引所での上場廃止となりました。

  このセグメントにおける売上高は219,821百万円(前年同期比5.4%増)営業利益は29,551百万円(前年同期比76.0%増)となりました。

 

②クレジット・金融・友の会業

株式会社エムアイカードは、グループ百貨店と連携した割賦手数料とアクワイアリングの収入拡大により、増収となりました。加えて、収支構造改革の取り組みにより販売管理費を大きく削減することができ、大幅に収益拡大しました。

また、成長戦略の一環として、百貨店事業を通じてつながったすべての識別顧客の暮らし全般に関わるご要望にお応えするべく、新たな金融サービスの開発・展開を推進しております。昨年度スタートした、伊勢丹新宿本店の時計売場における商品保証サービスにおいては、時計購入者のサービス加入率が目標を達成し、順調に推移しております。

  このセグメントにおける売上高は16,395百万円(前年同期比4.6%増)営業利益は3,186百万円(前年同期比125.8%増)となりました。

  

③不動産業

不動産業では、グループの保有物件におけるテナントの入れ替えなどにより増収となりました。

高品質な内装や家具製作を強みとする株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインでは、外部の大型開発案件のホテルやオフィス、ブランドショップ改装の施工を中心に売上が拡大し、原材料費の高騰の影響を受けたものの、増収となりました。

このセグメントにおける売上高は13,207百万円(前年同期比20.0%増)営業利益は1,441百万円(前年同期比16.6%増)となりました。

 

④その他

スーパーマーケット事業や食品のOEM製造事業を展開している株式会社エムアイフードスタイルでは、物価上昇局面において、経費コントロールを徹底するとともに、「グループ連邦戦略」の取り組みを強化しました。三越伊勢丹のグループ力を活かしたプライベートブランドの販路拡大やOEM受注拡大、グループの識別顧客であるエムアイカード会員に向けたキャンペーンの実施などに取り組んでおります。2024年11月にはJR埼京線十条駅の再開発地に「クイーンズ伊勢丹十条店」の新規出店を予定しています。

旅行業の株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベルでは、特にコロナ期以前の水準まで復活した海外旅行需要の回復に対し同社独自の欧州リバークルーズの増発、加えて「グループ連邦戦略」による法人旅行取扱いや、急増するインバウンド旅行取扱いが寄与し、収入が拡大しました。また、収支構造改革の取り組みにより、固定費の上昇を徹底して抑えた結果、大幅な増収増益となりました。

メディア事業の株式会社スタジオアルタでは、グループ統合ハウスエージェンシーとして、百貨店の広告メディア販売事業(屋外広告・デジタルサイネージ等)の伸長やグループの広告・装飾の製作の統合、蓄積したノウハウと資産の活用による外販の増加により、大幅な増収増益となりました。

  このセグメントにおける売上高は44,789百万円(前年同期比5.4%増)営業利益は572百万円(前年同期比13.8%減)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当中間連結会計期間末の総資産は1,193,952百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,150百万円減少しました。これは主に、有利子負債を返済したこと及び配当金の支払を行ったこと並びに自己株式を取得したことなどにより現金及び預金が減少したことなどによるものです。

 負債合計では591,974百万円となり、前連結会計年度末から32,304百万円減少しました。これは主に、季節要因により支払手形及び買掛金が減少したこと及び有利子負債を返済したことなどによるものです。

 また、純資産は601,978百万円となり、前連結会計年度末から1,154百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益を計上した一方で、配当金の支払を行ったこと及び自己株式を取得したことなどによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

  営業活動によるキャッシュ・フローは、32,565百万円の収入となり、前中間連結会計期間に比べ、収入が22,402百万円増加しました。これは主に、仕入債務の増減額が減少したものの、売上債権の増減額が増加したことなどによるものです。

  投資活動によるキャッシュ・フローは、20,040百万円の支出となり、前中間連結会計期間に比べ、支出が2,413百万円増加しました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものです。

  財務活動によるキャッシュ・フローは、46,971百万円の支出となり、前中間連結会計期間に比べ、支出が23,230百万円増加しました。これは主に、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得及び自己株式の取得による支出などがあったことによるものです。

上記の結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、33,206百万円減少し、39,184百万円となりました。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

(6) 従業員数

該当事項はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当社の子会社である株式会社三越伊勢丹は、2024年4月1日に三越伊勢丹の子会社でありシンガポールにて伊勢丹の店舗を展開するイセタン(シンガポール)Ltd.と、同社の発行済株式の全て(三越伊勢丹が保有する対象会社株式を除く。)を取得することにより完全子会社化する手続きを開始することについて合意し、本件株式取得の実行に関する Implementation Agreementを締結しました。

その後、イセタン(シンガポール)Ltd.の賛同の下、同社の株主の承認及びシンガポールの裁判所の許可を取得し、完全子会社化しました。

 

詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。