当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
(1)経営成績等の状況の概要
当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
経営成績等の状況
当社グループの主な事業領域は、生産財と消費財であり、「設備投資」と「個人消費」の動向が業績に影響を及ぼします。
当社グループを取り巻く事業環境として、国内においては、一部自動車メーカーの生産停止の影響により、関連製造業の新規設備投資の様子見が継続しました。また、半導体産業ではAI・パワー半導体への投資が期待されていますが、足元の設備投資は依然として踊り場の状態が続き大きな市場回復までには至らず、全体として厳しい状況となりました。一方で、人手不足対策として自動化・省人化へのニーズは様々な産業で高まりを見せました。海外においては、北米では9月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)より利下げ方針が色濃くなったものの、依然として金利は高水準で企業の資金調達環境の厳しさは継続しており、また、大統領選に伴う先行きの不透明感等の影響で、製造業全般における景況感は弱含みで推移しました。中国では世界の貿易構造の変化による輸出型産業向けの受注回復の兆しが見られず、不動産市場の低調等を背景とした国内需要の停滞も継続しています。ASEANでは、電子部品・半導体産業が回復基調となり、また、海外からの生産移管や生産拠点の移転に伴う設備投資需要が活発化する等の動きがありました。
国内の個人消費については、今後は所得環境の改善に支えられ緩やかに持ち直す見通しではありますが、当中間期は原材料や電気・ガス価格の高騰及び円安基調の継続等による様々な分野の商品やサービスの値上げに賃金の上昇が追い付かず、耐久消費財に対する節約志向や商品の選別傾向が継続しました。
また、住宅産業においては、新設住宅着工戸数が持家を中心にダウントレンドでありますが、住宅設備機器の更新需要は前年並みに推移しました。
これらの結果、当社グループの当中間連結会計期間の売上高は248,924百万円(前年同期比0.1%増)となりました。利益面につきましては、営業利益は3,442百万円(同、29.3%減)、経常利益は3,494百万円(同、34.1%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は2,567百万円(同、21.6%減)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
[生産財関連事業]
国内生産財事業では、自動車産業においては新たな投資への活発な動きが依然として見られず、半導体産業でも生成AI関連等、一部活況を呈した分野はありましたが、市場全体の需要回復までには至らず、自動車産業向け部品加工メーカー及び半導体装置部品メーカー向けの工作機械の売上は厳しい結果となりました。切削工具等の消耗品に関しても、一部自動車メーカーの生産停止等の影響を受け、前年同期を下回る結果となりました。一方、生産現場の労働負荷軽減や安全衛生につながる脚立足場等の作業用品や測定器等の販売は堅調に推移しました。また、自動化・省人化ニーズの高まりを受け、マテハン機器等の売上が前年同期を大きく上回り、公共インフラの更新需要への対応が求められる鋼材加工業においては、幅広い加工対応と生産性改善に寄与する高単価のフルオートマシン等のインフラ関連機器の売上が好調でした。このほか、省エネニーズに対応する環境改善機器等の売上も好調に推移しました。営業活動としては、機械の販売においては、生産現場の生産性向上に寄与する高付加価値設備の提案等に積極的に取り組み、切削工具等の販売においては、技術営業担当者による加工改善や治具等の提案を強化しました。このほか、環境改善機器の受注獲得に向けて「脱炭素」をテーマにした商談会を各地で実施する等、顧客の需要喚起に努めました。また、機械・金属関連製造業のみならず、三品(食品・医薬品・化粧品)産業や物流・倉庫業等のユーザーを対象に、展示会等を通じて協働ロボットを活用した自動化ライン等のソリューション提案を精力的に行い、顧客接点を増やす様々な取組みを行いました。さらに、「地域経済活性化のためのリアルプラットフォーム」として当社が企画する大型展示商談会を各地で開催することで、受注を獲得するとともに顧客との関係性をより深めました。
海外生産財事業は、北米支社では、設備投資意欲低迷の影響を受けたものの、医療・航空・宇宙産業向け高付加価値設備の売上が好調に推移し、前年同期を上回る実績となりました。台湾支社では、主要産業である電子・半導体産業等の需要が回復基調にあり、当期の売上は前年同期を上回りました。中国支社では、輸出型産業向けの売上が引き続き低調であったことに加え、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー関連産業の生産調整の影響を受け、前年同期を下回る結果となりました。アセアン支社では、他地域からの生産移管や生産拠点の移設への対応を行う等、新たな設備需要を取り込み、また停滞していた半導体業界などの投資も動き始め、前年同期を上回る結果となりました。(注)
その結果、生産財関連事業の売上高は159,642百万円(前年同期比0.3%減)となりました。
(注)営業地域及び顧客属性ごとに事業を区分したビジネスユニットを支社と称しております。
[消費財関連事業]
〔住建事業〕
住建事業は、省エネ改修需要や猛暑の影響により空調設備の売上が好調に推移し、さらに光熱費高騰による消費者の節約志向に対応した高付加価値商材の提案に注力した結果、太陽光発電、蓄電池等の販売も堅調に推移しました。また、非住宅分野の開拓にも積極的に取り組み、中小企業のカーボンニュートラル対応及び光熱費削減へのニーズに向け、環境商材と施工をセットにした設備改修提案を強化したこと等により、販売が堅調に推移しました。
その結果、住建事業の売上高は37,874百万円(前年同期比7.5%増)となりました。
〔家庭機器事業〕
家庭機器事業は、プライベートブランド商品においては消費者ニーズを捉えたスピーディーな企画・開発とラインアップの強化に取り組み、様々なメディアを活用した情報発信によってYAMAZENブランドの浸透を図った結果、調理家電、AV家電、インテリア商品等の販売は堅調に推移しました。また、法人・個人事業主向け自社ECサイト「山善ビズコム」においても、売上高・会員数が順調に伸長しました。しかしながら、原材料や電気・ガス価格の高騰、円安基調の継続等に伴う商品やサービスの価格上昇等による消費者の購買意欲の落ち込みを補うには至りませんでした。
その結果、家庭機器事業の売上高は49,553百万円(前年同期比2.5%減)となりました。
(2)経営者の視点による財政状態及び経営成績の状況に関する分析
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当中間連結会計期間における経営成績は、生産財関連事業においては、自動化・省人化ニーズによりマテハン機器等の売上は好調に推移しましたが、自動車産業や半導体産業においては投資に慎重さが見られ、全体的に厳しい状況となりました。また、消費財関連事業は、原材料・エネルギー価格の高騰や円安の影響による商品やサービスの値上げが続いており、家電等の生活用品への個人消費は落ち込みを見せましたが、住宅設備機器の更新需要は前年並みに推移しました。
上記の結果、売上高は前中間連結会計期間より244百万円増加し、248,924百万円(前年同期比0.1%増)となりました。なお、セグメント別の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 経営成績等の状況」に記載のとおりであります。
売上総利益は、売上高の増加に伴い、前中間連結会計期間から553百万円増加し、37,347百万円(前年同期比1.5
%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、人的投資や先行投資を含む物流関連費用・IT関連費用の増加により、前中間連結会計期間から1,981百万円増加し、33,905百万円(前年同期比6.2%増)となりました。
上記の結果、営業利益は、前中間連結会計期間から1,427百万円減少し、3,442百万円(前年同期比29.3%減)となりました。また、売上高営業利益率は、1.4%となりました。
営業外損益(純額)は、為替差損の発生や自己株式取得費用の計上により、前中間連結会計期間から378百万円減少し、52百万円となりました。
経常利益は、前中間連結会計期間から1,806百万円減少し、3,494百万円(前年同期比34.1%減)となりました。また、売上高経常利益率は、1.4%となりました。
特別損益(純額)は、投資有価証券売却益の計上により、前中間連結会計期間から643百万円増加し、640百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前中間純利益は、前中間連結会計期間から1,162百万円減少し、4,135百万円(前年同期比21.9%減)となり、法人税等合計1,485百万円及び非支配株主に帰属する中間純利益82百万円を控除した親会社株主に帰属する中間純利益は、前中間連結会計期間から706百万円減少し、2,567百万円(前年同期比21.6%減)となりました。
②財政状態の状況
当中間連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,445百万円減少し、282,528百万円となりました。これは、現金及び預金の減少(17,792百万円)、売上債権(受取手形、売掛金、電子記録債権)の減少(8,379百万円)、外貨建有価証券の取得等による有価証券・投資有価証券の増加(9,948百万円)が主な要因であります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ5,386百万円減少し、156,969百万円となりました。これは、仕入債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の減少(6,876百万円)、契約負債の増加(1,614百万円)が主な要因であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ7,058百万円減少し、125,558百万円となりました。これは、取締役会決議に基づく自己株式の取得等による自己株式の増加(4,998百万円)、保有株式の株価の下落や売却によるその他有価証券評価差額金の減少(1,223百万円)が主な要因であります。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の44.6%から44.0%と0.6ポイント低下いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
|
前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) |
増減 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
△2,914 |
3,970 |
6,884 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△331 |
△10,211 |
△9,879 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△2,375 |
△8,386 |
△6,010 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
1,384 |
△572 |
△1,956 |
現金及び現金同等物の増減額 |
△4,238 |
△15,200 |
△10,962 |
現金及び現金同等物期首残高 |
81,128 |
88,477 |
7,348 |
現金及び現金同等物中間期末残高 |
76,890 |
73,276 |
△3,613 |
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15,200百万円減少し、73,276百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、償却前営業利益の計上及び法人税等の支払いにより、3,970百万円の収入(前年同期は2,914百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得や有形及び無形固定資産の取得により、10,211百万円の支出(前年同期は331百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払いによる支出等により、8,386百万円の支出(前年同期は2,375百万円の支出)となりました。
④資本の財源及び資金の流動性
ⅰ)資金需要について
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及び事業の維持・拡大のための設備投資資金、そして配当金の支払等であります。これらの資金需要に対しては、主に自己資金(手元資金及び営業活動により獲得した資金)を充当しております。また、既存事業とのシナジー効果が期待できるM&Aを含め、今後においても当社グループの持続的成長につながる投資を積極的に行ってまいります。所要資金については、主に自己資金を充当する予定でありますが、投資規模、投資件数、資金調達に関する諸条件等を総合的に検討し、金融機関からの借入等により調達した資金を一部充当する可能性もございます。
ⅱ)資金の流動性について
当社グループは、取引先からの信頼を維持・獲得するために財務の健全性をより強化し、また、事業遂行に伴う支払債務を履行するのに十分な流動性を確保することの重要性を認識しております。連結ベースの流動比率は、運転資本の最適化により、前連結会計年度末は172.3%、当中間連結会計期間末は162.7%と相応の水準を維持しており、十分な流動性と健全性を確保しているものと判断しております。
当社は、短期資金に関しては、複数の金融機関と当座貸越契約を締結しており、金融・資本市場における不測の事態や急な資金需要が発生した場合に備えるため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性補完を確保しております。さらに、格付投資情報センター(R&I)及び日本格付研究所(JCR)の2社から発行体格付けを継続的に取得し、本報告書提出時点における、両者により付与された発行体格付は、R&I:A-、JCR:Aとなっており、中長期資金に関しても、多様な調達手段の選択が可能な環境を確保できているものと判断しております。
⑤経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
⑥優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
⑦研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。