第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

(継続企業の前提に関する重要事象等)

 当社グループは、前連結会計年度において、PC・タブレット向け中小型液晶の需要回復遅れなどディスプレイデバイスの不振により、減損損失122,332百万円などを計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は149,980百万円となり、連結純資産は157,424百万円まで減少しました。また、当社グループの連結純資産及び連結経常利益が一定水準を下回り、前連結会計年度末において当社及び一部の連結子会社が債務超過になったことは、借入契約の財務制限条項に抵触いたしましたが、借入先金融機関からは、期限の利益喪失の請求は行わない旨の承諾を得られております。

 当中間連結会計期間末においても、借入先金融機関が期限の利益の喪失を請求できる事由が発生しておりますが、前連結会計年度末と同様に、かかる請求を受けることはない見通しです。また、当面の運転資金及び投資資金については、2026年4月までのシンジケートローン契約や借入総額200,000百万円のコミットメントライン契約などを締結しており、主たる金融機関とも従来通り良好な取引関係を継続していることから、資金繰りに重要な懸念はないと判断しております。

 また、事業面において、当中間連結会計期間に親会社株主に帰属する中間純利益22,960百万円を計上し、赤字の要因となっていた大型ディスプレイ事業(堺ディスプレイプロダクト㈱)の生産を停止するなど、事業の構造改革を着実に進めております。

 以上より、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は存在するものの、重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、半期報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

当社グループは、2024年5月14日に公表しました「中期経営方針」に沿って、アセットライト化、及び成長モデルの確立と本社機能の強化に取り組んでいます。

また、重要なビジネスパートナーである鴻海精密工業股份有限公司との連携をより一層強化し、構造改革と再成長の両面で彼らのリソースを有効活用することで、それぞれの取り組みのスピードを加速していきます。

これらを通じて、「強いブランド企業“SHARP”」の早期確立を目指しています。

 

当中間連結会計期間の業績は、スマートオフィスとユニバーサルネットワークの売上が伸長したものの、スマートライフ&エナジー、ディスプレイデバイス、エレクトロニックデバイスの売上が減少し、売上高が1,096,414百万円(前年同中間期比 94.7%)となりました。

営業損益は、479百万円の営業利益(前年同中間期は5,861百万円の営業損失)となり、黒字化しました。スマートライフ&エナジーが減益となりましたが、スマートオフィス、ユニバーサルネットワーク、エレクトロニックデバイスが増益となったほか、ディスプレイデバイスの赤字幅が縮小しました。

経常利益は、1,466百万円(前年同中間期比 48.4%)となりました。営業外損益として持分法による投資利益4,812百万円や為替差損3,043百万円などを計上しました。

親会社株主に帰属する中間純利益は、22,960百万円(前年同中間期比 462.6%)となりました。特別損益として投資有価証券売却益28,254百万円などを計上しました。

(単位:百万円)

 

 

前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

至 2024年9月30日)

前年同中間期比

売上高

1,158,279

1,096,414

94.7%

営業利益又は営業損失(△)

△5,861

479

経常利益

3,027

1,466

48.4%

親会社株主に帰属する中間純利益

4,963

22,960

462.6%

 

セグメントの業績は、概ね次のとおりであります。

 なお、当中間連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。以下の前年同中間期との比較については、前年同中間期の数値を変更後の区分に組替えた数値で比較しております。報告セグメントの変更については、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に詳細を記載しております。

 

<ブランド事業>

① スマートライフ&エナジー

売上高は229,006百万円(前年同中間期比 100.0%)となりました。白物家電事業は増収となり、中でも調理家電や冷蔵庫、エアコンが伸長したほか、国内では美容家電が大きく伸長しました。一方で、エネルギーソリューション事業は減収となりました。国内の住宅向けが伸長したものの、国内外のEPC事業が大幅な減収となりました。

セグメント利益は8,349百万円(前年同中間期比 57.5%)となりました。欧州のエネルギーソリューション事業で一過性の費用が発生したことに加え、円安の影響などもあり、大幅な減益となりましたが、各事業で、高付加価値化やコストダウンなどを進めていることから、安定して利益を計上できています。

 

② スマートオフィス

売上高は329,676百万円(前年同中間期比 121.4%)となりました。ビジネスソリューション事業、PC事業とも増収となりました。ビジネスソリューション事業は、日本や欧米などでMFP事業やオフィスソリューション事業が伸長したことに加え、インフォメーションディスプレイ事業も欧米を中心に伸長しました。PC事業はプレミアムモデルの販売が好調で、国内の法人向け・官公庁向けが大幅に伸長しました。

セグメント利益は18,205百万円(前年同中間期比 183.3%)となりました。増収となったことに加え、PC事業・オフィスソリューション事業で高付加価値化が進んでいること、構造改革に取り組んでいるインフォメーションディスプレイ事業のコスト削減が進展したことなどから、大幅な増益となりました。

 

③ ユニバーサルネットワーク

売上高は154,223百万円(前年同中間期比 105.5%)となりました。テレビ事業、通信事業とも増収となりました。テレビ事業は国内で高付加価値モデルの販売が増加したほか、欧米などで売上が伸長しました。通信事業は新製品を中心に、スマートフォンの販売台数が伸長しました。

セグメント利益は3,663百万円(前年同中間期比 121.5%)となりました。円安の影響があったものの、構造改革など、コストダウン・経費削減に向けた取り組みの効果に加え、通信事業で一過性の収益を計上したことなどもあり、増益となりました。

 

<デバイス事業>

④ ディスプレイデバイス

売上高は267,943百万円(前年同中間期比 76.4%)となりました。車載向けパネルの販売は伸長しましたが、スマートフォン向けやPC向けのパネル、大型ディスプレイの販売が減少し、減収となりました。

セグメント損失は24,817百万円(前年同中間期は29,675百万円のセグメント損失)となりました。継続的にコストダウン・経費削減を進めていることに加え、生産能力を最適化した効果などもあり、赤字は縮小しています。

 

⑤ エレクトロニックデバイス

売上高は133,135百万円(前年同中間期比 72.6%)となりました。半導体レーザーにおいて、新規受注を獲得した加工用、および2024年より量産を開始した車載用が大きく伸長しましたが、センサーモジュールの顧客需要が変動した影響がありました。

セグメント利益は4,698百万円(前年同中間期比 106.9%)となりました。減収となりましたが、コストダウン・経費削減の取り組みを進めていることや、円安の効果があったことなどから、増益となりました。

 

(財政状態)

当中間連結会計期間末の財政状態については、前連結会計年度末に比べ、純資産合計が12,365百万円減少し、145,059百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する中間純利益の計上により、利益剰余金が増加となったものの、投資有価証券の売却に伴うその他有価証券評価差額金の減少や前連結会計年度末と比較して円高となったことによる為替換算調整勘定の減少などによるものです。また、投資有価証券の売却や電子記録債務を含む買掛債務の減少などにより、資産合計は39,112百万円減少の1,550,920百万円、負債合計は26,746百万円減少の1,405,860百万円となっております。

 

(棚卸資産)

当中間連結会計期間末の棚卸資産残高は、前連結会計年度末から2,481百万円増加の272,066百万円、月商比で1.49ヶ月となりました。今後とも状況の変化を注視し、適正な在庫の管理に努めてまいります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ20,899百万円減少し、198,229百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

至 2024年9月30日)

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

43,940

△13,596

△57,536

投資活動によるキャッシュ・フロー

28,044

△4,664

△32,709

財務活動によるキャッシュ・フロー

△62,630

3,337

65,968

現金及び現金同等物の中間期末残高

237,975

198,229

△39,746

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における営業活動による資金の支出は13,596百万円(前中間連結会計期間は43,940百万円の収入)となりました。これは、前中間連結会計期間に比べて、税金等調整前中間純利益が19,998百万円増加したものの、棚卸資産、仕入債務の増減により資金がそれぞれ20,699百万円、40,912百万円減少したことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における投資活動による資金の支出は4,664百万円(前中間連結会計期間は28,044百万円の収入)となりました。これは、前中間連結会計期間に比べて、投資有価証券の売却による収入が44,233百万円増加したものの、定期預金の預入による支出が38,477百万円増加したことに加え、定期預金の払戻による収入が50,497百万円減少したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における財務活動による資金の収入は3,337百万円(前中間連結会計期間は62,630百万円の支出)となりました。これは、前中間連結会計期間に比べて、長期借入金の返済による支出が71,107百万円減少したことなどによるものであります。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針、経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針、経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発費は39,146百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、研究開発に係る以下のような組織変更がありました。

 

当社グループは、2024年5月よりCEO主管の全社プロジェクト「イノベーションアクセラレートプロジェクト(I-Pro)」を導入しました。全社へ波及する有望なテーマを選定し、革新的な新規事業の早期立上げを進めております。

 

(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、資金の支出効果の見極めを十分行いながら、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉の安定的な確保を図る趣旨の下、短期運転資金は自己資金及び短期借入で、設備投資や長期運転資金の調達につきましては長期借入で賄うことを基本原則としております。当中間連結会計期間においては、税金等調整前中間純利益を計上したものの、仕入債務が減少したことに加え、棚卸資産が増加したため、営業活動による資金の支出が13,596百万円となりました。また、持続的な成長や経営効率化を具現化するための有形固定資産の取得などの投資支出を行い、投資活動による資金の支出は4,664百万円となりました。財務活動面では短期借入金の増加などにより、財務活動による資金の収入は3,337百万円となりました。

その結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ20,899百万円減少し、198,229百万円となりました。また、当中間連結会計期間末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は671,534百万円、有利子負債から現金及び預金を差し引いた純有利子負債は422,672百万円、自己資本比率は8.4%、NET DER(純有利子負債/自己資本)は3.25倍となっております。

今後とも、在庫管理の適正化等により運転資金の圧縮に努め、手元流動性を確保しつつ、有利子負債の削減等財務体質の改善を図ってまいります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、新たに締結した経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。

 

その他の契約

相手先

国名

又は

地域

契約内容

㈱みずほ銀行

㈱三菱UFJ銀行

日本

2024年8月、㈱みずほ銀行及び㈱三菱UFJ銀行との間で、コミットメントライン契約を締結(更改)いたしました。借入可能期間を1年延長するものであります。

(注)上記は当社との契約であります。