当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当社は「あたらしい命に、あたらしい医療の選択肢を。」をコーポレートスローガンに、産婦人科施設との強固なネットワークを活用し、再生医療・細胞治療を目的とした「さい帯」や「さい帯血」等の周産期組織由来の細胞バンク事業及びそれらの細胞等を利用した新たな治療法、製品の開発を行っております。そしてこの事業基盤をベースとして再生医療やフェムテック等関連する領域での事業開発及び投資等によるサスティナブルな成長と社会への貢献を目指しております。
当社は2024年8月5日に設立25周年を迎え、出産時にのみ採取できる貴重な細胞である「さい帯」や「さい帯血」を、お子さまやそのご家族の将来に備えて保管する「さい帯・さい帯血ファミリーバンク」のリーディングカンパニーとして、再生医療分野の発展と歩みを共にしてまいりました。
当中間会計期間においては、当社の中期的な経営目標である20,000検体(国内出生数に対する保管率約3%)に向け、主要なマーケティングチャネルである、医療機関でのスピーチ及びPR等のリアルマーケティングと、オンライン広告及びSNS等のデジタルマーケティングに加え、メディア向け勉強会等による啓蒙活動に注力いたしました。
その結果、保管検体数(さい帯・さい帯血の合計)、売上高、各段階利益の全ての項目で過去最高を更新しております。
「さい帯」につきましては、昨年6月に、保管いただいたご家族向けに組織の再生を促す成長因子や細胞間の情報伝達物質(エクソソーム)等を含む培養上清液を製造する「ファミリー上清」製造サービスを開始したことにより、「さい帯血」を保管される方の「さい帯」保管率が50%以上に高まっております。また、当サービスのお問い合わせやお申し込みも着実に増加しております。
「さい帯血」につきましては、昨年6月に公表した大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学教室との「自閉症スペクトラム障害に対する自家臍帯血有核細胞を用いた治療法の開発」の臨床研究が始まり、10月29日にプレスリリースいたしました。今後、参加者(被験者)の募集が開始される予定です。自閉症スペクトラム障害(ASD)は100人に1人の割合で診断されると言われており、当臨床研究の開始は保管意義の更なる向上に繋がると考えております。
また、11月1日には新しいサービス(保管)プランを開始いたしました。新プランでは、さい帯・さい帯血の両方を採取することで、出産時に採取できる貴重な細胞を確実に保管し、将来の医療やQOLの向上に役立てていただけるようになります。これに伴い平均単価は約12.8%上昇しますが、より多くの方にこのサービスをご利用いただけるように、月額2,980円からの支払いプランを設定いたしました。このように顧客ニーズに合わせたより良いサービスを提供することで、来期以降、更なる業績(売上高・利益率)の向上を見込んでおります。
そして現在、当社は東南アジア(ASEAN)での事業展開に注力いたしております。同地域においては年間1,000万人以上の出生数があり、2027年には日本のGDPを超える見込みで(※1)、細胞バンク事業のマーケットも大きく成長することが予測されています。まずシンガポールに地域統括会社(持株会社)の設立準備(11月中に完了予定)を進めており、将来的にはこの傘下でシンガポールをはじめベトナムやインドネシア等ASEAN各国に事業会社を設立し、新しい市場の開拓を目指してまいります。
※1:International Monetary Fund,「World Economic Outlook Database, October 2024」
「さい帯血」を用いた再生医療分野(研究開発)につきましては、前述の「自閉症スペクトラム障害に対する自家臍帯血有核細胞を用いた治療法の開発」の臨床研究の他、高知大学医学部附属病院小児科において脳性麻痺児に対する臨床研究、そして、大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学教室を中心としたグループとの低酸素性虚血性脳症(HIE)児に対する臨床研究が引き続き進められております。また、米国においては、FDA認可のもとデューク大学で進められている脳性麻痺児等へのさい帯血投与プログラムへ、当社でさい帯血を保管されている方々が参加されるケースが増加しており、その結果も良好です。
「さい帯」を用いた研究開発につきましては、大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教室と設立した「運動器スポーツバイオメカニクス学講座」において、新たな半月板治療法の開発を推進しております。また、東京大学医科学研究所セルプロセッシング・輸血部及び東京大学医学部附属病院ティッシュ・エンジニアリング部との小児形態異常等の先天性疾患に対する治療法の開発も、引き続き推進しております。
これらの活動の結果、当中間会計期間における売上高は、過去最高の1,373,816千円(前年同期比13.2%増)、営業利益は258,060千円(同19.9%増)、経常利益は264,063千円(同22.1%増)、中間純利益は271,954千円(同70.2%増)となっております。
なお、当社は、単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
(資産)
当中間会計期間末における資産合計は6,935,288千円となり、前事業年度末に比べ392,212千円増加いたしました。流動資産は5,217,421千円となり、前事業年度末に比べ702,381千円増加いたしました。これは主に、売上の増加及び分割払いを積極的に活用したことに伴い売掛金が154,545千円増加したこと、及び定期預金の払戻等により、現金及び預金が525,959千円増加したことによるものであります。固定資産は1,717,866千円となり、前事業年度末に比べ310,168千円減少いたしました。これは主に投資有価証券の取得300,000千円があった一方、定期預金の払戻500,000千円があったことによるものであります。
(負債)
当中間会計期間末における負債合計は4,064,753千円となり、前事業年度末に比べ214,293千円増加いたしました。流動負債は3,966,209千円となり、前事業年度末に比べ206,187千円増加いたしました。これは主に、前受金が169,331千円増加したことによるものであります。固定負債は98,543千円となり、前事業年度末に比べ8,105千円増加いたしました。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産合計は2,870,534千円となり、前事業年度末に比べ177,919千円増加いたしました。これは利益剰余金が中間純利益の計上により271,954千円増加した一方、その他有価証券評価差額金が94,035千円減少したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、3,371,500千円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、231,530千円の収入となりました。これは主に税引前中間純利益の計上401,003千円、減価償却費の計上60,987千円、前受金の増加169,331千円があった一方、投資有価証券売却益の計上136,939千円、売上債権の増加154,545千円及び法人税等の支払い72,090千円があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、295,448千円の収入となりました。これは主に定期預金の払戻による収入が500,000千円、投資有価証券の売却による収入が186,939千円あった一方、投資有価証券の取得による支出が300,000千円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,019千円の支出となりました。これはリース債務の返済による支出1,019千円によるものです。
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
当中間会計期間の研究開発費の総額は5,733千円であります。
なお、当中間会計期間において当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
該当事項はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。